JP4126801B2 - 球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は球状黒鉛鋳鉄の球状化処理方法に関し、より詳しくは球状化処理剤の歩留まりの向上を図ることのできる球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
球状黒鉛鋳鉄は、所定の組成の溶湯中に球状化処理剤を添加することにより、鋳鉄の組織中に分布する黒鉛の形状を丸くして球状化している。球状化処理剤としては、純MgやMg合金の粉末が一般的に用いられている。
球状化処理剤としてのMgは鋳鉄溶湯と反応することにより気泡化し、この気泡が湯面に向かって上昇する間に、溶湯への固溶、脱酸(溶湯中の酸素との反応によるMgOの生成)や脱硫(溶湯中の硫黄との反応によるMgSの生成)等の作用が生じる。このとき、球状化処理剤と鋳鉄溶湯の湯面との距離が短いと、すなわち球状化処理剤が湯面近くの溶湯に接触すると、気泡化したMgのほとんどが固溶されずに酸化物(MgO)等の破棄物として湯面に浮上してしまい、結果的にMgの歩留まりが低下してしまう。
【0003】
そこで、球状化処理剤としてのMgの歩留まりを向上させるべく、Mgを取鍋底に置いて溶湯と反応させる置き注ぎ法、プランジャを用いてMgを直接取鍋底の溶湯に供給するプランジャ法や、Mgを特殊反応取鍋により添加するコンバータ法などの球状化処理方法が採用されている。
また、上記置き注ぎ法の一種として、サンドイッチ法が一般的に知られている。このサンドイッチ法では、隔壁により取鍋底を上方が開放された二室に分け、一方の室に球状化処理剤(例えば、Mg含有率が2.0〜10.0wt%のFe−Si−Mg合金粉末)を充填するとともにこの球状化処理剤の上に多数の鉄系小片(例えば、ポンチ屑)よりなるカバー材を積層して、球状化処理剤をカバー材で完全に被覆する。そして、取鍋底の他方の室から溶湯を供給し、取鍋内に溶湯を充填する。こうすることで、取鍋に溶湯を供給している間のうち、取鍋底の他方の室に溶湯を供給している間、及び溶湯がカバー材中を浸透する間の分だけ、取鍋に供給された溶湯と球状化処理剤との接触を遅らせることができる。このため、球状化処理剤が湯面近くの溶湯と接触することが避けることができ、結果的にMgの歩留まりを向上させることが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のサンドイッチ法によってもMgの歩留まりは50〜70%程度である。このため、取鍋底に充填されたMgのうち30〜50%程度は酸化物等の廃棄物として湯面に浮上し、ドロス欠陥の発生が増大するという問題がある。また、Mgの使用量が増大してコストが高騰するという問題もある。
【0005】
一方、球状黒鉛鋳鉄において低コスト化及び高品質化を図る上で、黒鉛を微細化、多晶出化させることにより基地中のフェライト組織を増やすこと、すなわちアズキャストフェライト化を促進することが望まれる。なお、アズキャストフェライト化とは、鋳造後に熱処理を施すことなく、鋳放しの状態で基地組織をフェライト化させることをいう。しかしながら、従来のサンドイッチ法では黒鉛の球状化のみを目的としており、黒鉛の微細化、多晶出化によるアズキャストフェライト化の促進は考慮していない。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、球状化処理剤の歩留まりをさらに向上させて、ドロス欠陥の発生を抑制するとともに低コスト化を図ることのできる球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法を提供することを解決すべき第1の技術課題とするものであり、この第1の技術課題に加えて、黒鉛の微細化、多晶出化によりアズキャストフェライト化の促進をも図ることのできる球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法を提供することを解決すべき第2の技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記第1及び第2の課題を解決する本発明の球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法は、球状黒鉛鋳鉄の溶湯をSiC粉末に接触させて、該溶湯中の酸素と該SiC粉末との反応による酸化物の生成により該溶湯を脱酸させる脱酸工程と、
上記SiC粉末により脱酸された溶湯を球状化処理剤に接触させる球状化処理工程と、
上記球状化処理剤に接触させた溶湯をFe−Si系の接種剤に接触させる接種工程とを順に実施する球状化黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法であって
取鍋底に配置された前記球状化処理剤を、前記SiC粉末と該SiC粉末の溶湯中での浮上及び沈降を抑えるFe系材料よりなるSiC保持材とからなるカバー材により被覆した状態で、該取鍋内に前記溶湯を注入することにより、前記脱酸工程及び前記球状化処理工程を実施し、
前記接種工程では、前記球状化処理剤との反応により撹拌されている前記溶湯が沈静化する前に該溶湯を前記接種剤に接触させることにより、該接種剤と該溶湯中の酸素との酸化発熱反応による反応熱により該溶湯中の未反応の前記SiC粉末の前記反応を促進するとともに、該反応により生成したSi、SiO及びCOと該接種剤とを反応させることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
SiCは、溶湯を脱酸する脱酸能と、鋳鉄の凝固の際の黒鉛化を促進する黒鉛化促進能とを備えている。本発明は、このSiCの脱酸能及び黒鉛化促進能を利用して、球状化処理剤の歩留まりの向上及びアズキャストフェライト化の促進を図るものである。
【0010】
すなわち、本発明の球状黒鉛鋳鉄の球状化処理方法では、まず脱酸工程において、球状黒鉛鋳鉄の溶湯をSiC粉末に接触させて、溶湯中の酸素とSiC粉末との反応(下記(1)式に示す反応)による酸化物の生成により該溶湯を脱酸させる。これにより、溶湯中の酸素はSiC粉末との反応による酸化物の生成分だけ減少することになる。
【0011】
2SiC+2O2 →Si+SiO2 +2CO …(1)
そして、次の球状化処理工程で、SiC粉末により脱酸された溶湯を球状化処理剤に接触させる。
こうすることで、SiC粉末との反応により酸素が減少した溶湯と球状化処理剤とが接触することになるので、球状化処理剤自身が溶湯中の酸素と反応して酸化物となる反応(下記(2)式に示す反応)を減少させることができる。
【0012】
2Mg+O2 →2MgO …(2)
このため、球状化処理剤の酸化による損失が減少するので、球状化処理剤の歩留まりを向上させることができる。したがって、球状化処理剤の酸化物等に起因するドロス欠陥の発生を抑制することができるとともに、球状化処理剤の使用量を減少させて低コスト化を図ることができる。
【0013】
そして、球状化処理工程の後、球状化処理剤に接触させた溶湯をFe−Si系の接種剤に接触させる接種工程を実施する。これにより、上記脱酸工程における上記(1)式に示す反応により発生したSi及びSiO並びに未反応のSiC粉末とFe−Si系の接種剤とが溶湯に同時に接触することにより、SiCによる黒鉛化促進能が発揮される。このメカニズムは以下のように考えることができる。すなわち、Fe−Si系の接種剤と溶湯中の酸素との酸化発熱反応による反応熱により、溶湯中の未反応のSiC粉末と酸素との上記(1)式の反応が促進され、Si及びSiOの量が増大する。そして、このSi及びSiO等とFe−Si系の接種剤とが溶湯に同時に接触することにより、以下に示すような化学反応が起こる。すなわち、上記(1)式の反応により生成したSi、SiO及びCOとFe−Siとが下記(3)式に示す反応をして、その結果Fe中にC及びSiが固溶する。なお、SiOはクリストバライトの状態で存在する。
【0014】
(Si+SiO2 +2CO)+(Fe−Si)
→Si[Fe(C)+SiO2 ]+SiO2
→Fe(Si・C)+2SiO2 …(3)
こうしてFe中に固溶したC及びSi並びにクリストバライトの状態にあるSiO2 が黒鉛核として作用し、その結果溶湯の凝固の際に発生する黒鉛粒数が増加する。黒鉛粒数が増加すれば、各黒鉛核同士の距離が短くなる。これにより、パーライト基地中のC原子(セメンタイト(Fe3 C)として存在するC原子)と黒鉛核との距離が短くなるので、当該C原子が黒鉛核まで到達する可能性が高まる。その結果、パーライト基地が減少し、その分フェライト基地が増加する。よって、アズキャストフェライト化が促進される。
【0015】
ここに、球状化処理工程の後に接種工程を実施する、球状化処理工程が終わった後、なるべく直ぐに接種工程を実施する。球状化処理工程で溶湯が球状化処理剤に接触すると、溶湯と球状化処理剤との反応により溶湯が激しく撹拌される。このため、溶湯が球状化処理剤に接触した直後においては、溶湯中の酸素と未反応のSiC粉末や、酸素とSi粉末との反応により生成したSi及びSiOが溶湯中で均一分散している。このようにSiC粉末、Si及びSiOが均一分散している状態の溶湯をFe−Si系の接種剤に接触させれば、Fe−Si系の接種剤をより確実にSiC粉末、Si及びSiOと接触させて反応させることができるので、上記アズキャストフェライト化を促進させるのに有利となる。一方、溶湯と球状化処理剤との反応により撹拌されている溶湯は時間の経過とともに次第に沈静化していく。そうすると、溶湯に比べて比重の小さいSiC粉末やSiが溶湯内で浮上してしまい、SiC粉末等の均一分散性が損なわれる。SiC粉末等の均一分散性が損なわれた状態の溶湯をFe−Si系の接種剤と接触させても、Fe−Si系の接種剤と、SiC粉末、Si及びSiOとの反応が十分に行われない。したがって、溶湯と球状化処理剤との反応により激しく撹拌されている溶湯が沈静化する前に該溶湯を接種剤に接触させる。
【0016】
上記脱酸工程及び上記球状化処理工程は、好適にはサンドイッチ法を利用して実施することができる。すなわち、取鍋底に配置された球状化処理剤を、SiC粉末と該SiC粉末の溶湯中での浮上及び沈降を抑えるFe系材料よりなるSiC保持材とからなるカバー材により被覆した状態で、該取鍋内に溶湯を注入することにより、上記脱酸工程及び上記球状化処理工程を実施することができる。具体的には、以下の方法を例示することができる。まず、取鍋底が隔壁により上部開放の二室に区分けされた取鍋を準備し、一方の室に球状化処理剤を充填するとともに、この球状化処理剤の上に上記カバー材を積層して球状化処理剤を該カバー材で完全に被覆する。そして、取鍋底の他方の室から溶湯を供給し、取鍋内に溶湯を充填する。このとき、取鍋底の他方の室に溶湯が充填された後、この室からあふれた溶湯がカバー材の上に注がれる。カバー材の上に注がれた溶湯がカバー材中を浸透する間にカバー材中のSiC粉末と接触することにより、上記脱酸処理を行うことができる。そして、カバー材を通過した溶湯、すなわちSiC粉末により脱酸されて酸素が減少した溶湯が球状化処理剤に接触することにより、上記球状化処理を行うことができる。
【0017】
ここに、上記SiC粉末の粒径としては、平均粒径で1〜5mm程度とすることが好ましい。1mmよりも小さいと、カバー材で保持することが困難となる。一方、5mmよりも大きいと、質量に対する表面積が大きくなり反応に時間がかかるため、SiCによる溶湯の脱酸効果を十分に期待できなくなるとともに、SiCによるアズキャストフェライト化の促進効果も十分に期待できなくなる。
【0018】
また、SiC粉末の量については、SiCによる脱酸効果及びアズキャストフェライト化の促進効果を発揮させうるように、溶湯や球状化処理剤の量に応じて適宜設定可能である。例えば、SiCによる脱酸効果のみを狙う場合は、溶湯中の酸素重量に対してSiCを20〜40倍とすることが好ましい。溶湯中の酸素重量に対するSiCの量が20倍よりも少ないと、SiCによる脱酸効果を十分に発揮させることが困難となる。一方、SiCの量が40倍よりも多いと、スラグ発生が増加し、生産が困難となる。なお、SiC粉末の量については、最終的な球状黒鉛鋳鉄におけるSi成分を調整するための加珪目的の観点からも適宜調整可能である。
【0019】
上記SiC保持材の形状としては、SiC粉末の溶湯中での浮上及び沈降を抑えることのできるものであれば特に限定されないが、SiC粉末の浮上及び沈降を十分に抑えることができ、かつ、SiC粉末をなるべく均一に分散させた状態で保持しうる形状とすることが望ましい。SiC保持材に対するSiC粉末の保持のさせ方についても特に限定されない。例えば、SiC保持材とSiC粉末とを均一に混合することにより、SiC保持材同士の間にSiC粉末を絡ませて保持させることができる。このようにSiC保持材とSiC粉末とを混合することにより該SiC粉末を該SiC保持材で保持させる場合は、SiC保持材はなるべくかさ比重の大きいものであることが好ましく、またその大きさも小さい方が好ましい。SiC保持材がかさ比重の大きいものであれば、SiC粉末の浮上及び沈降を抑える保持効果を高める上で有利となり、また小さいものであれば、SiC粉末をより均一に分散させる上で有利となる。具体的には、SiC保持材のかさ比重は3.0〜6.5g/cm3 程度とすることが好ましく、大きさは0.5〜10mm程度とすることが好ましい。SiC保持材の好適な具体例として、ポンチ屑、スチールスクラップ等を挙げることができる。
【0020】
上記球状化処理剤としては特に限定されず、従来と同様にMg含有率が2.0〜10.0wt%程度のMg合金、例えばFe−45%Si−10%Mg合金やFe−45%Si−6%Mg合金を用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法の具体的な実施例について説明する。
(実施例)
図1に示すように、従来のサンドイッチ法に用いるのと同様の取鍋1を準備した。この取鍋1は、隔壁10により上部開放の二室11及び12に取鍋底が区画されている。
【0022】
そして、一方の室11に球状化処理剤としてのMg合金粉末2を充填した。なお、このMg合金は、具体的にはFe−45%Si−4.8%Mg合金であり、溶湯重量に対するMg合金粉末2の割合は1.0%である。
次に、上記Mg合金粉末2の上にSiC粉末とSiC保持材としてのポンチ屑とを均一に混合してなるカバー材3を積層して、Mg合金粉末2をカバー材3で完全に覆った。なお、SiC粉末の平均粒径は2mm程度であり、溶湯重量に対するSiC粉末の割合は0.15%である。また、ポンチ屑のかさ比重は5.5g/cm3 であり、大きさは2〜4mmである。またポンチ屑に対するSiC粉末の重量割合は25%である。
【0023】
一方、高周波溶解炉を用いて溶解した所定の組成の球状黒鉛鋳鉄の溶湯を準備した。この溶湯を上記取鍋1の他方の室12から供給して取鍋1内に充填した。なお、このときの溶湯温度は1520℃である。
そして、溶湯を取鍋1内に充填し終わった後、直ぐに接種剤としてのFe−Si合金粉末を湯流れ接種しながら図示しない鋳型内に注湯した。なお、このFe−Si合金は、具体的にはFe−75%Si合金であり、溶湯重量に対するFe−Si合金粉末の割合は0.2%である。また、このときの注湯温度は1400℃である。そして、ばらし時間:60分として鋳造後、鋳放しすることにより所定形状(自動車部品としてのステアリングナックル)の球状黒鉛鋳鉄を製造した。なお、球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成は、表1に示す通りである。
【0024】
【表1】
Figure 0004126801
(比較例)
ポンチ屑のみからなるカバー材を用いること以外は、上記実施例と同様にして球状黒鉛鋳鉄を製造した。なお、得られた球状黒鉛鋳鉄の最終的な組成が上記実施例のものと同じになるように溶湯組成を調整した。
【0025】
(Mg歩留まりの評価)
上記実施例及び比較例で得られた球状黒鉛鋳鉄について、下記式に基づき、Mg歩留まりを調べた。
Mg歩留まり(%)=[{球状黒鉛鋳鉄の最終組成におけるMg(wt%)×100}/{Mg合金の溶湯に対する添加量(wt%)×Mg合金のMg含有量(wt%)}]×100
結果を図2に示すように、に示すように、ポンチ屑のみからなるカバー材を用いたサンドイッチ法により球状化処理を行った比較例では、Mg歩留まりが55%程度であったのに対し、ポンチ屑及びSiC粉末よりなるカバー材を用いた本実施例では、Mg歩留まりが80%程度と大幅に向上した。
【0026】
なお、図2において、Mg歩留まりに幅があるのは、溶湯温度のバラツキにより反応エネルギーが変化したことによるものである。
(アズキャストフェライト化の評価)
上記実施例及び比較例で得られた球状黒鉛鋳鉄について、金属組織を顕微鏡写真(50倍)で調べた。
【0027】
比較例の球状黒鉛鋳鉄の金属組織を図3(a)に、本実施例の球状黒鉛鋳鉄の金属組織を図3(b)に示すように、本実施例のものは比較例のものと比べて微細、かつ、多数の黒鉛が晶出しており、アズキャストフェライト化が大幅に促進されていた。
また、上記実施例及び比較例の球状黒鉛鋳鉄について、パーライト面積率及び黒鉛粒数を調べた。なお、パーライト面積率は、画像解析装置により、黒鉛、フェライトを除いたパーライトの面積率を調べたものである。また、黒鉛粒数は、画像解析装置により、冷却速度の速い部位(鋳鉄の表面付近)と冷却速度の遅い部位(鋳鉄の中心付近)とにおいて視野1mm2 中の黒鉛粒数を調べたものである。
【0028】
結果を図4及び表2に示すように、本実施例の球状黒鉛鋳鉄は、比較例の球状黒鉛鋳鉄と比べて、パーライト面積率が半分以下程度で、黒鉛粒数が2倍程度となっており、アズキャストフェライト化が大幅に促進されていることがわかる。すなわち、パーライト面積率については、冷却速度の速い部位において比較例のものが40%程度であるのに対して本実施例のものが15%程度であり、冷却速度の遅い部位において比較例のものが10%程度であるのに対して本実施例のものが2%程度である。
【0029】
【表2】
Figure 0004126801
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法によれば、溶湯をSiC粉末に接触させて脱酸する脱酸工程を実施した後に、該溶湯を球状化処理剤に接触させる球状化処理工程を実施することにより、球状化処理剤の歩留まりを向上させて、ドロス欠陥の発生を抑制するとともに低コスト化を図ることができる。
【0031】
また、上記球状化処理工程の後に、球状化処理剤に接触させた溶湯をFe−Si系の接種剤に接触させる接種工程を実施することにより、黒鉛の微細化、多晶出化によりアズキャストフェライト化の促進をも図ることができる。したがって、フェライト化を促進するための鋳造後の加熱処理が不要となり、これによっても低コスト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の球状黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法に係り、脱酸工程及び球状化処理工程を実施する様子を説明する断面図である。
【図2】本実施例及び比較例の球状黒鉛鋳鉄について、Mg歩留まりを評価した結果を示す図である。
【図3】(a)は比較例の球状黒鉛鋳鉄の金属組織を示す顕微鏡写真(50倍)であり、(b)は本実施例の球状黒鉛鋳鉄の金属組織を示す顕微鏡写真(50倍)である。
【図4】本実施例及び比較例の球状黒鉛鋳鉄について、パーライト面積率を調べた結果を示す図である。
【符号の説明】
1…取鍋 2…球状化処理剤(Mg合金粉末)
3…カバー材(SiC粉末及びSiC保持材)

Claims (1)

  1. 球状黒鉛鋳鉄の溶湯をSiC粉末に接触させて、該溶湯中の酸素と該SiC粉末との反応による酸化物の生成により該溶湯を脱酸させる脱酸工程と、
    上記SiC粉末により脱酸された溶湯を球状化処理剤に接触させる球状化処理工程と、
    上記球状化処理剤に接触させた溶湯をFe−Si系の接種剤に接触させる接種工程とを順に実施する球状化黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法であって
    取鍋底に配置された前記球状化処理剤を、前記SiC粉末と該SiC粉末の溶湯中での浮上及び沈降を抑えるFe系材料よりなるSiC保持材とからなるカバー材により被覆した状態で、該取鍋内に前記溶湯を注入することにより、前記脱酸工程及び前記球状化処理工程を実施し、
    前記接種工程では、前記球状化処理剤との反応により撹拌されている前記溶湯が沈静化する前に該溶湯を前記接種剤に接触させることにより、該接種剤と該溶湯中の酸素との酸化発熱反応による反応熱により該溶湯中の未反応の前記SiC粉末の前記反応を促進するとともに、該反応により生成したSi、SiO及びCOと該接種剤とを反応させることを特徴とする球状化黒鉛鋳鉄の溶湯処理方法。
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