<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図11によって説明する。この実施形態1では、電気自動車の車両に搭載された二次電池からなるバッテリを充電するために用いられる充電コネクタCCについて例示する。この充電コネクタCCは、図1に示すように、給電設備(充電機器)側に配される給電側コネクタ(相手コネクタ、充電側コネクタ)10と、電気自動車の車両(被充電機器)側に配される車両側コネクタ(コネクタ、被充電側コネクタ)20とからなり、両コネクタ10,20が嵌合接続されることで車両のバッテリが充電されるようになっている。本実施形態では、通常充電部及び急速充電部を併有してなる「Combined Charging System(コンボ方式)」に適合した充電コネクタのうちの急速充電部のみを「充電コネクタCC」としている。この充電コネクタCCは、車両のバッテリを短時間で一定程度(例えば80%程度)まで充電することが可能な急速充電部であるため、例えば直流で250A程度の大電流を取り扱うものとされる。
なお、以下では、前後の記載について両コネクタ10,20の嵌合方向を基準とし、両コネクタ10,20における嵌合面側を前側とし、その反対側を後側とする。また、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれており、具体的にはX軸方向が両コネクタ10,20の嵌合方向と、Y軸方向が両コネクタ10,20の幅方向と、Z軸方向が両コネクタ10,20の高さ方向とそれぞれ一致している。
先に、給電側コネクタ10について説明する。給電側コネクタ10は、図1,図4及び図5に示すように、給電側ハウジング(相手側コネクタハウジング)11と、給電側ハウジング11に収容される一対の給電側端子金具(相手側端子金具)12とを備えている。給電側ハウジング11は、合成樹脂製とされており、給電側端子金具12を収容するとともに略ブロック状をなす給電側端子収容部11aと、給電側端子収容部11aの外縁から前方に向けて突出するとともに略筒状をなす給電側フード部11bとからなるものとされる。
給電側端子収容部11aには、図4及び図5に示すように、給電側端子金具12を後方から挿入可能な給電側キャビティ11a1が一対形成されている。給電側キャビティ11a1は、給電側端子収容部11aを嵌合方向(X軸方向)に沿って前後に貫通する形で形成されており、幅方向(Y軸方向)に沿って所定の間隔を空けた位置に並んで配されている。給電側端子収容部11aは、給電側フード部11b内に突き出す部分が一対の給電側端子金具12に対応付けて分けられており、一対のタワー部13を有している。一対のタワー部13は、共に略円筒状をなしており、幅方向に沿って中央側に所定の間隔を空けた形で並んで配されている。給電側フード部11bは、正面から視て(嵌合方向に沿う方向から視て)横長な長円形状をなす筒体からなるものとされており、給電側端子収容部11aにおける一対のタワー部13を、間に所定の間隔を空けつつ一括して外側から取り囲む形で配されている。給電側フード部11bと一対のタワー部13との間に有される、正面から視て横長な略円環状をなす空間には、後述する車両側コネクタ20が有する車両側フード部21bが嵌合可能とされる。
給電側端子金具12は、金属製とされており、図4及び図5に示すように、軸線方向(長さ方向)が嵌合方向と一致するとともに、その前側部分が車両側端子金具22に接続される給電側接続部12aとされるのに対し、後側部分が図示しない電力ケーブル(電線)に接続されるケーブル接続部12bとされる。給電側接続部12aは、全体として嵌合方向に沿って延在する略円筒状をなすとともに、その周方向について所定の角度間隔を空けた位置にスリットが複数入れられることで、複数の弾性接触片12a1を有している。弾性接触片12a1は、嵌合方向に沿って延在するとともに後端側が基端、前端側が自由端とされた片持ち梁状をなしており、基端を支点として給電側接続部12aの径方向に沿って弾性変形することが可能とされる。従って、両コネクタ10,20の嵌合に伴って、給電側接続部12aの内側に有される空間に車両側端子金具22が挿入されると、各弾性接触片12a1が車両側端子金具22に対して弾性接触しつつ径方向に沿って外向きに拡開変形されるようになっている。弾性接触片12a1は、例えば8本が給電側接続部12aの周方向に沿ってほぼ等角度間隔に並んでいる。一対の給電側端子金具12は、給電側端子収容部11aの各給電側キャビティ11a1に個別に収容されることで、各タワー部13をなす周壁によってそれぞれ周りが取り囲まれる。従って、一対の給電側端子金具12の並び方向は、幅方向(Y軸方向)と一致している。一対の給電側端子金具12のうち、図5に示す奥側のものが正極側とされるのに対し、同図に示す手前側のものが負極側とされる。
次に、車両側コネクタ20について説明する。車両側コネクタ20は、図2に示すように、車両側ハウジング(コネクタハウジング)21と、車両側ハウジング21に収容される一対の車両側端子金具(端子金具)22と、車両側ハウジング21に収容される一対の磁性部材23とを備えている。なお、磁性部材23に関しては、後に詳しく説明する。車両側ハウジング21は、合成樹脂製とされており、図2及び図3に示すように、車両側端子金具22及び磁性部材23を収容するとともに略ブロック状をなす車両側端子収容部21aと、車両側端子収容部21aの外縁から前方に向けて突出するとともに略筒状をなす車両側フード部21bとからなるものとされる。
車両側端子収容部21aは、図3に示すように、正面から視て横長な長円形状をなすブロック体からなるものとされている。車両側端子収容部21aには、図3から図5に示すように、給電側コネクタ10が有する一対のタワー部13を嵌合可能な嵌合凹部24が一対、前方に開口する形で形成されている。一対の嵌合凹部24は、それぞれ正面から視て略円形状をなしており、車両側端子収容部21aにおいて幅方向(Y軸方向)について中央側に所定の間隔を空けた両端寄りの位置に配されている。一対の嵌合凹部24の間には、車両側端子収容部21aを構成する隔壁21a1が配されており、この隔壁21a1によって一対の嵌合凹部24(後述する嵌合空間FS)が仕切られている。隔壁21a1は、高さ方向(Z軸方向)についての中央側から高さ方向の両端側(図3に示す上下両端側)に向かうに連れてそれぞれ次第に厚みが増す形状とされており、両側面が円弧状をなしている。車両側端子収容部21aにおける奥壁部には、車両側端子金具22を貫通させるための端子挿通孔25が、嵌合凹部24に連通する形で開口形成されている。従って、端子挿通孔25に挿通された車両側端子金具22は、嵌合凹部24内に突き出した形で配されるものとされ、その周りにタワー部13が前方から嵌合可能とされる嵌合空間FSが有されている。この嵌合空間FSは、車両側端子金具22(車両側接続部22a)の外周面と、車両側端子収容部21aにおける嵌合凹部24の内周面との間に有されるものであり、正面から視て円環状をなしている。車両側フード部21bは、正面から視て横長な長円形状をなす筒体からなるものとされており、車両側端子収容部21aを、間に所定の間隔を空けつつ外側から取り囲む形で配されている。車両側フード部21bと車両側端子収容部21aとの間に有される、正面から視て横長な略円環状をなす空間には、給電側コネクタ10が有する給電側フード部11bが嵌合可能とされる。
車両側端子金具22は、金属製とされており、図4及び図5に示すように、軸線方向(長さ方向)が嵌合方向と一致するとともに、その前側部分が給電側端子金具12に接続される車両側接続部22aとされるのに対し、後側部分が図示しない電力ケーブル(電線)に接続されるケーブル接続部22bとされる。車両側接続部22aは、中実な略円柱状をなしており、その外周面に対して給電側端子金具12が有する複数の弾性接触片12a1が弾性接触可能とされる。車両側接続部22aの先端部には、絶縁性を有する合成樹脂製の安全キャップ26が取り付けられており、この安全キャップ26により作業者(使用者)が誤って金属製の車両側端子金具22に直接触れる事態が回避されるようになっている。車両側端子収容部21aにおける一対の端子挿通孔25にそれぞれ個別に挿通された一対の車両側端子金具22は、幅方向(Y軸方向)について中央側に配される車両側端子収容部21aの隔壁21a1によって相互に絶縁状態に保たれる。一対の車両側端子金具22の並び方向は、幅方向(Y軸方向)と一致している。一対の車両側端子金具22のうち、図5に示す奥側のものが正極側とされるのに対し、同図に示す手前側のものが負極側とされる。また、両コネクタ10,20における高さ方向(Z軸方向)は、両コネクタ10,20の嵌合方向(X軸方向)と直交し、且つ一対の車両側端子金具22の並び方向(Y軸方向)と直交している。なお、以下では給電側端子金具12及び車両側端子金具22に関して正極及び負極の極性を区別する場合には、正極側のものの符号に添え字Pを、負極側のものの符号に添え字Nを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
両コネクタ10,20が嵌合接続されて両端子金具12,22が通電されると、両端子金具12,22の軸線周りに磁界が発生し、その磁界を構成する端子磁力線TMLは、図10において相対的に細い一点鎖線により示される。なお、以下では端子磁力線TMLに関して、正極側の両端子金具12P,22Pの軸線周りに発生する端子磁力線については、符号を「TMLP」とし、負極側の両端子金具12N,22Nの軸線周りに発生する端子磁力線については、符号を「TMLN」とする。正極側の両端子金具12P,22Pの軸線周りに発生する端子磁力線TMLPは、図10では時計回り方向に向かうものとされるのに対し、負極側の両端子金具12N,22Nの軸線周りに発生する端子磁力線TMLNは、図10では反時計回り方向に向かうものとされる。ここで、正極側の端子磁力線TMLP及び負極側の端子磁力線TMLNのうち、車両側コネクタ20において幅方向について一対の車両側端子金具22の間に有される内側領域IAを通る端子磁力線TMLN,TMLPは、いずれも図10に示す上向きとされるのに対し、内側領域IAに対して各車両側端子金具22を挟んで外側に配される一対の外側領域OAを通る端子磁力線TMLN,TMLPは、いずれも図10に示す下向きとされる。
さて、本実施形態に係る車両側コネクタ20には、両端子金具12,22が通電中にも拘わらず、車両側コネクタ20から給電側コネクタ10が離脱された場合に発生するアークに伴う不具合を軽減または解消すべく、図2に示すように、磁性部材23が備えられている。磁性部材23は、極めて強い磁力を有するネオジム磁石などの永久磁石からなるものとされる。磁性部材23は、嵌合方向(X軸方向)に沿って前後に延在する略円柱状をなしており、その前後の端面が磁極となっており、一方の端面がN極面27とされるのに対し、他方の端面がS極面28とされる。また、磁性部材23の径寸法(幅方向及び高さ方向についての寸法)が、一対の車両側端子金具22の間の間隔よりも小さなものとされる。また、磁性部材23には、その外周面の全域にわたって絶縁性を有する合成樹脂材(例えばアクリル樹脂材など)がコーティングされており、それにより絶縁性及び機械的な強度などが十分に確保されている。
このような構成の磁性部材23は、図2から図4に示すように、車両側ハウジング21を構成する車両側端子収容部21aに形成された磁性部材収容凹部29に収容されることで一体的に保持される。磁性部材収容凹部29は、車両側端子収容部21aのうち一対の車両側端子金具22を絶縁状態に隔てる隔壁21a1の一部を前方に開口させることで形成されている。磁性部材収容凹部29は、車両側端子収容部21aにおいて磁性部材23の外形に倣って正面から視て略円形状をなしており、嵌合方向に沿って磁性部材23の長さ寸法と概ね同じ程度の深さに形成されている。磁性部材収容凹部29は、上記隔壁21a1において磁性部材23を個別に収容するよう、一対が高さ方向(Z軸方向)、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向と直交する方向について離間した位置に配されている。一対の磁性部材収容凹部29は、幅方向(Y軸方向)について一対の車両側端子金具22間のほぼ中央位置に配されている。一対の磁性部材収容凹部29は、高さ方向についての大部分が、車両側端子収容部21aにおける嵌合空間ISと高さ方向について重なり合う位置に配されている。さらには、一対の磁性部材収容凹部29は、幅方向についての外寄りの両端部が、車両側端子収容部21aにおける嵌合空間ISと幅方向について重なり合う位置に配されている。また、一対の磁性部材収容凹部29は、高さ方向についての一対の磁性部材収容凹部29間の中央位置と、一対の車両側端子金具22の高さ位置とがほぼ一致するよう配されている。
上記のような構成とされた一対の磁性部材収容凹部29にそれぞれ収容された一対の磁性部材23は、高さ方向、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向と直交する方向について離間した位置に配されている。一対の磁性部材23は、幅方向について一対の車両側端子金具22間のほぼ中央位置に配されている。一対の磁性部材23は、高さ方向についての大部分が、車両側端子収容部21aにおける嵌合空間ISと高さ方向について重なり合う位置に配されている。さらには、一対の磁性部材23は、幅方向についての外寄りの両端部が、車両側端子収容部21aにおける嵌合空間ISと幅方向について重なり合う位置に配されている。また、一対の磁性部材23は、両磁性部材23間における高さ方向についての中央位置が、一対の車両側端子金具22の高さ位置とほぼ一致するよう配されている。
そして、一対の磁性部材収容凹部29のうち、図3及び図4に示す上側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側)の磁性部材収容凹部29に収容される磁性部材23は、S極面28が前面となり、N極面27が後面となる姿勢とされるのに対し、図3及び図4に示す下側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側とは反対側)の磁性部材収容凹部29に収容される磁性部材23は、N極面27が前面となり、S極面28が後面となる姿勢とされる。なお、以下では一対の磁性部材23を区別する場合には、N極面27が前面となるものを「前面N極磁性部材」としてその符号に添え字Nを、S極面28が前面となるものを「前面S極磁性部材」としてその符号に添え字Sを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。このような構成では、図11に示すように、一対の磁性部材23における各極面27,28間を行き交う形で磁力線MLが発生するのであるが、このうち前面N極磁性部材23NのN極面27から前面S極磁性部材23SのS極面28に向かう磁力線MLについては、図10に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAを通るものが、端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1磁力線ML1とされるのに対し、内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通るものが、端子磁力線TMLとは反対側に向かう第2磁力線ML2とされている。これら第1磁力線ML1及び第2磁力線ML2は、図11に示すように、各磁性部材23の前面から主に発生するものであるから、その大部分が車両側端子金具22よりも前側に存在するものとされる。なお、以下では磁力線MLに関して、第1磁力線については、符号を「ML1」とし、第2磁力線については、符号を「ML2」とする。
前面N極磁性部材23NのN極面27及び前面S極磁性部材23SのS極面28は、図10に示すように、第1磁力線ML1が発生する第1磁力線発生面30と、第2磁力線ML2が発生する第2磁力線発生面31とに区分することが可能とされる。このうち、第1磁力線発生面30は、前面N極磁性部材23NのN極面27及び前面S極磁性部材23SのS極面28のうち、内側領域IAに臨む部分により構成されるのに対し、第2磁力線発生面31は、前面N極磁性部材23NのN極面27及び前面S極磁性部材23SのS極面28のうち、第1磁力線発生面30を除いた残りの部分により構成される。詳しくは、第1磁力線発生面30と第2磁力線発生面31とは、正面から視て、各磁性部材23N,23Sの中心MCと、各車両側端子金具22の中心TCとを結ぶ線分LSにより区分されており、これら4本の線分LSにより構成される菱形と重畳する部分が第1磁力線発生面30とされ、同菱形とは非重畳とされる部分が第2磁力線発生面31とされる。なお、図10では、線分LSを二点鎖線により図示している。言い換えると、第1磁力線発生面30は、前面N極磁性部材23NのN極面27及び前面S極磁性部材23SのS極面28のうち、上記線分LSよりも高さ方向について中央側(車両側端子金具22に近い側)の部分により構成されるのに対し、第2磁力線発生面31は、上記線分LSよりも高さ方向について外側(車両側端子金具22から遠い側)の部分により構成される。第1磁力線発生面30は、第2磁力線発生面31よりも面積が小さなものとされており、第2磁力線発生面31の約半分程度とされる。
上記したように一対の磁性部材23における第1磁力線発生面30及び第2磁力線発生面31から第1磁力線ML1及び第2磁力線ML2が発生することで、図10に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAでは、端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1磁力線ML1が追加されることで磁束密度が高められる(密になる)のに対し、外側領域OAでは、端子磁力線TMLとその反対側に向かう第2磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くされる(疎になる)。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、例えば充電中であるにも拘わらず、車両側コネクタ20から給電側コネクタ10が引き抜かれるとともに車両側端子金具22から給電側端子金具12が外されるのに伴い、両端子金具12,22間にアークが発生した場合でも、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くなった内側領域IAから磁束密度が低くなった外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用することで消弧が図られるようになっている。もって、アークによって一対の車両側端子金具22間が短絡される、いわゆるPN間短絡が発生する事態が生じ難くなる。
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用を説明する。車両のバッテリを充電するには、車両側コネクタ20に対して給電側コネクタ10を嵌合する作業を行う。図4及び図5に示す状態から、給電側コネクタ10における給電側フード部11bを、車両側コネクタ20における車両側端子収容部21aと車両側フード部21bとの間の空間に嵌め入れ、続いて給電側端子収容部11aの各タワー部13を、車両側端子収容部21aの各嵌合空間FS(各嵌合凹部24)内に嵌め入れる。嵌合途中では、車両側端子金具22の車両側接続部22aが、給電側端子金具12の給電側接続部12a内に差し込まれるとともに、各弾性接触片12a1が径方向について弾性的に拡開される。そして、両コネクタ10,20が正規深さまで嵌合されると、図6及び図7に示すように、各タワー部13が嵌合空間FSの奥深くまで嵌め込まれるとともに、車両側接続部22aの外周面に対して給電側接続部12aの各弾性接触片12a1が所定の接圧でもって弾性接触される。相互に電気的に接続された両端子金具12,22間に直流電流が流されることで、車両のバッテリの充電が図られる。
ここで、充電を行っている最中であるにも拘わらず、誤って給電側コネクタ10が車両側コネクタ20から引き抜かれるような事態が発生した場合には、図8及び図9に示すように、通電していた両端子金具12,22が引き離されることで、両端子金具12,22間にアークが発生し、このアークによって正極側の各端子金具12P,22Pと、負極側の各端子金具12N,22Nとが短絡させられる、いわゆるPN間短絡の発生が懸念される。特に、急速充電のように両端子金具12,22間を流される電流値が大きな場合には、PN間短絡がより発生し易い傾向にある。その点、本実施形態では、図10及び図11に示すように、車両側コネクタ20に一対の磁性部材23が備えられ、一対の磁性部材23における第1磁力線発生面30から発生する第1磁力線ML1が、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAにおいて、通電に伴って両端子金具12,22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かうのに対し、第2磁力線発生面31から発生する第2磁力線ML2が、内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ反対側に位置する外側領域OAにおいて、端子磁力線TMLとは反対側に向かうものとされるから、内側領域IAでは、端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1磁力線ML1が追加されることで磁束密度が高められるのに対し、外側領域OAでは、端子磁力線TMLとその反対側に向かう第2磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くされる。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、上記したように両端子金具12,22間にアークが発生した場合でも、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くなった内側領域IAから磁束密度が低くなった外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用する。このローレンツ力は、一対の磁性部材23の並び方向である高さ方向と直交する幅方向、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向に沿って内側領域IAから外側領域OAへ向けて作用するので、一対の車両側端子金具22においてそれぞれアークが発生していても、各アークが互いに正反対となる方向に引き離されることになる。従って、一対の車両側端子金具22において発生したアーク同士が繋がって生じるPN間短絡を効果的に抑制または防止することができる。
以上説明したように本実施形態の車両側コネクタ(コネクタ)20は、給電側コネクタ(相手コネクタ)10に対して嵌合される車両側ハウジング(コネクタハウジング)21と、車両側ハウジング21に収容され、給電側コネクタ10との嵌合方向と直交する方向について離間した位置にそれぞれ配されるとともに、給電側コネクタ10に対して接続されることで通電される一対の車両側端子金具(端子金具)22と、一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1磁力線ML1を発生させる第1磁力線発生面30と、一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側に向かう第2磁力線ML2を発生させる第2磁力線発生面31とを有する磁性部材23と、を備える。
このようにすれば、給電側コネクタ10に対して車両側ハウジング21が嵌合された状態では、一対の車両側端子金具22が給電側コネクタ10に対して接続されることで通電される。仮に通電状態にも拘わらず、給電側コネクタ10から車両側ハウジング21が離脱された場合には、給電側コネクタ10から一対の車両側端子金具22が外されるのに伴って給電側コネクタ10と車両側端子金具22との間にアークが発生し、そのアークによって一対の車両側端子金具22間が短絡させられることが懸念される。
その点、磁性部材23は、第1磁力線発生面30から一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1磁力線ML1を発生させるとともに、第2磁力線発生面31から一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側に向かう第2磁力線ML2を発生させているので、内側領域IAでは端子磁力線TMLに第1磁力線ML1が加わることで磁束密度が高くなるのに対して、外側領域OAでは端子磁力線TMLと第2磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くなる。つまり、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、給電側コネクタ10と車両側端子金具22との間にアークが発生したとしても、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くされた内側領域IAから磁束密度が低くされた外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用することで消弧が図られ、もってアークによって一対の車両側端子金具22間が短絡させられる事態が生じ難くなる。
また、磁性部材23は、嵌合方向についての前面であるN極面27及びS極面28に第1磁力線発生面30及び第2磁力線発生面31を有している。このようにすれば、仮に、磁性部材23における外周面を第1磁力線発生面及び第2磁力線発生面とした場合に比べると、第1磁力線ML1及び第2磁力線ML2の及ぶ範囲が嵌合方向について前側により広くなるので、給電側コネクタ10から車両側端子金具22が外れるのに伴って生じるアークにより近い位置において第1磁力線ML1及び第2磁力線ML2による磁界を発生させることができ、もってアークに伴う不具合がより生じ難くなる。
また、磁性部材23は、嵌合方向に沿う方向から視て円形状をなしている。このようにすれば、磁性部材23を小型に保ちつつも、第1磁力線発生面30及び第2磁力線発生面31が有される円形状をなす前面であるN極面27及びS極面28から第1磁力線ML1及び第2磁力線ML2が広範囲に広がるよう発生するとともに同前面であるN極面27及びS極面28の表面積が十分に広く確保される。これにより、磁性部材23の配置スペースが小さくなるとともに、アークに伴う不具合の発生が一層生じ難いものとなる。
また、磁性部材23は、嵌合方向と直交し且つ一対の車両側端子金具22の並び方向と交差する方向について離間した位置に少なくとも一対配されている。磁性部材23における嵌合方向についての前面であるN極面27及びS極面28を第1磁力線発生面30及び第2磁力線発生面31とした構成では、仮に磁性部材を1つのみとすると磁性部材が大型化しがちとなるものの、上記のように磁性部材23を少なくとも一対配すれば、各磁性部材23が小型に保たれてその配置スペースが小さなものとなる。
また、磁性部材23は、嵌合方向と直交し且つ一対の車両側端子金具22の並び方向と交差する方向について離間した位置で、且つ並び方向について一対の車両側端子金具22の間となる位置に一対配されている。このようにすれば、嵌合方向と直交し且つ一対の車両側端子金具22の並び方向と交差する方向について離間した位置で、且つ一対の車両側端子金具22の並び方向について一対の車両側端子金具22の間となる位置に磁性部材23を一対配することで、一対の車両側端子金具22にてそれぞれ発生するアークに対して第1磁力線ML1及び第2磁力線ML2による磁界を効率良く作用させることが可能とされる。これにより、磁性部材23の配置スペースを小さく保ちつつも、アークに伴う不具合の発生がより生じ難いものとなる。
また、磁性部材23は、上記した並び方向についての寸法が一対の車両側端子金具22の間の間隔よりも小さなものとされる。このようにすれば、磁性部材23の配置スペースがより小さなものとなる。
また、車両側ハウジング21は、給電側コネクタ10が嵌合される嵌合空間FSが一対の車両側端子金具22の周りにそれぞれ有されるよう形成されており、磁性部材23は、嵌合方向と直交し且つ並び方向と直交する方向について嵌合空間FSと重なり合う位置に配されている。このようにすれば、嵌合方向と直交し且つ一対の車両側端子金具22の並び方向と直交する方向について、車両側ハウジング21における嵌合空間FSの配置スペースを利用して磁性部材23が配されることになるから、車両側ハウジング21が小型となる。
また、磁性部材23は、並び方向について嵌合空間FSと重なり合う位置に配されている。このようにすれば、一対の車両側端子金具22の並び方向についても、車両側ハウジング21における嵌合空間FSの配置スペースを利用して磁性部材23が配されることになるから、車両側ハウジング21がより小型となる。
また、磁性部材23は、永久磁石からなる。このようにすれば、仮に、磁性部材23を電磁石とした場合に比べると、電磁石用の回路などが不要となるので、小型化や低コスト化などの面で優れる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図12によって説明する。この実施形態2では、磁性部材123の形状を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る磁性部材123は、図12に示すように、正面から視て略菱形をなす角柱状に形成されている。このような構成であっても、上記した実施形態1と同様に一対の磁性部材123から発生される磁界に含まれる第1磁力線及び第2磁力線によりアークに伴うPN間短絡を抑制または防止を図ることができる。
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図13によって説明する。この実施形態3では、給電側コネクタ210側に磁性部材223を設置したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態では、通常充電用コネクタと急速充電用コネクタとを分離したCHAdeMO(登録商標)方式に適合した急速充電用コネクタを構成する給電側コネクタ210について例示する。この給電側コネクタ210は、図示しない車両側コネクタと嵌合接続される嵌合接続部32と、作業者が把持する把持部33とを有する給電側ハウジング211を備える。嵌合接続部32には、図13に示すように、幅方向(Y軸方向)に沿って一対の電力用端子金具34が並んで配されているのに対し、高さ方向(Z軸方向)に沿って2組の信号用端子金具35群が並んで配されている。このうち、電力用端子金具34は、上記した実施形態1に記載した車両側端子金具22と同様の構成を有しており、嵌合接続部32に形成された第1嵌合凹部32a内に突き出す形で配されている。なお、第1嵌合凹部32aは、上記した実施形態1に記載した嵌合凹部24と同様の構成である。一対の電力用端子金具34のうち、図13に示す右側のものが正極側の電力用端子金具34Pとされるのに対し、同図左側のものが負極側の電力用端子金具34Nとされる。これら一対の電力用端子金具34を通電したときに発生する端子磁力線は、上記した実施形態1に記載したものと同様であり(図10を参照)、一対の電力用端子金具34間に挟まれた内側領域IAを通るものが図13に示す上向きとなるのに対し、内側領域IAに対して電力用端子金具34を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通るものが同図下向きとなる。信号用端子金具35群は、4本の信号用端子金具35により構成されており、4本の信号用端子金具35は、電力用端子金具34に比べると小型のピン状をなすとともに、嵌合接続部32に形成された第2嵌合凹部32b内に突き出す形でそれぞれ配されている。また、第2嵌合凹部32bは、上記した実施形態1に記載した嵌合凹部24と概ね同様の構成であるが、4本の信号用端子金具35間を仕切る略十字形の仕切り壁32b1を有している。一対の電力用端子金具34は、高さ方向について2組の信号用端子金具35群間の中央位置に配されているのに対し、2組の信号用端子金具35群は、幅方向について一対の電力用端子金具34間の中央位置に配されている。上記した第1嵌合凹部32a及び第2嵌合凹部32bには、図示しない車両側コネクタが嵌合可能とされる。
磁性部材223は、各電力用端子金具34を高さ方向について挟み込む形で、且つ各信号用端子金具35群を幅方向について挟み込む形で一対ずつ、合計4つが配置されている。各磁性部材223は、幅方向について各電力用端子金具34(第1嵌合凹部32a)と重なり合う位置関係とされ、且つ高さ方向について信号用端子金具35群(第2嵌合凹部32b)と重なり合う位置関係とされる。また、電力用端子金具34を高さ方向について挟み込む一対の磁性部材223は、幅方向についてほぼ同じ配置とされる。また、信号用端子金具35群を幅方向について挟み込む一対の磁性部材223は、高さ方向についてほぼ同じ配置とされる。なお、嵌合接続部32の前面には、各磁性部材223を収容する磁性部材収容凹部229が前方に開口する形で形成されている。
そして、電力用端子金具34に対して図13に示す上側、つまり内側領域IAにおいて端子磁力線が向かう側に配される一対の磁性部材223が、前面がS極面228とされた前面S極磁性部材223Sとされるのに対し、電力用端子金具34に対して図13に示す下側、つまり内側領域IAにおいて端子磁力線が向かう側とは反対側に配される一対の磁性部材223が、前面がN極面227とされた前面N極磁性部材223Sとされる。このような構成とすれば、前面N極磁性部材223Sと前面S極磁性部材223Sとの間に発生する磁界には、内側領域IAにおいて端子磁力線と同じ側に向かう第1磁力線と、外側領域OAにおいて端子磁力線とは反対側に向かう第2磁力線とが含まれることとなり、それにより内側領域IAの磁束密度が高められるのに対し、外側領域OAの磁束密度が低くされる。従って、電力用端子金具34に発生したアークに含まれる電子には、磁束密度が高くなった内側領域IAから磁束密度が低くなった外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用することで消弧が図られ、もってアークによって一対の電力用端子金具34間が短絡される、いわゆるPN間短絡が発生する事態が生じ難くなる。なお、この急速充電用コネクタでは、例えば直流で125A程度の大電流を取り扱うものとされる。
以上説明したように本実施形態によれば、給電側ハウジング211及び一対の電力用端子金具34は、車両側コネクタが備えられる被充電機器である電気自動車を充電するための充電機器である給電設備に備えられている。このように、被充電機器である電気自動車を充電するための充電機器である給電設備に給電側ハウジング211及び一対の電力用端子金具34が備えられる構成では、充電中に車両側コネクタから給電側ハウジング211が離脱されたときに発生するアークによって一対の電力用端子金具34間がより短絡され易い傾向にあるものの、上記したように磁性部材223によってアークの消弧が図られることで、一対の電力用端子金具34間が短絡させられる事態が生じ難くなっている。
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図14または図15によって説明する。この実施形態4では、磁性部材323を1つにしたものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る磁性部材323は、図14及び図15に示すように、略有端角環状をなしている。詳しくは、磁性部材323は、側方から視て四角形の角環状に形成されるとともにその一部が切り欠かれることで、略有端角環状をなしている。磁性部材323は、高さ方向(Z軸方向)に沿って延びる第1部323aと、第1部323aにおける高さ方向の両端から嵌合方向(X軸方向)に沿って前方に向けて延びる一対の第2部323bと、一対の第2部323bにおける前端から高さ方向に沿って互いに近づくよう突出するとともにその突出先端面が所定の間隔を空けつつ互いに対向状をなす一対の第3部323cとから構成されている。そして、この磁性部材323は、一対の第3部323cにおける各突出先端面がN極面327及びS極面328とされる。一対の第3部323cのうち、図15に示す上側、つまり内側領域IAにおいて端子磁力線が向かう側に配される第3部323cの突出先端面がN極面327とされるのに対し、同図下側、つまり内側領域IAにおいて端子磁力線が向かう側とは反対側に配される第3部323cの突出先端面がS極面328とされる。このような構成とすれば、磁性部材323におけるN極面327とS極面328との間に発生する磁界には、内側領域IAにおいて端子磁力線と同じ側に向かう第1磁力線と、外側領域OAにおいて端子磁力線とは反対側に向かう第2磁力線とが含まれることとなり、それにより内側領域IAの磁束密度が高められるのに対し、外側領域OAの磁束密度が低くされる。従って、上記した実施形態1に記載したものと同様に、アークに伴う不具合を抑制または防止する効果を得ることができるものとされる。なお、上記した構成の磁性部材323は、車両側端子収容部321aの前面に開口する、縦長形状の磁性部材収容凹部329に収容されるとともに、第1部323aがネジ部材36によって固定されている。
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図16によって説明する。この実施形態5では、磁性部材423の形状を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る磁性部材423は、図16に示すように、正面から視て略三角形をなす角柱状に形成されている。このような構成であっても、上記した実施形態1と同様に一対の磁性部材423から発生される磁界に含まれる第1磁力線及び第2磁力線によりアークに伴うPN間短絡を抑制または防止を図ることができる。
<実施形態6>
本発明の実施形態6を図17によって説明する。この実施形態6では、磁性部材523の形状を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る磁性部材523は、図17に示すように、正面から視て略半円形をなす半円柱状に形成されている。このような構成であっても、上記した実施形態1と同様に一対の磁性部材523から発生される磁界に含まれる第1磁力線及び第2磁力線によりアークに伴うPN間短絡を抑制または防止を図ることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した各実施形態(実施形態4を除く)では、磁性部材における前面がN極面またはS極面とされるものを示したが、磁性部材における周面の少なくとも一部がN極面またはS極面とされるものも本発明に含まれる。
(2)上記した実施形態4では、1つの磁性部材における周面の一部がN極面及びS極面とされるものを示したが、1つの磁性部材における前面の一部がN極面とされ、前面の他の部分がS極面とされるものも本発明に含まれる。
(3)上記した各実施形態(実施形態4を除く)では、磁性部材が2つまたは4つとされるものを示したが、磁性部材が6つ以上の偶数とされるものや、奇数とされるものも本発明に含まれる。
(4)上記した実施形態4では、磁性部材が1つのみ用いられたものを示したが、実施形態4に記載したものと同様の構造の磁性部材を複数用いることも可能である。
(5)上記した各実施形態以外にも、磁性部材の正面から視た形状は適宜に変更可能である。例えば、正面から視て五角形以上の多角形や楕円形などとされる磁性部材を使用することが可能である。また、磁性部材が正面から視て上側部分と下側部分とで異なる形状となっていても構わない。また、磁性部材における側方から視た形状についても適宜に変更可能である。
(6)上記した各実施形態(実施形態3を除く)では、「Combined Charging System(コンボ方式)」に適合した充電コネクタにおいて車両側コネクタ側に磁性部材を配置したものを示したが、同充電コネクタにおいて給電側コネクタ側に磁性部材を配置することも可能である。また、車両側コネクタ側に一対の磁性部材を配置するとともに、給電側コネクタ側にも一対の磁性部材を配置することが可能である。さらには、車両側コネクタ側に1つの磁性部材(前面N極磁性部材または前面S極磁性部材)を配置するとともに、給電側コネクタ側に1つの磁性部材(前面S極磁性部材または前面N極磁性部材)を配置することも可能である。
(7)上記した実施形態3では、CHAdeMO(登録商標)方式に適合した充電コネクタにおいて給電側コネクタ側に磁性部材を配置したものを示したが、同充電コネクタにおいて車両側コネクタ側に磁性部材を配置することも可能である。また、車両側コネクタ側に4つの磁性部材を配置するとともに、給電側コネクタ側にも4つの磁性部材を配置することが可能である。さらには、車両側コネクタ側に2つの磁性部材(前面N極磁性部材または前面S極磁性部材)を配置するとともに、給電側コネクタ側に2つの磁性部材(前面S極磁性部材または前面N極磁性部材)を配置することも可能である。
(8)上記した各実施形態では、第2磁力線が内側領域に対して外側に存在する一対の外側領域の双方において作用する磁界を発生させる磁性部材を用いたものを示したが、第2磁力線が片方の外側領域においてのみ作用する磁界を発生させる磁性部材を用いることも可能である。
(9)上記した各実施形態以外にも、正極側の車両側端子金具または電力用端子金具と、負極側の車両側端子金具または電力用端子金具との配置を逆転させることも可能である。その場合は、磁性部材におけるN極面及びS極面の配置も逆転させればよい。
(10)上記した各実施形態以外にも、正極側の車両側端子金具または電力用端子金具と、負極側の車両側端子金具または電力用端子金具とが高さ方向に沿って上下に並ぶ配置とすることも可能である。その場合は、N極面とS極面とが幅方向に沿って左右に並ぶよう磁性部材の配置を変更すればよい。
(11)上記した各実施形態(実施形態3,4を除く)では、幅方向について一対の端子金具の間に位置する磁性部材が、高さ方向及び幅方向について嵌合空間を重なり合う配置とされたものを示したが、同磁性部材が高さ方向についてのみ嵌合空間と重なり合う配置としたものや、磁性部材が幅方向についてのみ嵌合空間と重なり合う配置としたものも本発明に含まれる。また、磁性部材が嵌合空間に対して高さ方向及び幅方向についていずれも重なり合わない配置とすることも可能である。
(12)上記した各実施形態では、磁性部材の並び方向と、一対の車両側端子金具または電力用端子金具の並び方向とが互いに直交する位置関係のものを示したが、磁性部材の並び方向と、一対の車両側端子金具または電力用端子金具の並び方向とが直交せずに交差する(90度以外の角度で交差する)位置関係とされるものも本発明に含まれる。
(13)上記した各実施形態では、磁性部材として永久磁石を用いた場合を示したが、磁性部材として電磁石を使用することも可能である。
(14)上記した各実施形態以外にも、磁性部材として球状のものを用いることも可能である。
(15)上記した各実施形態では、急速充電用のコネクタについて例示したが、通常充電用のコネクタにも本発明は同様に適用可能である。