JP6057946B2 - 防錆水性塗料組成物及びその製造方法 - Google Patents

防錆水性塗料組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車部品、建材等の金属表面の耐食性・防錆性を向上させることができる防錆水性塗料組成物に関するもので、特に安定性に優れ、低コストで製造できる防錆水性塗料組成物に関するものである。
近年、自動車部品、家電品、建材等の鋼板、鋳鍛造品等の金属基材の表面塗装に用いられる塗料において、環境保護の観点から揮発性有機化合物(VOC)を削減するために、塗料の水性化が進んでいる。また、防錆塗料としても地球環境保全の観点から、従来のクロム系防錆剤や鉛系防錆剤等の有害重金属を含む防錆剤を使用した塗料からの脱却が要請されている。
このような有害重金属を含む防錆剤を使用しないで防錆性を有する水性塗料として、高い防錆性を発揮するエポキシ変性樹脂を用いた塗料が使用されているが、エポキシ変性樹脂系の塗料は、防錆性に優れる反面、耐候性が弱い、高価である等の欠点があった。
そこで注目されたのが、安価で耐候性に優れるアクリル樹脂に、アルキルシリケートを添加することでエポキシ変性樹脂系塗料と同等の防錆性を実現できるという事実である。
しかし、アルキルシリケートは高疎水性であり、水性樹脂であるアクリル樹脂との相溶性が悪く、水中では加水分解及びそれに続く縮合反応によってゲル化しやすいため、アクリル樹脂にアルキルシリケートを直接配しても安定した塗料とならない。
ここで、特許文献1において、有機シリケート化合物を有機水性樹脂と共に乳化することより有機水性樹脂を複合し、長期安定性を確保するとした水性樹脂分散体について開示されている。この特許文献1によれば、有機シリケート化合物と共に更に複合化させることができるものとしてシラノール基を有する無機ケイ素化合物を添加することができるとしている。これは、シラノール基を有する無機ケイ素化合物が水によって加水分解を受けることで有機水性樹脂と複合化するとの考えからである。
特開2000−053890号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、有機シリケート化合物、更には、シラノール基を有する無機ケイ素化合物を有機水性樹脂と共に乳化させ複合させるものであり、乳化の性質上、温度、粘度、比重差等の塗料調製条件の影響を受けやすいことから、塗料の安定化を図り、安定した塗膜性能を得るためには、厳しい製造管理条件が必要である。また、容易に乳化を行うためには溶剤を添加する必要があり、乳化後にはこの溶剤を除く脱溶剤化を行わなければならず、非効率かつエネルギー消費の大きな工程を必要とする。
このため、特許文献1に記載の技術においては、製造に手間を要し、コストがかかる。
そこで、本発明は、低コストで製造でき、また、安定性に優れ、かつ、優れた耐候性及び耐食性・防錆性を兼ね備えた塗膜を形成できる防錆水性塗料組成物の提供を課題とするものである。
請求項1の発明の防錆水性塗料組成物は、アクリル樹脂と、水ガラス及びアルキルシリケートを混合して作製した無機反応材と、溶媒としての水とを含有する防錆水性塗料組成物であって、前記無機反応材における前記水ガラスのシリカ固形分が、前記無機反応材の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%の範囲内であるものである。
ここで、「水ガラス」としては、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム(珪酸ソーダ)、珪酸カリウム、珪酸セシウム等のアルカリ金属珪酸塩(珪酸アルカリ塩)を濃厚水溶液とした水溶性珪酸塩が使用される。中でも、珪酸リチウムは粘着性に優れることから、珪酸リチウムの水溶液で形成された水ガラスを含有する防錆水性塗料組成物によれば、被塗装面に塗装して塗膜としたときの強度を向上させ、また塗装面への付着性も向上させることができる。また、珪酸ナトリウムまたは珪酸カリウムの水溶液で形成された水ガラスは、安価で耐熱性を有する。水ガラスの種類は、必要とされる塗膜性能等に応じて選択され、1種に限らず、2種以上を混合して用いることも可能である。
なお、上記水ガラスのシリカ固形分とは、水ガラスにおけるシリカ成分の固形分のことである。
請求項2の発明の防錆水性塗料組成物は、前記アクリル樹脂の固形分を、前記無機反応材の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量と前記アクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内としたものである。
請求項3の発明の防錆水性塗料組成物の前記溶媒は、固形分を除いて実質的に水のみとしたものである。
ここで、「溶媒が実質的に水のみである」とは、防錆水性塗料組成物の溶媒としては水のみを用いて、溶媒として積極的に有機溶剤を使用しないことを意味しており、必ずしも防錆水性塗料組成物中に全く有機溶剤を含まないことを意味するものではない。例えば、添加剤に内部溶剤として有機溶剤が含まれる場合には、必然的に防錆水性塗料組成物中にも少量の有機溶剤が含まれ、また表面張力や蒸発速度を制御するために少量の有機溶剤を添加する場合もあるが、それらの場合をも排除する意味ではない。すなわち、溶媒以外の用途で有機溶剤が含まれる場合もあるが、溶媒として積極的に使用されるのは水のみであるという意味である。
請求項4の発明の防錆水性塗料組成物の製造方法は、アクリル樹脂と、水ガラス及びアルキルシリケートを混合して作製した無機反応材と、溶媒としての水とを含有する防錆水性塗料組成物の製造方法であって、前記無機反応材を、前記無機反応材中の前記水ガラスのシリカ固形分が、前記無機反応材中の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内となるように調整して混合することで予め作製し、その後、当該無機反応材を前記アクリル樹脂と混合したものである。
請求項5の発明の防錆水性塗料組成物の製造方法は、前記アクリル樹脂の固形分を、前記無機反応材の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量と前記アクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内としたものである。
請求項6の発明の防錆水性塗料組成物の製造方法は、前記溶媒が、固形分を除いて実質的に水のみであるものである。
請求項1の発明にかかる防錆水性塗料組成物によれば、アルキルシリケートは水ガラスと所定の範囲内で混合され、無機反応材として防錆水性塗料組成物中に含有されている。
このように水ガラスをアルキルシリケートと混合して作製した無機反応材中に所定の範囲内で配することにより、アルキルシリケートが有するシラノール基(正確には、アルキルシリケートのアルコキシシリル基の一部が水との接触で加水分解を受けて生じるシラノール基(−SiOH))に水ガラスのシリカ成分が結合し、アルキルシリケートのシラノール基同士による加水分解及びその後の縮合反応が抑制される。このため、アクリル樹脂にアルキルシリケートを直接混合すると通常は水の存在によってアルキルシリケートのシラノール基同士による加水分解及びその後の縮合反応が進行してゲル化するのが、本発明では、アルキルシリケートを水ガラスと所定の範囲内で混合し無機反応材とすることで安定した溶液状態となるため、防錆水性塗料組成物の安定性が確保される。そして、この防錆水性塗料組成物を被塗装物に塗布した際には、水分が蒸発することで、水ガラスとアルキルシリケートのシラノール基との結合が解かれて、アルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応が進行し、アルキルシリケートとアクリル樹脂の反応によって耐食性・防錆性を発揮する塗膜が形成され、また、耐候性に優れたアクリル樹脂によって塗膜の耐候性が確保される。
ここで、無機反応材における水ガラスのシリカ固形分が無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し90重量%を越えると、さらに言えば、無機反応材における水ガラスのシリカ固形分(シリカ成分)の比率が無機反応材におけるアルキルシリケートの固形分に対し高すぎると、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜中において、硬化した水ガラスのシリカ成分の比率が高くなり、このシリカ成分の高い親水性により耐水性が損なわれる。一方で、水ガラスのシリカ固形分が無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%未満であると(無機反応材における水ガラスのシリカ固形分の比率が無機反応材におけるアルキルシリケートの固形分に対し低すぎると)、アルキルシリケートのシラノール基に結合する水ガラスのシリカ成分の量が不十分で、アルキルシリケートにおいて加水分解及びその後の縮合反応が進行してゲル化し、防錆水性塗料組成物の安定性が悪くなる。
したがって、無機反応材における水ガラスのシリカ固形分を無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内とすることにより、確実に防錆水性塗料組成物の安定性を確保でき、また、この防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜において、確実に良好な耐水性を確保してアルキルシリケートによる優れた耐食性・防錆性を発揮させることができる。
そして、本発明の防錆水性塗料組成物においては、このようにアルキルシリケート及び水ガラスを混合して無機反応材とすることにより、水ガラスがアルキルシリケートに結合することでアルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応の進行によるゲル化が阻止されて、防錆水性塗料組成物の安定性が確保されるものであり、防錆水性塗料組成物の安定化のためにアクリル樹脂及びアルキルシリケートを乳化させる必要もないことから乳化に伴う手間(作業)やコストがかかることもない。更に、アクリル樹脂、水ガラス、アルキルシリケートは全て安価に入手できる材料である。このため、安価に防錆水性塗料組成物を得ることができる。
このようにして、低コストで製造でき、また、安定性に優れ、かつ、優れた耐候性と耐食性・防錆性を兼ね備えた塗膜を形成できる防錆水性塗料組成物となる。
請求項2の発明にかかる防錆水性塗料組成物によれば、アクリル樹脂の固形分を、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し、80重量%以上、99重量%以下の範囲内としたものである。
ここで、アクリル樹脂の固形分が99重量%を越えて高くなると、無機反応材の配合量(水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量)が少な過ぎることになり、無機反応材に含まれるアルキルシリケートによる耐食性・防錆性の向上効果が得られない。一方で、アクリル樹脂の固形分が80重量%未満と低くなると、無機反応材の配合量が高過ぎることになり、無機反応材に含まれる水ガラスの比率が高くなることで防錆水性塗料組成物の粘度が増加し、安定性が低下する。また、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜においても、親水性である水ガラスの比率が高くなるため耐水性が低下して、アルキルシリケートとアクリル樹脂の反応による十分な耐食性・防錆性が発揮されず、塗膜性能が低下することとなる。
したがって、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し、80重量%以上、99重量%以下であれば、請求項1に記載の効果に加えて、確実に、防錆水性塗料組成物の安定性が高くなり、耐水性や耐食性・防錆性等の塗膜性能に優れた塗膜を形成できる。
請求項3の発明の防錆水性塗料組成物によれば、固形分を除く前記溶媒が実質的に水のみであることから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、揮発性有機化合物(VOC)を発生させる恐れも殆どなく、環境に優しい防錆水性塗料組成物となる。特に、本発明は水ガラスによりアルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応の進行によるゲル化を阻止して防錆水性塗料組成物の安定化を図るものであり、塗料の安定化のためにアクリル樹脂とアルキルシリケートを乳化させる必要もないことから、乳化のための有機溶剤を必要とすることもなく、極めて環境に優しい防錆水性塗料組成物となる。
請求項4の発明の防錆水性塗料組成物の製造方法によれば、無機反応材を、無機反応材中の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材中の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下となるように調整して混合することで予め作製し、その後、当該無機反応材をアクリル樹脂と混合したものである。
本発明の製造方法によれば、予め、アルキルシリケートに水ガラスが混合されるため、アルキルシリケートが有するシラノール基(正確には、アルキルシリケートのアルコキシシリル基の一部が水との接触で加水分解を受けて生じるシラノール基(−SiOH))に水ガラスのシリカ成分が結合する。このため、通常アルキルシリケートは、水が存在することでアルキルシリケートのシラノール基同士による加水分解及びその後の縮合反応が進行してゲル化するが、予め水ガラスと混合することで、アルキルシリケートのシラノール基に水ガラスのシリカ成分が結合してアルキルシリケートのゲル化が抑制され、安定した溶液状態の無機反応材となるため、防錆水性塗料組成物は安定した状態で維持される。
そして、この防錆水性塗料組成物を被塗装物に塗布した際には、水分が蒸発することで、水ガラスとアルキルシリケートのシラノール基との結合が解かれて、アルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応が進行し、アルキルシリケートとアクリル樹脂の反応によって耐食性・防錆性を発揮する塗膜が形成され、また、耐候性に優れたアクリル樹脂によって塗膜の耐候性が確保される。
ここで、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し90重量%を越えると(水ガラスのシリカ成分の比率が高すぎると)、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜中において、硬化した水ガラスのシリカ成分の比率が高くなり、この硬化した水ガラスのシリカ成分による高い親水性により耐水性が損なわれる。一方で、水ガラスのシリカ固形分が無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケート固形分の総量に対し75重量%未満であると(水ガラスのシリカ成分の比率が低すぎると)、アルキルシリケートのシラノール基に結合する水ガラスの二酸化珪素量(シリカ成分量)が不十分で、アルキルシリケートにおいて加水分解及びその後の縮合反応が進行してゲル化し、防錆水性塗料組成物の安定性が悪くなる。
したがって、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分を無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内とすることにより、確実に防錆水性塗料組成物の安定性を確保でき、また、この防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜において、確実に良好な耐水性を確保してアルキルシリケートによる優れた耐食性・防錆性を発揮させることができる。
そして、本発明の防錆水性塗料組成物の製造方法においては、このように水ガラス及びアルキルシリケートを混合させた無機反応材を予め作製しておくことにより、水ガラスがアルキルシリケートに結合することでアルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応の進行によるゲル化が阻止されて、防錆水性塗料組成物の安定性が確保されるものであり、防錆水性塗料組成物の安定化のためにアクリル樹脂及びアルキルシリケートを乳化させる必要もないことから乳化に伴う手間(作業)やコストがかかることもない。更に、アクリル樹脂、水ガラス、アルキルシリケートは全て安価に入手できる材料である。このため、低コストで防錆水性塗料組成物を製造することができる。
このようにして、低コストで製造でき、また安定性に優れ、かつ、優れた耐候性と耐食性・防錆性を兼ね備えた塗膜を形成できる防錆水性塗料組成物の製造方法となる。
請求項5の発明の防錆水性塗料組成物の製造方法によれば、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内である。
ここで、アクリル樹脂の固形分が高く上記範囲を超えると、アルキルシリケートの固形分が少な過ぎて、アルキルシリケートによる耐食性・防錆性の向上効果が得られない。一方で、アクリル樹脂の固形分が低く上記範囲未満であると、水ガラスのシリカ固形分が高くなることで防錆水性塗料組成物の粘度が増加し、安定性が低下する。更に、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜においても、親水性である水ガラスの比率が高くなると耐水性が低下してアルキルシリケートによる十分な耐食性・防錆性が発揮されず、塗膜性能が低下する。
したがって、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内であれば、請求項4に記載の効果に加えて、確実に、安定性の高い防錆水性塗料組成物が得られ、かかる防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜において、優れた耐水性や耐食性・防錆性等の塗膜性能を確保できる。
請求項6の発明の防錆水性塗料組成物の製造方法によれば、前記溶媒が、固形分を除いて実質的に水のみであるから、請求項4または請求項5に記載の効果に加えて、揮発性有機化合物(VOC)を発生させる恐れも殆どなく、環境に優しい防錆水性塗料組成物が得られる。特に、本発明は、アルキルシリケートと水ガラスの混合により、水ガラスがアルキルシリケートに結合してアルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応の進行によるゲル化を阻止して防錆水性塗料組成物の安定化を図るものであり、防錆水性塗料組成物の安定化のためにアクリル樹脂とアルキルシリケートを乳化させる必要もないことから、乳化のための有機溶剤を必要とすることもなく、得られる防錆水性塗料組成物は極めて環境に優しいものである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の実施の形態にかかる防錆水性塗料組成物は、アクリル樹脂と、水ガラス及びアルキルシリケートを混合して作製した無機反応材と、溶媒としての水を基本組成とするものである。
ここで、「アクリル樹脂」としては、広くアクリル樹脂やメタクリル樹脂を含むものであって、アクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸アルキルエステル等から選ばれるモノマーの単一重合体や共重合体を意味するものであり、これらのモノマーとして具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸―スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等を始めとして、種々のモノマーを用いることができる。また、アクリル酸、メタクリル酸の誘導体、例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル等の重合体が含まれていてもよい。そして、アクリル樹脂は1種に限定されず、2種以上が組み合わされていてもよい。
「水ガラス」は、アルカリ金属珪酸塩(珪酸アルカリ塩)の水溶液であり、具体的には、珪酸ナトリウム(珪酸ソーダ)、珪酸カリウム、珪酸リチウム等の水溶液が挙げられる。なお、アルカリ金属珪酸塩は、一般式M2 O・nSiO2(Mはナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)等)で表される化合物であり、M2 OとSiO2とのモル比であるnは一般に1.6〜4.5である。
「アルキルシリケート」は、テトラアルコキシシランを出発物質とするアルコキシシランオリゴマーであり、一般式としてSin On-1 (OR)2n+2(Siはケイ素、Oは酸素、Rはアルキル基を示す)で表される化合物である。具体的には、n=1のテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランや、n=2以上のこれらの部分加水分解物、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート等が使用できる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、溶媒としての水には、イオン交換水等が使用される。
特に、本実施の形態においては、従来技術のようにアクリル樹脂及びアルキルシリケートを有機溶剤に溶解して乳化(エマルジョン)させることなく、後述するように、アルキルシリケートと水ガラスとを混合して作製した無機反応材をアクリル樹脂に配するのみで、その防錆水性塗料組成物は水ガラスによってアルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応が抑制されるため、安定性が確保される。このため、乳化のための有機溶剤を必要とすることもなく、溶媒として積極的に使用されるのは水のみとすることができる。したがって、揮発性有機化合物(VOC)を発生させる恐れも殆どなくて排気設備等の作業環境を設ける必要もなく、環境に優しい防錆水性塗料組成物となる。
そして、本実施の形態の防錆水性塗料組成物においては、水ガラス及びアルキルシリケートは無機反応材として混合され、その混合割合は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケートの固形分の合計重量(総量)に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内となるように調製される。
ここで、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケート固形分の総量に対し90重量%を越えると、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ成分の比率が高すぎて、防錆水性塗料組成物に含有される水ガラスのシリカ含有量が多くなる。このため、このシリカ成分の高い親水性によって、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜の耐水性が不足しがちになる。一方で、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ固形分が75重量%未満となると、無機反応材中の水ガラスのシリカ比率が少なすぎ、アルキルシリケートのシラノール基に結合する水ガラスのシリカ成分量が不十分で、水ガラスのシリカ成分が結合されないアルキルシリケートにおいて加水分解及びその後の縮合反応が進んでゲル化し、防錆水性塗料組成物の安定性が悪くなりがちになる。
このように、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ固形分が無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し所定の範囲内となるようにし、アルキルシリケートの固形分に対する水ガラスのシリカ固形分の混合量(配合量)を調整することによって、防錆性を高めるアルキルシリケートが防錆水性塗料組成物中で安定して存在することが可能となる。これによって防錆水性塗料組成物は安定性が増す。また、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ添加量を所定範囲内とすることで防錆水性塗料組成物の耐水性の悪化を防止している。したがって、水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケート固形分の配合割合は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内、これは重量比で別の表し方をすると、水ガラスのシリカ固形分/アルキルシリケートの固形分=75/25〜90/10となり、この範囲内が最適であり、このような所定の範囲内とすることにより、確実に防錆水性塗料組成物の安定性を確保でき、また、この防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜において、確実に良好な耐水性を確保してアルキルシリケートによる優れた耐食性・防錆性を発揮させることができる。
更に、本実施の形態の防錆水性塗料組成物においては、このように水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケートの固形分を最適な比率で配合し、アクリル樹脂の固形分を、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内となるように配合するのが好ましい。
アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し99重量%より多すぎると、アルキルシリケートによる耐食性・防錆性の向上効果が得られ難くなる。一方で、アクリル樹脂の固形分が80重量%より少なすぎると、防錆水性塗料組成物中に占める水ガラスのシリカ固形分の比率が高くなることで防錆水性塗料組成物の粘度が増加し易く、安定性が低下する傾向にある。更に、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜において、水ガラスのシリカ成分が親水性であるために、水ガラスのシリカ固形分の比率が高くなることで耐水性が低下して、アルキルシリケートによる十分な耐食性(防錆性)が発揮されず、塗膜性能が低下する傾向にある。
アクリル樹脂の固形分を、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲、言い換えれば、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し1重量%以上、20重量%以下の範囲内であれば、確実に、安定性の高い防錆水性塗料組成物が得られ、耐水性及び耐食性・防錆性等の塗膜性能に優れた塗膜を形成できる。なお、アクリル樹脂の固形分の配合量は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量の比率で表すこともでき、この場合は、アクリル樹脂の固形分(重量)/(水ガラスのシリカ固形分(重量)+アルキルシリケートの固形分(重量))=80/20〜99/1となる。
そして、本実施の形態においては、アルキルシリケートと水ガラスを所定の比率に調整した混合液、つまり無機反応材をアクリル樹脂に添加混合し、更に、溶媒としての水等が加えられることにより防錆水性塗料組成物が製造される。
このようにして製造された本実施の形態にかかる防錆水性塗料組成物は、例えば、自動車部品、家電品、建材等の鋼板、鋳鍛造品等の金属基材の表面に水性コーティング剤として塗装され、通常、所定温度で所定時間加熱乾燥することで硬化し塗膜を形成する。このとき、基材の表面に防錆水性塗料組成物を塗布する方法としては、エアスプレー法、シャワー法、スプレー法、ロールコート法、刷毛塗り法、浸漬法等の公知の方法によって少なくとも一度塗りすることにより塗布できる。また、本実施の形態の防錆水性塗料組成物を基材表面に塗布することにより形成される塗膜の乾燥膜厚は、例えば、10μm〜70μmの範囲内、好ましくは15μm〜40μmの範囲内、より好ましくは、15μm〜25μmの範囲内である。該範囲内であれば、塗膜は基材表面と十分な密着性が得られ、かつ、基材に対して十分な耐水性及び耐食性・防錆性を付与できる。
なお、本実施の形態にかかる防錆水性塗料組成物においては、アクリル樹脂、アルキルシリケート、水ガラス、溶媒としての水を基本組成とするが、これら基本組成の配合物の他にも、必要に応じて、触媒、カップリング剤、消泡剤、顔料等の添加剤が配合される。
こうして、本実施の形態に係る防錆水性塗料組成物においては、アクリル樹脂と、アルキルシリケートに水ガラスを混合した無機反応材と、溶媒としての水等を含有する。
ここで、アクリル樹脂にアルキルシリケートを配すると、アルキルシリケートを配さないときに比べて防錆性が向上するが、通常、防錆水性塗料組成物中には水が存在し、この水の存在によってアルキルシリケートのシラノール基同士による加水分解及びその後の縮合反応が進行して、ゲル状となる。そのため水ガラスを配しないアクリル樹脂とアルキルシリケートの防錆水性塗料組成物では安定性に問題が生じていた。
そこで、本発明の防錆水性塗料組成物においては、アルキルシリケートに対して所定の比率で予め水ガラスを混合させること、詳しくは、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し無機反応材の水ガラスのシリカ固形分を75重量%以上、90重量%以下の範囲内、または別の表し方として、アルキルシリケートの固形分に対する水ガラスのシリカ固形分が重量比で、水ガラスのシリカ固形分/アルキルシリケートの固形分=75/25〜90/10の配合比率にすることによって、アルキルシリケートのシラノール基(正確にはアルキルシリケートのアルコキシシリル基の一部が水との接触で加水分解を受けて生じるシラノール基(−SiOH))に水ガラスのシリカ成分が結合することで、アルキルシリケートのシラノール基同士による加水分解及びその後の縮合反応を抑制し、これによってアルキルシリケートのゲル化が阻止されて安定した溶液状態の無機反応材となり、防錆水性塗料組成物の安定性が確保され、貯蔵安定性を向上させることができる。
そして、この防錆水性塗料組成物を被塗布物に塗布した際には、水分が蒸発することで、水ガラスとアルキルシリケートのシラノール基との結合が解かれて、アルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応が進行し、このアルキルシリケートが硬化してシリカ被膜を形成することによって、また、アルキルシリケートとアクリル樹脂との反応によって耐食性・防錆性を発揮する塗膜が形成され、そして、耐候性に優れたアクリル樹脂によって塗膜の耐候性が確保される。
この際、アルキルシリケートを防錆水性塗料組成物中で安定させて保持するためには、水ガラスとアルキルシリケートを上記規定の範囲内となるように配合した無機反応材の形態で防錆水性塗料組成物中に含有させることで可能となる。この安定した無機反応材の形態を予め形成することによりアルキルシリケートは防錆水性塗料組成物中で安定して存在し、かかる防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜において、確実に優れた耐水性及び耐食性・防錆性等の塗膜性能が得られる。
そして、本実施の形態においては、このように所定の比率で調整されたアルキルシリケートと水ガラスから作製された無機反応材をアクリル樹脂と混合するだけで防錆水性塗料組成物は安定する。したがって、防錆水性塗料組成物の安定化のためにアクリル樹脂及びアルキルシリケートを乳化させる必要もなく、乳化に伴う手間(作業)やコストがかかることもない。更に、アクリル樹脂、水ガラス、アルキルシリケートは全て安価に入手できる材料である。よって、低コストで防錆水性塗料組成物を得ることができる。
[実施例]
次に、本発明の実施の形態にかかる防錆水性塗料組成物の実施例を具体的に説明する。
本実施の形態にかかる防錆水性塗料組成物の配合組成として、アクリル樹脂、アルキルシリケートに水ガラスを添加して調整作製された無機反応材、及び溶媒としての水等を含有し、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し無機反応材の水ガラスの固形分を75重量%以上、90重量%以下の範囲内(アルキルシリケートの固形分に対する水ガラスのシリカ固形分が重量比で、水ガラスシリカ固形分/アルキルシリケート固形分=75/25〜90/10の範囲内)とした実施例1乃至実施例4の防錆水性塗料組成物を作製した。
実施例1乃至実施例4に係る防錆水性塗料組成物においては、水性樹脂である「アクリル樹脂」として、アクリル樹脂エマルジョン(DIC(株)製の『ボンコートEC−740EF』:固形分40%、粒子径70〜80μm、MFT18℃)を用いた。また、「アルキルシリケート」としては、メチルシリケート(コルコート(株)製の『メチルシリケート51』:固形分(シリカ固形分)50%)を使用し、「水ガラス」としては、珪酸リチウム(日本化学工業(株)製の『珪酸リチウム35』:固形分29%(シリカ固形分20%))を使用し、これらの触媒(添加剤)として酸触媒(0.1N 酢酸)及び溶媒としてイオン交換水を用いた。
ここでは、アルキルシリケートとしてのメチルシリケート、水ガラスとしての珪酸リチウム、酸触媒、及びイオン交換水を混合して無機反応材とした。更に、防錆水性塗料組成物の溶媒としてイオン交換水を用い、添加剤として、カップリング剤(信越化学工業(株)製の『KBM603』:固形分(シリカ固形分)94%)、消泡剤(サンノプコ(株)製の『SN−DEFOAMER381』:固形分48%)、顔料(大日精化工業(株)製の『NAF5091ブラック』:顔料固形分35%、樹脂固形分5%)を使用した。
ここで、各実施例の配合を表1の上段に示す。
Figure 0006057946
実施例1は、無機反応材として、水ガラスとしての珪酸リチウムのシリカ固形分で64.8gをアルキルシリケートとしてのメチルシリケートの固形分7.2gに配合しており、水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケートの固形分は、その比率が重量比で水ガラスのシリカ固形分/アルキルシリケートの固形分=90/10であり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し90重量%である。
実施例2は、無機反応材として、水ガラスとしての珪酸リチウムのシリカ固形分で60.0gをアルキルシリケートとしてのメチルシリケートの固形分12.0gに配合しており、水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケートの固形分は、その比率が重量比で水ガラスのシリカ固形分/アルキルシリケートの固形分=83/17であり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し83重量%である。
実施例3は、無機反応材として、水ガラスとしての珪酸リチウムのシリカ固形分で57.6gをアルキルシリケートとしてのメチルシリケートの固形分14.4gに配合しており、水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケートの固形分は、その比率が重量比で水ガラスのシリカ固形分/アルキルシリケートの固形分=80:20であり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し80重量%である。
実施例4は、無機反応材として、水ガラスとしての珪酸リチウムのシリカ固形分で54.0gをアルキルシリケートとしてのメチルシリケートの固形分18.0gに配合しており、水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケートの固形分は、その比率が重量比で水ガラスのシリカ固形分/アルキルシリケートの固形分=75:25であり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%である。
ここで、実施例1乃至実施例4にかかる防錆水性塗料組成物の製造方法について説明する。各実施例ともまず、アルキルシリケートであるメチルシリケートを固形分が所定量となるように表1に記載の添加量を所定の容器に入れて攪拌し、ここに酸触媒、本実施例では0.1N酢酸を表1に規定する添加量加えて攪拌する。さらに表1の無機反応材に含まれる溶媒としてのイオン交換水を規定量加えて攪拌した後、水ガラスとしての珪酸リチウムを所定の比率とするために表1に記載の添加量を添加し攪拌する。このようにして作製したアルキルシリケート、水ガラス、酸触媒、及びイオン交換水が本発明の無機反応材である。
次に、アクリル樹脂を所定の別容器に入れて攪拌しながら予め作製しておいた無機反応材を、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する比率が所定の範囲(ここでは、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量比で90/10、つまり、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し90重量%)となるように表1に記載の添加量で添加する。
ここで、別の容器にて表1に記載された所定量のカップリング剤を所定量の溶媒としてのイオン交換水(無機反応材中の溶媒とは別である)にて希釈したカップリング剤希釈水を上記アクリル樹脂と無機反応材の混合液に添加し攪拌する。
さらに、顔料、消泡剤を加えて攪拌混合し、本発明の実施例1乃至実施例4にかかる防錆水性塗料組成物が作製される。
なお、本発明の実施例では、攪拌はディスパーを使用している。また攪拌条件は十分混合できればよく、特に限定するものではないが、例えば、回転数は100rpm〜1000rpmの範囲内にすることができ、攪拌時間は10分〜30分とすることができる。
次に、特性を比較するために、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が本発明の範囲外である防錆水性塗料組成物を、比較例1乃至比較例4として作製した。また、水ガラスの代わりに、水ガラスと同じようなシリカを有する無機ケイ素化合物のコロイダルシリカを含有する防錆水性塗料組成物を、比較例5乃至比較例8として作製した。
比較例1乃至比較例4の配合は実施例1乃至実施例4と併せて表1の上段に示した通りである。比較例5乃至比較例8の配合は次の表2の上段に示した。
Figure 0006057946
表1に示したように、比較例1は、アルキルシリケートを一切加えていないものであり、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ固形分のアルキルシリケート固形分に対する比率が重量比で100/0で、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し100重量%である。
比較例2は、アルキルシリケートとしてのメチルシリケートに水ガラスとしての珪酸リチウムを添加しているが、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ固形分のアルキルシリケートの固形分に対する比率が重量比で95/5であり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し95重量%と水ガラスのシリカ添加量を規定範囲より多く配したものである。
比較例3は、比較例2と同様アルキルシリケートとしてのメチルシリケートに水ガラスとしての珪酸リチウムを添加しているが、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ固形分のアルキルシリケートの固形分に対する比率が重量比で70/30であり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し70重量%と水ガラスのシリカ添加量を規定範囲より少なく配したものである。
比較例4は、水ガラスを一切加えていないものであり、無機反応材中に含まれる水ガラスのシリカ固形分のアルキルシリケートの固形分に対する比率が重量比で0/100で、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し0重量%である。
また、表2に示したように、比較例5乃至比較例8は、水ガラスの代わりに、水ガラスと同じようなシリカを有する無機ケイ素化合物のコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製の『シリカドール(登録商標)30』:固形分(シリカ固形分)30%)を配合したものである。
比較例5は、比較例1と同様に無機反応材にアルキルシリケートを配しないものであり、比較例6乃至比較例8は、無機反応材中に含まれるコロイダルシリカのシリカ固形分のアルキルシリケートの固形分に対する比率が重量比で75/25から95/5の範囲内、つまり、無機反応材のコロイダルシリカのシリカ固形分を、無機反応材のコロイダルシリカのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%から95重量%範囲内としたものである。
これらの比較例1乃至比較例8についても、実施例1乃至実施例4と同様の製造方法にて作製した。なお後述する実施例5乃至実施例9、及び、比較例9乃至比較例15に関しても同様である。
そして、これら実施例1乃至実施例4、及び、比較例1乃至比較例8の防錆水性塗料組成物について、水性塗料としての特性評価を実施した。ここでの評価項目としては、防錆水性塗料組成物の安定性及び塗膜の耐水性を対象として実施した。
防錆水性塗料組成物の安定性については、表1及び表2の配合材料、つまり水性樹脂(アクリル樹脂)、無機反応材、溶媒としてのイオン交換水、及び添加剤の各種材料を攪拌混合する際の粘度変化を判断し、粘度が増大(増粘)しなかったものを○、僅かに粘度の増大(増粘)が見られたものを△、ゲル化したものを×と評価した。
塗膜の耐水性については、基材としてシンナー脱脂された未処理冷間圧延鋼板(SPCC−SD)の表面に、乾燥膜厚が25μmとなるように実施例及び比較例の各防錆水性塗料組成物をエアスプレー塗装し、60℃で20分間乾燥させて作製した供試体を用いた。 この供試体について、40℃の温水に240時間(10日間)浸漬後、JIS−K5600−5−6に準じて1mm碁盤目テープ剥離試験(1mm幅、100マス)を行なった。1mm碁盤目テープ剥離試験は、供試体の塗装面にカッターナイフで縦横に1mm間隔で11本ずつの平行な切れ目を入れて、合計100個の1mm×1mmの桝目を形成し、これら100個の桝目形成部分に上から粘着性セロハンテープを強く圧着させ貼り付けて、一気に引き剥がし、引き剥がした後の升目の状態を評価するものである。ここでは、剥離した桝目の個数を数え、剥離した桝目の個数がゼロで剥がれのなかったものを○と評価し、1個でも剥離していた場合には×と評価した。
各特性評価の結果は、表1及び表2の下段に示した通りである。
表1に示されるように、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分がアルキルシリケートの固形分に対し重量比で75/25〜90/10、つまり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%〜90重量%の範囲内である実施例1乃至実施例4の全ての防錆水性塗料組成物の安定性については、防錆水性塗料組成物を作製する際に粘度が増大してゲル化することもなく、塗装に適した適度な流動性を有し、良好な結果が得られた。また、実施例1乃至実施例4の防錆水性塗料組成物を塗布して形成した塗膜の耐水性についても、全て、240時間温水中に浸漬した後の塗膜接着力が100個の升目の1個も剥がれないという優れた耐水性を示した。
これに対し、表1に示した、無機反応材にアルキルシリケートを配合していない組成の比較例1では、アルキルシリケートを含有しないことで、防錆水性塗料組成物を作製する際にゲル状となることはなかったが、この防錆水性塗料組成物から形成された塗膜は、耐水性が劣っていた。
また、無機反応材における水ガラスのシリカ固形分のアルキルシリケート固形分に対する重量比が90/10、つまり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し90重量%より多い比較例2では、防錆水性塗料組成物作製の際にゲル状となることはなかったが、防錆水性塗料組成物から形成された塗膜は耐水性に劣っていた。
一方、無機反応材における水ガラスのシリカ固形分のアルキルシリケート固形分に対する重量比が75/25、つまり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%より少ない比較例3では、防錆水性塗料組成物作製の際にゲル状となり、安定性がなく塗装に適さないことが確認された。なお、かかる防錆水性塗料組成物については、塗装に適さないことから、耐水性の評価試験は実施しなかった。
また、無機反応材に水ガラスを配合していない組成の比較例4では、水ガラスを配合していないことで、アルキルシリケートの加水分解反応及びその後の縮合反応が進み、防錆水性塗料組成物作製の際にゲル状となり、安定性が無く塗装に適さないことが確認された。なお、かかる防錆水性塗料組成物についても、塗装に適さないことから、耐水性の評価試験は実施しなかった。
ここで、表2に示した、無機反応材の水ガラスの代わりにコロイダルシリカを配合した比較例5乃至比較例8では、比較例7及び比較例8において、コロイダルシリカのシリカ固形分がアルキルシリケートの固形分に対し重量比で75/25〜90/10、つまり、無機反応材におけるコロイダルシリカのシリカ固形分を、無機反応材のコロイダルシリカのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内で配合しても、実施例1乃至実施例4と比較して、防錆水性塗料組成物の安定性に劣っていた。
即ち、比較例7では、防錆水性塗料組成物に増粘が認められ、実施例1乃至実施例4と比較して、僅かにゲル化が観られ、防錆水性塗料組成物の安定性に劣る結果が得られた。更に、比較例8では、防錆水性塗料組成物作製の際にゲル状となり、塗装に適さないことが判明した。なお、比較例8については、塗装に適さないことから、耐水性の評価試験は実施しなかった。
また、無機反応材にコロイダルシリカを配合してもアルキルシリケートを配合しない組成の比較例5、及び、コロイダルシリカのシリカ固形分がアルキルシリケートの固形分に対し重量比で90/10、つまり、無機反応材のコロイダルシリカのシリカ固形分が、無機反応材のコロイダルシリカのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し90重量%を越えた比較例6では、防錆水性塗料組成物作製の際にゲル状となることはなかったが、防錆水性塗料組成物から形成された塗膜は耐水性に劣っていた。
以上の結果から、アルキルシリケートの固形分に対し水ガラスのシリカ固形分を所定の範囲内で添加して調整した無機反応材を事前に作製し、これを水性樹脂であるアクリル樹脂に添加混合して作製した実施例1乃至実施例4の防錆水性塗料組成物は、作製時にゲル化することなく安定性に優れ、また、耐水性に優れた塗膜を形成できることが確認された。
特に、比較例2との比較から、水ガラスのシリカ固形分がアルキルシリケートの固形分に対し重量比で90/10、つまり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し90重量%を越えると、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜中において、硬化した水ガラスのシリカ成分比率が多くなり、このシリカ成分の高い親水性により耐水性が損なわれる。
一方で、比較例3との比較から、水ガラスのシリカ固形分がアルキルシリケートの固形分に対し重量比で75/25、つまり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%未満となると、アルキルシリケートのシラノール基に結合する水ガラスのシリカ成分量が不十分で、水ガラスのシリカ成分によって結合されていないアルキルシリケートにおいて加水分解及びその後の縮合反応によってゲル化し、塗料の安定性が悪くなる。
これらの結果から、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分は、アルキルシリケート固形分に対し、75/25以上、90/10以下、つまり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内が好適な配合であり、そのような配合の防錆水性塗料組成物とすることで、確実に安定性に優れた塗料となり、更に、形成する塗膜において優れた耐水性を確保できる。
また、比較例5乃至比較例8との比較から、無機ケイ素化合物でもコロイダルシリカではなく水ガラスを使用することで、安定性に優れた塗料組成物となることが分かる。
ここで、コロイダルシリカでは安定した塗料組成物とならないのは、水ガラスのシリカ成分に比べコロイダルシリカのシリカ成分はそれ自身安定して存在し、水ガラスのようにアルキルシリケートのシラノール基に結合する力が弱く、このためアルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応によるゲル化を抑制することが困難であるためと考えられる。
因みに、水ガラスはコロイダルシリカより安価であり、また、アクリル樹脂も従来の防錆塗料に使用されているエポキシ変性樹脂より安価である。このため、低コストで防錆水性塗料組成物を製造することができる。
ところで、上記実施例1乃至実施例4、及び、比較例1乃至比較例4においては、水ガラスとして珪酸リチウムを用い、アルキルシリケートとしてメチルシリケートを使用したものを示したが、本発明者らの実験研究によれば、水ガラスとして珪酸ナトリウム(珪酸ソーダ)または珪酸カリウムを使用し、アルキルシリケートとしてエチルシリケートを使用し、上記の実施例と水ガラスのシリカ固形分が同様となるように配合して、それぞれの防錆水性塗料組成物を作製し、上記と同様に特性を評価したところ、上記実施例と全く同様の結果が得られることを確認した。
なお、珪酸リチウムは粘着性に優れることから、珪酸リチウムの水溶液で形成された水ガラスを含有する防錆水性塗料組成物によれば被塗装面に塗装して塗膜としたときの強度を向上させ、また塗装面への付着性も向上させることができる。また、珪酸ナトリウムまたは珪酸カリウムの水溶液で形成された水ガラスは、安価で耐熱性を有する。
以上説明したように、アルキルシリケートに水ガラスを予め添加し、アルキルシリケートの固形分に対する水ガラスのシリカ固形分を規定の範囲内で調整した無機反応材を作製することで、アルキルシリケートのシラノール基同士による加水分解及びその後の縮合反応が進行してゲル化するのを抑制する。そして、アルキルシリケートを水ガラスで安定させた無機反応材をアクリル樹脂に混合することで、防錆水性塗料組成物は安定性が確保される。
この防錆水性塗料組成物を被塗装物に塗布した際には、水分が蒸発することで、水ガラスによるアルキルシリケートのゲル化抑制が解かれて、アルキルシリケートとアクリル樹脂との反応によって耐食性・防錆性を発揮する塗膜が形成される。ここで、耐候性に優れたアクリル樹脂によって塗膜の耐候性が確保される。
この際、防錆水性塗料組成物の安定化のためにアクリル樹脂及びアルキルシリケートを乳化させる必要もないことから乳化に伴う手間(作業)やコストがかかることもない。さらに、水ガラスは安価に入手できる材料である。このため、安価に防錆水性塗料組成物を得ることができる。
このようにして、低コストで製造でき、また、安定性に優れ、かつ、優れた耐候性と耐食性・防錆性を兼ね備えた塗膜を形成できる防錆水性塗料組成物となる。
ここで、安定性等に優れた塗膜性能を発揮する塗膜を得るために、防錆水性塗料組成物の主要組成であるアクリル樹脂と無機反応材の添加量の割合について、アクリル樹脂の固形分を無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する割合で規定した実施例5乃至実施例9、並びに、規定範囲外の比較例9及び比較例10の防錆水性塗料組成物からなる塗料を作製し評価した。各実施例及び比較例の配合を表3の上段に示す。ここでは、上記表1における実施例1乃至実施例4及び比較例1乃至比較例4と全く同様の材料、即ち、水ガラスとしては珪酸リチウム、アルキルシリケートとしてはメチルシリケートを使用し、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分のアルキルシリケート固形分に対する重量比は83/17の配合、つまり無機反応材の水ガラスのシリカ固形分の、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に占める割合を83重量%とした。
Figure 0006057946
表3に示すように、実施例5は、アクリル樹脂エマルジョンの固形分38.80gに対して、無機反応材中の水ガラスとしての珪酸リチウムをシリカ固形分で0.325gとアルキルシリケートとしてのメチルシリケートを固形分で0.065g配合して合計0.39gとしている。このためアクリル樹脂の固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し重量比で99/1となり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し99重量%となる。
実施例6は、アクリル樹脂エマルジョンの固形分34.48gに対して、無機反応材中の水ガラスとしての珪酸リチウムをシリカ固形分で1.510gとアルキルシリケートとしてのメチルシリケートを固形分で0.309g配合して合計1.82gとしている。このためアクリル樹脂の固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し重量比で95/5となり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し95重量%となる。
実施例7は、アクリル樹脂エマルジョンの固形分29.92gに対して、無機反応材中の水ガラスとしての珪酸リチウムをシリカ固形分で2.764gとアルキルシリケートとしてのメチルシリケートを固形分で0.566g配合して合計3.33gとしている。このためアクリル樹脂の固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し重量比で90/10となり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し90重量%となる。
実施例8は、アクリル樹脂エマルジョンの固形分26.04gに対して、無機反応材中の水ガラスとしての珪酸リチウムをシリカ固形分で3.810gとアルキルシリケートとしてのメチルシリケートを固形分で0.780g配合して合計4.59gとしている。このためアクリル樹脂の固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し重量比で85/15となり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し85重量%となる。
実施例9は、アクリル樹脂エマルジョンの固形分22.76gに対して、無機反応材中の水ガラスとしての珪酸リチウムをシリカ固形分で4.722gとアルキルシリケートとしてのメチルシリケートを固形分で0.967g配合して合計5.69gとしている。このためアクリル樹脂の固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し重量比で80/20となり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%となる。
一方、比較例9は、水ガラス及びアルキルシリケートを全く加えていないもの、つまり無機反応材を配しないものであるが、あえて水ガラス及びアルキルシリケートとの比であらわすと、アクリル樹脂の固形分は、水ガラス及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し重量比で100/0であり、水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し100重量%といえる。
また、比較例10は、アクリル樹脂エマルジョンの固形分19.88gに対して、無機反応材中の水ガラスとしての珪酸リチウムをシリカ固形分で5.528gとアルキルシリケートとしてのメチルシリケートを1.132g配合して合計6.66gとしている。このためアクリル樹脂の固形分は、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対し重量比で75/25となり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し75重量%となる。
更に、特性を比較するために、無機反応材にアルキルシリケートを配合せず水ガラスのみとし、比較例11として、水ガラスとしては珪酸リチウム(日本化学工業(株)製の『珪酸リチウム35』:固形分29%(シリカ固形分20%))を配合した防錆水性塗料組成物、比較例12として、水ガラスとして珪酸ナトリウム(日本化学工業(株)製の『J.珪酸ソーダ3号』:固形分39%(シリカ固形分29%))を用いた防錆水性塗料組成物、比較例13として、水ガラスとして珪酸カリウム(Woellner Silikat製の『Betolin P35』:固形分23%(シリカ固形分20%))を使用した防錆水性塗料組成物を作製し、さらに無機反応材に水ガラスを配合せずアルキルシリケートのみとし、アルキルシリケートとしてはメチルシリケートを配合した防錆水性塗料組成物を比較例14として、アクリル樹脂に変えて従来の防錆塗料に相当するエポキシ変性樹脂を配合した防錆水性塗料組成物を比較例15として、それぞれ作製した。
比較例11乃至比較例15の配合は表4の上段に示す。
Figure 0006057946
実施例5乃至実施例9、及び、比較例9乃至比較例15の各防錆水性塗料組成物の塗料作製方法は、上記実施例1乃至実施例4のときと同様である。
そして、これら実施例5乃至実施例9、及び、比較例9乃至比較例15の各防錆水性塗料組成物について、水性塗料としての特性評価を実施した。評価項目としては、防錆水性塗料組成物の安定性、塗膜の耐水性・耐食性(防錆性)・密着性・硬さ・耐白化性を対象として実施した。
塗膜性能の評価に際しては、基材としてシンナー脱脂された未処理冷間圧延鋼板(SPCC−SD)の表面に、乾燥膜厚が25μmとなるように実施例及び比較例の各防錆水性塗料組成物をエアスプレー塗装し、60℃で20分間乾燥させて作製した供試体を用いた。
また、防錆水性塗料組成物の安定性及び塗膜の耐水性については、上記実施例1乃至実施例4のときと同様の評価方法を行った。
塗膜の耐食性・防錆性については、2種類の評価試験を行った。
(耐食性・防錆性試験1:塗膜剥離試験)
供試体の塗装面にカッターナイフで基材まで達するクロスカットを入れ、かかる供試体を塩水の霧が発生する塩水噴霧試験(SST)装置内に入れて、JIS−Z2371に準じ塩水噴霧条件(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%等)下におき、120時間(5日間)後に取り出して、クロスカット上から粘着性セロハンテープを強く圧着させ貼り付けて、一気に引き剥がし、引き剥がした後のそれぞれクロスカットからの片側の最大剥離巾を測定し、1〜5の5段階で評価した。
評価「5」・・クロスカットからの最大剥離巾が1mm未満
評価「4」・・クロスカットからの最大剥離巾が1mm以上、2mm未満
評価「3」・・クロスカットからの最大剥離巾が2mm以上、3mm未満
評価「2」・・クロスカットからの最大剥離巾が3mm以上
評価「1」・・全面剥離
(耐食性・防錆性試験2:錆発生試験)
供試体の塗装面にカッターナイフで基材まで達するクロスカットを入れ、かかる供試体を塩水の霧が発生する塩水噴霧試験(SST)内に入れて、JIS−Z2371に準じて塩水噴霧条件(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%等)下におき、120時間(5日間)後に取り出して、それぞれクロスカットからの片側の最大錆巾(片錆巾)を測定し、1〜5の5段階で評価した。
評価「5」・・クロスカットからの片錆巾が1mm未満
評価「4」・・クロスカットからの片錆巾が1mm以上、2mm未満
評価「3」・・クロスカットからの片錆巾が2mm以上、3mm未満
評価「2」・・クロスカットからの片錆巾が3mm以上
評価「1」・・全面錆
塗膜の密着性については、JIS−K5600−5−6に準じて、供試体の塗膜に対して1mm碁盤目テープ剥離試験(1mm幅、100マス)を行なった。この1mm碁盤目テープ剥離試験も、供試体の塗装面にカッターナイフで縦横に1mm間隔で11本ずつの平行な切れ目を入れて、合計100個の1mm×1mmの桝目を形成し、これら100個の桝目形成部分に上から粘着性セロハンテープを強く圧着させ貼り付けて、一気に引き剥がし、引き剥がした後の升目の状態を評価するものである。ここでは、剥離した桝目の個数を数え、剥離した桝目の個数がゼロで剥がれのなかったものを○と評価し、1個でも剥離していた場合には×と評価した。
塗膜の硬さについては、JIS−K5600−5−4に準じて、いわゆる鉛筆硬度測定装置を用い、塗膜表面の剥がれを起こさない鉛筆の最大硬さ(鉛筆硬度)を測定した。
塗膜の耐白化性については、40℃の温水に240時間(10日間)浸漬後、外観を観察して、白化がなかったものを○と評価し、白化したものを×と評価した。
各特性評価の結果は、表3及び表4の下段に示した通りである。
表3の下段に示したように、アクリル樹脂の固形分の無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量比が80/20以上、99/1以下の範囲内、つまり、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内である実施例5乃至実施例9の防錆水性塗料組成物においては、防錆水性塗料組成物の安定性及び塗膜の耐水性・耐食性(防錆性)・密着性・硬さ・耐白化性の評価試験にて全て良好な結果が得られた。
即ち、防錆水性塗料組成物の安定性については、実施例5乃至実施例9の全てにおいて、防錆水性塗料組成物を作製する際にゲル化して粘度が増大することもなく安定性に優れることが確認された。
また、塗膜の耐水性についても、実施例5乃至実施例9の全てにおいて、240時間温水中に浸漬した後の塗膜接着力が100個の升目の1個も剥がれないという優れた耐水性を示した。
塗膜の耐食性・防錆性については、塗膜剥離試験(耐食性・防錆性1)において、実施例5乃至実施例9の全てで、120時間(5日間)の塩水噴霧条件下後の剥離巾が3mm未満で評価が「3」以上という良好な結果が得られた。特に、実施例6では、評価「4」で剥離巾が1mm以上、2mm未満であり、実施例7及び実施例8では、評価「5」で剥離巾が1mm未満という優れた耐食性・防錆性が示された。
また、錆発生試験(耐食性・防錆性2)においても、実施例5乃至実施例9の全てで、120時間(5日間)の塩水噴霧条件下後の片錆巾が3mm未満で評価が「3」以上という良好な結果が得られた。特に、実施例5乃至実施例8では、評価「4」で片錆巾が1mm以上、2mm未満という優れた耐食性・防錆性が示された。
塗膜の密着性については、実施例5乃至実施例9の全てにおいて、碁盤目テープ剥離試験で100個の升目の1個も剥がれないという優れた密着性を示した。
塗膜の硬度については、実施例5及び実施例6では鉛筆硬度測定試験における鉛筆硬度がF、実施例7乃至実施例9においては鉛筆硬度測定試験における鉛筆硬度がHであり、防錆水性塗料組成物を塗布してなる塗膜としては十分な硬度を有していることが分かった。
塗膜の耐白化性については、実施例5乃至実施例9の全てで、40℃の温水に240時間(10日間)浸漬後の白化が見られず、耐白化にも優れていることが確認された。
これに対し、表3に示した、無機反応材を配合していない組成の比較例9では、アルキルシリケートを配合していないことで、防錆水性塗料組成物の作製の際にゲル状となることはなく、塗膜の耐水性、密着性、硬さ、耐白化性については良好な結果が得られたが、塗膜の耐食性・防錆性については、塗膜剥離試験(耐食性・防錆性1)において、120時間(5日間)の塩水噴霧条件下後には全面が剥離していた。即ち、防錆水性塗料組成物としてアルキルシリケートを配合せずにアクリル樹脂を使用した場合には、表面塗装の塗膜に要求される耐食性・防錆性を確保できないことが確認された。
また、比較例10は、アクリル樹脂の固形分の、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量比を80/20未満の75/25、つまり、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%未満の75重量%とした組成である。この比較例10では、塗膜の密着性、硬さ、耐白化性については良好な結果が得られたが、防錆水性塗料組成物の主要組成であるアクリル樹脂の固形分に対するアルキルシリケートの固形分の比率が高くなることで、防錆水性塗料組成物の作製に際し粘度が増大し、実施例5乃至実施例9と比較して塗料安定性に劣る結果となった。更に、防錆水性塗料組成物を塗布して形成される塗膜中において、水ガラスによるシリカ成分の比率が高くなることで、この水ガラスによるシリカ成分の高い親水性により耐水性が損なわれて、アルキルシリケートによる耐食性・防錆性も十分に発揮されず、実施例5乃至実施例9と比較して耐水性及び耐食性・防錆性に劣る結果となった。
表4に示したアルキルシリケートを配合していない組成の比較例11乃至比較例13では、アルキルシリケートを配合していないことで、塗料組成物がゲル化することもなく、塗膜の密着性、硬さ、耐白化性については良好な結果が得られたが、表面塗装の塗膜に要求される耐食性・防錆性を有していなかった。更に、水ガラスのシリカ成分による高い親水性により耐水性に劣っていた。
一方、アクリル樹脂に対して、アルキルシリケートとしてのメチルシリケートを配合したものの水ガラスを配合していない組成の比較例14では、水ガラスが配合されていないことで、アルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応が進行して、防錆水性塗料組成物の作製に際しゲル状となり、塗装に適さないことが確認された。
また、従来の防錆塗料に相当するエポキシ変性樹脂を配合した組成の比較例15では、塗料の安定性及び塗膜の耐食性・防錆性、密着性、硬さについては良好な結果が得られたが、耐白化性が実施例5乃至実施例9と比較して劣ることが確認された。
こうして、表3の実施例5乃至実施例9に示される配合の範囲内、即ち、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量比が80/20以上、99/1以下の範囲内、つまり、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内であれば、水ガラスによってアルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応が阻止されてゲル化が確実に抑制されるうえ、水ガラスの配合率が多いことによる粘度増加もなく、防錆水性塗料組成物の安定性に優れることが判明した。
また、比較例10との比較から分かるように、アクリル樹脂の固形分に対して無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量の比率が高いと、耐水性及び耐食性・防錆性が低下するが、アクリル樹脂の固形分を、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量比を80/20以上、99/1以下、つまり、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の規定の範囲内とした実施例5乃至実施例9の防錆水性塗料組成物においては、密着性、硬さ、耐候性に加え、耐食性・防錆性及び耐水性にも優れた塗膜性能を有する塗膜が確実に得られることが分かった。
特に、表3の実施例6乃至実施8の防錆水性塗料組成物にて示されたように、アクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量比で85/15以上、95/5以下の範囲内、つまり、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し85重量%以上、95重量%以下の範囲内であることで、より耐食性・防錆性に優れた塗膜を形成でき、従来の防錆塗料であるエポキシ変性樹脂系塗料に匹敵する耐食性・防錆性を確保できる。
なお、表3の比較例9、及び、表4の比較例11乃至比較例13からアクリル樹脂にアルキルシリケートを配せずに水ガラスのみを配しても塗膜に必要な耐食性・防錆性が得られず、アクリル樹脂にアルキルシリケートを配することで、優れた耐食性・防錆性が確保され、また、表4の比較例15から、アクリル樹脂の使用によりエポキシ樹脂より優れた耐白化性を確保できることが分かる。そして、表4の比較例14との比較から、水ガラスを配合することで、アルキルシリケートの加水分解及びその後の縮合反応が阻止されてゲル化が抑制され、安定した塗料となることが再び確認された。
以上説明したように、アルキルシリケートと水ガラスを混合した無機反応材を、無機反応材中の水ガラスのシリカ固形分が、無機反応材中のアルキルシリケートの固形分に対し規定の範囲内、さらに詳しくは無機反応材中の水ガラスのシリカ固形分を、無機反応材中の水ガラスのシリカ固形分とアルキルシリケートの固形分の総量に対し規定の範囲内に予め調整して作製することで、アクリル樹脂にアルキルシリケートを混合してもゲル化することなく防錆水性塗料組成物を安定化させることができる。そして、この無機反応材とアクリル樹脂を、アクリル樹脂の固形分が無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量に対する重量比で規定の範囲内、さらに詳しくはアクリル樹脂の固形分が、無機反応材の水ガラスのシリカ固形分及びアルキルシリケートの固形分の総量とアクリル樹脂の固形分との合計重量に対し規定の範囲内となるように混合することで確実に、安定性の高い防錆水性塗料組成物が得られ、この防錆水性塗料組成物から得られる塗膜は、耐水性や耐食性・防錆性等の塗膜性能に優れた塗膜となる。
なお、本発明を実施するに際しては、防錆水性塗料組成物のその他の構成、成分、材料、配合、形状、大きさ、製造方法等について、本実施の形態に限定されるものではない。また、本発明の実施の形態で上げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更しても実施を否定するものではない。

Claims (6)

  1. アクリル樹脂と、水ガラス及びアルキルシリケートを混合して作製した無機反応材と、溶媒としての水とを含有し、金属基材の表面に塗布される防錆水性塗料組成物であって、
    前記無機反応材における前記水ガラスのシリカ固形分が、前記無機反応材の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内であることを特徴とする防錆水性塗料組成物。
  2. 前記アクリル樹脂の固形分は、前記無機反応材の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量と前記アクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内としたことを特徴とする請求項1に記載の防錆水性塗料組成物。
  3. 前記溶媒は、固形分を除いて実質的に水のみであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防錆水性塗料組成物。
  4. アクリル樹脂と、水ガラス及びアルキルシリケートを混合して作製した無機反応材と、溶媒としての水とを含有し、金属基材の表面に塗布される防錆水性塗料組成物の製造方法であって、
    前記無機反応材を、前記無機反応材中の前記水ガラスのシリカ固形分が、前記無機反応材中の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量に対し75重量%以上、90重量%以下の範囲内となるように調整して混合することで予め作製し、その後、当該無機反応材を前記アクリル樹脂と混合したことを特徴とする防錆水性塗料組成物の製造方法。
  5. 前記アクリル樹脂の固形分は、前記無機反応材の前記水ガラスのシリカ固形分及び前記アルキルシリケートの固形分の総量と前記アクリル樹脂の固形分との合計重量に対し80重量%以上、99重量%以下の範囲内としたことを特徴とする請求項4に記載の防錆水性塗料組成物の製造方法。
  6. 前記溶媒は、固形分を除いて実質的に水のみであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の防錆水性塗料組成物の製造方法。
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