JP7269814B2 - 乗員保護装置 - Google Patents

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本発明は、乗員保護装置に関する。
衝突等から乗員を保護するため、自動車などの車両では、乗員保護装置としてエアバッグ装置が装備されている。
このエアバッグ装置は、一般に、衝撃センサと、インフレータと、エアバッグと、制御装置等、から構成されている。エアバッグ装置は、前面衝突などにより衝撃センサが衝撃を検知すると、検知信号を制御装置に出力し、制御装置が作動信号をインフレータに送出して、インフレータがガスを発生させてエアバッグに送出する。そして、エアバッグは、インフレータから送出されたガスにより瞬時に膨らみ、乗員の前方に展開する。これにより、エアバッグは、内部のガス圧によって衝撃により前方へ移動する乗員の身体を受け止めて、その運動エネルギーを吸収しながら収縮する。このようにして、自動車の前面衝突等における、衝突の衝撃による乗員の急激な前方移動がエアバッグにより緩和され、乗員の安全が確保される。
一方、近年では、自動運転の技術が研究されている。このような自動運転の車両では、運転手といった乗員の意思とは無関係に車両の走行状態が制御される。このため、自動運転に対応した車両の乗員保護装置が提案されている。この車両の乗員保護装置では、乗員の上体の前で展開するフロントエアバッグを有し、着座位置よりも前に移動していた乗員の上体の肩が当接する部位において肩が入り込むことができる肩受凹部を形成している。これにより、車両の自動運転中にシートに着座した乗員の上体が衝突前にシートの着座位置より前へ移動していたとしても、この上体の肩を肩受凹部において支持し、乗員を保護するようにしている。また、この車両の乗員保護装置では、肩受凹部から車幅方向の一方へ向けて、他方側より一方側が後となる傾斜面を形成している。これにより、他方の肩を前にして斜めの姿勢で前へ移動する上体全体を、フロントエアバッグの傾斜面により受けて支えることができ、安定した状態に支え、その状態で衝撃を吸収することができるようにしている(特許文献1参照)。
ところで、自動運転が本格的に普及すると、乗員の搭乗状態に自由度が増すこととなる。このため、例えば、運転席に着座していても、車両の走行中に携帯端末等を手に持っていることも考えられる。また、現在でも、運転席以外の座席では、車両の走行中に携帯端末等を手に持っていることが考えられる。
特開2018-052441号公報
しかしながら、フロントエアバッグが乗員に向かって展開した際に、乗員が携帯端末等を持っていると、フロントエアバッグと乗員の上体との間に、乗員の腕などが挟まってしまい、最適な乗員保護が得られ難くなってしまう。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、乗員が携帯端末等を持っていても、最適な乗員保護を行うことができる乗員保護装置を提供することを課題とする。
本発明に係る車両の乗員保護装置は、車両の衝突を予測する衝突予測手段と、前記衝突予測手段により車両の衝突が予測されると、車両の前方から乗員に向かって展開するメインエアバッグと、乗員の状態を検知する乗員状態検知装置と、乗員の上方から下方に向かって展開するサブエアバッグと、前記サブエアバッグの展開位置を可動させる展開位置可動装置と、前記衝突予測手段により車両の衝突が予測された際に、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の状態に基づいて、前記展開位置可動装置に前記サブエアバッグの展開位置を可動させ、前記サブエアバッグを展開させてから、前記メインエアバッグを展開させる展開制御手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る車両の乗員保護装置は、前記乗員状態検知装置は、乗員の腕の位置を検知し、前記展開制御手段は、前記展開位置可動装置に対して、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置の上方に前記サブエアバッグを可動させ、前記サブエアバッグを展開させる、ようにしてもよい。
さらに、本発明に係る車両の乗員保護装置は、前記サブエアバッグは、右腕用サブエアバッグと、左腕用サブエアバッグと、を有し、前記展開位置可動装置は、前記右腕用サブエアバッグの展開位置、および、前記左腕用サブエアバッグの展開位置を、それぞれ独立して可動可能であり、前記展開制御手段は、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置に応じて、前記展開位置可動装置の可動、および、前記サブエアバッグの展開を制御させる、ようにしてもよい。
さらに、本発明に係る車両の乗員保護装置は、前記乗員状態検知装置は、乗員の腕の位置を検知し、前記展開制御手段は、前記展開位置可動装置に対して、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置に向かって前記サブエアバッグが展開するように展開方向を可動させる、ようにしてもよい。
さらに、本発明に係る車両の乗員保護装置は、前記展開制御手段は、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置が、前記メインエアバッグと、乗員の上体と、の間にある場合に限って、前記サブエアバッグを展開させる、ようにしてもよい。
本発明によれば、乗員が携帯端末等を持っていても、最適な乗員保護を行うことができる乗員保護装置を提供することができる。
本発明の実施の形態における乗員保護装置を備えた車両の一部の概略を示す断面図である。 本発明の実施の形態における乗員保護装置の概略ブロック図である。 サブエアバッグ可動装置の概略を示す図である。 エアバッグ袋体の展開経過を示す側面図である。 乗員保護装置の動作概要を示すフローチャートである。 他の実施の形態のサブエアバッグ可動装置の概略を示す図である。 サブエアバッグ可動装置の収納形態を示す断面図である。 他の実施の形態のサブエアバッグ可動装置の概略を示す図である。 他の実施の形態のサブエアバッグ可動装置の概略を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における乗員保護装置を備えた車両の一部の概略を示す断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態における乗員保護装置の概略ブロック図である。また、図3は、本実施の形態のサブエアバッグ装置を可動させるサブエアバッグ可動装置の概略を示す図である。また、図4は、本実施の形態の乗員保護装置が作動した際の、エアバッグ袋体の展開経過を示す側面図である。また、図5は、乗員保護装置の動作概要を示すフローチャートである。
(車両1の構成)
図1に示すように、車両1の乗員室は、下部にアンダーフロア3、上部にルーフ4が設けられている。また、アンダーフロア3には、座席シート10が配備されている。さらに、車両1には、後述する乗員保護装置101が備えられている。
座席シート10は、車両1に乗車した乗員Pが着座するものである。また、座席シート10は、乗員Pの臀部から大腿部を支えるシートクッション11(座部)と、リクライニング可能に設けられたシートバック12(背もたれ部)と、乗員Pの頭部を支えるヘッドレスト13(ヘッド部)と、を備えている。
(乗員保護装置101の構成)
図2に示すように、乗員保護装置101は、車載カメラ31と、レーダー32と、メインエアバッグ装置50と、サブエアバッグ装置60と、サブエアバッグ可動装置70と、制御部110と、を備えている。なお、メインエアバッグ装置50は、ダッシュボード5に設けられている。また、サブエアバッグ装置60は、ルーフ4に設けられたサブエアバッグ可動装置70に設けられている。
さらに、制御部110は、後述するように、車載カメラ31、および、レーダー32から入力された情報に基づいて、車両1の衝突および衝突予測を検知するとともに、メインエアバッグ装置50、および、サブエアバッグ装置60に設けられるエアバッグ袋体の展開を制御するエアバッグ展開制御ユニット(以下、ACUという)の機能も備えている。なお、制御部110は、車両1の全体を制御する車両制御装置(以下、ECUという)の一部として設けられていてもよい。
(車載カメラ31)
車載カメラ31は、車両1の外部および内部を撮影することができるようになっている。例えば、車載カメラ31は、車両1の周辺環境、具体的には、車両1の前方、後方、および、側方を撮影する。また、車載カメラ31は、車内を撮影し、座席シート10に着座した乗員Pの着座状態、特に、乗員Pの腕や手の位置がわかるように撮影する。そして、撮影した画像情報が制御部110に入力され、制御部110のRAMに画像情報が記録されるとともに、画像情報が制御部110に解析される。これにより、制御部110は、車両1の周囲の状況(車外の状況)をリアルタイムおよび事後的に認識することができる。また、制御部110は、車内の状況、特に、乗員Pの状態をリアルタイムおよび事後的に認識することができる。なお、ここでいう、乗員Pの状態とは、特に、乗員Pの腕や手の位置を想定している。
(レーダー32)
レーダー32は、電波を発射して障害物等の物体を探知し、物体までの距離と方位を測定するものである。また、レーダー32は、車両1のフロントバンパやリヤバンパに取り付けられ、車両1の前方監視、側方監視、後方監視等ができるようになっている。そして、監視情報が制御部110に入力され、制御部110のRAMに監視情報が記録されるとともに、監視情報が制御部110に解析される。これにより、制御部110は、車両1の周囲の状況をリアルタイムおよび事後的に認識することができる。
なお、本実施の形態では、車載カメラ31と、レーダー32と、を備え、双方の情報を用いて、衝突予測を行うものとしたが、これに限らず、いずれか一方のみを用いるものであってもよく、また、他の装置を用いるものであってもよい。また、本実施の形態では、車内の状況、すなわち、乗員Pの状態の情報を、車載カメラ31による画像情報を用いて取得するものとしたが、これに限らず、人感センサ等を用いるものであってもよい。
(メインエアバッグ装置50)
メインエアバッグ装置50は、制御部110に制御され、衝突の衝撃から乗員Pを保護するものである。また、メインエアバッグ装置50は、メイン用インフレータ51と、メインエアバッグ袋体52と、を有している(図4参照)。
(メイン用インフレータ51)
メイン用インフレータ51は、制御部110による車両1の衝突検知または衝突予測に基づく作動信号により、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させるものである。また、メイン用インフレータ51に発生されたガスは、メインエアバッグ袋体52に圧入される。なお、メイン用インフレータ51は、後述するサブ用インフレータよりも、制御部110による作動信号が遅れて入力される。
(メインエアバッグ袋体52)
メインエアバッグ袋体52は、メイン用インフレータ51によってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折り畳まれている。また、メインエアバッグ袋体52は、メイン用インフレータ51からガスが圧入されると、ダッシュボード5から座席シート10の方向に膨張展開し、乗員Pの頭部および胸部等に対する、車両1の衝突の衝撃を緩和するものである。すなわち、メインエアバッグ袋体52は、制御部110により車両1の衝突が予測されると、車両1の前方から乗員Pに向かって展開するようになっている。
(サブエアバッグ装置60)
サブエアバッグ装置60は、制御部110に制御され、乗員Pの腕や手をメインエアバッグ袋体52の展開領域から展開領域外に移動させるものである。また、サブエアバッグ装置60は、サブエアバッグ可動装置70によって、所定の位置に移動される。また、サブエアバッグ装置60は、サブ用インフレータ(不図示)と、サブエアバッグ袋体62と、を有している。
なお、メインエアバッグ袋体52の展開領域とは、メインエアバッグ袋体52が展開した際に占める、ダッシュボード5と乗員Pの上体等との間の領域をいう。
(サブ用インフレータ)
サブ用インフレータは、制御部110による車両1の衝突検知または衝突予測に基づく作動信号により、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させるものである。また、サブ用インフレータに発生されたガスは、サブエアバッグ袋体62に圧入される。なお、サブ用インフレータは、前述のように、メイン用インフレータよりも、制御部110による作動信号が先に入力される。
(サブエアバッグ袋体62)
サブエアバッグ袋体62は、サブ用インフレータによってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折り畳まれている。また、サブエアバッグ袋体62は、サブ用インフレータからガスが圧入されると、サブエアバッグ可動装置70によって移動された所定の位置から、下方に向かって膨張展開し、乗員Pの腕や手を、メインエアバッグ袋体52の展開領域外に移動させるものである。すなわち、サブエアバッグ袋体62は、乗員Pの上方から下方に向かって展開するようになっている。
(サブエアバッグ可動装置70)
サブエアバッグ可動装置70は、ルーフ4に取り付けられ、制御部110に制御されて、サブエアバッグ装置60を、車両1に対する前後左右方向に移動させるものである。したがって、サブエアバッグ可動装置70は、後述するように、サブエアバッグ袋体62の展開位置を可動させるようになっている。また、サブエアバッグ可動装置70は、前後レール71と、左右レール72と、移動台73と、を有している(図3参照)。
(前後レール71)
前後レール71は、ルーフ4の下部に、車両1の前後方向(以下、単に前後方向という)に延在して設けられている。また、前後レール71は、下部に左右レール72を前後方向に摺動可能に、保持している。そして、前後レール71は、制御部110の制御によって、左右レール72を前後レール71の延在方向に沿って前後に移動させるようになっている。
(左右レール72)
左右レール72は、上部が前後レール71に保持され、車両1の左右方向(以下、単に左右方向という)に延在して設けられている。また、左右レール72は、下部に移動台73を左右方向に摺動可能に、保持している。そして、左右レール72は、制御部110の制御によって、移動台73を左右レール72の延在方向に沿って左右に移動させるようになっている。
(移動台73)
移動台73は、上部が左右レール72に保持され、下部にサブエアバッグ装置60が取り付けられている。したがって、移動台73は、サブエアバッグ装置60とともに、前後レール71に沿って前後方向に移動でき、左右レール72に沿って左右方向に移動できるようになっている。
すなわち、サブエアバッグ装置60は、制御部110の制御により、サブエアバッグ可動装置70によって車両1の前後左右に移動され、サブエアバッグ袋体62の展開位置が自在に変更されるようになっている。
(制御部110)
制御部110は、乗員保護装置101の動作を制御するためものである。また、制御部110は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUにより実行される制御プログラム、データテーブル、各コマンドやデータ等の記憶を行うROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)および入出力インターフェース回路を備え、乗員保護装置101の制御を統括するようになっている。
また、制御部110は、入出力インターフェース回路を介して、車載カメラ31、レーダー32、メインエアバッグ装置50、サブエアバッグ装置60、サブエアバッグ可動装置70、および、図示しないECUと接続されている。
そして、制御部110は、車載カメラ31、および、レーダー32から入力された情報に基づいて、車両1の衝突予測および衝突判定を行う。
なお、制御部110は、車載カメラ31、レーダー32から入力された情報に限らず、加速度センサ(Gセンサ)、距離センサ、衝撃センサ(圧力センサ)等を用いて、これらの装置から入力された情報に基づいて、衝突予測や衝突判定を行うものであってもよい。
また、制御部110は、車載カメラ31から入力された情報に基づいて、乗員Pの状態、具体的には、乗員Pの腕の位置を特定するものである。また、制御部110は、サブエアバッグ可動装置70を可動させ、サブエアバッグ装置60の展開位置を移動させるものである。また、制御部110は、サブエアバッグ装置60を制御し、サブエアバッグ袋体62を展開させるものである。また、制御部110は、メインエアバッグ装置50を制御し、メインエアバッグ袋体52を展開させるものである。
そして、制御部110は、車両1の衝突を予測した際、サブエアバッグ可動装置70を可動させ、サブエアバッグ袋体62を乗員Pの腕の位置の上方に移動して、サブエアバッグ袋体62を展開させてから、メインエアバッグ袋体52を展開させるようになっている。
(乗員保護装置101の動作)
次に、このような乗員保護装置101の動作について、説明する。
図4は、エアバッグ袋体(メインエアバッグ袋体52、サブエアバッグ袋体62)が展開した際の側面図である。また、図5は、乗員保護装置101の動作概要を示すフローチャートである。
乗員保護装置101は、制御部110によって、図5に示す制御処理が、所定の周期ごとに定期的に行われる。
制御部110は、制御処理において、まず、衝突予測処理を行う(ステップS101)。具体的には、制御部110は、車載カメラ31、および、レーダー32から入力された情報に基づいて、車両1の衝突予測を行う。また、制御部110は、この衝突予測に加え、車両1の衝突判定処理も行う。なお、制御部110は、車両1の衝突を検知した場合には、以下の衝突予測時の処理と同様の処理を行ってもよいが、衝突時の処理を行うことが望ましい。この衝突時の処理では、例えば、サブエアバッグ袋体62を展開させず、メインエアバッグ袋体52のみを展開させるようにする。
次に、制御部110は、車両1の衝突予測を検知したか否かを判定する(ステップS102)。すなわち、制御部110は、上記衝突予測処理において、車両1の衝突が予測されたか否かを判定する。
制御部110は、衝突が予測されたと判定した場合(ステップS102でYESと判定)には、ステップS103に処理を移行し、衝突が予測されたと判定しなかった(ステップS102でNOと判定)、すなわち、衝突が予測されなかった場合には、本制御処理を終了する。
制御部110は、車両1の衝突予測を検知すると、乗員Pの腕の位置を検出する(ステップS103)。具体的には、制御部110は、車載カメラ31から入力された情報に基づいて、座席シート10に着座している乗員Pの腕の位置を検出する。
次に、制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあるか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、制御部110は、上記検出した乗員Pの腕の位置が、メインエアバッグ袋体52と、乗員Pの上体と、の間にあるか否かを判定する。すなわち、制御部110は、メインエアバッグ袋体52を展開したときに、乗員Pの腕が、メインエアバッグ袋体52と乗員Pの上体との間に挟まれてしまうか否かを判定する。
制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあると判定した場合(ステップS104でYESと判定)には、ステップS105に処理を移行し、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にないと判定した場合(ステップS104でNOと判定)には、ステップS107に処理を移行する。
制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあると判定した場合、サブエアバッグ袋体62の展開位置を移動させる(ステップS105)。具体的には、制御部110は、乗員Pの腕の位置に基づいて、サブエアバッグ可動装置70を制御して、サブエアバッグ装置60の位置を移動させる。より詳細には、制御部110は、上記検出した乗員Pの腕の位置に基づいて、サブエアバッグ可動装置70の左右レール72を、乗員Pの腕の位置の上方まで、前後レール71に沿って前後方向に移動させる。また、制御部110は、サブエアバッグ可動装置70の移動台73を、乗員Pの腕の位置の上方まで、左右レール72に沿って左右方向に移動させる。これにより、サブエアバッグ袋体62を展開する前に、サブエアバッグ装置60を、乗員Pの上方に移動させることができる。
次に、制御部110は、サブエアバッグ袋体62を展開させる処理を行う(ステップS106)。具体的には、制御部110は、上記移動させたサブエアバッグ装置60のサブ用インフレータに対して、作動信号を送信し、点火し、ガスを発生させる。サブエアバッグ装置60は、サブ用インフレータがガスを発生させると、サブエアバッグ袋体62にガスが圧入され、乗員Pの腕に向かって下方にサブエアバッグ袋体62が展開する。これにより、展開したサブエアバッグ袋体62によって、乗員Pの腕が振り払われ、メインエアバッグ袋体52の展開領域から、乗員Pの腕が除外される。
なお、上記のように、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にない場合(ステップS104でNOと判定)には、上記ステップS105、ステップS106の処理が飛ばされるので、乗員Pの腕の位置が、メインエアバッグ袋体52と乗員Pの上体との間にある場合に限って、サブエアバッグ袋体62が展開される。
次いで、制御部110は、メインエアバッグ袋体52を展開させる処理を行う(ステップS107)。具体的には、制御部110は、メインエアバッグ装置50のメイン用インフレータ51に対して、作動信号を送信し、点火し、ガスを発生させる。メインエアバッグ装置50は、メイン用インフレータ51がガスを発生させると、メインエアバッグ袋体52にガスが圧入され、乗員Pの上体に向かって後方にメインエアバッグ袋体52が展開する。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101は、サブエアバッグ袋体62によって乗員Pの腕を振り払い、腕を振り払った乗員Pの上体に向かって、メインエアバッグ袋体52を展開するので、乗員Pを最適に保護することができる。すなわち、乗員Pが携帯端末等を持っていても、腕がサブエアバッグ袋体62によってメインエアバッグ袋体52の展開領域から除外されるので、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52によって上体に押し付けられることなく、乗員Pを適切に保護することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ可動装置70の構成が異なる以外は、第1の実施の形態の乗員保護装置101と同様である。以下の説明では、第1の実施の形態のものと対応する構成要素には、第1の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図6(a)、図6(b)は、第2の実施の形態の乗員保護装置101における、サブエアバッグ可動装置70の概略を示す図である。なお、図6(a)は、サブエアバッグ可動装置70の側面図であり、図6(b)は、サブエアバッグ可動装置70の正面図である。
図6(a)、図6(b)に示すように、本実施の形態のサブエアバッグ可動装置70は、前後レール71と、移動台73と、左右回転部材74と、を有している。すなわち、本実施の形態のサブエアバッグ可動装置70は、第1の実施の形態におけるサブエアバッグ可動装置70の左右レール72に代えて、左右回転部材74を有している。
なお、前後レール71は、ルーフ4において、座席シート10の左右方向の略中心の上部に、前後方向に延在して設けられている。これにより、座席シート10のシートクッション11に着座した乗員Pの略左右中心上部から、サブエアバッグ袋体62を展開させることができる。
(左右回転部材74)
左右回転部材74は、上部が前後レール71に保持されている。また、左右回転部材74は、下部に移動台73を保持し、左右方向に回転可能となっている。そして、左右回転部材74は、制御部110の制御によって、移動台73の下方を向く角度を、左右方向に回転させるようになっている。
また、移動台73は、上部が左右回転部材74に保持され、下部にサブエアバッグ装置60が取り付けられている。したがって、移動台73は、サブエアバッグ装置60とともに、前後レール71に沿って前後方向に移動され、左右回転部材74によって左右に回転されるようになっている。
すなわち、サブエアバッグ装置60は、制御部110の制御により、サブエアバッグ可動装置70によって車両1の前後方向に移動され、左右方向に回転されて、サブエアバッグ袋体62の展開位置および展開方向が自在に変更されるようになっている。
また、制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあると判定した場合、サブエアバッグ袋体62の展開位置を移動させる処理(ステップS105)において、サブエアバッグ可動装置70の移動台73を、左右方向に移動させる代わりに、乗員Pの腕の位置に基づいて、左右回転部材74を左右方向に回転させる。すなわち、制御部110は、サブエアバッグ可動装置70の左右回転部材74を、乗員Pの腕の位置の上方まで、前後レール71に沿って前後方向に移動させるとともに、サブエアバッグ可動装置70の移動台73を、乗員Pの腕の方向に向けて、左右方向に回転させる。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101は、乗員Pの腕の位置に対して、前後方向に対しては、サブエアバッグ装置60の位置を合わせ、左右方向に対しては、乗員Pの腕の位置を狙って、乗員Pの略左右中心上部から外側下方に向かって、サブエアバッグ袋体62を展開させることができる。
これにより、乗員保護装置101は、乗員Pの腕を外側に振り払い、メインエアバッグ袋体52を、良好に展開させることができる。また、乗員保護装置101は、左右に長く延在する左右レールを設けることなく、乗員保護を行うことができる。
なお、本実施の形態では、前後レール71と左右回転部材74との組み合わせで、左右レールを設けることなく、乗員保護を行うようにしているが、左右レールと前後に回転する前後回転部材とを組み合わせることで、前後レール71を設けることなく、乗員保護を行うようにしてもよい。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ可動装置70の構成が異なる以外は、第1および第2の実施の形態の乗員保護装置101と同様である。以下の説明では、第2の実施の形態のものと対応する構成要素には、第2の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図6(c)、図6(d)は、第3の実施の形態の乗員保護装置101における、サブエアバッグ可動装置70の概略を示す図である。なお、図6(c)は、サブエアバッグ可動装置70の側面図であり、図6(d)は、サブエアバッグ可動装置70の正面図である。
図6(c)、図6(d)に示すように、本実施の形態のサブエアバッグ可動装置70は、移動台73と、左右回転部材74と、前後回転部材75と、を有している。すなわち、本実施の形態のサブエアバッグ可動装置70は、第2の実施の形態におけるサブエアバッグ可動装置70の前後レール71に代えて、前後回転部材75を有している。
(前後回転部材75)
前後回転部材75は、上部がルーフ4の下部に設けられている。なお、前後回転部材75は、ルーフ4において、座席シート10のシートクッション11の略中央の上部に、設けられている。また、前後回転部材75は、下部に左右回転部材74を保持し、前後方向に回転可能となっている。そして、前後回転部材75は、制御部110の制御によって、左右回転部材74を、前後方向に回転させるようになっている。
また、移動台73は、上部が左右回転部材74に保持され、下部にサブエアバッグ装置60が取り付けられている。したがって、移動台73は、サブエアバッグ装置60とともに、前後方向に回転されるとともに、左右回転部材74によって左右に回転されるようになっている。
すなわち、サブエアバッグ装置60は、制御部110の制御により、サブエアバッグ可動装置70によって車両1の前後方向に回転されるとともに、左右方向に回転されて、サブエアバッグ袋体62の展開方向が自在に変更されるようになっている。
また、制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあると判定した場合、サブエアバッグ袋体62の展開位置を移動させる処理(ステップS105)において、サブエアバッグ可動装置70の左右回転部材74を、前後方向に移動させる代わりに、乗員Pの腕の位置に基づいて、左右回転部材74を前後方向に回転させる。すなわち、制御部110は、乗員Pの腕の方向に向けて、サブエアバッグ可動装置70の左右回転部材74を、前後方向に回転させるとともに、サブエアバッグ可動装置70の移動台73を、左右方向に回転させる。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101は、前後左右方向に対して、乗員Pの腕の位置を狙って、サブエアバッグ袋体62を展開させることができる。
これにより、乗員保護装置101は、前後に長く延在する前後レールを設けることなく、乗員保護を行うことができる。このため、サンルーフ等を設けた車両にも、本実施の形態の乗員保護装置101を適用することができる。
(第4の実施の形態)
次に、サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70をルーフ4内に収納した乗員保護装置101の例について、説明する。
第4の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70の配置位置が異なるだけで、第1の実施の形態の乗員保護装置101と同様である。以下の説明では、第1の実施の形態のものと対応する構成要素には、第1の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。なお、第2の実施の形態の乗員保護装置101においても、同様の配置とすることができる。
図7(a)、図7(b)は、第4の実施の形態のサブエアバッグ可動装置70の収納形態を示す断面図である。なお、図7(a)は、サブエアバッグ袋体62を展開前のサブエアバッグ可動装置の断面図であり、図7(b)は、サブエアバッグ袋体62を展開後のサブエアバッグ可動装置の断面図である。
図7(a)、図7(b)に示すように、ルーフ4は、下部にルーフトリム4aが設けられている。そして、ルーフ4は、上部の外壁と、下部のルーフトリム4aとの間に、中空の内部空間を有している。
サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70は、ルーフ4内に設けられている。サブエアバッグ可動装置70の前後レール71は、ルーフ4内の上面に取り付けられている。また、左右レール72は、ルーフ4内で、前後レール71に沿って前後に移動するようになっている。また、移動台73およびサブエアバッグ装置60は、ルーフ4内で、左右レール72に沿って左右に移動するようになっている。
そして、サブエアバッグ装置60は、制御部110に制御され、サブエアバッグ可動装置70に展開位置が移動され、サブエアバッグ袋体62を展開させる。サブエアバッグ袋体62は、ルーフ4内で膨張展開すると、真下のルーフトリム4aを突き破り、乗員Pの腕に向かって展開するようになっている。
また、ルーフトリム4aは、サブエアバッグ袋体62が展開する勢いで突き破られる程度に脆弱性を有している。なお、ルーフトリム4aは、サブエアバッグ装置60が移動する範囲の直下のみが脆弱部となっていてもよい。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70が、通常時(サブエアバッグ袋体62の展開前)には、ルーフ4内に収納されているので、サブエアバッグ装置60やサブエアバッグ可動装置70が剥き出しとならず、乗員Pの目に触れないので、美観を損なわずに、乗員保護を行うことができる。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70の配置位置が異なるだけで、第3の実施の形態の乗員保護装置101と同様である。以下の説明では、第3の実施の形態のものと対応する構成要素には、第3の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図7(c)、図7(d)は、第5の実施の形態のサブエアバッグ可動装置70の収納形態を示す断面図である。なお、図7(c)は、サブエアバッグ袋体62を展開前のサブエアバッグ可動装置の断面図であり、図7(d)は、サブエアバッグ袋体62を展開後のサブエアバッグ可動装置の断面図である。
第4の実施の形態と同様に、ルーフ4は、下部にルーフトリム4aが設けられている。そして、ルーフ4は、上部の外壁と、下部のルーフトリム4aとの間に、中空の内部空間を有している。
サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70は、ルーフ4内に設けられている。サブエアバッグ可動装置70の前後回転部材75は、ルーフ4内の上面に取り付けられている。
また、ルーフトリム4aには、サブエアバッグ可動装置70に取り付けられたサブエアバッグ装置60の直下に、開口部が設けられている。そして、この開口部を塞ぐように、サブエアバッグカバー76が設けられている。
サブエアバッグカバー76は、前方部が回動可能に軸支されている。また、後方部がルーフトリム4aに係止されている。そして、サブエアバッグ袋体62が膨張展開して、サブエアバッグカバー76に上方から力が加わると、後方部の係止が外れて、前方部を軸に回動し、下方に開口するようになっている。
このような乗員保護装置101において、サブエアバッグ装置60は、制御部110に制御され、サブエアバッグ可動装置70に所定の展開方向に回動され、サブエアバッグ袋体62を展開させる。サブエアバッグ袋体62は、ルーフ4内で膨張展開すると、真下に設けられたサブエアバッグカバー76を押し開き、乗員Pの腕に向かって展開するようになっている。
なお、サブエアバッグカバー76は、制御部110の制御によって、開口するものであってもよい。例えば、サブエアバッグカバー76は、制御部110の制御によって、衝突予測時に回動されるようにしてもよいし、衝突予測時に後方部の係止が解除され、サブエアバッグ袋体62の膨張展開により開かれる、あるいは、サブエアバッグカバー76の自重で開くようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70が、通常時(サブエアバッグ袋体62の展開前)には、ルーフ4内に収納され、サブエアバッグカバー76に覆われているので、サブエアバッグ装置60やサブエアバッグ可動装置70が剥き出しとならず、乗員Pの目に触れないので、美観を損なわずに、乗員保護を行うことができる。
(第6の実施の形態)
次に、サブエアバッグ装置60を複数有した構成について、説明する。
第6の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70の構成以外は、第1の実施の形態の乗員保護装置101と同様である。以下の説明では、第1の実施の形態のものと対応する構成要素には、第1の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図8は、第6の実施の形態の乗員保護装置101における、サブエアバッグ可動装置70の概略を示す図である。なお、図8(a)は、サブエアバッグ可動装置70の上面図であり、図8(b)は、サブエアバッグ可動装置70の正面図である。
図8に示すように、本実施の形態のサブエアバッグ装置60は、左サブエアバッグ装置60Lと、右サブエアバッグ装置60Rと、を有している。また、サブエアバッグ可動装置70は、左サブエアバッグ可動装置70Lと、右サブエアバッグ可動装置70Rと、を有している。なお、左サブエアバッグ装置60Lおよび左サブエアバッグ可動装置70Lは、左腕用であり、右サブエアバッグ装置60Rおよび右サブエアバッグ可動装置70Rは、右腕用である。
(左サブエアバッグ装置60L)
左サブエアバッグ装置60Lは、不図示のサブ用インフレータと、サブエアバッグ袋体と、を有している。
(右サブエアバッグ装置60R)
右サブエアバッグ装置60Rは、不図示のサブ用インフレータと、サブエアバッグ袋体と、を有している。
(左サブエアバッグ可動装置70L)
左サブエアバッグ可動装置70Lは、左前後レール71Lと、左移動台73Lと、を有している。
(左前後レール71L)
左前後レール71Lは、ルーフ4の下部に、前後方向に延在して設けられている。また、左前後レール71Lは、座席シート10に着座した乗員Pの左腕の上方を通るように、ルーフ4の下部に設けられている。また、左前後レール71Lは、下部に左移動台73Lを前後方向に摺動可能に、保持している。そして、左前後レール71Lは、制御部110の制御によって、左移動台73Lを左前後レール71Lの延在方向に沿って前後に移動させるようになっている。
(左移動台73L)
左移動台73Lは、上部が左前後レール71Lに保持され、下部に左サブエアバッグ装置60Lが取り付けられている。したがって、左移動台73Lは、左サブエアバッグ装置60Lとともに、左前後レール71Lに沿って前後方向に移動できるようになっている。
すなわち、左サブエアバッグ装置60Lは、制御部110の制御により、左サブエアバッグ可動装置70Lによって車両1の前後に移動され、サブエアバッグ袋体の展開位置が自在に変更されるようになっている。
(右サブエアバッグ可動装置70R)
右サブエアバッグ可動装置70Rは、左サブエアバッグ可動装置70Lと同様に、右前後レール71Rと、右移動台73Rと、を有している。
(右前後レール71R)
右前後レール71Rは、左前後レール71Lと同様に、ルーフ4の下部に、前後方向に延在して設けられている。また、右前後レール71Rは、座席シート10に着座した乗員Pの右腕の上方を通るように、ルーフ4の下部に設けられている。また、右前後レール71Rは、下部に右移動台73Rを前後方向に摺動可能に、保持している。そして、右前後レール71Rは、制御部110の制御によって、右移動台73Rを右前後レール71Rの延在方向に沿って前後に移動させるようになっている。
(右移動台73R)
右移動台73Rは、左移動台73Lと同様に、上部が右前後レール71Rに保持され、下部に右サブエアバッグ装置60Rが取り付けられている。したがって、右移動台73Rは、右サブエアバッグ装置60Rとともに、右前後レール71Rに沿って前後方向に移動できるようになっている。
すなわち、右サブエアバッグ装置60Rは、制御部110の制御により、右サブエアバッグ可動装置70Rによって車両1の前後に移動され、サブエアバッグ袋体の展開位置が自在に変更されるようになっている。
なお、左サブエアバッグ可動装置70Lおよび右サブエアバッグ可動装置70Rは、制御部110によって、それぞれ独立して制御可能となっている。したがって、左サブエアバッグ可動装置70Lおよび右サブエアバッグ可動装置70Rは、それぞれが独立して可動可能であり、左サブエアバッグ装置60Lと右サブエアバッグ装置60Rのそれぞれのサブエアバッグ袋体の展開位置を、一方のみを移動させたり、双方を移動させたりすることができる。また、双方を移動させる場合にも、(前後方向において)同一位置に移動させたり、双方で異なる位置に移動させたり、また、異なるタイミングで動作させることもできる。
このような構成において、制御部110は、車両1に対する衝突を予測すると、乗員Pの腕の位置を検出し(ステップS103)、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあるが否かを判定する(ステップS104)。この際、メインエアバッグ袋体52の展開範囲にある乗員Pの腕が左側か右側かも判定する。
そして、制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあると判定した場合、乗員Pの腕がある側の左サブエアバッグ装置60Lまたは右サブエアバッグ装置60Rを、左サブエアバッグ可動装置70Lまたは右サブエアバッグ可動装置70Rに移動させる(ステップS105)。なお、乗員Pの両腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にある場合には、左サブエアバッグ装置60Lおよび右サブエアバッグ装置60Rの双方を、左サブエアバッグ可動装置70Lおよび右サブエアバッグ可動装置70Rに移動させるようにしてもよい。
また、制御部110は、乗員Pの腕の位置に基づいて、左前後レール71Lまたは右前後レール71Rによって、左移動台73Lまたは右移動台73Rの前後位置を移動させる。そして、制御部110は、所定位置でサブエアバッグ袋体を展開させる(ステップS106)。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101では、左右レール72や、左右回転部材74等を用いずに、乗員Pの腕を払うことができる。
なお、左サブエアバッグ装置60Lおよび右サブエアバッグ装置60Rが展開するサブエアバッグ袋体の左右方向の幅を広めに設けておくことにより、より確実に乗員Pの腕を払うことができる。また、本実施の形態では、左前後レール71Lまたは右前後レール71Rに沿った位置から下方にサブエアバッグ袋体を展開するようにしたが、これに限らず、左右レール72や左右回転部材74等を、左サブエアバッグ可動装置70Lおよび右サブエアバッグ可動装置70Rにそれぞれ設けて、乗員Pの腕を狙って、左右の移動や回転を行うようにしてもよい。この場合、左右レール72や左右回転部材74等を設けても、左右の移動や回転の範囲を限定的にすることができる。
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60およびサブエアバッグ可動装置70の構成以外は、第1の実施の形態の乗員保護装置101と同様である。以下の説明では、第1の実施の形態のものと対応する構成要素には、第1の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図9(a)、図9(b)は、第7の実施の形態の乗員保護装置101における、サブエアバッグ可動装置70の概略を示す図である。なお、図9(a)は、サブエアバッグ可動装置70の上面図であり、図9(b)は、サブエアバッグ可動装置70の正面図である。
図9(a)に示すように、本実施の形態のサブエアバッグ装置60は、第1サブエアバッグ装置60aと、第2サブエアバッグ装置60bと、第3サブエアバッグ装置60cと、を有している。また、サブエアバッグ可動装置70は、第1サブエアバッグ可動装置70aと、第2サブエアバッグ可動装置70bと、第3サブエアバッグ可動装置70cと、を有している。
(第1サブエアバッグ装置60a)
第1サブエアバッグ装置60aは、不図示のサブ用インフレータと、サブエアバッグ袋体と、を有している。
(第2サブエアバッグ装置60b)
第2サブエアバッグ装置60bは、不図示のサブ用インフレータと、サブエアバッグ袋体と、を有している。
(第3サブエアバッグ装置60c)
第3サブエアバッグ装置60cは、不図示のサブ用インフレータと、サブエアバッグ袋体と、を有している。
(第1サブエアバッグ可動装置70a)
第1サブエアバッグ可動装置70aは、第1左右レール72aと、第1移動台73aと、を有している。
(第1左右レール72a)
第1左右レール72aは、ルーフ4の下部に、左右方向に延在して設けられている。また、第1左右レール72aは、座席シート10のやや前方の上方を通るように、ルーフ4の下部に設けられている。また、第1左右レール72aは、下部に第1移動台73aを左右方向に摺動可能に、保持している。そして、第1左右レール72aは、制御部110の制御によって、第1移動台73aを第1左右レール72aの延在方向に沿って左右に移動させるようになっている。
(第1移動台73a)
第1移動台73aは、上部が第1左右レール72aに保持され、下部に第1サブエアバッグ装置60aが取り付けられている。したがって、第1移動台73aは、第1サブエアバッグ装置60aとともに、第1左右レール72aに沿って左右方向に移動できるようになっている。
すなわち、第1サブエアバッグ装置60aは、制御部110の制御により、第1サブエアバッグ可動装置70aによって車両1の左右に移動され、サブエアバッグ袋体の展開位置が自在に変更されるようになっている。
(第2サブエアバッグ可動装置70b)
第2サブエアバッグ可動装置70bは、第1サブエアバッグ可動装置70aと同様に、第2左右レール72bと、第2移動台73bと、を有している。
第2左右レール72bは、座席シート10の前後方向略中央の上方を通るように、ルーフ4の下部に、左右に延在して設けられている。
なお、第2サブエアバッグ可動装置70bの他の構成は、第1サブエアバッグ可動装置70aと同様であるので、説明を省略する。
(第3サブエアバッグ可動装置70c)
第3サブエアバッグ可動装置70cは、第1サブエアバッグ可動装置70a、第2サブエアバッグ可動装置70bと同様に、第3左右レール72cと、第3移動台73cと、を有している。
第3左右レール72cは、座席シート10のやや後方の上方を通るように、ルーフ4の下部に、左右に延在して設けられている。
なお、第3サブエアバッグ可動装置70cの他の構成は、第1サブエアバッグ可動装置70a、第2サブエアバッグ可動装置70bと同様であるので、説明を省略する。
このような構成において、制御部110は、車両1に対する衝突を予測すると、乗員Pの腕の位置を検出する(ステップS103)。この際、乗員Pの前後方向の着座位置と、乗員Pの腕の左右方向の位置を検出する。次いで、制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあるが否かを判定する(ステップS104)。
制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあると判定した場合、乗員Pの腕がある前後方向に合わせて、展開させる第1サブエアバッグ装置60a~第3サブエアバッグ装置60cを選択し、選択した第1サブエアバッグ装置60a~第3サブエアバッグ装置60cに対応する第1サブエアバッグ可動装置70a~第3サブエアバッグ可動装置70cに、第1サブエアバッグ装置60a~第3サブエアバッグ装置60cを左右方向に移動させる(ステップS105)。すなわち、制御部110は、乗員Pの腕の位置に基づいて、対応する第1左右レール72a~第3左右レール72cによって、第1移動台73a~第3移動台73cを左右に移動させる。
そして、制御部110は、対象の第1サブエアバッグ装置60a~第3サブエアバッグ装置60cが所定位置に移動したら、サブエアバッグ袋体を展開させる(ステップS106)。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101では、前後レール71等を用いずに、乗員Pの腕を払うことができる。
なお、第1サブエアバッグ装置60a~第3サブエアバッグ装置60cが展開するサブエアバッグ袋体の前後方向の幅を広めに設けておくことにより、より確実に乗員Pの腕を払うことができる。また、本実施の形態では、第1左右レール72a~第3左右レール72cに沿った位置から下方にサブエアバッグ袋体を展開するようにしたが、これに限らず、前後レール71や前後に回転する前後回転部材等を、第1サブエアバッグ可動装置70a~第3サブエアバッグ可動装置70cにそれぞれ設けて、乗員Pの腕を狙って、前後の移動や回転を行うようにしてもよい。この場合、前後レール71や前後回転部材等を設けても、前後の移動や回転の範囲を限定的にすることができる。
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60の前後方向の長さを長くしたものである。なお、以下の説明では、第1の実施の形態のものと対応する構成要素には、第1の実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図9(c)、図9(d)は、第8の実施の形態の乗員保護装置101における、サブエアバッグ可動装置70の概略を示す図である。なお、図9(c)は、サブエアバッグ可動装置70の上面図であり、図9(d)は、サブエアバッグ袋体62を展開時のサブエアバッグ可動装置70の側面図である。
図9(c)に示すように、本実施の形態の乗員保護装置101は、サブエアバッグ装置60と、サブエアバッグ可動装置70と、を有している。
(サブエアバッグ装置60)
サブエアバッグ装置60は、不図示のサブ用インフレータと、サブエアバッグ袋体62と、を有している。また、サブエアバッグ装置60は、前後方向の長さが長くなっている。具体的には、サブエアバッグ装置60は、座席シート10の前後方向の長さと同程度の長さを有している。
(サブエアバッグ可動装置70)
サブエアバッグ可動装置70は、左右レール72と、移動台73と、を有している。
(左右レール72)
左右レール72は、ルーフ4の下部に、左右方向に延在して設けられている。また、左右レール72は、座席シート10の前後方向略中央の上方を通るように、ルーフ4の下部に設けられている。また、左右レール72は、下部に移動台73を左右方向に摺動可能に、保持している。そして、左右レール72は、制御部110の制御によって、移動台73を左右レール72の延在方向に沿って左右に移動させるようになっている。
(移動台73)
移動台73は、上部が左右レール72に保持され、下部にサブエアバッグ装置60が取り付けられている。また、移動台73は、サブエアバッグ装置60の長さに合わせて、前後方向に長くなっている。したがって、移動台73は、サブエアバッグ装置60とともに、左右レール72に沿って左右方向に移動できるようになっている。
すなわち、サブエアバッグ装置60は、制御部110の制御により、サブエアバッグ可動装置70によって車両1の左右に移動され、サブエアバッグ袋体の展開位置が自在に変更されるようになっている。
このような構成において、制御部110は、車両1に対する衝突を予測すると、乗員Pの腕の位置を検出する(ステップS103)。この際、乗員Pの腕の左右方向の位置を検出する。次いで、制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあるが否かを判定する(ステップS104)。
制御部110は、乗員Pの腕がメインエアバッグ袋体52の展開範囲にあると判定した場合、サブエアバッグ可動装置70に、サブエアバッグ装置60を左右方向に移動させる(ステップS105)。すなわち、制御部110は、乗員Pの腕の位置に基づいて、左右レール72によって、移動台73を左右に移動させる。
そして、制御部110は、サブエアバッグ装置60が所定位置に移動したら、サブエアバッグ袋体を展開させる(ステップS106)。
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置101では、前後レール71等を用いずに、乗員Pの腕を払うことができる。
なお、本実施の形態では、サブエアバッグ装置60の前後方向の長さを、座席シート10の前後方向の長さと程同じものとしたが、これに限らず、これより長くても、また、乗員Pの前後方向の移動に対応できる程度の長さがあれば、短くてもよい。
なお、本実施の形態において、車載カメラ31は、本願の乗員状態検知装置を構成する。また、本実施の形態において、サブエアバッグ可動装置70は、本願の展開位置可動装置を構成する。
さらに、本実施の形態において、制御部110は、本願の衝突予測手段、展開制御手段を構成する。
さらに、本実施の形態において、メインエアバッグ袋体52は、本願のメインエアバッグを構成する。また、本実施の形態において、サブエアバッグ袋体62は、本願のサブエアバッグを構成する。
さらに、本実施の形態において、右サブエアバッグ装置60Rのエアバッグ袋体は、本願の右腕用サブエアバッグを構成する。また、本実施の形態において、左サブエアバッグ装置60Lのエアバッグ袋体は、本願の左腕用サブエアバッグを構成する。
1 車両、3 アンダーフロア、4 ルーフ、4a ルーフトリム、5 ダッシュボード、10 座席シート、11 シートクッション、12 シートバック、13 ヘッドレスト、31 車載カメラ、32 レーダー、50 メインエアバッグ装置、51 メイン用インフレータ、52 メインエアバッグ袋体、60 サブエアバッグ装置、60L 左サブエアバッグ装置、60R 右サブエアバッグ装置、60a 第1サブエアバッグ装置、60b 第2サブエアバッグ装置、60c 第3サブエアバッグ装置、62 サブエアバッグ袋体、70 サブエアバッグ可動装置、70L 左サブエアバッグ可動装置、70R 右サブエアバッグ可動装置、70a 第1サブエアバッグ可動装置、70b 第2サブエアバッグ可動装置、70c 第3サブエアバッグ可動装置、71 前後レール、71L 左前後レール、71R 右前後レール、72 左右レール、72a 第1左右レール、72b 第2左右レール、72c 第3左右レール、73 移動台、73L 左移動台、73R 右移動台、73a 第1移動台、73b 第2移動台、73c 第3移動台、74 左右回転部材、75 前後回転部材、76 サブエアバッグカバー、101 乗員保護装置、110 制御部

Claims (3)

  1. 車両の衝突を予測する衝突予測手段と、
    前記衝突予測手段により車両の衝突が予測されると、車両の前方から乗員に向かって展開するメインエアバッグと、
    乗員の状態を検知する乗員状態検知装置と、
    乗員の上方から下方に向かって展開するサブエアバッグと、
    前記サブエアバッグの展開位置を可動させる展開位置可動装置と、
    前記衝突予測手段により車両の衝突が予測された際に、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の状態に基づいて、前記展開位置可動装置に前記サブエアバッグの展開位置を可動させ、前記サブエアバッグを展開させてから、前記メインエアバッグを展開させる展開制御手段と、
    を備え、
    前記乗員状態検知装置は、乗員の腕の位置を検知し、
    前記展開制御手段は、前記展開位置可動装置に対して、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置の上方に前記サブエアバッグを可動させ、前記サブエアバッグを展開させ、
    前記サブエアバッグは、右腕用サブエアバッグと、左腕用サブエアバッグと、を有し、
    前記展開位置可動装置は、前記右腕用サブエアバッグの展開位置、および、前記左腕用サブエアバッグの展開位置を、それぞれ独立して可動可能であり、
    前記展開制御手段は、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置に応じて、前記展開位置可動装置の可動、および、前記サブエアバッグの展開を制御させる、
    ことを特徴とする両の乗員保護装置。
  2. 車両の衝突を予測する衝突予測手段と、
    前記衝突予測手段により車両の衝突が予測されると、車両の前方から乗員に向かって展開するメインエアバッグと、
    乗員の状態を検知する乗員状態検知装置と、
    乗員の上方から下方に向かって展開するサブエアバッグと、
    前記サブエアバッグの展開位置を可動させる展開位置可動装置と、
    前記衝突予測手段により車両の衝突が予測された際に、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の状態に基づいて、前記展開位置可動装置に前記サブエアバッグの展開位置を可動させ、前記サブエアバッグを展開させてから、前記メインエアバッグを展開させる展開制御手段と、
    を備え
    前記乗員状態検知装置は、乗員の腕の位置を検知し、
    前記展開制御手段は、前記展開位置可動装置に対して、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置に向かって前記サブエアバッグが展開するように展開方向を可動させる、
    ことを特徴とする両の乗員保護装置。
  3. 前記展開制御手段は、前記乗員状態検知装置により検知された乗員の腕の位置が、前記メインエアバッグと、乗員の上体と、の間にある場合に限って、前記サブエアバッグを展開させる、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の乗員保護装置。
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