JP6060871B2 - 表面処理された酸化アルミニウム粉末及び熱伝導性材料の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、更に高熱伝導化を図るためには、酸化アルミニウム粉末をシリコーン樹脂へ更に高充填することが望まれるが、ある一定量以上の充填は難しいという問題がある。
更に、高充填可能な方法として、酸化アルミニウム粉末とシランカップリング剤をトルエンなどの溶媒中に分散させるとともに加熱を行うことで酸化アルミニウム粉末表面にシランカップリング剤を縮合反応させる溶媒置換法を用いる方法がある。この溶媒置換法により得られた、シランカップリング剤により表面処理された酸化アルミニウム粉末は、シリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに高充填できる。
R1 2R2SiO−(SiR1R2O)s−SiR1 2R2 (D)
(式中、R1は、それぞれ独立して、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、R2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、又は、ケイ素原子結合加水分解性基若しくはシラノール基を表し、但し、一分子中の少なくとも1個のR2は、ケイ素原子結合加水分解性基又はシラノール基であり、sは、0<sを満たす数である)
〔1〕
オルガノシロキサンオリゴマーで表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法であって、pHが8以上12以下の酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを、100℃以上400℃以下、5〜35MPaの高温高圧水中で反応させることを特徴とする表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法。
〔2〕
オルガノシロキサンオリゴマーが、下記一般式(1)
で表される直鎖状のオルガノシロキサンオリゴマーであることを特徴とする〔1〕記載の表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法。
〔3〕
〔1〕又は〔2〕記載の製造方法により得られる表面処理された酸化アルミニウム粉末を、シリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに充填する工程を含む、熱伝導性材料の製造方法。
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)10−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)20−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)30−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)40−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)50−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)30−(Si(CH3)(OCH3))−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)30−(Si(OCH3)(OCH3))−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)30−(Si(CH3)(OCH3))2−Si(OCH3)3
(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)30−(Si(OCH3)(OCH3))2−Si(OCH3)3
などが挙げられる。
ここで、水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマーの反応割合は、上述した割合となるように反応させればよいが、具体的には、水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマーをそれぞれ5〜10ml/min、0.5〜10ml/min、0.5〜10ml/minとすることが好ましく、7〜10ml/min、0.5〜5ml/min、0.5〜5ml/minとすることがより好ましい。
本発明においては、シランカップリング剤を使用せず、オルガノシロキサンオリゴマーを使用することにより、酸化アルミニウム粉末の表面にオルガノシロキサンオリゴマー主鎖を固定化できるため、該表面処理酸化アルミニウム粉末を上記シリコーン樹脂へ高充填した熱伝導性材料は、高温時の粘度変化に代表される物性変化が小さいものとなり得る。
なお、本発明は、下記実施形態に限定されるものではない。下記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
株式会社アイテック製、MOMI超MINIを用い、高温高圧水中での反応を行った。水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマー、それぞれを別々の貯槽から送液ポンプを用いて連続的に供給ユニットから反応ユニットに導入し、流通させながら混合、反応させ、生成物は回収ユニットで捕集した。
捕集した分散液をステンレススチール容器に入れて遠心分離機にて遠心分離を行った。容器中の上澄み液のみを廃棄して粉末のみを残した。粉末のみを残した容器中にトルエンを入れて撹拌分散を行い、遠心分離機にて遠心分離を行い、上澄み液のみを廃棄して粉末のみを残した。この操作を2回行った。その後、トルエンをエタノールに変えた操作を1回行った。ステンレススチール容器のまま80℃、30分の乾燥、その後に150℃、4時間の乾燥を行い、粉だけを回収して、表面処理された酸化アルミニウム粉末を得た。
シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF−96H−3万cs)と表面処理された酸化アルミニウム粉末を質量比で1:5にて秤量、撹拌を行い、得られた熱伝導性材料であるシリコーングリースの23℃におけるズリ速度0.9s-1の粘度をHAAKE RS6000(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)により測定した。粘度が小さいものが高充填であると評価した。
上記、熱伝導性材料であるシリコーングリースを、250℃、500時間にてエージングを行い、23℃におけるズリ速度0.9s-1の粘度をHAAKE RS6000(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)により測定した。上記、充填性の評価にて測定した粘度がエージング前の粘度であり、エージング後の粘度から、(エージング後の粘度−エージング前の粘度)/エージング前の粘度、を求め、この値が小さいものが高温時の物性変化が小さいと評価した。
酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製、AL−47−1)と水を質量比で1:4にて秤量、撹拌を行い、酸化アルミニウム粉末水分散液を作製した。この水分散液にアンモニア水を加えて、pHが11となるように調整した。オルガノシロキサンオリゴマーとして(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)30−Si(OCH3)3を用いた。水、酸化アルミニウム粉末水分散液、オルガノシロキサンオリゴマーをそれぞれ流量9ml/min、3ml/min、1.5ml/minで、温度250℃、圧力30MPaにて高温高圧水中での反応を行った。生成物を回収ユニットで捕集した。捕集した生成物分散液の分離洗浄乾燥を行い、表面処理された酸化アルミニウム粉末を得、熱伝導性材料であるシリコーングリースを得た。この熱伝導性材料であるシリコーングリースの充填性、高温時の物性変化の評価を行った。結果を表1に示す。
高温高圧水中での反応における温度、圧力を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製、AL−47−1)の表面処理を行わず、充填性の評価、高温時の物性変化の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)10−Si(OCH3)3に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)20−Si(OCH3)3に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)40−Si(OCH3)3に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、(CH3)3SiO−(Si(CH3)2O)50−Si(OCH3)3に変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
実施例1で使用したオルガノシロキサンオリゴマーを、シランカップリング剤である2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに変えたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを8としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを12としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを7としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
酸化アルミニウム粉末水分散液のpHを13としたこと以外は、実施例1と同様に行った。高温高圧水中での反応を行ったところ、配管つまりにより生成物を捕集することができなかった。結果を表4に示す。
Claims (3)
- オルガノシロキサンオリゴマーで表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法であって、pHが8以上12以下の酸化アルミニウム粉末水分散液とオルガノシロキサンオリゴマーとを、100℃以上400℃以下、5〜35MPaの高温高圧水中で反応させることを特徴とする表面処理された酸化アルミニウム粉末の製造方法。
- 請求項1又は2記載の製造方法により得られる表面処理された酸化アルミニウム粉末を、シリコーンゴム、シリコーンゲル又はシリコーンオイルに充填する工程を含む、熱伝導性材料の製造方法。
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