JP6067190B2 - オゾン発生システムおよびその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放電を用いてオゾンを発生させるオゾン発生装置を用いたオゾン発生システムおよびその運転方法に関するものである。
酸素を含むガスを原料ガスに使用して放電を用いてオゾン(O)を発生させるオゾン発生装置においては、オゾン生成にともない、窒素酸化物(NO)が副生されることが一般的に知られている。また、副生されるNOはオゾン共存下のため、ほとんどが五酸化二窒素(N)という構造で存在している。Nは、30℃以下の常温では固体となる昇華性物質であり、温度により容易に固体と気体の間を相変化する。ただし、通常の運転条件では、Nはオゾン発生装置内の放電空間ほぼ全域に放電生成物として付着している可能性が高い。
一方、一般的なオゾン発生装置においては、3年から5年に一度の定期点検がメーカより推奨されており、その際、システムをすべて停止し、さらにオゾン発生装置を大気に開放し、電極を取り出して清浄化するメンテナンス作業が実施される。固体のNが付着した状態でオゾン発生装置を大気に開放すると、Nが大気中の水分と反応し硝酸(HNO)を生成し、金属部材を腐食させることが懸念される。特に、電極部の腐食が発生した場合、再稼働時において、オゾン生成効率の低下のみならず、電極間の短絡を引き起こすケースもある。また、原料ガスのガス露点も重要な管理因子である。大気開放後にオゾン発生装置内に残留する水分や原料ガスに同伴する水分が、再稼働時にオゾン発生装置内で生成されるNと反応し、HNOを二次生成するため、オゾン発生装置には十分なガスパージ(空通し)と原料ガスの低露点化が必須となっている。
そこで、温水装置を用いてオゾン発生装置タンクを加熱維持し、オゾン発生装置内に付着しているNを気体化して除去するオゾン発生装置の取扱い方法が開示されており(例えば、特許文献1参照。)、オゾン発生装置を大気開放する前にHNOを生成する因子であるNをオゾン発生装置から除去することが提案されている。
また、ガスがオゾン発生装置タンク内に封入され、動作停止中のオゾン発生装置に対して、外部からの水分の侵入を抑制し、オゾン発生装置内におけるHNOの生成を防止するために、乾燥ガスを循環させる手段を有するオゾン発生装置(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
さらに、緊急停止など適正な停止工程を経ずにオゾン発生装置を停止し、ただちにオゾン発生装置を開放する必要がある場合、生成を余儀なくされるHNOが引き起こす電極の腐食を抑制するために、原料ガス入口側に該当する電極管の端部にガス流通量制御栓を設け、電極管内部に侵入するHNO量を制限し、電極管内部に配置される電極の腐食を低減するオゾン発生装置も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
上述のように、オゾン発生装置においてHNOが引き起こす金属部材の腐食への懸念は、オゾン発生装置を大気開放する、あるいは、大気中の水分と接触することが前提で議論され、対策が講じられてきた。HNOが引き起こす金属部材、特に電極の腐食を抑制するためには、HNOの生成因子であるNおよび水分がオゾン発生装置内部、円筒多管式オゾン発生装置の場合は特に電極管内部、に接触しないことが重要である。従来、オゾン発生装置に用いるガスは低露点であるものを用いることで水分の同伴を防止し、また、オゾン発生後、大気開放する前には、オゾン発生装置内のガスを十分に置換することで、残留するNOを除去し、電極部がHNOに接触することを防止してきた。
特開2002−265204号公報(段落0025〜0035、図1〜図3) 特開平4−31302号公報(5〜6頁、図2) 特開2008−222495号公報(段落0018〜0024、図2〜図4)
近年の円筒多管式と称されるオゾン発生装置においては、装置1台あたりに搭載できる電極管の高密度化、高集積化が低コスト化のトレンドとなっている。なお、ここで示す電極管とは、同心同軸状に配置された金属製の接地電極管と、ガラスやセラミクスなどによる誘電体管の内表面に導電層を設けた高電圧電極管の組みを示す。高密度化、高集積化を実現するにあたり、適用される電極管1本の直径も縮小し小径化する傾向にあり、市販流通品など低コストな電極管が使用できるようになってきている。その一方、電極管の小径化は、高電圧電極管に対して、その導電層を形成する技術が限定されてしまい、形成される導電層は薄膜とならざるを得ない。当然ながら、導電層の薄膜化は、厚膜に比して、腐食や劣化に対しての耐性が小さいため、装置寿命に大きな影響を及ぼす。したがって、近年においては、導電層とHNOとの接触を一層回避する必要が生じている。
また、近年は省エネルギー化の観点も踏まえ、オゾン発生装置の効率的な運用が実施されており、連続動作よりむしろ間欠動作が増加している。間欠動作においては、ある一定期間の運転期間後に所定期間の停止期間が設けられており、停止期間中はガス流通が停止された運転待機状態となる。この停止期間は、オゾン利用設備の負荷状況にもよるが、数日から数週間に及ぶケースがある。しかしながら、NからHNOが生成される反応およびHNOと金属の反応は比較的速い反応形態であり、この短い停止期間ですら、オゾン発生装置内では、上述したNを含めたNOおよびHNOが脱着、拡散し、電極部が腐食劣化する。当然ながら、停止期間中もオゾン発生装置に常に原料ガスを流通させていれば、時間経過とともに脱着するNOおよびHNOをリアルタイムでオゾン発生装置外へ除去することができるが、効率的な運用のために、停止期間を設けているにも関わらず、運転待機状態のオゾン発生装置においてガスを消費し、コストを発生させることは、ユーザ側でも受け入れ難い。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、間欠運転や一時停止などガスが封入された運転待機状態を有するオゾン発生装置を用いたオゾン発生システムにおいて、近年の装置や運転状況を考慮して原因を根本から見直した上で、HNO(硝酸)が引き起こす電極部の腐食を抑制することを目的とする。
この発明は、対向配置されて放電空間を形成する放電電極を有するオゾン発生装置と、オゾン発生装置に酸素を含む原料ガスを供給するガス供給装置と、放電電極を冷却するための冷却水を供給する冷却装置と、放電電極に放電のための電力を供給する電源装置と、ガス供給装置と電源装置とを制御する制御部と、を備え、この制御部が、ガス供給装置からオゾン発生装置に原料ガスを供給するとともに電源装置から放電電極に電力を供給することによりオゾン発生装置がオゾンを発生するオゾン発生運転期間と、ガス供給装置からオゾン発生装置へのガス供給および電源装置から放電電極への電力供給を停止してオゾンを発生しないオゾン発生運転待機期間とを交互に繰り返す間欠運転となる制御を行うオゾン発生システムにおいて、ガスに含まれる少なくとも硝酸を除去するガス精製部を備え、制御部は、オゾン発生運転待機期間に、オゾン発生装置内のガスを原料ガスにより置換させ、オゾン発生装置内を大気圧より高い圧力にした後、ガス精製部がオゾン発生装置に接続されるように制御するものである。
また、この発明は、対向配置されて放電空間を形成する放電電極を有するオゾン発生装置と、オゾン発生装置に酸素を含む原料ガスを供給するガス供給装置と、放電電極を冷却するための冷却水を供給する冷却装置と、放電電極に放電のための電力を供給する電源装置と、オゾン発生装置に接続され、ガスに含まれる少なくとも硝酸を除去するガス精製部とを備えたオゾン発生システムの運転方法であって、ガス供給装置からオゾン発生装置に原料ガスを供給するとともに電源装置から放電電極に電力を供給することによりオゾン発生装置がオゾンを発生し、ガス精製部は運転を停止するオゾン発生運転期間の工程と、ガス供給装置からオゾン発生装置へのガス供給および電源装置から放電電極への電力供給を停止し、オゾン発生装置内のガスを原料ガスにより置換させて、オゾン発生装置内を大気圧より高い圧力とした後、ガス精製部が運転を行うオゾン発生運転待機期間の工程と、を有するものである。
この発明によれば、間欠運転におけるオゾン発生装置のオゾン発生運転待機期間に、オゾン発生装置内のガスから少なくともHNO3を除去するため、オゾン発生運転待機期間
にオゾン発生装置内でのHNO3の拡散を防止することができる。そのため、放電電極に
対して、HNO3に起因した腐食を抑制でき、信頼性が高いオゾン発生システムを得るこ
とができる。
この発明の実施の形態1によるオゾン発生システムの構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生システムのオゾン発生装置の放電電極部の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生システムの動作を説明するためのタイムチャートである。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生システムの動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の実施の形態2によるオゾン発生システムの構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3によるオゾン発生システムのオゾン発生装置の放電電極部の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態4によるオゾン発生システムのオゾン発生装置の放電電極部の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態4によるオゾン発生システムの構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。 この発明の実施の形態5によるオゾン発生システムの構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。 この発明の実施の形態5によるオゾン発生システムの別の構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。
まず、発明者は、近年のオゾン発生装置や運転状況を考慮して、HNOが生成される原因を追究するため、以下のような考察を行った。オゾン発生装置内で生成したNを含むNOおよびHNOには、電極管の表面または該表面に形成される酸化膜中に吸着または付着しているものがある。これらは、オゾン発生装置内のガス置換だけでは、容易に装置外へ排気できるものではないことを発明者は発見した。通常の一般的な停止工程にしたがい、十分なガス置換(パージ)を実施し、例えば、オゾン発生装置後段で測定するOおよびNO濃度がゼロに到達したのちに、オゾン発生装置の前段および後段のバルブを閉じ、ガス流通を停止する。その際、オゾン発生装置は大気圧よりも高い圧力に封入され、外部からの水分の侵入を防止する。従来は、この時点で、オゾン発生装置への水分の同伴は防止され、装置内のNO濃度も十分小さいため、HNOの生成は抑制されていると考えられていた。
しかしながら、その後、周囲温度等の変化に起因して、時間経過とともに、ガスが封入された状態のオゾン発生装置内において、NOおよびHNOが少量ずつ装置内壁面や電極管表面から脱着し、装置内全域に濃度拡散することを発明者は確認した。オゾン発生装置内にガスが流通している場合には、電極管のガス入口側には生成ガスであるO、NOおよびHNOは存在することがなく、ガスの流通にしたがい装置外に排気されるが、ガス流通が停止したガス封入状態にあっては、ほぼ均一な圧力下における濃度拡散により、通常動作では存在し得ない電極管のガス入口側にも脱着したNOおよびHNOが存在することがわかった。
従来、NOおよびHNOが引き起こすオゾン発生装置の腐食については、前述のように、オゾン発生装置の大気開放が前提に議論されてきた。オゾン発生装置内で生成されるNと大気中の水分が生成するHNOが対象であったため、オゾン発生装置のガス流通を停止した状態において、HNOが引き起こす腐食の発生については全く議論されてこなかった。また、通常、適切な停止工程さえ遵守すれば、導電層はオゾン発生装置における生成ガスには接触しないと考えられていたため、厚膜の導電層について腐食を検討することがなかったのは当然であるが、厚膜に比して耐食性が劣る薄膜化された導電層に対しても、HNOが引き起こす腐食を検討することはなかった。さらに、大気中ではなく、低露点ガス中に含有される微量水分との反応に基づいて生成するHNOについても考慮されてこなかった。なお、ここで示す適切な停止工程とは、オゾン発生停止後に十分なガスパージを実施したうえでオゾン発生装置をガス封入状態とすることを示す。
上述のように、ガス封入された運転待機状態になる前に、オゾン発生装置の温度を上昇させて、オゾン発生装置内部に残留するNの気体化を促進し、ガス置換時にNおよびHNOを原料ガスないしは外部からのパージガスに含めて排気することは有効な手段である。しかしながら、停止状態、すなわちガスが封入された状態にあるオゾン発生装置を加熱し、その内部のガスを置換するには、加熱に要するエネルギーが必要であるとともに、NOおよびHNOをオゾン発生装置から排気する必要があるため、排気により圧力が低下したオゾン発生装置に再度ガスを充填する必要が生じ、エネルギー消費およびコスト上昇が避けられない。また、停止状態のオゾン発生装置に乾燥ガスを循環させる場合においては、オゾン発生装置内部で脱着するNOおよびHNOが同伴されたガスがオゾン発生装置を単に循環することになるため、NOおよびHNOの濃度は乾燥ガスにより希釈され、見かけ減少するものの、むしろ、オゾン発生装置内でのNOおよびHNOの拡散を支援することになる。さらに、電極管のガス入口側である開放端にガス流通量制御栓を設けた場合は、大気開放時のように、オゾン発生装置と電極管内の圧力変化に差が生じる場合は、脱着し拡散されたNOおよびHNOの電極管内部への侵入は低減されるが、運転待機時のように均一圧力下においては、電極管内部へのガスの侵入を抑制することはできない。また、一旦、侵入したガスが逆に電極管内部から抜けにくくなり、電極の腐食を防止することはできない。
従来、NおよびHNOが引き起こす部材の腐食については、原料ガスが空気である場合に議論されてきた。酸素が原料ガスとなった場合は、当然ながら、空気が原料ガスの場合よりも、原料ガス中の窒素成分が少なく、生成するNO量も大幅に減少する。そのため、NおよびHNOが引き起こす電極の腐食問題は、空気を原料ガスとした場合特有の問題として扱われてきた。しかしながら、オゾン発生装置内で副生するNは、原料ガス中に同伴される微量水分とも容易に反応し、HNOを生成するため、空気を原料ガスとした場合だけでなく、PSA(Pressure Swing Adsorption、圧力スイング吸着)式酸素発生装置、VPSA(Vaccum Pressure Swing Adsorption、真空圧力スイング吸着)式酸素発生装置などを用いた、液体酸素や酸素ボンベに比して比較的純度が低い(純度90〜95%)酸素を原料ガスとした場合のオゾン発生運転待機期間においても、空気を原料ガスとした場合と同様の現象が発生することを発明者らは見出した。ちなみに、液体酸素を原料ガスとして用いる場合は、液体酸素流量に対して0.1〜1%程度の窒素を同伴させることが一般的に行われており、この程度の窒素同伴量では、オゾン発生運転待機期間において、上述したような問題は発生しにくい。
以上のような、脱着したHNOが運転待機時に拡散するという考察に基づいて、主に拡散を防止する観点から本発明がなされた。以下、本発明を、実施の形態を示して説明する。
実施の形態1.
図1〜3は本発明の実施の形態1によるオゾン発生システムおよびその運転方法を説明するための図で、図1はオゾン発生システムの機器構成およびフロー系統を示すブロック図、図2はオゾン発生装置の放電電極部の構成を示す断面図で、図2Aは放電電極部のガス流れ方向に平行な切断面における断面図、図2Bはガス流れ方向に垂直な方向の断面で、図2AのA−A線における断面図である。図3はオゾン発生装置が間欠運転する際の機器の動作を説明するためのタイムチャート、図4はオゾン発生システムの動作を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態1によるオゾン発生システムの構成について説明する。オゾン発生システムは、図1に示すように、原料ガスを供給するためのガス供給装置1と、ガス供給装置1から供給された原料ガスからオゾンを生成してオゾン化ガスを出力するオゾン発生装置2と、オゾン発生装置2に交流高電圧を印加する電源装置3と、出力されたオゾン化ガスを用いてオゾン処理を行うオゾン利用設備4と、オゾン利用設備4から排出された余剰オゾン化ガスからオゾンを取り除く排オゾン処理部5と、オゾン発生装置2を冷却する冷却水を循環させる冷却装置6と、オゾン発生装置2内のガスを循環させるガス循環装置7と、各種バルブと、これらすべてを制御し、オゾン発生システムを運用する制御部8と、を備えている。なお、図中の破線は代表的な制御線を示す。
ガス供給装置1は、空気をオゾン発生装置2の原料ガスとする場合は、コンプレッサまたはブロア、酸素を原料ガスとする場合は、PSAまたはVPSA式酸素発生装置などを示す。また、コンプレッサまたはブロアを使用する際は、必要に応じて原料ガス冷却・乾燥装置により構成される水分除去部が設けられる。この水分除去部には、加熱再生式または圧力再生式が用いられる。原料ガスは、酸素を含むガスとして、加圧した空気、あるいは酸素発生装置により生成される酸素ガスをオゾン発生装置2に供給する。オゾン利用設備4は、水処理設備、排水処理設備、各種酸化処理設備および半導体・液晶製造設備などを示す。
冷却装置6は、オゾン発生装置2を冷却するための冷却水を循環させる循環ポンプと、オゾン発生装置2で発生した熱を吸収して温度が上昇した冷却水を冷却する冷却器と、を備えている。冷却器としては、液体−液体型、液体−気体型の各種熱交換型冷却器または液体−フロン冷媒型のチラーなどを用いることができる。冷却水は、一般的な水道水が使用される場合が多いが、不凍液やスケール除去剤などが混入される場合、または、イオン交換水や純水が使用される場合もある。
ガス循環装置7は、外気とシールされた循環ファンもしくは循環ポンプなどから成るガス循環部70を備え、オゾン発生装置2のガス出口側ポートP2よりオゾン発生装置2内のガスを吸引し、ガス入口側ポートP1にガスを返送するように接続され、オゾン発生装置2とガス循環装置7から構成される密閉系を構築する。ガス循環部70の吸込側にはガス精製部71が設けられている。ガス精製部71は、ガス循環部70に吸引されるオゾン発生装置2内のガス中から少なくともHNO(硝酸)を除去する。
このようなオゾン発生システムでは、オゾン利用設備4からの要求指令に基づき、制御部8を介してオゾン発生装置2の動作が制御され、間欠運転が実施される。オゾン発生装置2が運転指令を受けると、ガス供給装置1から原料ガスが供給される。原料ガスの供給により、オゾン発生装置2内のガス露点が−50℃以下となり、オゾン発生装置2が所定の運転圧力に維持されると、冷却装置6から冷却水がオゾン発生装置2に循環され、オゾン発生が開始される。オゾン発生が継続している間、ガス循環装置7は停止しており、ガスはガス循環装置7を介して循環されない。一方、オゾン発生装置2が停止指令を受けると、オゾン発生が停止し、オゾン発生装置2内のガスが原料ガスを用いて十分置換されたのち、オゾン発生装置2内の圧力が大気圧以上になるように、ガスで封じ切られた状態となる。その後、ガス供給装置1および冷却装置6は停止する。オゾン発生が停止し、オゾン発生装置2がガスで封じ切られている間、ガス循環装置7が稼働し、オゾン発生装置2内に封じ切られたガスを、オゾン発生装置2内のガス圧力が大気圧以上を維持するように循環させる。このように、オゾン発生および周辺設備の動作および停止がユーザの要望に基づいて繰り返され、オゾン発生システムの効率的な運用がなされる。
つぎに、本実施の形態1によるオゾン発生装置2の構成について説明する。オゾン発生装置2は対向配置されて放電空間を形成する放電電極を有し、放電電極間に誘電体を介する無声放電式のオゾン発生装置である。電極形状には、平行平板式または円筒管式等、さまざまな形態が適用できるが、ここでは、図2に示すように、オゾン発生装置2の放電電極部20として円筒管式の電極形状を有するオゾン発生装置を例に説明する。放電電極部20には、高電圧側の電極として円筒状をなす高電圧電極(導電層)203と、高電圧電極203の外周面と一端側を覆うように高電圧電極203と一体化されたガラス管の誘電体202と、によって構成される高電圧電極管204が設けられている。高電圧電極管204は、後述する放電空間にだけ原料ガスが流れ、高電圧電極管204の内部にガスが通過しないように、その一端が密閉されている。放電により発生するOやNOは、ガス流れ方向の下流側に多いので、これらのO等が高電圧電極管204の内部に侵入しないように、下流側の一端を密閉しておく。また、高電圧電極管204の外径はφ30mm以下である。高電圧電極203は金属薄膜であり、アルミ、クロム、チタン、ニッケル、またはそれらを含有する合金、ステンレスなどから形成される。そして、接地側の電極として、高電圧電極管204の外周面に対して所定の間隔(=後述する空隙長(ギャップ長)d)をあけて内周面を対向させるように高電圧電極管204と同心に設置され、外周に冷却水206が流れるように形成された接地電極管201が設けられている。そして、誘電体202の外周面と接地電極管201の内周面との空隙が放電空間205となる。放電空間205は、図中矢印で示す方向に原料ガスを流すガス流通経路であるとともに、接地電極管201と高電圧電極管204間に印加した交流高電圧により放電を生じさせる空間でもある。また、高電圧電極管204の内部には、高電圧電極203に高電圧を印加するための給電部材207が開放された他端側から挿入され、誘電体202で覆われた一端側の端部には、沿面放電を抑制するための電界緩和層208が設けられている。給電部材207は、電極間短絡が発生した際のアークが持続しないように、接地電極管201の外側で高電圧電極203と接触する。なお、図2Bの断面図では、給電部材207の記載は省略している。
オゾン発生装置2では、上記のような放電電極部20が必要なオゾン発生量に応じて多数並列に配置され、ひとつのタンク内に収納される。そして、交流高電圧を印加する電源装置3などを備えており、制御部8により制御される電源装置3によって、各放電電極部20に所定の交流電圧が印加されるようになっている。各放電電極部20の放電空間205には、ガス供給装置1から酸素を含む原料ガスが供給されるとともに、交流高電圧が給電部材207を介して印加され、原料ガスが放電することによりオゾンが生成される。
つぎに、本実施の形態1および以降の各実施の形態によるオゾン発生システムに共通する、酸素を含むガスを原料ガスとした場合に好適なオゾン発生装置2の構成および運転条件について説明する。各実施の形態によるオゾン発生装置2の放電電極部20の構成としては、放電空間205の空隙長d(以下、ギャップ長dと称す)を0.1mm以上0.6mm以下、好ましくは0.2mm以上0.6mm以下に設定している。ギャップ長dを0.6mm以下に設定することにより、ギャップ長が0.6mmを超えるオゾン発生装置に比して、放電空間205の冷却効率が向上し、オゾン発生効率が向上する一方、放電空間205の電界強度が大きくなるため、副生するNOは増大する。原料ガスが空気の場合、ギャップ長dを0.3mm未満に設定すると、放電空間205の電界強度が大きくなりすぎてNOの生成量が顕著に増大し、オゾン発生効率の低下を招き、好ましくない。また、原料ガスが酸素リッチな場合は、より高濃度のオゾン発生が要求されることと、空気を原料ガスとする場合に比して、NOの生成量が減少するため、さらに短いギャップ長dを採用することができる。ただし、均一なギャップ長dを形成するという製造技術の観点から、0.1mmが限界に近く、0.2mm以上とするのが好ましい。さらに、0.6mmを超えた値にギャップ長dを設定すると、放電空間205の温度が過度に上昇し、オゾン発生効率が低下する。
さらに、オゾン発生効率はギャップ長dだけではなく、放電空間205内のガス圧力Pによっても変化する。各実施の形態によるオゾン発生システムの運転条件としては、ガス圧力Pは0.2MPaG(G:ゲージ圧)以下、好ましくは0.05MPaG以上0.2MPaG未満、さらに好ましくは0.1MPaG以上0.2MPaG未満に設定されている。特に、原料ガスが空気の場合は、ガス圧力Pの上昇は放電空間205におけるNOの生成を抑制する。また、ガス圧力Pはガス供給装置1の吐出圧力、例えばブロアの場合は最大吐出圧力0.2MPaG程度、およびオゾン利用設備4に必要なオゾン化ガス圧力(例えば水処理装置の場合は少なくとも0.05MPaG以上)によっても上下限が決定される。また、ガス圧力Pを0.2MPaG未満に設定することで、オゾン発生装置2が第二種圧力容器規定に該当しなくなり、法令上の制約が軽減されて、取扱い等が容易になる。
つまり、各実施の形態においては、ギャップ長dを0.1mm以上0.6mm以下、原料ガスが空気の場合は、0.3mm以上0.6mm以下、酸素発生器を用いた場合のように原料ガスが酸素リッチな場合かつ高濃度のオゾンが必要な場合は、0.1mm以上0.3mm以下に設定し、さらに、ガス圧力Pを調節することで、原料ガスの種類および必要とされるオゾン濃度に応じて、オゾン発生効率が最も高く、また、NOの生成量が小さくなるような構成を選択している。
また、オゾン発生装置2に投入する投入電力密度(電極面積当たりの投入電力)は0.05〜0.6W/cm、原料ガスが空気の場合は、0.1W/cm以上0.4W/cm以下、酸素発生器を用いた場合のように原料ガスが酸素リッチな場合は、0.3W/cm以上0.6W/cm以下とするのが好ましい。投入電力密度はオゾン発生装置2のサイズを表す指標でもあり、投入電力密度が大きければ装置は小さくなる。一方、投入電力密度の上昇は放電空間205の温度上昇を招き、オゾン発生効率は低下する。放電によるオゾン発生および窒素酸化物生成抑制の観点からは、放電空間205の温度は低温であるほうが好ましいため、投入電力密度は過度に大きくしないことが必要である。しかしながら、投入電力密度が0.05W/cm未満になると、放電状態にばらつきが発生し、安定な放電が維持できなくなる恐れがあるため、好ましくはない。
つぎに、上述した構造や運転条件におけるオゾン発生装置2内で生ずる現象および従来のオゾン発生システムにおける問題点について説明する。従来のオゾン発生システムにおいて、オゾン発生装置が間欠運転されている場合の動作について説明する。ここで、従来のオゾン発生システムとは、図1に示す本発明の実施の形態1によるオゾン発生システムからガス循環部70を取り除いた構成のオゾン発生システムのことを称する。オゾン利用設備4から、オゾン発生装置2に対して運転(オゾン発生)指令が必要オゾン発生量とともに発令される。オゾン発生装置2がオゾン発生指令を受信すると、閉状態であるバルブV1、V2のうち、バルブV1が開状態となり、ガス供給装置1から原料ガスがオゾン発生装置2へ導入される。オゾン発生装置2内の圧力が大気圧以上の所定圧力になった段階でバルブV2が開状態となる。その後、冷却装置6から所定流量の冷却水が導入され、かつオゾン発生装置2内のガス露点が−50℃以下であれば、オゾン発生が所定時間実施される。以上の状態をオゾン発生運転期間と称する。一方、オゾン発生装置2は、オゾン利用設備4からの運転待機(オゾン発生停止)指令、または制御部8からの所定の運転時間に到達したことを示す信号を受信すると、オゾン発生が停止し、その後、冷却水の供給が停止される。
停止工程においては、生成ガスであるO、NOおよびHNОをオゾン発生装置2内から排気するため、オゾン発生装置2内のガスを所定の時間(オゾン発生装置の容量および原料ガス流量にもよるが、通常、30分〜1時間は必要)、または、オゾン発生装置2内のオゾン濃度計の指示値がゼロとなるまで原料ガスを用いて置換する。オゾン発生装置2内のガスが十分置換されたと判断した時点でオゾン発生装置2内の圧力が大気圧以上を維持するようにバルブV1およびV2を閉状態とし、原料ガスの供給を停止する。ここでは、間欠運転、すなわち、停止ののち、再起動することが前提であるため、ガス供給装置1および冷却装置6は、ポンプまたはコンプレッサなどを停止するだけで、主電源は投入したままでもよい。以上の状態をオゾン発生運転待機期間と称する。所定のオゾン発生運転待機期間の経過、または、オゾン利用設備4からオゾン発生指令を受信すると、原料ガスの供給が開始され、バルブV1およびV2が開状態となり、再びオゾン発生運転期間が繰り返される。上記のような、オゾン発生運転期間とオゾン発生運転待機期間の繰り返しによりオゾン発生装置の間欠運転が成り立っている。オゾン発生運転期間およびオゾン発生運転待機期間の設定は、ユーザの要望に基づき設定されるものであるため、オゾン発生運転待機期間が短いシステム条件も存在する。生成ガスをオゾン発生装置2内から排気する時間が十分に確保できないまま、バルブV1およびV2が閉状態となるケースも存在する。逆に、オゾン発生運転待機期間が数週間に渡る極めて長いケースも存在する。また、本願では、オゾン発生装置本体以外の定期点検等によりオゾン発生装置が停止する場合もオゾン発生運転待機期間に含む。
従来、オゾン発生システムにおける間欠運転では、オゾン発生運転待機期間に入る前にオゾン発生装置内が原料ガスを用いて十分置換されているため、O、NOおよびHNОの生成ガスが、オゾン発生装置の下流から上流側へ逆流して、高電圧電極管内部に侵入することはないと考えられていた。通常、十分なガス置換が実施されているため、オゾン発生装置2内にO、NOおよびHNОは残存しないとされていた。しかしながら、オゾン発生装置2内においては、オゾン発生装置2の接地電極管201内表面、高電圧電極203の外表面およびタンク内壁面にNOおよびHNОが吸着、付着して残存している。特に、接地電極の内表面および高電圧電極の外表面には、接地電極の素材であるステンレス鋼の酸化、スパッタリングに起因して生成される酸化物が堆積しており、これらの酸化物中に吸着したNOおよびHNОは、長時間のガス置換を実施しても、オゾン発生装置2外へ容易に排気できないことがわかった。
酸化物などに吸着、付着したNOおよびHNОは、周囲の温度等の影響により、徐々に脱着するため、オゾン発生運転待機期間においても、原料ガスの供給を継続させ、オゾン発生装置2内にガスが流通していれば、脱着したNOおよびHNОはその都度オゾン発生装置2外へ排気される。しかしながら、オゾン発生運転待機期間は、ガスが封じ切られた状態であり、オゾン発生装置2内は均一な圧力空間となっており、ガスの流通はない。したがって、徐々に脱着するNOおよびHNОは、オゾン発生装置2外へ排気されることがなく、均一な圧力になっているオゾン発生装置2内で装置内全域に濃度拡散し、従来、存在するものとは考えられていなかったオゾン発生装置2の原料ガス入口側にも存在することを発明者らは発見した。例えば、空気を原料ガスとしたオゾン発生装置の場合、数千ppm程度のNOがOとともに生成され、その大半はガス置換によりオゾン発生装置2外へ排気されるが、数時間〜数日にわたるオゾン発生運転待機期間を経ることにより、オゾン発生装置2内全域に数百ppm程度のNOが拡散して残存することを確認した。
このNOは、当然ながら、原料ガス入口側が開口端となっている高電圧電極管204内部にも侵入する。NOが存在する箇所には、微量水分との反応により生成されるHNОも同時に存在している。高電圧電極管204内部に侵入したNOおよびHNОは、同内部に設置された給電部材207にトラップされ、給電部材207表面で濃縮された状態となる。濃縮されたNOおよびHNОは、給電部材207表面を移動し、給電部材207が接触する高電圧電極203に作用する。その結果、給電部材207と高電圧電極203の接触部は、NOおよびHNОにより急速に腐食し、酸化劣化する。酸化劣化した高電圧電極203の接触部は、その電気抵抗値が上昇するため、再びオゾン発生運転期間に入った際、すなわち給電された瞬間にジュール熱により消失する。高電圧電極203の消失に伴い、この高電圧電極管204への給電は停止されるため、当該高電圧電極管204はオゾン発生に寄与しなくなる。
上記の事象により、原料ガス中の窒素量が無視できない、すなわち空気を原料ガスとした場合、あるいはVPSAなどの酸素発生器を用いた場合の従来のオゾン発生装置では、オゾン発生運転待機期間が終了し、再度、オゾン発生運転期間に入った際に、オゾン発生に寄与しない電極管が発生し、オゾン発生効率が低下する場合があるという問題があった。そこで、本実施の形態1によるオゾン発生装置においては、以下のような構成および動作に基づき、オゾン発生運転待機期間におけるNOおよびHNОの拡散を抑制し、高電圧電極管204内表面に設置される高電圧電極203のNOおよびHNОに起因した腐食を防止する。
本実施の形態1においては、図3および図4に示すように、運転継続(S1 NO、S2)からオゾン発生運転待機期間への移行(S1 YES)に際して、運転待機指令(S3)を受け、オゾン発生が停止(S4)し、冷却水も停止(S5)したのち、バルブV1およびV2が閉状態(S6)となり、原料ガスの供給が停止(S7)し、オゾン発生装置2がガス封じ切り状態、すなわち密閉状態となるのと同時に、オゾン発生装置2のガス出口側ポートP2に接続されたバルブV3およびガス入口側ポートP1に接続されたバルブV4が開状態(S8)となる。その結果、ガス循環装置7がオゾン発生装置2に接続された状態となり、ガス循環装置7が動作(S9)することにより、オゾン発生装置2とガス循環装置7による密閉系閉ループが形成されて、オゾン発生装置2内に封じ切られたガスが、ガス出口側ポートP2からガス入口側ポートP1へ向かって循環される。ガス循環装置7は、ガス循環部70およびガス精製部71から構成されている。ガス精製部71は、ガス循環部70の上流側に設置され、オゾン発生装置2のガス出口側ポートP2から吸引されたオゾン発生装置2内に封じ切られたガスから少なくともHNОを除去する乾式除去部である。もちろん、NOおよび水分も同時に除去すればなおよい。
ガス循環部70は、外気とシールされた循環ファンまたは循環ポンプである。本実施の形態1においては、大量のガスを循環させる必要はなく、原料ガスの供給が停止しているオゾン発生運転待機期間のみ、ガスを停滞させずに、オゾン発生装置2内でガス圧力を大気圧以上に維持し、ガス入口側ポートP1からガス出口側ポートP2へ向かうガス流れさえ形成すればよい。すなわち、オゾン発生装置2内で脱着したNOおよびHNОのガス出口側からガス入口側への濃度勾配に基づく拡散速度よりも大きくなる流速を生じるガス流れを形成すればよい。そのため、オゾン発生装置2内のガス流れは僅かでもよく、高性能、大容量のファンまたはポンプは不要である。また、循環させるガス中のオゾン濃度は極めて低いため、循環部に耐オゾン性も必要ない。以上のように、オゾン発生運転待機期間に、オゾン発生装置2内にガス流れを発生させ、オゾン発生装置2内のガスから少なくともHNОを除去する。オゾン発生装置2内のガスをガス出口側ポートP2から吸引し、密閉系閉ループにおいて精製、循環させるため、オゾン発生装置2内、特にガス入口側へのHNОの拡散を抑制でき、高電圧電極の腐食を防止できる。
ガス精製部71には、少なくともHNОを吸着できる乾式の吸着材材料、または、それにより構成、成形されるフィルタが充填されている。吸着材材料として、ゼオライト、活性炭、アルミナ、水酸化カルシウムおよび水酸化ナトリウムといったアルカリ剤を用いることができる。粒状、ペレット状または粉状の材料を充填する場合は、ガス精製部71の下流にパーティクルを除去できるフィルタを設け、オゾン発生装置2へのパーティクルの同伴を抑制するほうがよい。また、適正な運用状態においては、ガス精製部71にオゾンが同伴されることはほとんどないが、非定常時の突発的なオゾンの混入に対応するため、活性炭を使用する場合は、オゾンの分解に伴う急激な昇温や爆発を回避する観点からアルミナなどを用いて処理された特殊活性炭を用いるほうがよい。
一方、HNОを除去するためには、水または薬液などを用いた湿式除去のほうが一般的には効率が高い。しかしながら、ガス精製部71を通過するガスは再びオゾン発生装置2へ循環させるため、その露点を−50℃以下に管理する必要がある。湿式でガスを処理した場合は、その露点の回復に余分なエネルギーとコストが必要になるため好ましくない。また、オゾン発生装置2に循環させる冷却水またはオゾン発生装置2に設けた加温設備などを利用し、オゾン発生装置2の温度を操作することで、NOおよびHNОの酸化膜中からの脱着を促進させ、ガス精製部71におけるガス精製効率を向上させることも有効な手段である。しかしながら、これらも、温度調整にかかる付帯設備、エネルギーおよびコストが付加されるため好ましくない。
オゾン発生装置2の間欠運転は、省エネルギー・低コストを目的とした効率的な運用条件であり、上記のように、エネルギー消費を抑制するためのオゾン発生運転待機期間にあるオゾン発生装置2にオゾン発生以外のエネルギーおよびコストを投入することは、間欠運転の採用そのものの考え方に逆行することになる。本実施の形態1においては、ガス循環部70に要するいくらかのエネルギーと初期コスト、またガス精製部71における吸着剤等の初期コストだけが追加されるだけであり、間欠運転による省エネルギー化を阻害することにはならない。
なお、オゾン発生運転待機期間におけるNOおよびHNОの脱着および拡散は緩やかな速度で進行するため、ガス循環装置7は、オゾン発生運転待機期間すべてにおいて動作させる必要はない。例えば、数時間または1日に1回の割合などで動作させるだけでもよい。その場合、オゾン発生運転待機期間に移行する際に連動して動作するバルブV3およびV4は、ガス循環装置7の動作に連動して開閉動作を行ってもよい。
また、本実施の形態で示すオゾン発生運転待機期間におけるHNОの拡散は、ギャップ長が0.6mm以下において、顕著に発生する。本実施の形態におけるオゾン発生装置2においては、ギャップ長が0.6mmを超えるオゾン発生装置に比して、放電空間205の電界強度が大きくなっているため、NOの生成量そのものが増加する。したがって、電極管表面に蓄積するNOも増加する。すなわち、ガス循環装置7を用いたHNОの除去は、本実施の形態のようにギャップ長が短く設定されるオゾン発生装置において極めて効果的である。さらに、オゾン発生装置2の小型化を実現する電極管の小径化は、その内部の高電圧電極203が薄膜であることを余儀なくするため、高電圧電極203がHNОの影響を受けやすくなる要因でもある。従来は直径が100mm程度の大口径の電極管を用いたため、高電圧電極203は溶射など極めて密着力が高く、膜厚が100μm以上の厚膜となっていた。しかしながら、直径30mm以下の電極管を使用する場合、溶射などの施工法は採用できない。直径30mm以下の電極管においては、湿式のコーティングやメッキ、真空蒸着などが施工方法として採用され、膜厚数十μm以下の高電圧電極203が実現される。一方、HNОに対する耐食性は低下してしまう。したがって、本実施の形態におけるガス循環装置7を用いたHNОの除去は、電極管の小径化の観点からも極めて効果的である。
以上のように、本実施の形態1によるオゾン発生システムによれば、間欠運転におけるオゾン発生運転待機期間に、オゾン発生装置2と閉ループを形成するように設置されたガス循環装置7を用いて、オゾン発生装置2内のガスから少なくともHNОを除去するため、オゾン発生装置2内におけるHNОの拡散を抑制することができる。そのため、一端が開口端である高電圧電極管204内部にHNОが侵入することなく、高電圧電極203の腐食を防止することができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2によるオゾン発生システムについて説明する。本実施の形態2によるオゾン発生システムは、基本的な構成および動作は実施の形態1と同様であるが、間欠運転が複数台のオゾン発生装置の動作制御により実施されている点が異なる。図5は本発明の実施の形態2によるオゾン発生システムおよびその運転方法を説明するためのもので、オゾン発生システムの機器構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。ここでは、2台のオゾン発生装置を用いる場合を例として説明する。図中、実施の形態1によるオゾン発生システムの構成機器と同様あるいは対応する部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。また、図中、冷却装置、電源装置、制御部、および制御線は省略している。
複数のオゾン発生装置に基づくオゾン発生システムにおいては、様々な運用方法がある。例えば、通常は一方のオゾン発生装置2Aを連続的に運用し、他方のオゾン発生装置2Bをバックアップ用として用いるケースである。オゾン利用設備4からのオゾン要求量増加指令に基づき、一方のオゾン発生装置2Aの能力不足を補う際に、他方のオゾン発生装置2Bを同時に運転する。この場合、後者のオゾン発生装置が間欠運転となる。また、2台のオゾン発生装置2A、2Bを所定の時間ごとに交互に運転し、1台あたりの運転負荷を軽減し、装置寿命の延命化、またメンテナンス費用の削減を考慮するケースもある。この場合、双方のオゾン発生装置が間欠運転となる。
図5に示す本実施の形態2によるオゾン発生システムにおいては、オゾン発生装置2Aおよび2Bに対し、共通のガス循環装置7が設けられており、オゾン発生装置のガス入口側ポートP1A、P1B、およびガス入口側ポートP2A、P2Bにガス循環装置7は接続される。もちろん、各オゾン発生装置ごとに個別のガス循環装置を設けてもよいが、コストや設置面積の問題から共通にするほうが好ましい。ここでは、2台のオゾン発生装置2A、2Bを交互に運用する場合の動作状態を示す例で説明する。
一方のオゾン発生装置2Aがオゾン発生運転期間にある場合、他方のオゾン発生装置2Bはオゾン発生運転待機期間にある。オゾン発生装置2Aがオゾン発生運転待機期間となると同時にオゾン発生装置2Bがオゾン発生運転期間となる。オゾン発生装置2Aがオゾン発生運転期間にある場合、バルブV1AおよびV2Aは開状態、バルブV1BおよびV2Bは閉状態にあり、バルブV3A、V4Aは閉状態、V3BおよびV4Bは開状態にある。オゾン発生装置2Bはガスが封入された状態になっており、すでにオゾン発生を経たあとの場合はガス循環装置7も動作している。オゾン発生装置2Aのオゾン発生運転期間が終了し、オゾン発生運転待機期間に移行すると、バルブV1AおよびV2Aは閉状態、バルブV1BおよびV2Bは開状態にあり、バルブV3AおよびV4Aは開状態、バルブV3BおよびV4Bは閉状態にある。オゾン発生装置2Bはオゾン発生運転期間に移行し、オゾン発生装置2Aはガスが封入された状態になっており、ガス循環装置7も動作している。
ここでは、オゾン発生運転待機期間においては、ガス循環装置7が連続的に動作する例を示しているが、実施の形態1においても示したように、オゾン発生運転待機期間におけるNOおよびHNОの脱着、拡散は徐々に進行するため、ガス循環装置7は連続的な動作が必須ではない。オゾン発生運転待機期間の長さに応じて、例えば、数時間または数日に1回の割合など定期的に動作させるのでもよい。この場合、ガス循環装置7の動作とバルブV3A、V4A、V3BおよびV4Bは連動して開閉動作を行ってもよい。
以上のように、複数のオゾン発生装置において交互運転を実施する際、従来のオゾン発生システムにおいては、オゾン発生運転待機期間にあるオゾン発生装置2の内部において脱着、拡散するNOおよびHNОが高電圧電極管204内部の高電圧電極203の腐食に作用するという問題があった。しかしながら、本実施の形態2においては、運転待機状態にあるオゾン発生装置2にガス流れを発生させ、外部に設置したガス循環装置7において、オゾン発生装置2内のガスから少なくともHNОを除去するため、オゾン発生装置2内へのHNОの拡散を抑制することができ、高電圧電極管204内部に設置された高電圧電極203の腐食を防止できる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3によるオゾン発生システムについて説明する。本実施の形態3によるオゾン発生システムは、基本的な構成および動作は実施の形態1または実施の形態2と同様であるが、実施の形態1や実施の形態2におけるオゾン発生装置2の高電圧電極管が接地電極管1本に対し、本実施の形態3では、高電圧電極管の閉口端が向かい合うように直列に2本設置されている点が異なる。図6は、本実施の形態3によるオゾン発生装置2の放電電極部の構成を示すためのもので、放電電極部のガス流れ方向に平行な切断面における断面図である。図中、実施の形態1〜2によるオゾン発生システムの構成機器と同様あるいは対応する部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
実施の形態1および実施の形態2の場合と比較して相違する点だけを以下に説明する。図6に示す放電電極部を有するオゾン発生装置はタンデム型と称されるオゾン発生装置である。基本的な構造は実施の形態1で示したオゾン発生装置と同様である。タンデム型は主に大容量のオゾン発生装置に対して適用される構造であり、1本の接地電極管201の中に1本の高電圧電極管を備える場合よりも、単位オゾン発生量あたりの高圧タンク及び接地電極管などの製造コストが安くなり、安価にオゾン発生装置を製造できる点が有利である。
図6においては、ガス入口側の高電圧電極管204Aとガス出口側の高電圧電極管204Bが1本の接地電極管201内に設置されており、高電圧電極管204Aと204Bとは閉口端が向かい合うように配置されている。したがって、オゾン発生に必要な交流高電圧は、高電圧電極管各々に設置されている2か所の給電部材207A、207Bから印加される。この構造においては、高電圧電極管204Bは、オゾン発生装置2にて生成される出力ガス側に開口端が存在する。そのため、高電圧電極管204B内にはОやNOが侵入することになる。したがって、高電圧電極管204Bの開口端には、高電圧電極管204B内へのОやNO、さらにはHNОの侵入を抑制するガス封じ栓209が設置されている。また、高電圧電極管204B内の高電圧電極203Bを高電圧電極203Aよりも耐食性の高い金属または不動態化しやすい金属で形成してもよく、この場合は、金属自身の耐性によりОやNOさらにはHNОに基づく腐食を防止するため、ガス封じ栓209は必ずしも必要ではない。また、高電圧電極203Bをガラス、セラミクスなどの無機絶縁材料により、その表面を覆うようにコーティングし、保護膜としてもよい。保護膜を用いた場合は、高電圧電極203Bの端部における沿面放電を抑制する機能も有することから、電界緩和層208Bは不要となり、効果的である。
以上のように、本実施の形態3によるオゾン発生システムによれば、間欠運転におけるオゾン発生運転待機期間に、タンデム型構造のオゾン発生装置2と閉ループを形成するように設置されたガス循環装置7を用いて、オゾン発生装置2内のガスから少なくともHNОを除去するため、オゾン発生装置2内におけるHNОの拡散を抑制することができる。そのため、高電圧電極管204内部にHNОが侵入することなく、高電圧電極203の腐食を防止できる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4によるオゾン発生システムについて説明する。本実施の形態4によるオゾン発生システムは、基本的な構成および動作は実施の形態1〜3と同様である。オゾン発生装置2の構造は、実施の形態3とほぼ同様であるが、オゾン発生装置2におけるガス入口およびガス出口が異なる。図7は、本実施の形態4によるオゾン発生システムのオゾン発生装置の放電電極部の構成を示すためのもので、放電電極部のガス流れ方向に平行な切断面における断面図である。図8は、本発明の実施の形態4によるオゾン発生システムおよびその運転方法を説明するためのもので、オゾン発生システムの機器構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。図中、実施の形態1〜3によるオゾン発生システムの構成機器と同様あるいは対応する部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。また、図中、冷却装置、電源装置、制御部、および制御線は省略している。
図7においては、図における左側および右側の双方から原料ガスが供給される。左側の、高電圧電極203Cが内面に形成された誘電体202Cにより構成される高電圧電極管204Cと、右側の、高電圧電極203Dが内面に形成された誘電体202Dにより構成される高電圧電極管204Dが1本の接地電極管201内に設置されており、高電圧電極管は閉口端が向かい合うように配置されている。したがって、オゾン発生に必要な交流高電圧は、高電圧電極管各々に設置されている2か所の給電部材207C、207Dから印加される。また、ガス出口210は、オゾン発生装置2の中央部、すなわち、2本の高電圧電極管204C、204Dの閉口端が向かい合う箇所に設置されている。
この構造においては、ガス循環装置7は、オゾン発生装置2のガス出口側ポートP2、オゾン発生装置2に備えられた2か所のガス入口側ポートP10、P11を介してオゾン発生装置2に接続される。図7におけるガス出口210は、図8におけるガス出口側ポートP2に接続される。実施の形態1〜3と異なり、本実施の形態4においては、同時に開閉するバルブV10、V11と、2つのガス入口部をバイパスする配管に設置されるバイパスバルブVBが設置されている。オゾン発生運転期間においては、バルブV10、V11およびV2が開状態、V3、V4およびVBは閉状態である。オゾン発生運転待機期間においては、V10、V11がともに閉状態、さらにV2も閉状態であり、バルブV3、V4およびVBが開状態となり、ガス循環装置7が稼働する。
以上のように、本実施の形態4によるオゾン発生システムによれば、間欠運転におけるオゾン発生運転待機期間に、タンデム型構造のオゾン発生装置2と閉ループを形成するように設置されたガス循環装置7を用いて、オゾン発生装置2内のガスから少なくともHNОを除去するため、オゾン発生装置2内におけるHNОの拡散を抑制することができる。そのため、高電圧電極管204内部にHNОが侵入することなく、高電圧電極203の腐食を防止できる。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5によるオゾン発生システムについて説明する。本実施の形態5によるオゾン発生システムは、実施の形態1〜4とは、オゾン発生運転待機期間にガスを循環させず、精製したガスを大気へ排出する点で異なる。図9は本発明の実施の形態5によるオゾン発生システムおよびその運転方法を説明するためのもので、オゾン発生システムの機器構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。図中、実施の形態1によるオゾン発生システムの構成機器と同様あるいは対応する部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。
図9においては、ガス排出装置77が、ガス排出部770とガス精製部771により構成され、ガス排出部770が、微小のガス流通量を制御できるバルブV5と大気への開放を行うバルブV6により構成されている。本実施の形態5では、ガスの循環をさせないため図1などにあったバルブV4は不要である。
実施の形態5において、オゾン発生運転期間では、バルブV1およびV2が開状態であり、V3、V5、V6は閉状態となっている。オゾン発生運転期間からオゾン発生運転待機期間への移行に際しては、オゾン発生が停止し、オゾン発生装置2内のガスがパージされたのち、バルブV1およびV2が閉状態となる。オゾン発生装置2への原料ガスの供給が停止し、オゾン発生装置2がガス封じ切り状態となるのと同時に、オゾン発生装置2のガス出口側ポートP2に接続されたバルブV3が開状態となり、ガス排出装置77が稼働する。その際、ガス排出部770のバルブV5は任意の開度に制御された開状態、バルブV6は開状態となる。その結果、ガス排出装置77がオゾン発生装置2に接続された状態となり、オゾン発生装置2内に封じ切られたガスが、ガス出口側ポートP2からガス排出装置77へ向かって流れる。ガス精製部771は、ガス排出部770の上流側に設置され、オゾン発生装置2内に封じ切られたガスから少なくともHNОを除去する乾式除去部である。もちろん、NOおよび水分も同時に除去すればなおよい。なお、本実施の形態5においては、ガス排出装置77を流れるガス流量は極めて微小のため、ガス入口側ポートP1とガス出口側ポートP2に接続されるガス排出装置77を含んだ系の配管には、オゾン発生装置2とガス供給装置1やオゾン利用設備4などとを接続する配管よりも小口径の配管を用いるのがよい。
ガス排出部770を構成するバルブV5は、オゾン発生装置2内に封入されたガスをガス出口側ポートP2およびガス精製部771を介して、極めて微小な流量ずつ大気にリークさせるバルブである。前記微小な流量は、実施の形態1〜4で示したオゾン発生運転待機期間において発生するNOおよびHNОの拡散流量よりも大きければよく、オゾン発生運転待機期間、すなわち、原料ガスの供給およびオゾン発生が停止し、ガスが封入された状態のオゾン発生装置2内にガス入口側ポートP1からガス出口側ポートP2へ向かう方向に微弱ガス流を形成するものである。オゾン発生運転待機期間のオゾン発生装置2には、封入されたガスがガス入口側ポートP1からガス出口側ポートP2へ向かう一方向に移動するゆるやかなガス流が形成されるため、オゾン発生運転待機期間にオゾン発生装置2内を拡散するNOおよびHNОがオゾン発生装置2のガス入口側ポートP1側に存在することはない。本実施の形態5において、バルブV5は、オゾン発生装置2内の圧力を大気圧よりも高い圧力に維持しながら、オゾン発生装置2内に封入されたガスをガス排出部770を介して極めてゆるやかな速度にて大気へリークさせるためのものである。そのため、バルブV5における制御流量は、NOおよびHNОの拡散流量とオゾン発生運転待機期間の長さを十分に考慮したうえで設定する必要があり、オゾン発生運転待機期間において、オゾン発生装置2の圧力が大気圧まで下がらないように注意する必要がある。すなわち、制御流量は、オゾン発生装置2内のNOおよびHNОの拡散流量よりは大きいが、可能な限り少ない流量に設定するのがよい。
また、バルブV5は、オゾン発生装置2内に封入されたガスを極めてゆるやかにリークできるものであればよく、市販されているスローリークバルブ、スローベントバルブ、ピンチバルブ、リリーフバルブ、パージバルブおよびニードルバルブのいずれでもよい。また、HNОを大気中に排出しても良い環境であれば、ガス精製部771は必ずしも必要ではない。ガス排出装置77は、少なくともオゾン発生装置内のガスの圧力を大気圧以上の圧力を維持しながら、オゾン発生装置内のガスを大気中にリークさせる構成であれば、例えばバルブV5のみで構成されていてもよい。
図10は、本発明の実施の形態5によるオゾン発生システムの別の構成およびガスフロー系統を示すブロック図である。図10に示すオゾン発生システムは、実施の形態2と同様、間欠運転が複数台のオゾン発生装置の動作制御により実施されているオゾン発生システムである。図10中、図5および図9と同様あるいは対応する部材には、同じ符号を付し、特に必要のない限り説明を省略する。この構成においても、図9のシステムと同様、ガス排出装置77が、ガス排出部770とガス精製部771により構成され、ガス排出部770が、微小のガス流通量を制御できるバルブV5と大気への開放を行うバルブV6により構成されている。この構成においても、実施の形態2と同様、複数のオゾン発生装置のうち、オゾン発生運転待機期間であるオゾン発生装置にガス排出装置77が接続されるように制御され、オゾン発生装置内に封入されたガスをガス排出装置77を介して大気中にリークさせる。
以上のように、本実施の形態5によるオゾン発生システムによれば、間欠運転におけるオゾン発生運転待機期間に、オゾン発生装置から大気へガスを排出できるように設置されたガス排出装置を用いて、オゾン発生装置内のガスリークさせることにより、封入されたガスがガス入口側からガス出口側へ向かう一方向に移動し、ゆるやかなガス流が形成されるため、オゾン発生運転待機期間にオゾン発生装置内を拡散するNOおよびHNОがオゾン発生装置のガス入口側に存在することがない。このため、オゾン発生装置内におけるHNОの拡散を抑制することができる。そのため、一端が開口端である高電圧電極管内部にHNОが侵入することなく、高電圧電極の腐食を防止することができる。
以上に説明した各実施の形態の構成、動作に限定されることはなく、本発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 ガス供給装置、2 オゾン発生装置、3 電源装置、6 冷却装置、7 ガス循環装置、8 制御部、77 ガス排出装置

Claims (12)

  1. 対向配置されて放電空間を形成する放電電極を有するオゾン発生装置と、前記オゾン発生装置に酸素を含む原料ガスを供給するガス供給装置と、前記放電電極を冷却するための冷却水を供給する冷却装置と、前記放電電極に放電のための電力を供給する電源装置と、前記ガス供給装置と前記電源装置とを制御する制御部と、を備え、この制御部が、前記ガス供給装置から前記オゾン発生装置に原料ガスを供給するとともに前記電源装置から前記放電電極に電力を供給することにより前記オゾン発生装置がオゾンを発生するオゾン発生運転期間と、前記ガス供給装置から前記オゾン発生装置へのガス供給および前記電源装置から前記放電電極への電力供給を停止してオゾンを発生しないオゾン発生運転待機期間とを交互に繰り返す間欠運転となる制御を行うオゾン発生システムにおいて、
    ガスに含まれる少なくとも硝酸を除去するガス精製部を備え、
    前記制御部は、前記オゾン発生運転待機期間に、前記オゾン発生装置内のガスを前記原料ガスにより置換させ、前記オゾン発生装置内を大気圧より高い圧力にした後、前記ガス精製部が前記オゾン発生装置に接続されるように制御することを特徴とするオゾン発生システム。
  2. 前記ガス精製部が精製した前記ガスを前記オゾン発生装置内に循環させるガス循環装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生システム。
  3. 前記ガス精製部が精製した前記ガスを大気中に排出するガス排出装置を備え、
    前記制御部は、前記オゾン発生運転待機期間に、前記オゾン発生装置内のガスを前記原料ガスにより置換させて、前記オゾン発生装置内を大気圧より高い圧力にした後、前記オゾン発生装置内の圧力を大気圧より高い圧力に維持しながら、前記ガス精製部が精製した前記ガスを前記ガス排出装置を介して大気中にリークさせるように制御することを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生システム。
  4. 前記オゾン発生装置を複数備え、前記制御部が、前記複数のオゾン発生装置のうち少なくとも一つの前記オゾン発生装置が前記間欠運転となるよう制御するとともに、この間欠運転となるよう制御されるオゾン発生装置に、前記オゾン発生運転待機期間において前記
    ガス精製部が接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオゾン発生システム。
  5. 前記原料ガスが乾燥空気であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のオゾン発生システム。
  6. 前記原料ガスが真空圧力スイング吸着式酸素発生装置または圧力スイング吸着式酸素発生装置により生成された酸素ガスであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載のオゾン発生システム。
  7. 前記対向配置された放電電極の間隔が、0.1mm以上かつ0.6mm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のオゾン発生システム。
  8. 前記放電電極の一方が、誘電体管の内面に導電膜を形成して構成されており、前記誘電体管の直径が30mm以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のオゾン発生システム。
  9. 対向配置されて放電空間を形成する放電電極を有するオゾン発生装置と、前記オゾン発生装置に酸素を含む原料ガスを供給するガス供給装置と、前記放電電極を冷却するための冷却水を供給する冷却装置と、前記放電電極に放電のための電力を供給する電源装置と、前記オゾン発生装置に接続され、ガスに含まれる少なくとも硝酸を除去するガス精製部とを備えたオゾン発生システムの運転方法であって、
    前記ガス供給装置から前記オゾン発生装置に原料ガスを供給するとともに前記電源装置から前記放電電極に電力を供給することにより前記オゾン発生装置がオゾンを発生し、前記ガス精製部は運転を停止するオゾン発生運転期間の工程と、
    前記ガス供給装置から前記オゾン発生装置へのガス供給および前記電源装置から前記放電電極への電力供給を停止し、前記オゾン発生装置内のガスを前記原料ガスにより置換させて、前記オゾン発生装置内を大気圧より高い圧力とした後、前記ガス精製部が運転を行うオゾン発生運転待機期間の工程と、を有することを特徴とするオゾン発生システムの運転方法。
  10. 前記オゾン発生運転待機期間の工程は、前記ガス精製部が精製した前記ガスを前記オゾン発生装置内に循環させる工程、または大気中にリークさせる工程、を有することを特徴とする請求項9に記載のオゾン発生システムの運転方法。
  11. 前記オゾン発生装置を複数備え、少なくとも一つの前記オゾン発生装置が前記オゾン発生運転待機期間の工程を有することを特徴とする請求項9または10に記載のオゾン発生システムの運転方法。
  12. 原料ガスからオゾンを発生して出力するオゾン発生システムにおいて、
    前記原料ガスを供給するガス供給装置と、
    前記ガス供給装置が供給した前記原料ガスを用いて前記オゾンを発生させるオゾン発生運転期間と前記オゾンを発生させないオゾン発生運転待機期間とを有するオゾン発生装置と、
    前記ガス供給装置が供給した前記原料ガスを前記オゾン発生装置へ導く第1バルブと、
    前記オゾン発生装置が発生した前記オゾンが出力される第2バルブと、
    前記オゾン発生装置および前記第2バルブの間に位置するガス出口側ポートに接続された第3バルブと
    前記第3バルブに接続してあり、ガスに含まれる硝酸を除去するガス精製部とを備え、
    前記オゾン発生運転期間の場合、前記第1バルブおよび前記第2バルブが開となり、前
    記第3バルブが閉となり、前記オゾンが前記第2バルブから出力され、
    前記オゾン発生運転待機期間の場合、前記第1バルブおよび前記第2バルブが閉となり、前記第3バルブが開となり、前記オゾン発生装置内のガスが前記ガス精製部へ送られる
    ことを特徴とするオゾン発生システム。
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