JP6024894B2 - インクセット - Google Patents

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Description

本発明は、インクセットに関する。
記録ヘッドのノズル孔からインクの微小な液滴を吐出させ記録媒体に付着させて、画像や文字を記録するインクジェット記録装置が知られている。また、係る記録に用いるインクとして、例えば、色材、界面活性剤、水、有機溶剤等の種々の成分を含むインクジェット用インクが知られている。また、このようなインクジェット記録において多色の記録を行う際には、複数種のインク(例えば、ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク等)の組み合わせとしてインクセットが構成される。
インクジェット記録においては、インクセット、インク、記録装置、記録媒体などの複数の構成それぞれに対して多くの性能が要求され、また、各構成間の高度なバランスが要求される。その一例として、インクセットにおいては、これを構成する各インクが、記録媒体に付着した際に、互いに滲みを生じにくいといった性能が要求される。
例えば、特許文献1には、特定構造のカチオン性水溶性樹脂をインク組成物に含有させることによって、ブリード(記録媒体上におけるインク組成物の相互拡散)を抑制し、滲みの少ない画像を形成する方法が開示されている。
特開2000−297240号公報
しかしながら、複数種のインクを備えたインクセットにおいては、単に各インクに対して、ブリードを抑制するための成分や組成を一律に適用するだけでは、インクの組み合わせによっては、ブリードを抑制する効果が不十分となる場合があった。
発明者らは、ブリードを抑制するためには、インクセットにおけるそれぞれのインクについて、成分や組成を調節することのみならず、各インクの間相互のブリード特性を考慮すべきであるとの着想に基づく検討の結果、本発明を完成させた。また、発明者らの検討によると、記録媒体上におけるインク間のブリードは、各インクに含有される界面活性物質の量を調節することに加え、係る調節が各インクに含有される色材の種類に依存することが分かってきた。
すなわち、発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、インクセットにおける各インクの相互において、ブリードを生じにくいインクセットを提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明に係るインクセットの一態様は、
水と、C.I.アシッドブルー9と、第1界面活性剤と、を含む第1インクと、
水と、C.I.アシッドレッド249と、第2界面活性剤と、を含む第2インクと、
水と、C.I.ダイレクトイエロー132と、第3界面活性剤と、を含む第3インクと、を備え、
前記第1界面活性剤、前記第2界面活性剤および前記第3界面活性剤は、いずれも主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであり、かつ、前記第1インクに対する前記第1界面活性剤の質量濃度をSAA1、前記第2インクに対する前記第2界面活性剤の質量濃度をSAA2、前記第3インクに対する前記第3界面活性剤の質量濃度をSAA3、とした場合に、下記条件(1)および条件(2)の関係を満たす。
1.6≦(SAA2)/(SAA1)≦3.5 ・・・条件(1)
1.0≦(SAA3)/(SAA2)≦1.5 ・・・条件(2)
本適用例のインクセットによれば、各インクの相互において、ブリード(インク間の相互拡散)が生じにくく、係るインクセットを用いて記録を行う場合に、記録媒体上に形成される画像の滲みを抑制することができる。
[適用例2]適用例1のインクセットにおいて、前記条件(1)が、2.5≦(SAA2)/(SAA1)≦3.5であってもよい。
本適用例のインクセットによれば、各インクの相互において、ブリードがさらに生じにくく、係るインクセットを用いて記録を行う場合に、記録媒体上に形成される画像の滲みをさらに抑制することができる。
[適用例3]適用例1または適用例2のインクセットにおいて、前記条件(2)が、1.2≦(SAA3)/(SAA2)≦1.5であってもよい。
本適用例のインクセットによれば、各インクの相互において、ブリードがさらに生じにくく、係るインクセットを用いて記録を行う場合に、記録媒体上に形成される画像の滲みをさらに抑制することができる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクセットにおいて、SAA1が、0.1〜3.0質量%であってもよい。
本適用例のインクセットによれば、各インクの相互において、ブリードがさらに生じにくく、係るインクセットを用いて記録を行う場合に、記録媒体上に形成される画像の滲みをさらに抑制することができる。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクセット
本発明に係るインクセットの一態様は、第1インクと、第2インクと、第3インクと、を備える。第1インクはシアン系のインクであり、第2インクはマゼンダ系のインクであり、第3インクはイエロー系のインクである。以下、各インクについて順に述べる。
1.1.第1インク
本実施形態に係る第1インクは、水と、C.I.アシッドブルー9と、第1界面活性剤と、を含む。
1.1.1. C.I.アシッドブルー9
第1インクは、C.I.アシッドブルー9を含む。C.I.アシッドブルー9は、酸性染料であり、CAS登録番号が2650−18−2であり、体系名としては、N−エチル−N−N−[4−[[4−[エチル[[3−スルホフェニル]メチル]アミノ]フェニル](2−スルホナトフェニル)メチレン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−3−スルホベンゼンメタンアミニウムジアンモニウム(塩)であり、そして慣用名が、C.I.アシッドブルー9等と称される化合物である。なお、「C.I.」は、カラーインデックスの略である。
第1インク全量に対するC.I.アシッドブルー9の含有量は、特に制限はないが、好ましくは0.01質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。C.I.アシッドブルー9の含有量がこの範囲であれば、第1インクをシアン系インクとして好適に用いることができる。
1.1.2.第1界面活性剤
第1インクは、第1界面活性剤を含有する。第1界面活性剤は、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールである。また、第1界面活性剤は、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールの変性体であってもよい。このような変性体としては、例えば、アセチレングリコールのポリエーテル変性体が挙げられる。主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールとしては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、などを例示することができる。アセチレングリコールは、一般的に、表面張力及び界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。
主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコール、または主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールの変性体の具体例としては、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
本明細書では、第1インクに対する第1界面活性剤の質量濃度を「SAA1」(質量%)と定義する。そして、本実施形態では、SAA1は、後述するSAA2との関係を有している。また、そのような関係(条件(1))を有した上で、SAA1は、例えば、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは、0.05質量%以上7質量%以下、より好ましくは、0.05質量%以上7質量%以下である。SAA1が、条件(1)を満たした上で、この範囲にあれば、ブリード抑制効果を得ることができ、かつ、第1インクの表面張力を適正に保つことができる。またさらに、SAA1が0.1質量%以上3質量%以下であると、条件(1)を満たすための配合を調節しやすく、ブリード抑制効果を高めやすいのでさらに好ましい。
1.1.3.水
第1インクは媒体として水を含有し、係る水は、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、第1インク
を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
1.1.4.その他の成分
第1インクは、上記の成分の他にも、他の色材、有機溶剤、(多価)アルコール類、アミン類、各種の塩類、分散剤、重合性化合物、他の界面活性剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
ここで、他の色材とは、上述のC.I.アシッドブルー9以外の色材を指し、例えば、直接染料、他の酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、無機顔料、有機顔料を挙げることができる。さらに無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックを例示でき、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを挙げることができる。また、他の界面活性剤とは、例えば、主鎖の炭素数が10未満のアセチレングリコール、シリコン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤などを指す。
第1インクに他の色材を含有させる場合には、第1インクに含まれる色材の含有量に対するC.I.アシッドブルー9の含有量が、50質量%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが一層好ましい。このようにすることで、界面活性剤によるブリード抑制効果を十分に得ることができる。また、第1インクに他の界面活性剤を含有させる場合には、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールが、界面活性剤としての主成分となるように配合することが好ましい。すなわち、第1インクに対する他の界面活性剤の合計の質量濃度が、SAA1未満となるように配合することが好ましい。
本実施形態のインクセットは、第1インクにおいて、上述のC.I.アシッドブルー9と、上述の第1界面活性剤とを組み合わせることによって優れた効果が奏されると考えられ、上記の通りC.I.アシッドブルー9を色材としての主成分とし、第1界面活性剤を界面活性剤としての主成分とすることが、係る組み合わせによる効果を十分に発揮するために極めて有効である。
第1インクに配合することができる有機溶剤としては、例えば、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等)、グリコールエーテル系溶媒(トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル等)等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒のさらに具体的な例としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
第1インクには、例示の有機溶剤を単独または混合して使用することができ、第1インクに有機溶剤を配合する場合の合計の配合量は、例えば、第1インクの保存安定性や吐出信頼性を確保する観点から、第1インクの全質量に対して、0.05質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。グリコールエーテルの含有量が上記範囲内にあることで、第1インクの記録媒体上での濡れ性、浸透性、乾燥性が良好となる場合がある。また、有機溶剤の含有量が上記範囲内にあることで、インク組成物の粘度を適正にすることができ、ノズルの目詰まり等の発生を低減できる場合がある。
第1インクに配合できる(多価)アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールや、2−メチルペンタン−2,4−ジオールなどが挙げられる。
第1インクに(多価)アルコール類を含有させる場合の合計の含有量は、記録媒体上での濡れ拡がり性及び浸透性を向上させて濃淡むらを低減させる効果や、第1インクの保存安定性及び吐出信頼性を確保する観点から、第1インクの全質量に対して、0.05質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。(多価)アルコール類の含有量が上記範囲内にあることで、インクの濡れ性、浸透性、乾燥性が良好となり、良好な印刷濃度(発色性)を備えた画像が得られる場合がある。また、(多価)アルコール類の含有量が上記範囲内にあることで、インクの粘度を適正にすることができ、ノズルの目詰まり等の発生を低減できる場合がある。
第1インクに配合できるアミン類としては、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジエチル−2−アミノエタノール等のヒドロキシルアミンが挙げられ、1種または複数種を用いることができる。第1インクにアミン類を含有させる場合の合計の含有量は、第1インクの全質量に対して、0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。
1.2.第2インク
本実施形態に係る第2インクは、水と、C.I.アシッドレッド249と、第2界面活性剤と、を含む。
1.2.1. C.I.アシッドレッド249
第2インクは、C.I.アシッドレッド249を含む。C.I.アシッドレッド249は、酸性染料であり、CAS登録番号が6416−66−6であり、体系名としては、3−[(5−クロロ−2−フェノキシフェニル)アゾ]−4−ヒドロキシ−5−[[(4−メチルフェニル)スルホニル]アミノ]−2,7−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、または、3−(2−フェノキシ−5−クロロフェニルアゾ)−4−ヒドロキシ−5−(トシルアミノ)ナフタレン−2,7−ビス(スルホン酸ナトリウム)であり、そして慣用名が、C.I.アシッドレッド249またはスミノールミリングブリリアントレッドBなどと称される化合物である。なお、「C.I.」は、カラーインデックスの略である。
第2インク全量に対するC.I.アシッドレッド249の含有量は、特に制限はないが、好ましくは0.01質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。C.I.アシッドレッド249の含有量がこの範囲であれば、第2インクをマゼンダ系インクとして好適に用いることができる。
1.2.2.第2界面活性剤
第2インクは、第2界面活性剤を含有する。第2界面活性剤は、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであって、上述の第1界面活性剤と同様であるので、詳細な説明を省略する。
本明細書では、第2インクに対する第2界面活性剤の質量濃度を「SAA2」(質量%)と定義する。そして、本実施形態ではSAA2は、上述のSAA1および後述するSAA3との関係を有している。また、そのような関係(条件(1)および条件(2))を有した上で、SAA2は、例えば、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは、0.05質量%以上7質量%以下、より好ましくは、0.05質量%以上7質量%以下である。SAA2が、条件(1)および条件(2)を満たした上で、この範囲にあれば、ブリード抑制効果を得ることができ、かつ第2インクの表面張力を適正に保つことができる。
1.2.3.水
第2インクは、水を含有する。上述の第1インクに含まれる水と同様であるので、詳細な説明を省略する。
1.2.4.その他の成分
第2インクは、上述の第1インクと同様に、上記の成分の他にも、他の色材、有機溶剤、(多価)アルコール類、アミン類、各種の塩類、分散剤、重合性化合物、他の界面活性剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
ここで、他の色材とは、上述のC.I.アシッドレッド249以外の色材を指し、また、他の界面活性剤とは、例えば、主鎖の炭素数が10未満のアセチレングリコール、シリコン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤などを指す。
第2インクに他の色材を含有させる場合には、第2インクに含まれる色材の含有量に対するC.I.アシッドレッド249の含有量が、50質量%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが一層好ましい。このようにすることで、界面活性剤によるブリード抑制効果を十分に得ることができる。また、第2インクに他の界面活性剤を含有させる場合には、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールが、界面活性剤としての主成分となるように配合することが好ましい。すなわち、第2インクに対する他の界面活性剤の合計の質量濃度が、SAA1未満となるよ
うに配合することが好ましい。
本実施形態のインクセットは、第2インクにおいて、上述のC.I.アシッドレッド249と、第2界面活性剤との組み合わせによって優れた効果を奏すると考えられる。したがって上記の通りC.I.アシッドレッド249を色材としての主成分とし、第2界面活性剤を界面活性剤としての主成分とすることが効果を十分に発揮するために有効であると考えられる。
第2インクに配合可能な有機溶剤、(多価)アルコール類、アミン類については、「1.1.3.(第1インクの)その他の成分」の項で述べたとおりであり、同項の「第1インク」を「第2インク」と読み替えることにより詳細な説明を省略する。
1.3.第3インク
本実施形態に係る第3インクは、水と、C.I.ダイレクトイエロー132と、第3界面活性剤と、を含む。
1.3.1.C.I.ダイレクトイエロー132
第3インクは、C.I.ダイレクトイエロー132を含む。C.I.ダイレクトイエロー132は、直接染料であり、CAS登録番号が61968−26−1であり、そして慣用名が、C.I.ダイレクトイエロー132またはペーパーファーストイエローGGなどと称される化合物である。なお、「C.I.」は、カラーインデックスの略である。
第3インク全量に対するC.I.ダイレクトイエロー132の含有量は、特に制限はないが、好ましくは0.01質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。C.I.ダイレクトイエロー132の含有量がこの範囲であれば、第3インクをイエロー系インクとして好適に用いることができる。
1.3.2.第3界面活性剤
第3インクは、第3界面活性剤を含有する。第3界面活性剤は、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであって、上述の第1界面活性剤、第2界面活性剤と同様であるので、詳細な説明を省略する。
本明細書では、第3インクに対する第3界面活性剤の質量濃度を「SAA3」(質量%)と定義する。そして、本実施形態では、SAA3は、上述のSAA2との関係を有している。また、そのような関係(条件(2))を有した上で、SAA3は、例えば、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは、0.05質量%以上7質量%以下、より好ましくは、0.05質量%以上7質量%以下である。SAA3が、条件(2)を満たした上で、この範囲にあれば、ブリード抑制効果を得ることができ、かつ第3インクの表面張力を適正に保つことができる。
1.3.3.水
第3インクは、水を含有する。上述の第1インクに含まれる水と同様であるので、詳細な説明を省略する。
1.3.4.その他の成分
第3インクは、第1インク、第2インクと同様に、上記の成分の他にも、他の色材、有機溶剤、(多価)アルコール類、各種の塩類、分散剤、重合性化合物、他の界面活性剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
ここで、他の色材とは、上述のC.I.ダイレクトイエロー132以外の色材を指し、例えば、他の直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、無機顔料、有機顔料を挙げることができる。さらに無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックを例示でき、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを挙げることができる。また、他の界面活性剤とは、例えば、主鎖の炭素数が10未満のアセチレングリコール、シリコン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤などを指す。
第3インクに他の色材を含有させる場合には、第3インクに含まれる色材の含有量に対するC.I.ダイレクトイエロー132の含有量が、50質量%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが一層好ましい。このようにすることで、界面活性剤によるブリード抑制効果を十分に得ることができる。
また、第3インクに他の界面活性剤を含有させる場合には、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールが、界面活性剤としての主成分となるように配合することが好ましい。すなわち、第3インクに対する他の界面活性剤の合計の質量濃度が、SAA1未満となるように配合することが好ましい。
本実施形態のインクセットは、第3インクにおいて、上述のC.I.ダイレクトイエロー132と、第3界面活性剤との組み合わせによって優れた効果を奏すると考えられる。したがって、上記の通りC.I.ダイレクトイエロー132を色材としての主成分とし、第3界面活性剤を界面活性剤としての主成分とすることが効果を発揮するために有効であると考えられる。
第3インクに配合可能な有機溶剤、(多価)アルコール類、アミン類については、「1.1.3.(第1インクの)その他の成分」の項で述べたとおりであり、同項の「第1インク」を「第3インク」と読み替えることで、説明を省略する。
1.4.各インクの界面活性剤の濃度
本実施形態のインクセットは、上述の各インクに含まれる各界面活性剤が、以下の条件を満足するように配合される。すなわち、第1インクに対する第1界面活性剤の質量濃度をSAA1(質量%)、第2インクに対する第2界面活性剤の質量濃度をSAA2(質量%)、第3インクに対する第3界面活性剤の質量濃度をSAA3(質量%)、とした場合に、下記条件(1)および条件(2)の関係を満たす。
1.6≦(SAA2)/(SAA1)≦3.5 ・・・条件(1)
1.0≦(SAA3)/(SAA2)≦1.5 ・・・条件(2)
条件(1)は、SAA1に対するSAA2の比が、1.6以上3.5以下であることを示しており、条件(2)は、SAA2に対するSAA3の比が1.0以上1.5以下であることを示している。
本実施形態のインクセットは、上記条件を満たすので、記録媒体に対して各インクが互いに近接して付着された場合に、優れたブリード抑制効果を得ることができる。
1.5.その他の構成または成分
本実施形態のインクセットは、その他のインクを含んでも良い。その他のインクとしては、例えば、ブラック、ホワイト、シアン、マゼンダ、イエロー、若しくはこれらの淡色若しくは濃色、若しくはこれらの混色、またはクリアの少なくとも1種のインクを挙げることができる。本実施形態のインクセットを用いて記録媒体に画像を記録する際に、第1インク、第2インクおよび第3インクが近接して記録された場合に、少なくともこれらの
インク間のブリードが抑制され、画像における滲み等を抑制することができる。
1.6.インクジェット記録
本実施形態のインクセットは、各種の記録に用いることができる。インクセットを用いた記録の方式としては、例えば、インクジェット記録、ペン、筆、刷毛等による記録、プロッターによる記録、が挙げられる。特に本実施形態に係るインクセットは、インクジェット記録に好適に用いることができる。以下インクジェット記録で用いるインクジェット記録装置、および記録媒体について述べる。
1.6.1.インクジェット記録装置
本実施形態に係るインクセットを適用するインクジェット記録装置は、インクを吐出する記録ヘッドを備え、各種記録媒体に対してインクを付着させて情報を記録することができるものであれば特に限定されない。
インクジェット記録装置は、シリアル型のインクジェット記録装置およびライン型のインクジェット記録装置のいずれでも使用することができる。いずれの型のインクジェット記録装置であっても、記録ヘッドが搭載されており、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔からインクの液滴を所定のタイミングでかつ所定の体積(質量)で吐出させ、記録媒体の記録面にインクを付着させて所定の画像を記録することができる。
インクジェット記録装置の方式としては、インクを記録ヘッドのノズル孔から液滴として吐出して該液滴を媒体に付着させることができれば、特に制限されない。インクジェット記録方式としては、例えば、静電吸引方式、ポンプ圧力によりインク滴を噴射させる方式、圧電素子を用いる方式、インク液を微小電極で加熱発泡させインク滴を噴射させる方式、などを挙げることができる。
インクジェット記録装置は、記録ヘッドの他に、装置筐体、記録ヘッドのキャリッジ機構、ローラー、各種駆動部、各種制御部、センサー類、媒体搬送機構、トレイ、操作パネル等の構成を適宜含むことができる。
1.6.2.記録媒体
記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、紙、フィルム、布帛、印刷本紙、金属、ガラス、高分子などが挙げられる。また、媒体は、無色透明、半透明、着色透明、有彩色不透明、無彩色不透明のいずれであってもよい。
なお、記録媒体の記録面におけるインクの吸収性は、2種のインクが近接して記録された場合のインク間のブリード現象に影響する場合がある。本実施形態に係るインクセットは、上述の各インクを使用するため、吸収性および低吸収性のいずれの記録媒体にも好適に適用することができる。
ここで、低吸収性の記録媒体とは、記録面においてインク組成物を全く吸収しない、またはほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。これに対して、吸収性の記録媒体とは、低吸収性に該当しない記録媒体のことを示す。
また、低吸収性の記録媒体としては、表面にインクを受容するための塗工層が設けられた記録媒体が挙げられ、例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーとともに塗工されたものが挙げられる。
ここで、インクジェット記録におけるインク間のブリードの多寡は、インクの性質に依存するが、一般に、記録媒体へのインクの浸透速度やインクの乾燥しやすさにも依存する。すなわち、記録媒体へのインクの浸透速度が小さいとブリード現象は比較的生じやすくなる。したがって、低吸収性の記録媒体のうち、表面にインクを受容するための塗工層が薄い場合は、厚い場合に比較してブリードが生じやすくなる傾向がある。
しかし、本実施形態のインクセットによれば、例えば表面に40μm以下のインク受容層が形成された記録媒体であってもブリードを抑制することができる。このような記録媒体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートのフィルムの表面に、ポリビニルアルコール(PVA)の層が形成され、当該PVAの層の厚みが40μm以下で形成されているものが挙げられる。本実施形態のインクセットによれば、このようなインク低吸収性の記録媒体に対する記録に適用しても、第1インク、第2インクおよび第3インクが近接して記録された場合に、少なくともこれらのインク間のブリードが抑制され、画像における滲み等を抑制することができる。
1.6.作用効果
本適用例のインクセットによれば、各インクの相互において、ブリード(インク間の相互拡散)が生じにくく、係るインクセットを用いて記録を行う場合に、記録媒体上に形成される画像の滲みを抑制することができる。
なお、以下の実施例および比較例においても示すが、本実施形態に係るインクセットのブリード抑制効果は、各インクの表面張力を調節するだけでは得られない効果である。すなわち、詳細なメカニズムは必ずしも明らかではないが、本実施形態に係るインクセットによって抑制されるブリード現象は、表面張力のみによっては説明することは困難であり、上述した各インクの配合および各インク間の組成のバランスによってはじめて説明される現象であると考えられる。
2.実施例および比較例
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
2.1.インクの調製
各実施例および各比較例のインクセットに用いる20種のインクを、表1に示す配合で調製した。
表1に記載された成分において、色材はC.I.アシッドブルー9(東京化成工業株式会社製)、C.I.アシッドレッド249(ダイワ化成株式会社製)、ダイレクトイエロー132(富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)、C.I.ダイレクトブルー199(日本化薬株式会社製)、C.I.アシッドレッド52(ダイワ化成株式会社製)およびC.I.ダイレクトイエロー86(富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)を用いた。また、主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールとしては、サーフィノール104(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
)(商品名;日信化学工業株式会社製)、およびダイノール604(2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド付加物)(商品名;日信化学工業株式会社製)を用い、主鎖の炭素数が10未満のアセチレングリコールとしては、サーフィノール82(3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール)(商品名;日信化学工業株式会社製)を用いた。また、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、トリエタノールアミンは、市販品をそのまま使用した。
表1に記載された成分を同表の配合量(質量%)となるように、イオン交換水(残分)を加え、容器中でマグネチックスターラーにて2時間混合撹拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過してインクを調製した。
表2には、各実施例および各比較例のインクセットを構成するインク種、各インクの染料種、各インクの界面活性剤の主鎖の炭素数および含有量、(SAA2)/(SAA1)、および(SAA3)/(SAA2)の値、並びに各インクの表面張力をまとめた。
Figure 0006024894
Figure 0006024894
2.2.評価方法
2.2.1.ブリードの評価
セイコーエプソン社製PX−G930インクジェットプリンターを用い、該プリンター
のイエロー列とマゼンタ列にイエローインク、シアン列とマットブラック列にシアンインク、フォトブラック列とレッド列にブラックインク、バイオレット列とグロスオプティマイザ列にマゼンタインクを充填し、4色印刷できるように接続した。背景色と文字色の組合せを表3に示す通りとして、PVA層を有する水性インク用記録媒体(Guanzhou city Sihong Digital Technology Co.,Ltd.製)に対して、4pt及び10ptの文字を記録した。得られた記録物を観察し、インク間のブリードを下記基準にて評価し、結果を表2に記載した。
A:4pt、10ptともに滲みがなく、文字として認識できる
B:若干の滲みはあるが、4pt、10ptともに文字として認識できる。
C:滲みにより4ptは文字として認識できないが10ptは文字として視認できる
D:滲みがひどく、4pt、10ptともに文字として視認できない
2.2.2.表面張力
各インクの表面張力を、表面張力計CBVP−Z型(協和界面化学社製)を用いて測定し、その結果を表1および表2に記載した。
Figure 0006024894
2.3.評価結果
実施例1〜4のインクセットは、いずれも、C.I.アシッドブルー9と、第1界面活性剤と、を含む第1インクと、C.I.アシッドレッド249と、第2界面活性剤と、を含む第2インクと、C.I.ダイレクトイエロー132と、第3界面活性剤と、を含む第3インクと、を備え、かつ、第1界面活性剤、第2界面活性剤および第3界面活性剤は、ともに主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであり、かつ、上述の条件(1)および条件(2)の関係を満たしている。そして表3をみると、背景色および文字色の選択に関わらず、少なくとも10pt(ポイント)の文字を認識できることが判明した。すなわち、実施例1〜4のインクセットは、いずれも、ブリード(インク間の相互拡散)が十分に抑制され、記録媒体上に形成される画像の滲みを抑制できることが判明した。
また、実施例2のインクセットは、条件(1)が、さらに、2.5≦(SAA2)/(SAA1)≦3.5の関係を満たしており、背景色をシアンとし、文字色をマゼンダとした場合においてよりブリードが抑制され、4ptの文字が認識された。実施例3のインクセットは、条件(2)が、さらに、1.2≦(SAA3)/(SAA2)≦1.5の関係を満たしており、背景色、文字色をどのように選択しても、よりブリードが抑制され、4ptの文字を認識できる結果となった。そして、条件(1)が、2.5≦(SAA2)/(SAA1)≦3.5の関係を満たし、かつ、条件(2)が、1.2≦(SAA3)/(SAA2)≦1.5の関係を満たす実施例4のインクセットでは、ブリードが十分に抑制され、滲みがなく極めて良好な結果が得られた。
これに対して、主鎖の炭素数が10未満のアセチレングリコールを用いた比較例1、第1インクにおいて、C.I.アシッドブルー9の代わりにC.I.ダイレクトブルー199を用いた比較例2、C.I.アシッドレッド249の代わりにC.I.アシッドレッド52を用いた比較例3、および、C.I.ダイレクトイエロー132の代わりにC.I.ダイレクトイエロー86を用いた比較例4のインクセットでは、背景色および文字色の組み合わせのうち少なくとも1種において、4ptのみならず10ptの文字すら認識できない結果となった。
さらに、C.I.アシッドブルー9と、第1界面活性剤と、を含む第1インクと、C.I.アシッドレッド249と、第2界面活性剤と、を含む第2インクと、C.I.ダイレクトイエロー132と、第3界面活性剤と、を含む第3インクと、を備え、かつ、第1界面活性剤、第2界面活性剤および第3界面活性剤は、ともに主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであるにもかかわらず、上述の条件(1)または条件(2)の関係を満たさない比較例5〜7のインクセットは、いずれも背景色および文字色の組み合わせのうち少なくとも1種において、4ptのみならず10ptの文字すら認識できない結果となった。
なお、表1および表2に示した各インクの表面張力の値と、表3に示された結果とを検討すると、両者に関して一定の傾向等を見出すことができなかった。このような結果から、発明者らは、各実施例に係るインクセットのブリード抑制効果は、各インクの表面張力を調節するだけでは得られない効果であって、各インクの配合および各インク間の組成のバランスによってはじめて説明される現象であると考えている。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した
構成を含む。

Claims (4)

  1. 水と、C.I.アシッドブルー9と、第1界面活性剤と、を含む第1インクと、
    水と、C.I.アシッドレッド249と、第2界面活性剤と、を含む第2インクと、
    水と、C.I.ダイレクトイエロー132と、第3界面活性剤と、を含む第3インクと、
    を備え、
    前記第1界面活性剤、前記第2界面活性剤および前記第3界面活性剤は、いずれも主鎖の炭素数が10以上のアセチレングリコールであり、かつ、
    前記第1インクに対する前記第1界面活性剤の質量濃度をSAA1、前記第2インクに対する前記第2界面活性剤の質量濃度をSAA2、前記第3インクに対する前記第3界面活性剤の質量濃度をSAA3、とした場合に、下記条件(1)および条件(2)の関係を満たす、インクセット。
    1.6≦(SAA2)/(SAA1)≦3.5 ・・・条件(1)
    1.0≦(SAA3)/(SAA2)≦1.5 ・・・条件(2)
  2. 請求項1において、
    前記条件(1)が、2.5≦(SAA2)/(SAA1)≦3.5である、インクセット。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記条件(2)が、1.2≦(SAA3)/(SAA2)≦1.5である、インクセット。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    SAA1が、0.1〜3.0質量%である、インクセット。
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