JPH10273710A - 球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤、球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄鋳物部品 - Google Patents

球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤、球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄鋳物部品

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JPH10273710A
JPH10273710A JP30932997A JP30932997A JPH10273710A JP H10273710 A JPH10273710 A JP H10273710A JP 30932997 A JP30932997 A JP 30932997A JP 30932997 A JP30932997 A JP 30932997A JP H10273710 A JPH10273710 A JP H10273710A
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cast iron
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spheroidal graphite
inoculant
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JP30932997A
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English (en)
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Yoshio Igarashi
芳夫 五十嵐
Chisato Okada
千里 岡田
Eiji Nakano
英治 中野
Takeya Matsuyama
健也 松山
Masahiro Takahashi
雅寛 高橋
Masahide Kawabata
將秀 川畑
Katsuhiko Kojo
勝彦 古城
Toshiki Yoshida
敏樹 吉田
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Hitachi Metals Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 黒鉛粒数を増加させることにより球状黒鉛鋳
鉄の基地のフェライト化を促進し、チルを有効に防止す
ることができる球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤及び微細な黒
鉛粒が数多く分布し、チル面積率が小さい球状黒鉛鋳鉄
の製造方法を提供する。 【解決手段】 球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤は、高純度の
酸化マグネシウム微粉末と、黒鉛球状化剤、接種剤及び
黒鉛球状化作用を有する接種剤の1つ以上とを含む。酸
化マグネシウム微粉末が溶湯中の黒鉛の核を増加させ、
その結果、黒鉛粒数が増加する。また、他の球状黒鉛鋳
鉄製造用添加剤は更に黒鉛球状化処理をする溶湯の温度
において、酸素との親和力が前記黒鉛球状化処理に用い
る黒鉛球状化元素よりも小さい金属の酸化物を含む。球
状化元素を酸化して球状化元素の酸化物を生成すること
ができる金属化合物を溶湯に添加することにより微細な
黒鉛粒が数多く分布し、チル面積率が小さい球状黒鉛鋳
鉄を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は球状黒鉛鋳鉄製造用
添加剤、球状黒鉛鋳鉄の製造方法および球状黒鉛鋳鉄鋳
物部品に関する。さらに詳しくは、チル化が少なく、微
細な球状黒鉛粒が数多く分布した球状黒鉛鋳鉄の製造に
有効な球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤及び球状黒鉛鋳鉄の製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】一般に球
状黒鉛鋳鉄溶湯の接種処理は、強度の増加、組織の改
善、チル化の防止、質量効果の改善、鋳物の引け巣の防
止等を目的として行われる。接種剤としては、黒鉛化促
進元素であるSiを主体としたFe−Si(75%)合
金等が多く用いられ、鋳造直前の溶湯に添加する方法が
とられている。また、黒鉛球状化元素としては、Mg、
Ce、Ca、Ba、Sr、Y等が知られており、接種剤
と組み合わせて使用されている。
【0003】黒鉛化促進を目的とする接種剤としては、
75%Fe/Si(例えば、76.5%Si、0.5%
Ca、1.3%Al)やCa/Si(例えば、57.5
%Si、14.0%Ca、1.0%Al)等があり、主
要成分としてSi、Caが、その他の成分としてAl、
Sr、Mg、Ti、Zr、Ce、Ba、RE(希土類元
素)が単体または合金成分として含まれている。
【0004】接種による黒鉛化促進機構に対しては、酸
化物説、硫化物説、炭化物説等の不均質核説および接種
直後のSiの溶解拡散時の局部的な炭素過飽和部での黒
鉛核生成説等がある。硫化物説は接種剤中のCaやAl
が硫化物を作りやすいことや、これらの硫化物から黒鉛
が成長していることを根拠にしているが、硫化物説では
説明できない現象がある。いずれの説が正しいか、明確
な定説はない。
【0005】前述の通り、接種による黒鉛化促進効果に
ついては、各種の学説があるが、現実的には接種剤の添
加によってチル化の防止、組織の改善、引けの軽減など
が行われており、また、接種剤、その他の添加用合金、
球状黒鉛鋳鉄の製造に関して種々の提案がされている。
【0006】特開昭54−115612号公報には、
「有機物及び無機質にて表面被覆処理を実施した10m
m以下のマグネシウム又はマグネシウムを80%以上含
有する合金の粒粉及び細片10〜50%マグネシア、炭
化硅素、酸化ジリコン、アルミナの群より選ばれた1種
又は2種以上の合計が30〜80%、木炭、活性炭、コ
ークスの1種又は2種以上の合計が5〜40%、バスト
ネサイト又は毒重石(炭酸バリウム)の1種又は2種以
上の合計が1〜10%、これらを緊密に混合しこれに結
合剤を加えて造粒および成型してなる溶銑および溶鋼の
脱硫および黒鉛の球状化用添加剤」が開示されている。
第2頁、左下欄の6〜14行には「本発明はMg又はM
gを80%以上含有する合金の粒粉および細片とマグネ
シア又は炭化硅素その他のものを主体とし、これに木炭
及びコークス及びバステナサイト、毒重石(炭酸バリウ
ム)を組み合わせ各種の粘結剤で造粒又は成型するので
あるが、本法の大きな特徴の一つとしてあげられるのは
混合するMg及びMg合金の表面を不活性化被覆処理を
行い水分、空気及びその他のMgと反応する物質より保
護することである」と記載されている。
【0007】特開昭54−33818号公報には、「超
微粉金属マグネシウム及びマグネシウム酸化物を含む混
合物を成形した成形体を金属溶湯に添加することを特徴
とする球状黒鉛鋳鉄の製造方法」が開示されている。こ
の製造方法においては、超微粉金属マグネシウムおよび
マグネシウム酸化物を含む混合物を成形し、加熱処理し
て得た成形体又は有機高分子物質を用いて成形した成形
体が用いられている。また、酸化マグネシウムを炭素物
質で還元して得た金属マグネシウムを用いることが特に
好ましいことが記載されている。混合物は、金属マグネ
シウム5〜90重量%に対して95〜10重量%の酸化
マグネシウムを含み、金属マグネシウムは超微粉(0.
01〜10μm)で、その表面は酸化マグネシウムで被
覆されている。この混合物から得た成形体を金属溶湯に
添加した際、マグネシウムの過激な反応が抑制され、反
応が緩やかになり、マグネシウムが極めて微細なため溶
湯内での反応が均一になると記載されている。更に、超
微粉金属マグネシウム及びマグネシウム酸化物を含む混
合物の成形体は、溶湯に対してマグネシウムとして0.
05重量%以上添加され、黒鉛の球状化に酸化マグネシ
ウムが効果的に働き、得られた鋳鉄中の黒鉛粒が微細
で、かつ、鋳鉄の単位破断面当たりの数が著しく多くな
ることが記載されている。
【0008】特開昭54−124814号公報には、
「金属マグネシウム及び/又はマグネシウム合金を加熱
して得たマグネシウム蒸気を、一酸化炭素を含む気体と
接触させて冷却し得られた酸化マグネシウム含有のマグ
ネシウムからなる冶金用添加剤」が開示されている。M
g、MgO及びCOの還元によって得られた炭素を含む
混合物は、そのまま、あるいは加熱成型又は有機系粘結
剤を添加して成型して用いられる。MgとMgOの割合
はMgが5〜90重量部でMgOが95〜10重量部で
ある。この冶金用添加剤を金属溶湯に添加した際、Mg
Oが溶湯中でのMgの過激な反応を抑制し、また、Mg
が微粒であるために溶湯中で発生するMg蒸気が極めて
細かい気泡となって溶湯中に分散し効率よく反応を行う
ことができること、このため脱硫率、Mg利用効率が極
めて高くなること、更に、有機系粘結剤がMg及びMg
Oの表面を被覆しているので取り扱いが簡便でかつ長期
保存できることが開示されている。
【0009】球状黒鉛鋳鉄の製造においては、黒鉛粒を
微細にし、かつ数多く分布させることが鋳鉄溶湯の凝固
過程における冷却速度を制御してチルの生成を抑制し、
また種々の機械的性質を向上する上で重要であるので、
Si系合金などの接種剤の改良、黒鉛球状化剤の改良、
湯流れ接種など接種方法の改良などが検討されてきた。
【0010】しかし、従来の方法では黒鉛球状化処理や
接種処理が十分効果的ではなく、良好な球状黒鉛組織が
得られないだけでなく、黒鉛化が十分ではなく、球状黒
鉛粒の数が少なく、その結果、チル組織が過多になった
り基地のフェライト化が不十分であったりして良好な特
性の球状黒鉛鋳鉄が得られなかった。特に、鋳放しでの
肉厚が5mm以下の薄肉部と肉厚が5mmを越える厚肉
部とを持つ球状黒鉛鋳鉄を製造する場合、薄肉部では溶
湯が急冷されるためにチルが発生しやすく、また基地が
パーライトになりフェライト基地にするために鋳造後の
熱処理が必要になることが多かった。また、厚肉部では
溶湯の凝固が遅くなり、黒鉛の球状化が不十分になるな
どの問題があった。
【0011】従って、本発明の目的は、黒鉛核の数を増
加させ、その結果黒鉛粒数を増加させフェライト化を促
進しかつチル化を防止することができる球状黒鉛鋳鉄製
造用添加剤を提供することにある。本発明の他の目的
は、チルの発生が少なく、多数の黒鉛粒が均一に分布し
た、鋳放し状態で5mm以下の薄肉部および/または肉
厚が5mmを越える厚肉部とを有する球状黒鉛鋳鉄の製
造方法およびこの製造方法で製造された球状黒鉛鋳鉄鋳
物部品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、球状黒鉛
鋳鉄の黒鉛粒の構造を電子顕微鏡により詳細に研究し
た。図1は、走査型電子顕微鏡の反射電子像(倍率:7
000倍)による黒鉛粒を示す図である。中央部のまゆ
形の白色部分が核、その周辺の黒色部分が黒鉛である。
なお、黒色部分に点在する片状の白色部分は黒鉛内に取
り込まれた鉄を示す。図2は、走査型電子顕微鏡の二次
電子像(倍率:30000倍)による図1の黒鉛粒の核
を示す図である。図1と同様に、中央部のまゆ形の白色
部分が核、その周辺の黒色部分が黒鉛、黒色部分に点在
する片状の白色部分は黒鉛内に取り込まれた鉄である。
図1と2から、核にはMgSとMgOが共存しており、
核の大きさは約1〜3μmで、その周辺に黒鉛が付着・
凝集し、約5μmの大きさになると黒鉛が核を覆うよう
に成長して黒鉛粒を形成していることがわかる。MgS
とMgOは共に面心立方格子であるために核内に共存し
やすいと考えられる。なお、球状化元素として希土類金
属やカルシウムを用いたときにはそれらの硫化物、酸化
物が核に含まれる場合もある。
【0013】黒鉛粒の核を更に詳細に検討した結果、M
gOがMgS生成の核になっていること、球状黒鉛はM
gSを核として成長するので、球状黒鉛粒を数多く形成
するにはMgS粒を数多く形成させればよく、そのため
にはMgS粒の核となるMgO粒を鋳鉄溶湯中に数多く
存在させればよいことを見出した。すなわち、本発明者
等は、高純度の酸化マグネシウム微粉末と、黒鉛球状化
剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤からな
る群より選ばれた少なくとも一とを含む球状黒鉛鋳鉄製
造用添加剤を溶湯に添加すれば、黒鉛の核の増加、ひい
ては黒鉛粒の増加につながり、フェライト化の促進によ
るチル化の防止が可能になり、接種効果の増大と共に黒
鉛微細化に伴う黒鉛球状化も促進されることを見出し
た。
【0014】本発明者等は、更に、希土類元素、カルシ
ウムなどのマグネシウム以外の球状化元素の酸化物も、
溶湯中に微細かつ数多く存在させれば、黒鉛の直接核と
なる硫化物を数多く形成することができ、その結果微細
な球状黒鉛粒を数多く含む球状黒鉛鋳鉄を製造すること
ができると考えた。
【0015】本発明者等は、球状化元素の酸化物を微細
に、数多く溶湯中に存在させる方法を検討した結果、溶
湯中において球状化元素を球状化元素以外の他の元素の
酸化物により酸化して球状化元素の酸化物を生成させる
と、より微細で数多くの球状化元素の酸化物を溶湯中に
存在させることができることを見出した。
【0016】すなわち、本発明の第1の球状黒鉛鋳鉄製
造用添加剤は、純度が90重量%以上の酸化マグネシウ
ム微粉末と、黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作
用を有する接種剤からなる群より選ばれた少なくとも一
とを含むことを特徴とする。
【0017】本発明の第1の球状黒鉛鋳鉄の製造方法
は、純度が90重量%以上の酸化マグネシウム微粉末
と、黒鉛球状化剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤
の少なくとも一とを含む第1の球状黒鉛鋳鉄製造用添加
剤を溶湯に添加することを特徴とする。
【0018】本発明の第2の球状黒鉛鋳鉄の製造方法
は、純度が90重量%以上の酸化マグネシウム微粉末と
接種剤とを含む第1の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤を黒鉛
球状化処理した溶湯に添加することを特徴とする。
【0019】本発明の第2の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤
は、黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有す
る接種剤からなる群より選ばれた少なくとも一、および
黒鉛球状化処理をする溶湯の温度において、酸素との親
和力が黒鉛球状化処理に用いる黒鉛球状化元素よりも小
さい金属の酸化物とを含むことを特徴とする。
【0020】本発明の第3の球状黒鉛鋳鉄の製造方法
は、黒鉛球状化剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤
の少なくとも一、および黒鉛球状化処理をする溶湯の温
度において、酸素との親和力が前記黒鉛球状化剤および
/または黒鉛球状化作用を有する接種剤に含まれる黒鉛
球状化元素よりも小さい金属の酸化物とを含む第2の球
状黒鉛鋳鉄製造用添加剤を溶湯に添加することを特徴と
する。
【0021】本発明の第4の球状黒鉛鋳鉄の製造方法
は、黒鉛球状化処理した溶湯に、接種剤、および黒鉛球
状化処理をする溶湯の温度において、酸素との親和力が
前記黒鉛球状化処理に用いた黒鉛球状化元素よりも小さ
い金属の酸化物とを含む第2の球状黒鉛鋳鉄製造用添加
剤を添加することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施態様を以下
に詳細に説明する。
【0023】[1]第1の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤 本発明の第1の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤は純度が90
重量%以上、好ましくは95重量%以上であって、平均
粒径が0.001〜10μm、好ましくは0.005〜
5μmの酸化マグネシウム微粉末と、黒鉛球状化剤、接
種剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤からなる群よ
り選ばれた少なくとも一とを含有することを特徴とす
る。酸化マグネシウムには通常、Ca、Si、K、N
a、Al、Fe等が不純物として含まれる。本発明で使
用する高純度酸化マグネシウム微粉末の走査型電子顕微
鏡の二次電子像(倍率:30000倍)を図3に示し
た。白色部分がMgO粒子である。
【0024】酸化マグネシウムは鋳鉄溶湯中で対流拡散
する際に溶湯表面に浮き上がりやすく、接種効果が不十
分になることがある。これを避けるために、高純度酸化
マグネシウム微粉末を比重が比較的大きい黒鉛球状化
剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤の少な
くとも一の表面に付着または担持、またはこれらの中に
分散させるのが好ましい。なお、黒鉛球状化剤、接種剤
および黒鉛球状化作用を有する接種剤は平均粒径が0.
001〜5μmの一次粒子を平均粒径が1〜20mmの
顆粒、ペレットなどに成形して用いるのが好ましい。ま
た、高純度酸化マグネシウム微粉末と、黒鉛球状化剤、
接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤の少なくと
も一とを有機高分子化合物などの粘結剤を用い、あるい
は用いないで混練し、得られた混合物を顆粒状、ペレッ
ト状、球状、塊状、板状などに成形してもよい。更に、
高純度酸化マグネシウム微粉末と、黒鉛球状化剤、接種
剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤の少なくとも一
との混合物を顆粒状、ペレット状、球状、塊状、板状な
どに成形し、大気中、真空中または不活性雰囲気中、融
点未満の温度で焼結してもよい。上記のようにして得た
本発明の第1の添加剤を溶湯に添加すると、高純度酸化
マグネシウム微粉末が溶湯中に均一に分散し、数多くの
黒鉛粒の核を形成する。
【0025】黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作
用を有する接種剤としては、球状黒鉛鋳鉄の製造に従来
使用されているものが使用できるが、Fe−Si、Fe
−Si−Mg、Ca−Si、RE−Fe−Si等のSi
を含むものが特に好ましい。なお、黒鉛球状化作用を有
する接種剤は、黒鉛球状化剤と接種剤の物理的混合物お
よび黒鉛球状化元素を合金成分として含む接種剤とを含
む。
【0026】第1の添加剤中の高純度酸化マグネシウム
微粉末と、黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作用
を有する接種剤からなる群より選ばれた少なくとも一の
含有割合は特に重要ではないが、通常、重量比で0.0
001:1〜0.6:1である。
【0027】[2]第1および第2の球状黒鉛鋳鉄の製
造方法 本発明の第1および第2の球状黒鉛鋳鉄の製造方法は、
上記の第1の添加剤を用いて球状黒鉛鋳鉄用溶湯を球状
化処理/接種することを特徴とする。高純度酸化マグネ
シウム微粉末、および黒鉛球状化剤および黒鉛球状化作
用を有する接種剤の少なくとも一とを含む第1の添加剤
は、単独または通常用いられる他の添加剤とともに予め
取鍋内に装入配置し、その後球状黒鉛鋳鉄用溶湯を取鍋
に1300〜1550°Cの温度で出湯して球状化処理
/接種処埋を行うのが好ましい。高純度酸化マグネシウ
ムと黒鉛球状化剤とからなる第1の添加剤を用いる場合
には、添加後に通常用いられている接種剤を溶湯に添加
するのが好ましい。また、高純度酸化マグネシウム微粉
末および接種剤とからなる第1の添加剤は、常法に従っ
て球状化処理した1300〜1550°Cの温度の溶湯
に添加するのが好ましい。ただし、第1の添加剤の添加
方法はこれに限定されるものではなく、球状黒鉛鋳鉄製
造において従来使用されている接種剤、黒鉛球状化剤の
添加方法が採用できる。なお、球状黒鉛鋳鉄用溶湯の化
学組成は従来用いられているものでよく、特に限定され
ない。
【0028】第1の添加剤は、高純度酸化マグネシウム
微粉末が球状黒鉛鋳鉄用溶湯に対して0.0001〜
0.5重量%、好ましくは0.001〜0.2重量%に
なるように溶湯に添加する。高純度酸化マグネシウム微
粉末の添加量が0.0001重量%未満では、黒鉛の核
の増加が期待できない。一方、0.5重量%を越える
と、酸化マグネシウム粒が溶湯中で均一に分散せず、凝
集して塊状になり溶湯表面に浮上したり、球状化元素と
溶湯との反応を阻害する。
【0029】上記したように、高純度酸化マグネシウム
微粉末を黒鉛球状化剤及び/又は黒鉛球状化作用を有す
る接種剤と共に溶湯に添加して黒鉛球状化処理をしても
よく、高純度酸化マグネシウム微粉末を接種剤と共に溶
湯に添加して接種処理をしてもよく、また、黒鉛球状化
剤および接種剤と共に高純度酸化マグネシウム微粉末を
溶湯に添加してもよい。
【0030】第1の添加剤を添加した溶湯を、通常13
00〜1450°Cで鋳型に注湯し、凝固後、1〜40
K/秒の速度で常温まで冷却して鋳放し状態の球状黒鉛
鋳鉄鋳物を製造する。
【0031】本発明の製造方法は、鋳放し状態で5mm
以下の薄肉部を有する球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造に特に効
果的で、数多くの黒鉛粒(800〜1500個/m
2 )を含みチル面積率が小さい(10%以下)球状黒
鉛鋳鉄鋳物を製造することができる。本発明の製造方法
により得られた球状黒鉛鋳鉄鋳物は自動車用鋳物部品、
例えば、ギャキャリア、サスペンション・クロスメンバ
ー、サスペンション・サブフレームとして好適である。
【0032】[3]第2の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤 本発明の第2の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤は黒鉛球状化
剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤からな
る群より選ばれた少なくとも一と、黒鉛球状化処理をす
る溶湯の温度において、酸素との親和力が黒鉛球状化処
理に用いる黒鉛球状化元素よりも小さい金属の酸化物と
を含むことを特徴とする。
【0033】図11は各種酸化物の標準生成自由エネル
ギーを温度の関数として示したグラフである。この図に
おいて、MgOを示す点線よりも左側上方に位置する酸
化物、例えばSiO2 はマグネシウムを酸化して微細か
つ数多くのMgOを生成し、SiO2 はマグネシウムに
より還元されて金属シリコンになる。本発明の第2の球
状黒鉛鋳鉄製造用添加剤は、この酸化還元反応を利用す
る。例えば、黒鉛球状化剤に含まれるマグネシウムが酸
化されて溶湯中に生成したMgO粒子は黒鉛の直接核と
なる硫化マグネシウムの核として作用し、溶湯中に硫化
マグネシウムが数多く分散して、微細でかつ数多くの黒
鉛粒が分布した球状黒鉛鋳鉄の製造が可能になる。
【0034】球状化元素としてはマグネシウム、希土類
元素及びカルシウムがあるが、マグネシウムが好まし
い。球状化元素は、黒鉛球状化剤、黒鉛球状化作用を有
する接種剤の成分として第2の添加剤に含まれていても
よい。
【0035】第1の添加剤に使用されるものと同様の黒
鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種
剤が第2の添加剤に使用できる。黒鉛球状化剤、接種剤
および黒鉛球状化作用を有する接種剤の平均一次粒径は
通常0.001〜5μmであり、一次粒子を平均粒径が
5〜20mmの顆粒、ペレットなどに成形して用いるの
が好ましい。
【0036】前記球状化元素を溶湯中で酸化して球状化
元素の酸化物を生成する金属酸化物としてはケイ素、ホ
ウ素、バナジウム、マンガン、ニオブ、鉄、スズ、銅、
ニッケルなどの酸化物が挙げられる。これらの中では、
ケイ素、ニッケル及び鉄の酸化物が、黒鉛化作用を有
し、あるいは白銑化作用が無いので好ましい。金属酸化
物の平均粒径は0.001〜5μmであるのが好まし
い。
【0037】第2の添加剤は、第1の添加剤と同様の方
法で製造される。更に、ケイ素、ホウ素、バナジウム、
マンガン、ニオブ、鉄、スズ、銅、ニッケルの少なくと
も一つの元素を含む黒鉛球状化剤、接種剤、黒鉛球状化
作用を有する接種剤、又はこれらの混合物を融点未満の
温度で表面に金属酸化物の膜を形成することにより第2
の添加剤を得ることもできる。
【0038】第2の添加剤中の金属酸化物と、黒鉛球状
化剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤から
なる群より選ばれた少なくとも一の含有割合は特に重要
ではないが、通常、重量比で0.0001:1〜0.
6:1である。
【0039】[4]第3及び第4の球状黒鉛鋳鉄の製造
方法 本発明の第3の球状黒鉛鋳鉄の製造方法は、黒鉛球状化
剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤の少なくとも
一、および黒鉛球状化処理をする溶湯の温度において、
酸素との親和力が前記黒鉛球状化剤および/または黒鉛
球状化作用を有する接種剤に含まれる黒鉛球状化元素よ
りも小さい金属の酸化物とを含む第2の球状黒鉛鋳鉄製
造用添加剤を溶湯に添加することを特徴とする。黒鉛球
状化剤と金属化合物とからなる第2の添加剤を用いる場
合、これを溶湯に添加した後、通常用いられる接種剤を
溶湯に添加するのが好ましい。第4の球状黒鉛鋳鉄の製
造方法は、常法に従って黒鉛球状化処理した溶湯に、接
種剤、および黒鉛球状化処理をする溶湯の温度におい
て、酸素との親和力が前記黒鉛球状化処理に用いた黒鉛
球状化元素よりも小さい金属の酸化物とを含む第2の球
状黒鉛鋳鉄製造用添加剤を添加することを特徴とする。
【0040】金属酸化物を球状黒鉛鋳鉄用溶湯に添加す
る方法としては、(1)金属酸化物微粉末と球状化処理
剤とを混合し、球状化処理剤の表面に金属酸化物微粉末
を付着または担持させた後、溶湯に添加する方法、
(2)金属酸化物微粉末と球状化処理剤を混合し、得ら
れた混合物を顆粒状、ペレット状、球状、塊状、板状等
に成形した後、溶湯に添加する方法、(3)金属酸化物
微粉末と接種剤とを混合し、接種剤の表面に金属酸化物
微粉末を付着または担持させた後、黒鉛球状化処理した
溶湯に添加する方法、(4)金属酸化物微粉末と接種剤
を混合し、得られた混合物を顆粒状、ペレット状、球
状、塊状、板状等に成形した後、黒鉛球状化処理した溶
湯に添加する方法、(5)金属酸化物をSi系合金また
は接種剤に含有させ、これを黒鉛球状化処理した溶湯に
添加する方法、(6)ケイ素、ホウ素、バナジウム、マ
ンガン、ニオブ、鉄、スズ、銅、ニッケルの少なくとも
一つの元素を含む接種剤を融点未満の温度で処理し、表
面に金属酸化物の膜を形成し、これを黒鉛球状化処理し
た溶湯に添加する方法、および(7)ケイ素、ホウ素、
バナジウム、マンガン、ニオブ、鉄、スズ、銅、ニッケ
ルの少なくとも一つの元素を含む黒鉛球状化剤及び/又
は黒鉛球状化作用を有する接種剤を融点未満の温度で処
理し、表面に金属酸化物の膜を形成し、これを溶湯に添
加する方法などがある。
【0041】第2の添加剤を添加する溶湯の温度は13
00〜1550°Cが好ましい。また、金属酸化物は黒
鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種
剤の少なくとも一と同時に溶湯に添加するのが好まし
い。例えば、金属酸化物と黒鉛球状化剤とを含む第2の
添加剤を予め取鍋内に装入配置し、その後球状黒鉛鋳鉄
用溶湯を取鍋に出湯することにより、金属酸化物と黒鉛
球状化剤とを同時に溶湯に添加することができる。ま
た、通常用いられる黒鉛球状化剤を溶湯に添加した後に
金属酸化物と接種剤とを含む第2の添加剤を溶湯に添加
してもよい。この場合には、黒鉛の核が生成した後、速
やかに鋳造することができるので、核の消失および凝集
が少なくなり、より均一かつ数多くの黒鉛粒が分布した
球状黒鉛鋳鉄が得られる。なお、溶湯の化学組成は球状
黒鉛鋳鉄の製造に従来用いられているものでよく、特に
限定されない。
【0042】例えば、粒径0.2μmの酸化マグネシウ
ムを2000個/mm2 分布させるとすると、これに必
要な酸素の理論量は多くても8〜10ppmである。し
かし、マグネシウムなどの黒鉛球状化元素の酸素との親
和力が小さい金属の酸化物による酸化は金属化合物の種
類、反応条件で大きく変わり、金属酸化物を理論量の酸
素に相当する量添加しても、実際には所望する数の球状
化元素の酸化物粒子を溶湯中に生成させることは難し
い。従って、金属酸化物の添加量は溶湯に対して重量で
1〜100ppm(0.0001〜0.01重量%)が
好ましい。100ppmを超えて添加すると、溶湯中の
黒鉛球状化元素の有効量が減少して製造される球状黒鉛
鋳鉄の黒鉛球状化率が低下してしまう。第2の添加剤に
含まれる黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作用を
有する接種剤の少なくとも一の添加量は通常、溶湯に対
して0.5〜1.5重量%である。
【0043】第2の添加剤を添加した溶湯は、通常13
00〜1450°Cで鋳型に注湯し、凝固後、1〜40
K/秒の速度で常温まで冷却して黒鉛粒数が800〜1
400個/mm2 でチル面積率が5%以下の鋳放し状態
の球状黒鉛鋳鉄鋳物を得る。
【0044】本発明を以下の具体的実施例によりさらに
詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるもので
はない。
【0045】実施例1 (元湯の準備)戻し屑(50重量%)、鋼屑(40重量
%)および純鉄(10重量%)を高周波溶解炉にて溶解
し、表1に示す組成の球状黒鉛鋳鉄用の元湯を準備し
た。
【0046】 表1 化学成分(重量%) Si Mn Cr Mg Al Cu 3.87 1.51 0.31 0.017 0.010 0.018 0.018 0.001 0.12
【0047】 表1(続き) 化学成分(重量%) Sn Ti Mo Ni Ca Ce Fe 0.004 0.004 0.008 0.002 0.023 0.00087 0.00852 残部
【0048】(溶湯処理)平均粒径が8mmの粒状黒鉛
球状化剤(Fe−45%Si−6%Mg合金)の表面に
純度が99.9%以上で、平均粒径が0.8μmのMg
O粉末をまぶすように付着させて得た本発明の添加剤を
取鍋内底部に置き、その上に軟鋼屑を置き添加剤を覆っ
た。MgOの添加量が溶湯重量に対して0.004重量
%、黒鉛球状化剤の添加量が溶湯重量に対して0.85
重量%になるように添加剤を用いた。高周波溶解炉から
元湯を1520°Cで出湯して取鍋に受湯して黒鉛球状
化処理を施した。この後、Fe−75%Si合金で接種
し、最終Si濃度を2.36重量%にした。
【0049】(試験片の製造)取鍋内の球状黒鉛鋳鉄溶
湯を図12に示す鋳型10に注湯し、薄肉鋳物組織評価
用の試験片を鋳造した。鋳型10は本発明者等が開発し
たもので、実際の薄肉鋳物でのチル発生や黒鉛組織の状
態を評価することができる。注湯口11に注湯された溶
湯は分配されてそれぞれ組織を評価する薄肉部12〜1
5を通り湯溜まり部16〜19に向かって流れる。薄肉
部12〜15を幅25mm×厚さ2mm×長さ35mm
の同一寸法とし、湯溜まり部16〜19の容積を変える
ことにより薄肉部12〜15を流れる溶湯量を変え、異
なる速度で溶湯を凝固させることができる。薄肉部12
〜15に設けた熱電対(図示せず)により測定した凝固
冷却速度と実際の鋳物の凝固冷却速度とを対照させ、薄
肉部12〜15から採取した鋳物の試験片の組織観察に
より実際の鋳物に相当する肉厚での黒鉛組織、チル化率
を評価することができる。本実施例においては、湯溜ま
り部16〜19の容積を薄肉部12〜15の体積の40
倍(湯溜まり部16)、25倍(湯溜まり部17)、1
0倍(湯溜まり部18)および2.5倍(湯溜まり部1
9)にした。溶湯の凝固完了後、薄肉部12〜15から
それぞれ試験片TP(1)(薄肉部12)、TP(2)
(薄肉部13)、TP(3)(薄肉部14)、TP
(4)(薄肉部15)を採取し、その中央(長さ方向)
断面の組織を評価した。
【0050】(試験片の評価)得られた試験片の黒鉛粒
数(個/mm2 )、黒鉛球状化率(%)およびチル面積
率(%)を下記に示す方法で求めた。 (1)黒鉛粒数 NIK法(日本鋳物協会鋳鉄特殊部会により提案され、
現在広く用いられている方法)に準拠し求めた。手札版
の顕微鏡写真(倍率:100倍)の両対角線を中心とし
て幅3mmの直線を引き、これら両対角線帯の上に少し
でも載る黒鉛粒の個数を数えた。ただし、最大径が0.
5mm(実際の寸法が5μm)以下の黒鉛粒は数えない
こととした。両対角線帯の上に載る黒鉛粒の数が10個
未満の場合には、両対角線帯の幅を広げ10個以上の黒
鉛粒が対角線帯の上に載るようにして測定した。5視野
について測定を繰り返しその平均値を黒鉛粒数とした。
【0051】(2)黒鉛球状化率 NIK法は黒鉛粒の形態を図13に示した5つの形態
(I〜V)に分類し、各形態に対して表2に示す面積率
と球状化率算出のための形状係数を与えている。なお、
面積率は黒鉛の最大長さを直径とする円に対する黒鉛の
面積の割合である。
【0052】 表2 形態記号 I II III IV V 形状係数 0 0.3 0.7 0.9 1.0 面積率(%) 20未満 20以上 40以上 70以上 80以上 40未満 70未満 80未満
【0053】黒鉛球状化率は上記の形状係数を用い、黒
鉛球状化率(%)=100×(0×nI +0.3×nII
+0.7×nIII +0.9×nIV+1.0×nV )/
(nI+nII+nIII +nIV+nV )(但し、nI 〜n
V は表2に示すI〜Vの各形態に該当する黒鉛粒の個
数)により算出した。これを5視野について繰り返し、
その平均値を試料の黒鉛球状化率とした。
【0054】(3)チル面積率 試験片断面を(NH4 2 x 水溶液(S量:0.6〜
1.0%)でマクロエッチングしてチル組織を現出さ
せ、画像解析装置を用い25倍の倍率でチル面積率を求
めた。
【0055】黒鉛粒数、黒鉛球状化率およびチル面積率
の測定結果を表3に示した。
【0056】比較例1 黒鉛球状化剤(Fe−45%Si−6%Mg合金)のみ
を用い、MgO粉末を添加しなかったこと以外は実施例
1と同様にして、各試験片、TP(1)〜TP(4)を
採取し、実施例1と同様にして黒鉛粒数、黒鉛球状化率
および黒鉛面積率を測定した。結果を表3に示した。
【0057】 表3 黒鉛粒数(個/mm2 黒鉛球状化率(%) TP(1) TP(2) TP(3) TP(4) TP(1) TP(2) TP(3) TP(4) 実施例1 1211 1320 1244 1160 85.5 85.9 86.1 85.9 比較例1 1048 908 960 870 82.0 84.1 83.1 83.6
【0058】
【0059】表3から明らかなように、MgOを含む接
種剤を添加した実施例1では、TP(1)〜TP(4)
の黒鉛粒数が1160〜1320(個/mm2 )、黒鉛
球状化率が85.5〜86.1%、チル面積率が0.0
〜4.4%であった。MgOを含まない接種剤を添加し
た比較例1の対応するTP(1)〜TP(4)の結果と
それぞれ比較すると、本発明の球状黒鉛鋳鉄では黒鉛粒
数、黒鉛球状化率およびチル面積率のいずれにおいても
改善され、また、試験片ごとの差が少なく、凝固の冷却
速度が違っても組織に変化が少なくなっていることが分
かる。
【0060】図4は実施例1のTP(1)(厚さ2m
m)の金属組織を示す顕微鏡写真(倍率:100倍)で
ある。図4に示すとおり、微細な球状黒鉛粒が多数分布
しており、チルの発生は認められていない。一方、図5
は比較例1のTP(1)(厚さ2mm)の金属組織を示
す顕微鏡写真(倍率:100倍)である。黒鉛粒数が少
なくチルの発生が認められた。
【0061】以上のことから、実施例1ではMgO粉末
を含む添加剤が接種効果をも有効に発揮し、黒鉛粒数を
増加させたことがわかる。実施例1の球状黒鉛鋳鉄の基
地はフェライトであり、黒鉛化の促進により機械的性
質、特に伸びの改善が期待される。また、薄肉鋳物の組
織評価に用いた試験片の厚さは2mmであり、本発明の
高純度酸化マグネシウム微粉末と黒鉛球状化剤とを含む
添加剤は、凝固する溶湯の部位の厚さが2mmというよ
うな薄肉部においてさえも黒鉛粒数を増加する効果を発
揮することがわかる。さらに、図4から明らかなよう
に、実施例1の球状黒鉛鋳鉄では、黒鉛粒が均一に分散
している。すなわち、高純度酸化マグネシウム微粉末を
単独で添加するのではなく、比較的比重が大きい黒鉛球
状化剤の表面に付着させて適量添加すると溶湯中で酸化
マグネシウム微粉末が均一に分散し、ひいては黒鉛粒が
多数晶出することがわかる。
【0062】実施例2及び比較例2 実施例1と同じ元湯を用い、同様の方法で試験片を鋳造
した。平均粒径0.24μm、純度が97重量%のMg
O粉末を平均粒径8mmの粒状黒鉛球状化剤(Fe−4
5%Si−6%Mg合金)の表面に付着させた添加剤を
用いた。MgOは溶湯重量に対して0.003重量%、
球状化剤は溶湯重量に対して0.85重量%添加した。
元湯は1500°Cで取鍋へ注湯して黒鉛球状化処理を
施し、この後、Fe−75%Si合金を0.3%接種し
て試験片を鋳造した。また、比較のためにMgOを用い
ないこと以外は同様にして、試験片を鋳造した(比較例
2)。図18に試験片を鋳造した鋳型を示す。(a)は
鋳型の斜視図であり、(b)断面図である。鋳型41の
注入口42より注湯された溶湯は8個の堰43を通り内
径が38.5mm、深さが51mmである8個のシェル
カップ46に同時に配湯される。8個のシェルカップ4
6の内側には厚さ2.0、3.0、3.5、4.0、
4.5、5.0および7.0mmの鋼製円筒状チラー
(冷やし金)45がそれぞれ挿入されている。各シェル
カップ46の底部中央にはR熱電対48が設置されてい
る。なお、図中、47は熱電対の保護管、tはチラー4
5の厚さ、44は空孔部を表す。各シェルカップ46の
空孔部44に注入された溶湯は各シェルカップ毎に厚さ
の違うチラーにより、それぞれ異なる速度で冷却され、
かつ、凝固後も異なる速度で冷却される。凝固後、熱電
対近傍の組織を観察してチル面積率を測定した。試験片
鋳造時に測定した冷却速度と各試験片のチル面積率から
チル臨界冷却速度Rc、即ちチルが発生を開始する溶湯
の冷却速度を求め、本発明の接種剤のチル晶出の抑制効
果を評価した。図14は溶湯の冷却速度(K/s)とチ
ル面積率(%)との関係を示す図である。チル面積率
(%)は、熱電対による溶湯の温度測定部近傍の金属組
織100視野(0.9mm×0.7mm)に占めるチル
の面積(%)を5 ケ所測定し、その平均値で表した。冷
却速度(K/s)は、溶湯の凝固後の最大冷却速度であ
る。なお、Kはケルビン温度を、sは秒を意味する。
【0063】図14から明らかなように、MgO含有添
加剤を添加した場合には、チル臨界冷却速度Rcの値が
14K/s以上であった。一方、MgOを使用せず、黒
鉛球状化剤のみを添加した場合には、チル臨界冷却速度
Rcの値が2〜3K/sであった。また、MgO含有添
加剤を添加した場合には、冷却速度が33.3K/sの
ときでもチル面積率は6.2%とかなり低かった。この
ときの金属組織を示す顕微鏡写真(倍率:100倍)を
図6に示す。一方、MgOを使用せず、黒鉛球状化剤の
みを添加した場合には、冷却速度が27.8K/sのと
きでもチル面積率が21.1%に達した。このときの金
属組織を示す顕微鏡写真(倍率:100倍)を図7に示
す。なお、図6および図7において白色部分がチル組織
である。以上の結果から、本発明の球状黒鉛鋳鉄製造用
添加剤はチル臨界冷却速度Rcを増大させ、チル抑制に
効果があることがわかる。
【0064】実施例3 自動車用鋳物部品であるギヤキャリヤ、サスペンション
・クロスメンバーおよびサスペンション・サブフレーム
をそれぞれ図15、図16、図17に示す。図15に示
すギヤキャリヤは、図15(a)(平面図)に示すよう
に、その外周に複数のボス20を有し、図15(b)
(断面図)に示すように、中心部にパイロットベアリン
グ部22を有する。外端部にフランジ部21が形成さ
れ、その端部中央部にはべアリング組付部24とキャッ
プ取付部23とが形成されている。
【0065】図16に示すサスペンション・クロスメン
バーは、本体部25の両端に翼片部26が形成され、そ
の翼片部26の先端にボス部27があり、このボス部2
7には車体取付部(ボス部)28が設けられている。
【0066】図17に示すサスペンション・サブフレー
ムは、中央部のクロスビーム29の両端部のサイドビー
ム31の付け根から翼片部30が延在し、その先端部に
車体取付部(ボス部)32が形成されている。翼片部3
0の延在部の側部にはリンク取付部34が、またサイド
ビーム31の付け根にはボス部33が存在する。これら
自動車用鋳物部品には、5mm以下の鋳放し薄肉部、5
mmを越える鋳放し厚肉部、または5mm以下の鋳放し
薄肉部と5mmを越える鋳放し厚肉部が混在する部位が
存在する。
【0067】実施例1と同様の元湯を用い、実施例1と
同様の方法で溶湯処理を施してギヤキャリヤ、サスペン
ション・クロスメンバーおよびサスペンション・サブフ
レームを鋳造した。純度が98重量%で平均粒径が1μ
mのMgO粉末を平均粒径12mmの粒状黒鉛球状化剤
(Fe−45%Si−6%Mg合金)の表面にまぶすよ
うにして付着させた添加剤を用いた。MgOは溶湯重量
に対して0.005重量%、黒鉛球状化剤は溶湯重量に
対して0.85重量%添加した。なお、鋳造中の溶湯流
に平均粒径が約1mmのFe−75%Si合金を0.1
〜0.2重量%添加するポスト・イノキュレーションを
行った。添加剤添加後の溶湯温度は1365°Cであっ
た。鋳造したギヤキャリヤ、サスペンション・クロスメ
ンバーおよびサスペンション・サブフレームを検査した
結果、5mm以下の鋳放し薄肉部および5mmを越える
鋳放し厚肉部のいずれにおいてもチルの発生はなかっ
た。
【0068】実施例4 平均粒径が約8mmの粒状黒鉛球状化剤(Fe−45%
Si−5%Mg)と平均粒径0.8μmの二酸化ケイ素
粉末とを混合し、二酸化ケイ素粉末を黒鉛球状化剤の表
面に付着させて本発明の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤を得
た。これを取鍋内底のポケットに置き、その上を平均粒
径が5mmの一次接種剤(Fe−Si(75%)合
金)、次いで薄鉄板屑で覆った。実施例1と類似の組成
の溶湯(1500°C)を取鍋に注湯し黒鉛球状化処理
を行った。それぞれの添加割合は、溶湯に対して黒鉛球
状化剤が0.95重量%、二酸化ケイ素粉末が30重量
ppm、一次接種剤が0.15重量%、薄鉄板屑が0.
7重量%であった。黒鉛球状化処理後、二次接種剤(F
e−Si(75%)合金)を溶湯に対して0.2重量%
湯面に添加し、攪拌した。次いで、溶湯を1400°C
で図12に示す鋳型に注湯し、厚さ2mmの薄板試験片
を鋳造した。
【0069】凝固冷却後、薄肉部の中央部を切断して断
面の組織を観察した。図8にTP(3)(薄肉部14)
の断面の光学顕微鏡写真(倍率:100倍)を示す。観
察の結果、黒鉛粒数は835個/mm2 、チル面積率は
2.6%であった。
【0070】実施例5 実施例4で用いたのと同じ黒鉛球状化剤と一次接種剤を
700°Cで1時間加熱して表面を酸化させた。これを
用いる以外は実施例4と同様にして球状黒鉛鋳鉄試験片
を鋳造した。観察の結果、黒鉛粒数は870個/m
2 、チル面積率は0.3%であった。
【0071】実施例6 溶湯の重量に対して0.006重量%の平均粒径が約1
μmの二三酸化鉄(Fe2 3 )を実施例4で用いたの
と同じ黒鉛球状化剤と混合する以外は実施例4と同様に
して球状黒鉛鋳鉄試験片を鋳造した。図9にTP(3)
(薄肉部14)の断面の光学顕微鏡写真(倍率:100
倍)を示す。黒鉛粒数は919個/mm2 で断面にはチ
ルが認められなかった。
【0072】実施例7 溶湯の重量に対して0.004重量%の粒径が1μm以
下の酸化マグネシウムを実施例4で用いたのと同じ黒鉛
球状化剤と混合する以外は実施例4と同様にして球状黒
鉛鋳鉄試験片を鋳造した。黒鉛粒数は847個/m
2 、チル面積率は0.2%であった。
【0073】比較例3 二酸化ケイ素を用いないこと以外は実施例4と同様にし
て球状黒鉛鋳鉄試験片を鋳造した。図10にTP(3)
(薄肉部14)の断面の光学顕微鏡写真(倍率:100
倍)を示す。黒鉛粒数は770個/mm2 でチル面積率
は10.5%であった。
【0074】
【発明の効果】以上詳細に説明したとおり、本発明の高
純度の酸化マグネシウム微粉末を含む第1の球状黒鉛鋳
鉄製造用添加剤は、球状黒鉛鋳鉄の黒鉛粒数の増加に著
しい効果を発揮する。このために、本発明の第1の球状
黒鉛鋳鉄製造用添加剤を添加して鋳造すると、特に黒鉛
の核の増加によるチル防止に有効であり、球状黒鉛鋳鉄
の材質の改善が期待できる。また、本発明の第1の球状
黒鉛鋳鉄製造用添加剤を添加して鋳造した球状黒鉛鋳鉄
鋳物品は、肉厚が5mm以下の鋳放し薄肉部および/ま
たは5mmを越える鋳放し厚肉部において、チルの発生
を抑制するのに必要な数の黒鉛粒を有する。強度を損な
わずに鋳造部品を薄肉化することができるので、ギヤキ
ャリヤ、サスペンション・クロスメンバーやサスペンシ
ョン・サブフレームなどの自動車用鋳物部品を軽量化す
ることができる。
【0075】また、本発明の第2の球状黒鉛鋳鉄製造用
添加剤を溶湯に添加した場合、黒鉛の核となる球状化元
素の酸化物は溶湯中で生成されるので、微細な球状化元
素の酸化物を溶湯中に多数存在させることができる。溶
湯中に多数分布した微細な黒鉛粒はチル化を効果的に阻
止する。このため、急冷凝固する薄肉部においてもチル
が生成しにくく、鋳放しで所望の機械的性質を有する球
状黒鉛鋳鉄を鋳造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の球状黒鉛鋳鉄中の黒鉛粒の走査型電子
顕微鏡の反射電子像(倍率:7000倍)を示す電子顕
微鏡写真である。
【図2】黒鉛粒の核の走査型電子顕微鏡の二次電子像
(倍率:30000倍)を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明で使用する高純度酸化マグネシウム粉末
の走査型電子顕微鏡の二次電子像(倍率:30000
倍)を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で鋳造した球状黒鉛鋳鉄の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図5】比較例1で鋳造した球状黒鉛鋳鉄の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図6】実施例2でMgO含有球状黒鉛鋳鉄製造用添加
剤を添加して鋳造した球状黒鉛鋳鉄の金属組織を示す顕
微鏡写真である。
【図7】比較例2でMgOを使用せず、黒鉛球状化剤の
みを添加して鋳造した球状黒鉛鋳鉄の金属組織を示す顕
微鏡写真である。
【図8】実施例4で鋳造した球状黒鉛鋳鉄の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図9】実施例6で鋳造した球状黒鉛鋳鉄の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図10】比較例3で鋳造した球状黒鉛鋳鉄の金属組織
を示す顕微鏡写真である。
【図11】各種酸化物の標準生成自由エネルギーを温度
の関数として示したグラフである。
【図12】実施例1の薄肉鋳物の組織評価用試験片の鋳
造に用いた鋳型を示す概略斜視図である。
【図13】NIK法による黒鉛粒の形態の5つの分類を
示す図である。
【図14】溶湯の冷却速度とチル面積率との関係を示す
図である。
【図15】本発明のギヤキャリアを示す図であり、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図16】本発明のサスペンション・クロスメンバーを
示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図であ
る。
【図17】本発明のサスペンション・サブフレームを示
す図である。
【図18】実施例2において用いた鋳型を示す図であ
り、(a)は概略斜視図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
12、13、14、15・・薄肉部 16、17、18、19・・湯留り部 20、27・・・・・・・・ボス部 21・・・・・・・・・・・フランジ部 22・・・・・・・・・・・パイロットベアリング部 23・・・・・・・・・・・キャップ取付部 24・・・・・・・・・・・ベアリング取付部 25・・・・・・・・・・・本体部 26、30・・・・・・・・翼片部 28・・・・・・・・・・・車体取付部 29・・・・・・・・・・・クロスビーム 31・・・・・・・・・・・サイドビーム 32・・・・・・・・・・・車体取付部(ボス部) 33・・・・・・・・・・・ボス部 34・・・・・・・・・・・リンク取付部 43・・・・・・・・・・・堰 45・・・・・・・・・・・チラー(冷やし金) 46・・・・・・・・・・・シェルカップ 48・・・・・・・・・・・R熱電対
フロントページの続き (72)発明者 松山 健也 栃木県真岡市鬼怒ケ丘13番地 日立金属株 式会社真岡工場内 (72)発明者 高橋 雅寛 栃木県真岡市鬼怒ケ丘13番地 日立金属株 式会社真岡工場内 (72)発明者 川畑 將秀 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内 (72)発明者 古城 勝彦 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内 (72)発明者 吉田 敏樹 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純度が90重量%以上の酸化マグネシウ
    ム微粉末と、黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作
    用を有する接種剤からなる群より選ばれた少なくとも一
    とを含むことを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤。
  2. 【請求項2】 前記酸化マグネシウム微粉末の平均粒径
    が0.001〜10μmであることを特徴とする請求項
    1に記載の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤。
  3. 【請求項3】 前記酸化マグネシウム微粉末が前記黒鉛
    球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有する接種剤
    からなる群より選ばれた少なくとも一の表面に付着また
    は前記黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状化作用を有
    する接種剤からなる群より選ばれた少なくとも一中に分
    散して存在していることを特徴とする請求項1または2
    に記載の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤。
  4. 【請求項4】 前記球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤は前記酸
    化マグネシウム微粉末と、前記黒鉛球状化剤、接種剤お
    よび黒鉛球状化作用を有する接種剤からなる群より選ば
    れた少なくとも一との混合物を混練、成形して得た成形
    体であることを特徴とする請求項1または2に記載の球
    状黒鉛鋳鉄製造用添加剤。
  5. 【請求項5】 前記球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤は前記酸
    化マグネシウム微粉末と前記黒鉛球状化剤、接種剤およ
    び黒鉛球状化作用を有する接種剤からなる群より選ばれ
    た少なくとも一との混合物を成形し、焼結して得た成形
    体であることを特徴とする請求項1または2に記載の球
    状黒鉛鋳鉄製造用添加剤。
  6. 【請求項6】 純度が90重量%以上の酸化マグネシウ
    ム微粉末と、黒鉛球状化剤と黒鉛球状化作用を有する接
    種剤の少なくとも一とを含む球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤
    を溶湯に添加することを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 純度が90重量%以上の酸化マグネシウ
    ム微粉末と接種剤とを含む球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤を
    黒鉛球状化処理した溶湯に添加することを特徴とする球
    状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化マグネシウム微粉末の添加量が
    溶湯に対して0.0001〜0.5重量%であることを
    特徴とする請求項6または7に記載の球状黒鉛鋳鉄の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載の製造方
    法により鋳造したことを特徴とする球状黒鉛鋳鉄鋳物部
    品。
  10. 【請求項10】 前記球状黒鉛鋳鉄鋳物部品が肉厚5m
    m以下の鋳放し薄肉部および/または肉厚が5mmを超
    える鋳放し肉厚部を有することを特徴とする請求項9に
    記載の球状黒鉛鋳鉄鋳物部品。
  11. 【請求項11】 前記球状黒鉛鋳鉄鋳物部品が自動車用
    鋳物部品であることを特徴とする請求項9または10に
    記載の球状黒鉛鋳鉄鋳物部品。
  12. 【請求項12】 前記自動車用鋳物部品がギヤキャリ
    ヤ、サスペンション・クロスメンバーまたはサスペンシ
    ョン・サブフレームであることを特徴とする請求項11
    に記載の球状黒鉛鋳鉄鋳物部品。
  13. 【請求項13】 黒鉛球状化剤、接種剤および黒鉛球状
    化作用を有する接種剤からなる群より選ばれた少なくと
    も一、および黒鉛球状化処理をする溶湯の温度におい
    て、酸素との親和力が前記黒鉛球状化処理に用いる黒鉛
    球状化元素よりも小さい金属の酸化物とを含むことを特
    徴とする球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤。
  14. 【請求項14】 前記金属酸化物がケイ素、ホウ素、バ
    ナジウム、マンガン、ニオブ、鉄、スズ、銅およびニッ
    ケルの酸化物からなる群より選ばれた少なくとも一の酸
    化物であることを特徴とする請求項13に記載の球状黒
    鉛鋳鉄製造用添加剤。
  15. 【請求項15】 前記黒鉛球状化元素はマグネシウム、
    希土類元素及びカルシウムからなる群より選ばれた少な
    くとも一の元素であることを特徴とする請求項13また
    は14に記載の球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤。
  16. 【請求項16】 黒鉛球状化剤および黒鉛球状化作用を
    有する接種剤の少なくとも一、および黒鉛球状化処理を
    する溶湯の温度において、酸素との親和力が前記黒鉛球
    状化剤および/または黒鉛球状化作用を有する接種剤に
    含まれる黒鉛球状化元素よりも小さい金属の酸化物とを
    含む球状黒鉛鋳鉄製造用添加剤を溶湯に添加することを
    特徴とする球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  17. 【請求項17】 黒鉛球状化処理した溶湯に、接種剤、
    および黒鉛球状化処理をする溶湯の温度において、酸素
    との親和力が前記黒鉛球状化処理に用いた黒鉛球状化元
    素よりも小さい金属の酸化物とを含む球状黒鉛鋳鉄製造
    用添加剤を添加することを特徴とする球状黒鉛鋳鉄の製
    造方法。
  18. 【請求項18】 前記金属酸化物がケイ素、ホウ素、バ
    ナジウム、マンガン、ニオブ、鉄、スズ、銅およびニッ
    ケルの酸化物からなる群より選ばれた少なくとも一の酸
    化物であることを特徴とする請求項16または17に記
    載の球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記黒鉛球状化元素はマグネシウム、
    希土類元素及びカルシウムからなる群より選ばれた少な
    くとも一の元素であることを特徴とする請求項16〜1
    8のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記黒鉛球状化処理をする溶湯の温度
    が1300〜1550°Cであることを特徴とする請求
    項16〜19のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の製造方
    法。
  21. 【請求項21】 前記金属酸化物の添加量が溶湯に対し
    て重量で1〜100ppmであることを特徴とする請求
    項16〜20のいずれかに記載の球状黒鉛鋳鉄の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007204815A (ja) * 2006-02-02 2007-08-16 Muroran Institute Of Technology 球状黒鉛鋳鉄の製造方法
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KR20200080933A (ko) * 2018-12-27 2020-07-07 현대자동차주식회사 흑연 미세 조직화 주철 주물 제조방법 및 현가 부품

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