JP2014154366A - コネクタ - Google Patents

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Daichi Kawaguchi
大致 川口
Shiro Nishida
詩朗 西田
Takuya Utsunomiya
拓也 宇都宮
Fumitaka MAEKAWA
文隆 前川
Daisuke Ito
大輔 伊藤
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

【課題】小型に保ちつつもアークの発生に伴う不具合を生じ難くする。
【解決手段】車両側コネクタ20は、給電側コネクタ10に対して嵌合される車両側ハウジング21と、一対の車両側端子金具22と、一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かう内側磁力線ML1と、内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側に向かう外側磁力線ML2とを発生させる磁性部材23であって、一対の車両側端子金具22に対してそれぞれ対向する形で配されるとともに一対の車両側端子金具22間を仕切る仕切り壁21a2を構成する磁性部材23と、を備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、コネクタに関する。
例えば、電気自動車に搭載されたバッテリを充電するには、車両に備えられた車両側コネクタに対して給電設備に備えられた給電側コネクタを嵌合接続するようにしている。このとき、両コネクタ間を流される電流値は、一般的に家電製品に比べると大きなものとなっており、特に短時間での充電が可能な急速充電を行う場合には、上記電流値が極めて大きなものとなる。ここで、充電を行っている最中であるにも拘わらず、誤って給電側コネクタが車両側コネクタから引き抜かれた場合には、両コネクタの端子金具間でアークが発生し、そのアークによって正負の端子金具間が短絡させられることが懸念される。このようなアークを抑制するため、永久磁石による磁界を利用する手法が知られており、その一例が下記特許文献1に記載されている。
この特許文献1では、互いに嵌合可能な第1コネクタと第2コネクタとのうち、第1コネクタをなす第1コネクタハウジングには、一対の第1接続端子を収容する一対の端子収容孔が形成されるとともに、両端子収容孔の間に位置して矩形状の永久磁石を収容する磁石収容室が形成されており、両コネクタの接続端子間に発生するアーク放電の軌跡が永久磁石から生じる磁界によって曲げられるようになっている。
特開2003−249317号公報
ところで、両コネクタの接続端子間を流れる電圧と電流の値が大きくなるほど、発生するアーク放電も強くなるため、そのアーク放電を消弧するための永久磁石としては磁力がより強いものを用いることが求められる傾向にある。しかしながら、上記した特許文献1に記載されたものでは、永久磁石が磁石収容室をなす周壁によって取り囲まれた構成であるため、永久磁石の磁力を高めるべく容積及び表面積を大きくするのには限界があり、強いアーク放電が生じることが想定されるコネクタ、具体的には電気自動車の急速充電などに用いられるコネクタでの対応に苦慮していた。
また、単に永久磁石の容積及び表面積を大きくしたのでは、その配置スペースも大きくなるため、コネクタ自体が大型化してしまうという問題が生じる。特に、電気自動車の給電に用いられるコネクタでは、その外形が規格化されていて外形を一定に保つことが求められるため、対応がより難しいものとなっていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型に保ちつつもアークの発生に伴う不具合を生じ難くすることを目的とする。
本発明のコネクタは、相手コネクタに対して嵌合されるコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに収容され、前記相手コネクタとの嵌合方向と直交する方向について離間した位置にそれぞれ配されるとともに、前記相手コネクタに対して接続されることで通電される一対の端子金具と、前記一対の端子金具の間に挟まれた内側領域を通り且つ通電に伴って前記端子金具の軸線周りに発生する端子磁力線と同じ側に向かう内側磁力線と、前記一対の端子金具の並び方向について前記内側領域に対して前記端子金具を挟んだ外側に位置する外側領域を通り且つ前記端子磁力線とは反対側に向かう外側磁力線との少なくともいずれか一方を発生させる磁性部材であって、前記一対の端子金具に対してそれぞれ対向する形で配されるとともに前記一対の端子金具間を仕切る仕切り壁を構成する磁性部材と、を備える。
このようにすれば、相手コネクタに対してコネクタハウジングが嵌合された状態では、一対の端子金具が相手コネクタに対して接続されることで通電される。仮に通電状態にも拘わらず、相手コネクタからコネクタハウジングが離脱された場合には、相手コネクタから一対の端子金具が外されるのに伴って相手コネクタと端子金具との間にアークが発生し、そのアークによって一対の端子金具間が短絡させられることが懸念される。
その点、磁性部材からは、一対の端子金具の間に挟まれた内側領域を通り且つ通電に伴って端子金具の軸線周りに発生する端子磁力線と同じ側に向かう内側磁力線と、一対の端子金具の並び方向について内側領域に対して端子金具を挟んだ外側に位置する外側領域を通り且つ端子磁力線とは反対側に向かう外側磁力線との少なくともいずれか一方が発生するものとされているので、内側領域での磁束密度が相対的に高くなるとともに外側領域での磁束密度が相対的に低くなる。このように内側領域と外側領域とに磁束密度の疎密に差が生じることで、相手コネクタと端子金具との間にアークが発生したとしても、そのアークをなす電子には、磁束密度が相対的に高い内側領域から磁束密度が相対的に低い外側領域に向かうローレンツ力が作用することで消弧が図られ、もってアークによって一対の端子金具間が短絡させられる事態が生じ難くなる。
その上で、磁性部材が一対の端子金具に対してそれぞれ対向する形で配されるとともに一対の端子金具間を仕切る仕切り壁を構成しているので、従来のようにコネクタハウジングに磁性部材を収容する収容室を設けるようにし、収容室を構成する周壁によって磁性部材を取り囲む構成とした場合に比べると、周壁を有さない分だけ磁性部材の容積及び表面積がいずれも大きなものとなる。従って、磁性部材による磁力がより強いものとなって、アークをなす電子により大きなローレンツ力を作用させることができる。言い換えると、従来において磁性部材の容積及び表面積を大きく保つには、収容室を大型化せざるを得ないことから、収容室をなす周壁を含めた磁性部材の配置スペースが大きくなりがちとなるのに比べると、磁性部材に係る配置スペースが小さなものとなって、小型化に好適となる。
本発明の実施態様として、次の構成が好ましい。
(1)前記磁性部材は、前記内側磁力線を発生させる内側磁力線発生面と、前記外側磁力線を発生させる外側磁力線発生面とを有している。このようにすれば、磁性部材は、内側磁力線発生面から一対の端子金具の間に挟まれた内側領域を通り且つ通電に伴って端子金具の軸線周りに発生する端子磁力線と同じ側に向かう内側磁力線を発生させるとともに、外側磁力線発生面から一対の端子金具の並び方向について内側領域に対して端子金具を挟んだ外側に位置する外側領域を通り且つ端子磁力線とは反対側に向かう外側磁力線を発生させているので、内側領域では端子磁力線に内側磁力線が加わることで磁束密度が高くなるのに対して、外側領域では端子磁力線と外側磁力線とが打ち消し合うことで磁束密度が低くなる。つまり、内側領域と外側領域とでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、相手コネクタと端子金具との間にアークが発生したとしても、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くされた内側領域から磁束密度が低くされた外側領域に向かう大きなローレンツ力が作用することで消弧が図られ、もってアークによって一対の端子金具間が短絡させられる事態が生じ難くなる。
(2)前記磁性部材は、前記一対の端子金具の並び方向について前記内側領域と重なり合う形で配されるとともに前記内側磁力線発生面を有する磁性部材本体と、前記並び方向について前記一対の端子金具と重なり合う形で配されるとともに前記外側磁力線発生面を有する端子重畳部とを少なくとも備えている。このようにすれば、磁性部材のうち、一対の端子金具の並び方向について内側領域と重なり合う形で配される磁性部材本体が有する内側磁力線発生面からは、内側領域において端子磁力線と同じ側に向かう内側磁力線が発生されるのに対し、一対の端子金具の並び方向について一対の端子金具と重なり合う形で配される端子重畳部が有する外側磁力線発生面からは、外側領域において端子磁力線とは反対側に向かう外側磁力線が発生されることで、内側領域と外側領域とで磁束密度の疎密に大きな差を生じさせることができ、もってアークの発生に伴う不具合を好適に生じ難くすることができる。
(3)前記磁性部材は、前記嵌合方向と直交し且つ前記一対の端子金具の並び方向と直交する方向について前記一対の端子金具に近づく方向に向けて前記並び方向についての寸法が小さくなる形状とされるとともに、前記嵌合方向及び前記並び方向の双方と直交する方向について並ぶ形で少なくとも一対に分割されている。仮に磁性部材を1部品で構成した場合には、嵌合方向及び並び方向の双方と直交する方向について一対の端子金具に最も近い部位が並び方向についての寸法が最も小さくなるよう括れた形状となるため、その括れた部分に破損などが生じることが懸念される。その点、上記したように磁性部材は、嵌合方向及び並び方向の双方と直交する方向について並ぶ形で少なくとも一対に分割されているので、破損などが生じ難いものとなっている。
(4)前記磁性部材は、前記嵌合方向についての前面が、前記内側磁力線と前記外側磁力線との少なくともいずれか一方を発生させる磁力線発生面とされる。このようにすれば、仮に、磁性部材における外周面を磁力線発生面とした場合に比べると、内側磁力線と外側磁力線との少なくともいずれか一方の及ぶ範囲が嵌合方向について前側により広くなるので、相手コネクタから端子金具が外れるのに伴って生じるアークにより近い位置において内側磁力線と外側磁力線との少なくともいずれか一方による磁界を発生させることができ、もってアークに伴う不具合がより生じ難くなる。
(5)前記磁性部材は、その表面が絶縁材料からなる絶縁膜によって被覆されている。このようにすれば、一対の端子金具間を仕切る仕切り壁を構成する磁性部材の表面に絶縁材料からなる絶縁膜が被覆されるので、一対の端子金具間の絶縁性が高められる。また、磁性部材の機械的な強度が高められて破損などが生じ難くなる。
(6)前記磁性部材は、前記コネクタハウジングに対して着脱可能に取り付けられている。このようにすれば、例えば磁性部材に金属粉などが付着した場合でも、コネクタハウジングから磁性部材を取り外してメンテナンス作業を容易に行うことができるので、メンテナンス性に優れる。
(7)前記コネクタハウジング及び前記一対の端子金具は、前記相手コネクタを備える被充電機器を充電するための充電機器に備えられている。このように、被充電機器を充電するための充電機器にコネクタハウジング及び一対の端子金具が備えられる構成では、充電中に相手コネクタからコネクタハウジングが離脱されたときに発生するアークによって一対の端子金具間がより短絡され易い傾向にあるものの、上記したように磁性部材によってアークの消弧が図られることで、一対の端子金具間が短絡させられる事態が生じ難くなっている。
(8)前記磁性部材は、永久磁石からなる。このようにすれば、仮に、磁性部材を電磁石とした場合に比べると、電磁石用の回路などが不要となるので、小型化や低コスト化などの面で優れる。
本発明によれば、小型に保ちつつもアークの発生に伴う不具合を生じ難くすることができる。
本発明の実施形態1に係る充電コネクタを構成する給電側コネクタ及び車両側コネクタの斜視図 車両側コネクタの分解斜視図 車両側コネクタの正面図 給電側コネクタ及び車両側コネクタを嵌合する前の状態を示す図3のA−A線断面図 給電側コネクタ及び車両側コネクタを嵌合する前の状態を示す図3のB−B線断面図 給電側コネクタ及び車両側コネクタを嵌合した後の状態を示す図3のA−A線断面図 給電側コネクタ及び車両側コネクタを嵌合した後の状態を示す図3のB−B線断面図 給電側コネクタから車両側コネクタを離脱する途中の状態を示す図3のA−A線断面図 給電側コネクタから車両側コネクタを離脱する途中の状態を示す図3のB−B線断面図 車両側コネクタにおける磁界を表す正面図 車両側コネクタにおける磁界を表す図3のB−B線断面図 本発明の実施形態2に係る充電コネクタを構成する給電側コネクタ及び車両側コネクタの斜視図 車両側コネクタの分解斜視図 車両側コネクタにおける磁界を表す正面図 車両側コネクタにおける磁界を表す図14のB−B線断面図 本発明の実施形態3に係る給電側コネクタの正面図 本発明の実施形態4に係る給電側コネクタの正面図 本発明の実施形態5に係る車両側コネクタの正面図 本発明の実施形態6に係る車両側コネクタの正面図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図11によって説明する。この実施形態1では、電気自動車の車両に搭載された二次電池からなるバッテリを充電するために用いられる充電コネクタCCについて例示する。この充電コネクタCCは、図1に示すように、給電設備(充電機器)側に配される給電側コネクタ(相手コネクタ、充電側コネクタ)10と、電気自動車の車両(被充電機器)側に配される車両側コネクタ(コネクタ、被充電側コネクタ)20とからなり、両コネクタ10,20が嵌合接続されることで車両のバッテリが充電されるようになっている。本実施形態では、通常充電部及び急速充電部を併有してなる「Combined Charging System(コンボ方式)」に適合した充電コネクタのうちの急速充電部のみを「充電コネクタCC」としている。この充電コネクタCCは、車両のバッテリを短時間で一定程度(例えば80%程度)まで充電することが可能な急速充電部であるため、例えば直流で250A程度の大電流を取り扱うものとされる。
なお、以下では、前後の記載について両コネクタ10,20の嵌合方向を基準とし、両コネクタ10,20における嵌合面側を前側とし、その反対側を後側とする。また、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれており、具体的にはX軸方向が両コネクタ10,20の嵌合方向と、Y軸方向が両コネクタ10,20の幅方向と、Z軸方向が両コネクタ10,20の高さ方向とそれぞれ一致している。
先に、給電側コネクタ10について説明する。給電側コネクタ10は、図1及び図4に示すように、給電側ハウジング(相手側コネクタハウジング)11と、給電側ハウジング11に収容される一対の給電側端子金具(相手側端子金具)12とを備えている。給電側ハウジング11は、合成樹脂製とされており、給電側端子金具12を収容するとともに略ブロック状をなす給電側端子収容部11aと、給電側端子収容部11aの外縁から前方に向けて突出するとともに略筒状をなす給電側フード部11bとからなるものとされる。
給電側端子収容部11aには、図4に示すように、給電側端子金具12を後方から挿入可能な給電側キャビティ11a1が一対形成されている。給電側キャビティ11a1は、給電側端子収容部11aを嵌合方向(X軸方向)に沿って前後に貫通する形で形成されており、幅方向(Y軸方向)に沿って所定の間隔を空けた位置に並んで配されている。給電側端子収容部11aは、給電側フード部11b内に突き出す部分が一対の給電側端子金具12に対応付けて分けられており、一対のタワー部13を有している。一対のタワー部13は、共に略円筒状をなしており、幅方向に沿って中央側に所定の間隔を空けた形で並んで配されている。給電側フード部11bは、正面から視て(嵌合方向に沿う方向から視て)横長な長円形状をなす筒体からなるものとされており、給電側端子収容部11aにおける一対のタワー部13を、間に所定の間隔を空けつつ一括して外側から取り囲む形で配されている。給電側フード部11bと一対のタワー部13との間に有される、正面から視て横長な略円環状をなす空間には、後述する車両側コネクタ20が有する車両側フード部21bが嵌合可能とされる。
給電側端子金具12は、金属製とされており、図4に示すように、軸線方向(長さ方向)が嵌合方向と一致するとともに、その前側部分が車両側端子金具22に接続される給電側接続部12aとされるのに対し、後側部分が図示しない電力ケーブル(電線)に接続されるケーブル接続部12bとされる。給電側接続部12aは、全体として嵌合方向に沿って延在する略円筒状をなすとともに、その周方向について所定の角度間隔を空けた位置にスリットが複数入れられることで、複数の弾性接触片12a1を有している。弾性接触片12a1は、嵌合方向に沿って延在するとともに後端側が基端、前端側が自由端とされた片持ち梁状をなしており、基端を支点として給電側接続部12aの径方向に沿って弾性変形することが可能とされる。従って、両コネクタ10,20の嵌合に伴って、給電側接続部12aの内側に有される空間に車両側端子金具22が挿入されると、各弾性接触片12a1が車両側端子金具22に対して弾性接触しつつ径方向に沿って外向きに拡開変形されるようになっている。弾性接触片12a1は、例えば8本が給電側接続部12aの周方向に沿ってほぼ等角度間隔に並んでいる。一対の給電側端子金具12は、給電側端子収容部11aの各給電側キャビティ11a1に個別に収容されることで、各タワー部13をなす周壁によってそれぞれ周りが取り囲まれる。従って、一対の給電側端子金具12の並び方向は、幅方向(Y軸方向)と一致している。一対の給電側端子金具12のうち、図4に示す奥側のものが正極側とされるのに対し、同図に示す手前側のものが負極側とされる。
次に、車両側コネクタ20について説明する。車両側コネクタ20は、図2に示すように、車両側ハウジング(コネクタハウジング)21と、車両側ハウジング21内に収容される一対の車両側端子金具(端子金具)22と、車両側ハウジング21に対して着脱可能に取り付けられる磁性部材23とを備えている。なお、磁性部材23に関しては、後に詳しく説明する。車両側ハウジング21は、合成樹脂製とされており、図2及び図3に示すように、車両側端子金具22及び磁性部材23を収容するとともに略ブロック状をなす車両側端子収容部21aと、車両側端子収容部21aの外縁から前方に向けて突出するとともに略筒状をなす車両側フード部21bとからなるものとされる。
車両側端子収容部21aは、図3に示すように、正面から視て横長な長円形状をなすブロック体からなるものとされている。車両側端子収容部21aには、図3及び図4に示すように、給電側コネクタ10が有する一対のタワー部13を嵌合可能な嵌合凹部24が一対、前方に開口する形で形成されている。一対の嵌合凹部24は、それぞれ正面から視て略円形状をなしており、車両側端子収容部21aにおいて幅方向(Y軸方向)について中央側に所定の間隔を空けた両端寄りの位置に配されている。車両側端子収容部21aにおける奥壁部には、車両側端子金具22を貫通させるための端子挿通孔25が、嵌合凹部24に連通する形で開口形成されている。従って、端子挿通孔25に挿通された車両側端子金具22は、嵌合凹部24内に突き出した形で配されるものとされ、その周りにタワー部13が前方から嵌合可能とされる嵌合空間FSが有されている。この嵌合空間FSは、車両側端子金具22(車両側接続部22a)の外周面と、車両側端子収容部21aにおける嵌合凹部24の内周面との間に有されるものであり、正面から視て円環状をなしている。
上記した構成を別言すると、車両側端子収容部21aは、図3に示すように、正面から視て横長な長円形の筒状をなすとともに一対の車両側端子金具22を取り囲む形で配される端子周壁21a1と、端子周壁21a1を正面から視た短辺方向(Z軸方向、高さ方向)に沿って横切るとともに一対の車両側端子金具22(嵌合凹部24、嵌合空間FS)間を仕切る仕切り壁21a2とを少なくとも備えている。仕切り壁21a2は、図3に示す上下両端部が端子周壁21a1のうち正面から視た長辺方向(Y軸方向)の中央部に連ねられており、端子周壁21a1に連なる両端部から、上記短辺方向についての中央部に近づくに連れて次第に厚み(幅寸法)が減少し、上記短辺方向についての中央部において厚みが最小となるよう括れた形状とされる。言い換えると、仕切り壁21a2は、上記短辺方向についての中央部から端子周壁21a1に近づくに連れて次第に厚み(幅寸法)が増加し、端子周壁21a1に連なる両端部において厚みがそれぞれ最大となるよう裾広がり状をなしている。仕切り壁21a2は、裾広がりとなったY軸方向についての両端が各車両側端子金具22の中心とほぼ一致する位置に達する範囲に形成されている。仕切り壁21a2における両側面は、それぞれ正面から視て略半円弧状をなしている。一方、端子周壁21a1のうち、仕切り壁21a2が連ねられていないY軸方向についての両端側部分は、それぞれ略半円筒状をなすとともにその内側面が正面から視て略半円弧状をなしている。また、車両側フード部21bは、正面から視て横長な長円形の筒状をなしており、車両側端子収容部21aを、間に所定の間隔を空けつつ外側から取り囲む形で配されている。車両側フード部21bと車両側端子収容部21aとの間に有される、正面から視て横長な略円環状をなす空間には、給電側コネクタ10が有する給電側フード部11bが嵌合可能とされる。
車両側端子金具22は、金属製とされており、図4に示すように、軸線方向(長さ方向)が嵌合方向と一致するとともに、その前側部分が給電側端子金具12に接続される車両側接続部22aとされるのに対し、後側部分が図示しない電力ケーブル(電線)に接続されるケーブル接続部22bとされる。車両側接続部22aは、中実な略円柱状をなしており、その外周面に対して給電側端子金具12が有する複数の弾性接触片12a1が弾性接触可能とされる。車両側接続部22aの先端部には、絶縁性を有する合成樹脂製の安全キャップ26が取り付けられており、この安全キャップ26により作業者(使用者)が誤って金属製の車両側端子金具22に直接触れる事態が回避されるようになっている。車両側端子収容部21aにおける一対の端子挿通孔25にそれぞれ個別に挿通された一対の車両側端子金具22は、幅方向(Y軸方向)について中央側に配される車両側端子収容部21aの仕切り壁21a2によって相互に絶縁状態に保たれる。一対の車両側端子金具22の並び方向は、幅方向(Y軸方向)と一致している。一対の車両側端子金具22のうち、図4に示す奥側のものが正極側とされるのに対し、同図に示す手前側のものが負極側とされる。また、両コネクタ10,20における高さ方向(Z軸方向)は、両コネクタ10,20の嵌合方向(X軸方向)と直交し、且つ一対の車両側端子金具22の並び方向(Y軸方向)と直交している。なお、以下では給電側端子金具12及び車両側端子金具22に関して正極及び負極の極性を区別する場合には、正極側のものの符号に添え字Pを、負極側のものの符号に添え字Nを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
両コネクタ10,20が嵌合接続されて両端子金具12,22が通電されると、両端子金具12,22の軸線周りに磁界が発生し、その磁界を構成する端子磁力線TMLは、図10において相対的に細い一点鎖線により示される。なお、以下では端子磁力線TMLに関して、正極側の両端子金具12P,22Pの軸線周りに発生する端子磁力線については、符号を「TMLP」とし、負極側の両端子金具12N,22Nの軸線周りに発生する端子磁力線については、符号を「TMLN」とする。正極側の両端子金具12P,22Pの軸線周りに発生する端子磁力線TMLPは、図10では時計回り方向に向かうものとされるのに対し、負極側の両端子金具12N,22Nの軸線周りに発生する端子磁力線TMLNは、図10では反時計回り方向に向かうものとされる。ここで、正極側の端子磁力線TMLP及び負極側の端子磁力線TMLNのうち、車両側コネクタ20において幅方向について一対の車両側端子金具22の間に有される内側領域IAを通る端子磁力線TMLN,TMLPは、いずれも図10に示す上向きとされるのに対し、内側領域IAに対して各車両側端子金具22を挟んで外側に配される一対の外側領域OAを通る端子磁力線TMLN,TMLPは、いずれも図10に示す下向きとされる。
さて、本実施形態に係る車両側コネクタ20には、両端子金具12,22が通電中にも拘わらず、車両側コネクタ20から給電側コネクタ10が離脱された場合に発生するアークに伴う不具合を軽減または解消すべく、図2に示すように、磁性部材23が備えられている。磁性部材23は、極めて強い磁力を有するネオジム磁石などの永久磁石からなるものとされるとともに、その表面が絶縁性を有する合成樹脂材(例えばアクリル樹脂材など)からなる絶縁膜(図示せず)によって被覆されることで、絶縁性及び機械的な強度などが十分に確保されている。そして、この磁性部材23は、車両側ハウジング21を構成する車両側端子収容部21aのうち、一対の車両側端子金具22間を仕切る仕切り壁21a2の一部(前側部分)を構成するとともに、一対の車両側端子金具22に対してそれぞれ対向する形で配されている。具体的には、車両側端子収容部21aには、端子周壁21a1及び仕切り壁21a2を部分的に切り欠くことで切欠部29が有されており、この切欠部29に磁性部材23が着脱可能な形で取り付けられている。切欠部29は、図2及び図4に示すように、車両側端子収容部21aにおける前端部を前方に向けて開口する形で形成されており、詳しくは、仕切り壁21a2の前端部を含んだ前側部分をY軸方向についてほぼ全域にわたって切り欠くとともに、端子周壁21a1の前端部を含んだ前側部分のうち仕切り壁21a2が連ねられるY軸方向についての中央側部分(仕切り壁21a2が連ねられないY軸方向についての両端側部分を除いた部分)を切り欠くことで形成されている。この切欠部29に嵌め込まれる形で装着される磁性部材23は、治具などを用いることで取り外すことが可能とされている。
磁性部材23は、図3に示すように、同図に示す上下両端部から高さ方向(Z軸方向)についての中央部に近づくに連れて次第に幅寸法(横幅)が減少し、高さ方向についての中央部において幅寸法が最小となるよう括れた形状とされる。言い換えると、磁性部材23は、高さ方向についての中央部から両端部に近づくに連れて次第に幅寸法(横幅)が増加し、高さ方向の両端部において幅寸法がそれぞれ最大となるよう裾広がり状をなしている。つまり、磁性部材23は、正面から視た形状が、端子周壁21a1のうち仕切り壁21a2に連なる中央側部分と、仕切り壁21a2とに倣う形状となっており、これらの前側部分に代替する形で切欠部29に嵌め込まれている。磁性部材23は、一対の車両側端子金具22に対して間に嵌合空間FSを挟んで直接対向する一対の側面が、仕切り壁21a2の両側面と同様に正面から視て略半円弧状をなすのに対し、一対の車両側端子金具22側とは反対側を向くとともに車両側フード部21bに対して対向する高さ方向についての一対の外面が、端子周壁21a1の中央側部分の両外面と同様にX軸方向及びY軸方向に沿ってほぼフラットな形状をなしている。このように、磁性部材23は、図4及び図5に示すように、その周面が端子周壁21a1及び仕切り壁21a2の各周面とほぼ面一状をなしている。
磁性部材23は、図3に示すように、裾広がりとなったY軸方向についての両端が各車両側端子金具22の中心とほぼ一致する位置に達する範囲に形成されている。従って、磁性部材23は、Y軸方向、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAと重なり合う形で配される磁性部材本体23aと、Y軸方向について一対の車両側端子金具22と重なり合う形で配される端子重畳部23bとを有してなる。詳しくは、磁性部材23のうち、Y軸方向について一対の車両側端子金具22とは重なり合わない大部分が磁性部材本体23aとされるのに対し、Y軸方向についての両端部であって、一対の車両側端子金具22のうちY軸方向について仕切り壁21a2寄りの約半分に対してY軸方向について重なり合う部分が端子重畳部23bとされている。
上記のような構成とされる磁性部材23は、図3に示すように、高さ方向(Z軸方向、嵌合方向と直交し且つ一対の車両側端子金具22の並び方向と直交する方向)について一対の車両側端子金具22側とは反対側を向くとともに車両側フード部21bに対して対向する一対の外面がそれぞれ磁極となっており、一方の外面がN極面27とされるのに対し、他方の外面がS極面28とされる。そして、磁性部材23は、図3に示す下側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側とは反対側)の外面がN極面27となり、同図上側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側)の外面がS極面28となる姿勢で切欠部29に対して嵌め込まれている。この磁性部材23におけるN極面27からS極面28に向かう磁力線MLには、図10に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAを通るとともに端子磁力線TMLと同じ側に向かう内側磁力線(第1磁力線)ML1と、内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通るとともに端子磁力線TMLとは反対側に向かう外側磁力線(第2磁力線)ML2とが含まれている。これら内側磁力線ML1及び外側磁力線ML2は、磁性部材23のうち高さ方向についての上下の両外面から主に発生するものであるから、図11に示すように、前後方向についてはほぼ対称をなしている。なお、以下では磁力線MLに関して、内側磁力線については、符号を「ML1」とし、外側磁力線については、符号を「ML2」とする。
磁性部材23のN極面27及びS極面28は、図10に示すように、内側磁力線ML1が発生する内側磁力線発生面(第1磁力線発生面)30と、外側磁力線ML2が発生する外側磁力線発生面(第2磁力線発生面)31とに区分することが可能とされる。このうち、内側磁力線発生面30は、磁性部材23のうち、Y軸方向について一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAと重なり合う磁性部材本体23aに有されるのに対し、外側磁力線発生面31は、Y軸方向について一対の車両側端子金具22と重畳する各端子重畳部23bに有されている。つまり、磁性部材23におけるN極面27及びS極面28のうち、Y軸方向についての中央側の大部分が内側磁力線発生面30とされるのに対し、Y軸方向についての両端部が外側磁力線発生面31とされる。
上記したように磁性部材23における内側磁力線発生面30及び外側磁力線発生面31から内側磁力線ML1及び外側磁力線ML2が発生することで、図10に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAでは、端子磁力線TMLに同じ側に向かう内側磁力線ML1が追加されることで磁束密度が高められる(密になる)のに対し、外側領域OAでは、端子磁力線TMLとその反対側に向かう外側磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くされる(疎になる)。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、例えば充電中であるにも拘わらず、車両側コネクタ20から給電側コネクタ10が引き抜かれるとともに車両側端子金具22から給電側端子金具12が外されるのに伴い、両端子金具12,22間にアーク放電が発生した場合でも、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くなった内側領域IAから磁束密度が低くなった外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用することで消弧が図られるようになっている。もって、アーク放電によって一対の車両側端子金具22間が短絡される、いわゆるPN間短絡が発生する事態が生じ難くなる。
その上で、磁性部材23が一対の車両側端子金具22に対してそれぞれ対向する形で配されるとともに一対の車両側端子金具22間を仕切る仕切り壁21a2の一部を構成しているので、従来のようにコネクタハウジングに磁性部材を収容する収容室を設けるようにし、収容室を構成する周壁によって磁性部材を取り囲む構成とした場合に比べると、周壁を有さない分だけ磁性部材23の容積及び表面積がいずれも大きなものとなる。従って、磁性部材23による磁力がより強いものとなって、上記のようなアークをなす電子により大きなローレンツ力を作用させることができる。言い換えると、従来において磁性部材の容積及び表面積を大きく保つには、収容室を大型化せざるを得ないことから、収容室をなす周壁を含めた磁性部材の配置スペースが大きくなりがちとなるのに比べると、磁性部材23に係る配置スペースが小さなものとなって、車両側コネクタ20並びに充電コネクタCCの小型化に好適となる。特に、本実施形態に係る充電コネクタCCは、電気自動車の急速充電に用いられるものであり、取り扱う電圧値及び電流値が極めて大きなものとなっていることから、発生するアーク放電も強いものとなっていてPN間短絡が発生し易くなっているものの、上記したように容積及び表面積が十分に大きな磁性部材23を用いることで、アークをなす電子に大きなローレンツ力を作用させて消弧を図ることでPN間短絡の発生を効果的に抑制することができるとともに、磁性部材23に係る配置スペースを小さく保つことができる。
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用を説明する。車両のバッテリを充電するには、車両側コネクタ20に対して給電側コネクタ10を嵌合する作業を行う。図4及び図5に示す状態から、給電側コネクタ10における給電側フード部11bを、車両側コネクタ20における車両側端子収容部21aと車両側フード部21bとの間の空間に嵌め入れ、続いて給電側端子収容部11aの各タワー部13を、車両側端子収容部21aの各嵌合空間FS(各嵌合凹部24)内に嵌め入れる。嵌合途中では、車両側端子金具22の車両側接続部22aが、給電側端子金具12の給電側接続部12a内に差し込まれるとともに、各弾性接触片12a1が径方向について弾性的に拡開される。そして、両コネクタ10,20が正規深さまで嵌合されると、図6及び図7に示すように、各タワー部13が嵌合空間FSの奥深くまで嵌め込まれるとともに、車両側接続部22aの外周面に対して給電側接続部12aの各弾性接触片12a1が所定の接圧でもって弾性接触される。相互に電気的に接続された両端子金具12,22間に直流電流が流されることで、車両のバッテリの充電が図られる。
ここで、充電を行っている最中であるにも拘わらず、誤って給電側コネクタ10が車両側コネクタ20から引き抜かれるような事態が発生した場合には、図8及び図9に示すように、通電していた両端子金具12,22が引き離されることで、両端子金具12,22間にアークが発生し、このアークによって正極側の各端子金具12P,22Pと、負極側の各端子金具12N,22Nとが短絡させられる、いわゆるPN間短絡の発生が懸念される。特に、急速充電のように両端子金具12,22間を流される電圧値及び電流値が大きな場合には、PN間短絡がより発生し易い傾向にある。その点、本実施形態では、図10及び図11に示すように、車両側コネクタ20に磁性部材23が備えられ、磁性部材23における内側磁力線発生面30から発生する内側磁力線ML1が、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAにおいて、通電に伴って両端子金具12,22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かうのに対し、外側磁力線発生面31から発生する外側磁力線ML2が、内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ反対側に位置する外側領域OAにおいて、端子磁力線TMLとは反対側に向かうものとされるから、内側領域IAでは、端子磁力線TMLに同じ側に向かう内側磁力線ML1が追加されることで磁束密度が高められるのに対し、外側領域OAでは、端子磁力線TMLとその反対側に向かう外側磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くされる。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、上記したように両端子金具12,22間にアークが発生した場合でも、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くなった内側領域IAから磁束密度が低くなった外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用する。このローレンツ力は、N極面27とS極面28との並び方向である高さ方向と直交する幅方向、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向に沿って内側領域IAから外側領域OAへ向けて作用するので、一対の車両側端子金具22においてそれぞれアークが発生していても、各アークが互いに正反対となる方向に引き離されることになる。従って、一対の車両側端子金具22において発生したアーク同士が繋がって生じるPN間短絡を効果的に抑制または防止することができる。
以上説明したように本実施形態の車両側コネクタ(コネクタ)20は、給電側コネクタ(相手コネクタ)10に対して嵌合される車両側ハウジング(コネクタハウジング)21と、車両側ハウジング21に収容され、給電側コネクタ10との嵌合方向と直交する方向について離間した位置にそれぞれ配されるとともに、給電側コネクタ10に対して接続されることで通電される一対の車両側端子金具(端子金具)22と、一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かう内側磁力線ML1と、一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側に向かう外側磁力線ML2との少なくともいずれか一方を発生させる磁性部材23であって、一対の車両側端子金具22に対してそれぞれ対向する形で配されるとともに一対の車両側端子金具22間を仕切る仕切り壁21a2を構成する磁性部材23と、を備える。
このようにすれば、給電側コネクタ10に対して車両側ハウジング21が嵌合された状態では、一対の車両側端子金具22が給電側コネクタ10に対して接続されることで通電される。仮に通電状態にも拘わらず、給電側コネクタ10から車両側ハウジング21が離脱された場合には、給電側コネクタ10から一対の車両側端子金具22が外されるのに伴って給電側コネクタ10と車両側端子金具22との間にアークが発生し、そのアークによって一対の車両側端子金具22間が短絡させられることが懸念される。
その点、磁性部材23からは、一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かう内側磁力線ML1と、一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側に向かう外側磁力線ML2との少なくともいずれか一方が発生するものとされているので、内側領域IAでの磁束密度が相対的に高くなるとともに外側領域OAでの磁束密度が相対的に低くなる。このように内側領域IAと外側領域OAとに磁束密度の疎密に差が生じることで、給電側コネクタ10と車両側端子金具22との間にアークが発生したとしても、そのアークをなす電子には、磁束密度が相対的に高い内側領域IAから磁束密度が相対的に低い外側領域OAに向かうローレンツ力が作用することで消弧が図られ、もってアークによって一対の車両側端子金具22間が短絡させられる事態が生じ難くなる。
その上で、磁性部材23が一対の車両側端子金具22に対してそれぞれ対向する形で配されるとともに一対の車両側端子金具22間を仕切る仕切り壁21a2を構成しているので、従来のようにコネクタハウジングに磁性部材を収容する収容室を設けるようにし、収容室を構成する周壁によって磁性部材を取り囲む構成とした場合に比べると、周壁を有さない分だけ磁性部材23の容積及び表面積がいずれも大きなものとなる。従って、磁性部材23による磁力がより強いものとなって、アークをなす電子により大きなローレンツ力を作用させることができる。言い換えると、従来において磁性部材の容積及び表面積を大きく保つには、収容室を大型化せざるを得ないことから、収容室をなす周壁を含めた磁性部材の配置スペースが大きくなりがちとなるのに比べると、磁性部材23に係る配置スペースが小さなものとなって、小型化に好適となる。本実施形態によれば、小型に保ちつつもアークの発生に伴う不具合を生じ難くすることができる。
また、磁性部材23は、内側磁力線ML1を発生させる内側磁力線発生面30と、外側磁力線ML2を発生させる外側磁力線発生面31とを有している。このようにすれば、磁性部材23は、内側磁力線発生面30から一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側に向かう内側磁力線ML1を発生させるとともに、外側磁力線発生面31から一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側に向かう外側磁力線ML2を発生させているので、内側領域IAでは端子磁力線TMLに内側磁力線ML1が加わることで磁束密度が高くなるのに対して、外側領域OAでは端子磁力線TMLと外側磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くなる。つまり、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、給電側コネクタ10と車両側端子金具22との間にアークが発生したとしても、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くされた内側領域IAから磁束密度が低くされた外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用することで消弧が図られ、もってアークによって一対の車両側端子金具22間が短絡させられる事態が生じ難くなる。
また、磁性部材23は、一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAと重なり合う形で配されるとともに内側磁力線発生面30を有する磁性部材本体23aと、並び方向について一対の車両側端子金具22と重なり合う形で配されるとともに外側磁力線発生面31を有する端子重畳部23bとを少なくとも備えている。このようにすれば、磁性部材23のうち、一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAと重なり合う形で配される磁性部材本体23aが有する内側磁力線発生面30からは、内側領域IAにおいて端子磁力線TMLと同じ側に向かう内側磁力線ML1が発生されるのに対し、一対の車両側端子金具22の並び方向について一対の車両側端子金具22と重なり合う形で配される端子重畳部23bが有する外側磁力線発生面31からは、外側領域OAにおいて端子磁力線TMLとは反対側に向かう外側磁力線ML2が発生されることで、内側領域IAと外側領域OAとで磁束密度の疎密に大きな差を生じさせることができ、もってアークの発生に伴う不具合を好適に生じ難くすることができる。
また、磁性部材23は、その表面が絶縁材料からなる絶縁膜によって被覆されている。このようにすれば、一対の車両側端子金具22間を仕切る仕切り壁21a2を構成する磁性部材23の表面に絶縁材料からなる絶縁膜が被覆されるので、一対の車両側端子金具22間の絶縁性が高められる。また、磁性部材23の機械的な強度が高められて破損などが生じ難くなる。
また、磁性部材23は、車両側ハウジング21に対して着脱可能に取り付けられている。このようにすれば、例えば磁性部材23に金属粉などが付着した場合でも、車両側ハウジング21から磁性部材23を取り外してメンテナンス作業を容易に行うことができるので、メンテナンス性に優れる。
また、磁性部材23は、永久磁石からなる。このようにすれば、仮に、磁性部材23を電磁石とした場合に比べると、電磁石用の回路などが不要となるので、小型化や低コスト化などの面で優れる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図12から図15によって説明する。この実施形態2では、磁性部材123の設置数などを変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る車両側コネクタ120には、図12及び図13に示すように、一対の磁性部材123が着脱可能な形で取り付けられている。一対の磁性部材123は、互いに背中合わせとなるよう配されるとともに図12及び図13に示す上下対称形状をなしており、Z軸方向について互いに近づくに連れて次第に幅寸法(横幅)が減少して互いに対向する端部において最小とされる。言い換えると、一対の磁性部材123は、Z軸方向について互いに遠ざかるに連れて次第に幅寸法が増加して互いに対向する側の端部とは反対側の端部(各図の上端部または下端部)において最大となるよう、裾広がり状をなしている。このように、一対の磁性部材123は、上記した実施形態1に記載した磁性部材23におけるZ軸方向についての中央部をY軸方向に沿って2つに分割したような形状とされる(図3を参照)。一対の磁性部材123は、図14に示すように、それぞれY軸方向(一対の車両側端子金具122の並び方向)について内側領域IAと重なり合う形で配される磁性部材本体123aと、Y軸方向について一対の車両側端子金具122と重なり合う形で配される端子重畳部123bとを有してなる。
車両側コネクタ120を構成する車両側ハウジング121における車両側端子収容部121aには、図12及び図13に示すように、一対の磁性部材123を取り付け可能な切欠部129が一対形成されている。一対の切欠部129は、車両側端子収容部121aを構成する端子周壁121a1の前側部分のうち仕切り壁121a2が連ねられるY軸方向についての中央側部分と、仕切り壁121a2の前側部分のうちZ軸方向についての中央部を除いた部分とを切り欠くことで形成されている。これにより、仕切り壁121a2の前側部分におけるZ軸方向についての中央部は、一対の切欠部129間を仕切る、つまり装着される一対の磁性部材123間を仕切る磁性部材仕切り壁21a3として残存することになる。このように本実施形態に係る切欠部129は、磁性部材仕切り壁21a3を残存させた点を除いて上記した実施形態1に記載した切欠部29と同様の構造とされる(図3を参照)。一対の磁性部材123は、端子周壁121a1のうち仕切り壁121a2に連なる中央側部分と、仕切り壁121a2とにおける前側部分に代替する形で各切欠部129に嵌め込まれるとともに、磁性部材仕切り壁21a3によって仕切られる。この磁性部材仕切り壁21a3は、各磁性部材123を各切欠部129に対して着脱する際の着脱動作をガイドすることが可能とされる。
一対の磁性部材123は、図14及び図15に示すように、前後の端面が磁極となっており、一方の端面がN極面127とされるのに対し、他方の端面がS極面128とされる。そして、一対の切欠部129のうち、図14及び図15に示す上側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側)の切欠部129に収容される磁性部材123は、S極面128が前面となり、N極面127が後面となる姿勢とされるのに対し、図14及び図15に示す下側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側とは反対側)の切欠部129に収容される磁性部材123は、N極面127が前面となり、S極面128が後面となる姿勢とされる。なお、以下では一対の磁性部材123を区別する場合には、N極面127が前面となるものを「前面N極磁性部材」としてその符号に添え字Nを、S極面128が前面となるものを「前面S極磁性部材」としてその符号に添え字Sを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。このような構成では、図15に示すように、一対の磁性部材123における各極面127,128間を行き交う形で磁力線MLが発生するのであるが、このうち前面N極磁性部材123NのN極面127から前面S極磁性部材123SのS極面128に向かう磁力線MLについては、図14に示すように、一対の車両側端子金具122間に挟まれた内側領域IAを通るものが、端子磁力線TMLと同じ側に向かう内側磁力線ML1とされるのに対し、内側領域IAに対して車両側端子金具122を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通るものが、端子磁力線TMLとは反対側に向かう外側磁力線ML2とされている。これら内側磁力線ML1及び外側磁力線ML2は、図15に示すように、各磁性部材123の前面から主に発生するものであるから、その大部分が車両側端子金具122よりも前側に存在するものとされる。
前面N極磁性部材123NのN極面127及び前面S極磁性部材123SのS極面128は、図14に示すように、内側磁力線ML1が発生する内側磁力線発生面130と、外側磁力線ML2が発生する外側磁力線発生面131とに区分することが可能とされる。このうち、内側磁力線発生面130は、各磁性部材123N,123Sのうち、Y軸方向について一対の車両側端子金具122間に挟まれた内側領域IAと重なり合う磁性部材本体123aに有されるのに対し、外側磁力線発生面131は、Y軸方向について一対の車両側端子金具122と重畳する各端子重畳部123bに有されている。このように一対の磁性部材123N,123Sにおける内側磁力線発生面130及び外側磁力線発生面131から内側磁力線ML1及び外側磁力線ML2が発生することで、図14に示すように、一対の車両側端子金具122間に挟まれた内側領域IAでは、端子磁力線TMLに同じ側に向かう内側磁力線ML1が追加されることで磁束密度が高められる(密になる)のに対し、外側領域OAでは、端子磁力線TMLとその反対側に向かう外側磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くされる(疎になる)。しかも、内側磁力線ML1及び外側磁力線ML2は、図15に示すように、各磁性部材123N,123Sの前面から主に発生し、その大部分が車両側端子金具122よりも前側、つまり両コネクタ110,120を通電中にも拘わらず離脱した場合に生じるアーク放電の発生箇所により近い位置に存在することになるから、アークに含まれる電子により大きなローレンツ力を作用させることができ、アークに伴う不具合の抑制または防止を図る上で一層好適となる。
以上説明したように本実施形態によれば、磁性部材123は、嵌合方向と直交し且つ一対の車両側端子金具122の並び方向と直交する方向について一対の車両側端子金具122に近づく方向に向けて並び方向についての寸法が小さくなる形状とされるとともに、嵌合方向及び並び方向の双方と直交する方向について並ぶ形で少なくとも一対に分割されている。上記した実施形態1のように磁性部材23を1部品で構成した場合には、嵌合方向及び並び方向の双方と直交する方向について一対の車両側端子金具22に最も近い部位が並び方向についての寸法が最も小さくなるよう括れた形状となるため、その括れた部分に破損などが生じることが懸念される。その点、上記したように磁性部材123は、嵌合方向及び並び方向の双方と直交する方向について並ぶ形で少なくとも一対に分割されているので、破損などが生じ難いものとなっている。
また、磁性部材123は、嵌合方向についての前面が、内側磁力線ML1と外側磁力線ML2との少なくともいずれか一方を発生させる磁力線発生面130,131とされる。このようにすれば、上記した実施形態1のように磁性部材23における外周面を磁力線発生面30,31とした場合に比べると、内側磁力線ML1と外側磁力線ML2との少なくともいずれか一方の及ぶ範囲が嵌合方向について前側により広くなるので、給電側コネクタ110から車両側端子金具122が外れるのに伴って生じるアークにより近い位置において内側磁力線ML1と外側磁力線ML2との少なくともいずれか一方による磁界を発生させることができ、もってアークに伴う不具合がより生じ難くなる。
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図16によって説明する。この実施形態3では、給電側コネクタ210側に磁性部材223を設置したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態では、通常充電用コネクタと急速充電用コネクタとを分離したCHAdeMO(登録商標)方式に適合した急速充電用コネクタを構成する給電側コネクタ210について例示する。この給電側コネクタ210は、図示しない車両側コネクタと嵌合接続される嵌合接続部32と、作業者が把持する把持部33とを有する給電側ハウジング211を備える。嵌合接続部32には、図16に示すように、幅方向(Y軸方向)に沿って一対の電力用端子金具34が並んで配されているのに対し、高さ方向(Z軸方向)に沿って2組の信号用端子金具35群が並んで配されている。このうち、電力用端子金具34は、上記した実施形態1に記載した車両側端子金具22と同様の構成を有しており、嵌合接続部32に形成された第1嵌合凹部32a内に突き出す形で配されている。なお、第1嵌合凹部32aは、上記した実施形態1に記載した嵌合凹部24と同様の構成である。一対の電力用端子金具34のうち、図16に示す右側のものが正極側の電力用端子金具34Pとされるのに対し、同図左側のものが負極側の電力用端子金具34Nとされる。これら一対の電力用端子金具34を通電したときに発生する端子磁力線は、上記した実施形態1に記載したものと同様であり(図10を参照)、一対の電力用端子金具34間に挟まれた内側領域IAを通るものが図16に示す上向きとなるのに対し、内側領域IAに対して電力用端子金具34を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通るものが同図下向きとなる。
信号用端子金具35群は、4本の信号用端子金具35により構成されており、4本の信号用端子金具35は、電力用端子金具34に比べると小型のピン状をなすとともに、嵌合接続部32に形成された第2嵌合凹部32b内に突き出す形でそれぞれ配されている。また、第2嵌合凹部32bは、上記した実施形態1に記載した嵌合凹部24と概ね同様の構成であるが、4本の信号用端子金具35間を仕切る略十字形の仕切り壁32b1を有している。一対の電力用端子金具34は、高さ方向について2組の信号用端子金具35群間の中央位置に配されているのに対し、2組の信号用端子金具35群は、幅方向について一対の電力用端子金具34間の中央位置に配されている。上記した第1嵌合凹部32a及び第2嵌合凹部32bには、図示しない車両側コネクタが嵌合可能とされる。さらには、嵌合接続部32は、Y軸方向に沿って並んだ一対の第1嵌合凹部32a間(一対の電力用端子金具34間)を仕切るとともに、Z軸方向に沿って並んだ一対の第2嵌合凹部32b間(2組の信号用端子金具35群間)を仕切る仕切り壁32cを有している。仕切り壁32cは、Z軸方向についての両端部から中央部に近づくに連れて次第に厚み(幅寸法)が減少し、中央部において厚みが最小となるよう括れた形状とされる。言い換えると、仕切り壁32cは、Z軸方向についての中央部から両端部に近づくに連れて次第に厚み(幅寸法)が増加し、両端部において厚みがそれぞれ最大となるよう裾広がり状をなしている。
磁性部材223は、給電側ハウジング211を構成する嵌合接続部32のうち、一対の電力用端子金具34間を仕切る仕切り壁32cの一部(前側部分)を構成するとともに、一対の電力用端子金具34に対してそれぞれ対向する形で配されている。仕切り壁32cにおける前端部を含んだ前側部分には、磁性部材223を取り付けるための切欠部229が前方へ開口する形で切欠形成されている。磁性部材223は、Z軸方向についての両端部から中央部に近づくに連れて次第に幅寸法(横幅)が減少し、中央部において幅寸法が最小となるよう括れた形状とされる。言い換えると、磁性部材223は、Z軸方向についての中央部から両端部に近づくに連れて次第に幅寸法(横幅)が増加し、両端部において幅寸法がそれぞれ最大となるよう裾広がり状をなしている。つまり、磁性部材223は、正面から視た形状が仕切り壁32cに倣う形状となっており、その前側部分に代替する形で切欠部229に嵌め込まれている。なお、磁性部材223に係るその他の構成、作用及び効果は、上記した実施形態1に記載したものと概ね同様であり、重複する説明は割愛する。
以上説明したように本実施形態によれば、給電側ハウジング211及び一対の電力用端子金具34は、車両側コネクタが備えられる被充電機器である電気自動車を充電するための充電機器である給電設備に備えられている。このように、被充電機器である電気自動車を充電するための充電機器である給電設備に給電側ハウジング211及び一対の電力用端子金具34が備えられる構成では、充電中に車両側コネクタから給電側ハウジング211が離脱されたときに発生するアークによって一対の電力用端子金具34間がより短絡され易い傾向にあるものの、上記したように磁性部材223によってアークの消弧が図られることで、一対の電力用端子金具34間が短絡させられる事態が生じ難くなっている。
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図17によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態3から磁性部材323の設置数などを変更したものを示す。なお、上記した実施形態3と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る給電側コネクタ310には、図17に示すように、一対の磁性部材323が着脱可能な形で取り付けられている。一対の磁性部材323は、互いに背中合わせとなるよう配されるとともに図17に示す上下対称形状をなしており、Z軸方向について互いに近づくに連れて次第に幅寸法(横幅)が減少して互いに対向する端部において最小とされる。言い換えると、一対の磁性部材323は、Z軸方向について互いに遠ざかるに連れて次第に幅寸法が増加して互いに対向する側の端部とは反対側の端部(図17の上端部または下端部)において最大となるよう、裾広がり状をなしている。このように、一対の磁性部材323は、上記した実施形態3に記載した磁性部材223におけるZ軸方向についての中央部をY軸方向に沿って2つに分割したような形状とされる(図16を参照)。これに対し、給電側コネクタ310を構成する給電側ハウジング311における嵌合接続部32には、一対の磁性部材323を取り付け可能な切欠部329が一対形成されている。一対の切欠部329は、仕切り壁332cにおけるZ軸方向(高さ方向)についての中央部を残存させる形で形成されており、それにより一対の切欠部329に装着される一対の磁性部材323間を仕切る磁性部材仕切り壁332c1が形成されている。このように本実施形態に係る切欠部329は、磁性部材仕切り壁332c1を残存させた点を除いて上記した実施形態3に記載した切欠部229と同様の構造とされる(図16を参照)。この磁性部材仕切り壁332c1は、各磁性部材323を各切欠部329に対して着脱する際の着脱動作をガイドすることが可能とされる。
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図18によって説明する。この実施形態5では、上記した実施形態2から磁性部材423の形成範囲を変更したものを示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る一対の磁性部材423は、図18に示すように、Y軸方向(一対の車両側端子金具422の並び方向)についての形成範囲が上記した実施形態2に記載したものよりも拡張されている。具体的には、一対の磁性部材423は、一対の車両側端子金具422間に有される内側領域IAとY軸方向について重なり合う磁性部材本体423aから、Y軸方向に沿って外向きに張り出した部分の先端が各車両側端子金具422を超えた位置に達している。従って、磁性部材423は、磁性部材本体(内側端子非重畳部)423aと、各車両側端子金具422とY軸方向について重なり合う端子重畳部423bと、端子重畳部423bに対して外側(磁性部材本体423a側とは反対側)に配されるとともに各車両側端子金具422とY軸方向について重なり合わず非重畳とされる外側端子非重畳部23cとからなるものとされる。この端子重畳部423bは、車両側端子金具422におけるY軸方向についての全域に対して重なり合っている。そして、磁性部材423のうち、磁性部材本体423aは、内側磁力線を発生させる内側磁力線発生面430を有するのに対し、端子重畳部423b及び外側端子非重畳部23cは、外側磁力線を発生させる外側磁力線発生面431を有するものとされる。上記のように磁性部材423の形成範囲が変更されるのに伴い、磁性部材423が装着される一対の切欠部429の形成範囲も同様に変更されている。すなわち、一対の切欠部429は、車両側端子収容部421aの端子周壁421a1における前側部分のうち、Y軸方向についての両端部を除いた大部分を切り欠くことで形成されている。
<実施形態6>
本発明の実施形態6を図19によって説明する。この実施形態6では、上記した実施形態2から磁性部材523の形成範囲を変更したものを示す。なお、上記した実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る一対の磁性部材523は、図19に示すように、上下非対称となる形状とされている。詳しくは、一対の磁性部材523間を仕切る磁性部材仕切り壁521a3は、車両側端子金具522の中心に対してZ軸方向(嵌合方向及び一対の車両側端子金具522の並び方向と直交する方向)について上側に片寄った配置とされており、それに伴い図19に示す上側に配された前面S極磁性部材523Sが同図下側に配された前面N極磁性部材523NよりもZ軸方向についての形成範囲が狭くされている。図19に示す上側に配された前面S極磁性部材523Sは、車両側端子金具522に対してZ軸方向について重なり合わない配置とされる。これに対し、図19に示す下側に配された前面N極磁性部材523Nは、車両側端子金具522の全域に対してZ軸方向について重なり合う配置とされる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した各実施形態では、磁性部材が内側磁力線及び外側磁力線を共に発生させる構成(内側磁力線発生面及び外側磁力線発生面を共に有する構成)のものを示したが、内側磁力線のみを発生させる構成(内側磁力線発生面のみを有する構成)の磁性部材や、外側磁力線のみを発生させる構成(外側磁力線発生面のみを有する構成)の磁性部材を用いることも可能である。
(2)上記した各実施形態以外にも、磁性部材におけるY軸方向(磁性部材により仕切られる各端子金具の並び方向)についての形成範囲は適宜に変更可能であり、それに伴い、磁性部材の端子重畳部と、車両側端子金具(電力用端子金具)との具体的な重なり量は適宜に変更可能である。
(3)上記した各実施形態以外にも、磁性部材におけるZ軸方向(嵌合方向及び磁性部材により仕切られる各端子金具の並び方向と直交する方向)についての形成範囲は適宜に変更可能であり、それに伴い、磁性部材の磁性部材本体と、車両側端子金具(電力用端子金具)との具体的な重なり量は適宜に変更可能である。
(4)上記した各実施形態では、磁性部材の周面と、車両側端子収容部の周面とが面一状をなす構成を例示したが、磁性部材の周面と、車両側端子収容部の周面との間に段差が生じるような構成であっても構わない。具体的には、磁性部材の周面が車両側端子収容部の周面よりも外側に引っ込む態様とされるものや、磁性部材の周面が車両側端子収容部の周面よりも内側に出っ張る態様とされるものも本発明に含まれる。その場合、磁性部材の周面における一部のみが磁性部材の周面における一部に対して段差を生じさせるものの、磁性部材の周面における他の部分は磁性部材の周面における他の部分に対してほぼ面一状をなす構成であっても構わない。
(5)上記した実施形態1では、1部品構成とされた磁性部材として正面から視て上下対称となる形状のものを示したが、1部品構成とされた磁性部材として正面から視て上下非対称形状とされたものを用いることも可能である。例えば、正面から視て上下一対の端子重畳部におけるY軸方向についての寸法が互いに異なる構成であっても構わない。
(6)上記した各実施形態では、磁性部材として正面から視て左右対称となる形状のものを示したが、磁性部材として正面から視て左右非対称形状とされたものを用いることも可能である。例えば、磁性部材本体を挟んで対をなす形で配された端子重畳部におけるY軸方向についての寸法が互いに異なる構成であっても構わない。
(7)上記した各実施形態では、磁性部材の表面を絶縁材料からなる絶縁膜によって被覆するようにしたものを示したが、磁性部材の表面を絶縁膜によって被覆しない構成とすることも可能である。
(8)上記した各実施形態以外にも、磁性部材をネジなどの部材を用いることで車両側ハウジング(給電側ハウジング)に対して着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
(9)上記した各実施形態では、磁性部材が車両側ハウジング(給電側ハウジング)に対して着脱可能に取り付けられるものを示したが、磁性部材が車両側ハウジング(給電側ハウジング)に対して取り外し不能な状態で取り付けられるものも本発明に含まれる。
(10)上記した実施形態2,4の変形例として、一対の磁性部材におけるZ軸方向(嵌合方向と直交し且つ一対の車両側端子金具(電力用端子金具)の並び方向と直交する方向)について一対の車両側端子金具(電力用端子金具)側とは反対側を向く一対の外面を、それぞれS極面またはN極面とすることも可能である。
(11)上記した実施形態2,4では、磁性部材を一対とした場合を示したが、例えば一対の磁性部材をそれぞれ左右に2分割して、合計4つの磁性部材を用いる構成とすることも可能である。それ以外にも磁性部材の設置数は適宜に変更可能である。
(12)上記した実施形態5,6に記載した構成を、実施形態1,3,4に記載した構成に組み合わせて適用することも勿論可能である。
(13)上記した実施形態5では、磁性部材が車両側端子金具(電力用端子金具)とY軸方向について重なり合わず非重畳とされる外側端子非重畳部を有する構成としたものを示したが、磁性部材におけるY軸方向についての形成範囲を変更し、磁性部材が外側端子非重畳部を有さないものの、車両側端子金具(電力用端子金具)におけるY軸方向についての全域に対して重なり合う端子重畳部を有する構成とすることも可能である。それ以外にも、磁性部材におけるY軸方向についての形成範囲は適宜に変更可能である。
(14)上記した実施形態6のさらなる変形例として、一対の磁性部材間を仕切る磁性部材仕切り壁が車両側端子金具に対してZ軸方向について下側に片寄った配置とされるものも本発明に含まれる。
(15)上記した実施形態6では、一対の磁性部材におけるZ軸方向についての寸法が互いに異なる構成とされたものを示したが、例えば、一対の磁性部材におけるX軸方向についての寸法が互いに異なる構成であっても構わない。また、一対の磁性部材におけるY軸方向についての寸法が互いに異なる構成であっても構わない。
(16)上記した各実施形態以外にも、磁性部材における正面から視た具体的な形状は、適宜に変更可能である。
(17)上記した各実施形態(実施形態3,4を除く)では、「Combined Charging System(コンボ方式)」に適合した充電コネクタにおいて車両側コネクタ側に磁性部材を配置したものを示したが、同充電コネクタにおいて給電側コネクタ側に磁性部材を配置することも可能である。また、車両側コネクタ側に磁性部材を配置するとともに、給電側コネクタ側にも磁性部材を配置することが可能である。
(18)上記した実施形態3,4では、CHAdeMO(登録商標)方式に適合した充電コネクタにおいて給電側コネクタ側に磁性部材を配置したものを示したが、同充電コネクタにおいて車両側コネクタ側に磁性部材を配置することも可能である。また、車両側コネクタ側に磁性部材を配置するとともに、給電側コネクタ側にも磁性部材を配置することが可能である。
(19)上記した各実施形態では、外側磁力線が内側領域に対して外側に存在する一対の外側領域の双方において作用する磁界を発生させる磁性部材を用いたものを示したが、外側磁力線が片方の外側領域においてのみ作用する磁界を発生させる磁性部材を用いることも可能である。
(20)上記した各実施形態以外にも、正極側の車両側端子金具(電力用端子金具)と、負極側の車両側端子金具(電力用端子金具)との配置を逆転させることも可能である。その場合は、磁性部材におけるN極面及びS極面の配置も逆転させればよい。
(21)上記した各実施形態以外にも、正極側の車両側端子金具(電力用端子金具)と、負極側の車両側端子金具(電力用端子金具)とがZ軸方向に沿って上下に並ぶ配置とすることも可能である。その場合は、N極面とS極面とがY軸方向に沿って左右に並ぶよう磁性部材の配置を変更すればよい。
(22)上記した各実施形態では、磁性部材の並び方向と、一対の車両側端子金具(電力用端子金具)の並び方向とが互いに直交する位置関係のものを示したが、磁性部材の並び方向と、一対の車両側端子金具(電力用端子金具)の並び方向とが直交せずに交差する(90度以外の角度で交差する)位置関係とされるものも本発明に含まれる。
(23)上記した各実施形態では、磁性部材として永久磁石を用いた場合を示したが、磁性部材として電磁石を使用することも可能である。
とも可能である。
(24)上記した各実施形態では、急速充電用のコネクタについて例示したが、通常充電用のコネクタにも本発明は同様に適用可能である。
10,110…給電側コネクタ(相手コネクタ)、20,120…車両側コネクタ(コネクタ)、21,121…車両側ハウジング(コネクタハウジング)、21a2,121a2…仕切り壁、22,122,422,522…車両側端子金具(端子金具)、23,123,223,323,423,523…磁性部材、23a,123a,423a…磁性部材本体、23b,123b,423b…端子重畳部、30,130,430…内側磁力線発生面(磁力線発生面)、31,131,431…外側磁力線発生面(磁力線発生面)、32c,332c…仕切り壁、34…電力用端子金具(端子金具)、127…N極面(前面)、128…S極面(前面)、210,310…給電側コネクタ(コネクタ)、211,311…給電側ハウジング(コネクタハウジング)、IA…内側領域、ML1…内側磁力線、ML2…外側磁力線、OA…外側領域、TML…端子磁力線

Claims (9)

  1. 相手コネクタに対して嵌合されるコネクタハウジングと、
    前記コネクタハウジングに収容され、前記相手コネクタとの嵌合方向と直交する方向について離間した位置にそれぞれ配されるとともに、前記相手コネクタに対して接続されることで通電される一対の端子金具と、
    前記一対の端子金具の間に挟まれた内側領域を通り且つ通電に伴って前記端子金具の軸線周りに発生する端子磁力線と同じ側に向かう内側磁力線と、前記一対の端子金具の並び方向について前記内側領域に対して前記端子金具を挟んだ外側に位置する外側領域を通り且つ前記端子磁力線とは反対側に向かう外側磁力線との少なくともいずれか一方を発生させる磁性部材であって、前記一対の端子金具に対してそれぞれ対向する形で配されるとともに前記一対の端子金具間を仕切る仕切り壁を構成する磁性部材と、を備えるコネクタ。
  2. 前記磁性部材は、前記内側磁力線を発生させる内側磁力線発生面と、前記外側磁力線を発生させる外側磁力線発生面とを有している請求項1記載のコネクタ。
  3. 前記磁性部材は、前記一対の端子金具の並び方向について前記内側領域と重なり合う形で配されるとともに前記内側磁力線発生面を有する磁性部材本体と、前記並び方向について前記一対の端子金具と重なり合う形で配されるとともに前記外側磁力線発生面を有する端子重畳部とを少なくとも備えている請求項2記載のコネクタ。
  4. 前記磁性部材は、前記嵌合方向と直交し且つ前記一対の端子金具の並び方向と直交する方向について前記一対の端子金具に近づく方向に向けて前記並び方向についての寸法が小さくなる形状とされるとともに、前記嵌合方向及び前記並び方向の双方と直交する方向について並ぶ形で少なくとも一対に分割されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
  5. 前記磁性部材は、前記嵌合方向についての前面が、前記内側磁力線と前記外側磁力線との少なくともいずれか一方を発生させる磁力線発生面とされる請求項4記載のコネクタ。
  6. 前記磁性部材は、その表面が絶縁材料からなる絶縁膜によって被覆されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
  7. 前記磁性部材は、前記コネクタハウジングに対して着脱可能に取り付けられている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコネクタ。
  8. 前記コネクタハウジング及び前記一対の端子金具は、前記相手コネクタを備える被充電機器を充電するための充電機器に備えられている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコネクタ。
  9. 前記磁性部材は、永久磁石からなる請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコネクタ。
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