JP2008111150A - 高耐食性溶融Zn系めっき鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、Zn系溶融めっき鋼板において、めっき成分が0.18 mass%以下の低Al濃度においても0.5〜10 mass%のMgを効率的に添加可能とし、かつめっき浴の浴面酸化やそれに起因するめっき鋼板の外観不良を抑制して、スポット溶接性に優れた高耐食性溶融Zn系めっき鋼板を提供する。
【解決手段】めっき層中に、Mgを0.5〜10 mass%、Alを0.02〜0.18 mass%、CaをMgに対して0.03〜0.1倍の濃度で含有し、残部がZn及び不可避的不純物であることを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。さらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜3 mass%、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜0.5 mass%含有しても良い。
【選択図】なし
【解決手段】めっき層中に、Mgを0.5〜10 mass%、Alを0.02〜0.18 mass%、CaをMgに対して0.03〜0.1倍の濃度で含有し、残部がZn及び不可避的不純物であることを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。さらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜3 mass%、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜0.5 mass%含有しても良い。
【選択図】なし
Description
本発明は、高耐食性表面処理鋼板に関し、特に、高耐食性の溶融Zn系めっき鋼板に関する。
亜鉛系めっき鋼板は、自動車、家電、建材等、幅広い分野で使用されているが、長期間の防錆効果を確保する目的からは、一般に、高付着量のめっきが有効である。それは、亜鉛めっきが、それ自体腐食速度が鋼板に対して遅いことに加えて、地鉄が露出した場所でも、腐食電位の低い亜鉛が鋼板に対して犠牲防食能を有し、これらによる耐食効果は亜鉛の消費によって得られるために、単位面積当たりの亜鉛量が多い程、長い間効果を保持できるからである。一方、亜鉛付着量が多くなると、鋼板の加工性、溶接性等の必要特性においては劣化する傾向にあり、可能で有れば、より低付着量で高耐食性を発揮することが求められる。
低付着量のめっきで十分な耐食性を与えるために、合金元素を添加することで亜鉛めっきの耐食性を高めることがこれまでにも多く試みられ、実際にZn-Ni系合金めっき、Zn-Fe系合金めっき等は自動車用鋼板を中心に広く使用されているし、Zn-Al系合金めっきも建材を中心に広く使われている。Zn-Al系合金めっきにおいては、さらなる耐食性の向上のために、めっき中にMgやSiを添加した鋼材も開発されている。
しかし、めっきへのAlの添加は、めっき鋼材の溶接性を劣化させることが知られている。特に、スポット溶接の連続打点における電極寿命には、微量のAlでも悪影響がある。例えば、非特許文献1には、めっき中の0.1〜0.2 mass%の間のAl濃度でも電極寿命を半減させることが示されているし、非特許文献2では、0.3〜0.4 mass%を境にそれ以上のAl濃度で電極寿命が半減することが示されている。このため、Al濃度は0.2 mass%以下、可能であれば、0.1 mass%以下に抑制したい。
Zn系めっきの添加成分において、Al以外の耐食性向上元素としてはMgが非常に有効である。しかし、Alが少ないめっき浴において、Mgを添加すると、Mgの酸化により酸化物系のドロスが発生し、めっき外観が劣化する、操業性が悪くなる、めっき浴中のMg濃度が急速に低下する、といった問題がある。
これに対し、特許文献1において、0.2〜15 mass%のMg、及び0.05〜1 mass%のAlを含有するZn系めっきに、0.01〜5 mass%のCaを添加することで、Alが1 mass%以下の低濃度であってもMgの酸化を抑制し、外観不良や浴面酸化の心配のないZn系めっき鋼板が開示されている。
この特許文献1において、低Al濃度のZnめっき浴にMgを添加する、という課題の定性的な解決法は一応提示されている。しかし、先の非特許文献1、非特許文献2でも明らかなように、スポット溶接性を確保するためには、この特許の開示範囲では不十分である。即ち、十分なスポット溶接性を確保するためにはAl濃度を0.2 mass%未満に低下させる必要があるが、特許文献1の実施例においては、0.2 mass%以上のAl濃度の記述しかない。本発明者らの実験によれば、特許文献1の請求項範囲の成分であっても、例えば、Al:0.15 mass%、Mg:5 mass%、Ca:0.05 mass%で残部Znのめっき鋼板を製造しようとすると、めっき浴の浴面酸化が著しいために、外観の良好なめっき鋼板の製造は非常に困難であり、めっき浴中のMg濃度も急激に低下してしまう。
本発明は、Zn系溶融めっき鋼板において、めっき成分が0.18 mass%以下の低Al濃度においても、0.5〜10 mass%のMgを効率的に添加可能とし、かつ、めっき浴の浴面酸化やそれに起因するめっき鋼板の外観不良を抑制して、スポット溶接性に優れた高耐食性溶融Zn系めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、特許文献1を参考に、Alをさらに低下した成分系により、スポット溶接性に優れた高耐食性溶融Zn系めっき鋼板の開発に取り組んだ。しかし、0.2 mass%未満のAl濃度では、MgとCaを特許文献1の範囲で添加しても、必ずしも良好な結果が得られず、それぞれの成分範囲を改めて検討した結果、遂に、ある特定の成分範囲において、浴面酸化やそれに起因するめっき鋼板の外観不良を抑制し得ることを見出した。
本発明は、上述した知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) めっき層中にMgを0.5〜10 mass%、Alを0.02〜0.18 mass%、Caを下記(式1)の範囲で含有し、残部がZn及び不可避的不純物であることを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式1)
(ここで、Ca%はCaのmass%含有率、Mg%はMgのmass%含有率。)
(2) 前記合金めっき層中の成分として、さらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜3 mass%含有する(1)に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
(3) 前記合金めっき層中の成分として、さらに、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜0.5 mass%含有する(1)又は(2)に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
(1) めっき層中にMgを0.5〜10 mass%、Alを0.02〜0.18 mass%、Caを下記(式1)の範囲で含有し、残部がZn及び不可避的不純物であることを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式1)
(ここで、Ca%はCaのmass%含有率、Mg%はMgのmass%含有率。)
(2) 前記合金めっき層中の成分として、さらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜3 mass%含有する(1)に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
(3) 前記合金めっき層中の成分として、さらに、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜0.5 mass%含有する(1)又は(2)に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
本発明の高耐食性溶融Zn系めっき鋼板は、Al濃度を抑制しながら、高耐食性を実現したため、高耐食性でかつスポット溶接性に優れる。これは、自動車、建築・住宅、等に広く適用することが可能で、従来と同様の製造性を保持しながら、部材の寿命を向上させ、資源の有効利用、環境負荷の低減、メンテナンスの労力・コストの低減等に資することにより、産業の発展に大きく寄与するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
始めに、めっき層中の各成分の限定理由を述べる。
Mgは、本発明鋼板において、Znめっきの耐食性を向上させる重要な元素であり、その下限濃度を0.5 mass%とする。この濃度未満では、Mgを添加していないときに比較して、明瞭な耐食性の向上効果を認めることが難しい。Mgの上限濃度は10 mass%とする。本発明においては、Mg濃度に応じた一定範囲の濃度のCaを含有することで、めっき浴の安定性を保持するが、0.18 mass%以下の低Al濃度において10 mass%以上のMgを含有すると、Ca添加によっても浴安定性を保持することが不可能になり、浴面酸化が著しくなるためである。
Alは、スポット溶接性に対して悪影響のある元素なので、その上限濃度を0.18 mass%とする。これを超えるAl濃度では、連続打点における溶接電極寿命が急激に短くなる。0.05 mass%未満とする方がより望ましい。0.02 mass%未満とすると、浴面酸化が激しくなるので下限を0.02 mass%とする。微量でもAlが必要な理由は必ずしも明らかではないが、Mgを含有するめっきにおいて浴面酸化を抑制する為に必要な緻密で安定な酸化物が、Al-Mg-Ca三元系複合酸化物として形成されるためではないかと推測される。
Caの濃度は、Mgの濃度により、適正な範囲が存在する。Mgの質量濃度百分率をMg%とすると、Caの下限質量濃度百分率は0.03×Mg%である。これ以下では、CaによるMgの酸化抑制が不十分である。Caの上限質量濃度百分率は0.1×Mg%である。これを超えると、Ca自体が酸化され始め、浴面酸化を促進してしまう。これは、Caが、単独ではZnと溶解し難く、Mgと共存して初めて、ある程度の固溶量を示すためと発明者らは考えている。Caの質量濃度百分率をCa%で示すと、以上の関係は下記の式1となる。
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式1)
さらに、スポット溶接性に悪影響を及ぼさずに耐食性を向上させるために、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜3 mass%含有させることが出来る。これらの元素は、裸耐食性の向上にも若干寄与するが、塗装後のふくれを生じる腐食に対する耐食性を向上させるために特に寄与する。この下限未満の濃度ではその効果が明らかでなく、上限を超えると、浴の安定性を損ない、高融点金属間化合物等によるドロス発生が多くなって、操業性劣化やめっき鋼板の外観不良の原因となる可能性が高まる。なお、Feは、基材の鋼板とめっき浴との反応により、浴組成、浴温や進入板温、浸漬時間、等の操業条件やめっき付着量によって、0.02〜3 mass%程度、めっき層に含有されるが、これは不可避的不純物と考え、本発明では特に規定しない。
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式1)
さらに、スポット溶接性に悪影響を及ぼさずに耐食性を向上させるために、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜3 mass%含有させることが出来る。これらの元素は、裸耐食性の向上にも若干寄与するが、塗装後のふくれを生じる腐食に対する耐食性を向上させるために特に寄与する。この下限未満の濃度ではその効果が明らかでなく、上限を超えると、浴の安定性を損ない、高融点金属間化合物等によるドロス発生が多くなって、操業性劣化やめっき鋼板の外観不良の原因となる可能性が高まる。なお、Feは、基材の鋼板とめっき浴との反応により、浴組成、浴温や進入板温、浸漬時間、等の操業条件やめっき付着量によって、0.02〜3 mass%程度、めっき層に含有されるが、これは不可避的不純物と考え、本発明では特に規定しない。
また、さらに、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜0.5 mass%含有させることも、耐食性向上の観点から有効である。これらの元素も裸耐食性の向上に若干寄与するが、特に、製造後経時変化により、大気中での酸化被膜の成長で表面が黒化する現象に対して、その黒化を抑制する効果が高い。この下限未満の濃度ではその効果が明らかでなく、上限を超えると、浴の安定性を損ない、高融点金属間化合物や酸化物等のドロス発生が多くなって、操業性劣化やめっき鋼板の外観不良の原因となる可能性が高まる。
本発明による鋼板のめっきの付着量は、スポット溶接性を確保する観点から片面当り150g/m2以下が望ましい。付着量が少ないほど、スポット溶接性は良好になるが、耐食性を確保するために、最低10g/m2以上の付着量が必要である。望ましくは、15g/m2以上、70g/m2以下の範囲程度が耐食性-スポット溶接性のバランスが良好である。通常の使用方法では両面にめっきを付着させるが、片面の耐食性が塗装等で確実に保証されるような用途では、片面のみにめっきを付着させた鋼板も有用であり、本発明の範囲である。
本発明による鋼板の基材としての鋼板の材質には、特に限定はなく、Alキルド鋼、極低炭素鋼、高炭素鋼、各種高張力鋼、Ni、Cr含有鋼等が使用可能である。製鋼方法や、鋼の強度、熱間圧延方法、酸洗方法、冷延方法等の鋼板の前処理加工についても特に制限がない。
めっきの製造方法に関しては、ゼンジミアタイプ、フラックスタイプ、又はプレめっきタイプ等の製造方法によらず、あらゆる溶融めっき方法に対して本技術は適用可能である。
本発明の高耐食性溶融Zn系めっき鋼板は、塗装して用いる表面処理鋼板の下地鋼板としても使用可能である。
表1に示すような表面処理鋼板を、板厚0.8mmの冷延鋼板を基材として作製した。
冷延鋼板は、10cm×10cmに切断した後に、レスカ社のバッチ式の溶融めっき試験装置でめっきした。エアワイピングにより目付量を調整した。高純度金属を混合溶解して目指す成分のめっき浴を作製し、還元焼鈍した冷延鋼板をめっき浴に浸漬することで付着させた。
上記のめっき試験片を以下に述べる各評価試験に供した。
1. 耐ドロス生成
めっき製造時のドロスの状態を目視で観察し、ドロスが多くめっきが困難なものを「×」、ドロスの量は比較的多いがめっきが可能なものを「△」、ドロス量が少なくめっき製造が容易なものを「○」、ドロスが非常に少なくめっき製造も容易で付着しためっき表面性状も比較的良好なものを「◎」とした。
2. めっき付着量
各めっきの付着量は、めっき層を酸溶解した時の質量減により測定し、めっき中の合金成分は、めっき層を酸溶解した溶液をICP(誘導結合プラズマ発光)分光分析により定量した。
3. 裸耐食性
裸鋼板の腐食試験は、JIS-Z-2371に記載されている塩水噴霧試験(SST)に準拠し、ただし、塩水濃度を10g/Lとした試験を300時間行った後の腐食減量で評価した。腐食減量が2g/m2未満を「◎」、2〜5g/m2を「○」、5g/m2以上を「×」とした。
4. 塗装後耐食性
塗装後耐食試験は、試験材を市販のアルカリ脱脂液(pH=10.5、40℃、1分浸漬)により脱脂後、自動車用化成処理(日本ペイント製サーフダイン2500MZL)を施した後、自動車用カチオン電着塗装(日本ペイント製V20、20μm、170℃×20分焼き付け)を行い、一昼夜放置後、試験面に100mm長の被覆及びめっきを貫通し、鋼材下地にまで達する直線の傷をカッターナイフで設け、SAE J2234に準拠した複合サイクル腐食試験に供した。2000時間後の塗膜膨れ幅により塗装後耐食性を評価し、最大ふくれ幅が3mm未満を「◎」、3mm以上を「○」とした。
5. 耐黒変性
耐黒変性試験は、各試験材を、温度50℃、相対湿度95%に設定した恒温恒湿試験機中に48時間設置した前後の色調変化につき、色差計にてL値(明度)の変化(ΔL)を測定した。ΔL<3の場合、黒変は目視では認められず「◎」とした、ΔL:3〜10では目視にて黒変が僅かに認識される程度なので「○」とした。ΔL>10では、黒変が明瞭なため、「×」とした。
6. 溶接性
スポット溶接試験は、以下に示す溶接条件によりスポット溶接時の連続打点数の調査を行った。先端径4.5mmφ、先端角120°、外径13mmφのCu-Cr製電極を使用した。50Hz電源により、10サイクルの通電を行った。1.7kNの加圧力で通電前30サイクル、通電後10サイクル、アップダウンスロープ無しで加圧した。なお、連続打点性調査における溶接電流値は板厚をt(mm)とした時の4√tで示されるナゲット径が得られる電流値I1(kA)及び溶着電流値I2(kA)の平均値を用い、4√tのナゲット径が維持された最大打点数を求めた。6000点以上の連続打点数が得られたものは特にスポット溶接性が優れるとして、「◎◎」とし、6000点には満たないが、4500点以上の連続打点数が得られたものを「◎」、4500点には満たないが3000点以上の連続打点数が得られたものは「○」とした。3000点に満たなかったものは「×」とした。
1. 耐ドロス生成
めっき製造時のドロスの状態を目視で観察し、ドロスが多くめっきが困難なものを「×」、ドロスの量は比較的多いがめっきが可能なものを「△」、ドロス量が少なくめっき製造が容易なものを「○」、ドロスが非常に少なくめっき製造も容易で付着しためっき表面性状も比較的良好なものを「◎」とした。
2. めっき付着量
各めっきの付着量は、めっき層を酸溶解した時の質量減により測定し、めっき中の合金成分は、めっき層を酸溶解した溶液をICP(誘導結合プラズマ発光)分光分析により定量した。
3. 裸耐食性
裸鋼板の腐食試験は、JIS-Z-2371に記載されている塩水噴霧試験(SST)に準拠し、ただし、塩水濃度を10g/Lとした試験を300時間行った後の腐食減量で評価した。腐食減量が2g/m2未満を「◎」、2〜5g/m2を「○」、5g/m2以上を「×」とした。
4. 塗装後耐食性
塗装後耐食試験は、試験材を市販のアルカリ脱脂液(pH=10.5、40℃、1分浸漬)により脱脂後、自動車用化成処理(日本ペイント製サーフダイン2500MZL)を施した後、自動車用カチオン電着塗装(日本ペイント製V20、20μm、170℃×20分焼き付け)を行い、一昼夜放置後、試験面に100mm長の被覆及びめっきを貫通し、鋼材下地にまで達する直線の傷をカッターナイフで設け、SAE J2234に準拠した複合サイクル腐食試験に供した。2000時間後の塗膜膨れ幅により塗装後耐食性を評価し、最大ふくれ幅が3mm未満を「◎」、3mm以上を「○」とした。
5. 耐黒変性
耐黒変性試験は、各試験材を、温度50℃、相対湿度95%に設定した恒温恒湿試験機中に48時間設置した前後の色調変化につき、色差計にてL値(明度)の変化(ΔL)を測定した。ΔL<3の場合、黒変は目視では認められず「◎」とした、ΔL:3〜10では目視にて黒変が僅かに認識される程度なので「○」とした。ΔL>10では、黒変が明瞭なため、「×」とした。
6. 溶接性
スポット溶接試験は、以下に示す溶接条件によりスポット溶接時の連続打点数の調査を行った。先端径4.5mmφ、先端角120°、外径13mmφのCu-Cr製電極を使用した。50Hz電源により、10サイクルの通電を行った。1.7kNの加圧力で通電前30サイクル、通電後10サイクル、アップダウンスロープ無しで加圧した。なお、連続打点性調査における溶接電流値は板厚をt(mm)とした時の4√tで示されるナゲット径が得られる電流値I1(kA)及び溶着電流値I2(kA)の平均値を用い、4√tのナゲット径が維持された最大打点数を求めた。6000点以上の連続打点数が得られたものは特にスポット溶接性が優れるとして、「◎◎」とし、6000点には満たないが、4500点以上の連続打点数が得られたものを「◎」、4500点には満たないが3000点以上の連続打点数が得られたものは「○」とした。3000点に満たなかったものは「×」とした。
各試験の評価結果を表1に示した。また、Al濃度が0.2 mass%以下のめっき種について、ドロス性のデータをめっき中のMg濃度とCa濃度との関係で図1に示した。
表1に示すように、本発明の溶融Zn系合金めっき鋼板は、耐食性に優れ、ドロス発生、及びスポット溶接性の点で、十分な性能を保持している。さらに、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuから選ばれる1種又は2種以上を含有するものは塗装後の耐食性が向上し、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種又は2種以上を含有するものは、耐黒変性が向上した。
本発明のめっき鋼板の成分範囲にない比較鋼板は、ドロス発生が抑制できないか、ドロス発生が抑制できても、スポット溶接性が不足であった。ドロス発生の抑制できないものは、残留したドロスにより耐食性も劣化した。
また、図1に示すように、Al濃度が0.2 mass%未満のめっきのドロス性について、Mg濃度とCa濃度に対して整理すると、本発明の成分範囲ではドロス性が良好であるが、本発明の成分範囲を外れた成分ではドロス性が不良となった。
Claims (3)
- めっき層中にMgを0.5〜10 mass%、Alを0.02〜0.18 mass%、Caを下記(式1)の範囲で含有し、残部がZn及び不可避的不純物であることを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式1)
(ここで、Ca%はCaのmass%含有率、Mg%はMgのmass%含有率。) - 前記合金めっき層中の成分として、さらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜3 mass%含有する請求項1に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
- 前記合金めっき層中の成分として、さらに、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種又は2種以上を合計で0.02〜0.5 mass%含有する請求項1又は2に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼板。
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