JP6060871B2 - 表面処理された酸化アルミニウム粉末及び熱伝導性材料の製造方法 - Google Patents

表面処理された酸化アルミニウム粉末及び熱伝導性材料の製造方法 Download PDF

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本発明は、表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法、該方法により得られる表面処理された酸化アルミニウム粉末、及び該酸化アルミニウム粉末を配合した熱伝導性材料に関する。
近年、パソコンのCPU(中央処理装置)等の発熱性電子部品の小型化、高出力化に伴い、それらの電子部品から発生する単位面積当たりの熱量は非常に大きくなってきている。この発熱性電子部品を長期にわたり故障しないように使用するためには、発熱する電子部品の冷却が必要とされる。冷却には金属製のヒートシンクや筐体が使用され、更に発熱性電子部品からヒートシンクや筐体などの冷却部へ効率よく熱を伝えるために熱伝導性材料が使用される。この熱伝導性材料を使用する理由として、発熱性電子部品とヒートシンク等をそのまま接触させた場合、その界面は微視的にみると、空気が存在し、熱伝導の障害となる。従って、界面に存在する空気の代わりに、熱伝導性材料を発熱性電子部品とヒートシンク等の冷却部品との間に介在させることによって効率よく熱を伝えることが可能となる。
熱伝導性材料としては、シリコーンゴムに熱伝導性粉末を充填した硬化物からなる熱伝導性シート、シリコーンゲルのようなやわらかいシリコーンに熱伝導性粉末を充填した硬化物からなる熱伝導性パッド、シリコーンオイルに熱伝導性粉末を充填したシリコーングリースなどがあるが、発熱部品の高出力化によって、これらの熱伝導性材料も高熱伝導化が求められるようになっている。熱伝導性材料の高熱伝導化を図る手段の一つとして、熱伝導性の高いセラミックス粉末を樹脂へ充填する手法があり、酸化アルミニウム粉末が用いられてきた。
しかし、更に高熱伝導化を図るためには、酸化アルミニウム粉末をシリコーン樹脂へ更に高充填することが望まれるが、ある一定量以上の充填は難しいという問題がある。
シリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに酸化アルミニウム粉末を高充填する方法として、シランカップリング剤を添加して混合するインテグラルブレンド法を用いる方法がある。
更に、高充填可能な方法として、酸化アルミニウム粉末とシランカップリング剤をトルエンなどの溶媒中に分散させるとともに加熱を行うことで酸化アルミニウム粉末表面にシランカップリング剤を縮合反応させる溶媒置換法を用いる方法がある。この溶媒置換法により得られた、シランカップリング剤により表面処理された酸化アルミニウム粉末は、シリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに高充填できる。
そこで、シリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに酸化アルミニウム粉末を高充填するために、上記溶媒置換法において、シランカップリング剤をオルガノシロキサンオリゴマーに変えることで、高温時の物性変化の小さな熱伝導性材料が得られるものと期待できる。即ち、更に高充填が可能と思われる溶媒置換法にて、オルガノシロキサンオリゴマーで表面処理された酸化アルミニウム粉末が得られれば、該表面処理酸化アルミニウム粉末が高充填された、熱伝導率が大きく、かつ高温での物性変化の小さな熱伝導性材料を作製し得るものと期待できるが、該溶媒置換法ではオルガノシロキサンオリゴマーで表面処理された酸化アルミニウム粉末を得ることはできなかった。
特開2010−150317号公報(特許文献1)には、金属酸化物微粒子、及び、反応性官能基を有する一価有機基、及びケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基を有する有機ケイ素化合物を、水の存在下、200℃以上の温度の条件下で反応させ、有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化された金属酸化物微粒子の製造方法が記載され、有機ケイ素化合物として、反応性シラン、反応性オルガノシロキサンオリゴマーが記載されている。また、実施例4では15nmのアルミナ粒子水分散液と2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランを仕込み、300℃、5分間の加熱によりポリシロキサン組成物中の有機ケイ素基が化学結合により表面に固定化された酸化アルミニウム微粒子を得たと記載されているように、シランカップリング剤を用いた例示はあるものの、オルガノシロキサンオリゴマーを用いた例示はない。
特開2010−150321号公報(特許文献2)には、金属酸化物微粒子、及び、ケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基、及び置換基若しくは非置換基の一価炭化水素基を有する有機ケイ素化合物を、水の存在下、200℃以上の温度の条件下で反応させ、有機ケイ素基が該有機ケイ素基中の酸素原子を介して化学結合により表面に固定化された金属酸化物微粒子の製造方法が記載されている。有機ケイ素化合物として直鎖状のシリコーンオリゴマーを用いる製造方法も記載されており、その直鎖状のオルガノシロキサンオリゴマーとして、下記一般式(D)で表されるものが記載されているが、実施例においては、金属酸化物微粒子としてシリカが用いられており、また有機ケイ素化合物としてシランカップリング剤を用いた例示のみであり、酸化アルミニウム粉末に該オルガノシロキサンオリゴマーを表面処理した例示はない。
1 22SiO−(SiR12O)s−SiR1 22 (D)
(式中、R1は、それぞれ独立して、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、R2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、又は、ケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基を表し、但し、一分子中の少なくとも1個のR2は、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基であり、sは、0<sを満たす数である)
特開2010−150317号公報 特開2010−150321号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、シリコーンゴム、シリコーンゲル及びシリコーンオイルに高充填可能な、表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法及びその方法により得られた表面処理酸化アルミニウム粉末、その粉末を高充填した、高温時の物性変化が小さい熱伝導性材料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、オルガノシロキサンオリゴマーで表面処理された酸化アルミニウム粉末を製造する方法として、pH8〜12の酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを高温高圧水中で反応させることにより、酸化アルミニウム粉末の表面にオルガノシロキサンオリゴマー主鎖を固定化することができるため、シリコーンゴム、シリコーンゲルあるいはシリコーンオイルに高充填可能となり、得られた熱伝導性材料は高温時の粘度変化に代表される物性変化が小さいものとなり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の表面処理された酸化アルミニウム粉末及び熱伝導性材料の製造方法を提供する。
〔1〕
オルガノシロキサンオリゴマーで表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法であって、pHが8以上12以下の酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを、100℃以上400℃以下、5〜35MPaの高温高圧水中で反応させることを特徴とする表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法。
〔2〕
オルガノシロキサンオリゴマーが、下記一般式(1)
Figure 0006060871
(式中、R1はそれぞれ独立に非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に加水分解性基又は水酸基であり、aは0〜50、bは0〜50、a+bは0<a+b≦100を満たす数であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。また、cは2又は3である。)
で表される直鎖状のオルガノシロキサンオリゴマーであることを特徴とする〔1〕記載の表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法。
〔3〕
〔1〕又は〔2〕記載の製造方法により得られる表面処理された酸化アルミニウム粉末をシリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに充填する工程を含む、熱伝導性材料の製造方法
本発明の製造方法によれば、シリコーンゴム、シリコーンゲルあるいはシリコーンオイルに高充填可能な、表面処理された酸化アルミニウム粉末を得ることができ、該表面処理酸化アルミニウム粉末をシリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーングリースに高充填した熱伝導性材料は、高温時の粘度変化に代表される物性変化が小さいものである。
以下、本発明の表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法及びその粉末、その粉末を充填した熱伝導性材料について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の表面処理酸化アルミニウム粉末の製造方法は、pH8〜12の酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを高温高圧水中で反応させるものである。
本発明に用いる酸化アルミニウム粉末としては、形状は球状、破砕状など種々の形状のものが適用可能である。粒径は数nmから数百μmと幅広く適用可能である。
酸化アルミニウム粉末水分散液は、酸化アルミニウム粉末と水とを、好ましくは1:99〜70:30、より好ましくは5:95〜30:70の質量比で混合、撹拌することにより得ることができる。酸化アルミニウム粉末の割合が多すぎると装置配管のつまりを起こす場合があり、少なすぎると所定量の表面処理された酸化アルミニウム粉末を得るのに時間を要する場合がある。
酸化アルミニウム粉末水分散液は、オルガノシロキサンオリゴマーとの反応をアルカリ性下で行うことが好ましいことから、pHが8〜12である必要があり、好ましくはpH9〜12である。pHが8未満では酸化アルミニウム粉末に表面処理がなされず、pHが12より高いと装置配管やゴム部品の劣化が促進しやすい。
酸化アルミニウム粉末水分散液を上記pHとするには、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることで調整することができる。
本発明に用いるオルガノシロキサンオリゴマーは、直鎖状であることが好ましい。また、前記オルガノシロキサンオリゴマーは、片末端にケイ素原子結合加水分解性基あるいはシラノール基を少なくとも2個、更には3個有し、もう一方の片末端はケイ素原子結合加水分解性基及びシラノール基を有しないものであることが好ましい。このようなオルガノシロキサンオリゴマーとしては、下記一般式(1)で表される直鎖状のオルガノシロキサンオリゴマーが例示できる。
Figure 0006060871
(式中、R1はそれぞれ独立に非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に加水分解性基又は水酸基であり、aは0〜50、bは0〜50、a+bは0<a+b≦100を満たす数であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。また、cは2又は3である。)
上記式(1)中、R1は、非置換又は置換の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換されたもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
2は、加水分解性基又は水酸基であり、加水分解性基としては、例えば、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6、特に1〜4のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の炭素数2〜6、特に2〜4のアルコキシアルコキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、イソプロペノキシ基等のアルケニルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基などが挙げられる。R2としては、メトキシ基、エトキシ基、水酸基が好ましい。
aは0〜50、好ましくは5〜45、より好ましくは10〜40であり、bは0〜50、好ましくは0〜40、より好ましくは0〜20であり、a+bは0<a+b≦100、好ましくは5〜85、より好ましくは10〜60、更に好ましくは10〜50を満たす数である。なお、aが付された単位とbが付された単位は互いにランダムに結合されていてよい。また、cは2又は3、好ましくは3である。
本発明に用いるオルガノシロキサンオリゴマーは、ケイ素原子数が3〜102個、特に7〜87個、とりわけ12〜52個であることが好ましい。ケイ素原子数が3個未満では酸化アルミニウム粉末をシリコーン樹脂へ更に高充填することができない場合があり、多すぎると装置配管のつまりを起こす場合がある。
両末端にケイ素原子結合加水分解性基あるいはシラノール基がある場合には、反応中にオルガノシロキサンオリゴマー同士の縮合反応が進み、酸化アルミニウム粉末表面への付着量が極端に少なくなるため、片末端のみにケイ素原子結合加水分解性基あるいはシラノール基を有し、もう一方の片末端はケイ素原子結合加水分解性基及びシラノール基を有しないオルガノシロキサンオリゴマーが好ましい。更に、片末端に存在するケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基が1個だけの場合には、酸化アルミニウム粉末表面へ固定化する量が極端に小さくなり、シリコーン樹脂への高充填が達成しにくくなるため、片末端のケイ素原子結合加水分解性基あるいはシラノール基は、少なくとも2個、更には3個有していることが好ましい。
このようなオルガノシロキサンオリゴマーの具体例としては、
(CH33SiO−(Si(CH32O)10−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)20−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)30−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)40−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)50−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)30−(Si(CH3)(OCH3))−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)30−(Si(OCH3)(OCH3))−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)30−(Si(CH3)(OCH3))2−Si(OCH33
(CH33SiO−(Si(CH32O)30−(Si(OCH3)(OCH3))2−Si(OCH33
などが挙げられる。
高温高圧水中で反応させる要件としては、アルカリ性であることが好ましい。ここで、高温高圧水をアルカリ性とするには、上述した酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを8〜12とすることにより達成できる。
高温高圧水中で反応させる条件としては、反応温度が好ましくは100℃以上400℃以下、より好ましくは200〜300℃であり、また反応圧力が好ましくは5MPa以上、より好ましくは5〜35MPaである。反応温度が100℃未満、あるいは反応圧力が5MPa未満であると、反応が十分に進行しない場合がある。反応温度が400℃より高いと、酸化アルミニウム粉末上へオルガノシロキサンオリゴマー主鎖を固定化する量が小さくなる場合がある。
反応させる時間については大きな制限はないが、30秒以上、30分以下が推奨される範囲であり、更に1〜5分間が好ましい範囲である。反応時間が短すぎると、オルガノシロキサンオリゴマー主鎖形成のための縮合反応が十分に進行しない場合があり、また、反応時間が長すぎるとエネルギーの無駄となるので好ましくない。
反応させる際の反応様式については特に制限はなく、バッチ式反応、流通式反応のいずれも適用することができるが、本発明においては、流通式反応により行うことが好ましい。なお、バッチ式反応においては、反応容器に投入後、設定した温度、圧力にて所定時間保つ操作により行うことができる。
流通式反応においては、例えば、株式会社アイテック製、MOMI超MINIを用いることができる。この装置において、水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマー、それぞれを別々の貯槽から送液ポンプを用いて連続的に供給ユニットから反応ユニットに導入し、流通させながら混合、反応させる方法が一般的である。この際、常温のまま導入することも可能であるが、水のみを予熱させ、更に反応温度まで加熱することも可能である。生成物は回収ユニットで捕集される。
ここで、水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマーの反応割合は、上述した割合となるように反応させればよいが、具体的には、水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマーをそれぞれ5〜10ml/min、0.5〜10ml/min、0.5〜10ml/minとすることが好ましく、7〜10ml/min、0.5〜5ml/min、0.5〜5ml/minとすることがより好ましい。
また、反応容器の材質に関しては、本発明の製造方法が塩素系ガスの発生を伴わないことから、大きな制限はない。通常の圧力容器に用いられるステンレススチール、チタン合金が好ましく使用される。更に加熱媒体に関しても制限はなく、高温反応で通常使用される熱媒体が使用可能である。この流通式反応装置での加熱手段として電気炉を用いているが、これに限定されるものではない。
得られた反応生成物を、遠心分離機等を用いて分離し、更に乾燥させることにより、表面処理された酸化アルミニウム粉末を得ることができる。
本発明の特定pH値を有する酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを高温高圧水中で反応させることにより得られた、表面処理酸化アルミニウム粉末は、シリコーンゴム、シリコーンゲル、シリコーンオイルといった様々なシリコーン樹脂への高充填が可能である。この場合、表面処理酸化アルミニウム粉末は、シリコーン樹脂と表面処理酸化アルミニウム粉末の質量比が1:1〜1:10となるようにシリコーン樹脂へ添加することができる。
本発明においては、シランカップリング剤を使用せず、オルガノシロキサンオリゴマーを使用することにより、酸化アルミニウム粉末の表面にオルガノシロキサンオリゴマー主鎖を固定化できるため、該表面処理酸化アルミニウム粉末を上記シリコーン樹脂へ高充填した熱伝導性材料は、高温時の粘度変化に代表される物性変化が小さいものとなり得る。
以下、本発明の表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法及びその粉末、その粉末を充填した熱伝導性材料について詳細に説明する。
なお、本発明は、下記実施形態に限定されるものではない。下記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
[高温高圧水中での反応]
株式会社アイテック製、MOMI超MINIを用い、高温高圧水中での反応を行った。水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマー、それぞれを別々の貯槽から送液ポンプを用いて連続的に供給ユニットから反応ユニットに導入し、流通させながら混合、反応させ、生成物は回収ユニットで捕集した。
[表面処理された酸化アルミニウム粉末の分離洗浄乾燥]
捕集した分散液をステンレススチール容器に入れて遠心分離機にて遠心分離を行った。容器中の上澄み液のみを廃棄して粉末のみを残した。粉末のみを残した容器中にトルエンを入れて撹拌分散を行い、遠心分離機にて遠心分離を行い、上澄み液のみを廃棄して粉末のみを残した。この操作を2回行った。その後、トルエンをエタノールに変えた操作を1回行った。ステンレススチール容器のまま80℃、30分の乾燥、その後に150℃、4時間の乾燥を行い、粉だけを回収して、表面処理された酸化アルミニウム粉末を得た。
[充填性の評価]
シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF−96H−3万cs)と表面処理された酸化アルミニウム粉末を質量比で1:5にて秤量、撹拌を行い、得られた熱伝導性材料であるシリコーングリースの23℃におけるズリ速度0.9s-1の粘度をHAAKE RS6000(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)により測定した。粘度が小さいものが高充填であると評価した。
[高温時の物性変化の評価]
上記、熱伝導性材料であるシリコーングリースを、250℃、500時間にてエージングを行い、23℃におけるズリ速度0.9s-1の粘度をHAAKE RS6000(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)により測定した。上記、充填性の評価にて測定した粘度がエージング前の粘度であり、エージング後の粘度から、(エージング後の粘度−エージング前の粘度)/エージング前の粘度、を求め、この値が小さいものが高温時の物性変化が小さいと評価した。
[実施例1]
酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製、AL−47−1)と水を質量比で1:4にて秤量、撹拌を行い、酸化アルミニウム粉末水分散液を作製した。この水分散液にアンモニア水を加えて、pHが11となるように調整した。オルガノシロキサンオリゴマーとして(CH33SiO−(Si(CH32O)30−Si(OCH33を用いた。水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマーをそれぞれ流量9ml/min、3ml/min、1.5ml/minで、温度250℃、圧力30MPaにて高温高圧水中での反応を行った。生成物を回収ユニットで捕集した。捕集した生成物分散液の分離洗浄乾燥を行い、表面処理された酸化アルミニウム粉末を得、熱伝導性材料であるシリコーングリースを得た。この熱伝導性材料であるシリコーングリースの充填性、高温時の物性変化の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2〜5]
高温高圧水中での反応における温度、圧力を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 0006060871
[比較例1]
酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製、AL−47−1)の表面処理を行わず、充填性の評価、高温時の物性変化の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006060871
[実施例6]
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH33SiO−(Si(CH32O)10−Si(OCH33に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例7]
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH33SiO−(Si(CH32O)20−Si(OCH33に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例8]
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH33SiO−(Si(CH32O)40−Si(OCH33に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[実施例9]
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH33SiO−(Si(CH32O)50−Si(OCH33に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
[比較例2]
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、シランカップリング剤である2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 0006060871
[実施例10]
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを8としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
[実施例11]
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを12としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
[比較例3]
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを7としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
[比較例4]
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを13としたこと以外は、実施例1と同様に行った。高温高圧水中での反応を行ったところ、配管つまりにより生成物を捕集することができなかった。結果を表4に示す。
Figure 0006060871
以上、本発明のpH8〜12の酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを高温高圧水中で反応させることにより得られた、表面処理された酸化アルミニウム粉末は、シリコーンゴム、シリコーンゲル、シリコーンオイルといった様々なシリコーン樹脂への高充填が可能である。更に、オルガノシロキサンオリゴマーを使用することにより、酸化アルミニウム粉末の表面にオルガノシロキサンオリゴマー主鎖を固定化することができるため、シランカップリング剤を使用した比較例2に比べて、高温時の物性変化が小さい熱伝導性材料を提供できることが明らかとなった。

Claims (3)

  1. オルガノシロキサンオリゴマーで表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法であって、pHが8以上12以下の酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを、100℃以上400℃以下、5〜35MPaの高温高圧水中で反応させることを特徴とする表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法。
  2. オルガノシロキサンオリゴマーが、下記一般式(1)
    Figure 0006060871
    (式中、R1はそれぞれ独立に非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に加水分解性基又は水酸基であり、aは0〜50、bは0〜50、a+bは0<a+b≦100を満たす数であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。また、cは2又は3である。)
    で表される直鎖状のオルガノシロキサンオリゴマーであることを特徴とする請求項1記載の表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法により得られる表面処理された酸化アルミニウム粉末をシリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに充填する工程を含む、熱伝導性材料の製造方法
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