JP2000256722A - 球状黒鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法 - Google Patents
球状黒鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法Info
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Abstract
とにより、Fe−Si系接種剤の使用量増大による球状
黒鉛鋳鉄中の珪素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆くな
ることを抑えることができ、しかも鋳鉄中の珪素含有量
を従来と同等に維持しつつ、従来よりもアズキャストフ
ェライト化を促進させる。 【解決手段】球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接触
させられる球状黒鉛鋳鉄用接種剤であって、SiC粉末
と少なくともFe−Si系合金とを複合化してなること
を特徴とする。この接種剤は、SiC粉末のように浮上
して溶湯表面に偏在することがなく、溶湯内で均一分散
させることができる。よって、SiCによる接種効果
(黒鉛化促進能)を効果的に発揮させることができる。
Description
剤及びその製造方法に関し、詳しくは球状黒鉛鋳鉄のア
ズキャストフェライト化を促進させるのに有利な球状黒
鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法に関する。
組織や機械的性質を改善したり、あるいはチル化を防止
したりすること等を目的として、鋳型に鋳込む直前の溶
湯中に接種剤を添加する溶湯処理が行われている。そし
て、球状黒鉛鋳鉄において低コスト化及び高品質化を図
る上で、黒鉛を微細化、多晶出化させることにより基地
中のフェライト組織を増やすこと、すなわちアズキャス
トフェライト化を促進することが望まれる。なお、アズ
キャストフェライト化とは、鋳造後に熱処理を施すこと
なく、鋳放しの状態で基地組織をフェライト化させるこ
とをいう。
剤としては、Fe−Si系のものが従来より用いられて
いる。Fe−Si系の接種剤では、珪素の効果を利用し
てパーライトが発生する領域を抑制するとともに、黒鉛
核を増加させることにより、フェライト化を促進させる
ことができる。一方、特開平1−136919号公報や
特開昭63−413号公報には、球状化処理剤としての
Fe−Si−Mgと、黒鉛化促進剤としてのSiCやC
aC2とを取り鍋内に装填しておき、この取り鍋内に溶
湯を装入して球状化処理を行い、さらに鋳型に鋳込む直
前の溶湯中に接種剤としてのFe−Siを添加する鋳造
方法が開示されている。
Si系の接種剤の単独使用によりフェライト化を促進さ
せる場合、接種剤の単位使用量当たりの黒鉛核増加には
限界があることから、フェライト化をより促進させるた
めには、Fe−Si系の接種剤の使用量を増やす必要が
ある。ところが、Fe−Si系接種剤の使用量増加によ
り球状黒鉛鋳鉄中の珪素含有量が増大すると、鋳鉄製品
の耐衝撃性が低下し、脆い鋳鉄となってしまうという問
題がある。
進させる黒鉛化促進能を有しているが、SiCはかさ比
重が1.14と溶湯(比重6.5〜6.9程度)の比重
よりも小さい。このため、SiC粉末を単独で溶湯中に
添加した場合、SiC粉末が溶湯中で浮上して溶湯表面
に偏在してしまうことから、溶湯中でSiC粉末を均一
に分散した状態で存在させることが困難となり、SiC
の黒鉛化促進能を十分に発揮させることができない。
あり、SiCの黒鉛化促進能を効果的に発揮させること
により、Fe−Si系接種剤の使用量増大による球状黒
鉛鋳鉄中の珪素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆くなる
ことを抑えることができ、しかも鋳鉄中の珪素含有量を
従来と同等に維持しつつ、従来よりもアズキャストフェ
ライト化を促進させることのできる球状黒鉛鋳鉄用接種
剤を提供することを解決すべき技術課題とするものであ
る。
明の球状黒鉛鋳鉄用接種剤は、球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理
の際に溶湯に接触させられる球状黒鉛鋳鉄用接種剤であ
って、SiC粉末と少なくともFe−Si系合金とを複
合化してなることを特徴とするものである。上記課題を
解決する本発明の球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法は、
球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接触させられる、
SiC粉末と少なくともFe−Si系合金とを複合化し
てなる球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法であって、上記
SiC粉末以外の材料が全て溶融し、かつ、該SiC粉
末が溶融も軟化もしない第1設定温度で該SiC粉末以
外の材料を溶融させて溶融物を得る第1工程と、上記第
1設定温度から少なくとも上記SiC粉末が軟化する第
2設定温度まで昇温する間に上記溶融物に該SiC粉末
を投入して、該SiC粉末を軟化させつつ該溶融物中で
均一分散させる第2工程と、上記軟化したSiC粉末を
均一分散させた状態で上記溶融物を冷却、固化させる第
3工程とを順に実施することを特徴とするものである。
化を促進する黒鉛化促進能を備えている。本発明は、こ
のSiCの黒鉛化促進能を利用して、アズキャストフェ
ライト化の促進を図るものである。すなわち、SiC
は、溶湯中の酸素と反応して下記(1)式に示すように
Si及びSiO2 を生成する。
iO2 とFe−Siとが溶湯に同時に接触することによ
り、以下に示すような化学反応を起こす。すなわち、上
記(1)式の反応により生成したSi、SiO2 及びC
OとFe−Siとが下記(2)式に示す反応をして、そ
の結果Fe中にC及びSiが固溶する。なお、SiO2
はクリストバライトの状態で存在する。
ライトの状態にあるSiO2 が黒鉛核として作用し、そ
の結果溶湯の凝固の際に発生する黒鉛粒数が増加する。
黒鉛粒数が増加すれば、各黒鉛核同士の距離が短くな
る。これにより、パーライト基地中のC原子(セメンタ
イト(Fe3 C)として存在するC原子)と黒鉛核との
距離が短くなるので、当該C原子が黒鉛核まで到達する
可能性が高まる。その結果、パーライト基地が減少し、
その分フェライト基地が増加する。よって、アズキャス
トフェライト化が促進される。
黒鉛化促進能を備えたSiC粉末と少なくともFe−S
i系合金とを複合化してなる。このため、この接種剤の
比重は、SiC粉末の比重とFe−Si系合金の比重
(1.70〜2.40程度)との配合割合に応じた中間
値となってSiC粉末単独での比重よりも大きくなる。
したがって、この接種剤を球状黒鉛鋳鉄の溶湯中に添加
すれば、SiC粉末のように浮上して溶湯表面に偏在す
ることなく、溶湯内で均一分散させることができる。よ
って、SiCによる接種効果(黒鉛化促進能)を効果的
に発揮させることができる。
湯直前に行う湯流れ接種により、球状黒鉛鋳鉄の溶湯に
接触させると、接種剤中のSiC粉末以外の材料が溶湯
内に溶け出す。これにより、SiC粉末とFe−Si合
金とが溶湯に同時に接触する。このとき、Fe−Si系
合金と溶湯中の酸素との酸化発熱反応による反応熱によ
り、上記(1)式に示す反応が促進され、Si及びSi
O2 の量が増大する。そして、このSi及びSiO2 と
Fe−Siとが溶湯に同時に接触することにより、上記
(2)式に示す反応が起こり、SiCによる黒鉛化促進
能が発揮され、アズキャストフェライト化が促進され
る。
は、SiC及びFe−Siの双方による接種効果(黒鉛
化促進能)を相乗的に発揮させることができるので、F
e−Si系接種剤を単独で用いる場合と比較して、Fe
−Si系接種剤の使用量増大による球状黒鉛鋳鉄中の珪
素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆くなることを抑える
ことができる。また、上述のとおりSiCから生成した
Cが黒鉛核として作用し、このCによってもアズキャス
トフェライト化が促進されるので、鋳鉄中の珪素(S
i)含有量を従来と同等に維持しつつ、従来よりもアズ
キャストフェライト化を促進させることが可能となる。
平均粒径で1〜5mm程度とすることが好ましい。1m
mよりも小さいと、Fe−Si系合金等と複合化して接
種剤を製造する際に、溶融物中でSiC粉末を均一分散
させることが困難となる。一方、5mmよりも大きい
と、質量に対する表面積が大きくなり反応に時間がかか
るため、SiCによる溶湯の脱酸効果を十分に期待でき
なくなるとともに、SiCによるアズキャストフェライ
ト化の促進効果も十分に期待できなくなる。
については、接種剤全体を100wt%としたときはS
iC粉末を1〜30wt%とすることが好ましく、また
Fe−Si系合金を100wt%としたときはSiC粉
末を5〜50wt%とすることが好ましい。SiC粉末
の量が上記範囲よりも少ないと、SiC粉末によるアズ
キャストフェライト化の促進効果を十分に発揮させるこ
とが困難となる。一方、SiC粉末の量が上記範囲より
も多いと、接種剤を製造する際に、SiC粉末を溶融物
中に均一分散させることが困難となる。なお、SiC粉
末の量については、最終的な球状黒鉛鋳鉄におけるSi
成分を調整するための加珪目的の観点からも上記範囲内
で適宜調整可能である。
SiC粉末及びFe−Si系合金の他に、Ca−Si合
金、Ca−Si−Ba合金、Al、メタ−Si合金(A
l、CaやFe等の不純物金属とSiとの合金)、F
e、Ni等を適宜複合化させることができる。本発明の
球状黒鉛鋳鉄用接種剤は、SiC粉末以外の材料が全て
溶融し、かつ、該SiC粉末が溶融も軟化もしない第1
設定温度で該SiC粉末以外の材料を溶融させて溶融物
を得る第1工程と、上記第1設定温度から少なくとも上
記SiC粉末が軟化する第2設定温度まで昇温する間に
上記溶融物に該SiC粉末を投入して、該SiC粉末を
軟化させつつ該溶融物中で均一分散させる第2工程と、
上記軟化したSiC粉末を均一分散させた状態で上記溶
融物を冷却、固化させる第3工程とを順に実施すること
により製造することができる。
i系合金の融点(1200〜1350℃程度)と比べて
かなり高く、またSiCは1480〜1520℃程度の
温度で軟化する。そこで、本発明の球状黒鉛鋳鉄用接種
剤の製造方法では、第1工程において、SiC粉末以外
の材料が全て溶融し、かつ、該SiC粉末が溶融も軟化
もしない第1設定温度で該SiC粉末以外の材料を溶融
させて溶融物を得る。この第1設定温度はSiC粉末以
外の材料の融点に応じて適宜設定可能である。
から少なくともSiC粉末が軟化する第2設定温度まで
昇温し、この昇温する間に上記溶融物にSiC粉末を投
入して、該SiC粉末を軟化させつつ該溶融物中で均一
分散させる。このようにSiC粉末を軟化させることに
より、SiC粉末の表面にFe−Siがコーティングさ
れ、均一な複合状態となるため、第1設定温度では不可
能であったSiC粉末の均一分散を図ることができる。
この第2設定温度は1480〜1520℃程度とするこ
とができる。第2設定温度が1480℃よりも低いとS
iC粉末が軟化せず、一方1520℃よりも高いとSi
C粉末以外の材料への影響が発生する。なお、SiC粉
末が軟化しうる最低温度(1480℃)を以下、「軟化
最低温度」という。
物中にSiC粉末を均一分散させる観点より、上記軟化
最低温度から徐々に(2〜5℃/分程度の昇温割合)昇
温させながらSiC粉末を投入することが好ましい。S
iC粉末を均一分散させる上では上記軟化最低温度から
の昇温割合が2℃/分以上であれば十分であり、昇温割
合がこれよりも低ければ、処理時間が長時間化するだけ
で好ましくない。一方、昇温割合が5℃/分よりも高け
れば、SiC粉末を均一分散させるのが困難となる。
SiC粉末を均一分散させる観点より、なるべく少量ず
つ複数回に分けて行うことが好ましい。また、同様の観
点より、溶融物を攪拌しながらSiC粉末を投入するこ
とが好ましく、またSiC粉末を投入し終えた後に、さ
らに溶融物を攪拌することが好ましい。第3工程では、
軟化したSiC粉末を均一分散させた状態で溶融物を冷
却、固化させる。ここに、上記第2工程で軟化したSi
C粉末を均一分散させた溶融物は、一旦1500〜15
20℃程度の温度で保持し、その後溶解炉から所定の型
内に該溶融物を注入して、冷却、固化させることが好ま
しい。こうすることで、溶解炉から型へ搬送する間の温
度低下や溶融物が型に接触することによる温度低下に伴
う溶融物の異常凝固を防ぐことができ、ひいてはSiC
粉末の均一分散性を高めることが可能となる。
を所定の粒径に粉砕することにより、本発明の球状黒鉛
鋳鉄用接種剤を製造することができる。こうして得られ
た接種剤は、SiC粉末がFe−Si合金等中に均一分
散したものとなる。
する。 (実施例)本実施例の球状黒鉛鋳鉄用接種剤を製造する
に当たり、以下の粉末材料を準備した。
た、SiC粉末の量は、配合する粉末材料全体を100
wt%としたときはSiC粉末が約13wt%であり、
Fe−Si系合金を100wt%としたときはSiC粉
末が約42wt%である。
粉末以外の粉末材料が全て溶融し、かつ、該SiC粉末
が溶融も軟化もしない第1設定温度(本実施例では14
10℃)で該SiC粉末以外の粉末材料を溶融させて溶
融物を得た。 〔第2工程〕そして、上記第1設定温度から少なくとも
SiC粉末が軟化する第2設定温度(本実施例では15
00℃)まで昇温した。この際、第1設定温度の141
0℃から前記軟化最低温度たる1480℃まで昇温した
後、1480℃から第2設定温度の1500℃まで7分
かけて昇温した(このときの昇温割合は2.86℃/分
程度である)。この1480℃から1500℃まで徐々
に昇温する間にSiC粉末を2〜3kgずつ投入し、1
500℃に到達した時点でSiC粉末を全部投入し終え
た。
内の状況を調べたところ、溶解炉の側壁部及び底部に軟
化状態のSiC粉末が偏在していることが確認された。
そこで、上記鉄筋で溶融物を攪拌することにより、該溶
融物中でSiC粉末を均一分散させた。 〔第3工程〕そして、1500℃から1520℃まで一
旦昇温、保持した後、溶解炉から所定の型内に該溶融物
を注入して、冷却、固化させた。
均粒径が2mmの球状黒鉛鋳鉄用接種剤を製造した。こ
うして得られた接種剤を用いて、以下のように球状黒鉛
鋳鉄を鋳造した。まず、高周波溶解炉を用いて溶解した
所定の組成の球状黒鉛鋳鉄の溶湯を準備した。そして、
Mgを取鍋底に置いて溶湯と反応させる置き注ぎ法の一
種たるサンドイッチ法を用いて球状化処理を行った。す
なわち、取鍋底が隔壁により上部開放の二室に区分けさ
れた取鍋(図示せず)を準備し、一方の室に球状化処理
剤を充填するとともに、この球状化処理剤の上に上記カ
バー材を積層して球状化処理剤を該カバー材で完全に被
覆する。そして、取鍋底の他方の室から溶湯を供給し、
取鍋内に溶湯を充填する。このとき、取鍋底の他方の室
に溶湯が充填された後、この室からあふれた溶湯がカバ
ー材の上に注がれる。隔壁により取鍋底を上方が開放さ
れた二室に分け、一方の室に球状化処理剤(Fe−45
%Si−4.8%Mg合金)を充填するとともにこの球
状化処理剤の上に多数の鉄系小片(ポンチ屑)よりなる
カバー材を積層して、球状化処理剤をカバー材で完全に
被覆した。そして、取鍋底の他方の室から溶湯を供給
し、取鍋内に溶湯を充填した。なお、このときの溶湯温
度は1520℃である。また溶湯重量に対する球状化処
理剤の割合は1.0%である。
後、直ぐに上記球状黒鉛鋳鉄用接種剤を湯流れ接種しな
がら図示しない鋳型内に注湯した。なお、溶湯を100
wt%としたとき、球状黒鉛鋳鉄用接種剤の割合は0.
2wt%である。また、このときの注湯温度は1400
℃である。そして、ばらし時間:60分として鋳造後、
鋳放しすることにより所定形状(自動車部品としてのス
テアリングナックル)の球状黒鉛鋳鉄を製造した。な
お、球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成は、表1に示す通りで
ある。
用接種剤を用いる代わりに、Fe−Si合金(Fe−7
5%Si合金)粉末よりなる接種剤を用いること以外
は、上記実施例と同様にして球状黒鉛鋳鉄を製造した。
なお、得られた球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成が上記実施
例のものと同じになるように溶湯組成を調整した。
球状黒鉛鋳鉄用接種剤を用いる代わりに、Fe−Si合
金(Fe−75%Si合金)粉末とSiC粉末とを均一
に混合して得られた混合粉末よりなる接種剤を用いるこ
と以外は、上記実施例と同様にして球状黒鉛鋳鉄を製造
した。なお、混合粉末におけるFe−Si合金粉末とS
iC粉末との配合割合は、Fe−Si合金粉末を100
wt%としたときSiC粉末が約40wt%である。ま
た、Fe−Si合金粉末の平均粒径は2mmであり、S
iC粉末の平均粒径は2mmである。さらに、得られた
球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成が上記実施例のものと同じ
になるように溶湯組成を調整した。
実施例及び比較例1で得られた球状黒鉛鋳鉄について、
金属組織を顕微鏡写真(50倍)で調べた。比較例1の
球状黒鉛鋳鉄の金属組織を図1(a)に、本実施例の球
状黒鉛鋳鉄の金属組織を図1(b)に示すように、本実
施例のものは比較例1のものと比べて微細、かつ、多数
の黒鉛が晶出しており、アズキャストフェライト化が大
幅に促進されていた。
球状黒鉛鋳鉄について、パーライト面積率及び黒鉛粒数
を調べた。なお、パーライト面積率は、画像解析装置に
より、黒鉛、フェライトを除いたパーライトの面積率を
調べたものである。また、黒鉛粒数は、画像解析装置に
より、肉厚が25mmの部位の中央付近において視野1
mm2 中の黒鉛粒数を調べたものである。
示し、黒鉛粒数の結果を図3及び表2に示すように、本
実施例の球状黒鉛鋳鉄は、比較例1及び2の球状黒鉛鋳
鉄と比べてパーライト面積率が大幅に減少しており、ま
た黒鉛粒数が比較例1の2倍程度以上となっており、ア
ズキャストフェライト化が大幅に促進されていることが
わかる。
の混合粉末よりなる接種剤を用いた比較例2におけるア
ズキャストフェライト化の促進効果は、Fe−Si合金
粉末単独の接種剤を用いた比較例1のものよりも優れて
いたが、本実施例のものよりは劣っていた。これは、S
iC粉末が溶湯中で浮上してしまい、SiCによる黒鉛
化促進能が十分に発揮されなかったためである。
鉄用接種剤によれば、SiC及びFe−Siの双方によ
る接種効果(黒鉛化促進能)を相乗的に発揮させること
ができるので、Fe−Si系接種剤を単独で用いる場合
と比較して、Fe−Si系接種剤の使用量増大による球
状黒鉛鋳鉄中の珪素含有量増大を抑えて鋳鉄製品が脆く
なることを抑えることができる。また、SiCから生成
したCが黒鉛核として作用し、このCによってもアズキ
ャストフェライト化が促進されるので、鋳鉄中の珪素
(Si)含有量を従来と同等に維持しつつ、従来よりも
アズキャストフェライト化を促進させることが可能とな
る。
の鋳造後の加熱処理が不要となり、その分低コスト化を
図ることが可能となる。
示す顕微鏡写真(50倍)であり、(b)は本実施例の
球状黒鉛鋳鉄の金属組織を示す顕微鏡写真(50倍)で
ある。
いて、パーライト面積率を調べた結果を示す図である。
いて、黒鉛粒数を調べた結果を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接
触させられる球状黒鉛鋳鉄用接種剤であって、SiC粉
末と少なくともFe−Si系合金とを複合化してなるこ
とを特徴とする球状黒鉛鋳鉄用接種剤。 - 【請求項2】 球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理の際に溶湯に接
触させられる、SiC粉末と少なくともFe−Si系合
金とを複合化してなる球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法
であって、 上記SiC粉末以外の材料が全て溶融し、かつ、該Si
C粉末が溶融も軟化もしない第1設定温度で該SiC粉
末以外の材料を溶融させて溶融物を得る第1工程と、 上記第1設定温度から少なくとも上記SiC粉末が軟化
する第2設定温度まで昇温する間に上記溶融物に該Si
C粉末を投入して、該SiC粉末を軟化させつつ該溶融
物中で均一分散させる第2工程と、 上記軟化したSiC粉末を均一分散させた状態で上記溶
融物を冷却、固化させる第3工程とを順に実施すること
を特徴とする球状黒鉛鋳鉄用接種剤の製造方法。
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JP06550099A JP4323607B2 (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | 球状黒鉛鋳鉄用接種剤及びその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
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