<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図18によって説明する。この実施形態1では、電気自動車の車両に搭載された二次電池からなるバッテリを充電するために用いられる充電コネクタ(コネクタ)CCについて例示する。この充電コネクタCCは、図1に示すように、給電設備(充電機器)側に配される給電側コネクタ(他方のコネクタ、充電側コネクタ)10と、電気自動車の車両(被充電機器)側に配される車両側コネクタ(一方のコネクタ、被充電側コネクタ)20とからなり、両コネクタ10,20が嵌合接続されることで車両のバッテリが充電されるようになっている。本実施形態では、通常充電部及び急速充電部を併有してなる「Combined Charging System(コンボ方式)」に適合した充電コネクタのうちの急速充電部のみを「充電コネクタCC」としている。この充電コネクタCCは、車両のバッテリを短時間で一定程度(例えば80%程度)まで充電することが可能な急速充電部であるため、例えば直流で250A程度の大電流を取り扱うものとされる。
なお、以下では、前後の記載について両コネクタ10,20の嵌合方向を基準とし、両コネクタ10,20における嵌合面側を前側とし、その反対側を後側とする。また、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれており、具体的にはX軸方向が両コネクタ10,20の嵌合方向と、Y軸方向が両コネクタ10,20の幅方向と、Z軸方向が両コネクタ10,20の高さ方向とそれぞれ一致している。
先に、給電側コネクタ10について説明する。給電側コネクタ10は、図4に示すように、給電側ハウジング(他方のコネクタハウジング)11と、給電側ハウジング11に収容される一対の給電側端子金具(他方の端子金具)12とを少なくとも備えている。給電側ハウジング11は、合成樹脂製とされており、給電側端子金具12を収容するとともに略ブロック状をなす給電側端子収容部11aと、給電側端子収容部11aの外縁から前方に向けて突出するとともに略筒状をなす給電側フード部11bとからなるものとされる。
給電側端子収容部11aには、図4に示すように、給電側端子金具12を後方から挿入可能な給電側キャビティ11a1が一対形成されている。給電側キャビティ11a1は、給電側端子収容部11aを嵌合方向(X軸方向)に沿って前後に貫通する形で形成されており、幅方向(Y軸方向)に沿って所定の間隔を空けた位置に並んで配されている。給電側端子収容部11aは、給電側フード部11b内に突き出す部分が一対の給電側端子金具12に対応付けて分けられており、一対のタワー部13を有している。一対のタワー部13は、共に略円筒状をなしており、幅方向に沿って中央側に所定の間隔を空けた形で並んで配されている。給電側端子収容部11aのうち、タワー部13よりも後側のブロック状をなす部分は、一対の給電側キャビティ11a1(給電側端子金具12)間を仕切る隔壁(仕切り壁)11a2を有している。給電側フード部11bは、正面から視て(嵌合方向に沿う方向から視て)横長な長円形状をなす筒体からなるものとされており、給電側端子収容部11aにおける一対のタワー部13を、間に所定の間隔を空けつつ一括して外側から取り囲む形で配されている。給電側フード部11bと一対のタワー部13との間に有される、正面から視て横長な略円環状をなす空間には、後述する車両側コネクタ20が有する車両側フード部21bが嵌合可能とされる。
給電側端子金具12は、金属製とされており、図4に示すように、軸線方向(長さ方向)が嵌合方向と一致するとともに、その前側部分が車両側端子金具22に接続される給電側接続部12aとされるのに対し、後側部分が図示しない電力ケーブル(電線)に接続されるケーブル接続部12bとされる。給電側接続部12aは、全体として嵌合方向に沿って延在する略円筒状をなすとともに、その周方向について所定の角度間隔を空けた位置にスリットが複数入れられることで、複数の弾性接触片12a1を有している。弾性接触片12a1は、嵌合方向に沿って延在するとともに後端側が基端、前端側が自由端とされた片持ち梁状をなしており、基端を支点として給電側接続部12aの径方向に沿って弾性変形することが可能とされる。従って、両コネクタ10,20の嵌合に伴って、給電側接続部12aの内側に有される空間に車両側端子金具22が挿入されると、各弾性接触片12a1が車両側端子金具22に対して弾性接触しつつ径方向に沿って外向きに拡開変形されるようになっている。弾性接触片12a1は、例えば8本が給電側接続部12aの周方向に沿ってほぼ等角度間隔に並んでいる。一対の給電側端子金具12は、給電側端子収容部11aの各給電側キャビティ11a1に個別に収容されることで、各タワー部13をなす周壁によってそれぞれ周りが取り囲まれる。従って、一対の給電側端子金具12の並び方向は、幅方向(Y軸方向)と一致している。一対の給電側端子金具12のうち、図4に示す奥側のものが正極側とされるのに対し、同図に示す手前側のものが負極側とされる。
次に、車両側コネクタ20について説明する。車両側コネクタ20は、図2に示すように、車両側ハウジング(一方のコネクタハウジング)21と、車両側ハウジング21に収容される一対の車両側端子金具(一方の端子金具)22とを少なくとも備えている。車両側ハウジング21は、合成樹脂製とされており、図2及び図3に示すように、車両側端子金具22を収容するとともに略ブロック状をなす車両側端子収容部21aと、車両側端子収容部21aの外縁から前方に向けて突出するとともに略筒状をなす車両側フード部21bとからなるものとされる。
車両側端子収容部21aは、図3に示すように、正面から視て横長な長円形状をなすブロック体からなるものとされている。車両側端子収容部21aには、図3及び図4に示すように、給電側コネクタ10が有する一対のタワー部13を嵌合可能な嵌合凹部24が一対、前方に開口する形で形成されている。一対の嵌合凹部24は、それぞれ正面から視て略円形状をなしており、車両側端子収容部21aにおいて幅方向(Y軸方向)について中央側に所定の間隔を空けた両端寄りの位置に配されている。一対の嵌合凹部24の間には、車両側端子収容部21aを構成する隔壁(仕切り壁)21a1が配されており、この隔壁21a1によって一対の嵌合凹部24(後述する一対の嵌合空間FS及び一対の車両側端子金具22)が仕切られている。隔壁21a1は、高さ方向(Z軸方向)についての中央側から高さ方向の両端側(図3に示す上下両端側)に向かうに連れてそれぞれ次第に厚み(幅寸法)が増す形状とされており、後述する一対の車両側端子金具22と対向する両側面が円弧状をなしている。車両側端子収容部21aにおける奥壁部には、車両側端子金具22を貫通させるための端子挿通孔25が、嵌合凹部24に連通する形で開口形成されている。従って、端子挿通孔25に挿通された車両側端子金具22は、嵌合凹部24内に突き出した形で配されるものとされ、その周りにタワー部13が前方から嵌合可能とされる嵌合空間FSが有されている。この嵌合空間FSは、車両側端子金具22(車両側接続部22a)の外周面と、車両側端子収容部21aにおける嵌合凹部24の内周面との間に有されるものであり、正面から視て円環状をなしている。車両側フード部21bは、正面から視て横長な長円形状をなす筒体からなるものとされており、車両側端子収容部21aを、間に所定の間隔を空けつつ外側から取り囲む形で配されている。車両側フード部21bと車両側端子収容部21aとの間に有される、正面から視て横長な略円環状をなす空間には、給電側コネクタ10が有する給電側フード部11bが嵌合可能とされる。
車両側端子金具22は、金属製とされており、図2及び図4に示すように、軸線方向(長さ方向)が嵌合方向と一致するとともに、その前側部分が給電側端子金具12に接続される車両側接続部22aとされるのに対し、後側部分が図示しない電力ケーブル(電線)に接続されるケーブル接続部22bとされる。車両側接続部22aは、中実な略円柱状をなしており、その外周面に対して給電側端子金具12が有する複数の弾性接触片12a1が弾性接触可能とされる。車両側接続部22aの先端部には、絶縁性を有する合成樹脂製の安全キャップ26が取り付けられており、この安全キャップ26により作業者(使用者)が誤って金属製の車両側端子金具22に直接触れる事態が回避されるようになっている。車両側端子収容部21aにおける一対の端子挿通孔25にそれぞれ個別に挿通された一対の車両側端子金具22は、幅方向(Y軸方向)について中央側に配される車両側端子収容部21aの隔壁21a1によって相互に絶縁状態に保たれる。一対の車両側端子金具22の並び方向は、幅方向(Y軸方向)と一致している。一対の車両側端子金具22のうち、図4に示す奥側のものが正極側とされるのに対し、同図に示す手前側のものが負極側とされる。また、両コネクタ10,20における高さ方向(Z軸方向)は、両コネクタ10,20の嵌合方向(X軸方向)と直交し、且つ一対の車両側端子金具22の並び方向(Y軸方向)と直交している。なお、以下では給電側端子金具12及び車両側端子金具22に関して正極及び負極の極性を区別する場合には、正極側のものの符号に添え字Pを、負極側のものの符号に添え字Nを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
両コネクタ10,20が嵌合接続されて両端子金具12,22が通電されると、両端子金具12,22の軸線周りに磁界が発生し、その磁界を構成する端子磁力線TMLは、図7及び図8において相対的に細い一点鎖線により示される。なお、以下では端子磁力線TMLに関して、正極側の両端子金具12P,22Pの軸線周りに発生する端子磁力線については、符号を「TMLP」とし、負極側の両端子金具12N,22Nの軸線周りに発生する端子磁力線については、符号を「TMLN」とする。正極側の両端子金具12P,22Pの軸線周りに発生する端子磁力線TMLPは、図7では時計回り方向(図8では反時計回り方向)に向かうものとされるのに対し、負極側の両端子金具12N,22Nの軸線周りに発生する端子磁力線TMLNは、図7では反時計回り方向(図8では時計回り方向)に向かうものとされる。ここで、正極側の端子磁力線TMLP及び負極側の端子磁力線TMLNのうち、車両側コネクタ20において幅方向について一対の車両側端子金具22の間に有される内側領域IAを通る端子磁力線TMLN,TMLPは、いずれも図7及び図8に示す上向きとされるのに対し、内側領域IAに対して各車両側端子金具22を挟んで外側に配される一対の外側領域OAを通る端子磁力線TMLN,TMLPは、いずれも図7及び図8に示す下向きとされる。
さて、本実施形態に係る車両側コネクタ20には、両端子金具12,22が通電中にも拘わらず、車両側コネクタ20から給電側コネクタ10が離脱された場合に発生するアークに伴う不具合を軽減または解消すべく、図2に示すように、可動磁石23が一対備えられている。可動磁石23は、極めて強い磁力を有するネオジム磁石などの永久磁石からなるものとされる。可動磁石23は、嵌合方向(X軸方向)に沿って前後に延在する略四角柱状をなすとともにその前後の端面が磁極となっており、一方の端面がN極面27とされるのに対し、他方の端面がS極面28とされる。具体的には、可動磁石23は、正面から視て略正方形状をなしており、四隅の各角部に丸みが付されている。可動磁石23は、幅方向(Y軸方向)に沿った一対の第1辺と、高さ方向(Z軸方向)に沿った一対の第2辺とを有しており、各辺の寸法が互いにほぼ同じ大きさで且つ一対の車両側端子金具22の間の間隔(隔壁21a1の厚み)よりも小さなものとされる。また、可動磁石23には、その外周面の全域にわたって絶縁性を有する合成樹脂材(例えばアクリル樹脂材など)がコーティングされており、それにより絶縁性及び機械的な強度などが十分に確保されている。
車両側コネクタ20には、図2に示すように、上記のような構成の一対の可動磁石23に加えて、一対の圧縮コイルばね(付勢手段)32、一対の移動部材37及びガイド部材33が備えられている。圧縮コイルばね32は、非磁性材料であるステンレス(具体的には、例えばオーステナイト系ステンレス)からなるものとされており、その軸線方向が嵌合方向(X軸方向)と一致している。圧縮コイルばね32は、自然状態から軸線方向に沿って押し縮められると、元の自然状態に戻ろうと伸長しつつ付勢力(弾性復元力)を発揮することが可能とされる。なお、移動部材37及びガイド部材33については後に詳しく説明する。
これら可動磁石23及び圧縮コイルばね32は、図5に示すように、車両側ハウジング21を構成する車両側端子収容部21aに形成された可動磁石収容室29に収容されている。可動磁石収容室29は、車両側端子収容部21aのうち一対の車両側端子金具22を絶縁状態に隔てる隔壁21a1に形成されている。詳しくは、可動磁石収容室29は、隔壁21a1における前端部を残して車両側ハウジング21(車両側端子収容部21a)の後面に開口する形で形成されており、この残された前端部が前壁部29aを構成している。可動磁石収容室29は、車両側端子収容部21aにおいて可動磁石23の外形に倣って正面から視て略正方形状をなすとともに、嵌合方向に沿ってほぼ真っ直ぐに後方に向けて開口する略袋状をなしている。従って、可動磁石収容室29内に収容された可動磁石23は、移動に際して可動磁石23の外周面が可動磁石収容室29の内周面に摺接されることで、スムーズな移動動作が担保されるようになっている。可動磁石収容室29は、上記隔壁21a1において可動磁石23及び圧縮コイルばね32を個別に収容するよう、一対が高さ方向(Z軸方向)、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向と直交する方向について離間した位置に配されている。一対の可動磁石収容室29は、幅方向(Y軸方向)について一対の車両側端子金具22間のほぼ中央位置に配されている。また、一対の可動磁石収容室29は、高さ方向についての一対の可動磁石収容室29間の中央位置と、各車両側端子金具22の高さ位置とがほぼ一致するよう配されている。一対の可動磁石収容室29は、高さ方向についての全域が、車両側端子収容部21aにおける嵌合空間ISと高さ方向について重なり合うものの、車両側端子金具22とは高さ方向について重なり合わない位置に配されている。
上記のような構成の可動磁石収容室29には、図4から図6に示すように、可動磁石23が相対的に後側に位置し、圧縮コイルばね32が相対的に前側に位置するよう収容されている。圧縮コイルばね32は、嵌合方向について前壁部29aと可動磁石23との間に挟み込まれた配置とされ、その前端部が前壁部29aにより支持されるのに対し、その後端部が可動磁石23の前面により支持される。そして、可動磁石23は、可動磁石収容室29内において嵌合方向に沿って前後に移動可能とされている。具体的には、可動磁石23は、前壁部29aとの間の距離が相対的に小さい前進位置(図9から図11を参照)と、前進位置よりも後側であって前壁部29aとの間の距離が相対的に大きい後退位置(図4から図6を参照)との間を嵌合方向に沿って移動されるようになっており、後退位置においては、可動磁石23と前壁部29aとの間に可動磁石23における移動ストロークよりも大きな間隔(具体的には上記移動ストロークに、最大限に圧縮された状態の圧縮コイルばね32の長さ寸法を足し合わせた程度の間隔)が空けられるとともに、圧縮コイルばね32がほぼ自然状態とされるか、やや圧縮された状態とされる。つまり、可動磁石収容室29内において可動磁石23が後退位置から前方へ移動されると、圧縮コイルばね32は弾性的に圧縮されて可動磁石23を後退位置へと押し戻すような付勢力を蓄積しており、その付勢力の大きさは可動磁石23における後退位置からの移動距離にほぼ比例するようになっている。このように可動磁石23は、圧縮コイルばね32によって後退位置に至るよう常に付勢されるようになっているので、仮に圧縮コイルばねが用いられず、可動磁石が常に前進位置に配された場合に比べると、車両側コネクタ20が給電側コネクタ10と嵌合されていない状態において外部の金属粉などが可動磁石23の磁力によって引き寄せられて前壁部29aに付着する、といった事態が生じ難くなっている。
後退位置とされた可動磁石23は、図6に示すように、前面が車両側端子金具22の前端位置よりも前側に位置するのに対し、後面が車両側端子金具22の前端位置とほぼ同じ位置に配されている。一方、後退位置よりも前側の前進位置とされた可動磁石23は、図11に示すように、後面が車両側端子金具22の前端位置よりも前側に位置する。また、可動磁石23は、図10及び図11に示すように、圧縮コイルばね32を介して前壁部29aによって前進位置からの前止まりが図られている。一対の可動磁石23(一対の圧縮コイルばね32)は、図3に示すように、一対の可動磁石収容室29にそれぞれ収容されることで、高さ方向、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向と直交する方向について離間した位置に配されている。一対の可動磁石23は、幅方向について一対の車両側端子金具22間のほぼ中央位置に配されている。また、一対の可動磁石23は、高さ方向についての一対の可動磁石23間の中央位置と、各車両側端子金具22の高さ位置とがほぼ一致するよう配されている。一対の可動磁石23は、高さ方向についての全域が、車両側端子収容部21aにおける嵌合空間ISと高さ方向について重なり合うものの、車両側端子金具22とは高さ方向について重なり合わない位置に配されている。
そして、一対の可動磁石収容室29のうち、図3及び図5に示す上側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側)の可動磁石収容室29に収容される可動磁石23は、S極面28が前面となり、N極面27が後面となる姿勢とされるのに対し、図3及び図5に示す下側(内側領域IAにおいて端子磁力線TMLが向かう側とは反対側)の可動磁石収容室29に収容される可動磁石23は、N極面27が前面となり、S極面28が後面となる姿勢とされる。なお、以下では一対の可動磁石23を区別する場合には、S極面28が前面となり且つN極面27が後面となるものを「第1可動磁石」としてその符号にAを付し、N極面27が前面となり且つS極面28が後面となるものを「第2可動磁石」としてその符号に添え字Bを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
このような構成では、図7及び図8に示すように、一対の可動磁石23における各極面27,28間を行き交う形で磁力線MLが発生するのであるが、このうち第2可動磁石23Bの前面であるN極面27から第1可動磁石23Aの前面であるS極面28に向かう磁力線MLについては、図7に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAを通るものが、端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1内側磁力線ML1とされるのに対し、内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通るものが、端子磁力線TMLとは反対側に向かう第1外側磁力線ML2とされている。これら第1内側磁力線ML1及び第1外側磁力線ML2は、各可動磁石23の前面から主に発生するものであるから、その大部分が各可動磁石23の前後位置に拘わらず常に車両側端子金具22よりも前側に存在するものとされる(図13,図14,図16及び図17を参照)。一方、第1可動磁石23Aの後面であるN極面27から第2可動磁石23Bの後面であるS極面28に向かう磁力線MLについては、図8に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAを通るものが、端子磁力線TMLとは反対側に向かう第2内側磁力線ML3とされるのに対し、内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通るものが、端子磁力線TMLと同じ側に向かう第2外側磁力線ML4とされている。これら第2内側磁力線ML3及び第2外側磁力線ML4は、各可動磁石23の後面から主に発生するものであるから、その大部分が各可動磁石23が前進位置に配された状態では、車両側端子金具22よりも前側に存在するのに対し(図13及び図14を参照)、各可動磁石23が後退位置に配された状態では、車両側端子金具22よりも後側に存在するものとされる(図16及び図17を参照)。なお、以下では磁力線MLに関して、第1内側磁力線については、符号を「ML1」とし、第1外側磁力線については、符号を「ML2」とし、第2内側磁力線については、符号を「ML3」とし、第2外側磁力線については、符号を「ML4」とする。
第2可動磁石23BのN極面27及び第1可動磁石23AのS極面28は、図7に示すように、第1内側磁力線ML1が発生する第1内側磁力線発生面30と、第1外側磁力線ML2が発生する第1外側磁力線発生面31とに区分することが可能とされる。このうち、第1内側磁力線発生面30は、第2可動磁石23BのN極面27及び第1可動磁石23AのS極面28のうち、内側領域IAに臨む部分により構成されるのに対し、第1外側磁力線発生面31は、第2可動磁石23BのN極面27及び第1可動磁石23AのS極面28のうち、第1内側磁力線発生面30を除いた残りの部分により構成される。詳しくは、第1内側磁力線発生面30と第1外側磁力線発生面31とは、正面から視て、各可動磁石23A,23Bの中心MCと、各車両側端子金具22の中心TCとを結ぶ線分LSにより区分されており、これら4本の線分LSにより構成される菱形と重畳する部分が第1内側磁力線発生面30とされ、同菱形とは非重畳とされる部分が第1外側磁力線発生面31とされる。なお、図7では、線分LSを二点鎖線により図示している。言い換えると、第1内側磁力線発生面30は、第2可動磁石23BのN極面27及び第1可動磁石23AのS極面28のうち、上記線分LSよりも高さ方向について中央側(車両側端子金具22に近い側)の部分により構成されるのに対し、第1外側磁力線発生面31は、上記線分LSよりも高さ方向について外側(車両側端子金具22から遠い側)の部分により構成される。第1内側磁力線発生面30は、第1外側磁力線発生面31よりも面積が小さなものとされており、第1外側磁力線発生面31の約半分程度とされる。
同様に、第1可動磁石23AのN極面27及び第2可動磁石23BのS極面28は、図8に示すように、第2内側磁力線ML3が発生する第2内側磁力線発生面35と、第2外側磁力線ML4が発生する第2外側磁力線発生面36とに区分することが可能とされる。このうち、第2内側磁力線発生面35は、第1可動磁石23AのN極面27及び第2可動磁石23BのS極面28のうち、内側領域IAに臨む部分により構成されるのに対し、第2外側磁力線発生面36は、第1可動磁石23AのN極面27及び第2可動磁石23BのS極面28のうち、第2内側磁力線発生面35を除いた残りの部分により構成される。詳しくは、第2内側磁力線発生面35と第2外側磁力線発生面36とは、正面から視て、各可動磁石23A,23Bの中心MCと、各車両側端子金具22の中心TCとを結ぶ線分LSにより区分されており、これら4本の線分LSにより構成される菱形と重畳する部分が第2内側磁力線発生面35とされ、同菱形とは非重畳とされる部分が第2外側磁力線発生面36とされる。なお、図8では、線分LSを二点鎖線により図示している。言い換えると、第2内側磁力線発生面35は、第1可動磁石23AのN極面27及び第2可動磁石23BのS極面28のうち、上記線分LSよりも高さ方向について中央側(車両側端子金具22に近い側)の部分により構成されるのに対し、第2外側磁力線発生面36は、上記線分LSよりも高さ方向について外側(車両側端子金具22から遠い側)の部分により構成される。第2内側磁力線発生面35は、第2外側磁力線発生面36よりも面積が小さなものとされており、第2外側磁力線発生面35の約半分程度とされる。
上記したように一対の可動磁石23における第1内側磁力線発生面30及び第1外側磁力線発生面31から第1内側磁力線ML1及び第1外側磁力線ML2が発生することで、図7に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAでは、端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1内側磁力線ML1が追加されることで磁束密度が高められる(密になる)のに対し、外側領域OAでは、端子磁力線TMLとその反対側に向かう外側磁力線ML2とが打ち消し合うことで磁束密度が低くされる(疎になる)。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、例えば充電中であるにも拘わらず、車両側コネクタ20から給電側コネクタ10が引き抜かれるとともに車両側端子金具22から給電側端子金具12が外されるのに伴い、両端子金具12,22間にアークが発生した場合でも、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くなった内側領域IAから磁束密度が低くなった外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用することでアークの回曲が図られるようになっている。さらには、一対の可動磁石23における第2内側磁力線発生面35及び第2外側磁力線発生面36から第2内側磁力線ML3及び第2外側磁力線ML4が発生することで、図8に示すように、一対の車両側端子金具22間に挟まれた内側領域IAでは、端子磁力線TMLとその反対側に向かう第2内側磁力線ML3とが打ち消し合うことで磁束密度が低くされる(疎になる)のに対し、外側領域OAでは、端子磁力線TMLと同じ側に向かう第2外側磁力線ML4が追加されることで磁束密度が高められる(密になる)。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、両端子金具12,22間にアークが発生した場合でも、そのアークをなす電子には、磁束密度が高くなった外側領域OAから磁束密度が低くなった内側領域IAに向かう大きなローレンツ力が作用することでアークの回曲が図られるようになっている。もって、アークによって一対の車両側端子金具22間が短絡される、いわゆるPN間短絡が発生する事態が生じ難くなる。
次に、移動部材37及びガイド部材33について順次に詳しく説明する。移動部材37は、非磁性材料であるセラミックからなるものとされており、図2に示すように、嵌合方向及び高さ方向に沿って視たとき(正面及び平面(底面)から視たとき)には略長方形状(四角形状)をなすものの、幅方向に沿って視たとき(側方から視たとき)には概ね三角形状をなしている。移動部材37は、高さ方向の上下両面にそれぞれテーパ面37a,37bが形成されることで、嵌合方向の前側に向けて先細り形状をなしている。また、移動部材37は、その幅寸法が可動磁石23の幅寸法とほぼ同じとされる。移動部材37は、図5に示すように、車両側ハウジング21内に一対が収容されるとともにその内部において高さ方向、つまり可動磁石23の移動方向である嵌合方向及び幅方向の双方と直交する方向に沿って移動することが可能とされる。
車両側ハウジング21を構成する車両側端子収容部21aには、図5に示すように、一対の移動部材37をまとめて収容する移動部材収容室38が形成されている。移動部材収容室38は、車両側端子収容部21aのうち一対の車両側端子金具22を絶縁状態に隔てる隔壁21a1に形成されており、一対の可動磁石収容室29にそれぞれ連通するととも車両側ハウジング21(車両側端子収容部21a)の後面に開口する形で形成されている。移動部材収容室38は、図4及び図5に示すように、車両側端子収容部21aの隔壁21a1において移動部材37の外形に倣って平面に視て略長方形状をなすとともに、高さ方向に沿ってほぼ真っ直ぐに延在していてその両端部が一対の可動磁石収容室29にそれぞれ連通している。従って、移動部材収容室38内に収容された移動部材37は、移動に際して移動部材37の外周面が移動部材収容室38の内周面に摺接されることで、スムーズな移動動作が担保されるようになっている。
移動部材37は、図5に示すように、一対が移動部材収容室38内において高さ方向に沿って互いに隣り合う形で並んで配されており、移動部材収容室38内を移動される際に、一対の可動磁石収容室29に対してそれぞれ進出または退避するものとされる。この移動部材収容室38に連通する各可動磁石収容室29に収容されて後退位置とされた各可動磁石23は、その後端部が移動部材収容室38側に突き出す形で配されている。そして、移動部材37は、移動部材収容室38内において可動磁石収容室29から退避した配置とされると、後退位置とされて移動部材収容室38側に突き出した可動磁石23の後端部に対して当接されており、この配置が第1当接位置(退避位置)とされている。移動部材37は、この第1当接位置から高さ方向に沿って車両側端子収容部21a(車両側ハウジング21)における外側、つまり可動磁石収容室29側に移動することで、図10に示すように、可動磁石収容室29に進出するとともに前進位置とされた可動磁石23の後端部に対して当接される第2当接位置(進出位置)に至ることが可能とされる。一対の移動部材37は、第1当接位置では互いに当接しているものの(図5を参照)、第2当接位置では高さ方向について互いに離間している(図10を参照)。つまり、一対の移動部材37は、第1当接位置から第2当接位置へと移動される際には互いに離れるのに対し、第2当接位置から第1当接位置へと移動される際には互いに接近するものとされる。なお、一対の移動部材37が共に第2当接位置とされた状態では、両移動部材37の間には、後述する進退ピン39の径寸法分程度の間隔が空けられている(図10を参照)。
移動部材37に対する可動磁石23の当接部位は、図5に示すように、後端部に有される4つの辺部のうち、高さ方向について車両側端子収容部21a(車両側ハウジング21)における内側(中央側)の辺部とされる。可動磁石23に対する移動部材37の当接部位は、高さ方向の上下両面のうち車両側端子収容部21aにおける外側の面とされており、この当接部位に可動磁石23の移動動作と、移動部材37の移動動作とを相互に連動させるための第1テーパ面(第1連動部)37aが形成されている。第1テーパ面37aは、嵌合方向及び高さ方向の双方に対して傾斜しており、嵌合方向の後側に向かうと、高さ方向について車両側端子収容部21aの外側(中央側とは反対側)に向かうような勾配を有している。移動部材37が第1当接位置から第2当接位置へと移動されると、第1テーパ面37aによって移動部材37からの力が可動磁石23を前進させる向きの力に変換されつつ可動磁石23へと伝達されることで、可動磁石23が後退位置から前進位置へと移動されるようになっている。逆に、可動磁石23が前進位置から後退位置へと移動されると、第1テーパ面37aによって可動磁石23からの力が移動部材37を可動磁石収容室29から退避させる向きの力に変換されつつ移動部材37へと伝達されることで、移動部材37が第2当接位置から第1当接位置へと移動されるようになっている。この第1テーパ面37aは、可動磁石23の後端部における内側の辺部に対して線接触されることで、移動部材37と可動磁石23とのいずれか一方側から作用する力を他方側に良好に伝達させることが可能とされる。
移動部材37における高さ方向の上下両面のうち、車両側端子収容部21aにおける内側の面、つまり第1テーパ面37aとは反対側の面には、図5に示すように、第2テーパ面(第2連動部)37bが形成されている。第2テーパ面37bは、嵌合方向及び高さ方向の双方に対して傾斜しており、嵌合方向の後側に向かうと、高さ方向について車両側端子収容部21aの内側(中央側)に向かうような勾配を有している。一対の移動部材37が第1当接位置に配された状態では、一対の第2テーパ面37bの間に隙間が空けられており、この隙間は嵌合方向の前側ほど高さ方向について間口が広くなっている。なお、この第2テーパ面37bは、後に説明する給電側コネクタ10側の進退ピン39に対する当接部位とされている。移動部材37における後端部の一対の側面には、図4に示すように、高さ方向、つまり移動部材37の移動方向に沿って延在するレール部37cがそれぞれ対をなす形で設けられている。レール部37cは、移動部材37の側面から突出する形で形成されるとともに、移動部材37のほぼ全高さ範囲にわたって形成されている。これに対し、移動部材収容室38の内壁面には、各レール部37cを受け入れるレール部受入溝部38aが一対設けられている。レール部受入溝部38aは、移動部材収容室38の内壁面を段付き状に凹ませて形成されるとともに、移動部材収容室38のほぼ全高さ範囲にわたって形成されている。移動部材37は、各レール部37cが各レール部受入溝部38aに当接されることで、その前止まりが図られるとともに移動動作が案内されるようになっている。
ガイド部材33は、合成樹脂製とされており、図2及び図5に示すように、高さ方向に沿って延在する基部33aと、基部33aにおける長さ方向の両端部から嵌合方向に沿って前方に向けて延出する一対のロック片33bと、一対のロック片33b間に挟み込まれるとともに基部33aの前面から前方に向けて突出するガイド本体33cとからなる。ガイド部材33は、車両側ハウジング21における後端部に対して後側から取り付けられており、取付状態では、基部33aにより一対の可動磁石収容室29及び移動部材収容室38の開口端を一括して閉塞するとともに可動磁石収容室29内に収容された圧縮コイルばね32、可動磁石23及び移動部材37を一括して抜け止めすることが可能とされる。基部33aは、その幅寸法が可動磁石収容室29及び移動部材収容室38の開口幅よりも大きなものとされており、それにより可動磁石収容室29及び移動部材収容室38を全域にわたって閉塞可能とされる。この基部33aにより可動磁石収容室29及び移動部材収容室38内に後方外部から金属粉などが侵入するといった事態が生じ難いものとなっている。ロック片33bは、基部33aにおける長さ方向の端部から前方に向けて延出する片持ち状をなしており、基端部を支点として高さ方向に沿って弾性変形可能とされる。車両側ハウジング21の後端部における幅方向の中央部には、上記したロック片33bが係止可能なロック部34が一対設けられている。ロック部34は、車両側ハウジング21の外面から高さ方向に沿って突出する形態とされており、その前縁にロック片33bの先端の爪部が係止されるようになっている。これにより、ガイド部材33が車両側ハウジング21に対して取付状態に保持されるようになっている。
ガイド本体33cは、図2及び図5に示すように、前方に向けて開口するとともに高さ方向に沿って細長い(縦長の)略筒状をなしており、その幅寸法が移動部材37の幅寸法とほぼ同じとされるのに対し、長さ寸法が移動部材収容室38の長さ寸法とほぼ同じとされる。ガイド本体33cは、移動部材37と対向する前端面が移動部材37の後面に対して当接されるガイド面33c1とされている。ガイド面33c1は、移動部材37のうち幅方向の両端部及び一対のレール部37cにおける後面に対して当接されることで、移動部材37の高さ方向についての移動動作をガイドすることが可能とされている。ガイド本体33cには、ガイド面33c1から凹む形でピン受入凹部(進退部受入凹部)33c2が形成されている。ピン受入凹部33c2は、前方に向けて開口しており、その内部に後述する給電側コネクタ10側の進退ピン39を受け入れることが可能とされる。さらには、ガイド本体33cには、ピン受入凹部33c2に連通する形で上記進退ピン39を通すことが可能なピン挿通溝部33c3が一対形成されている。ピン挿通溝部33c3は、ガイド本体33cを構成する一対の長辺部にそれぞれ形成されており、その長さ方向(高さ方向)のほぼ中央位置に配されている。
一方、給電側コネクタ10には、図4及び図5に示すように、車両側コネクタ20に対する嵌合または離脱に伴って、嵌合方向に沿って前後に進退される進退ピン39が設けられている。進退ピン39は、例えばセラミックなどの非磁性材料からなるものとされており、嵌合方向に沿って前後に延在する略円柱状をなしている。進退ピン39は、その前端部に先細り形状となるよう全周にわたってピン側テーパ面(第2連動部)39aが周設されている。ピン側テーパ面39aは、嵌合方向、高さ方向及び幅方向の全てに対して傾斜しており、嵌合方向の後側に向かうと、径方向(高さ方向及び幅方向)について給電側ハウジング11の外側(中央側とは反対側)に向かうような勾配を有している。
上記した進退ピン39は、図4及び図5に示すように、給電側ハウジング11を構成する給電側端子収容部11aに形成されたピン取付孔40を貫通する形で取り付けられている。ピン取付孔40は、給電側端子収容部11aのうち一対の給電側端子金具12を絶縁状態に隔てる隔壁11a2に形成されている。ピン取付孔40は、進退ピン39の外形に倣って正面から視て略円形状をなすとともに、隔壁11a2を嵌合方向に沿って前後に貫通している。ピン取付孔40及びそこに差し込まれた進退ピン39は、高さ方向及び幅方向について、給電側ハウジング11におけるほぼ中央位置に配されており、幅方向については一対の給電側端子金具12の中間位置に配されるのに対し、高さ方向については各給電側端子金具12とほぼ同じ位置に配されている。ピン取付孔40に取り付けられた進退ピン39は、給電側端子収容部11aから前方の給電側フード部11b内に突き出すとともに、幅方向について一対のタワー部13間に挟み込まれる配置とされる。進退ピン39は、その前端位置がタワー部13の前端位置よりも前側とされるとともに、給電側ハウジング11の前端位置とほぼ同じとされる。
これに対し、車両側コネクタ20を構成する車両側ハウジング21には、図3から図5に示すように、給電側ハウジング11の嵌合または離脱に伴う上記した進退ピン39の挿抜を許容するピン挿入孔41が形成されている。ピン挿入孔41は、車両側ハウジング21の車両側端子収容部21aのうち一対の車両側端子金具22を絶縁状態に隔てる隔壁21a1に形成されている。ピン挿入孔41は、進退ピン39の外形に倣って正面から視て略円形状をなすとともに、隔壁21a1の前端面に開口し且つ移動部材収容室38に連通するよう、隔壁21a1を前後に貫通する形で形成されている。ピン挿入孔41は、高さ方向及び幅方向について、車両側ハウジング21におけるほぼ中央位置に配されており、幅方向については一対の車両側端子金具22の中間位置に配されるのに対し、高さ方向については各給電側端子金具12とほぼ同じ位置で且つ一対の可動磁石収容室29(一対の可動磁石23及び一対の移動部材37)の中間位置に配されている。このピン挿入孔41における奥側には、第1当接位置とされた各移動部材37の第2テーパ面37bが臨んで配されている。両ハウジング10,20の嵌合時にピン挿入孔41に挿入される進退ピン39は、その前端部が第1当接位置とされた各移動部材37における各第2テーパ面37bの間に入り込むことが可能とされる。そして、進退ピン39は、両ハウジング10,20の嵌合が進行されるのに伴って、ピン側テーパ面39aが、第1当接位置とされた移動部材37の第2テーパ面37bに対して当接された後側当接位置(図16及び図17を参照)から、第2当接位置とされた移動部材37の第2テーパ面37bに対して当接された前側当接位置(図10、図11、図13及び図14を参照)に至るようになっている。進退ピン39が後側当接位置から前側当接位置に至る際には、ピン側テーパ面39a及び第2テーパ面37bによって進退ピン39からの力が移動部材37を高さ方向について外向きに押圧する力に変換されつつ移動部材37に伝達されることで、移動部材37が第1当接位置から第2当接位置へと移動されるようになっている。このように、進退ピン39と移動部材37との当接部位にそれぞれ設けられたピン側テーパ面39a及び第2テーパ面37bは、嵌合に伴う進退ピン39の進出動作に移動部材37の移動動作を連動させることが可能とされる。
また、ガイド部材33のガイド本体33cに形成されたピン受入凹部33c2及びピン挿通溝部33c3は、図4及び図5に示すように、共にピン挿入孔41に連通しており、それにより前側当接位置に至る進退ピン39を受け入れることが可能とされる(図10、図11、図13及び図14を参照)。ここで、仮に進退ピン受入凹部がガイド部材に設けられない場合には、進退ピン39との干渉を避けるためガイド面33c1の位置を後退させるとともに移動部材37を嵌合方向について延長する必要が生じるものの、上記したように進退ピン受入凹部33c2がガイド部材33に設けられることで、そのような必要が生じず、もって移動部材37が小型に保たれる。また、仮に進退ピンの径寸法がピン受入凹部33c2の幅寸法よりも小さいのであれば、ガイド本体33cにピン挿通溝部33c3を設ける必要がなくなるものの、それでは移動部材37に対する進退ピンの当接範囲(当接面積)が小さなものとなり、進退ピンの移動動作に対する移動部材37の移動動作の連動性が損なわれるおそれがある。その点、進退ピン39の径寸法をピン受入凹部33c2の幅寸法よりも大きなものとすることで、移動部材37に対する進退ピン39の当接範囲が十分に確保され、それにより進退ピン39の移動動作に移動部材37の移動動作をより確実に連動させることができ、またピン挿通溝部33c3により進退ピン39を逃がすことができる。
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用を説明する。車両のバッテリを充電するには、車両側コネクタ20に対して給電側コネクタ10を嵌合する作業を行う。図3から図5に示す状態から、給電側コネクタ10における給電側フード部11bを、車両側コネクタ20における車両側端子収容部21aと車両側フード部21bとの間の空間に嵌め入れ、続いて給電側端子収容部11aの各タワー部13を、車両側端子収容部21aの各嵌合空間FS(各嵌合凹部24)内に嵌め入れる。このとき、進退ピン39がピン挿入孔41内に挿入されるとともに、車両側端子収容部21aの隔壁21a1が一対のタワー部13間に嵌め入れられる。
そして、両コネクタ10,20が所定の深さまで嵌合され、給電側端子金具12と車両側端子金具22とが接触する手前の段階において、図15から図17に示すように、進退ピン39のピン側テーパ面39aが、一対の移動部材37における各第2テーパ面37bに当接され、後側当接位置に至る。この状態からさらに嵌合が進行し、進退ピン39が後側当接位置から前進されると、ピン側テーパ面39a及び第2テーパ面37bによって進退ピン39からの力が移動部材37を高さ方向について外向きに押圧する力に変換されつつ移動部材37に伝達される。これにより、移動部材収容室38内において一対の移動部材37が第1当接位置から互いに離れる向き、つまり進退ピン39側とは反対側にそれぞれ移動されて各可動磁石収容室29内に進出する。各移動部材37が各可動磁石収容室29内に進出すると、第1テーパ面37aによって各移動部材37からの力が各可動磁石23を前進させる向きの力に変換されつつ各可動磁石23へと伝達される。これにより、可動磁石収容室29内において可動磁石23が後退位置から前進位置に向けて移動されるとともに、前壁部29aと可動磁石23との間に挟み込まれた圧縮コイルばね32が付勢力を蓄積しつつ弾性的に圧縮されていく。つまり、嵌合に伴う進退ピン39の進出動作が移動部材37を介して可動磁石23を後退させる動作に変換されている。
進退ピン39が前側当接位置に達すると、図12から図14に示すように、各移動部材37が第2当接位置に至るとともに、各可動磁石23が前進位置に至る。このとき、各圧縮コイルばね32は、それぞれ最大限に圧縮されている。両コネクタ10,20の嵌合がさらに進行すると、車両側端子金具22の車両側接続部22aが、給電側端子金具12の給電側接続部12a内に差し込まれるとともに、各弾性接触片12a1が径方向について弾性的に拡開される。そして、両コネクタ10,20が正規深さまで嵌合されると、図9から図11に示すように、各タワー部13が嵌合空間FSの奥深くまで嵌め込まれるとともに、車両側接続部22aの外周面に対して給電側接続部12aの各弾性接触片12a1が所定の接圧でもって弾性接触される。相互に電気的に接続された両端子金具12,22間に直流電流が流されることで、車両のバッテリの充電が図られる。なお、この嵌合状態においては、一対の移動部材37の間に進退ピン39が介在する形で配されることで、各移動部材37が第2当接位置に保たれるとともに、各可動磁石23が前進位置に保たれる。
ここで、充電を行っている最中であるにも拘わらず、誤って給電側コネクタ10が車両側コネクタ20から引き抜かれるような事態が発生した場合には、離脱の進行に伴い、給電側端子金具12の給電側接続部12aに対する車両側端子金具22の車両側接続部22aの差し込み深さが浅くなり、図12及び図14に示すように、給電側接続部12aと車両側接続部22aとが非接触状態に至る。このとき、両端子金具12,22は通電された状態であるため、非接触状態とされた両端子金具12,22間にはアークARCが発生する。このとき、前進位置とされる一対の可動磁石23A,23Bは、後面が共に車両側端子金具22の前端位置よりも前側に配されており、第1可動磁石23Aの後面であるN極面27から第2可動磁石23Bの後面であるS極面28へ向かう形で磁力線MLが発生している(図13を参照)。一対の可動磁石23A,23Bの後面間を行き交う磁力線MLには、図8及び図13に示すように、内側領域IAにおいて端子磁力線TMLとは反対側に向かう第2内側磁力線ML3と、外側領域OAにおいて端子磁力線TMLと同じ側に向かう第2外側磁力線ML4とが含まれるから、内側領域IAでは磁束密度が低くなるのに対し、外側領域OAでは磁束密度が高められる。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、上記したように両端子金具12,22間にアークARCが発生していても、そのアークARCをなす電子には、図12に示すように、磁束密度が高くなった外側領域OAから磁束密度が低くなった内側領域IAに向かう大きなローレンツ力が作用する。このローレンツ力は、一対の可動磁石23A,23Bの並び方向である高さ方向と直交する幅方向(Y軸方向)、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向に沿って外側領域OAから内側領域IAへ向けて作用するので、発生したアークARCがY軸方向に沿って内向き(隔壁21a1に接近する側)に回曲される。なお、図12では、可動磁石23A,23Bの磁力によって回曲されたアークARCを両端子金具12,22に繋がる太線によって図示している。また、図13では、各可動磁石23A,23Bの磁極(NまたはS)を前後の端部にそれぞれ記入している。
図12から図14に示す状態からさらに両コネクタ10,20の離脱が進行すると、進退ピン39が一対の移動部材37の間から引き抜かれることで、各移動部材37が第2当接位置から第1当接位置側へ移動するのが可能となる。すると、各圧縮コイルばね32に蓄積されていた付勢力が解放され、それにより各可動磁石23が前進位置から後退位置へ向けて移動される。このとき、各第1テーパ面37aによって各可動磁石23からの力が各移動部材37を各可動磁石収容室29から退避させる向きの力に変換されつつ各移動部材37へと伝達される。これにより、図15から図17に示すように、各移動部材37が第2当接位置から第1当接位置に向けて移動されて互いに接近する。なお、上記のように離脱が進行する間も、両端子金具12,22の間にはアークARCが発生する場合があるものの、前進位置とされた一対の可動磁石23A,23Bにおける後面から発生した磁力線MLによって生じるローレンツ力がアークARCを内側領域IAに向けて曲回させている。離脱途中において図12から図17に示す状態では、いずれも両端子金具12,22の間に空けられた空間が隔壁21a1によって仕切られているので、両端子金具12,22の間に生じたアークARCがローレンツ力により内向きに曲回されても隔壁21a1によってアークARC同士が繋がるPN間短絡の発生が好適に抑制されている。また、図16では、各可動磁石23A,23Bの磁極(NまたはS)を前後の端部にそれぞれ記入している。
図15から図17に示す状態からさらに両コネクタ10,20の離脱が進行すると、後退位置とされた可動磁石23における前面が、嵌合方向について両端子金具12,22の間に位置することになる。この状態では、第2可動磁石23Bの前面であるN極面27から第1可動磁石23Aの前面であるS極面28へ向かう形で磁力線MLが発生しており、この磁力線MLには、図8及び図16に示すように、内側領域IAにおいて端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1内側磁力線ML1と、外側領域OAにおいて端子磁力線TMLとは反対側に向かう第1外側磁力線ML2とが含まれるから、内側領域IAでは磁束密度が高くなるのに対し、外側領域OAでは磁束密度が低くなる。これにより、内側領域IAと外側領域OAとでは磁束密度の疎密に大きな差が生じることになるので、上記したように両端子金具12,22間にアークARCが発生していても、そのアークARCをなす電子には、図18に示すように、磁束密度が高くなった内側領域IAから磁束密度が低くなった外側領域OAに向かう大きなローレンツ力が作用する。このローレンツ力は、一対の可動磁石23A,23Bの並び方向である高さ方向と直交する幅方向(Y軸方向)、つまり一対の車両側端子金具22の並び方向に沿って内側領域IAから外側領域OAへ向けて作用するので、発生したアークARCがY軸方向に沿って外向き(隔壁21a1から遠ざかる側)に回曲される。特に、図5、図6及び図18に示すように、両ハウジング11,21が離脱されて給電側コネクタ10のタワー部13が嵌合空間FS外に達した状態では、両端子金具12,22間に生じたアークARCが隔壁21a1を超えて繋がってPN間短絡を生じさせるおそれがあるものの、上記したローレンツ力によってアークARCが互いに正反対となる方向に引き離されるようになっているので、PN間短絡を効果的に抑制または防止することができる。なお、図18では、可動磁石23A,23Bの磁力によって回曲されたアークARCを両端子金具12,22に繋がる太線によって図示している。また、図19では、各可動磁石23A,23Bの磁極(NまたはS)を前後の端部にそれぞれ記入している。
上記のようにして両コネクタ10,20が離脱された状態では、可動磁石23は、図4から図6に示すように、圧縮コイルばね32によって付勢されることで前壁部29aとの間に間隔を空けた後退位置に至らされているので、仮に可動磁石が常に前進位置に配された場合に比べると、外部の金属粉などが可動磁石23の磁力によって引き寄せられて前壁部29aに付着する、といった事態が生じ難くなっている。
以上説明したように本実施形態の充電コネクタ(コネクタ)CCは、車両側ハウジング(一方のコネクタハウジング)21と、車両側ハウジング21に対して嵌合可能とされる給電側ハウジング(他方のコネクタハウジング)11と、車両側ハウジング21に収容され、給電側ハウジング11との嵌合方向と直交する方向について離間した位置にそれぞれ配される一対の車両側端子金具(一方の端子金具)22と、給電側ハウジング11に収容され、一対の車両側端子金具22の並び方向について離間した位置にそれぞれ配されるとともに一対の車両側端子金具22と接続されることで通電される一対の給電側端子金具(他方の端子金具)12と、車両側ハウジング21に収容され、相対的に前側の前進位置と、相対的に後側の後退位置との間を嵌合方向に沿って移動可能とされる可動磁石23であって、一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側またはその反対側に向かう第1内側磁力線ML1及び第2内側磁力線ML3(内側磁力線)と、一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側または端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1外側磁力線ML2及び第2外側磁力線ML4(外側磁力線)との少なくともいずれか一方を発生させる可動磁石23と、車両側ハウジング21に備えられ、可動磁石23を後退位置へと付勢する圧縮コイルばね(付勢手段)32と、車両側ハウジング21に備えられ、後退位置とされる可動磁石23に当接される第1当接位置と、前進位置とされる可動磁石23に当接される第2当接位置との間を嵌合方向と交差する方向に沿って移動可能とされる移動部材37と、可動磁石23と移動部材37との当接部位の少なくともいずれか一方に設けられ、可動磁石23と移動部材37とを相互に連動させる第1テーパ面(第1連動部)37aと、給電側ハウジング11に備えられ、給電側ハウジング11が車両側ハウジング21に対して嵌合または離脱されるのに伴って、少なくとも相対的に後側にあって第1当接位置とされる移動部材37に当接される後側当接位置と、相対的に前側にあって第2当接位置とされる移動部材37に当接される前側当接位置との間を嵌合方向に沿って進退可能とされる進退ピン(進退部)39と、移動部材37と進退ピン39との当接部位の少なくともいずれか一方に設けられ、進退ピン39が後側当接位置から前側当接位置へと進出する動作に移動部材37を連動させる第2テーパ面37b及びピン側テーパ面39a(第2連動部)と、を備える。
まず、給電側ハウジング11に嵌合される前の状態の車両側ハウジング21においては、可動磁石23が圧縮コイルばね32によって付勢されることで後退位置に配されるとともに後退位置とされた可動磁石23に対して第1当接位置とされた移動部材37が当接される。両ハウジング11,21が嵌合され、給電側ハウジング11に備えられた進退ピン39が後側当接位置に達すると、第1当接位置とされた移動部材37に当接される。この状態から嵌合動作が進行され、進退ピン39が後側当接位置から前側当接位置へと進出すると、第2テーパ面37b及びピン側テーパ面39aによって進退ピン39の進出動作に移動部材37が連動して第1当接位置から第2当接位置へと移動される。移動部材37が第1当接位置から第2当接位置へと移動されると、第1テーパ面37aによって移動部材37の移動動作に可動磁石23が連動して後退位置から前進位置へと圧縮コイルばね32の付勢力に抗しつつ移動される。そして、両ハウジング11,21が嵌合されると、車両側端子金具22が給電側端子金具12に対して接続されることで通電される。ここで、仮に通電状態にも拘わらず、給電側ハウジング11から車両側ハウジング21が離脱された場合には、給電側端子金具12から車両側端子金具22が外されるのに伴って給電側端子金具12と車両側端子金具22との間にアークARCが発生し、そのアークARCによって一対の車両側端子金具22間や一対の給電側端子金具12間が短絡させられることが懸念される。
その点、前進位置に配された可動磁石23からは、一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側またはその反対側に向かう第1内側磁力線ML1及び第2内側磁力線ML3と、一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側または端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1外側磁力線ML2及び第2外側磁力線ML4との少なくともいずれか一方が発生するものとされているので、内側領域IAと外側領域OAとで磁束密度の疎密に差が生じる。これにより、給電側端子金具12と車両側端子金具22との間にアークARCが発生したとしても、そのアークARCをなす電子には、内側領域IAと外側領域OAとのうち、磁束密度が相対的に高い側から磁束密度が相対的に低い側に向かうローレンツ力が作用することでアークARCが回曲され、もってアークARCによって一対の車両側端子金具22間や一対の給電側端子金具12間が短絡させられる事態が生じ難くなる。
その上、嵌合状態とされた両ハウジング11,21が離脱される際には、車両側ハウジング21から給電側ハウジング11が引き抜かれるのに伴い、進退ピン39が前側当接位置から後側当接位置へと退出すると、圧縮コイルばね32の付勢力が解放されることで、可動磁石23が前進位置から後退位置へと移動される。このとき、移動部材37は、第1テーパ面37aによって可動磁石23の移動動作に連動して第2当接位置から第1当接位置へと移動される。従って、両ハウジング11,21を離脱した状態では、車両側ハウジング21において可動磁石23は、圧縮コイルばね32により前進位置よりも後側に引っ込んだ後退位置に至らされているので、仮に可動磁石23が前進位置に配されたままとされた場合に比べると、外部の金属粉などが可動磁石23に付着する事態が生じ難くなっている。
また、車両側ハウジング21には、可動磁石23を嵌合方向に沿って移動可能な状態で収容する可動磁石収容室29が設けられるとともに、可動磁石収容室29において前進位置とされた可動磁石23に対して嵌合方向の前側に位置する形で配される前壁部29aが設けられている。このようにすれば、前壁部29aによって嵌合方向について可動磁石23が前進位置からさらに前側に移動するのが規制されるのに加えて、可動磁石収容室29内に嵌合方向の前側から外部の金属粉などが侵入するのを防ぐことができる。これにより、可動磁石23に外部の金属粉などがより付着し難くなる。
また、圧縮コイルばね32は、可動磁石収容室29に収容されるとともに可動磁石23と前壁部29aとの間に挟み込まれる形で配されているのに対し、車両側ハウジング21には、移動部材37を収容する移動部材収容室38が可動磁石収容室29に対して嵌合方向の後側に配されるとともに可動磁石収容室29に連通する形で設けられている。このようにすれば、可動磁石収容室29に収容される圧縮コイルばね32が可動磁石23に対して嵌合方向の前側に配されるのに対し、移動部材収容室38に収容される移動部材37が可動磁石23に対して嵌合方向の後側に配されるので、車両側ハウジング21に対する組み付けが容易なものとなる。
また、車両側ハウジング21には、可動磁石収容室29及び移動部材収容室38が嵌合方向の後側に向けて開口する形で設けられるとともに、可動磁石収容室29及び移動部材収容室38の開口を塞ぐ形で移動部材37の移動動作をガイドするガイド部材33が取り付けられている。このようにすれば、車両側ハウジング21に対して圧縮コイルばね32、可動磁石23、移動部材37及びガイド部材33を組み付けるに際しては、例えば、嵌合方向の後側に開口する可動磁石収容室29及び移動部材収容室38に対して後側から圧縮コイルばね32、可動磁石23及び移動部材37を収容した後、ガイド部材33を車両側ハウジング21に取り付けるようにする。このガイド部材33により可動磁石収容室29及び移動部材収容室38の開口が塞がれるので、収容された圧縮コイルばね32、可動磁石23及び移動部材37の抜け止めが図られるとともに、可動磁石収容室29及び移動部材収容室38の開口に対して後側から外部の金属粉などが侵入し難くなっていてそれにより可動磁石23に金属粉などがより付着し難くなっている。しかも、ガイド部材33により移動部材37の移動動作がガイドされることで、動作信頼性がより高いものとなる。
また、ガイド部材33には、移動部材37に当接されるガイド面33c1が設けられるとともに、ガイド面33c1から凹む形で進退ピン39を受け入れ可能なピン受入凹部(進退部受入凹部)33c2が設けられている。このようにすれば、両ハウジング11,21が嵌合される際には、進退ピン39が後側当接位置から前側当接位置に移動されると、移動部材37が第2テーパ面37b及びピン側テーパ面39aによってそれぞれ第1当接位置から第2当接位置に移動され、その移動動作がガイド部材33のガイド面33c1によってガイドされる。このとき、進退ピン39は、ガイド部材33のガイド面33c1から凹む形で設けられたピン受入凹部33c2に受け入れられる。ここで、仮にピン受入凹部がガイド部材33に設けられない場合には、進退ピン39との干渉を避けるためガイド面33c1の位置を後退させるとともに移動部材37を延長する必要が生じるものの、上記したようにピン受入凹部33c2がガイド部材33に設けられることで、そのような必要が生じず、もって移動部材37が小型に保たれる。
また、ガイド部材33は、ピン受入凹部33c2を取り囲む形で配されるとともにガイド面33c1を有するガイド本体33cを備えており、ガイド本体33cには、ピン受入凹部33c2に連通するとともに進退ピン39を通すことが可能なピン挿通溝部(進退部挿通溝部)33c3が設けられている。このようにすれば、進退ピン39の幅がピン受入凹部33c2の幅を超える大きさであっても、ピン受入凹部33c2を取り囲むガイド本体33cに、ピン受入凹部33c2に連通するとともに進退ピン39を通すピン挿通溝部33c3が設けられることで、進退ピン39を逃がすことができる。進退ピン39の幅を、ピン受入凹部33c2の幅を超える大きさとすることができるから、進退ピン39における移動部材37に対する当接範囲が十分に確保され、それにより進退ピン39の移動動作に移動部材37をより確実に連動させることができ、もって動作信頼性に優れる。
また、移動部材37には、その移動方向に沿って延在するレール部37cが設けられているのに対し、車両側ハウジング21のうち移動部材収容室38の内面には、レール部37cを受け入れるとともに、ガイド部材33との間でレール部37cを挟み込むレール部受入溝部38aが設けられている。このようにすれば、移動部材37の移動方向に沿って延在するレール部37cが収容室周壁に設けられたレール部受入溝部38aに受け入れられるとともに、レール部受入溝部38aとガイド部材33との間に挟み込まれることで、移動部材37の移動動作がより円滑なものとなる。これにより、動作信頼性に優れる。
また、可動磁石23は、嵌合方向に沿って延在する棒状をなすとともにその前面及び後面が磁極となる構成とされ、さらには車両側ハウジング21において嵌合方向及び一対の車両側端子金具22の並び方向と直交する方向について離間した位置に少なくとも一対が並んで配されている。このようにすれば、嵌合方向に沿って延在する棒状をなす少なくとも一対の可動磁石23における前面の間及び後面の間を行き交う形で第1内側磁力線ML1及び第2内側磁力線ML3と第1外側磁力線ML2及び第2外側磁力線ML4との少なくともいずれか一方が発生するので、第1内側磁力線ML1及び第2内側磁力線ML3と第1外側磁力線ML2及び第2外側磁力線ML4との少なくともいずれか一方が嵌合方向について広範囲にわたって存在することになる。これにより、車両側端子金具22と給電側端子金具12との間に発生するアークARCを嵌合方向について広範囲にわたって抑制することができる。
また、移動部材37は、一対の可動磁石23の並び方向に沿って一対が並んで配されるとともに並び方向に沿って移動されるのに対し、進退ピン39は、前側当接位置において一対の移動部材37の間に挟み込まれるよう配されている。このようにすれば、両ハウジング11,21を嵌合する際に、進退ピン39が後側当接位置から前側当接位置に移動されると、進退ピン39を挟み込む配置とされる一対の移動部材37が第2テーパ面37b及びピン側テーパ面39aによってそれぞれ第1当接位置から第2当接位置に移動される。従って、仮に進退ピン39が一対の移動部材37を挟み込む形で配された場合に比べると、進退ピン39に係る配置スペースが小さなものとなり、当該充電コネクタCCの小型化に好適となる。
また、可動磁石23は、前進位置では後面から発せられる第2内側磁力線ML3と第2外側磁力線ML4との少なくともいずれか一方により車両側端子金具22と給電側端子金具12との間に発生したアークARCを内側領域IAへ向けて曲回させるのに対し、後退位置では前面から発せられる第1内側磁力線ML1と第1外側磁力線ML2との少なくともいずれか一方により車両側端子金具22と給電側端子金具12との間に発生したアークARCを外側領域OAへ向けて曲回させている。このようにすれば、両ハウジング11,21が離脱される初期段階においては、引き寄せ磁性部材37によって前進位置に保たれる可動磁石23の後面から発せられる第2内側磁力線ML3と第2外側磁力線ML4との少なくともいずれか一方により、車両側端子金具22と給電側端子金具12との間に発生したアークARCを内側領域IAへ向けて曲回させることができる。そして、両ハウジング11,21の離脱が進行するのに伴い、車両側引っ張りコイルばね32によって可動磁石23が後退位置にまで移動された状態であっても、可動磁石23の前面から発せられる第1内側磁力線ML1と第1外側磁力線ML2との少なくともいずれか一方により車両側端子金具22と給電側端子金具12との間に発生したアークARCを外側領域OAへ向けて曲回させることができる。これにより、両ハウジング11,21の離脱が開始されてから完了するまでの間において、継続的にアークARCに伴う不具合を生じ難くすることができる。
また、可動磁石23における前面及び後面には、第1内側磁力線ML1及び第2内側磁力線ML3を発生させる第1内側磁力線発生面30及び第2内側磁力線発生面35(内側磁力線発生面)と、第1外側磁力線ML2及び第2外側磁力線ML4を発生させる第1外側磁力線発生面31及び第2外側磁力線発生面36(外側磁力線発生面)とがそれぞれ有されている。このようにすれば、可動磁石23は、第1内側磁力線発生面30及び第2内側磁力線発生面35から一対の車両側端子金具22の間に挟まれた内側領域IAを通り且つ通電に伴って車両側端子金具22の軸線周りに発生する端子磁力線TMLと同じ側またはその反対側に向かう第1内側磁力線ML1及び第2内側磁力線ML3を発生させるとともに、第1外側磁力線発生面31及び第2外側磁力線発生面36から一対の車両側端子金具22の並び方向について内側領域IAに対して車両側端子金具22を挟んだ外側に位置する外側領域OAを通り且つ端子磁力線TMLとは反対側または端子磁力線TMLと同じ側に向かう第1外側磁力線ML2及び第2外側磁力線ML4を発生させているので、内側領域IAと外側領域OAとで磁束密度の疎密により大きな差が生じることになる。これにより、車両側端子金具22と給電側端子金具12との間にアークARCが発生したとしても、そのアークARCをなす電子には、より大きなローレンツ力が作用することでアークARCの回曲が図られ、もってアークARCによる短絡が一層生じ難くなる。
また、進退ピン39は、非磁性材料からなる。このようにすれば、給電側ハウジング11が車両側ハウジング21から離脱された状態において、進退ピン39が外部に露出していた場合でも、進退ピン39に外部の金属粉などが付着する事態が生じ難くなる。
また、可動磁石23は、永久磁石からなる。このようにすれば、仮に、可動磁石23を電磁石とした場合に比べると、電磁石用の回路などが不要となるので、小型化や低コスト化などの面で優れる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図19によって説明する。この実施形態2では、可動磁石123の形状を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る可動磁石123は、図19に示すように、正面から視て台形をなす角柱状に形成されている。詳しくは、可動磁石123は、正面から視て略等脚台形をなしており、その長辺が高さ方向について車両側ハウジング121の内側に、短辺が高さ方向について車両側ハウジング121の外側にそれぞれ配されている。従って、移動部材137は、その第1テーパ面が可動磁石123の後端部における長辺に対して線接触されるようになっている。これにより、仮に可動磁石123の短辺を可動磁石に当接させた場合に比べると、移動部材137と可動磁石123との連動性がより良好なものとなって、動作信頼性に優れる。このような構成であっても、上記した実施形態1と同様に一対の可動磁石123から発生される磁界に含まれる磁力線によりアークに伴うPN間短絡を抑制または防止を図ることができる。
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図20によって説明する。この実施形態3では、可動磁石223の形状を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る可動磁石223は、図20に示すように、正面から視て三角形をなす角柱状に形成されている。詳しくは、可動磁石223は、正面から視て略正三角形または略二等辺三角形をなしており、その底辺が高さ方向について車両側ハウジング221の内側に、底辺とは反対側の頂点が高さ方向について車両側ハウジング221の外側にそれぞれ配されている。従って、移動部材237は、その第1テーパ面が可動磁石223の後端部における底辺に対して線接触されるようになっており、それにより移動部材237と可動磁石223との連動性が良好に保たれる。このような構成であっても、上記した実施形態1と同様に一対の可動磁石223から発生される磁界に含まれる磁力線によりアークに伴うPN間短絡を抑制または防止を図ることができる。
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図21によって説明する。この実施形態4では、可動磁石323の形状を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る可動磁石323は、図21に示すように、正面から視て半円形をなす角柱状に形成されている。詳しくは、可動磁石323は、その弦が高さ方向について車両側ハウジング321の内側に配されている。従って、移動部材337は、その第1テーパ面が可動磁石323の後端部における弦に対して線接触されるようになっており、それにより移動部材337と可動磁石323との連動性が良好に保たれる。このような構成であっても、上記した実施形態1と同様に一対の可動磁石323から発生される磁界に含まれる磁力線によりアークに伴うPN間短絡を抑制または防止を図ることができる。
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図22によって説明する。この実施形態5では、可動磁石423の形状を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る可動磁石423は、図22に示すように、正面から視て円形をなす円柱状に形成されており、その後端部が移動部材437に対して点接触される。このような構成であっても、上記した実施形態1と同様に一対の可動磁石423から発生される磁界に含まれる磁力線によりアークに伴うPN間短絡を抑制または防止を図ることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した各実施形態では、移動部材に第2テーパ面を、進退ピンにピン側テーパ面をそれぞれ形成した場合を示したが、移動部材の第2テーパ面と、進退ピンのピン側テーパ面とのいずれか一方を省略することも可能であり、その場合でも進退ピンの進出動作に移動部材の移動動作を連動させることができる。
(2)上記した各実施形態では、可動磁石と移動部材とのうちの移動部材側に両者を連動させるための第1テーパ面を形成した場合を示したが、第1テーパ面を省略して、可動磁石と移動部材とのうちの可動磁石側に両者を連動させるための磁石側テーパ面を形成することも可能である。それ以外にも、可動磁石に磁石側テーパ面を、移動部材に第1テーパ面をそれぞれ設けるようにしてもよい。
(3)上記した各実施形態以外にも、可動磁石の正面から視た形状は適宜に変更可能であり、例えば楕円形、菱形、五角形以上の多角形などとすることができる。
(4)上記した各実施形態では、進退ピンの前端部にピン側テーパ面が全周にわたって形成されたものを示したが、進退ピンの前端部のうち、移動部材との当接部位にのみピン側テーパ面を部分的に形成することも可能である。
(5)上記した各実施形態では、進退ピンが円柱状をなす構成としたものを示したが、進退ピンが角柱状をなす構成とすることも可能である。その場合、進退ピンにおける正面から視た形状を四角形とし、各辺が移動部材の各辺と平行をなす配置とするのが好ましい。また、それ以外にも進退ピンにおける正面から視た形状は、三角形や台形など適宜に変更可能である。
(6)上記した各実施形態では、移動部材が可動磁石に対して高さ方向(Z軸方向)に沿って隣り合う形で並ぶ配置構成としたものを示したが、移動部材が可動磁石に対して幅方向(Y軸方向)に沿って隣り合う形で並ぶ配置構成とすることも可能である。その場合、移動部材の移動方向を幅方向と一致させればよい。
(7)上記した各実施形態では、一対の移動部材が一対の可動磁石に対して高さ方向について車両側ハウジングにおける内側に配される構成のものを示したが、一対の移動部材が一対の可動磁石に対して高さ方向について車両側ハウジングにおける外側に配される構成とすることも可能である。その場合、移動部材の配置に応じて進退ピンの配置、形状、設置数などを変更すればよい。
(8)上記した各実施形態では、可動磁石の後端部に対して移動部材が当接される構成のものを示したが、可動磁石における移動部材との当接部位は、後端部以外の部位であっても構わない。例えば、可動磁石に部分的な突起を設けて、その突起を移動部材に対する当接部位とすることが可能である。
(9)上記した各実施形態では、圧縮コイルばねを非磁性材料であるステンレスにより構成したものを示したが、圧縮コイルばねの材料として非磁性材料である合成樹脂材料などを用いることも可能である。
(10)上記した各実施形態では、可動磁石を後退位置へ付勢する付勢手段として圧縮コイルばねを用いた場合を示したが、付勢手段として引っ張りコイルばねを用いることも可能である。その場合、引っ張りコイルばねを可動磁石に対して後側に配置するのが好ましい。
(11)上記した各実施形態では、ガイド部材にピン挿通溝部及びピン受入凹部を設けたものを示したが、ピン挿通溝部とピン受入凹部とのいずれか一方または双方を省略することも可能である。
(12)上記した各実施形態では、ピン挿通溝部がガイド本体を切り欠くことで形成されたものを示したが、ピン挿通溝部がガイド本体の内面を凹ませる形で形成されたものも本発明に含まれる。
(13)上記した各実施形態では、移動部材がセラミック製とされたものを示したが、移動部材の材料としてセラミック以外の非磁性材料(例えば合成樹材料)を用いることも可能である。
(14)上記した各実施形態以外にも、進退ピンにおける前端位置は適宜に変更可能であり、例えば給電側ハウジングの前端位置よりも後側に引っ込めた配置とすることが可能である。
(15)上記した各実施形態では、進退ピンがセラミック製とされた場合を示したが、進退ピンの材料としてセラミック以外の非磁性材料(例えば合成樹材料)を用いることも可能である。
(16)上記した各実施形態では、進退ピンが給電側ハウジングとは別部品とされたものを示したが、進退ピンが給電側ハウジングに一体形成される構成であっても構わない。
(17)上記した各実施形態以外にも、車両側コネクタにおける一対の可動磁石の配置を入れ替えることも可能である。具体的には、前面がS極面とされて後面がN極面とされる第1可動磁石と、前面がN極面とされて後面がS極面とされる第2可動磁石との配置を入れ替えると、前面間を行き交う磁力線と、後面間を行き交う磁力線とが上記した各実施形態に記載したものとは逆向きとなる。このため、両コネクタが離脱される初期段階(図12から図15を参照)では、可動磁石の後面間を行き交う磁力線により生じるローレンツ力によって両端子金具間に発生したアークが外向きに回曲されるのに対し、両コネクタが離脱される終盤段階(図18を参照)では、可動磁石の前面間を行き交う磁力線により生じるローレンツ力によって両端子金具間に発生したアークが内向きに回曲される。
(18)上記した各実施形態では、前面及び後面が磁極となる可動磁石を用いた場合を示したが、前面及び後面が磁極とはならずに外周面が磁極となる可動磁石を用いることも可能である。その場合、使用する可動磁石の数を1つのみとすることも可能となり、それに伴い圧縮コイルばね及び移動部材の数を1つのみとすることが可能となる。
(19)上記した各実施形態では、可動磁石の設置数と、付勢手段である圧縮コイルばねの設置数とを一致させた場合を示したが、可動磁石の設置数よりも付勢手段の設置数が少なくなる設定とすることが可能である。具体的には、例えば、U字型の圧縮コイルばねを用い、その両端部をそれぞれ2つの可動磁石における後面(前面)に当接させる構成を採ることが可能である。
(20)上記した各実施形態では、可動磁石、付勢手段である圧縮コイルばね及び移動部材の設置数を2つずつとした場合を示したが、可動磁石、付勢手段及び移動部材の設置数を3つ以上ずつとすることも可能である。
(21)上記した各実施形態以外にも、可動磁石や圧縮コイルばねの長さ寸法を変更するとともに、前進位置及び後退位置とした可動磁石における前面及び後面の嵌合方向についての位置(特に車両側端子金具の前端位置との相対的な位置関係)を変更することが可能である。
(22)上記した各実施形態以外にも、可動磁石収容室の前壁部における嵌合方向についての位置は適宜に変更可能である。
(23)上記した各実施形態では、可動磁石収容室及び移動部材収容室が後方にのみ開口する形態としたものを示したが、可動磁石収容室または移動部材収容室をZ軸方向やY軸方向に沿って側方に開口する形態とすることも可能である。その場合、可動磁石収容室及び移動部材収容室を後方に開口させない構成として、車両側ハウジングとは別部品とされたガイド部材を省略することも可能である。
(24)上記した各実施形態では、「Combined Charging System(コンボ方式)」に適合した充電コネクタにおいて車両側コネクタ側に可動磁石を配置したものを示したが、同充電コネクタにおいて給電側コネクタ側に可動磁石を配置し、車両側コネクタ側に引き寄せ磁性部材を配置することも可能である。さらには、車両側コネクタと給電側コネクタとに可動磁石と引き寄せ磁性部材とを1つずつ配置することも可能である。
(25)上記した各実施形態では、通常充電部及び急速充電部を併有してなる「Combined Charging System(コンボ方式)」に適合した充電コネクタについて例示したが、通常充電用コネクタと急速充電用コネクタとを分離したCHAdeMO(登録商標)方式に適合した充電コネクタにも本発明は適用可能である。
(26)上記した各実施形態では、外側磁力線が内側領域に対して外側に存在する一対の外側領域の双方において作用する磁界を発生させる可動磁石を用いたものを示したが、外側磁力線が片方の外側領域においてのみ作用する磁界を発生させる可動磁石を用いることも可能である。
(27)上記した各実施形態では、可動磁石が内側磁力線(第1内側磁力線及び第2内側磁力線)及び外側磁力線(第1外側磁力線及び第2外側磁力線)を共に発生させる構成、つまり内側磁力線発生面(第1内側磁力線発生面及び第2内側磁力線発生面)及び外側磁力線発生面(第1外側磁力線発生面及び第2外側磁力線発生面)を共に有する構成のものを示したが、内側磁力線のみを発生させる構成(内側磁力線発生面のみを有する構成)の可動磁石や、外側磁力線のみを発生させる構成(外側磁力線発生面のみを有する構成)の可動磁石を用いることも可能である。
(28)上記した各実施形態以外にも、正極側の車両側端子金具または電力用端子金具と、負極側の車両側端子金具または電力用端子金具との配置を逆転させることも可能である。その場合は、可動磁石におけるN極面及びS極面の配置も逆転させることが可能である。
(29)上記した各実施形態以外にも、正極側の車両側端子金具または電力用端子金具と、負極側の車両側端子金具または電力用端子金具とが高さ方向に沿って上下に並ぶ配置とすることも可能である。その場合は、N極面とS極面とが幅方向に沿って左右に並ぶよう一対の可動磁石の配置を変更するとともに、一対の移動部材が幅方向に沿って並ぶよう配置を変更することが可能である。
(30)上記した各実施形態では、可動磁石の並び方向と、一対の車両側端子金具または電力用端子金具の並び方向とが互いに直交する位置関係のものを示したが、可動磁石の並び方向と、一対の車両側端子金具または電力用端子金具の並び方向とが直交せずに交差する(90度以外の角度で交差する)位置関係とされるものも本発明に含まれる。
(31)上記した各実施形態では、可動磁石として永久磁石を用いた場合を示したが、可動磁石として電磁石を使用することも可能である。
(32)上記した各実施形態では、急速充電用のコネクタについて例示したが、通常充電用のコネクタにも本発明は同様に適用可能である。