JP6065622B2 - インクジェット用インクセット及びインクジェット記録システム - Google Patents
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Description
〔1〕
少なくともシアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを備えるインクジェット用インクセットであって、
前記シアンインクは、C.I.アシッドブルー9又はC.I.ダイレクトブルー199の少なくともいずれかを含み、
前記マゼンタインクは、C.I.アシッドレッド249又はC.I.リアクティブレッド141の少なくともいずれかを含み、
前記イエローインクは、C.I.ダイレクトイエロー86又はC.I.ダイレクトイエロー132の少なくともいずれかを含み、且つ、
前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクは、主鎖の炭素数が12以上であるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物と、主鎖の炭素数が10以上であるアセチレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、を含む、
インクジェット用インクセット。
〔2〕
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、11〜16のHLB値を有する、前項〔1〕に記載のインクジェット用インクセット。
〔3〕
主鎖の炭素数が12以上である前記アセチレングリコールの前記アルキレンオキサイド付加物が、エチレンオキサイド付加物である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェット用インクセット。
〔4〕
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、主鎖の炭素数が12以上である前記アセチレングリコールの前記アルキレンオキサイド付加物及び主鎖の炭素数が10以上である前記アセチレングリコールの総含有量を1として、質量比で0.10〜0.50含まれる、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インクセット。
〔5〕
主鎖の炭素数が12以上である前記アセチレングリコールの前記アルキレンオキサイド付加物は、8〜15のHLB値を有する、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インクセット。
〔6〕
主鎖の炭素数が10以上である前記アセチレングリコールは、7以下のHLB値を有する、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インクセット。
〔7〕
前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のインクジェット用インクセットのインクを収容するインク収容容器と、
前記インクを吐出するインクジェット記録用のヘッドと、
前記インク収容容器から前記ヘッドに前記インクを供給するインク供給路と、
を有し、
前記インク収容容器は、前記インクを収容するインク収容室と、該インク収容室に収容された前記インクを介して前記インク収容室内に空気を導入する空気導入流路と、を備える、
インクジェット記録システム。
〔8〕
前記ヘッドに前記インクを供給する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(A)と、
前記インク供給路の断面の面積(B)と、の比(A/B)が、300以上である、前項〔7〕に記載のインクジェット記録システム。
〔9〕
前記インク収容室に前記インクを注入する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(C)と、
前記インク供給路の断面の面積(B)と、の比(C/B)が、900以上である、前項〔7〕又は〔8〕に記載のインクジェット記録システム。
〔10〕
前記ヘッドに前記インクを供給する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(A)と、
前記インク収容室に前記インクを注入する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(C)と、の比(C/A)が、2.5以上である、前項〔7〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のインクジェット記録システム。
本実施形態に係るインクジェット用インクセットは、少なくともシアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを備えるインクジェット用インクセットであって、シアンインクは、C.I.アシッドブルー9又はC.I.ダイレクトブルー199の少なくともいずれかを含み、マゼンタインクは、C.I.アシッドレッド249又はC.I.リアクティブレッド141の少なくともいずれかを含み、イエローインクは、C.I.ダイレクトイエロー86又はC.I.ダイレクトイエロー132の少なくともいずれかを含み、且つ、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクは、いずれも、主鎖の炭素数が12以上であるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物と、主鎖の炭素数が10以上であるアセチレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、を含む。このような、インクジェット用インクセットであれば、初期充填性、連続印刷安定性、に優れる上、インクセットとしての色再現性及び目詰まり性に優れる。以下、各インクに含まれる成分について、詳細に説明する。なお、シアンインク、マゼンタインク及びイエローインクに共通する成分を説明する場合については、単に「インクジェット用インク」として説明する。
(1.1.1.シアンインクに含まれる着色剤)
本実施形態に係るシアンインクは、C.I.アシッドブルー9又はC.I.ダイレクトブルー199の少なくともいずれかを含むものである。シアンインクが、C.I.アシッドブルー9又はC.I.ダイレクトブルー199の少なくともいずれかを含むことにより、特に目詰まり性がより向上する。また、シアンインクは、本発明の目的を達成できる限りにおいて、上記以外の着色剤を含んでもよい。
本実施形態に係るマゼンタインクは、C.I.アシッドレッド249又はC.I.リアクティブレッド141の少なくともいずれかを含むものである。マゼンタインクが、C.I.アシッドレッド249又はC.I.リアクティブレッド141の少なくともいずれかを含むことにより、特に色再現性がより向上する。また、マゼンタインクは、本発明の目的を達成できる限りにおいて、上記以外の着色剤を含んでもよい。
本実施形態に係るイエローインクは、C.I.ダイレクトイエロー86又はC.I.ダイレクトイエロー132の少なくともいずれかを含むものである。イエローインクが、C.I.ダイレクトイエロー86又はC.I.ダイレクトイエロー132の少なくともいずれかを含むことにより、特に色再現性及び耐湿性がより向上する。また、イエローインクは、本発明の目的を達成できる限りにおいて、上記以外の着色剤を含んでもよい。
本実施形態で用いるインクジェット用インクは、主鎖の炭素数が12以上であるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物(以下、単に「AO付加物」ともいう。)を含む。なお、本明細書における「主鎖」とは、IUPAC命名法に基づいて決定される、アセチレングリコールの主鎖を意味する。
本実施形態で用いるインクジェット用インクは、主鎖の炭素数が10以上であるアセチレングリコールを含む。主鎖の炭素数10以上であるアセチレングリコールは、消泡性に優れ、インク収容容器等へのインク導入中に発生した気泡を効果的に消泡させることができる。これにより、初期充填性及び連続印刷安定性が向上する。
本実施形態で用いるインクジェット用インクは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、上記したAO付加物と主鎖の炭素数10以上であるアセチレングリコールを、インクジェット用インク中に溶解、又は分散させる可溶化剤として作用する。上記のアセチレングリコール系化合物はいずれも動的表面張力が低く、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルはこの低い動的表面張力に影響を及ぼさない可溶化剤ということができる。
R6O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH・・・(3)
上記式(3)中、R6は、炭素数1〜20のアルキル基を表し、好ましくは炭素数5〜15のアルキル基を表し、より好ましくは炭素数10〜15のアルキル基を表す。また、wは1〜20の値であり、x、y、及びzは互いに独立して0又は1〜20の値である。さらに、w、x、y、及びzは、5≦w+x+y+z≦30を満たし、好ましくは5≦w+x+y+z≦25を満たす。上記のようなポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることにより、保存安定性及び連続印刷安定性により優れる傾向にある。
C12H25O(C2H4O)6(C3H6O)2(C2H4O)6(C3H6O)8H、
C13H27O(C2H4O)6(C3H6O)2(C2H4O)6(C3H6O)8H、
C12H25O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH
(ここで、w+y=15、x+z=4)、
C13H27O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH
(ここで、w+y=15、x+z=4)、
C12H25O(C2H4O)8(C3H6O)2(C2H4O)6H、
C13H27O(C2H4O)8(C3H6O)2(C2H4O)6H、
C12H25O(C2H4O)12(C3H6O)2(C2H4O)12H、
C13H27O(C2H4O)12(C3H6O)2(C2H4O)12H、
CH3(CH2)9(CH3)CHO(C2H4O)7(C3H6O)4.5H、
CH3(CH2)11(CH3)CHO(C2H4O)7(C3H6O)4.5H、
CH3(CH2)9(CH3)CHO(C2H4O)5(C3H6O)3.5H、
CH3(CH2)11(CH3)CHO(C2H4O)5(C3H6O)3.5H、
C14H29O(C2H4O)14(C3H6O)2H、
C11H23O(C2H4O)8H、
C10H21O(C2H4O)11H、及び
C12H25O(C2H4O)15Hが挙げられる。
ノイゲンDL−0415(R6O(C2H4O)W(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH、「R6」:炭素数12,13のアルキル、w+y=15、x+z=4、HLB値15.0)、
ノイゲンET−116B(R6O(C2H4O)7(C3H6O)4.5H、「R6」:炭素数12,14のアルキル、HLB値12.0)、
ノイゲンET−106A(R6O(C2H4O)5(C3H6O)3.5H、「R6」:炭素数12,14のアルキル、HLB値10.9)、
ノイゲンDH−0300(R6O(C2H4O)2H、「R6」:炭素数14のアルキル、HLB値4.0)、
ノイゲンYX−400(R6O(C2H4O)40H、「R6」:炭素数12のアルキル、HLB値18.1)、
ノイゲンEA−160(C9H19C6H4O(C2H4O)16.8H、HLB値15.4)(以上、第一工業製薬社製)、及び
エマルゲン1108(花王社製商品名、R6O(C2H4O)8H、「R6」:炭素数11のアルキル、HLB値13.4)が挙げられる。
本実施形態で用いるシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及び他の色材を含むインクは、上記以外の成分を含有してもよい。このような成分としては、例えば、水、有機溶剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、キレート化剤等が挙げられる。
本実施形態に用いるインクジェット用インクは水を含有しうる。水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる傾向にある。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、1,2−アルカンジオール類、グリコールエーテル類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
防腐剤・防かび剤としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)が挙げられる。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
キレート化剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびこれの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)が挙げられる。
本実施形態に用いるインクジェット用インクは、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
(表面張力)
本実施形態に用いるインクジェット用インクは、画像品質とインクジェット記録用インクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に用いるインクジェット用インクの20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
本実施形態に用いるインクジェット用インクは、殆ど脱気されていないインク(例えば、溶存酸素量又は溶存窒素量は5ppm以上)であっても、全く脱気されていないインク(例えば、溶存酸素量又は溶存窒素量は7ppm以上)であってもよい。このように脱気されていないインクジェット用インクを用いたとしても、初期充填性、連続印刷安定性、に優れるため、本発明を適用するのに適している。なお、溶存酸素量、溶存窒素量は実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のインクジェット記録システムは、上述のインクジェット用インクセットのインクを収容するインク収容容器と、インクを吐出するインクジェット記録用のヘッドと、インク収容容器からヘッドにインクを供給するインク供給路と、を有し、インク収容容器は、インクを収容するインク収容室と、該インク収容室に収容されたインクを介してインク収容室内に空気を導入する空気導入流路と、を備える。
インクジェット記録システムを備えた記録装置は、記録装置の方式及びインクの供給方式によっていくつかの型に分類することができる。記録装置の方式の型として、例えば、ラインプリンター及びシリアルプリンターが挙げられる。「ラインプリンター」とは、記録媒体の幅に相当する長さのラインヘッドを備えるものであり、ヘッドが(ほぼ)移動せずに固定されて、1パス(シングルパス)で印刷が行われるものである。一方、「シリアルプリンター」とは、ヘッドが被記録媒体の搬送方向と直交した方向に往復移動(シャトル移動)しながら、通常2パス以上(マルチパス)で印刷が行われるものである。また、インクの供給方式の型として、例えば、オンキャリッジタイプのシリアルプリンター及びオフキャリッジタイプのシリアルプリンターが挙げられる。
図1は、インクジェット記録システムを備えたインクジェット記録装置(プリンター1)の全体構成を示すブロック図である。図2は、インクジェット記録システムを備えたプリンター1の横断面を示す概略図である。
本実施形態における記録装置の動作としては、記録媒体にインクを付着させて画像を形成する記録動作と、記録媒体を搬送する搬送動作と、が挙げられる。本実施形態における記録装置は、記録動作及び搬送動作を交互に行うことにより、記録を行うものである。記録の際、記録媒体は搬送されず、記録領域に位置するプラテン14に保持された状態となっている。上記の記録動作としては、以下に限定されないが、例えば、インク収容容器41からヘッド31までインクを供給するインク供給動作と、インクタンク44からヘッド31に安定してインクを供給する目的でインク収容容器41に大気(空気)を導入する空気導入動作と、ヘッド31からインクを記録媒体に向けて吐出する吐出動作と、が挙げられる。このような記録装置の動作により、記録媒体におけるヘッド31と対向する領域に所望の画像を形成することができる。
記録媒体として、特に限定されないが、例えば、インク吸収性の記録媒体が挙げられる。インク吸収性の記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
本実施形態における記録動作は、インク供給動作を含む。インク供給動作はインク収容容器41からヘッド31までインクを供給するものであり、上記実施形態のインクジェット記録システムを利用することができる。インク供給動作については後で詳細に説明する。
本実施形態における記録動作は、空気導入動作をさらに含んでもよい。当該空気導入動作は、上記インク供給動作を補助するものであり、上記実施形態のインクジェット記録システムを利用することができる。例えば、上述したように、空気を導入するための空気導入流路を有し、インク中で気泡を発生させる構造を有するインク収容容器を備えるインクジェット記録システムを利用した記録動作において、空気導入動作が行われる。当該空気導入動作は、インクタンク44からヘッド31に安定してインクを供給する目的でインク収容容器41に大気(空気)を導入するものである。なお、空気導入動作については後で詳細に説明する。
本実施形態における記録動作は、吐出動作を含む。当該吐出動作は、インクジェット記録方式で、記録媒体上にインクの液滴を吐出して、画像を形成するものである。吐出の方式としては、従来公知の方式を使用でき、中でも圧電素子の振動を利用してノズルから液滴を吐出させる方式(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するヘッドを用いた記録方式)、又は発熱体を用いてヘッド内に気泡を生じさせてノズルからインクを吐出する方式を用いると、優れた記録を行うことができる。なお、吐出の温度及び時間並びに吐出されるインクの粘度など、各種の吐出条件については、特に制限されない。
下記の実施例及び比較例において使用した主な材料は、以下の通りである。
(シアン)
AB9 :C.I.アシッドブルー9
DB199:C.I.ダイレクトブルー199
DB86 :C.I.ダイレクトブルー86
(マゼンタ)
AR249:C.I.アシッドレッド249
RR141:C.I.リアクティブレッド141
DR227:C.I.ダイレクトレッド227
(イエロー)
DY23 :C.I.ダイレクトイエロー23
DY86 :C.I.ダイレクトイエロー86
DY132:C.I.ダイレクトイエロー132
(1.主鎖の炭素数12以上であるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物)
・SAA1:日信化学工業社製;オルフィンEXP4300:主鎖の炭素数12、エチレンオキサイドの付加あり、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールエトキシレート
・SAA2:エアプロダクツ社製;サーフィノールDF110D:主鎖の炭素数12、エチレンオキサイドの付加なし、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール
・SAA3;エアプロダクツ社製;サーフィノール104PG50:主鎖の炭素数10、エチレンオキサイドの付加なし、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
・SAA4:日信化学工業社製;オルフィンE1010:主鎖の炭素数10、エチレンオキサイドの付加モル数10、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエトキシレート
・SAA5:日信化学工業社製;オルフィンE1004:主鎖の炭素数10、エチレンオキサイド付加モル数4、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエトキシレート
・SAA6:日信化学工業社製;オルフィン82W:主鎖の炭素数8、エチレンオキサイドの付加なし、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール
・POAAE1(HLB値15.0):第一工業製薬社製;ノイゲンDL−0415
POAAE1は下記一般式(A)で示される。式中、Rは炭素数12のアルキル、w、y、x、及びzは、w+y=15、x+z=4を満たす数である。
RO(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH (A)
・POAAE2(HLB値12.0):第一工業製薬社製;ノイゲンET−116B
POAAE2は下記一般式(B)で示される。式中、Rは炭素数12のアルキルである。
RO(C2H4O)7(C3H6O)5H (B)
・POAAE3(HLB値10.9):第一工業製薬社製;ノイゲンET−106A
POAAE3は下記一般式(C)で示される。式中、Rは炭素数12のアルキルである。
RO(C2H4O)5(C3H6O)4H (C)
・トリエチレングリコール
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(以下「TEGmBE」とも表記する。)
・プロピレングリコール
・ジプロピレングリコール
・グリセリン
・トリエタノールアミン
〔2.インクセットの調製〕
下記の表1及び表2に示す材料及び組成のシアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを備える、各インクセットを調製した。具体的には50℃に加温したSAA1、SAA2、SAA3を攪拌機付容器に投入し、そこに更にシアンインクであればC色材、マゼンタインクであればM色材、イエローインクであればY色材を投入後、攪拌しながらポリオキシアルキレンアルキルエーテルを徐々に投入混合し、2時間連続攪拌後、室温まで冷却した。冷却後、200メッシュ濾布にて濾過することにより、各インクを調製した。なお、下記の表1及び表2中、数値(表2においては括弧内の数値)の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
〔3.1.インクの溶存窒素量の測定〕
Agilent Technologies製の6890N ネットワークGCを用いて、各インクセットのインクの溶存窒素量を測定した。測定結果を下記表3に示す。なお、下記表3中の「溶存窒素量」は、インク組成物中に溶存する窒素の量を表し、単位はppmである。
シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクそれぞれについて、材料成分が均一に溶解(分散)できているかどうか、目視観察を行った。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
○:全インクにおいて、原料成分が均一に溶解(分散)しており、溶け残った浮遊物は観察されなかった。
×:少なくとも一つのインクにおいて、原料成分が溶解(分散)せずに、溶け残りが浮遊物として観察された。
シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクそれぞれを、20mL容の蓋付きガラス瓶に取り分け、70℃で1週間放置した。インクの液面を観察し、浮遊物の有無を目視で確認した。さらに、放置後のインクを孔径10μmのフィルターでろ過したときに、捕集物(ろ集物)の有無を確認した。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
○:全インクでインク成分由来の浮遊物は観察されず、捕集物も得られなかった。
△:少なくとも一つのインクでインク成分由来の浮遊物が観察されたが、捕集物は得られなかった(実用上の問題なし)。
×:少なくとも一つのインクで捕集物が得られた。
調製した各インクセットを、インクジェットプリンター(L100〔製品名〕、セイコーエプソン社製)のインクタンクに充填した。L100の定める初期充填シーケンスに従い、ヘッドへの初期充填動作を行った。この後、ヘッドの全ノズルからインクが吐出できるかどうかを確認するため、ノズルチェックを実施した。インクが吐出できないノズルがある場合には、ヘッドのクリーニング(ノズル内のインクの吸引)を行い、その後再度ノズルチェックを実施した。全ノズルからインクが吐出できるまでに要したクリーニングの回数に基づき、以下の評価基準により初期充填性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
○:初期充填シーケンスのみで全ノズルから吐出した。
△:全ノズルからインクが吐出できるまでに要したクリーニング回数が1回であった。
×:全ノズルからインクが吐出できるまでに要したクリーニング回数が2回以上であった。
上記「初期充填性の評価」によって、ヘッドの全ノズルからインクが吐出できることを確認した後、各インク組成物及びA4サイズの普通紙(P紙〔製品名〕、富士ゼロックス社製)を用いて、70%Dutyの画像を印刷することにより、連続印刷安定性の評価を行った。印刷枚数は、500枚の連続印刷を2回行い、合計で1,000枚とした。その後、ノズルチェックを実施し、ノズル抜けの本数に基づき、以下の評価基準により連続印刷安定性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
○:ノズル抜けが発生した回数が1本以下であった。
△:ノズル抜けが発生した回数が2本であった。
×:ノズル抜けが発生した回数が3本以上であった。
調製した各インクセットを、インクジェットプリンター(L100〔製品名〕、セイコーエプソン社製)のインクタンクに充填し、記録媒体(写真用紙(光沢)、型番「KA420PSK」、セイコーエプソン株式会社製)にカラーチャート画像を印刷した。得られた基準カラーチャート画像を測色器(商品名「Xrite i1」、Xrite社製)を用いて、L*値、a*値、b*値を測定した。これらの値から、各インクセットのL*a*b*色再現範囲体積の値(ガマット値)を算出した。
(評価基準)
○:ガマット値が、11,000以上であった。
△:ガマット値が、10,000以上11,000未満であった。
×:ガマット値が、10,000未満であった。
調製した各インクセットを、それぞれ、インクジェットプリンターPM−G800(セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジ(Magenta室)に充填し、インクジェット専用記録媒体(写真用紙<光沢>;セイコーエプソン株式会社製、型番:KA420PSKR)に対し、10分間連続してベタ画像を記録し、全てのノズルが正常に吐出していることを確認後、インクカートリッジを装着したまま、ノズルでの乾燥状態を加速するために、記録ヘッドをヘッドキャップから外した状態で、40℃の環境に2週間放置した。そして、放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価し、評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
○:1〜7回のクリーニング操作でカスレ、抜けの記録不良がなくなった。
×:8回以上のクリーニング操作でもカスレ、抜けの記録不良がなくならなかった。
上記のプリンター、カートリッジ及び記録媒体を用い、それぞれのインク組成物に対し、白抜き文字(インクで文字以外の領域を記録することで白抜き文字として形成したもの;フォトンサイズ:14及び18pt、フォントタイプ:MSゴシック)の記録を行った。得られた画像について、40℃、85%RHの環境下に3日間放置し、下記判断基準により耐湿性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
○:各インクで文字の輪郭部の崩れ(滲み)及び白抜き部の着色が観察されなかった。
△:各インクで白抜き部の着色は観察されないが、文字の輪郭部の崩れ(滲み)が観察された。
×:各インクで文字の輪郭部の崩れ(滲み)及び白抜き部の着色の双方が観察された。
Claims (10)
- 少なくとも水性シアンインク、水性マゼンタインク、及び水性イエローインクを備えるインクジェット用インクセットであって、
前記水性シアンインクは、C.I.アシッドブルー9又はC.I.ダイレクトブルー199の少なくともいずれかを含み、
前記水性マゼンタインクは、C.I.アシッドレッド249又はC.I.リアクティブレッド141の少なくともいずれかを含み、
前記水性イエローインクは、C.I.ダイレクトイエロー86又はC.I.ダイレクトイエロー132の少なくともいずれかを含み、且つ、
前記水性シアンインク、前記水性マゼンタインク、及び前記水性イエローインクは、いずれも、主鎖の炭素数が12以上であるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物と、主鎖の炭素数が10以上であるアセチレングリコールと、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、を含む、
インクジェット用インクセット。 - 前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、11〜16のHLB値を有する、請求項1に記載のインクジェット用インクセット。
- 主鎖の炭素数が12以上である前記アセチレングリコールの前記アルキレンオキサイド付加物が、主鎖の炭素数が12以上であるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物を含む、請求項1又は2に記載のインクジェット用インクセット。
- 前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、主鎖の炭素数が12以上である前記アセチレングリコールの前記アルキレンオキサイド付加物及び主鎖の炭素数が10以上である前記アセチレングリコールの総含有量を1として、質量比で0.10〜0.50含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用インクセット。
- 主鎖の炭素数が12以上である前記アセチレングリコールの前記アルキレンオキサイド
付加物は、8〜15のHLB値を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジ
ェット用インクセット。 - 主鎖の炭素数が10以上である前記アセチレングリコールは、7以下のHLB値を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用インクセット。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用インクセットのインクを収容するインク収容容器と、
前記インクを吐出するインクジェット記録用のヘッドと、
前記インク収容容器から前記ヘッドに前記インクを供給するインク供給路と、
を有し、
前記インク収容容器は、前記インクを収容するインク収容室と、該インク収容室に収容された前記インクを介して前記インク収容室内に空気を導入する空気導入流路と、を備える、
インクジェット記録システム。 - 前記ヘッドに前記インクを供給する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(A)と、
前記インク供給路の断面の面積(B)と、の比(A/B)が、300以上である、請求項7に記載のインクジェット記録システム。 - 前記インク収容室に前記インクを注入する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(C)と、
前記インク供給路の断面の面積(B)と、の比(C/B)が、900以上である、請求項7又は8に記載のインクジェット記録システム。 - 前記インク収容室に前記インクを注入する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(C)と、
前記ヘッドに前記インクを供給する際における、前記インク収容室内部の水平断面の面積(A)と、の比(C/A)が、2.5以上である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録システム。
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