JP2705756B2 - 低温度硬化性組成物とガラス質コーティング膜の形成法 - Google Patents

低温度硬化性組成物とガラス質コーティング膜の形成法

Info

Publication number
JP2705756B2
JP2705756B2 JP303995A JP303995A JP2705756B2 JP 2705756 B2 JP2705756 B2 JP 2705756B2 JP 303995 A JP303995 A JP 303995A JP 303995 A JP303995 A JP 303995A JP 2705756 B2 JP2705756 B2 JP 2705756B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
sol solution
coating film
water glass
mixed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP303995A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08188442A (ja
Inventor
信助 山崎
Original Assignee
工業技術院長
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 工業技術院長 filed Critical 工業技術院長
Priority to JP303995A priority Critical patent/JP2705756B2/ja
Publication of JPH08188442A publication Critical patent/JPH08188442A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2705756B2 publication Critical patent/JP2705756B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温度硬化性組成物、特
に水ガラスとして知られている水溶性アルカリ金属ケイ
酸塩を主成分としながら、基材に対して強固な結合を有
する耐水性の著しく改善された高光沢性で無色透明性の
硬度の高いガラス質のコーティング膜を形成する低温度
硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水ガラスとして知られている水溶
性アルカリ金属ケイ酸塩は、乾燥すると密着性と造膜性
に優れた高硬度のガラス質コーティング膜を形成するこ
とから安価な無機質塗料や段ボール、紙管等の接着剤と
して、また、土壌硬化剤、鋳物砂のバインダーや耐火モ
ルタル等の粘結剤として古くから使用されてきた。しか
し、水ガラスから形成されたガラス質塗膜は元来、水溶
性で湿気に対しても抵抗性がないなど耐水性に問題があ
った。
【0003】また、水ガラスは強アルカリ性であるた
め、十分乾燥した塗膜でも空気中の湿気、炭酸ガスを吸
収して塗膜が白化する、エフロレッセンス(effloresce
nce 白華現象)を起こし、外観を著しく損なう欠点を有
する。
【0004】これらの問題点に対処するため、従来、水
ガラスの乾燥コーティング膜の表面を酢酸やリン酸、希
薄な硝酸等で中和したり、アンモニウム塩の水溶液と塗
膜面を接触させる方法などが種々提案されているが、亀
裂、剥離の発生など塗膜面が損傷しやすく、また、水洗
を必要とするなど作業性や性能面でも問題があった。
【0005】また、硬化剤として亜鉛末などの金属やカ
ルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の多価金属の
金属酸化物、あるいは金属水酸化物、また、リン酸アル
ミニウム、リン酸亜鉛などの2,3価金属のリン酸塩、
ホウ酸塩、ケイフッ化ナトリウム、フェロシリコン、炭
酸エチレン、グリオキザール、多糖類のプルランなどを
使用する方法も試みられているが、これらの硬化剤を用
いると急速にゲル化するためコーティングなどの場合に
は作業性に問題があり、硬化剤の混合によって不透明と
なったり、光沢性が悪くなり、美粧を目的としたガラス
質のコーティングのためには実用性に欠けるものであっ
た。
【0006】また、従来、水ガラスを熱処理することも
試みられてきた。しかし、水ガラスが不溶化する温度は
モル比に依存し、経済性の面から広く使用されている
(JIS規格 K1408)3号水ガラスの場合では1
70℃以上に加熱する必要があるが(完全な不溶化には
450℃以上)、110℃に加熱した段階で発泡し、コ
ーティング膜は多数のピンホールを生じ、130℃以上
に加熱するとコーティング膜は著しく発泡して透明性を
失いコーティング膜が破壊する問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の水溶性アルカリ金属ケイ酸塩(水ガラス)のもつ不燃
性、密着性、高硬度、高光沢性、経済性などの優れた特
性を活かしながら、水ガラスの持つ耐水性の悪さ、空気
中の炭酸ガスによる白華現象などの欠点を解決して、優
れた作業性と不燃性、耐水性を有する緻密で密着性のよ
い高硬度のガラス質のコーティング膜を比較的低温度で
各種材料の表面に形成することのできる低温度硬化性組
成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水ガラス
の持つ欠点を解決し、かつ低温でガラス質のコーティン
グ膜を各種材料に付与しうる材料について鋭意研究を進
めた結果、酸触媒の存在下でテトラエトキシシランやメ
チルシリケート51などのアルコキシシラン類を水と混
合してかき混ぜながら加水分解・重縮合して得られた均
一透明性のゾル溶液が、これを水でさらに希釈した場合
に、予想に反して沈殿析出物を生じることなくJIS規
格K1404で規定されている3号水ガラスで代表され
るアルカリ金属ケイ酸ソーダやモル比が4.5のケイ酸
リチウム(リチウム水ガラス)と均一に混合できるこ
と、かつ、この水ガラスとの混合組成物はガラス板等に
コーティング後自然乾燥すると比較的急速に乾燥硬化し
て、密着性を損なうことなく透明性の良い高硬度のコー
ティング膜が形成できることを見い出し、しかも意外な
ことに200℃までの比較的低温度で数分間加熱処理を
しただけで、水ガラスの最大の欠点であった耐水性の欠
如とエフロレッセンスが著しく改善されることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、(1)一般式:M2
O・nSiO2 (n=2.0〜4.1、Mはアルカリ金
属でNa、Kの単独もしくはLiとの混合系)で表され
る水ガラス(A)を主成分とし、これと、アルコキシシ
ラン類を無機強酸もしくは有機強酸を触媒として水と混
合し、加水分解・重縮合させて得たアルコール性シリカ
ゾル溶液を、上記水ガラスとの混合時に沈殿やゲル化を
生じない程度にさらに水で希釈したゾル溶液(B)とを
混合してなることを特徴とする低温度硬化性組成物、及
び(2)(1)項に記載の低温度硬化性組成物を各種基
材に塗布し、ついで60〜200℃で強制乾燥すること
を特徴とする耐水性のガラス質コーティング膜の形成法
を提供するものである。
【0010】本発明において主成分としての(A)成分
の水ガラスは一般式:M2 O・nSiO2 (nは2.0
〜4.1)で示されるケイ酸ソーダもしくはケイ酸カリ
ウムからなる市販の水ガラスを単独で用いるか、あるい
は、より望ましくは、JIS規格3号水ガラスにモル比
が4.5のケイ酸リチウム水溶液(リチウム水ガラス)
を10〜50重量%混合して用いるか、さらにはJIS
規格1〜3号ソーダ水ガラスにJIS規格4号ソーダ水
ガラスを50〜90重量%の割合で混合したものを用い
ることができる。
【0011】また、本発明の(B)成分のゾル溶液の調
製に用いられるアルコキシシラン類としては、テトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキ
シシランなどの4官能性のテトラアルコキシシラン、ト
リメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシランな
どの3官能性のトリアルコキシアルキルシランなどがあ
げられる。また、工業製品として提供されているエチル
シリケート40やメチルシリケート51などの部分加水
分解したオリゴマー状のアルコキシシランがより好適に
使用される。
【0012】本発明の(B)成分のゾル溶液の調製に当
り、まず、上記のアルコキシシラン類に水を混合し、酸
触媒の存在下で加水分解・重縮合させることにより、均
一透明性のアルコール性シリカゾル溶液を得る。ここ
で、水の量は適宜定めることができるが、アルコキシシ
ラン類と水との重量比が通常8/2〜4/6となる割合
とすればよく、あまり多く用いすぎると、その後に水を
加えて希釈しても、安定なゾル溶液を得にくい。また、
酸触媒としては、塩酸、硝酸などの無機強酸、p−トル
エンスルホン酸などの有機強酸が用いられる。
【0013】次に、上記のアルコール性シリカゾル溶液
をさらに水で希釈して、安定なゾル溶液とする。ここで
加える水の量は、水ガラスとの混合時に沈殿やゲル化が
生じない程度の量とすべきであり、この量はアルコキシ
シラン類の種類や酸触媒の濃度などにより、また水ガラ
スの種類などによって多少変動し、一概には決められな
いが、一般には4倍以上の希釈量とするのがよい。
【0014】本発明においては、上記の如く調製される
安定なゾル溶液(B)を前記の水ガラス(A)と均一に
混合することにより、低温度硬化性組成物を調製する。
その際、水ガラスとゾル溶液との混合比は、沈殿やゲル
化が生じない割合、通常は、水ガラスと、ゾル溶液を構
成するアルコキシシラン類からなる原材料との重量比
が、前者1に対して、後者1/8〜1/16となる割合
とするのがよい。このようにして得られる本発明の低温
度硬化性組成物には、必要により、シリカ、アルミナ、
タルクなどの充填剤粉末や、顔料などを配合してもよ
い。
【0015】本発明においては、上記の低温度硬化性組
成物を、浸漬塗装、スプレーガン、ローラーコート、ド
クターナイフ、刷毛塗り、コテ塗りなどの通常の塗装方
法によって基材に塗布したのち、乾燥することにより、
ガラス質のコーティング膜を形成する。基材としては、
木材、各種金属、コンクリート、モルタル、アスベス
ト、スレート、天然石材、ガラス、石膏などの種々の材
質からなるものを適用できる。乾燥は、自然乾燥によっ
てもよいが、好ましくは60〜200℃、特に120〜
150℃で強制乾燥するのがよく、これにより、耐水性
に優れ、空気中の炭酸ガスによる白華現象がみられない
コーティング膜を形成できる。
【0016】このように形成されるコーティング膜は、
基材に対する密着性に優れるとともに、耐候性、耐炎
性、高光沢性などを有し、また微小硬度計によるヌープ
硬度で300〜400といった著しく硬度の高いガラス
様のコーティング膜であり、上述のような低い温度で硬
化して、従来の水ガラス系の塗料では考えられなかった
耐水性と耐エフロレッセンス性に優れたものとなるとい
う特徴を有している。
【0017】また、本発明の低温度硬化性組成物は、上
記コーティング膜の形成以外に、木材、石材、石膏、セ
メント、アスベストなどへの含浸や、粘土、石粉、ガラ
ス粉などの各種骨材粒子に対する結合材としても用いる
ことができる。この場合、乾燥成形後200℃程度まで
の温度で加熱養生すれば、耐水性のある強固なガラス状
の硬化成形体が得られ、建築、土木などの多岐の用途に
利用することができる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を、製造例、実施例および比較
例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はか
かる実施例のみに限定されるものではない。
【0019】製造例1 メチルシリケート51(三菱化成社製)25gに水25
gと0.1Nの塩酸1mlを混合し、室温で150分ぐ
らいマグネットスタラーでかき混ぜると、最初油滴状に
分散していたメチルシリケート51が加水分解・重縮合
されて、無色透明性の均一なアルコール性シリカゾル溶
液が形成された。(なお、このアルコール性シリカゾル
溶液はpH5で1週間ぐらいは安定で、その後ゲル状に
固化した。)次に、このアルコール性シリカゾル溶液を
さらに水で4〜8倍に希釈し、水ガラスとの混合に用い
るゾル溶液とした。
【0020】製造例2 製造例1において、酸触媒としての0.1Nの塩酸の使
用量を10倍量の10mlとし、メチルシリケート51
の25gに対し水14gを混合して、同様に室温でマグ
ネットスタラーでかき混ぜると、70〜80分で無色透
明性のアルコール性シリカゾル溶液が形成された。次
に、このアルコール性シリカゾル溶液を5倍に水で希釈
して、ゾル溶液とした。この5倍希釈のゾル溶液のpH
値は2.4で10日間位は安定であったが、その後ゲル
状になった。
【0021】製造例3 製造例1において、メチルシリケート51と水の混合比
を7/3に変更した。すなわち、メチルシリケート51
の70gに対し、水30g、0.1Nの塩酸1mlを室
温下で120分かき混ぜ、無色透明性のアルコール性シ
リカゾル溶液を形成した。なお、このアルコール性シリ
カゾル溶液は12時間くらいでゲル化した。次に、この
アルコール性シリカゾル溶液を水でさらに4倍及び8倍
に希釈して、ゾル溶液とした。4倍に希釈したゾル溶液
は24時間でゲル状になったが、8倍に希釈したゾル溶
液は比較的長期間安定であった。
【0022】製造例4 トリエトキシ(メチル)シラン60gに水40gと0.
1N塩酸1mlとを混合して、マグネットスターラーで
かき混ぜると、室温下でも30分くらいで均一透明性の
アルコール性シリカゾル溶液が形成された。なお、アル
コキシシランに対して水の量が少ないほどアルコール性
シリカゾル溶液は安定で、水が等倍量より多くなると経
時的に2相に相分離した。次に、このアルコール性シリ
カゾル溶液を水で4倍に希釈して、安定なゾル溶液とし
た。
【0023】製造例5 製造例1において酸触媒としてp−トルエンスルホン酸
の一水和物の結晶0.050gを用いた場合は、120
分位のかき混ぜによって無色、透明性のアルコール性シ
リカゾル溶液が形成された。生成アルコール性シリカゾ
ル溶液は、さらに水で4〜8倍に希釈し水ガラスとの混
合に用いるゾル溶液とした。
【0024】製造例6 製造例1においてメチルシリケート51のかわりに、こ
のもののモノマーに相当するテトラメトキシシランを用
いた場合は、酸触媒を用いなくても2〜4時間のかき混
ぜによって均一透明性のアルコール性シリカゾルが形成
された。製造例1と同様に0.1Nの塩酸を触媒として
用いた場合は、瞬時に、若干の発熱を伴って透明に均一
化され、pH2.6のアルコール性シリカゾル溶液が得
られた。生成アルコール性シリカゾル溶液はさらに水で
8倍に希釈し、水ガラスとの混合用ゾル溶液とした。希
釈ゾル溶液は10日後にはゲル化した。
【0025】製造例7 製造例1においてメチルシリケート51のかわりに、エ
チルシリケート40(多摩化学社製)を用いた場合は、
48時間以上かき混ぜを行っても均一化できず、アルコ
ール性シリカゾルの形成は困難であった。しかし、混合
する水の量を1/2とし、そのぶんだけエタノールを添
加すると2〜3時間のかき混ぜによって透明性のアルコ
ール性シリカゾルが形成された。生成ゾルは、比較的安
定であった。このアルコール性シリカゾルは、水でさら
に5倍に希釈して水ガラスとの混合に用いた。
【0026】実施例1 300mlの三角フラスコ中で、JIS規格3号水ガラ
ス(富士化学社製)30gにケイ酸リチウム水溶液(日
産化学社製リチウム水ガラスLSS−45)10gを混
合した水ガラスに、上記製造例1で調製した4倍希釈の
ゾル溶液40gを混合したところ、沈殿を生ずることな
く、長期間安定な低粘性で透明な低温度硬化性組成物が
得られた。
【0027】上記組成物を平板硝子表面に塗布し、自然
乾燥及び120〜150℃のホットプレート上で5分か
ら10分加熱乾燥すると、高光沢性で密着性の良いガラ
ス質のコーティング膜が形成された。コーティング膜の
硬度は非常に高く、寺田式微小硬度計(SM−2型)に
よるヌープ硬度はKH=316で0番(中心径25μ
m)の市販品の家庭用スチールウールで強く擦っても全
く傷が付かず耐擦傷性に優れていた。
【0028】自然乾燥で生成したコーティング膜も水に
不溶性となったが、この場合は耐水性は十分でなく水中
に浸漬するとコーティング膜が剥離した。150℃で乾
燥硬化したコーティング膜の場合は水中に1カ月以上浸
漬しても表面の状態に全く変化が見られず、水ガラス塗
膜の欠点であった耐水性が著しく改善された。また、炭
酸ガス吸収による白華現象は自然乾燥硬化の場合には、
経時的に若干の吸湿性とエフロレッセンスが認められ
た。しかし、水ガラス単独の場合に比較すると本発明の
方法によってかなり減少している。また、150℃で加
熱乾燥硬化した場合はエフロレッセンスは殆ど見られな
くなった。
【0029】比較例1 実施例1において、水ガラスと混合するゾル溶液とし
て、製造例1で形成されたアルコール性シリカゾル溶液
を水で2倍に希釈したものを用いた。この場合、水ガラ
スとの混合時にゲル化し、経時的に沈殿を生じ全体が白
色不透明性の固体状になった。
【0030】実施例2 実施例1と同様の方法によって、3号水ガラスのみから
なる水ガラス40gに、製造例1で調製した4倍希釈の
ゾル溶液60gを混合したところ、相分離や沈殿の生成
はなく均一に混合でき、無色透明性の低粘性の低温度硬
化性組成物が得られた。この組成物をガラス板、木材、
アルミ板、スレート板等に塗布し、120℃で加熱乾燥
硬化した。形成されたコーティング膜は耐水性に優れ、
密着性が良く、無色透明性で高光沢性であった。膜の硬
度はヌープ硬度KH=296であった。
【0031】比較例2 実施例2において、水ガラスと混合するゾル溶液とし
て、製造例1で形成されたアルコール性シリカゾル溶液
を4倍希釈でなく3倍希釈のものを20g用いた。この
場合、白色不透明になり、やがて全体が固化した。
【0032】実施例3 実施例1と同様にして、50mlの三角フラスコ中で、
3号ケイ酸ソーダ30gにケイ酸リチウム水溶液10g
を混合した水ガラス混合系に、製造例2で調製した5倍
希釈のゾル溶液を40g混合したところ、均一混合して
長期間安定な低温度硬化性組成物が得られた。このもの
をガラス板等にコーティングし、自然乾燥及び150℃
での乾燥で無色透明性で高光沢性のコーティング膜が得
られた。150℃で乾燥硬化して得られたコーティング
膜は、長期間水中で全く変化が見られなく、またエフロ
レッセンスも殆ど生じなかった。コーティング膜のヌー
プ硬度は室温乾燥硬化の場合はヌープ硬度KH=51
で、150℃乾燥硬化の場合のヌープ硬度はKH=31
6で、いずれも密着性が良く、耐擦傷性であった。
【0033】比較例3 実施例3において、水ガラスと混合するゾル溶液とし
て、製造例2で形成されたアルコール性シリカゾル溶液
を3倍に水で希釈したものを用いた。この場合、水ガラ
スとの混合時にゲル化して経時的に白色の固化物となっ
た。
【0034】実施例4 300mlの三角フラスコ中で、3号水ガラス20gと
リチウム水ガラスLSS−45を20g混合したもの
に、上記製造例3で形成されたアルコール性シリカゾル
溶液の4倍希釈のゾル溶液10gを混合したところ、粘
ちょうな無色透明性の低温度硬化性組成物が得られた。
なお、4倍希釈のゾル溶液を20g混合した場合はゲル
状となった。次に、上記組成物をガラス板などに塗布
し、室温乾燥及び120℃加熱乾燥すると、良好なガラ
ス質のコーティング膜が形成された。加熱乾燥硬化した
場合は、優れた耐水性と耐エフロレッセンスを示した。
【0035】実施例5 300mlの三角フラスコ中で、3号水ガラス20gに
リチウム水ガラス20gを混合した水ガラスに、製造例
4で調製した4倍希釈のゾル溶液を30g混合したとこ
ろ、沈殿を生じることなく低粘性の透明な低温度硬化性
組成物が得られた。ガラス板等にコーティング後、自然
乾燥及び120℃のホットプレート状で10分加熱乾燥
すると、高光沢性で密着性の良いガラス質のコーティン
グ膜が形成された。自然乾燥した場合でも耐水性は改善
されたが、120℃加熱によって耐水性は著しく改善さ
れた。
【0036】実施例6 3号水ガラス20gにリチウム水ガラス(LSS−4
5)を20g混合した水ガラスに製造例5で調製した4
倍希釈ゾル溶液を20g混合したところ、沈殿を生じる
ことなく低粘性の透明な低温度硬化性組成物が得られ
た。ガラス板等にコーティング後自然乾燥の場合は、亀
裂、剥離など造膜性が悪かったが、120℃での強制乾
燥では造膜性は良好となり、耐水性が優れ、エフロレッ
センスのない高光沢性で密着性の良い、堅い(ヌープ硬
度KH=316)ガラス質のコーティング膜が形成され
た。
【0037】実施例7 3号水ガラス40gに製造例6で調製した4倍希釈のゾ
ル溶液30gを混合したところ、沈殿を生じることなく
透明性の低温度硬化性組成物が得られた。上記組成物を
ガラス板にコーティング後自然乾燥すると、無色透明で
高光沢性のエフロレッセンスの見られない、ガラス質の
良好なコーティング膜が形成された。ヌープ硬度はKH
=58で、密着性も良好であった。120℃のホットプ
レート上で乾燥硬化した場合は、ヌープ硬度はKH=2
61で、密着性の良い耐水性の優れた高光沢性のガラス
質コーティング膜が形成され、エフロレッセンスも見ら
れなかった。
【0038】実施例8 3号水ガラス20gにリチウム水ガラス(LSS−4
5)20gを混合した水ガラスに製造例7で調製した1
0倍希釈のゾル溶液を20g混合したところ、沈殿を生
じることなく低粘性無色透明の組成物が得られた。ガラ
ス板にコーティング後室温で乾燥すると、造膜性はやや
悪く、亀裂と剥離が見られた。しかし、120℃での乾
燥硬化によって得られたコーティング膜は、密着性の良
い無色透明高光沢性の、エフロレッセンスのない高硬度
(ヌープ硬度KH=296)のガラス質のもので、耐水
性の優れたものであった。
【0039】
【発明の効果】本発明の低温度硬化性組成物によって水
ガラスの最大の欠点である耐水性の欠如と炭酸ガス吸収
による白華現象を改善できるので、水ガラス系無機塗料
の特徴であるところの、有機系塗料では得られない優れ
た耐候性、耐炎性、高硬度を有するガラス質ないし琺瑯
調のコーティング膜を形成でき、しかも、媒体として水
を用いるため無公害性と作業性に優れている。このこと
から、木材、各種金属、コンクリート、モルタル、アス
ベスト、スレート、天然石材、ガラス、石膏などの表面
をガラス質ないし琺瑯調の硬いコーティング膜で被覆で
きる。また、クレイ、セメント、アスベスト、砂などの
各種の充填材のバインダーとしても使用でき、原料が非
常に安価であるために不焼成レンガやタイルなどの成形
物が容易に得られ、建築、土木などの分野にまで広範囲
の用途がある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:M2 O・nSiO2 (n=2.
    0〜4.1、Mはアルカリ金属でNa、Kの単独もしく
    はLiとの混合系)で表される水ガラス(A)を主成分
    とし、これと、アルコキシシラン類を無機強酸もしくは
    有機強酸を触媒として水と混合し、加水分解・重縮合さ
    せて得たアルコール性シリカゾル溶液を、上記水ガラス
    との混合時に沈殿やゲル化を生じない程度にさらに水で
    希釈したゾル溶液(B)とを混合してなることを特徴と
    する低温度硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の低温度硬化性組成物を
    各種基材に塗布し、ついで60〜200℃で強制乾燥す
    ることを特徴とする耐水性のガラス質コーティング膜の
    形成法。
JP303995A 1995-01-12 1995-01-12 低温度硬化性組成物とガラス質コーティング膜の形成法 Expired - Lifetime JP2705756B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP303995A JP2705756B2 (ja) 1995-01-12 1995-01-12 低温度硬化性組成物とガラス質コーティング膜の形成法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP303995A JP2705756B2 (ja) 1995-01-12 1995-01-12 低温度硬化性組成物とガラス質コーティング膜の形成法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08188442A JPH08188442A (ja) 1996-07-23
JP2705756B2 true JP2705756B2 (ja) 1998-01-28

Family

ID=11546178

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP303995A Expired - Lifetime JP2705756B2 (ja) 1995-01-12 1995-01-12 低温度硬化性組成物とガラス質コーティング膜の形成法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2705756B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016210670A (ja) * 2015-05-11 2016-12-15 株式会社九州ハイテック メンテナンスフリー型石材タイル及びそのコーティング剤並びにそのタイルの製造方法

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1174479A4 (en) 1999-03-09 2009-08-19 Toto Ltd HYDROPHILIC ELEMENT, PROCESS FOR PREPARING THE SAME, COATING AGENT AND PREPARATION APPARATUS
JP5531314B2 (ja) * 2009-09-30 2014-06-25 独立行政法人産業技術総合研究所 シリカ膜およびその形成方法、並びにシリカ被膜付き材料およびその製造方法
TW201510124A (zh) * 2013-08-01 2015-03-16 Nippon Soda Co 塗布組合物
JP6057946B2 (ja) * 2014-06-16 2017-01-11 アイシン化工株式会社 防錆水性塗料組成物及びその製造方法
KR101775537B1 (ko) * 2016-12-30 2017-09-06 (주)삼광기업 물유리가 포함된 무기질 세라믹 코팅제 조성물

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016210670A (ja) * 2015-05-11 2016-12-15 株式会社九州ハイテック メンテナンスフリー型石材タイル及びそのコーティング剤並びにそのタイルの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08188442A (ja) 1996-07-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3895956A (en) Water permeability reducing inorganic coating slurry composition
US8129461B2 (en) Silica-based coating composition and its use for coating cement-bonded objects
JP2774235B2 (ja) オルガノシロキサン液組成物とその用途
JPH0718202A (ja) アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を主剤とするコーティング材料及びバインダー
WO2005071033A2 (en) Method of production of polysilicate binder for adhesives and coatings, polysilicate binder, adhesive composition for adhesives and coating on its basis
JPH09511983A (ja) ケイ酸塩化合物
JP2705756B2 (ja) 低温度硬化性組成物とガラス質コーティング膜の形成法
CN106833368A (zh) 一种水性有机硅石材防护剂的制备方法
CN102010157B (zh) 一种双组分环保型无机聚合物涂覆材料及其制备方法
JP2002544107A (ja) 珪酸塩組成物
KR19990073370A (ko) 분말형수성무기계도포제및마감용무기계도포제조성물
JPH0797244A (ja) 水ガラス組成物
KR101153784B1 (ko) 기능성 도료 조성물 및 그 제조 방법
JP2615407B2 (ja) コーテイング用組成物とガラス質塗膜の形成法
JP2866923B2 (ja) 透明ガラス質形成組成物及びコーテイング膜形成方法
US3345194A (en) Organic ammonium silicate coating compositions
KR101047963B1 (ko) 유기금속함유 무촉매 상온경화형 코팅조성물, 그의 제조방법 및 그에 의한 코팅제품
CN109264979A (zh) 一种有银色涂层的玻璃制备方法
JPH06316679A (ja) 建築物塗材用固結剤と塗材の製造方法
JPH06271370A (ja) 低温度硬化性セラミック・有機高分子複合塗膜の形成方法
CN103613964A (zh) 水性清环境无机防涂鸦亮面漆及其涂层方法
JPH01160886A (ja) コンクリート構造物またはその他のセメント系材料の劣化防止及び補修方法
JP3417397B2 (ja) 無機質塗料
JP2002159911A (ja) 無機塗装品の製造方法
KR950011507B1 (ko) 무기질 피복 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term