JP6065792B2 - 溶銑出湯中の発煙防止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑出湯中の発煙防止方法に関する。
高炉で作られた溶融銑鉄(溶銑)は、リン等の不純物を取り除く溶銑予備処理が施された後、転炉にて、炭素を取り除く脱炭が行われる。このとき、転炉型の炉を用いた転炉型溶銑予備処理が、高効率の精錬プロセスとして多くの事業所で行われている。
転炉型溶銑予備処理が施された溶銑は、転炉で脱炭を行う前に、一度、溶銑鍋などの溶銑容器に出湯されるが、この出湯中に、溶銑を受銑した溶銑容器から発煙が生じる。
溶銑出湯中の発煙は、溶銑中に炭素が多く含まれていることから発生すると考えられる。すなわち、溶銑中の炭素と空気中の酸素とが激しく反応して溶銑の湯面近傍でCOガス気泡が生成し、このCOガス気泡が破裂する際に溶銑から微小な液滴が飛散し、この液滴中の鉄と空気中の酸素とが反応して、酸化鉄(Fe23)を含む上昇気流が形成され赤煙が発生すると考えられる。
溶銑出湯中の発煙は、環境管理上問題となるため、種々の発煙防止方法が提案されている。例えば、特許文献1には、「それぞれ転炉形式の脱燐炉と脱炭炉とを使用し、脱燐炉での精錬により得られた脱燐溶銑を脱炭炉に注銑して脱炭精錬するに当たり、脱燐炉から溶銑を一旦取鍋に出湯する際、ケイ砂、生石灰及びアルミニウムを取鍋内に投入し塩基度0.5〜1.5の低融点スラグを形成させることを特徴とする、溶銑出湯中の発煙防止方法」が開示されている(特許請求の範囲)。
特開昭63−195214号公報
しかし、特許文献1に記載の発煙防止方法は、高価な金属アルミニウム(Al)を用いるため、非常にコスト高になる。また、投入された金属アルミニウムは、酸素と反応してアルミナ(Al23)を与えるが、このアルミナは次工程の脱炭用の転炉の内張り耐火物の損耗速度を増大させ、炉体寿命が低下するという問題も生じる。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、金属アルミニウムを使用せずに溶銑出湯中の発煙を防止する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、溶銑の出湯中に、特定の粉粒体を投入することで、金属アルミニウムを使用せずとも、発煙を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)を提供する。
(1)炭素含有量が2質量%以上である溶銑を溶銑容器に出湯するに当たり、上記溶銑の出湯中に、メジアン粒径が1.0〜5.0mmである粉粒体を、上記溶銑容器に投入する、ただし、前記粉粒体が脱粒剤であって溶銑落下流へ前記脱硫剤を混入し脱硫する場合を除き、且つ、金属アルミニウムを使用しない、溶銑出湯中の発煙防止方法。
(2)上記粉粒体の粒径加積曲線から求められる通過質量百分率10%に相当する粒径D10が、0.1〜1.2mmである、上記(1)に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(3)上記粉粒体の投入量が、上記溶銑の全出湯量に対して1.5kg/t以上である、上記(1)または(2)に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(4)上記溶銑の全出湯量の15〜50質量%を上記溶銑容器に出湯した段階で、上記粉粒体を上記溶銑容器に投入する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(5)上記粉粒体が、1400℃において固体の物質であって、かつ、固形分における全アルミニウム含有量が10質量%以下である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(6)上記粉粒体は、固形分で、酸化マグネシウム含有量が50質量%以上である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(7)上記粉粒体は、固形分で、炭素含有量が5質量%以上である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(8)上記粉粒体が、使用済みマグネシアカーボン煉瓦を原料として得られた粉粒体を含む、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(9)上記粉粒体が、脱炭スラグを粉砕して得られた粉粒体を含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
(10)上記粉粒体の水分量が、3質量%以下であり、前記粉粒体の投入量が、前記溶銑の全出湯量に対して3.0kg/t以下である、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
本発明によれば、金属アルミニウムを使用せずに溶銑出湯中の発煙を防止する方法を提供できる。
本発明の好適態様を模式的に示す断面図である。
本発明の溶銑出湯中の発煙防止方法(以下、「本発明の発煙防止方法」ともいう)は、炭素含有量が2質量%以上である溶銑を溶銑容器に出湯するに当たり、上記溶銑の出湯中に、メジアン粒径が1.0〜5.0mmである粉粒体を、上記溶銑容器に投入する、溶銑出湯中の発煙防止方法である。
以下、図面に基づいて、本発明の発煙防止方法をより詳細に説明する。
図1は、本発明の好適態様を模式的に示す断面図である。図1は、傾動した転炉型の炉1から、溶銑容器である溶銑鍋2に、溶銑3を出湯している状態を示している。なお、炉1および溶銑鍋2の内側には、耐火物が施工されている。
炉1に収容されている溶銑3は、炉1にて脱リン等の溶銑予備処理が施された後のものであり、その上面には、脱リンスラグ等のスラグ4が浮いている。
炉1から出湯されて溶銑鍋2で受銑された溶銑3は、この後、別の転炉(図示せず)に運ばれて、脱炭が行われる。すなわち、図1中の溶銑3は、脱炭される前の状態であり、炭素含有量が多い。具体的には、溶銑3の炭素含有量は、2質量%以上である。
炭素含有量が多い溶銑3は、上述したように、空気中の酸素と反応することでCOガスが発生し、その結果、溶銑鍋2から赤煙などが発生し得る。
そのため、従来は、金属アルミニウムを投入して(特許文献1参照)、先に酸素と反応させることで、溶銑3に含まれる炭素と反応する酸素の量を低減させるとともに、低融点のスラグを生成させて溶銑3と大気とを遮断することにより酸素の供給を低減している。
しかし、上述したように、金属アルミニウムを用いると、コスト高になるうえ、酸素との反応により生成するアルミナが次工程の脱炭用の転炉の炉体寿命に悪影響を与える。
そこで、本発明においては、溶銑3の出湯中に、溶銑3を受銑している溶銑鍋2の中に、シュート6等を用いて、特定条件の粉粒体5を投入する。これにより、金属アルミニウムを使用せずに、溶銑3からの発煙を防止できる。これは、図1に示すように、投入された粉粒体5が、溶銑鍋2に受銑された溶銑3の湯面に広がることで、溶銑3に含まれる炭素と空気中の酸素との接触が遮断されるため、または、微小な溶銑3の液滴の空気中への飛散が物理的に抑えられるためと考えられる。
このとき、溶銑鍋2に投入される粉粒体5は、メジアン粒径(D50)が1.0〜5.0mmである。このような数値範囲のメジアン粒径は、粉粒体5の粒子が細かいことを示している。
すなわち、例えば、大粒の粉粒体5を溶銑鍋2に投入しても、溶銑3の湯面での分散性が不十分であったり、分散しても隙間が空いてしまったりするため、溶銑3と空気との遮断効果に劣る。しかし、メジアン粒径が上記範囲内であれば、粉粒体5は、溶銑3の湯面に隙間なく広がって溶銑3を覆うため、十分な遮断効果が得られ、発煙を効果的に抑制できる。
粉粒体5のメジアン粒径は、1.5〜4.0mmが好ましい。
なお、粉粒体5の粒子は、赤煙を防止する観点からは細かいほど好ましいと考えられるが、細かすぎると溶銑鍋2への投入時に飛散して歩留まりが低下する場合があるとともに、粉粒体5の細粒分に起因する発塵が増大する場合があるため、下限値を設定した。
粉粒体5の粒度は、メジアン粒径に代えて粗粒率で規定してもよい。その場合、粉粒体5の粗粒率は3.0〜5.3が好ましく、3.4〜5.0がより好ましい。粉粒体5の粗粒率が上記範囲内であれば、粉粒体5は、溶銑3の湯面に隙間なく広がって溶銑3を覆うため、十分な発煙抑制効果が得られるとともに、発塵も防止できる。
ここで、粗粒率について説明する。粗粒率は、乾燥後の所定質量のサンプルを、ふるい目開きが75、37.5、19、9.5、4.75、2.36、1.18、0.6、0.3および0.15(単位:mm)の一連のふるいを用いて順次ふるい分けを行い、粗いふるい目側から合計した残留粒子(各ふるいに残留する粒子)の質量、すなわち累計残留質量を各ふるいのふるい上の値とし、この各ふるい上の累計残留質量の上記所定質量に対する百分率を累計残留百分率とし、各ふるいの累計残留百分率の合計を100で割ったものとして定義される。この値が小さいほど、平均的な粒径が小さいものと評価できる。
なお、メジアン粒径とは、分布の中央値に対応する粒径である。本発明においては、粉粒体5のメジアン粒径は、粗粒率の測定と同様のふるい分けによる粒度試験の結果から以下のようにして算出される。
各目開きのふるいの通過質量の上記所定質量に対する百分率を通過質量百分率とし、ふるい目開きすなわち粒径を対数目盛の横軸とし、通過質量百分率を縦軸としてプロットした粒径加積曲線において、通過質量百分率が50%となる粒径がメジアン粒径または50%粒径D50であり、通常は粒径加積曲線を各プロットを直線で結んだ折れ線で近似して計算することにより算出される。
また、10%粒径D10は、粉粒体中の細粒分を代表する粒径と考えることができ、メジアン粒径と同様に粒径加積曲線から、通過質量百分率が10%となる粒径として求められ、同様に折れ線で近似して算出できる。
粉粒体5は、上述したメジアン粒径を有するものであれば特に限定されないが、粒度分布の偏りが大きい場合には、さらに10%粒径D10が0.1〜1.2mmであるのが好ましく、0.15〜0.8mmがより好ましい。これにより、空気の遮断による発煙抑制効果がより向上できるとともに、投入した粉粒体5に起因する発塵も抑制できる。
粉粒体5は、溶銑3の湯面を被覆できる物質であれば、組成は特に限定されず、例えば、CaO、MgO、SiO2、Al23、FeO、MnOなどの各種酸化物;これら酸化物を含む化合物;SiCなどの各種炭化物;Cなどの各種炭素源;これらを含む組成物;等を使用できる。
ただし、粉粒体5は、溶銑鍋2に収容された溶銑3とともに転炉に装入されるので、次工程の脱炭用の転炉の内張り耐火物を保護するためには、アルミニウム源またはアルミナ(Al23)の含有量は、少ない方が好ましい。
具体的には、粉粒体5の固形分における全アルミニウム含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。全アルミニウム含有量をこの範囲とすることにより、脱炭用の転炉において、スラグ中の低融点の液相の比率(1250℃まで温度低下時に凝固しないで残る液相スラグの比率)の上昇を抑制でき、内張り耐火物に付着したスラグの剥離を抑制することができるので、脱炭用の転炉の内張り耐火物が効果的に保護される。
また、同様に、次工程の脱炭用の転炉の内張り耐火物を保護する観点から、他の低融点物質も含まない方が好ましく、粉粒体5は1400℃において固体の物質であることが好ましい。ここで、1400℃において固体の物質であるとは、1400℃において粉粒体5が微視的に部分的な液相を含むことを妨げず、全体に液状となって流動性を持つことなく、固体の粉粒体としての物理的性質を維持する物質であることを意味する。
脱炭用の転炉の内張り耐火物に付着したスラグは、転炉に装入された溶銑3およびスクラップにより1200℃程度で冷却され、その後の脱炭精錬の進行にともなって炉内温度が1600℃以上まで上昇して加熱されるとともに、少なくとも部分的に溶解される。出鋼後に炉内に残留したスラグに、石灰石や生ドロマイトを、冷却材および成分調整材として投入し、炉体を傾転させることにより、1400℃以下に冷却されて流動性が低下したスラグが内張り耐火物を被覆するように付着する。このような一連のパターンを繰り返しつつ安定な被覆層を形成することにより、内張り耐火物の損耗が抑制される。
スラグ中の低融点成分の濃度が上昇すると、または、アルミナ濃度が上昇すると、脱炭スラグの最も主要な成分であるCaOおよび他の酸化物成分とともに形勢される低融点の液相成分の比率が増大し、スラグの温度が低下しても液相の比率が十分に低下しないため、スラグの付着性が劣り、結果として内張り耐火物の損耗の増大を招くことになる。
しかしながら、脱炭用の転炉内に、溶銑3とともに装入される粉粒体5が、1400℃において固体の物質であって、かつ、全アルミニウム含有量が10質量%以下であれば、上記の内張り耐火物表面への被覆スラグ層の形成を妨げることなく、内張り耐火物の損耗の増大を防止できる。
粉粒体5は、溶銑鍋2への出湯が終了した後、収容された溶銑3とともに転炉に装入されるので、脱炭用の転炉での造滓材の成分を兼ねるようにすれば無駄がなく効率的である。このような観点から、粉粒体5は、固形分で、酸化マグネシウム(MgO)を50質量%以上含有するのが好ましく、実質的にMgO主体の物質である場合も好適である。同様に有効利用できる酸化物成分としては、例えば、MnOやSiOなどが挙げられる。
また、空気中の酸素との接触を遮断するという観点からは、粉粒体5は、固形分で、炭素(C)を5質量%以上含有するのが好ましい。これにより、空気中の酸素の大部分は溶銑3の湯面に到達する前に、比較的細かい粉粒体5中の炭素と反応して、反応性の劣る二酸化炭素となるため、赤煙発生の抑制にさらに効果的である。さらに炭素濃度の高い炭素主体の粉粒体5を用いてもよく、この場合炭素は脱炭用の転炉での熱源としても有効に利用できる。
酸化マグネシウムおよび炭素を含有する粉粒体5としては、例えば、使用済みのマグネシアカーボン煉瓦を原料として粉砕、分級したものが好適に挙げられる。マグネシアカーボン煉瓦は、一般に、脱炭用の転炉の内張り耐火物として用いられており、使用済みの耐火物を再利用(リサイクル)でき、廃棄物の発生量を抑制できるという点から好ましい。また、使用済みの耐火物は、大量に生成されるため、必要な供給量を低コストで確保できるという点からも好ましい。
なお、マグネシアカーボン煉瓦に金属アルミニウムが配合されている場合には、使用後の煉瓦を長期間保管すると、雰囲気の水分との反応によって粉化が進行する、いわゆる消化の現象によって粒度が変化する場合があるので管理に注意を要するが、消化が著しい場合には粉砕を要さず分級のみで所定の粉粒体5が得られることもある。
また、鉄鋼プロセスで発生するスラグを粉砕、分級して、粉粒体5として利用することも、副生物を有効利用でき、粉粒体5のコストを低減できるので好ましい。
ただし、この場合、鋼の不純物成分となる硫黄などの成分の含有量が十分少ないことが必要であり、好適に用いられるスラグの種類としては脱炭スラグ(転炉脱炭スラグ)が挙げられる。ここで、脱炭スラグとは、溶銑を転炉などで脱炭して溶鋼を製造する際に副生するスラグを指し、一般に脱燐能を要求されるために酸化鉄濃度が高く、かつ高塩基性であり、このため水和膨張が避けられず、土木材料として利用される際に用途が限定されるという問題がある。
ところで、上記のように使用済み耐火物やスラグを粉粒体5の原料として利用する場合、原料ないし粉粒体5は、少なくとも一部の期間は露天で保管されるのが一般的であるため、粉粒体5はある程度の水分を含有することになる。
溶銑3の出湯中に粉粒体5を投入すると、粉粒体5に含まれる水分が溶銑3中の炭素と反応してCOガスを生成し、大きな火炎が発生する場合がある。火炎が出湯作業を行う作業床レベルまで達すると、作業者や設備に損害を与える可能性があるため問題となる場合がある。
そのため、粉粒体5の水分量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
粉粒体5の水分量の下限は特に設定する必要はないが、0.1mm以下の細粒分の比率が高い場合には、ハンドリング時の発塵を防止するために1質量%程度以上の水分量とすることが好ましい。
なお、粉砕前の原料、または、粉砕、分級後の粉粒体5を所定期間天日乾燥した後、屋根付きの保管場所に保管することで、粉粒体5の水分量を低位に調整できる。
粉粒体5の投入量は、発煙防止の観点からは、溶銑3の全出湯量に対して1.5kg/t以上が好ましい。一方、粉粒体5の投入量の上限は、コストや調達の問題がなければ特に限定されないが、発煙抑制の効果は3kg/t程度で十分得られる。
なお、上述したように、粉粒体5が3質量%以下の範囲で水分を含有する場合には、火炎の発生も防止するという観点からは、粉粒体5の投入量は、溶銑3の全出湯量に対して3.0kg/t以下が好ましく、2.0kg/t以下がより好ましい。
また、粉粒体5を投入するタイミングとしては、発煙防止の観点からは、溶銑3の全出湯量の15〜50質量%を溶銑鍋2に出湯した段階が好ましい。これにより、粉粒体5は、溶銑3の湯面により隙間なく広がって溶銑3を覆うため、遮断効果がより得られ発煙をより効果的に抑制できる。全出湯量の15質量%未満の時点で粉粒体5を投入した場合には、投入した粉粒体5が一部の領域に固まって湯面全体に広がらず、効果的に発煙を防止できない場合がある。全出湯量の50質量%超の時点で投入しても、それ以前の発煙も相当量あるため、より早期に投入する方が効果的である。
火炎の問題も防止するという観点からは、できるだけ溶銑3の湯面から作業床までの距離が大きい出湯初期に粉粒体5を投入することが好適であり、全出湯量の15〜30質量%を出湯した段階がより好ましく、15〜25質量%の段階がさらに好ましい。
ここで、出湯途中での出湯量は、例えば、炉下の移動台車に設置した秤量装置による測定;溶銑鍋2内の溶銑3の湯面レベルを目視等で判定した結果に基づく推定;直前チャージなどの出湯時間(出湯開始から終了までの時間)と当該チャージの出湯開始からの経過時間とからの推定;等により求められる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例I>
使用済みのマグネシアカーボン煉瓦または転炉スラグを原料として粉砕、分級し、下記第1表に示す粒径(メジアン粒径(D50)、D10および粗粒率)の各例の粉粒体5を得た。
なお、得られた粉粒体5の組成(固形分)を測定したところ、使用済みマグネシアカーボン煉瓦の場合でMgO:55〜75質量%、C:8〜15質量%、Al23:3〜6質量%、CaO:2〜5質量%、SiO2:2〜5質量%の範囲であり、転炉スラグの場合でCaO:38〜43質量%、SiO2:10〜12質量%、MgO:6〜8質量%、Al23:2〜3質量%、T.Fe:17〜22質量%、MnO:3〜5質量%、P25:1〜2質量%の範囲であった。測定には、蛍光X線分析装置を用いた。いずれの場合も、水分量が3質量%以下となるように天日干した後保管したものを粉粒体5として使用した。
また、上記の転炉スラグの組成から、熱力学平衡計算ソフトウェアFactSageを用いて、市販のデータベースに基いて計算した結果では、1400℃における液相スラグの比率は30質量%未満であり、上記の転炉スラグは1400℃において流動性を有さない固体の状態であったと考えられる。さらに、小型の誘導溶解炉において1400℃に保持した溶銑上に上記の組成の転炉スラグの粉粒体を投入して、その挙動を確認したところ、転炉スラグは液状に溶融することなく、固体状のまま炉壁に付着した。
使用済みマグネシアカーボン煉瓦の場合は、上記組成から計算される液相比率はさらに低く、同様に1400℃において固体状である。
炉1から溶銑3(炭素含有量:2.8〜3.2質量%、全出湯量:公称値300t)を、溶銑鍋2(容量:約50m3、炉底までの深さ:約4m)に50t出湯したタイミングを目標として、粉粒体5を500kg投入した。
このとき、溶銑3からの発煙は、工場建屋およびその屋上を監視する固定カメラの画像において、工場建屋から出る煙の濃度を「0」〜「9」の10段階の色見本と対比して評価するスモーク指数により評価した。発煙が確認されなかったスモーク指数「0」からスモーク指数「1」の場合を「○」と、発煙が許容できる範囲の濃度であるスモーク指数「2」の場合を「△」と、発煙が環境上問題となるおそれがあるスモーク指数「3」以上の場合を「×」として、結果を下記第1表に示した。「○」または「△」であれば、発煙防止効果に優れるものとして評価できる。
上記第1表に示す結果から明らかなように、メジアン粒径が1.0〜5.0mmの範囲である粉粒体5を用いた発明例1〜5は、発煙防止効果が優れるのに対して、メジアン粒径がこの範囲を外れる比較例1〜2では、発煙防止効果が劣っていた。
なお、発明例1〜5を対比すると、メジアン粒径(D50)が1.0〜5.0mmの範囲であり、かつ、D10が0.1〜1.2mmの範囲である発明例1,2,4は、D10がこの範囲を超える発明例3または発明例5よりも、発煙防止効果により優れることが分かった。
また、何れの場合にも粉粒体5の飛散に起因する発塵は軽微であり、作業環境に悪影響を及ぼすことはなかった。
<実験例II>
次に、発明例1の粉粒体5を用いて、粉粒体5の投入量および投入タイミングを変更した以外は、発明例1と同様にした発明例について、実験例Iと同様にして発煙防止効果について評価した。
粉粒体5の投入量について、下記第2表の括弧内に示す数値(単位:kg/t)は、粉粒体5の投入量を、溶銑3の全出湯量当たりの原単位で示したものである。
また、粉粒体5の投入タイミングについては、投入開始直前の溶銑鍋2内の溶銑3の湯面レベルを目視等で判定した結果に基いて推定した出湯量、または、発煙で湯面レベルの視認が困難な場合には、直前チャージなどの出湯時間と当該チャージの出湯開始からの経過時間とからの推定した投入開始時点までの出湯量を下記第2表に記載した。なお、下記第2表の括弧内に示す数値(単位:質量%)は、粉粒体5を投入開始したタイミングでの溶銑3の出湯量(50t〜150t)を、全出湯量(公称値300t)に対する割合で示したものである。
さらに、これらの発明例について、粉粒体5を投入した際の溶銑鍋2からの火炎の発生(発炎)の程度を目視で確認した。火炎の高さが作業床まで達しなかった場合は「○」と、火炎の高さが作業床に達したが作業床上には火炎が漏れ出ず安全上は問題なかった場合は「△」とした。安全性の観点から「○」であるのが好ましい。結果を下記第2表に示す。ここで、作業床は一般的な転炉設備と同様に、転炉出湯中に炉口付近の高さとなる、転炉炉体の回転軸よりもやや下のレベルに当り、出湯中にあるいは出湯後に、配置した人員が手動のプローブなどを用いて温度測定やサンプリングを行ったり、合金鉄や副原料を投入したりする作業をここで行う。
上記第2表に示す結果から明らかなように、粉粒体5の投入量が1.5〜3.0kg/tの範囲である発明例1および6は、ともに、発煙防止効果に優れていたが、粉粒体5の投入量が1.5〜2.0kg/tの範囲である発明例1は、この範囲を超える発明例6よりも、発炎防止の効果により優れることが分かった。
また、粉粒体5の投入タイミングが全出湯量の15〜50質量%の範囲である発明例1,7および8は、ともに、必要な発煙防止効果が得られていたが、粉粒体5の投入タイミングが全出湯量の15〜30質量%である発明例1および7は、この範囲を超える発明例8よりも、発煙防止および発炎防止の効果により優れることが分かった。
<実験例III>
次に、発明例1の粉粒体5を用いて、粉粒体5の投入量を500kg(1.67kg/t)とし、粉粒体5を投入するタイミングを出湯開始から50t(16.7質量%)の時点として、脱炭用の転炉の1炉代にわたって操業を継続し、脱炭用の転炉の内張り耐火物の損耗に及ぼす影響について評価した。
このとき、特許文献1に記載されている従来の溶銑出湯中の発煙防止方法、具体的には、生石灰700kg(2.33kg/t)と金属アルミニウム100kg(0.33kg/t)とを出湯開始から50t(16.7質量%)の時点で投入する方法を比較例とし、この比較例についても、脱炭用の転炉の1炉代にわたって操業を継続した。なお、比較例において、発煙防止用に投入した生石灰と金属アルミニウムとの合計量に占める全アルミニウム含有量は12.5質量%となる。
脱炭用の転炉の内張り耐火物が損耗して寿命を終えるまでの操業回数を比較したところ、発明例1の粉粒体5を用いた操業では、従来技術(比較例)の操業に対して、使用チャージ数で約2割寿命が向上しており、アルミナなどの低融点化合物を形成する物質を低減することによる耐火物損耗を抑制する効果が明らかとなった。
1:炉
2:溶銑鍋(溶銑容器)
3:溶銑
4:スラグ
5:粉粒体
6:シュート

Claims (10)

  1. 炭素含有量が2質量%以上である溶銑を溶銑容器に出湯するに当たり、
    前記溶銑の出湯中に、メジアン粒径が1.0〜5.0mmである粉粒体を、前記溶銑容器に投入する、ただし、前記粉粒体が脱硫剤であって溶銑落下流へ前記脱硫剤を混入し脱硫する場合を除き、且つ、金属アルミニウムを使用しない、溶銑出湯中の発煙防止方法。
  2. 前記粉粒体の粒径加積曲線から求められる通過質量百分率10%に相当する粒径D10が、0.1〜1.2mmである、請求項1に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  3. 前記粉粒体の投入量が、前記溶銑の全出湯量に対して1.5kg/t以上である、請求項1または2に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  4. 前記溶銑の全出湯量の15〜50質量%を前記溶銑容器に出湯した段階で、前記粉粒体を前記溶銑容器に投入する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  5. 前記粉粒体が、1400℃において固体の物質であって、かつ、固形分における全アルミニウム含有量が10質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  6. 前記粉粒体は、固形分で、酸化マグネシウム含有量が50質量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  7. 前記粉粒体は、固形分で、炭素含有量が5質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  8. 前記粉粒体が、使用済みマグネシアカーボン煉瓦を原料として得られた粉粒体を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  9. 前記粉粒体が、脱炭スラグを粉砕して得られた粉粒体を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
  10. 前記粉粒体の水分量が、3質量%以下であり、前記粉粒体の投入量が、前記溶銑の全出湯量に対して3.0kg/t以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の溶銑出湯中の発煙防止方法。
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