JP6060744B2 - 端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に係わり、更に詳しくは端面耐食性およびスポット溶接性に優れ、種々の用途、例えば自動車用内外板として適用できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車用を始めとして、家電、建材等に多用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、鋼板表面に溶融亜鉛をめっきした後、直ちに亜鉛の融点以上の温度に加熱保持して、鋼板中からFeを亜鉛中に拡散させることで、鋼板表面にZn−Fe合金めっき層を形成させるものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法としては、冷間圧延鋼板や熱間圧延鋼板をめっき原板とし、連続溶融亜鉛めっきライン(以下、CGLと称する)に通板して製造する方法が一般的である。CGLのプロセスとしては、入り側の洗浄セクションにおいて、めっき原板をアルカリスプレー脱脂した後にブラシ洗浄し、焼鈍セクションにおいて、還元雰囲気で焼鈍した後に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬するという、全還元炉法を用いるのが一般的である。また、焼鈍セクションの前段に無酸化炉を有し、表面洗浄されためっき原板を、無酸化炉において予備加熱した後に還元炉において還元焼鈍し、その後溶融亜鉛めっき浴に浸漬する、ゼンジミア法を用いる場合もある。また、Zn−Fe合金めっき層を得るために、溶融亜鉛めっき浴に浸漬した後、合金化セクションにおいて、誘導加熱によってめっき層を加熱合金化して、合金化溶融亜鉛めっき層を形成する方法が一般的である。さらに、めっき層の加熱合金化反応が完了した後は、その後の過剰な合金化を抑制するためにめっき層を気水冷却し、最終的には水焼入れするプロセスが一般的である。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板が自動車車体用途として用いられる場合、塗装後耐食性を確保することが非常に重要である。特にドアヘム部などの鋼板合わせ部構造の中で、鋼板端部が露出するような箇所においては、電着塗装後の焼き付け時に塗料が収縮した際、表面張力によって端部塗膜の膜厚が平坦部よりも薄くなる。そのため一般的に電着塗装後の端部は錆発生や塗膜膨れが起こりやすく、錆や塗膜膨れを防ぐために電着塗装後の端部にはシーラーを塗布し、腐食因子を遮断することが必須とされていた。このような課題に対し、特許文献1には、クロメートフリー皮膜を亜鉛めっき層上に塗布することによって、耐食性を向上させ、シーラーの塗布を省略できるプレシールド鋼板が提案されている。
また、自動車車体の組み立てには、一般的にスポット溶接が頻繁に使用される。自動車車体用の鋼板として合金化溶融亜鉛めっきなどの亜鉛系めっき鋼板を用いた場合、スポット溶接の打点数が増加すると電極とめっき層が反応して、経時で電極とめっき層との接触面積が大きくなり、必要な電流密度が確保できなくなるため、適当な打点数で電極をクリーニングしたり、新品に交換したりする必要があった。このスポット溶接性の連続打点性を向上させるため、特許文献2には合金化溶融亜鉛めっき層表面に、硝酸Znおよび硝酸を含有する液に接触させ、ZnO系の酸化皮膜を形成させる方法が提案されている。
しかし、特許文献1ではめっき工程の後に、クロメートフリー皮膜の塗布および乾燥工程が必要であるため、専用の設備が必要であったり、製造コストが増加したりするという問題があった。また特許文献2では、酸系溶液への接触が必要であるために専用の設備が必要であったり、また酸性溶液を使用するために配管系統の酸腐食対策が必要となるといった問題があった。
特表2009−503253 特開平2−263965号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、特にめっき工程の後で皮膜付与や特別な処理を施す必要なく、端面耐食性やスポット溶接性を向上させることができる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的としている。
本発明者らは、まず、特別な皮膜を付与せずとも合金化溶融めっき鋼板の端面耐食性を向上させる方法について鋭意検討した。その結果、合金化溶融めっき層に、Mgを含有させ、めっき層中のMg含有量とAl含有量を特定の関係を有する範囲に制御することによって、端面耐食性が著しく向上することを見出した。また、このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板表面に、Mg、Al、Znを含有する酸化物層を形成させることによって、スポット溶接性も向上することを見出して本発明をなした。
すなわち、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 鋼板の表面に、Fe:7〜15質量%、Al:0.26〜2質量%、Mg:0.21〜6質量%、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を有し、該めっき層中のAl含有量[Z(Al)(質量%)]、およびMg含有量[Z(Mg)(質量%)]が下式(A)を満たし、めっき層の表面にMg、Al、Znを含有する酸化物層を有することを特徴とする、端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
0.8Z(Al)≦Z(Mg)+0.6≦5.5Z(Al)+1.2・・・(A)
(2) めっき層表面の酸化物層の厚さが0.01〜0.5μmであることを特徴とする、上記(1)に記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(3) めっき層表面の酸化物層が、Mgの水酸化物層を最表層に有し、該水酸化物層の厚さが0.1〜10nmであることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(4) めっき層がさらにCaを0.001〜1質量%含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(5) めっき層表面の酸化物層がCaを含有することを特徴とする、上記(4)に記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明によれば、特別な皮膜を付与しなくとも、端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。まず、めっき層の組成を限定した理由について示す。
本発明において、合金化溶融亜鉛めっき層中のFe含有量を7〜15質量%の範囲に限定しているのは、7質量%未満では、プレス成型性が劣るからであり、15質量%を超えると、Γ相の厚さが厚くなりすぎるために、めっき密着性の確保が困難となるからである。プレス成形性とめっき密着性の観点からは、めっき層中のFe含有量を8〜13質量%の範囲とすることが好ましい。
めっき層中のMg含有量を0.21〜6質量%の範囲に限定しているのは、Mg含有量を0.21質量%以上とすることによって、端面耐食性を向上させる効果が発現するからである。また、6質量%を超えて含有させると製造時に、めっき浴表面においてMgを含有する酸化物系ドロスが大量発生して、めっき外観を損ねたり、生産性を阻害したりするからである。生産性の観点からは、めっき層中のMg含有量を0.21〜4質量%とすることが好ましい。
めっき層中にMgを含有させることにより、塗装後の端面耐食性が向上する機構の詳細は不明であるが、端面近傍における腐食生成物中にMgが含有することにより、腐食生成物が安定化し、その後の腐食の進行を抑制するからであると考えられる。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき層において、めっき層中のAlは非常に重要な役割を果たす。すなわち、合金化溶融亜鉛めっき層中のAlの役割として一般的によく知られているような、合金化加熱中のめっき層中の過剰なζ相、Γ相の生成を抑制する効果に加え、めっき浴表面でのMg系ドロスを抑制する効果がある。めっき層中のAl含有量を0.26〜2質量%の範囲に限定しているのは、めっき層中にAlを0.26質量%以上含有させることにより、過剰なζ相、Γ相の生成を抑制する効果に加え、Mgドロスの発生を抑制する効果が発現するからである。また、2質量%を超えてAlを添加すると、めっき層表面にAl酸化物が厚く成長し、スポット溶接時の通電を著しく阻害するためにスポット溶接性を逆に悪化させてしまう。そのため、上限を2質量%とした。スポット溶接性の観点からは、めっき層中のAl含有量を0.26〜1質量%とすることが好ましい。
また、本発明の合金化溶融めっき層は、Al、Mgの含有量(質量%)の範囲を前述したような範囲に限定することに加え、めっき層中のAl含有量[Z(Al)]および、Mg含有量[Z(Mg)]が下式(A)を満たすような範囲に限定している。
0.8Z(Al)≦Z(Mg)+0.6≦5.5Z(Al)+1.2・・・(A)
式(A)を算出した理由を以下に説明する。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の塗装後の端面耐食性を向上させるにはめっき層中へのMgの含有が有効であるが、Mg含有量の増加に伴い、製造時のMg系ドロス発生量が過剰となり、外観を損ねたり、不めっきを生じたりすることが問題となる。製造時のMg系ドロスの過剰発生を抑制するには、前述したようにめっき層中のMg含有量に応じてある一定量以上のAlをめっき層中に含有させることが有効である。本発明者が鋭意検討したところ、『Z(Mg)+0.6』に対して『5.5Z(Al)+1.2』以上とすることによって製造時のMg系ドロスの過剰な発生を抑制しつつ合金化溶融亜鉛めっき層へのMg含有が可能であることを見出した。次に、合金化溶融亜鉛めっき層中のAl含有量を高くしすぎると、Mgをめっき層中に含有させた場合であっても製k造時のMg系ドロスの過剰発生を抑制できるものの、Mg系腐食生成物の形成を、過剰なAlが妨害してしまうために、塗装後の端面耐食性を向上させる効果が小さくなってしまう。本発明者が鋭意検討したところ、『Z(Mg)+0.6』に対して、『0.8Z(Al)』以下とすることで、めっき層中にMgを添加した場合の塗装後の端面耐食性向上効果を期待通りに確保できることを見出した。上記理由によって、[Z(Al)]、[Z(Mg)]を、式(A)の関係を満たすような範囲に限定した。
めっき層中のFe、Al及びMgの含有量を測定するには、めっき層を酸で溶解し、溶解液をICPを用いて化学分析する方法を用いればよい。例えば、30mm×40mmに切断した合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、インヒビタを添加した5%HCl水溶液で、鋼板母材の溶出を抑制しながらめっき層のみを溶解し、溶解液をICP発光して得られた信号強度と、濃度既知溶液から作成した検量線からFe、AlおよびMgの含有量を定量する方法を用いればよい。
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2以上であることが望ましい。また、めっき密着性を確保すると言う観点からは、片面付着量で100g/m2を超えないことが望ましい。本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板上に、さらに上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、非クロメート処理、りん酸塩処理等を施しても、本発明を逸脱するものではない。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき層は、めっき層の表面にMg、Al、Znを含有する酸化物層を有する。これは、めっき層の表面にMg、Al、Znを含有する酸化物層を存在させることによりスポット溶接時の連続打点性が向上するからである。スポット溶接時の連続打点性が向上する機構の詳細は不明であるが、めっき層表面に酸化物層が存在することにより通電時に電極とめっき層の過剰な合金化反応が抑制される効果とともに、酸化物層がAl、Znに加えてMgを含有していることによって複合酸化物化され、脆い酸化物皮膜となるために、スポット溶接電極による加圧によって酸化物が適度に破砕されて通電点が確保できる効果の、複合効果によるものと考えられる。
また、本発明(2)において、めっき層の表面に存在するMg、Al、Znを含有する酸化物層の厚さを0.01〜0.5μmの範囲に限定しているのは、この範囲に限定することで、スポット溶接性をさらに向上させることができるからである。酸化物層の厚さを0.01μm以上とすることで、スポット溶接における通電時に、電極とめっき層の過剰な合金化反応が抑制される効果がより高まる。また酸化物層の厚さを0.5μm超としても、電極とめっき層の過剰な合金化反応を抑制する効果を妨げるものではないが、酸化物層が厚くなる結果として通電点の数が減り、酸化物層の厚さの増大とともに逆に連続打点性が低下していく傾向がある。このため、めっき層の表面に存在するMg、Al、Znを含有する酸化物層の厚さの好ましい範囲として、0.01〜0.5μmの範囲に限定した。より好ましい範囲としては、0.02〜0.4μmの範囲とすることである。
めっき層表面の、Mg、Al、Znを含有する酸化物の有無、含有元素、厚さを測定するには、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を表面からGDS分析装置によって測定する方法を用いればよい。GDSにより表面からZn、Al、Mg、Fe、Oを測定し、表層にZn、Al、Mg、Oを含有するピークの存在を確認することにより、酸化物層の有無を確認できる。また、それぞれのピークの表面からの厚さを測定することにより、酸化物層の厚さを測定することができる。
めっき層表面に、Mg、Al、Znを含有する酸化物層を形成させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えばCGLの合金化セクションにおいて、めっき層の加熱合金化が完了した後に実施する気水冷却において、めっき層の温度が200〜450℃となった段階で、PHを4.0〜7.0とした水を用いて気水冷却することにより、めっき層表面にMg、Al、Znを含有する酸化物層を形成させることができる。気水冷却に用いる水のPHを4.0〜7.0に調整するには、酸性の水溶液を添加すればよい。酸性の水溶液の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、炭酸、ホウ酸、亜硫酸、酢酸、クエン酸、酒石酸の中から選ばれる1種または2種以上を用いればよい。
本発明(3)において、めっき層表面の酸化物層が、Mgの水酸化物層を最表層に有するとしているのは、Mgの水酸化物層の存在によってスポット溶接性がさらに向上するからである。また、Mgの水酸化物層の厚みを、0.1〜10nmの範囲に限定しているのは、0.1nm以上とすることでスポット溶接性をさらに向上させる効果が発現するからであり、10nm超としてもその効果が飽和するため、上限を10nmとした。スポット溶接性の観点からは、Mgの水酸化物層の厚みを、0.2〜5nmとすることが好ましい。
めっき層表面の酸化物層が、Mgの水酸化物層を最表層に有することにより、スポット溶接性がさらに向上する機構の詳細は不明であるが、Mg水酸化物中の水酸化物基が極性を有しているために、防錆油中の添加剤が吸着して防錆油の保持性が向上し、切り板状態での保管や、プレス成形を経た後であっても、防錆油の油膜がめっき層表面に残存して、スポット溶接の通電時に電極とめっき層の過剰な合金化反応が抑制されるからであると考えられる。本発明においてMgの水酸化物とは、Mg化合物のうち水酸化物基を有している化合物のことを指し、特に限定されるものではないが例えば水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性塩化マグネシウム、塩基性硫酸マグネシウム等が挙げられる。
Mgの水酸化物層の有無および厚みを測定するには、合金化溶融亜鉛めっき層を表面から、ArでスパッタしながらXPSで測定する方法を用いればよい。MgのXPSスペクトルは、Mg水酸化物単体の場合1303.2evの位置にピークが存在し、Mg酸化物単体の場合1305eVの位置にピークが存在する。すなわちXPSでMgを測定した際、Mgピークが1305eVの位置に存在するならMgは酸化物状態のみで存在すると判断でき、Mgピークが1305eVよりも低エネルギー側に存在していれば、Mgは酸化物状態に加えて水酸化物状態としても存在する、と判断できる。最表層からArでスパッタしながらMgのスペクトルを測定し、Mgピークの位置が1305eVとなった時点のスパッタ厚みを、Mgの水酸化物層の厚みと定義することができる。
めっき層表面の酸化物層の最表層に、Mgの水酸化物層を形成させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、合金化セクションにおいてめっき層を加熱合金化した後、気水冷却でMg、Al、Znを含有する酸化物層を形成させた後、最終的に行う水焼入れを、PHを8.0〜10.0とした水中で実施する方法を用いればよい。水焼入れに用いる水のPHを8.0〜10.0に調整するには、アルカリ性の水溶液を用いればよい。アルカリ性の水溶液の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、の中から選ばれる1種または2種以上を用いればよい。
本発明(4)で、めっき層中のCa含有量を0.001〜1質量%の範囲に限定しているのは、めっき層にCaを含有させることによって、端面耐食性がさらに向上するからである。Ca含有量を0.001質量%以上とすることで、端面耐食性をさらに向上させる効果が発現するため下限を0.001質量%とした。また、1質量%を超えて含有させてもその効果が飽和するため、上限を1質量%とした。端面耐食性の観点から、めっき層中のCa含有量を0.01〜0.5質量%の範囲とすることが好ましい。
めっき層中のCa含有量を測定するには、前述したような、めっき層を酸溶解した後、溶解液をICP分析で定量する方法を用いればよい。
本発明(5)で、めっき層表面の酸化物層がCaを含有すると記載しているのは、めっき層表面の酸化物層がCaを含有することによって、スポット溶接性がさらに向上するからである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
(実施例)
まず、厚さ1mmの冷延鋼板を準備し、この鋼板を浴温460℃の溶融亜鉛めっき浴に5s浸漬し、N2ワイピングでめっき付着量を30〜60g/m2に調整した後、460〜550℃で加熱合金化して合金化溶融亜鉛めっき層を形成させた。溶融亜鉛めっき浴の組成は、Zn−0.10〜0.5mass%Al―0.21〜6mass%Mg−0.03mass%Feとした。また、条件によってはCaをさらに0.001〜1.0mass%を添加した溶融亜鉛めっき浴を用いて合金化溶融亜鉛めっきした。また、めっき層を加熱合金化した後の気水冷却は、PHを4.0〜7.0とした水を使用してめっき層が200〜450℃となった時点で実施した。気水冷却に使用する水のPH調整は、硝酸を用いて実施した。さらに、最終的な水冷はPHを8.0〜10.0とした水で満たした水槽に浸漬させることにより実施した。最終的な水冷に使用する水のPH調整は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて実施した。
めっき層中のFe、Al、Mg、Ca含有量は、前述したようにめっき層を酸溶解して、溶解液中の元素濃度をICP分析で定量することにより求めた。
めっき層表面のMg、Al、Zn、Caを含有する酸化物層の有無および厚さは、前述したように、めっき層の表面からGDS分析する方法を用いて確認した。
めっき層表面の酸化物層の最表面の、Mgの水酸化物層の有無および厚さは、前述したように、表面からArでスパッタしながらXPSで測定する方法を用いて確認した。
塗装後の端面耐食性の評価は、リン酸亜鉛系化成処理を施した後、電着塗装を20μm施し、JASO―M609に準拠した腐食促進試験で150サイクル試験を行い、端面からの塗膜膨れ幅を測定して評価を行なった。
評点は、端部からの塗膜膨れ幅0.5mm未満を◎、0.5mm以上2mm未満を○、2mm以上3mm未満を△、3mm以上を×とし、◎および○を合格とした。
スポット溶接性の評価は、切り板保管後の表面状態を再現するため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を切り板にし、防錆油を塗布してから室内環境で1週間放置した後に下記の条件で行った。
・加圧力:200kgf
・電極:Cu−Cr系合金、CF型、先端径6mmφ
・通電時間:10サイクル
・連続溶接条件:ナゲット形成電流I0(板厚をtとした時、ナゲット径が4√t以上になる最小電流値)の1.4倍の電流値(Ia)、1打点/3秒の速度、20打点毎に30秒休止の条件で連続溶接
・連続溶接終了:100打点毎にナゲット径測定用のサンプルを0.85×Iaの電流値で溶接し、ナゲット径が4√tより小さくなった時点を終了と判定
評点は、溶接点数4500点以上を◎◎、溶接点数4000点以上4500点未満を◎○、溶接点数3500点以上4000点未満を◎、溶接点数3000点以上3500点未満を○、3000点未満を×とし、○、◎、◎○、◎◎を合格とした。
以上の評価結果を表1-1及び1-2に示す。表1-1及び1-2に示すように、本発明例は全て、端面耐食性およびスポット溶接性がともに優れている。これに対し、本発明範囲を逸脱する比較例は、本発明例に比較して端面耐食性やスポット溶接性に劣る。
Figure 0006060744
Figure 0006060744

Claims (5)

  1. 鋼板の表面に、Fe:7〜15質量%、Al:0.26〜2質量%、Mg:0.21〜6質量%、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を有し、該めっき層中のAl含有量[Z(Al)(質量%)]、およびMg含有量[Z(Mg)(質量%)]が下式(A)を満たし、めっき層の表面にMg、Al、Zn、を含有する酸化物層を有することを特徴とする、端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
    0.8Z(Al)≦Z(Mg)+0.6≦5.5Z(Al)+1.2・・・(A)
  2. めっき層表面の酸化物層の厚さが0.01〜0.5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. めっき層表面の酸化物層が、Mgの水酸化物層を最表層に有し、該水酸化物層の厚さが0.1〜10nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. めっき層がさらにCaを0.001〜1質量%含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. めっき層表面の酸化物層がCaを含有することを特徴とする、請求項4に記載の端面耐食性およびスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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