JP2000256722A - 球状黒鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法

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JP2000256722A JP11065500A JP6550099A JP2000256722A JP 2000256722 A JP2000256722 A JP 2000256722A JP 11065500 A JP11065500 A JP 11065500A JP 6550099 A JP6550099 A JP 6550099A JP 2000256722 A JP2000256722 A JP 2000256722A
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裕二 岡田
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昿▲爾▼ 岡内
Masanobu Takeda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】SiCの黒鉛化促進能を効果的に発揮させるこ
とにより、Fe−Si系接種剤の使用量増大による球状
黒鉛鋳鉄中の珪素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆くな
ることを抑えることができ、しかも鋳鉄中の珪素含有量
を従来と同等に維持しつつ、従来よりもアズキャストフ
ェライト化を促進させる。 【解決手段】球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接触
させられる球状黒鉛鋳鉄用接種剤であって、SiC粉末
と少なくともFe−Si系合金とを複合化してなること
を特徴とする。この接種剤は、SiC粉末のように浮上
して溶湯表面に偏在することがなく、溶湯内で均一分散
させることができる。よって、SiCによる接種効果
(黒鉛化促進能)を効果的に発揮させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は球状黒鉛鋳鉄用接種
剤及びその製造方法に関し、詳しくは球状黒鉛鋳鉄のア
ズキャストフェライト化を促進させるのに有利な球状黒
鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】球状黒鉛鋳鉄を鋳造する際、鋳鉄の基地
組織や機械的性質を改善したり、あるいはチル化を防止
したりすること等を目的として、鋳型に鋳込む直前の溶
湯中に接種剤を添加する溶湯処理が行われている。そし
て、球状黒鉛鋳鉄において低コスト化及び高品質化を図
る上で、黒鉛を微細化、多晶出化させることにより基地
中のフェライト組織を増やすこと、すなわちアズキャス
トフェライト化を促進することが望まれる。なお、アズ
キャストフェライト化とは、鋳造後に熱処理を施すこと
なく、鋳放しの状態で基地組織をフェライト化させるこ
とをいう。
【0003】球状黒鉛鋳鉄のフェライト化促進用の接種
剤としては、Fe−Si系のものが従来より用いられて
いる。Fe−Si系の接種剤では、珪素の効果を利用し
てパーライトが発生する領域を抑制するとともに、黒鉛
核を増加させることにより、フェライト化を促進させる
ことができる。一方、特開平1−136919号公報や
特開昭63−413号公報には、球状化処理剤としての
Fe−Si−Mgと、黒鉛化促進剤としてのSiCやC
aC2とを取り鍋内に装填しておき、この取り鍋内に溶
湯を装入して球状化処理を行い、さらに鋳型に鋳込む直
前の溶湯中に接種剤としてのFe−Siを添加する鋳造
方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Fe−
Si系の接種剤の単独使用によりフェライト化を促進さ
せる場合、接種剤の単位使用量当たりの黒鉛核増加には
限界があることから、フェライト化をより促進させるた
めには、Fe−Si系の接種剤の使用量を増やす必要が
ある。ところが、Fe−Si系接種剤の使用量増加によ
り球状黒鉛鋳鉄中の珪素含有量が増大すると、鋳鉄製品
の耐衝撃性が低下し、脆い鋳鉄となってしまうという問
題がある。
【0005】一方、SiCは球状黒鉛鋳鉄の黒鉛化を促
進させる黒鉛化促進能を有しているが、SiCはかさ比
重が1.14と溶湯(比重6.5〜6.9程度)の比重
よりも小さい。このため、SiC粉末を単独で溶湯中に
添加した場合、SiC粉末が溶湯中で浮上して溶湯表面
に偏在してしまうことから、溶湯中でSiC粉末を均一
に分散した状態で存在させることが困難となり、SiC
の黒鉛化促進能を十分に発揮させることができない。
【0006】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、SiCの黒鉛化促進能を効果的に発揮させること
により、Fe−Si系接種剤の使用量増大による球状黒
鉛鋳鉄中の珪素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆くなる
ことを抑えることができ、しかも鋳鉄中の珪素含有量を
従来と同等に維持しつつ、従来よりもアズキャストフェ
ライト化を促進させることのできる球状黒鉛鋳鉄用接種
剤を提供することを解決すべき技術課題とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の球状黒鉛鋳鉄用接種剤は、球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理
の際に溶湯に接触させられる球状黒鉛鋳鉄用接種剤であ
って、SiC粉末と少なくともFe−Si系合金とを複
合化してなることを特徴とするものである。上記課題を
解決する本発明の球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法は、
球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接触させられる、
SiC粉末と少なくともFe−Si系合金とを複合化し
てなる球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法であって、上記
SiC粉末以外の材料が全て溶融し、かつ、該SiC粉
末が溶融も軟化もしない第1設定温度で該SiC粉末以
外の材料を溶融させて溶融物を得る第1工程と、上記第
1設定温度から少なくとも上記SiC粉末が軟化する第
2設定温度まで昇温する間に上記溶融物に該SiC粉末
を投入して、該SiC粉末を軟化させつつ該溶融物中で
均一分散させる第2工程と、上記軟化したSiC粉末を
均一分散させた状態で上記溶融物を冷却、固化させる第
3工程とを順に実施することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】SiCは、鋳鉄の凝固の際の黒鉛
化を促進する黒鉛化促進能を備えている。本発明は、こ
のSiCの黒鉛化促進能を利用して、アズキャストフェ
ライト化の促進を図るものである。すなわち、SiC
は、溶湯中の酸素と反応して下記(1)式に示すように
Si及びSiO2 を生成する。
【0009】 2SiC+2O2 →Si+SiO2 +2CO …(1) そして、上記(1)式の反応により生成したSi及びS
iO2 とFe−Siとが溶湯に同時に接触することによ
り、以下に示すような化学反応を起こす。すなわち、上
記(1)式の反応により生成したSi、SiO2 及びC
OとFe−Siとが下記(2)式に示す反応をして、そ
の結果Fe中にC及びSiが固溶する。なお、SiO2
はクリストバライトの状態で存在する。
【0010】 (Si+SiO2 +2CO)+(Fe−Si) →Si[Fe(C)+SiO2 ]+SiO2 →Fe(Si・C)+2SiO2 …(2) こうしてFe中に固溶したC及びSi並びにクリストバ
ライトの状態にあるSiO2 が黒鉛核として作用し、そ
の結果溶湯の凝固の際に発生する黒鉛粒数が増加する。
黒鉛粒数が増加すれば、各黒鉛核同士の距離が短くな
る。これにより、パーライト基地中のC原子(セメンタ
イト(Fe3 C)として存在するC原子)と黒鉛核との
距離が短くなるので、当該C原子が黒鉛核まで到達する
可能性が高まる。その結果、パーライト基地が減少し、
その分フェライト基地が増加する。よって、アズキャス
トフェライト化が促進される。
【0011】本発明の球状黒鉛鋳鉄用接種剤は、かかる
黒鉛化促進能を備えたSiC粉末と少なくともFe−S
i系合金とを複合化してなる。このため、この接種剤の
比重は、SiC粉末の比重とFe−Si系合金の比重
(1.70〜2.40程度)との配合割合に応じた中間
値となってSiC粉末単独での比重よりも大きくなる。
したがって、この接種剤を球状黒鉛鋳鉄の溶湯中に添加
すれば、SiC粉末のように浮上して溶湯表面に偏在す
ることなく、溶湯内で均一分散させることができる。よ
って、SiCによる接種効果(黒鉛化促進能)を効果的
に発揮させることができる。
【0012】そして、この接種剤を溶湯処理、例えば注
湯直前に行う湯流れ接種により、球状黒鉛鋳鉄の溶湯に
接触させると、接種剤中のSiC粉末以外の材料が溶湯
内に溶け出す。これにより、SiC粉末とFe−Si合
金とが溶湯に同時に接触する。このとき、Fe−Si系
合金と溶湯中の酸素との酸化発熱反応による反応熱によ
り、上記(1)式に示す反応が促進され、Si及びSi
2 の量が増大する。そして、このSi及びSiO2
Fe−Siとが溶湯に同時に接触することにより、上記
(2)式に示す反応が起こり、SiCによる黒鉛化促進
能が発揮され、アズキャストフェライト化が促進され
る。
【0013】このように本発明の球状黒鉛鋳鉄用接種剤
は、SiC及びFe−Siの双方による接種効果(黒鉛
化促進能)を相乗的に発揮させることができるので、F
e−Si系接種剤を単独で用いる場合と比較して、Fe
−Si系接種剤の使用量増大による球状黒鉛鋳鉄中の珪
素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆くなることを抑える
ことができる。また、上述のとおりSiCから生成した
Cが黒鉛核として作用し、このCによってもアズキャス
トフェライト化が促進されるので、鋳鉄中の珪素(S
i)含有量を従来と同等に維持しつつ、従来よりもアズ
キャストフェライト化を促進させることが可能となる。
【0014】ここに、上記SiC粉末の粒径としては、
平均粒径で1〜5mm程度とすることが好ましい。1m
mよりも小さいと、Fe−Si系合金等と複合化して接
種剤を製造する際に、溶融物中でSiC粉末を均一分散
させることが困難となる。一方、5mmよりも大きい
と、質量に対する表面積が大きくなり反応に時間がかか
るため、SiCによる溶湯の脱酸効果を十分に期待でき
なくなるとともに、SiCによるアズキャストフェライ
ト化の促進効果も十分に期待できなくなる。
【0015】また、接種剤中に含まれるSiC粉末の量
については、接種剤全体を100wt%としたときはS
iC粉末を1〜30wt%とすることが好ましく、また
Fe−Si系合金を100wt%としたときはSiC粉
末を5〜50wt%とすることが好ましい。SiC粉末
の量が上記範囲よりも少ないと、SiC粉末によるアズ
キャストフェライト化の促進効果を十分に発揮させるこ
とが困難となる。一方、SiC粉末の量が上記範囲より
も多いと、接種剤を製造する際に、SiC粉末を溶融物
中に均一分散させることが困難となる。なお、SiC粉
末の量については、最終的な球状黒鉛鋳鉄におけるSi
成分を調整するための加珪目的の観点からも上記範囲内
で適宜調整可能である。
【0016】本発明の球状黒鉛鋳鉄用接種剤には、上記
SiC粉末及びFe−Si系合金の他に、Ca−Si合
金、Ca−Si−Ba合金、Al、メタ−Si合金(A
l、CaやFe等の不純物金属とSiとの合金)、F
e、Ni等を適宜複合化させることができる。本発明の
球状黒鉛鋳鉄用接種剤は、SiC粉末以外の材料が全て
溶融し、かつ、該SiC粉末が溶融も軟化もしない第1
設定温度で該SiC粉末以外の材料を溶融させて溶融物
を得る第1工程と、上記第1設定温度から少なくとも上
記SiC粉末が軟化する第2設定温度まで昇温する間に
上記溶融物に該SiC粉末を投入して、該SiC粉末を
軟化させつつ該溶融物中で均一分散させる第2工程と、
上記軟化したSiC粉末を均一分散させた状態で上記溶
融物を冷却、固化させる第3工程とを順に実施すること
により製造することができる。
【0017】SiCの融点は2700℃以上とFe−S
i系合金の融点(1200〜1350℃程度)と比べて
かなり高く、またSiCは1480〜1520℃程度の
温度で軟化する。そこで、本発明の球状黒鉛鋳鉄用接種
剤の製造方法では、第1工程において、SiC粉末以外
の材料が全て溶融し、かつ、該SiC粉末が溶融も軟化
もしない第1設定温度で該SiC粉末以外の材料を溶融
させて溶融物を得る。この第1設定温度はSiC粉末以
外の材料の融点に応じて適宜設定可能である。
【0018】そして、第2工程では、上記第1設定温度
から少なくともSiC粉末が軟化する第2設定温度まで
昇温し、この昇温する間に上記溶融物にSiC粉末を投
入して、該SiC粉末を軟化させつつ該溶融物中で均一
分散させる。このようにSiC粉末を軟化させることに
より、SiC粉末の表面にFe−Siがコーティングさ
れ、均一な複合状態となるため、第1設定温度では不可
能であったSiC粉末の均一分散を図ることができる。
この第2設定温度は1480〜1520℃程度とするこ
とができる。第2設定温度が1480℃よりも低いとS
iC粉末が軟化せず、一方1520℃よりも高いとSi
C粉末以外の材料への影響が発生する。なお、SiC粉
末が軟化しうる最低温度(1480℃)を以下、「軟化
最低温度」という。
【0019】また、SiC粉末を投入する際には、溶融
物中にSiC粉末を均一分散させる観点より、上記軟化
最低温度から徐々に(2〜5℃/分程度の昇温割合)昇
温させながらSiC粉末を投入することが好ましい。S
iC粉末を均一分散させる上では上記軟化最低温度から
の昇温割合が2℃/分以上であれば十分であり、昇温割
合がこれよりも低ければ、処理時間が長時間化するだけ
で好ましくない。一方、昇温割合が5℃/分よりも高け
れば、SiC粉末を均一分散させるのが困難となる。
【0020】さらに、SiC粉末の投入は、溶融物中に
SiC粉末を均一分散させる観点より、なるべく少量ず
つ複数回に分けて行うことが好ましい。また、同様の観
点より、溶融物を攪拌しながらSiC粉末を投入するこ
とが好ましく、またSiC粉末を投入し終えた後に、さ
らに溶融物を攪拌することが好ましい。第3工程では、
軟化したSiC粉末を均一分散させた状態で溶融物を冷
却、固化させる。ここに、上記第2工程で軟化したSi
C粉末を均一分散させた溶融物は、一旦1500〜15
20℃程度の温度で保持し、その後溶解炉から所定の型
内に該溶融物を注入して、冷却、固化させることが好ま
しい。こうすることで、溶解炉から型へ搬送する間の温
度低下や溶融物が型に接触することによる温度低下に伴
う溶融物の異常凝固を防ぐことができ、ひいてはSiC
粉末の均一分散性を高めることが可能となる。
【0021】上記第1〜第3工程を経て得られた金属塊
を所定の粒径に粉砕することにより、本発明の球状黒鉛
鋳鉄用接種剤を製造することができる。こうして得られ
た接種剤は、SiC粉末がFe−Si合金等中に均一分
散したものとなる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。 (実施例)本実施例の球状黒鉛鋳鉄用接種剤を製造する
に当たり、以下の粉末材料を準備した。
【0023】 Fe−Si合金(Fe−75%Si合金) :28.8kg Ca−Si合金(Ca−60%Si合金) :0.9kg Ca−Si−Ba合金(Ca−55%Si−15%Ba):5.4kg Al :2.1kg メタ−Si合金(Si含有量:98%) :35.2kg Fe :8.0kg SiC :12.0kg 配合量の総計 :92.4kg ここに、上記SiC粉末の平均粒径は2mmである。ま
た、SiC粉末の量は、配合する粉末材料全体を100
wt%としたときはSiC粉末が約13wt%であり、
Fe−Si系合金を100wt%としたときはSiC粉
末が約42wt%である。
【0024】〔第1工程〕誘導溶解炉を用いて、SiC
粉末以外の粉末材料が全て溶融し、かつ、該SiC粉末
が溶融も軟化もしない第1設定温度(本実施例では14
10℃)で該SiC粉末以外の粉末材料を溶融させて溶
融物を得た。 〔第2工程〕そして、上記第1設定温度から少なくとも
SiC粉末が軟化する第2設定温度(本実施例では15
00℃)まで昇温した。この際、第1設定温度の141
0℃から前記軟化最低温度たる1480℃まで昇温した
後、1480℃から第2設定温度の1500℃まで7分
かけて昇温した(このときの昇温割合は2.86℃/分
程度である)。この1480℃から1500℃まで徐々
に昇温する間にSiC粉末を2〜3kgずつ投入し、1
500℃に到達した時点でSiC粉末を全部投入し終え
た。
【0025】なお、このとき溶解炉内に鉄筋を入れて炉
内の状況を調べたところ、溶解炉の側壁部及び底部に軟
化状態のSiC粉末が偏在していることが確認された。
そこで、上記鉄筋で溶融物を攪拌することにより、該溶
融物中でSiC粉末を均一分散させた。 〔第3工程〕そして、1500℃から1520℃まで一
旦昇温、保持した後、溶解炉から所定の型内に該溶融物
を注入して、冷却、固化させた。
【0026】〔第4工程〕得られた金属塊を粉砕し、平
均粒径が2mmの球状黒鉛鋳鉄用接種剤を製造した。こ
うして得られた接種剤を用いて、以下のように球状黒鉛
鋳鉄を鋳造した。まず、高周波溶解炉を用いて溶解した
所定の組成の球状黒鉛鋳鉄の溶湯を準備した。そして、
Mgを取鍋底に置いて溶湯と反応させる置き注ぎ法の一
種たるサンドイッチ法を用いて球状化処理を行った。す
なわち、取鍋底が隔壁により上部開放の二室に区分けさ
れた取鍋(図示せず)を準備し、一方の室に球状化処理
剤を充填するとともに、この球状化処理剤の上に上記カ
バー材を積層して球状化処理剤を該カバー材で完全に被
覆する。そして、取鍋底の他方の室から溶湯を供給し、
取鍋内に溶湯を充填する。このとき、取鍋底の他方の室
に溶湯が充填された後、この室からあふれた溶湯がカバ
ー材の上に注がれる。隔壁により取鍋底を上方が開放さ
れた二室に分け、一方の室に球状化処理剤(Fe−45
%Si−4.8%Mg合金)を充填するとともにこの球
状化処理剤の上に多数の鉄系小片(ポンチ屑)よりなる
カバー材を積層して、球状化処理剤をカバー材で完全に
被覆した。そして、取鍋底の他方の室から溶湯を供給
し、取鍋内に溶湯を充填した。なお、このときの溶湯温
度は1520℃である。また溶湯重量に対する球状化処
理剤の割合は1.0%である。
【0027】そして、溶湯を取鍋内に充填し終わった
後、直ぐに上記球状黒鉛鋳鉄用接種剤を湯流れ接種しな
がら図示しない鋳型内に注湯した。なお、溶湯を100
wt%としたとき、球状黒鉛鋳鉄用接種剤の割合は0.
2wt%である。また、このときの注湯温度は1400
℃である。そして、ばらし時間:60分として鋳造後、
鋳放しすることにより所定形状(自動車部品としてのス
テアリングナックル)の球状黒鉛鋳鉄を製造した。な
お、球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成は、表1に示す通りで
ある。
【0028】
【表1】 (比較例1)SiC粉末を複合化した上記球状黒鉛鋳鉄
用接種剤を用いる代わりに、Fe−Si合金(Fe−7
5%Si合金)粉末よりなる接種剤を用いること以外
は、上記実施例と同様にして球状黒鉛鋳鉄を製造した。
なお、得られた球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成が上記実施
例のものと同じになるように溶湯組成を調整した。
【0029】(比較例2)SiC粉末を複合化した上記
球状黒鉛鋳鉄用接種剤を用いる代わりに、Fe−Si合
金(Fe−75%Si合金)粉末とSiC粉末とを均一
に混合して得られた混合粉末よりなる接種剤を用いるこ
と以外は、上記実施例と同様にして球状黒鉛鋳鉄を製造
した。なお、混合粉末におけるFe−Si合金粉末とS
iC粉末との配合割合は、Fe−Si合金粉末を100
wt%としたときSiC粉末が約40wt%である。ま
た、Fe−Si合金粉末の平均粒径は2mmであり、S
iC粉末の平均粒径は2mmである。さらに、得られた
球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成が上記実施例のものと同じ
になるように溶湯組成を調整した。
【0030】(アズキャストフェライト化の評価)上記
実施例及び比較例1で得られた球状黒鉛鋳鉄について、
金属組織を顕微鏡写真(50倍)で調べた。比較例1の
球状黒鉛鋳鉄の金属組織を図1(a)に、本実施例の球
状黒鉛鋳鉄の金属組織を図1(b)に示すように、本実
施例のものは比較例1のものと比べて微細、かつ、多数
の黒鉛が晶出しており、アズキャストフェライト化が大
幅に促進されていた。
【0031】また、上記実施例並びに比較例1及び2の
球状黒鉛鋳鉄について、パーライト面積率及び黒鉛粒数
を調べた。なお、パーライト面積率は、画像解析装置に
より、黒鉛、フェライトを除いたパーライトの面積率を
調べたものである。また、黒鉛粒数は、画像解析装置に
より、肉厚が25mmの部位の中央付近において視野1
mm2 中の黒鉛粒数を調べたものである。
【0032】パーライト面積率の結果を図2及び表2に
示し、黒鉛粒数の結果を図3及び表2に示すように、本
実施例の球状黒鉛鋳鉄は、比較例1及び2の球状黒鉛鋳
鉄と比べてパーライト面積率が大幅に減少しており、ま
た黒鉛粒数が比較例1の2倍程度以上となっており、ア
ズキャストフェライト化が大幅に促進されていることが
わかる。
【0033】なお、Fe−Si合金粉末とSiC粉末と
の混合粉末よりなる接種剤を用いた比較例2におけるア
ズキャストフェライト化の促進効果は、Fe−Si合金
粉末単独の接種剤を用いた比較例1のものよりも優れて
いたが、本実施例のものよりは劣っていた。これは、S
iC粉末が溶湯中で浮上してしまい、SiCによる黒鉛
化促進能が十分に発揮されなかったためである。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の球状黒鉛鋳
鉄用接種剤によれば、SiC及びFe−Siの双方によ
る接種効果(黒鉛化促進能)を相乗的に発揮させること
ができるので、Fe−Si系接種剤を単独で用いる場合
と比較して、Fe−Si系接種剤の使用量増大による球
状黒鉛鋳鉄中の珪素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆く
なることを抑えることができる。また、SiCから生成
したCが黒鉛核として作用し、このCによってもアズキ
ャストフェライト化が促進されるので、鋳鉄中の珪素
(Si)含有量を従来と同等に維持しつつ、従来よりも
アズキャストフェライト化を促進させることが可能とな
る。
【0036】したがって、フェライト化を促進するため
の鋳造後の加熱処理が不要となり、その分低コスト化を
図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は比較例1の球状黒鉛鋳鉄の金属組織を
示す顕微鏡写真(50倍)であり、(b)は本実施例の
球状黒鉛鋳鉄の金属組織を示す顕微鏡写真(50倍)で
ある。
【図2】本実施例及び比較例1、2の球状黒鉛鋳鉄につ
いて、パーライト面積率を調べた結果を示す図である。
【図3】本実施例及び比較例1、2の球状黒鉛鋳鉄につ
いて、黒鉛粒数を調べた結果を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 水野 慎也 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 岡田 裕二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 岡内 昿▲爾▼ 高知県高知市萩町2丁目2番25号 東洋電 化工業株式会社内 (72)発明者 武田 正信 愛知県名古屋市東区東桜1丁目9番29号 東洋電化工業株式会社内 Fターム(参考) 4K014 BA03 BC13 BC14 BD03 BD08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接
    触させられる球状黒鉛鋳鉄用接種剤であって、SiC粉
    末と少なくともFe−Si系合金とを複合化してなるこ
    とを特徴とする球状黒鉛鋳鉄用接種剤。
  2. 【請求項2】 球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接
    触させられる、SiC粉末と少なくともFe−Si系合
    金とを複合化してなる球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法
    であって、 上記SiC粉末以外の材料が全て溶融し、かつ、該Si
    C粉末が溶融も軟化もしない第1設定温度で該SiC粉
    末以外の材料を溶融させて溶融物を得る第1工程と、 上記第1設定温度から少なくとも上記SiC粉末が軟化
    する第2設定温度まで昇温する間に上記溶融物に該Si
    C粉末を投入して、該SiC粉末を軟化させつつ該溶融
    物中で均一分散させる第2工程と、 上記軟化したSiC粉末を均一分散させた状態で上記溶
    融物を冷却、固化させる第3工程とを順に実施すること
    を特徴とする球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法。
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