JP3167083B2 - ダクタイル鋳鉄の製造方法 - Google Patents

ダクタイル鋳鉄の製造方法

Info

Publication number
JP3167083B2
JP3167083B2 JP18284094A JP18284094A JP3167083B2 JP 3167083 B2 JP3167083 B2 JP 3167083B2 JP 18284094 A JP18284094 A JP 18284094A JP 18284094 A JP18284094 A JP 18284094A JP 3167083 B2 JP3167083 B2 JP 3167083B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
cast iron
ladle
molten metal
magnesium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18284094A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0820812A (ja
Inventor
育太郎 島村
田中  勉
Original Assignee
島村工業株式会社
花王クエーカー株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 島村工業株式会社, 花王クエーカー株式会社 filed Critical 島村工業株式会社
Priority to JP18284094A priority Critical patent/JP3167083B2/ja
Publication of JPH0820812A publication Critical patent/JPH0820812A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3167083B2 publication Critical patent/JP3167083B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳鉄の製造の過程で黒
鉛を球状化するダクタイル鋳鉄の製造方法に関するもの
である。本発明において、ダクタイル鋳鉄という用語
は、代表的には球状黒鉛鋳鉄を指称するものとして用い
られているが、CV鋳鉄(芋虫状黒鉛鋳鉄)をも指称す
るものとして用いられている。
【0002】
【従来の技術】従来より、ダクタイル鋳鉄を製造するに
は、ほぼネズミ銑組成(炭素3.2〜4.0%、珪素1.5〜2.5
%)の基礎金属を溶解炉に導入し、熔湯に脱硫処理や黒
鉛の球状化処理を施した後、鋳込みを行う方法が採用さ
れている。そして、黒鉛の球状化処理は、熔湯中にマグ
ネシウム(Mg)を導入することによって行われてい
る。
【0003】マグネシウムは、純粋な状態では熔湯の温
度よりかなり低い沸点(1110℃)を持ち、熔湯中への溶
解度が小さく、更に熔湯よりも低密度である(鋳鉄では
7.0g/cm3以上であるのに対し、純粋なマグネシウムで
は1.7g/cm3である)。従って、マグネシウムを熔湯中
に導入しようとすると、酸化マグネシウム又はマグネシ
ウム蒸気として蒸散する傾向が強いため、マグネシウム
の熔湯中への導入は、一般的に困難である。
【0004】熔湯中にマグネシウムを導入するのに伴
う、このような困難を克服するための手段が、ダクタイ
ル鋳鉄の発明以降30年に亙って、種々提案されてきた。
例えば、取鍋底にMg合金を置きその上に熔湯を注ぐ、
置き注ぎ法が知られている。この方法は、簡単であると
言う利点がある反面、熔湯を注いだ後、Mg合金が浮上
してくるということがあった。Mg合金が浮上してくる
と、酸化マグネシウム又はマグネシウム蒸気として蒸散
しやすくなり、所望量のマグネシウムを熔湯中に溶解さ
せることができないという欠点があった。即ち、熔湯中
へのマグネシウムの溶解の歩留まりが悪いという欠点が
あった。更に、Mg合金の浮上の時期や程度により、得
られる鋳鉄の黒鉛球状化の程度にバラツキが出るという
欠点もあった。
【0005】この置き注ぎ法を改良したものとして、取
鍋底にポケット部を設け、Mg合金をその中に置いて、
その上から鉄板,鋳鉄板,SiC粒又はCaC2粒等の
カバー材を被せた後、熔湯を注ぐ、サンドイッチ法が知
られている。この方法は、前記の置き注ぎ法に比べて、
歩留まりも向上し、且つバラツキが少なくなるという利
点がある。しかしながら、熔湯を注いだときに、その外
力でカバー材がずれるということがあった。また、カバ
ー材同士の隙間から熔湯が差し込み、Mg合金と熔湯の
接触が比較的速い時間に起こり、十分な熔湯高さに達し
ないうちに(未だ熔湯を注ぎ終わらないうちに)、マグ
ネシウムの気化及び酸化が起こるということがあった。
このようなときには、前記置き注ぎ法と同様に、歩留ま
りが悪くなり、更にバラツキも大きくなるという欠点が
あった。
【0006】なお、上記の二方法において、残留Mg%
のバラツキ,歩留まりの低下を考慮に入れて、予め多量
のMg合金(合金中のMg%は同じで、合金自体を多量
に使用するという意味)を添加し、所望量のマグネシウ
ムを熔湯中に溶解させることも考えられるが、このよう
な方法では、多量のMg合金に由来する不純物が多いば
かりか、熔湯を注いだ際或いはその後、酸化マグネシウ
ム等よりなる白煙が大量に立ち上り、公害対策上、大き
な問題となり、根本的解決にはなり得ない。
【0007】一方、上記の置き注ぎ法やサンドイッチ法
とは、全く観点の異なる方法として、プランジャー法,
プランジャー−ブロック法又はキャンディー法が提案さ
れている。これらの方法は、いずれも熔湯を取鍋に注い
だ後、熔湯中にMg合金を押し込むというものである。
従って、歩留まりやバラツキは、上記の二方法に比べて
改良されるものである。しかしながら、プランジャー法
等に共通する最大の欠点は、上記の二方法に比べて、時
間がかかるということである。
【0008】更に、またそれぞれに固有の欠点が存在す
る。例えば、プランジャー法やプランジャー−ブロック
法においては、高価なプランジャーを必要とすること、
プランジャーを押し込むことによって熔湯の温度が低下
する等の欠点がある。また、熔湯の温度低下を防止する
ために、プランジャーを予熱或いは保熱する場合には、
甚だしく手数がかかるという欠点が生じる。また、プラ
ンジャー−ブロック法やキャンディー法においては、流
動性の悪いMg合金を特殊な形に成形する必要があり、
この成形コストが高くなるという欠点があった。特に、
溶解時及び凝固時において、極めて偏析の生じ易いMg
合金を鋳造して、マグネシウムが均一に分散若しくは固
溶した一個づつの独立体にすることは困難であり、均一
なMg合金を成形するためには、成形コストが著しく高
価になるという傾向があった。更に、流動性等の点か
ら、Mg合金中の各元素の量を任意に増減することがで
きないという欠点もあった。
【0009】また、その他の方法として、高圧且つ密閉
の取鍋内で、Mg合金を熔湯に添加する方法も提案され
ている。しかし、この方法は、取鍋内を高圧にし、且つ
取鍋を密閉するため、取鍋及び付属装置が複雑になり、
全体としての装置が高価になってしまうという欠点があ
る。また、温度ドロップが大きくなるという欠点もあっ
た。
【0010】以上のように、熔湯にMg合金を添加する
方法として、種々の手段が提案されているが、いずれも
一長一短を有しているのが現状であった。従って、Mg
合金の添加法として、置き注ぎ法的な手軽さとプランジ
ャー法やキャンディー法的な高歩留まり性及び均一性が
要望されているのである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、サ
ンドイッチ法を改良することによって、サンドイッチ法
自体の手軽さをそのまま維持すると共に、サンドイッチ
法の持つ欠点、即ち熔湯を注いだ際におけるカバー材の
ずれ、及び熔湯を注いだ初期において、カバー材同士の
隙間への熔湯の差し込みを防止しようというものであ
る。そして、使用したマグネシウムを歩留まり良く鋳鉄
中に溶解させて、内部組織の均一な球状黒鉛鋳鉄を得よ
うというものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、鋳鉄の
黒鉛球状化処理時において、取鍋底に置かれたMg合金
上に、磁性を有する金属粒粉を含有する粒粉物(以下、
「磁性金属粒粉物」と言う。)を振り掛けた後、該取鍋
に熔湯を注ぐことを特徴とするダクタイル鋳鉄の製造方
法に関するものである。なお、本発明における磁性を有
するとは、磁化されて磁力を有することを言う。
【0013】本発明においては、まず、ほぼネズミ銑組
成(炭素3.2〜4.0%、珪素1.5〜2.5%)等の基礎金属
(原料鉄)を溶解炉に導入して、基礎金属を溶解させて
熔湯を得る。そして、この熔湯を取鍋に出湯させるわけ
であるが、その前に、取鍋息にMg合金を置く。
【0014】本発明で使用するMg合金は、黒鉛を球状
化させるものであって、球状化処理剤として機能するも
のである。Mg合金中における、マグネシウム元素の含
有量は任意であって差し支えないが、一般的には0.5〜3
0%(重量%のことである。以下同じ。)の含有量であ
るのが好ましい。マグネシウム元素の含有量が0.5%未
満であると、球状化処理剤であるMg合金を多量に使用
しなければならない傾向が生じ、熔湯の温度低下を来す
恐れがある。また、合金中のマグネシウム外の元素量が
多くなって、これらの不純物に起因するドロス量が多く
なり、鋳物欠陥の原因となる恐れがある。マグネシウム
元素の含有量が30%を超えると、出湯温度において、球
状化処理剤中のマグネシウム蒸気圧が高くなり、反応の
激しさを抑えきることができない傾向が生じ、またチル
の発生の原因になる恐れもある。Mg合金中には、マグ
ネシウム元素外の元素としては、鉄,珪素又はカルシウ
ム等が含有されている。また、黒鉛の球状化に寄与する
セリウム,イットリウム又はバリウム等が含有されてい
てもよい。更に、脱酸剤成分や脱硫剤成分を含んでいて
もよい。更に、得ようとする鋳鉄の材質によっては、
銅,ニッケル,マンガン又はジルコン等を含んでいても
よい。
【0015】Mg合金は、一般的には粉体の形態で取鍋
底に置かれる。また、粉体や錠剤の如き形態で取鍋底に
置かれても良い。Mg合金を粒体の形態で使用する場合
には、その大きさ(粒度)は、一般には、1〜30mm程度
であり、一回の処理量あるいは取鍋の大きさによって適
当な粒度を選んでいる。なお、粒度の測定方法は、JIS
A 1102(砕石の粒度測定法)による。
【0016】Mg合金は、取鍋底であれば、どのような
箇所に置かれてもよい。取鍋底にポケット部(凹部)が
設けられている場合には、そのポケット部にMg合金を
入れるのが好ましい。何故なら、取鍋に出湯した際、熔
湯の外力によって、Mg合金が移動しにくくなるからで
ある。
【0017】取鍋底にMg合金を置いた後、そのMg合
金の上に、磁性金属粒粉物を振り掛ける。そして、Mg
合金が、この磁性金属粒粉物で被覆されるようにする、
磁性金属粒粉物としては、一般的に鉄を主成分とする金
属粒粉、或いは鉄を主成分とする金属化合物粒粉が使用
される。鉄以外の成分として、銅,ニッケル,マンガン
又はジルコン等を含有していてもよい。また、鉄を主成
分としない磁性金属粒粉物も使用される。例えば、銅,
ニッケル,マンガン又はジルコン等を主成分として含有
するものを使用してもよい。要するに、得られるダクタ
イル鋳鉄の規格に適合するように、各成分を所定量含有
するものを使用すればよい。
【0018】磁性金属粒粉物の磁化の強さは、任意に設
定することができる。一般的には、磁性金属粒粉物同士
が磁性によってくっついている場合において、磁性金属
粒粉物の自重では落下しない程度であるのが、好まし
い。何故なら、Mg合金上で磁性金属粒粉物同士がくっ
ついて置かれている際、自重で落下する程度であると、
Mg合金粒同士の隙間に、磁性金属粒粉物が落下してし
まい、少量の磁性金属粒粉物でMg合金を被覆できない
からである。磁性を有する金属粒粉としては、電磁石や
永久磁石で磁化したものを用いればよい。また、もとも
と磁化しているような金属粒粉を使用してもよい。
【0019】磁性金属粒粉物は、Mg合金の粒度よりも
小さい方が好ましい。磁性金属粒粉物の粒度が、Mg合
金の粒度よりも大きいと、磁性金属粒粉物間に生じる隙
間が大きくなってMg合金を十分に被覆することができ
ず、そこから熔湯が差し込んで、出湯初期においてMg
合金と熔湯が接触し、十分な熔湯高さに達しないうち
に、マグネシウムの気化及び酸化が起こり、歩留まりが
悪くなり、更にバラツキも大きくなるからである。特
に、磁性金属粒粉物の粒度は、メジアン径で5mm以下で
あるのが好ましい。粒度がメジアン径で5mmを超える
と、磁性金属粒粉物同士の隙間に熔湯が差し込み易くな
る傾向が生じる。なお、メジアン径は、書籍(粉体「理
論と応用」、丸善株式会社、昭和60年5月15日改訂、第4
50頁)に記載されているものである。
【0020】磁性金属粒粉物を、Mg合金に振り掛ける
際において、その振り掛け量は、Mg合金が十分に被覆
される程度であれば良い。一般的に、Mg合金重量に対
して、0.5〜3倍重量の磁性金属粒粉物を振り掛ければ良
い。振り掛け量が0.5倍重量未満であると、Mg合金同
士の隙間に落下しにくい磁性金属粒粉物であっても、M
g合金を十分に被覆することが困難になる傾向が生じ
る。また、振り掛け量が3倍重量を超えると、磁性を持
たない金属粒粉であっても、Mg合金を十分に被覆する
ことができる程度になり、本発明の特徴が減殺される傾
向となる。
【0021】以上のようにして、取鍋底にMg合金を置
いた後、その上に磁性金属粒粉物を振り掛けて、Mg合
金表面を被覆する。そして、そのあと従来公知の方法
で、熔湯を取鍋に注ぎ入れ、次いで鋳込みを行えば、品
質の良好なダクタイル鋳鉄を得ることができるのであ
る。
【0022】
【実施例】 実施例1 Mg−Si−Fe合金(商品名NFCR−5.5…信越
化学工業株式会社製のMg5.66%,Si45%,RE(希
土類元素)1.3%,Ca1.67%,残部鉄の組成を持つも
の)の5〜15mmの粒子2kgを取鍋のポケット部に挿入し
た。そして、電磁石によって磁化させた使用済みFSス
チールショット玉(ムツヤ鋼粒株式会社製、SIZE No.10
0、メジアン径1mm)1.5kgを、Mg−Si−Fe合金上
に振り掛けて、その表面に被せた。この取鍋に、高周波
炉で溶解させた熔湯(C3.73%及びSi1.78%を含有す
るもの)200kgを1500℃で出湯し、マグネシウム処理を
行った。その後、鋳込温度1350℃でY型B号供試材鋳型
に注湯してダクタイル鋳鉄を得た。
【0023】そして、このダクタイル鋳鉄中におけるマ
グネシウム量を測定し残留Mg%を求め、更にMgの歩
留まり%を求めた。また、得られたダクタイル鋳鉄の引
張強度を測定した。更に、取鍋に出湯した際における、
反応状態も観察した。これらの結果は、表1に示した。
なお、残留Mg%等の測定方法及び算出方法は、以下の
とおりである。 [残留Mg%]:反応終了後(出湯開始から約2分経過
後)の熔湯から直ちにチル試験片をつくり、JIS G 1257
(原子吸光分析)で求めた。 [Mgの歩留まり%]:Mgの歩留まり%=[(残留M
g%)/(熔湯への添加Mg%)]×100なる式によっ
て算出した。 [ダクタイル鋳鉄の引張強度]:Y型B号供試材から、
JIS Z 2201に基づき、引張試験片をつくり、JIS Z 2241
に基づき、引張強度を求めた。
【0024】
【表1】
【0025】比較例1 実施例1で使用したのと同一のMg−Si−Fe合金の
粒子2kgを取鍋のポケット部に挿入し、なにも処理して
いないショット玉(実施例1で使用したのと同一のもの
で磁性をもたないもの)1.5kgを、Mg−Si−Fe合
金上に振り掛けて、その表面に被せた。この取鍋に、高
周波炉で溶解させた熔湯(C3.69%及びSi1.74%を含
有するもの)200kgを1500℃で出湯し、マグネシウム処
理を行った。その後、鋳込温度1350℃でY型B号供試材
鋳型に注湯してダクタイル鋳鉄を得た。そして、実施例
1と同様に残留Mg%等を求め、この結果を表1に示し
た。
【0026】実施例2 実施例1で使用したのと同一のMg−Si−Fe合金の
粒子2kgを取鍋のポケット部に挿入し、予め電磁石で磁
化させたダライ粉(メジアン径0.15mm)2kgを、Mg−
Si−Fe合金上に振り掛けて、その表面に被せた。こ
の取鍋に高周波炉で溶解させた熔湯(C3.69%及びSi
1.74%を含有するもの)210kgを1500℃で出湯し、マグ
ネシウム処理を行った。その後、鋳込温度1350℃でY型
B号供試材鋳型に注湯してダクタイル鋳鉄を得た。そし
て、実施例1と同様に残留Mg%等を求め、この結果を
表1に示した。
【0027】比較例2 実施例1で使用したのと同一のMg−Si−Fe合金の
粒子2kgを取鍋のポケット部に挿入し、なにも処理して
いないダライ粉(実施例2で使用したもので磁性をもた
ないもの)2kgを、Mg−Si−Fe合金上に振り掛け
て、その表面に被せた。この取鍋に、高周波炉で溶解さ
せた熔湯(C3.72%及びSi1.80%を含有するもの)20
0kgを1500℃で出湯し、マグネシウム処理を行った。そ
の後、鋳込温度1350℃でY型B号供試材鋳型に注湯して
ダクタイル鋳鉄を得た。そして、実施例1と同様に残留
Mg%等を求め、この結果を表1に示した。
【0028】実施例3 実施例1で使用したのと同一のMg−Si−Fe合金の
粒子2kgを取鍋のポケット部に挿入し、予め電磁石で磁
化させたポンチ屑(メジアン径4mm)2.5kgを、Mg−S
i−Fe合金上に振り掛けて、その表面に被せた。この
取鍋に、高周波炉で溶解させた熔湯(C3.70%及びSi
1.80%を含有するもの)200kgを1500℃で出湯し、マグ
ネシウム処理を行った。その後、鋳込温度1350℃でY型
B号供試材鋳型に注湯してダクタイル鋳鉄を得た。そし
て、実施例1と同様に残留Mg%等を求め、この結果を
表1に示した。
【0029】比較例3 実施例1で使用したのと同一のMg−Si−Fe合金の
粒子2kgを取鍋のポケット部に挿入し、なにも処理して
いないポンチ屑(実施例3で使用したもので磁性をもた
ないもの)2.5kgを、Mg−Si−Fe合金上に振り掛
けて、その表面に被せた。この取鍋に、高周波炉で溶解
させた熔湯(C3.74%及びSi1.81%を含有するもの)
200kgを1500℃で出湯し、マグネシウム処理を行った。
その後、鋳込温度1350℃でY型B号供試材鋳型に注湯し
てダクタイル鋳鉄を得た。そして、実施例1と同様に残
留Mg%等を求め、この結果を表1に示した。
【0030】実施例1〜3及び比較例1〜3の結果から
明らかなように、実施例に係る方法は、磁化させた金属
粒粉を使用しているので、磁性を持たない金属粒粉を使
用した比較例に係る方法に比べて、得られたダクタイル
鋳鉄中における残留Mg%が多く、Mgの歩留まりが向
上していることが判る。また、マグネシウム処理が効率
良く行われているので、得られたダクタイル鋳鉄の引張
強度が向上しており、黒鉛球状化が均一に行われている
ことが判る。更に、実施例に係る方法においては、出湯
後における白煙の発生が少なく、作業環境の悪化を防止
することができ、公害対策上有益であることが判る。
【0031】
【作用】本発明に係る方法は、取鍋底に置いたMg合金
上に、磁性金属粒粉物を振り掛けて、Mg合金を被覆す
るこというものである。従って、磁性金属粒粉物は、そ
れ同士がくっついているため、粒体或いは粉体等のMg
合金同士の隙間に落下しにくい。依って、磁性金属粒粉
物は、Mg合金上で一枚の布の如き状態となって、Mg
合金を良好に被覆するのである。
【0032】
【発明の効果】従って、本発明に係る方法を採用すれ
ば、取鍋底に置かれたMg合金の表面を被覆するのに、
比較的少量の磁性金属粒粉物で良好に被覆することがで
きるという効果を奏する。従って、使用する金属粒粉の
量を節約することができると共に、金属粒粉の使用量が
少ないため、得られるダクタイル鋳鉄に不純物が混入す
る割合が低下し、機械的性能(引張強度)の良好なダク
タイル鋳鉄を得ることができるという効果を奏する。更
に、磁性金属粒粉物は、磁性によって相互にくっついて
いるので、出湯した場合にも、熔湯の外力で磁性金属粒
粉物同士が飛び散ったり、相互に分離したりすることが
少ない。即ち、出湯時等においても、良好にMg合金を
被覆していることになって、大量の白煙が発生しにく
く、公害対策上からも非常に有益なものである。そし
て、このような白煙が発生しにくいため、Mg合金中の
マグネシウムが歩留まり良く熔湯中に溶解し、均一な黒
鉛球状化が行われ、高品質のダクタイル鋳鉄が得られる
という効果を奏するのである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鉄の黒鉛球状化処理時において、取鍋
    底に置かれたMg合金上に、磁性を有する金属粒粉を含
    有する粒粉物を振り掛けた後、該取鍋に熔湯を注ぐこと
    を特徴とするダクタイル鋳鉄の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋳鉄の黒鉛球状化処理時において、取鍋
    底に置かれたMg合金を、磁性を有する金属粒粉を含有
    する粒粉物で被覆した後、該取鍋に熔湯を注ぐことを特
    徴とするダクタイル鋳鉄の製造方法。
  3. 【請求項3】 Mg合金の粒度よりも、磁性を有する金
    属粒粉を含有する粒粉物の粒度の方が小さい、請求項1
    又は2記載のダクタイル鋳鉄の製造方法。
  4. 【請求項4】 磁性を有する金属粒粉を含有する粒粉物
    の粒度がメジアン径で5mm以下である、請求項1及至3
    のいずれか一項に記載のダクタイル鋳鉄の製造方法。
JP18284094A 1994-07-11 1994-07-11 ダクタイル鋳鉄の製造方法 Expired - Fee Related JP3167083B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18284094A JP3167083B2 (ja) 1994-07-11 1994-07-11 ダクタイル鋳鉄の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18284094A JP3167083B2 (ja) 1994-07-11 1994-07-11 ダクタイル鋳鉄の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0820812A JPH0820812A (ja) 1996-01-23
JP3167083B2 true JP3167083B2 (ja) 2001-05-14

Family

ID=16125382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18284094A Expired - Fee Related JP3167083B2 (ja) 1994-07-11 1994-07-11 ダクタイル鋳鉄の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3167083B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6065792B2 (ja) * 2013-09-18 2017-01-25 Jfeスチール株式会社 溶銑出湯中の発煙防止方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0820812A (ja) 1996-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6918846B2 (ja) 鋳鉄接種剤及び鋳鉄接種剤の製造方法
JP4974591B2 (ja) 黒鉛球状化剤およびこれを用いた球状黒鉛鋳鉄の製造方法
US6533998B2 (en) Process for producing nodular cast iron, and casting produced using this process
US3833361A (en) Method for adding special elements to molten pig iron
JPH0280505A (ja) 球状黒鉛鋳鉄の製造方法
US4889688A (en) Process of producing nodular cast iron
US6293988B1 (en) Inoculant and inoculant method for gray and ductile cast irons
CN111742065A (zh) 铸铁孕育剂以及用于生产铸铁孕育剂的方法
FI63258B (fi) Vid framstaellning av segjaern anvaendbart behandlingsmedel
JP3167083B2 (ja) ダクタイル鋳鉄の製造方法
JP2005528522A (ja) 鋳造銑鉄処理用のミクロひけ巣を防止する接種合金
JP6993646B2 (ja) 鋳鉄用接種剤
Zuo et al. Al-Si-P master alloy and its modification and refinement performance on Al-Si alloys
JP2634707B2 (ja) 球状黒鉛鋳鉄の製造方法
RU2772147C2 (ru) Модификатор чугуна и способ получения модификатора чугуна
US4338129A (en) Production of vermicular graphite cast iron
CN113329832B (zh) 模具粉末和模具涂层
RU2772149C2 (ru) Модификатор чугуна и способ получения модификатора чугуна
JPH01268830A (ja) SiC分散鋳造複合材料の製造法
RU2772150C2 (ru) Модификатор чугуна и способ получения модификатора чугуна
RU2156809C1 (ru) Способ получения высокопрочного чугуна
RU2177041C1 (ru) Способ получения серого чугуна
JP2000256722A (ja) 球状黒鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法
SU1708909A1 (ru) Модификатор дл чугуна
JP2862677B2 (ja) 銅合金の溶解、鋳造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees