JP2001089806A - 転炉の熱間補修方法 - Google Patents

転炉の熱間補修方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、残留スラグへMgO及びCを含有す
るレンガ屑を追加するスラグコーティングを行なって
も、出鋼時にスラグのフォーミングを起こさない転炉の
熱間補修方法を提供することを目的としている。 【解決手段】出鋼時に転炉内に残留させた溶融スラグに
耐火物を投入し、該転炉を揺動させてから一定時間静置
し、該溶融スラグを炉壁に付着させる転炉の熱間補修方
法において、前記耐火物としてMgO及びCを含有する
耐火物を使用し、該耐火物の粒径を30mm未満とする
ことにより出鋼時のスラグフォーミングを阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転炉の熱間補修方
法に係わり、特に、出鋼時に一部のスラグを残留させ、
転炉の揺動で該スラグを炉壁に付着させる所謂スラグコ
ーティング法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】転炉の炉壁を熱間で補修し、炉寿命を延
長する技術の一つにスラグコーティングなる技術があ
る。それは、先の精錬で溶製した溶鋼の出鋼時に、一部
のスラグを炉内に残留させ、次回の原料装入を開始する
前に転炉を揺動させて該スラグを炉壁に付着させるもの
である。その際、コーティングするスラグの質を変更し
たり、量を十分に確保するため、別途耐火物を追加、投
入するのが常である。
【0003】例えば、特開平3−82705号公報は、
「ガスの底吹き機能を有する転炉において、炉底部から
0.1〜3.0Nm3/minの底吹きガスを流しなが
ら、前記転炉内に残留させた溶融スラグ100重量部に
対し大きさが30〜100mmの塊状の含MgO耐火物
を10〜100重量部投入し、該転炉を揺動した後静置
する」ことを提案している。なお、スラグに追加する耐
火物を含MgO耐火物としたのは、近年の転炉は、炉壁
にMgO耐火レンガを使用するからである。また、その
粒径を30〜100mmとしたのは、30mm未満で
は、耐火物の破砕時に粉の発生が多くなるからであり、
100mm超えでは、残留スラグへの均一分散がされ
ず、良い補修層にならないからである。従って、通常は
50mmを超える破砕した耐火物が使用され、良好な結
果が得られている。
【0004】しかしながら、前記したように、耐火物の
使用に際し、補修後の転炉精錬中には問題が起きなかっ
たが、出鋼時にスラグのフォーミング(泡立ちし、体積
を増加する)が発生し、炉口より溢れ出るトラブルが生
じた。つまり、炉口より溢れ出したスラグが溶鋼を受け
た取鍋に多量に混入し、溶鋼へのAl歩留の低下、復P
による成分はずれ、スラグによる溶鋼の汚染等が生じた
のである。対策としては、フォーミングが治まるまで出
鋼作業を中断して遅らせるか、あるいはAl歩留の低下
を甘受する以外に方法がなく、いずれにしても転炉操業
を阻害することになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑み、出鋼時にスラグのフォーミングを起こさない転
炉の熱間補修方法を提供することを目的としている。な
お、出鋼時に生ずるスラグのフォーミングは、近年、含
MgO耐火物のレンガ屑としてCを含有しているため、
この耐火物中のCが出鋼時に反応して生じるものと発明
者らは知見し、このフォーミングを起こさない転炉の熱
間補修方法を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため鋭意研究し、その成果を本発明に具現化し
た。
【0007】すなわち、本発明は、出鋼時に転炉内に残
留させた溶融スラグに耐火物を投入し、該転炉を揺動さ
せてから一定時間静置し、該溶融スラグを炉壁に付着さ
せる転炉の熱間補修方法において、前記耐火物としてM
gO及びCを含むものを使用し、該耐火物の粒径を30
mm未満として転炉内に残留する溶融スラグに投入し、
該転炉を揺動させて混合することを特徴とする転炉の熱
間補修方法である。
【0008】また、本発明は、前記転炉をガスの底吹き
機能を備えたものとし、前記揺動及び静置期間には炉底
より一定量のガスを吹込むことを特徴とする転炉の補修
方法である。
【0009】本発明によれば、転炉吹錬中に、残留スラ
グに追加したMgO−C系耐火物は粒径を30mm未満
に制限しているので、該耐火物が含有するCは反応して
しまい、出鋼時にスラグがフォーミングするのを抑制す
る。従って、従来のような出鋼時のトラブルが解消され
るばかりでなく、炉寿命の延長や廃棄耐火物の全量を再
利用できるようになった。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、発明をなすに至った経緯も
交え、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】まず、発明者は、従来の補修方法を実施す
ると、転炉からの出鋼時にスラグのフォーミングが盛ん
になる原因を追求し、残留スラグに追加する耐火物に問
題があると考えた。MgO系耐火物でもCが含まないも
のは、フォーミングを起こさないからである。そこで、
Cを含んでいる場合には、転炉で溶鋼を吹錬している間
に、そのCを燃焼除去しない限り、スラグのフォーミン
グは避けられないと考え、Cの燃焼を促進させるよう、
耐火物の細粒化を着想したのである。
【0012】具体的には、残留スラグに追加するMgO
−C系耐火物の粒度を種々変更した操業試験を行ない、
30mm未満であれば良いこと見出した。粒径が小さい
と、Cが粒子の表面に出現したり、あるいは拡散距離が
短くなるので、燃焼し易くなるからである。また、本発
明では、追加するMgO−C系耐火物の量は、限定しな
いことにする。その量は、形成するスラグ層やその後に
転炉で溶製する溶鋼の化学組成に依存し、一概に決めら
れないからである。実際の実施時に、それらの要因と経
験から定めれば良い。ちなみに、該スラグ層のMgO含
有量は、通常、4〜10重量%程度であり、近年利用さ
れているMgO−C系耐火物のC含有量は10〜30重
量%程度である。
【0013】なお、本発明で述べる溶融スラグに投入す
る耐火物は、前述した転炉の炉壁に利用されていた耐火
レンガ屑、あるいは取鍋等、他で利用されていた耐火レ
ンガ屑のすべてを含み、MgO及びCを含有する耐火物
をその利用範囲とし、かつMgO系耐火物及びMgO−
C系耐火物等の混在で、結果としてMgO及びCを含有
するものとなる耐火物であれば良い。従って、本発明で
は、使用する耐火物、つまり耐火レンガ屑は、混在した
形で保存されているものであっても、再利用できる道を
開くものである。
【0014】また、本発明になる耐火物の粒径を30m
m未満とする理由は、破砕粒径の下限は不要で、破砕機
等で破砕した30mm未満の耐火物はそのまま転炉に装
入すれば良い。転炉内に溶融スラグを残留させた状態
で、30mm未満に破砕した耐火物をシュートを介して
転炉内に装入することにより、残留スラグ上に装入され
た耐火物は転炉の揺動により残留している溶融スラグと
混合され、再使用され、かつ装入時の破砕であるため、
飛散する耐火物の微粉は集塵機側で捕捉され、回収でき
ることになる。
【0015】さらに、耐火物の粒径を30mm未満とし
て、耐火物が含有するCを反応させる処理は、転炉吹錬
時間が13〜20分程の操業に適応し、吹錬時間が短い
時は、より細粒化すれば、Cの未反応によるスラグフォ
ーミング発生が阻止できる。
【0016】なお、本発明は上吹き、底吹き、上底吹き
等、いかなる構造の転炉にも使用できるが、炉底にポー
ラスプラグ、あるいはノズルを設けてガスを吹込むもの
である場合には、揺動及び静置期間にポーラスプラグ等
を介して、一定量のガスを流すのが良い。スラグがコー
ティングされた後でも、良好な底吹き機能を確保するた
めである。
【0017】
【実施例】出鋼温度1650℃前後で溶鋼を溶製する上
底吹き転炉(能力:180トン)で、炉底部の耐火物を
熱間補修した。その際、スラグコーティングを主体とす
る本発明に係る熱間補修方法を採用した。
【0018】前回の出鋼が終了した転炉で、炉底に配置
したノズルから2.0Nm3/minの窒素ガスを流し
ながら、残留させた5トンのスラグにスクラップシュー
トを介して転炉の炉壁に使用していたMgO−C系レン
ガ屑を3トン投入した。該レンガ屑は、破砕機の破砕粒
度を30mm未満として破砕処理したレンガ屑であり、
篩を施すことなくスクラップシュートに装入して使用し
たものである。装入中、炉底に配置したノズルから流さ
れているガスによって、炉口から微粉部分が飛散する状
態が観察されたが、転炉の炉口上方の集塵機に吸引さ
れ、周囲への飛散はなかった。その後、転炉を出鋼側、
排滓側へ3〜4回揺動し、炉底に均一にスラグ層を形成
した後、該炉を垂直にして待機させ、次回の溶銑装入に
備えた。
【0019】この補修を行なった転炉で、次回の溶鋼を
溶製したところ、出鋼時にスラグのフォーミングは発生
せず、円滑な転炉の操業ができた。また、本発明は、出
鋼毎に実施できるので、多量に発生するMgO及びCを
含有する耐火物屑の再利用に貢献することも明らかにな
った。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、スラ
グコーティング時にMgO及びCを含有する耐火物の屑
を使用しても、出鋼時にスラグがフォーミングするのを
抑制できるようになった。その結果、従来のような出鋼
時のトラブルが解消されるばかりでなく、炉寿命の延長
や廃棄耐火物の全量を再利用できるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加茂 百紀 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K002 AB04 AB07 AC06 AD01 AE01 AE07 BB02 BC03 BH05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出鋼時に転炉内に残留させた溶融スラグ
    に耐火物を投入し、該転炉を揺動させてから一定時間静
    置し、該溶融スラグを炉壁に付着させる転炉の熱間補修
    方法において、 前記耐火物としてMgO及びCを含むものを使用し、該
    耐火物の粒径を30mm未満として転炉内に残留する溶
    融スラグに投入し、該転炉を揺動させて混合することを
    特徴とする転炉の熱間補修方法。
  2. 【請求項2】 前記転炉をガスの底吹き機能を備えたも
    のとし、前記揺動及び静置期間には炉底より一定量のガ
    スを吹込むことを特徴とする請求項1記載の転炉の補修
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000043666A (ko) * 1998-12-29 2000-07-15 신현준 전로용 슬래그 코팅재
JP2013082953A (ja) * 2011-10-06 2013-05-09 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 転炉耐火物の寿命延長方法
CN110042196A (zh) * 2019-03-20 2019-07-23 南京钢铁股份有限公司 一种转炉用定型耐材护炉方法

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