JP6060771B2 - タイヤインナーライナー用シート及びタイヤ - Google Patents
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Description
の重ね合わせのための接着層は、加硫工程においてブラダーと加熱状態で接触することになり、ブラダーに粘着するという問題がある。
(1)タイヤの内側に接着して用いられるタイヤインナーライナー用シートであって、前記タイヤの内側の面から、第1接着層、中間層、第2接着層をこの順で含んで構成され、前記中間層のヤング率が500MPa以下であり、前記第1接着層が、架橋性樹脂Aを含むことを特徴とするタイヤインナーライナー用シート。
(2)前記第2接着層が架橋性樹脂Aを含むものである上記(1)に記載のタイヤインナーライナー用シート。
(3)前記架橋性樹脂Aが分子中に炭素−炭素二重結合、および/またはエチレン構造(化学式「―CH2―CH2―」で表される構造)を有するものである上記(1)または(2)に記載のタイヤインナーライナー用シート。
(4)前記第1接着層が過酸化物を含むものである上記(1)ないし(3)いずれかに記載のタイヤインナーライナー用シート。
(5)前記第2接着層が過酸化物を含むものである上記(2)ないし(4)いずれかに記載のタイヤインナーライナー用シート。
(6)前記中間層が架橋性樹脂Bを含むものである上記(1)ないし(5)いずれかに記載のタイヤインナーライナー用シート。
(7)前記架橋性樹脂Bが分子中に炭素−炭素二重結合、および/またはエチレン構造を有するものである上記(6)に記載のタイヤインナーライナー用シート。
(8)前記中間層がガスバリア性樹脂を含むものである上記(1)ないし(7)いずれかに記載のタイヤインナーライナー用シート。
(9)前記ガスバリア性樹脂がスチレン―イソブチレン―スチレン共重合体である上記(8)に記載のタイヤインナーライナー用シート。
(10)上記(1)ないし(9)いずれかに記載のタイヤインナーライナー用シートを備えるタイヤ。
の重ね合わせ部分の接着力が向上し、さらに、タイヤ成形時のブラダーに対するインナーライナーの離型性が向上したタイヤインナーライナー用シート、及び、それを用いた空気入りタイヤを提供できる。
図1は、本発明のタイヤインナーライナー用シートの一例の断面図である。図1に示すタイヤインナーライナー用シート10は、タイヤの内側を構成するゴム状弾性層1に接着して用いられるものであり、タイヤの内側から、第1接着層11、中間層12、第2接着層13をこの順で含んで構成されるものである。
本発明のタイヤインナーライナー用シート10において、第1接着層11は、ガスバリア層である中間層12との接着ができ、加えてタイヤの内側を構成するゴム状弾性層1であるカーカスゴム又はインスレーションとの接着ができ、かつ、タイヤ成形時にインナーライナー用シートを周回して重ね合わせた箇所において第2接着層13との接着ができる役割を有する。
これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
また、本発明のタイヤインナーライナー用シート10において、中間層12は、タイヤ内の気体がタイヤを透過するのを防ぐ役割を有する。
これにより、タイヤ走行時にもタイヤ内面との接着が確保され、バーストを防止することができる。
これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
これにより、加熱により、中間層12と、中間層12に隣接する樹脂層(図1においては、第1接着層11と第2接着層13)との層間において、炭素−炭素二重結合、および/またはエチレン構造との間で架橋反応が進行することにより、より容易に層間架橋が形成され、層間の接着強度をより高めることができる。また、タイヤ走行時にもタイヤ内面との接着がより十分に確保され、バーストを防止することができる。
前記ガスバリア性樹脂としては、特に限定されないが、エチレン―ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、スチレン―イソブチレン―スチレン共重合体、スチレン―イソブチレン共重合体を含むものであることが好ましく、中でもタイヤ加工性、および、タイヤ走行時のクラック防止の観点から、スチレン―イソブチレン―スチレン共重合体を含むものであることがより好ましい。
ガスバリア性樹脂が65重量%以上、95重量%以下であり、前記架橋性樹脂Bが5重量%以上、35重量%以下であることがより一層好ましい。
ここで、本発明のタイヤインナーライナー用シート10において、第2接着層13は、ガスバリア層である中間層12との接着ができ、加えてタイヤ成形時にインナーライナー用シートを周回して重ね合わせた箇所において第1接着層11との接着ができ、かつ、タイヤ加硫成形後はブラダーと離型性する役割を有する。
これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
これにより、加熱により第2接着層13中の架橋性樹脂Aの分子間において、炭素−炭素二重結合、および/またはエチレン構造との間で架橋反応が進行し、第2接着層13の耐熱性をより向上させることができる。また、加熱により、第2接着層13と、第2接着層13に隣接する樹脂層(図1においては、中間層12)との層間において、炭素−炭素二重結合、および/またはエチレン構造との間で架橋反応が進行することにより、より容易に層間架橋が形成され、層間の接着強度をより高めることができる。また、タイヤインナーライナー用シート10を周回して重ね合わせた箇所においても層間架橋が比較的容易に形成され、第1接着層11との接着強度をより高めることができる。
層間架橋が形成され、層間の接着強度をより高めることができる。また、タイヤインナーライナー用シート10を周回して重ね合わせた箇所においても層間架橋が比較的容易に形成され、第1接着層11との接着強度をさらに高めることができる。
これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
例えば、図2に示すタイヤインナーライナー用シート20においては、第1接着層21と中間層22の間に補助接着層24、第2接着層23と中間層22の間に補助接着層25が含まれ、第1接着層21と補助接着層24の層間、中間層22と補助接着層24の層間、第2接着層23と補助接着層25の層間、中間層22と補助接着層25の層間でそれぞれ層間架橋され得る。
本開示にかかるタイヤインナーライナー用シートの製造方法の限定されない一実施形態としては、先ず、中間層に用いる架橋性樹脂Bを含む樹脂をTダイ押出機で押出によりシート化し、これを冷却ロール上で常温に冷却する。その後、分子中に炭素―炭素二重結合および/またはエチレン構造を含む架橋性樹脂A10重量%と過酸化物10重量%をテトラヒドロフランに溶解させ、この溶液を前記シートの両面に、コンマコーターでウェット膜厚25μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥することにより製造できる。
ここで、本発明のタイヤインナーライナー用シートを備えるタイヤの一実施形態の構造について、図3を用いて説明する。
また、一方のビード部33から他方のビード部にわたって設けられ、両端を折り返してビードコア34を係止するカーカス(ゴム状弾性層)35と、該カーカス35のクラウン部外側に2枚のプライよりなるベルト層36とが配置されている。カーカス35のタイヤ半径方向内側には一方のビード部33から他方のビード部33に亘るインナーライナー38が配置されている。ベルト層36は、スチールコード又はアラミド繊維等のコードよりなる2枚のプライを、タイヤ周方向に対してコードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。
またカーカスはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア34の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス37が配置される。
本開示にかかるタイヤの製造方法は、一実施の形態において、タイヤの製造方法は以下の工程を含む。
本開示にかかるインナーライナー用シートをインナーライナーに用いた生タイヤを準備する;
前記生タイヤを金型に装着し、ブラダーにより加圧しつつ加硫して加硫タイヤを得る;
前記加硫タイヤを50〜120℃で10〜300秒間冷却する。
本開示にかかるタイヤインナーライナー用シートは生タイヤのインナーライナー部に配置される。図1のタイヤインナーライナー用シート10を配置する場合、第1接着層11がカーカスゴム35の内側のタイヤ内面に接着されるように、第1接着層11をタイヤ半径方向外側に向けて配置する。この配置により、優れた耐気体透過性及び耐久性を有することができる。また、インナーライナー38とカーカス35との間に、インスレーションが配置されている場合も、第1接着層11が、インスレーションに接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置することにより、インナーライナー38とインスレーションとの接着強度を高めることができる。
ートの片面にコンマコーターで塗工して80℃で1分間乾燥して第1接着層11を成形した後、前記シートのもう一方の面に膜厚25μmとなるようにこの溶液をコンマコーターで塗工して80℃で1分間乾燥して第2接着層13を成形し、総厚み510μmのシートを作製した。
中間層12として、スチレン―イソブチレン―スチレン共重合体(カネカ株式会社製、品番:シブスター103T)、及び、エチレンプロピレンジエンゴム(三井化学株式会社製、品番:三井EPT K−9720)を表1に示す配合処方に従って混合した後、押出機(シリンダー温度:250℃)に投入した。中間層12はTダイス(ダイス温度:250℃)でシート化された後、冷却ロール(温度:25℃)で冷却、固化することにより得られた。
第1接着層11、第2接着層13として、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(日本ゼオン株式会社製、品番:クインタック3270、ジクミルパーオキサイド(化薬アクゾ株式会社製、品番:Perkadox BC−FF)、テトラヒドロフラン(関東化学株式会社製、品番:テトラヒドロフラン特級))を表1に示す配合処方に従って混合して溶解させた後、ウェット膜厚25μmとなるようにこの溶液を前記シートの片面にコンマコーターで塗工して80℃で1分間乾燥して第1接着層11を成形した後、前記シートのもう一方の面に膜厚25μmとなるようにこの溶液をコンマコーターで塗工して80℃
で1分間乾燥して第2接着層13を成形して総厚み510μmのシートを作製した。
中間層12として、スチレン―イソブチレン―スチレン共重合体(カネカ株式会社製、品番:シブスター103T)、及び、エチレンプロピレンジエンゴム(三井化学株式会社製、品番:三井EPT K−9720)を表1に示す配合処方に従って混合した後、押出機(シリンダー温度:250℃)に投入した。中間層12はTダイス(ダイス温度:250℃)でシート化された後、冷却ロール(温度:25℃)で冷却、固化することにより得られた。
第1接着層11、第2接着層13として、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(日本ゼオン株式会社製、品番:クインタック3270)、テトラヒドロフラン(関東化学株式会社製、品番:テトラヒドロフラン特級)を表1に示す配合処方に従って混合して溶解させた後、ウェット膜厚25μmとなるようにこの溶液を前記シートの片面にコンマコーターで塗工して80℃で1分間乾燥して第1接着層11を成形した後、前記シートのもう一方の面に膜厚25μmとなるようにこの溶液をコンマコーターで塗工して80℃で1分間乾燥して第2接着層13を成形して総厚み505μmのシートを作製した。
中間層兼接着層として、(スチレン/p−クロロメチルスチレン)−イソブチレン−(スチレン/p−クロロメチルスチレン)ブロック共重合体を特許文献4に記載の方法で重合し、(スチレン/p−クロロメチルスチレン)−イソブチレン−(スチレン/p−クロロメチルスチレン)ブロック共重合体を2軸押出機(シリンダー、ダイス温度:170℃)を用いて混練し、ペレットを得た。得られたペレットは押出機(シリンダー温度:180℃)に投入した。中間層兼接着層12はTダイス(ダイス温度:180℃)でシート化された後、冷却ロール(温度:25℃)で冷却、固化することにより得られた。
実施例1及び比較例1、2のタイヤインナーライナー用シートについて以下の条件で接着力を測定した。その結果を下記表1に示す。
(23℃接着力評価方法)
中間層12を、Tダイ押出機を用いて1mm厚みのシート
として成形した。この中間層12に第1接着層11をバーコーターでウェット膜厚25μmとなるように成形し、80℃で1分間乾燥した。中間層の面で第1接着層を成形していない側の面に同じ中間層の1mm厚みのシートを重ね、第1接着層側が、2mm厚みのカーカス用ゴムシート(天然ゴム70部、スチレンブタジエンゴム30部、カーボンブラック40部、プロセスオイル7部、ステアリン酸2部、酸化亜鉛5部、硫黄3部、加硫促進剤1部)と接するようにして、第1接着層11とゴムシートの間の一部に、めくり口となるようにPTFEシートを1cm程度の長さで挿入し、中間層12の2枚とゴムシート1枚の両外側を金属メッシュで挟み込み、170℃、12分、5MPaの条件で2層シート厚みが0.34mmとなるように貼り合わせて接着力評価用のサンプルとした。23℃においた後、T型引張り剥離試験(500mm/分)により接着力を測定することで平均接着力とした。材料破断した場合は、最大荷重を接着力とした。評価結果は下記の通りとした。
○:5.0N/mm以上
△:2.0N/mm以上、5.0N/mm未満
×:2.0N/mm未満
(80℃接着力評価方法)
中間層12を、Tダイ押出機を用いて1mm厚みのシート
として成形した。この中間層12に第1接着層11をバーコーターでウェット膜厚25μmとなるように成形し、80℃で1分間乾燥した。中間層の面で接着層を成形していない側の面に同じ中間層の1mm厚みのシートを重ね、第1接着層側が、2mm厚みのカーカス用ゴムシート(天然ゴム70部、スチレンブタジエンゴム30部、カーボンブラック40部、プロセスオイル7部、ステアリン酸2部、酸化亜鉛5部、硫黄3部、加硫促進剤1部)と接するようにして、第1接着層11とゴムシートの間の一部に、めくり口となるようにPTFEシートを1cm程度の長さで挿入し、中間層12の2枚とゴムシート1枚の両外側を金属メッシュで挟み込み、170℃、12分、5MPaの条件で2層シート厚みが0.34mmとなるように貼り合わせて接着力評価用のサンプルとした。80℃において1分間保持した後、T型引張り剥離試験(500mm/分)により接着力を測定することで平均接着力とした。材料破断した場合は、最大荷重を接着力とした。
評価結果は下記の通りとした。
○:1.0N/mm以上
△:0.5N/mm以上、1.0N/mm未満
×:0.5N/mm未満
実施例1及び比較例1、2のタイヤインナーライナー用シートについて以下の条件で剥離力を測定した。その結果を下記表1に示す。
(剥離力評価方法)
中間層12をTダイ押出機を用いて1mm厚みのシートとして成形した。この中間層12に第1接着層11をバーコーターでウェット膜厚25μmとなるように成形し、80℃で1分間乾燥した。中間層の面で第1接着層を成形していない側の面に同じ中間層の1mm厚みのシートを重ね、第1接着層側が、2mm厚みのブラダー用ゴムシート(ブチルゴム95部、クロロプレンゴム5部、カーボンブラック60部、キャスターオイル5部、フェノール樹脂5部、酸化亜鉛5部、ピッチ系炭素繊維5部、硫黄1部、加硫促進剤0.5部を190℃、30分、5MPaの条件で加硫したシート)と接するようにして、第1接着層11とブラダー用ゴムシートの間の一部に、めくり口となるようにPTFEシートを1cm程度の長さで挿入し、中間層12の2枚とブラダー用ゴムシート1枚の両外側を金属メッシュで挟み込み、170℃、12分、5MPaの条件で2層シート厚みが0.34mmとなるように貼り合わせて接着力評価用のサンプルとした。23℃において、T型引張り剥離試験(500mm/分)により剥離力を測定することで平均剥離力とした。材料破断した場合は、最大荷重を剥離力とした。
評価結果は下記の通りとした。
○:0.5N/mm未満
△:0.5N/mm以上、1.0N/mm未満
×:1.0N/mm以上
上し、23℃でのブラダーとの剥離力が低減した。
10 タイヤインナーライナー用シート
11 第1接着層
12 中間層
13 第2接着層
20 タイヤインナーライナー用シート
21 第1接着層
22 中間層
23 第2接着層
24 補助接着層
30 空気入りタイヤ
31 トレッド部
32 サイドウォール部
33 ビード部
34 ビードコア部
35 カーカス
36 ベルト層
37 ビードエーペックス
38 インナーライナー
Claims (6)
- タイヤの内側に接着して用いられるタイヤインナーライナー用シートであって、
前記タイヤの内側の面から、第1接着層、中間層、第2接着層をこの順で含んで構成され、
前記中間層のヤング率が500MPa以下であり、
前記中間層が、スチレン―イソブチレン―スチレン共重合体と、エチレンプロピレンジエンゴムを含み、
前記第1接着層が、架橋性樹脂Aを含むことを特徴とするタイヤインナーライナー用シート。 - 前記第2接着層が架橋性樹脂Aを含むものである請求項1に記載のタイヤインナーライナー用シート。
- 前記架橋性樹脂Aが分子中に炭素−炭素二重結合、および/またはエチレン構造を有するものである請求項1または2に記載のタイヤインナーライナー用シート。
- 前記第1接着層が過酸化物を含むものである請求項1ないし3いずれかに記載のタイヤインナーライナー用シート。
- 前記第2接着層が過酸化物を含むものである請求項2ないし4いずれかに記載のタイヤインナーライナー用シート。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のタイヤインナーライナー用シートを備えるタイヤ。
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