JPH08120192A - 塗装材及びこれを用いる塗装工法 - Google Patents

塗装材及びこれを用いる塗装工法

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JPH08120192A
JPH08120192A JP7191247A JP19124795A JPH08120192A JP H08120192 A JPH08120192 A JP H08120192A JP 7191247 A JP7191247 A JP 7191247A JP 19124795 A JP19124795 A JP 19124795A JP H08120192 A JPH08120192 A JP H08120192A
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coating
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cement
aggregate
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Masaharu Shinoda
正治 篠田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期間にわたって優れた耐熱性、耐水性を保
持することができるとともに、塗膜の強度、被塗装材に
対する接着強度が優れた塗装材および塗装工法を提供す
る。 【構成】 石灰ケイ酸質接合材を必須成分とする無機質
接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質と、骨
材とからなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、塗装材及びこれ
を用いる建設基材の塗装工法に関し、基材表面に対する
接着強度が高く、長期間にわたって優れた耐候性、耐熱
性及び水密性を保持できるようにした塗装材及びこの塗
装材を用いて簡単に、かつ、安価に施工できる建設基材
の塗装工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、建築物の陸屋根、ベランダ、
壁面等の防水工事は、スラブや壁下地の上にタールを塗
布したり、タール紙、合成樹脂シート、ゴムシート等の
防水シートを貼って防水層を形成するという手順を採っ
ている。又、この防水工事を行う作業員には特別の資格
が求められており、厳格な施工基準に従って行われるこ
とが要求される。
【0003】このような防水工事の簡略化を目的とする
技術として、以下のものが提案されている。
【0004】即ち、特公昭52−26049号公報に
は、液状化された非加硫ゴム溶液を主成分とし、これに
吸油、吸水性の優れた珪砂、石綿、炭酸カルシウム等の
骨材を添加混合し、これを塗装面に厚付け塗布し、最後
にこれを乾燥固化して起伏状の凹凸粗面を呈する非加硫
ゴム塗膜層を形成する下地層の製造方法が提案されてい
る。
【0005】この場合、液状化された非加硫ゴム溶液の
溶剤としてヘキサン、トルエン、キシレンなどの有機溶
剤が用いられている。
【0006】又、特公昭44−18757号公報に
は、セメントに、酢酸ビニルエマルジョンやアクリル酸
エステルエマルジョンを配合したもの、あるいは酢酸ビ
ニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン又はエ
チレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンを素地表面に
塗布した後、仕上げ塗装を施すものが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の従来の防水工事の工費は、たとえば、1〜2万円/平
方メートル程度と高価である上、空気中の硫黄酸化物や
窒素酸化物とゴムとが反応して比較的短時間にゴムが劣
化し、防水機能が例えば5〜10年程度で著しく低下す
るという問題がある。
【0008】又、このものには溶剤としてヘキサン、ト
ルエン、キシレンなどの有機溶剤が用いられているが、
これらの溶剤には発癌性の物質や神経を麻痺させる物質
が含まれており、その取り扱いや室内での使用に相当の
注意を要する。また、可燃性を有するため危険である。
【0009】更に、これらの有機溶剤は水との相溶性が
悪いが、珪砂、石綿、炭酸カルシウム等の骨材の表面に
は水分が付着しており、有機溶剤と反発し合って、当該
骨材が凝集し合う結果、均一な防水層を形成しにくい。
又、塗膜の内部にこの有機溶剤が残留しやすく、これが
徐々に蒸散して異臭を放ち、非衛生的である。
【0010】特に、このものは、公報に記載されている
ように、基板面に塗布され、更に乾燥されることにより
骨材中の溶剤分が蒸散して体積が大きく減少し、このた
め骨材相互間に空隙部が生じやすい。また、上記乾燥工
程による溶剤分の蒸散により骨材表面を被覆する非加硫
ゴム塗膜層にも無数の気泡が形成されやすい。しかも、
熱によって、上記気孔が膨張して破壊される結果、空気
が流入し易く、耐候性および耐熱性も悪くなる。
【0011】又、上記のものは、分散媒として水を用
いているので、大気汚染や火災更に毒性などの危険性は
ない。
【0012】しかしながら、これらの樹脂エマルジョン
はあらかじめ被塗装面に塗布して乾燥あるいは半乾燥さ
せられ、その後にモルタル等が仕上げ材として塗着され
るため、少なくともモルタル等の硬化過程においては樹
脂被覆層表面には官能基がないか、あるいは少なくなっ
ているものと考えられる。このため、セメントモルタル
中の金属イオンやセメントが水と反応して生成したカル
シウムシリケート水和物に起因するカルシウムイオン、
あるいは、水酸化カルシウムからのカルシウムイオン
と、上記樹脂被覆層表面との架橋反応が生じにくい。し
たがって、樹脂被覆層とモルタル等の仕上げ材との間に
十分な接着強度を確保することが困難である。また、樹
脂被覆自体の耐候性、耐熱性が不十分となる。また、樹
脂被覆層と仕上げ層との間の物性が大きく異なるためひ
び割れも生じやすく、耐水性(水密性)が低い。
【0013】本願発明は、上記の技術的課題に鑑みてな
されたものであり、長期間にわたって優れた耐候性およ
び耐水性(水密性)を保持できるため、厨房や風呂更に
洗面所等の水回りに使用できるのみならず、耐熱性が高
いため、屋根やベランダ等の防水材料、更に窓やドア等
の周囲における雨じまい並びに壁の隙間のシーリング材
にも使用でき、さらに、内装仕上げ材としても好適に用
いられるようにした塗装材およびこれを用いる塗装工法
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明では次の技術的手段を講じている。すなわ
ち、本願の請求項1に記載した発明は塗装材に関するも
のであり、石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする無機質
接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質と、骨
材とを含んで構成される。
【0015】また、請求項2に記載した発明のように、
上記樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質に官能基を含
有させることができる。
【0016】骨材としては、請求項3に記載した発明の
ように、二酸化ケイ素を主成分とするケイ砂、炭酸カル
シウムを主成分とする石粉、鉱滓から選ばれた少なくと
も1種を配合することができる。
【0017】石灰ケイ酸質接合剤として、請求項4に記
載した発明のように、ポルトランドセメント又は特殊ポ
ルトランドセメントを採用することができる。特に、さ
らに、請求項5に記載した発明のように、白色ポルトラ
ンドセメントを採用するのが好ましい。
【0018】請求項6に記載した発明のように、上記無
機質接合剤に、石膏、マグネシアセメント、アルミナセ
メント、微粉末鉱滓、フライアッシュ、シリカフュー
ム、ポゾラン、又はゼオライトから選ばれた少なくとも
1種を含有させることができる。
【0019】特に、請求項7に記載した発明のように、
無機質接合剤が白色ポルトランドセメント及び微粉末鉱
滓を必須成分とすることが好ましい。
【0020】請求項8に記載した発明のように、骨材と
して、粒度の異なる2種以上の骨材を配合することがで
きる。
【0021】特ち、請求項9に記載し発明のように、骨
材の最大粒度を500μm以下に設定するのが好まし
い。
【0022】骨材として、請求項10に記載した発明の
ように、平均粒度の比が8ないし12である2種或いは
3種以上の骨材を配合することができる。
【0023】請求項11に記載した発明のように、無機
質接合剤、および骨材の白色度が75以上に設定するの
が好ましい。
【0024】請求項12に記載した発明のように、無機
質接合剤に、更に架橋剤を配合することができる。
【0025】さらに、請求項13に記載した発明のよう
に、骨材の少なくとも1種を架橋剤でコーティング処理
することができる。
【0026】架橋剤として、請求項14に記載した発明
のように、シリコーン系架橋剤、アルキルチタネート、
チタニウムアシレート、チタニウムキレート、リン酸エ
ステル、ホスホネート、亜リン酸エステル、ポリリン酸
或いはその金属塩、ホウ酸またはホウ砂から選ばれた少
なくとも1種を採用できる。
【0027】水性高分子物質として、請求項15に記載
した発明のように、官能基を含有する樹脂及び/又はゴ
ムのエマルジョン、水溶液又はディスパージョンを採用
することができる。
【0028】官能基としては、請求項16に記載した発
明のように、、カルボキシル基、水酸基、メチロール
基、酸アミド基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロ
キル基又はエポキシ基から選ばれた少なくとも1種を採
用することができる。
【0029】官能基含有モノマーとして、請求項17に
記載した発明のように、メタクリル酸、アクリル酸、イ
タコン酸又は無水マレイン酸等の不飽和結合を有するカ
ルボン酸、メチロールアクリルアマイド、ヒドロキシエ
チルメタクリレート或いはヒドロキシプロピルメタクリ
レートなどの不飽和結合を有する水酸化合物、ジメチル
アミノエチルメタクリレートやアクリルアマイドなどの
加水分解によって官能基を生成する物質、グリシジルメ
タクリレートなどのエポキシ基を有する化合物などから
選ばれた少なくとも1種を配合することができる。
【0030】請求項18に記載したように、官能基を含
有する樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質として、ア
クリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−メタク
リル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体、ブタジエン−メタクリル酸共重合体、イソプレン−
アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸共
重合体或いはアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリ
ル酸共重合体などのアクリル酸エステル−アクリル酸共
重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体或い
はアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共重合
体などのアクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、
カルボキシルポリイソブチレン、エチレン−アクリル酸
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ブタジエ
ン−スチレンカルボキシルエラストマー、ブタジエンア
クリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエン
−メタクリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタ
ジエン−塩化ビニリデンカルボキシルエラストマー、ポ
リクロロプレンカルボキシルエラストマー、ポリエチレ
ンカルボキシルエラストマー或いはポリイソブチレンカ
ルボキシルエラストマーなどのエマルジョン、水溶液又
はディスパージョンでを採用できる。
【0031】請求項19に記載した発明のように、塗装
材に無機質繊維を含有させることができる。この無機質
繊維として、請求項20に記載した発明のように、ガラ
ス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、ロックウール又はスラ
グウールから選ばれた1種又は2種以上のものを採用す
ることができる。
【0032】請求項21に記載した発明のように、塗装
材に顔料、着色材としての天然石粉又はカイガラ粉のう
ちの1種または2種以上を配合することができる。
【0033】特に、請求項22に記載した発明のよう
に、顔料として、無機質顔料を採用できる。
【0034】有機質顔料を採用する場合には、請求項2
3に記載した発明のように、顔料全体の50重量%以下
に設定することができる。
【0035】請求項24に記載した発明のように、天然
石粉として、花こう岩粉、御影石粉又は大理石粉を採用
できる。
【0036】請求項25に記載した発明は、塗装工法に
関するものであり、塗装材を基材に塗装し、固化させる
ものである。
【0037】請求項26に記載した発明のように、本願
発明に係る塗装材によって下地塗装を行うことができ
る。
【0038】また、請求項27に記載した発明のよう
に、本願発明に係る塗装材によって仕上げ塗装を行うこ
とができる。
【0039】請求項28に記載した発明のように、本願
発明に係る塗装材によって下地塗装を行った後に、更に
この塗装材で仕上げ塗装を行うことができる。
【0040】塗装工法として、請求項29に記載した発
明のように、仕上げ塗装の目地部分をマスクしてから仕
上げ塗装を行い、更にこの後にマスクを剥離することを
採用できる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の塗装材及びこれ
を用いる塗装工法に係る実施の形態について詳細に説明
する。
【0042】石灰ケイ酸質接合剤は、単味セメントと混
合セメントに分類され、そのいずれも使用可能である
が、入手が容易で安価であり、しかも品質が安定してい
る上、特性が優れる単味セメントが望ましい。
【0043】上記単味セメントはポルトランドセメント
と特殊ポルトランドセメントに分類されるが、特に、以
下に述べる理由より、特殊ポルトランドセメントの1種
である白色ポルトランドセメントが望ましい。
【0044】すなわち、本願発明者の実験結果による
と、セメント中に鉄分やマンガンが混入している場合、
水や樹脂等の硬化剤を加えると、著しく硬化が促進され
る。このため、塗装工事の際に、塗装材に頻繁に水や溶
剤などの粘度調整剤を加える必要があり、取り扱い難い
上、頻繁に水や溶剤を加えることによって硬化物の組成
変化が生じ易い。このため、所望の水密性や耐久性が得
られないことがある。
【0045】一方、白色ポルトランドセンメントは、そ
の成分中に鉄分やマンガン分が極めて少なく、塗装工事
の際に、塗装材に頻繁に水や溶剤などの粘度調整剤を加
える必要がなく、しかも白色であるので種々の色や模様
を作り易いだけでなく、その変更も容易であり、したが
って、美麗な外装材や化粧材を製造する上で最も好まし
い。
【0046】以上の観点より、本願発明においては、特
に白色ポルトランドセメントを用いるのが望ましい。
【0047】本願発明においては、樹脂及び/又はゴム
の水性高分子物質に官能基を含有させることができる。
【0048】石灰ケイ酸質接合剤の耐熱性と、石灰ケイ
酸質接合剤が水と反応して生成した結合水の蒸発潜熱に
よって、長期間にわたって優れた耐熱性を保持できる。
さらに、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質に官能基
を含有させることにより、石灰ケイ酸質接合剤中の金属
イオンや石灰ケイ酸質接合剤が水と反応して生成したカ
ルシウムシリケート水和物に起因するカルシウムイオン
更に水酸化カルシウムからのカルシウムイオンと架橋反
応を起こすことによって、水性高分子物質と石灰ケイ酸
質接合剤とが互いに結合する。この結果、この架橋物が
緩和剤としての機能を発揮し、従来のものに比較して、
ひび割れが防止されたり、耐熱性や水密性が格段に向上
するのである。
【0049】具体的には、例えば官能基がカルボキシル
基(−COOH)である場合、この(−COOH)は水
中で電離しており、2つの(−COOH)から発生した
2つの水素イオンが1個のカルシウムイオンと置換して
化学的に架橋するので、耐熱性や水密性が格段に向上す
るのである。
【0050】又、セメントの硬化に際しては、水和反応
及び水の蒸発が原因で体積収縮が起こる。この体積収縮
は約8%程度と言われているが、官能基を含有する樹脂
及び/又はゴムが、石灰ケイ酸質接合剤中の金属イオン
や石灰ケイ酸質接合剤が水と硬化反応して生成したカル
シウムシリケート水和物に起因するカルシウムイオン更
に水酸化カルシウムからのカルシウムイオンと架橋反応
を起こすことによって硬化物に弾力性が生じる。また、
骨材を覆うようにして、高分子物質の膜が形成される。
この結果、水硬反応に起因する収縮の応力を緩和し、ひ
び割れの発生が防止される。
【0051】本願発明における官能基としては、石灰ケ
イ酸質接合剤やその水硬反応によって生成した陽イオン
や陰イオンとイオン結合したり、配位結合し易い基、更
に水素結合を生じたり、水酸基のように酸素の不対電子
に起因して陽イオンを引き付けて結合するような基が考
えられる。
【0052】カルシウムシリケートや水酸化カルシウム
は、以下に示すように、石灰ケイ酸質接合剤が水と反応
して生成する。
【0053】すなわち、セメントに水を加えると、例え
ば以下の化学反応が起こって、カルシウムシリケートの
水和化合物が生成する。
【0054】3CaO・SiO2+6H2O→3CaO・
2SiO・3H2O+3Ca(OH)2 2(2CaO・SiO2)+4H2O→3CaO・2SiO
2・3H2O+Ca(OH)2
【0055】この水和反応の主体をなすのはカルシウム
シリケートの反応であり、その結果としてのCaO−S
iO2−H2O系化合物が生成し、水酸化カルシウムが放
出される。
【0056】本願発明において、石灰ケイ酸質接合剤を
必須成分とする無機質接合剤(A)と、樹脂及び/又は
ゴムの水性高分子物質(B)の配合割合は、(B)中の
固形分比或いは用いられる樹脂及び/又はゴムによって
も異なるが、一般に、水性高分子物質中の固形分が30
〜50重量%であると、(A)100重量部に対し、
(B)10〜60重量部、好ましくは20〜50重量
部、特に好ましくは25〜45重量部の範囲とするのが
望ましく、10重量部未満では添加による強度及び水密
性増強効果が乏しいので好ましくなく、一方、60重量
部を越えると上記塗装材中の各成分の実質的な配合比が
小さくなり、耐熱性が損なわれる。
【0057】又、本願発明においては、骨材として、二
酸化ケイ素を主成分とするケイ砂、炭酸カルシウムを主
成分とする石粉、鉱滓から選ばれた少なくとも1種を配
合する。
【0058】この場合、無機質接合剤(A)と上記骨材
から選ばれた少なくとも1種(C)の配合割合は、
(A)100重量部に対し(C)50〜1200重量
部、好ましくは100〜1000重量部、特に好ましく
は200〜800重量部の範囲とするのが望ましく、5
0重量部未満では添加する意味がなく、一方、1200
重量部を越えると(A)成分とのバランスが崩れて所望
の強度や耐水性、更に耐熱性が得られない場合があるの
で望ましくない。
【0059】このように、石灰ケイ酸質接合剤に骨材と
してケイ砂や石粉を加えると、石灰ケイ酸質接合剤の水
硬反応によって生成したカルシウムイオンが、シリカに
吸着されて、カルシウムジシリケートが生成し、このカ
ルシウムジシリケート層と樹脂及び/又はゴムの水性高
分子物質が、ケイ砂、石粉、鉱滓或いはセメントゲルか
ら選ばれた少なくとも1種と、強固に接合するととも
に、緻密で、しかも体積収縮が少なくなってひび割れが
少なくなるものと解される。
【0060】本願発明で用いられるケイ砂としては、天
然ケイ砂、蛙目ケイ砂、人造ケイ砂などが挙げられる
が、二酸化ケイ素の純度が高く、しかも粒度のバラツキ
が少ない人造ケイ砂が望ましい。
【0061】上記天然ケイ砂は、粒度が数十〜100メ
ッシュ程度の石英砂であり、少量の長石、チャート砂、
更にカオリンなどを混ぜても良いのである。
【0062】上記蛙目ケイ砂は粒度が数十メッシュ以下
の石英粒、長石、カオリン鉱物を主成分とし、雲母、微
量の重鉱物を伴っている。
【0063】又、上記人造ケイ砂は白珪石又は珪化岩を
粉砕分級して製造したケイ砂であり、粒径が0.01m
m以下の石英の微粒を主成分とし、微量のミョウバン
岩、カオリン、ルチルなどを伴っている。
【0064】本願発明においては、用いられるケイ砂の
最大粒径としては立設した建設基材にエアーガンなどで
吹き付け塗装した際、跳ね返らない程度の大きさに設定
するのが好ましく、塗膜の厚さ、及び他の成分との関係
から、数mm程度のものまで混ぜることができる。
【0065】ケイ砂の市販品の例としては、中日プロゼ
ェクト社製の粉状ケイ砂(♯100、♯200、♯25
0、♯300)や粒状ケイ砂(5号〜8号)等が挙げら
れる。
【0066】本願発明において、骨材として用いられる
鉱滓(スラグ)は、鉱物質原料の溶融によって生じる非
金属物質をいい、非鉄精錬により生じるものと、鉄精錬
により生じるものとが含まれるのであり、ケイ酸性スラ
グと非ケイ酸性スラグが挙げられる。これらの中ではケ
イ砂との混合に適している高炉スラグを用いることが好
ましい。
【0067】又、最近では、人造の鉱滓(スラグ)が製
造、販売されているが、これらのものは成分や粒度が調
整され、高強度で、しかも流動性に優れるので分散性が
良好である結果、水密性および耐久性が良好であるばか
りでなく、品質が安定で、しかも優れたものが得られる
ので望ましい。本願発明では、市販されている鉱滓であ
れば、いずれのメーカーのものも使用できる。なお、骨
材として使用される粒度は上記ケイ砂と同様である。
【0068】さらに、硬化後の機械的強度を一層高める
ための骨材として、炭酸カルシウムを主成分とする骨材
を必須成分とすることができる。この骨材としては種々
のものが販売されているが、本願発明においては、市販
されている骨材であればいずれのメーカーのものも使用
できる。
【0069】ここにおいて、炭酸カルシウムを主成分と
する骨材とは、炭酸カルシウムが50重量%以上含む骨
材のことであり、炭酸カルシウムのみからなる場合のほ
か、一般にセメントに配合される他の骨材を50重量%
未満含んでもよい趣旨である。
【0070】この炭酸カルシウムの市販品としては、中
日プロゼェクト社が取り扱っている石粉(LW300
0)、粒状寒水石、粉状寒水石等が挙げられる。
【0071】このように骨材として、炭酸カルシウムを
用いると好ましい結果が得られる理由は明確ではない
が、炭酸カルシウムはその粒子表面に2価のカルシウム
イオン(陽イオン)と2価の炭酸イオン(陰イオン)が
吸着されており、この2価の陽イオンと陰イオンとが石
灰ケイ酸質接合剤の水硬反応によって生成したカルシウ
ムジシリケートや官能基を含有する樹脂及び/又はゴム
とイオン結合を行う結果、炭酸カルシウムが核となっ
て、無機質接合剤を一層強固に接合するものと解され
る。
【0072】さらに、本願発明では、石灰ケイ酸質接合
剤の混和材として、石膏、マグネシアセメント、アルミ
ナセメント、微粉末鉱滓、フライアッシュ、シリカフュ
ーム、ポゾラン、又はゼオライトから選ばれた少なくと
も1種を含有させることができる。
【0073】これら混和材を添加することによって、無
機質接合剤の性質を調節することができる。
【0074】石膏は、ポルトランドセメントの凝縮遅緩
剤として機能するとともに、硬化後に膨張して充填剤と
しても機能する。
【0075】マグネシアセメントおよびアルミアセメン
トは、組成物の反応性、硬化性を調整するために、PH
調整剤として添加することができる。この場合、水密
性、耐久性、ひび割れ防止及び耐熱性等に配慮して配合
量が決定される。
【0076】微粉末鉱滓、フライアッシュ、シリカフュ
ーム、ポゾラン、又はゼオライトは、それ自体では、水
と反応して硬化することはないが、セメントの水和反応
で生じた物質等と化合して、水に溶けにくい物質を生成
し、骨材の隙間を充填して、塗膜の強度、耐久性、耐熱
性、水密性を向上させる。
【0077】微粉末鉱滓は、溶鉱炉からででくる溶融ス
ラグを急冷粉砕したもので、周囲がアルカリ性であると
その刺激によって固まる性質を有し、強度を向上させ、
水和熱を低下させ、耐薬品性を向上させ、アルカリ骨材
反応を抑制する効果を期待できる。特に、上記効果を発
揮させるために、粒度が0.5〜10μm程度のものを
採用するのが好ましい。
【0078】この微粉末鉱滓の市販品の例としては、新
日鉄化学社製のエスメントやエスメントスーパー60等
が挙げられる。
【0079】フライアッシュは、火力発電所等で微粉炭
を燃焼させたときに生じる灰の微粒子であり、表面が滑
らかなガラス質の球状をしている。フライアッシュは、
セメントの水和反応によって生成した物質と化合して、
水に溶けにくい物質を作る。また、長期強度、水密性、
化学的抵抗性の改善に寄与する。
【0080】シリカフュームは、シリコンを製造する際
に生成される超微粒子であり、フライアッシュと同様に
セメントの水和反応によって生じた物質と化合して、水
に溶けにくい物質を生成する。粒子が非常に細かいた
め、緻密な構造を得ることが可能となり、強度、耐久性
の改善に寄与する。
【0081】ポゾラン及びゼオライト粉末も、水和熱を
減少させ、強度の向上等に寄与する。
【0082】特に、上記の微粒子状の混和剤を配合する
ことによって、塗膜の基材に対する接合強度を格段に向
上させることができる。
【0083】この理由は明らかではないが、無機質接合
剤及び/又は水性高分子物質の平均自由半径とオーダー
的に近似した大きさの微粒子が存在することにより、無
機質接合剤及び/又は水性高分子物質の主鎖の一部の自
由度が拘束される結果、主鎖全体の運動が抑制され、隣
接分子との間の作用力が低分子間の作用と同様の関係に
なり、上述した分子間結合をさらに促進させるためと考
えることができる。特に、粒径1μm以下のものを含有
する微粉末混和剤を添加することにより、接着強度を格
段に高めることができる。
【0084】水性高分子物質としては、官能基を含有す
る樹脂及び/又はゴムのエマルジョン、水溶液又はディ
スパージョンが挙げられる。
【0085】本願発明において、官能基としては、石灰
ケイ酸質接合剤中の金属イオンや石灰ケイ酸質接合剤が
水と反応して生成したカルシウムシリケート水和物に起
因するカルシウムイオン、更に水酸化カルシウムからの
カルシウムイオンと架橋反応を起こすものであれば特に
限定されるものではないが、たとえば、カルボキシル
基、水酸基、メチロール基、酸アミド基、ヒドロキシプ
ロキル基又はエポキシ基から選ばれた少なくとも1種が
挙げられる。
【0086】このように、官能基を含有する重合性モノ
マーとしては、たとえば、メタクリル酸、アクリル酸、
イタコン酸又は無水マレイン酸等の不飽和結合を有する
カルボン酸、メチロールアクリルアマイド、ヒドロキシ
エチルメタクリレート或いはヒドロキシプロピルメタク
リレートなどの不飽和結合を有する水酸化合物、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレートやアクリルアマイドなど
の加水分解によって官能基を生成する物質、グリシジル
メタクリレートなどのエポキシ基を有する化合物などか
ら選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0087】本願発明においては、官能基を含有する樹
脂及び/又はゴムの水性高分子物質として、例えば、ア
クリル酸アルキルエステル−アクリロニトリル−メタク
リル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合
体、ブタジエン−メタクリル酸共重合体、イソプレン−
アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸共
重合体或いはアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリ
ル酸共重合体などのアクリル酸エステル−アクリル酸共
重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体或い
はアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共重合
体などのアクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、
カルボキシルポリイソブチレン、エチレン−アクリル酸
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ブタジエ
ン−スチレンカルボキシルエラストマー、ブタジエンア
クリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエン
−メタクリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタ
ジエン−塩化ビニリデンカルボキシルエラストマー、ポ
リクロロプレンカルボキシルエラストマー、ポリエチレ
ンカルボキシルエラストマー或いはポリイソブチレンカ
ルボキシルエラストマーなどのエマルジョン、水溶液又
はディスパージョンが挙げられる。
【0088】さらに、酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂を
主成分とする微粉末化された水性高分子物質(ヘキスト
合成社製)を採用することもできる。この樹脂は粉末で
あるため、骨材、無機質接合材と粉状態で混合して出荷
できる。現場では水を加えるだけでよいため、搬送及び
作業能率が格段によい。また、品質の安定した塗膜を形
成することができる。しかも、上記粉末状樹脂は、乾燥
後に透明になるため、顔料等の発色性が極めてよい。
【0089】本願発明の塗装材において、無機質接合剤
として白色ポルトランドセメント及び鉱滓を必須成分と
し、骨材として炭酸カルシウムを必須成分とするもの
が、官能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水性高分子
物質との結合によって強固な硬化物が得られ、又、優れ
た水密性と耐久性を発現するうえ、ひび割れがなく、し
かも著しい耐熱性を発揮するので望ましい。
【0090】セメントは、広義には、水で練った時硬化
性を示す無機物質、即ち、無機質接合剤のことである
が、本願発明においては、特に白色ポルトランドセメン
トを用いるのが望ましく、この白色ポルトランドセメン
トとしては市販されているものであれば特に限定される
ものではない。この白色ポルトランドセメントの市販品
は、小野田セメント等が提供しているが、本願発明にお
いては市販されている白色ポルトランドセメントであれ
ば、いずれのメーカーのものも使用できる。
【0091】白色ポルトランドセメントは、セメントを
着色するFe23 、TiO2、Mn23 、Cr23
どの成分を特に低く維持したものであり、各種の顔料等
を用いることによって種々の色や模様を形成できるので
あり、しかも、鉄分やマンガン成分が少ないので、水や
樹脂等の硬化材を加えても急激なゲル化、つまり硬化を
防止して優れた塗装材が得られるのである。
【0092】本願発明の塗装材において、白色ポルトラ
ンドセメントの配合比は5〜60重量%の範囲であれば
よく、白色ポルトランドセメントの配合比が5重量%未
満であれば骨材を接合させる接合力が低下してひび割れ
が生じるので好ましくなく、一方、60重量%を超える
と硬化による収縮が大となってひび割れが生じ易く、
又、このひび割れによる水密効果が不十分になるので好
ましくない。
【0093】これらの観点より、塗装剤における白色ポ
ルトランドセメントの配合比は、好ましくは、7.5〜
50重量%の範囲であり、より好ましくは10〜40重
量%の範囲である。
【0094】本願発明において、微粉末鉱滓の配合比
は、5〜50重量%の範囲であればよく、5重量%未満
では十分な水密性や耐久性が得られなくなるので好まし
くなく、一方、50重量%を超えると硬化後にひび割れ
が生じやすくなるので好ましくない。これらの観点よ
り、微粉末鉱滓の配合比は、好ましくは5〜30重量%
の範囲であり、より好ましくは7.5〜25重量%の範
囲である。
【0095】骨材の配合比は、ケイ砂と合わせた場合、
5〜95重量%、好ましくは、10〜90重量%、特に
好ましくは15〜75重量%であればよい。
【0096】ケイ砂は耐熱性及び耐薬品性を向上させる
ために用いられるが、その配合比は、5〜60重量パー
セントであればよく、ケイ砂の配合比が5重量%未満で
あればケイ砂の配合により耐熱性が高められる効果が乏
しくなるので好ましくなく、一方、60重量パーセント
を超えると乾燥、硬化後にひび割れが生じやすくなった
り、硬化後の接合剤の強度が低下する恐れがあるので好
ましくない。したがって、ケイ砂の配合比としては、好
ましくは5〜40重量パーセントの範囲であり、より好
ましくは7.5〜35重量パーセントの範囲である。
【0097】一方、骨材として、炭酸カルシウムのみ、
或いはケイ砂のみを配合することもできる。特に、ケイ
砂を採用することにより、耐熱性、耐薬品性の高い塗装
材を得ることができる。
【0098】したがって、白色ポルトランドセメント、
微粉末鉱滓、骨材としてケイ砂及び炭酸カルシウムを配
合した塗装剤の場合には、白色ポルトランドセメント5
〜60重量%、微粉末鉱滓3〜40重量%、ケイ砂3〜
60重量%、、及び炭酸カルシウム5〜75重量%、好
ましくは、白色ポルトランドセメント7.5〜50重量
%、微粉末鉱滓5〜30重量%、ケイ砂5〜40重量%
及び炭酸カルシウム10〜65重量%、特に、白色ポル
トランドセメント10〜40重量%、微粉末鉱滓7.5
〜25重量%、ケイ砂7.5〜35重量%及び炭酸カル
シウム15〜60重量%とするのが最も好ましい。
【0099】このように構成することにより、十分な水
密性及び耐水性更に耐久性が得られるのであり、しかも
ひび割れが防止できる上、優れた耐熱性が得られるので
ある。
【0100】本願発明において、骨材の粒度としては、
例えば、吹き付け塗装時に塗装面に反発して付着し難く
ならない程度以下、特に、塗装作業の作業性を高めるた
めに、各成分の粒径を一定以下にした方が作業性が高く
なるとともに、スプレーや圧力ローラを用いる塗装が可
能になる。したがって、本願発明においては、各成分の
粒径を0.005〜5mm程度とすることが好ましく、
粒径が0.005mm未満の場合には取り扱い中に粉塵
が飛散して作業環境を悪くしたり、取り扱い中に防塵マ
スクの着用が必要になって作業性が悪くなるので好まし
くなく、一方、5mmより大きくする場合には、吹き付
け等塗装の際に各成分が落下したり、跳ね返るので塗装
の作業効率を高める上で不利である。こらの観点より、
吹き付けによって塗膜を形成する場合には、0.005
〜3mm、特に、0.005mm〜1mmとするのが望
ましい。また、ハケ等で塗布する場合、1mm以下の薄
い塗膜を形成する場合には、骨材の最大粒度(粒径)を
500μm以下に設定するのが好ましい。
【0101】本願発明においては、粒度の異なる2種以
上の骨材を配合することによって、塗膜自体の強度、耐
ひび割れ性、耐火性等を大幅に向上させることができ
る。
【0102】粒度の異なる2種以上の骨材を配合するこ
とによって、上記効果が得られるのは、骨材の充填密度
が高くなり、骨材間に形成される隙間が小さくなって、
水性高分子物質が硬化して形成される膜の厚さが薄くな
る結果、塗膜全体としての強度が骨材の物性に近づくた
めであると考えられる。また、上記高分子物質の膜が隣
接する骨材間に介在することによって、適度のクッショ
ン効果が与えられ、塗膜に弾力性を付与するものと考え
られる。
【0103】さらに、塗膜が形成される基材との界面に
おいても、水性高分子物質の膜厚さが薄くなり、硬化す
る際の収縮量が小さくなる結果、基材との接着強度が増
加するものと考えられる。もちろん、この接着力の増加
には、上述した微粒子状の混和剤も大きく関与している
ものと考えられる。
【0104】粒度の異なる骨材としては、たとえば、ケ
イ砂と炭酸カルシウムのように異種の骨材を採用するこ
ともできるし、同種の骨材で粒度のみ異なるものを採用
することもできる。
【0105】特に、骨材間の充填密度を考慮すると、平
均粒度の比が8〜12である2種の骨材を配合するのが
好ましい。平均粒度の比が5以下であると、オーダの近
接した粒子が増加して、骨材の充填密度が低下し、接着
強度等の増加を期待することができない。
【0106】骨材の粒度は形成しようとする塗膜の厚
さ、表面性状、基材の種類等によって決定されるが、最
大粒度が500μm以下のものを採用することによっ
て、滑らかな表面を備える薄い塗膜を形成することが可
能となる。特に、好ましくは、最大粒度を300μm以
下に設定するのが好ましい。
【0107】さらに、本願発明では、骨材の色が塗膜の
色を大きく左右する。このため、白色度を75以上であ
る骨材を採用するのが好ましい。これによって、顔料等
を配合した場合の発色性が向上し、鮮やか塗膜を形成す
ることができる。
【0108】本願発明においは、上述の無機質整合剤に
対し、更に架橋剤を10重量%以下配合されているもの
が、各成分間の親和性を高めたり、樹脂やゴムとの親和
性を高めてこれらの成分相互の結合力が向上するので望
ましい。
【0109】又、上記のように、無機質接合剤に、更に
架橋剤を配合するのに代えて、骨材の少なくとも1種を
架橋剤でコーティング処理することも考えられる。これ
により、各成分間の親和性を高めたり、樹脂やゴムとの
親和性を高めてこれらの成分相互の結合力が向上するの
で望ましい。
【0110】この架橋剤のコーティング処理の仕方とし
ては、架橋剤を、水或いは有機溶媒に溶解ないし分散さ
せて、骨材から選ばれた少なくとも1種を処理し、乾燥
するなどの方法が採用される。
【0111】この架橋剤のコーティング処理量として
は、0.01重量%の範囲とするのが望ましく、これに
よって、各成分の親和性を高めたり、樹脂やゴムとの親
和性を高めてこれらの成分相互の結合力が向上するので
好ましい。
【0112】上記架橋剤としては、各成分の親和性を高
めたり、樹脂やゴムとの親和性を高めて、これらの成分
相互の結合力が向上するものであれば特に限定されるも
のではないが、たとえば、シリコーン系架橋剤、アルキ
ルチタネート、チタニウムアシレート、チタニウムキレ
ート、リン酸エステル、ホスホネート、亜リン酸エステ
ル、ポリリン酸或いはその金属塩、ホウ酸またはホウ砂
から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0113】上記シリコーン系架橋剤としては、たとえ
ば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキ
シエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、N−β(アミノメチル)γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノメチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等がその
例として挙げられる。
【0114】又、有機チタン系架橋剤としては、アルキ
ルチタネート、チタニウムアシレート又はチタニウムキ
レートが挙げられるが、これらのうち、特に優れた架橋
性を発現するアルキルチタネートが好ましい。
【0115】上記アルキルチタネートとしては、例え
ば、テトライソプロピルチタネート、テトラチイソプロ
ピルチタネートポリマー、テトラブチルチタネート、テ
トラブチルチタネートポリマー、テトラステアリルチタ
ネート、2−エチルヘキシルチタネート、テトラチイソ
プロピルチタネートとテトラステアリルチタネートの混
合物又はジブチルチタネートポリマー等が挙げられるの
であり、又、チタニウムアシレートとしては、たとえ
ば、イソプロポキシチタニウムステアレートが挙げられ
るのであり、更に、チタニウムキレートとしては、例え
ば、チタニウムアセチルアセトネート又はチタニウムラ
クテート等が挙げられる。
【0116】上記リン酸エステルとしては、例えば、リ
ン酸エチル、リン酸ブチル又はリン酸イソアミルが挙げ
られるのであり、又、ホスホネートとしては、、例え
ば、ジフェニルフェニルホスホネート、ジメチルメチル
ホスホネート、ジエチルエチルホスホネート、ビス−
(2−エチルヘキシル)−2−エチルヘキシルホスホネ
ート又はジブチルブチルホスホネートが挙げられるので
あり、更に、亜リン酸エステルとしては、例えば亜リン
酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピ
ル又は亜リン酸ジオクチル等が挙げられる。
【0117】更に、本願発明の塗装材においては、機械
的強度を高めるとともに、表面に素材特有の繊維模様を
形成できるようにするため、例えば、ガラス繊維、炭素
繊維、ボロン繊維、ロックウール、又はスラグウールか
ら選ばれた1種又は2種以上の無機質繊維を含有させる
ことができるが、この配合割合としては、塗装材全体の
0.05〜15重量%、特に0.5〜7.5重量%とす
るのが望ましく、この配合割合が、0.05%未満では
機械的強度の向上が乏しく、又、所望の模様が得られな
い恐れがあり、一方、15重量%を超えると全体の成分
バランスを崩し、所期の目的を達成できない恐れがある
から好ましくない。
【0118】本願発明の塗装材においては、無機質接合
剤を硬化させるために、塗装の際に、官能基を含有する
樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質或いはこれに更に
水を添加して上記の各配合成分を混練し、塗装材とされ
る。
【0119】本願発明において、石灰ケイ酸質接合剤を
必須成分とする無機質接合剤(A)と、官能基を含有す
る樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質(B)の配合割
合は、(B)中の固形分比或いは用いられる樹脂及び/
又はゴムによっても異なるが、一般に、水性高分子物質
中の固形分が30〜45重量%であると、(A)100
重量部に対し、(B)10〜60重量部、好ましくは2
0〜50重量部、特に好ましくは、25〜45重量部の
範囲とするのが望ましく、10重量部未満では添加によ
る強度及び水密性増強硬化が乏しいので好ましくなく、
一方、60重量部を超えると、上記塗装材中の各成分の
実質的な配合比が小さくなり、耐熱性が損なわれるので
好ましくない。
【0120】上記石灰ケイ酸質接合剤を必須線分とする
無機質接合剤(A)の好ましい例としては、石灰ケイ酸
質接合剤40〜80重量%、微粉末鉱滓20〜60重量
%からなる無機質接合剤、特に好ましくは、石灰ケイ酸
質接合剤50〜70重量%、微粉末鉱滓30〜50重量
%からなる無機質接合剤が挙げられる。また、この石灰
ケイ酸質接合剤としては白色ポルトランドセメントが望
ましい。
【0121】又、本願発明の塗装剤においては、顔料、
天然石粉又はカイガラ粉のうちの1種又は2種以上のも
のを配合して着色したり、花こう岩粉、御影石粉又は大
理石粉などの天然石のような石目模様を作り出したり、
カイガラ粉によって種々の模様を作ることができるよう
になり、仕上げ材として利用する上で有利になる。
【0122】ここで加えられる顔料としては、耐熱性、
耐候性及び堅牢度等の観点より、無機質顔料であること
が好ましい。しかしながら、所望により、有機質顔料を
配合してもよいが、この場合、有機質顔料が全体の50
重量%以下であることが好ましい。
【0123】この顔料、天然石粉又はカイガラ粉の配合
割合としては、一般に、塗装材全体の15重量パーセン
ト以下、特に1〜10重量%の範囲である。
【0124】なお、鉄分、マンガン分等の架橋促進性を
発現する顔料を使用する場合には、架橋による固化を防
止して取り扱いを容易にするために、ゲル化が早いの
で、頻繁に水、樹脂又はゴムの水性高分子物質を加えて
粘度を調整する必要があり、従って、作業性が悪くなる
のでその使用を避けるのが望ましい。
【0125】本願発明においては、所望により、上述の
塗装材に、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、凍結防止剤、
湿潤剤、消泡剤等の添加剤を配合してもよいのである。
【0126】本願発明の塗装材は、長期間にわたって優
れた耐熱性や水密性を保持できるので、例えば、厨房や
風呂更に洗面所等の水回り、更に窓やドア等の周囲にお
ける雨じまい並びに壁の隙間のシーリング材、プールの
防水工事、建物の防水工事、容器の防水処理など広く水
密性を要求される塗装に使用できるが、特に、建物の屋
根やベランダ更に外壁などの防水処理のように、水密性
と共に耐熱性を要求される塗装には最適であるうえ、内
装仕上げ材としても好適に用いられる。なお、本願発明
では、プール等も広義の建設基材に含めるものである。
【0127】即ち、本願発明の塗装工法では、上記本願
発明の塗装材を基材に塗装し、固化させることを特徴と
する。
【0128】以下、本願発明の塗装工法について詳細に
説明する。
【0129】本願発明の塗装工法において、塗装材が塗
装される塗装面は、水平面であっても、垂直面であって
も、傾斜面であってもよく、又、塗装面の形状は平面で
あっても、湾曲面であっても、屈曲面であっても、凹凸
面であってもよい。
【0130】特に、微粉末鉱滓を配合するとともに、粒
度の異なる2種以上の骨材を配合することによって、吹
き付け法による場合等における骨材等の跳ね返りが少な
くなって塗装面に対する付着性が向上するとともに、吹
き付け後の流動性が抑えられ、たれ等がほとんどなくな
る。
【0131】又、本願発明の塗装工法においては、塗装
材が塗装される塗装面の素材、即ち、基材の素材は特に
限定されず、合板を含む木質、金属、合成樹脂、紙、
土、コンクリート、モルタルなどの任意の素材に塗装す
ることが可能である。
【0132】特に、水性高分子物質によって骨材間に形
成される膜厚のオーダに近い微粒子混和材を配合するこ
とにより、従来では塗膜接着強度の低かった樹脂表面に
も適用できる塗装材を提供することができる。
【0133】さらに、本願発明の塗装材を塗装する塗装
方法は、公知の塗装方法であればよく、例えば、刷毛塗
り、加圧ローラを含むローラ塗り、無溶剤スプレーを含
むスプレー塗装法、エアガン等の吹き付け塗工、浸漬法
などの任意の方法を採用することができる。
【0134】本願発明の塗装工法においては、上記本願
発明の塗装材で下地塗装を行うだけでもよく、この場
合、仕上げ塗装は更に本願発明の塗装材を用いても、例
えば、モルタルや他の塗装材を用いてもよい。
【0135】又、本願発明の塗装工法においては、上記
本願発明の塗装材を仕上げ塗装に用いることができ、こ
の場合、下地塗装は本願発明の塗装材を用いても、他の
塗装材を用いてもよい。
【0136】本願発明の塗装工法においては、上記本願
発明の塗装材で下地塗装う行った後、更に、本願発明の
塗装材で仕上げ塗装を行う場合には、下地塗装と仕上げ
塗装との密着性を高めることができるとともに、耐熱性
及び水密性を更に高めることができるので有利である。
【0137】又、この場合に、特に、表面の仕上げ用の
塗装材に、官能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水性
高分子物質と、顔料、天然石粉、カイガラ粉などとを配
合することにより表面を着色したり、表面に石目模様を
形成したりして、種々のデザイン性の優れた仕上げが簡
単にできるようになる。
【0138】この場合、仕上げ塗装の目地部分をマスク
してから仕上げ塗装を行い、更に、この後にマスクを剥
離するという手順をとれば、レンガ積み、タイル貼りな
どの目地を有する仕上げ面が簡単に形成できるのであ
る。
【0139】本願発明の塗装材は、上記のように、石灰
ケイ酸質接合剤を必須線分とする無機質接合剤(A)
と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質(B)と、骨
材(C)とからなることを特徴とする。
【0140】そして、上記の(A)と(B)と(C)と
を混合することにより、従来のものに比較して、長期間
にわたってひび割れが発生しないか或いは殆どなく、し
かも水密性が著しくて向上するうえ、驚くべきことに、
耐候性や耐熱性が著しく優れた接合剤が得られるが、こ
の理由としては、以下のことが考えられる。
【0141】石灰ケイ酸質接合剤の耐熱性と、石灰ケイ
酸質接合剤が樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質中の
水や任意に添加した水が、硬化の際に、硬化材として反
応に関与し、この硬化反応によって生成した接合水の蒸
発潜熱によって長期間にわたって優れた耐熱性を保持す
る。しかも、水性高分子に官能基を含有させることによ
り、石灰ケイ酸質接合剤中の金属イオン、石灰ケイ酸質
接合剤が水と反応して生成したカルシウムシリケート水
和物に起因するカルシウムイオン及び水酸化カルシウム
からのカルシウムイオンと架橋反応を起こすことによっ
て、これらが相互に有機的に結合し、この結果、この架
橋物が緩和材として機能を発揮し、従来のものに比較し
て、ひび割れが防止されたり、耐熱性や水密性更に耐候
性が格段に向上するのである。
【0142】具体的には、例えば官能基がカルボキシル
基(−COOH)である場合、この(−COOH)は水
中で電離しており、この二つの(−COOH)ら発生し
た二つの水素イオンが1個のカルシウムイオンと置換し
て化学的に架橋し、このカルシウムイオンの導入によっ
て耐熱性や水密性が格段に向上するのである。
【0143】又、セメントの硬化に際しては、水和反応
および水の蒸発が原因で体積収縮が起こり、この体積収
縮は約8%程度と言われている。
【0144】ところが、官能基を含有する樹脂及び/又
はゴムが石灰ケイ酸質接合剤中の金属イオンや石灰ケイ
酸質接合剤が水と硬化反応して生成したカルシウムシリ
ケート水和物に起因するカルシウムイオン更に水酸化カ
ルシウムからのカルシウムイオンと架橋反応を起こして
硬化物表面に弾力性が生じ、水硬反応に起因する収縮の
応力を緩和する結果、ひび割れの発生が殆ど防止される
のである。
【0145】この場合、官能基とは石灰ケイ酸質接合剤
やその水硬反応によって生成した陽イオンや陰イオンと
結合したり、配位結合し易い基、更に水素結合を生じた
り、水酸基のように酸素の不対電子に起因して陽イオン
を引き付けて結合するような基が挙げられる。
【0146】ところで、カルシウムシリケートや水酸化
カルシウムは、以下に示すように、石灰ケイ酸質接合剤
が水と反応して生成する。即ち、セメントに水を加える
と、例えば以下の化学反応が起こって、カルシウムシリ
ケートの水和化合物が生成する。
【0147】3CaO・SiO2+6H2O→3CaO・
2SiO・3H2O+3Ca(OH)2 2(2CaO・SiO2)+4H2O→3CaO・2SiO
2・3H2O+Ca(OH)2
【0148】この水和反応の主体をなすのはカルシウム
シリケートの反応であり、その結果として(CaO−S
iO2−H2O)系化合物が生成し、水酸化カルシウムが
放出される。
【0149】又、樹脂又は/及びゴムの水性高分子物質
が、骨材を取り囲むようにしてフィルム(膜)を形成
し、このフィルムが硬化のときや硬化後の温度変化に基
づく膨張、収縮などの物理的変化を吸収し、つまり緩衝
材としての機能を発揮し、一層ひび割れが防止されるも
のと解される。
【0150】一方、硬化後においては、外部からの熱に
対して、特にカルシウムシリケートの結合水や水酸化カ
ルシウムの結合水が気化し、この気化潜熱によって昇温
が抑制される結果、耐熱性が高められると共に、上記各
配合成分の間に浸潤した樹脂又はゴムにって水密性が高
められるのであり、更にと、各配合成分の間に浸潤した
樹脂又はゴムにって各配合成分間の結合強度が高められ
る結果、機械的強度が高められることになる。
【0151】加えて、官能基を含有する樹脂及び/又は
ゴムの水性高分子物質を用いることにより、下地或いは
仕上げ材への浸透性が高められ、しかもこの水性高分子
物質の基材、下地材或いは仕上げ材への浸透によるアン
カー効果により、基材、下地材或いは仕上げ材と塗膜と
の接合強度を高めることができる。
【0152】このように官能基を含有する樹脂及び/又
はゴムの水性高分子物質を用いることにより、石灰ケイ
酸質接合剤を必須成分とする無機質接合剤との親和性が
良く、しかも有機溶剤を含まないので、安全かつ無公害
であり、無臭で塗装作業が行い易いのである。
【0153】又、本願発明において、白色ポルトランド
センメントを用いると、この白色ポルトランドセメント
は、その成分中に鉄分やマンガン分が極めて少なく、塗
装工事の際に、塗装材に頻繁に、官能基を含有する樹脂
及び/又はゴムの水性高分子物質や水などの粘度調整剤
を加える必要が無く、しかも白色であるので種々の色や
模様を作り良いだけでなく、その変化が容易であり、し
たがって、美麗な外装材や化粧材を製造できる作用を有
するのである。
【0154】さらに、本願発明における強度の増加機構
は、上記の理由に加えて、セメントの水和と水性高分子
の膜形成過程によって説明される。すなわち、セメント
の水和過程が高分子の膜形成過程に先行すると考える
と、次のように説明される。
【0155】まず、ポルトランドセメント等の石灰ケイ
酸質接合剤にポリマーディスパージョン等の水性高分子
を混和すると、樹脂粒子がセメントペースト相中に均一
に分散し、セメントの水和によるセメントゲルがしだい
に形成され、同時にセメントゲル−未水和セメント粒子
混合物の表面にポリマー粒子が沈着し始める。セメント
ゲル構造形成に伴う水の消費によってポリマー粒子はし
だいに毛管細孔中に閉じ込められ、セメントの水和がさ
らに進むと毛管水が減少するのでポリマー粒子が凝集
し、セメントゲル−未水和セメント粒子混合物の表面に
ポリマー粒子の連続最密充填相が形成されるとともに、
同時に骨材の表面によく接着する。このことは、被塗装
面に対しても適用され、塗膜の被塗装面に対する接着強
度も向上する。
【0156】このとき、セメントゲル−未水和セメント
粒子混合物の比較的大きな細孔もポリマー粒子で充填さ
れる。微粉末鉱滓等の混和剤を添加すると、上記細孔に
これら微粉末鉱滓がポリマー粒子とともに充填され、従
来にない強度が発現する。
【0157】さらに、カルボキシル基等の官能基を含有
する水性高分子を採用すると、ポリマー粒子層と骨材表
面の間に上述した化学結合が生じると考えられる。
【0158】最終的に、セメントの水和による脱水に伴
って、セメント水和物上の最密充填層のポリマー粒子が
合着し、セメント水和物、骨材間に連続したフィルムを
形成し、セメント水和物相とポリマーフィルム相とが相
互に入り組むことにより、co−matrix相が形成
され、これによって、骨材が相互に強固に結合される。
【0159】しかも、粒度の異なる骨材を配合すること
によって、骨材間の空隙が少なくなり、上記樹脂フィル
ム相が薄くなる。この結果、塗膜全体としての硬度、強
度が大きくなる。
【0160】さらに、上記原理は、被塗装面との間にも
適用され、従来にない接着強度を有する塗膜が形成され
る。
【0161】
【実施例】以下、本願発明の実施例を具体的に説明する
が、本願発明はこれに限定されるものではない。
【0162】実施例1
【0163】白色ポルトランドセメント1500グラ
ム、ケイ砂2500グラム、微粉末鉱滓1000グラム
及び炭酸カルシウム5000グラムを、アクリル酸アル
キルエステル・アクリルニトリル・メタクリル酸共重合
体水性エマルジョン(たとえば、武田薬品工業株式会社
製、商品名ウルトラゾールCMX−43)3000グラ
ムと共に混合し、エアスプレー塗装によってベニア板製
の角箱の内面に5ミリメートルの厚付け塗装した。
【0164】この実施例では、ケイ砂として、表1に示
す粒度分布及び組成を有する中日プロゼクト社製の商品
名シリカフラワー♯100を用いた。
【0165】
【表1】
【0166】また、上記白色ポルトランドセメントとし
ては、小野田セメント社から市販されている白色ポルト
ランドセンメントを用いた。
【0167】上記微粉末鉱滓としては、この実施例で
は、新日鉄化学社製エスメントスーパー60を用いた。
【0168】なお、このエスメントスーパー60の品質
規格及び品質例は表2に示す通りでである。また、平均
粒度(粒径)は、約6μmである。
【0169】
【表2】
【0170】上記骨材として、この実施例では、中日プ
ロゼクト社製の石粉(品名LW3000)を用いた。
【0171】この粒状石粉は、白度が78.7、比表面
積が3300cm2 /g、水分が0.2重量%、炭酸カ
ルシウム(CaCO3)純度はで98%、平均粒度は約
30μmであった。
【0172】上記アクリル酸アルキルエステル・アクリ
ルニトリル・メタクリル酸共重合体水性エマルジョンの
成分は表3に示す通りであり、この実施例では、原液2
400グラムに水600グラムを添加して希釈したもの
を用いた。なお、このエマルジョンは原液では乳白色を
しているが、乾燥すると薄い黄色味を帯びた透明とな
り、表面に研がれた石材と同様の光沢を与えることが認
められた。
【0173】
【表3】
【0174】上記塗装材を段ボール箱の内面に塗装し、
1時間程度経過した後、ガスバーナで塗装面を約30分
にわたって1200〜1300℃に加熱してから段ボー
ル箱を裁断してその断面を観察かたところ、塗膜が若干
膨張したことを除いて、塗膜及び段ボール箱には外観上
全く異常が認められなかった。
【0175】このような優れた耐熱性は、耐熱性の高い
ポルトランドセメント、ケイ砂、鉱滓及び骨材が全て無
機質接合剤で構成されることと、加熱時にこれらに含ま
れた水分(湿分)が蒸発し、その蒸発熱によって塗膜の
温度上昇が低く抑えられることにあると考えられる。
【0176】白色ポルトランドセメント及び微粉末鉱滓
からなる無機質接合剤の耐熱性、ケイ砂および炭酸カル
シウムからなる骨材の耐熱性と、この無機質接合剤がカ
ルボキシル基を含有する樹脂の水性高分子物質中の水や
任意に添加した水が、硬化の際に、硬化剤として反応に
関与するのであり、また、この硬化反応によって生成し
た結合水の蒸発潜熱によって長期間にわたって優れた耐
熱性を保持し、しかもカルボキシル基を含有する樹脂が
白色ポルトランドセメントや炭酸カルシウム中のカルシ
ウムイオン、白色ポルトランドセメントが水と反応して
生成したカルシウムシリケート水和物に起因するカルシ
ウムイオン及び水酸化カルシウムからのカルシウムイオ
ンと架橋反応を起こすことによってこれらが相互に有機
的に結合し、この結果、この架橋物が緩衝剤としての機
能を発揮し、従来のものに比較して、ひび割れが防止さ
れたり、耐熱性や水密性更に耐候性が格段に向上したも
のと解される。
【0177】又、上記塗装材を段ボール箱(底が250
mm角、高さ350mm)の内面に塗装した後、1時間
程度経過した後、段ボール箱に水を高さ300mmまで
注入し、漏水の有無を観察したが、屋外に放置、暴露し
た状態で約8ケ月経過した後でも全く漏水は見られなか
った。
【0178】この実施例に係る塗装材の耐久試験の結果
では、上記のように塗装した段ボール箱(水を注入して
いない。)を屋外に放置、暴露した状態で約8ケ月経過
後に観察したところ、外部、つまり段ボール箱が風雨、
熱、紫外線によってボロボロになり、多数の破れが生じ
ていた。
【0179】次いで、この段ボール箱に水を、高さ30
0mmまで注入し漏水試験を行ったところ、漏水は認め
られなかった。
【0180】上記の実施例では、顔料を使用していない
が、上述の塗装材に、鉄分を含む顔料(ベンガラ)を
5.5重量%添加したところ、急速に固化することが認
められた。
【0181】この固化が生じる主な原因は、鉄分にエマ
ルジョンを含む混合物の成分間で架橋反応を促進する触
媒性があるためであると思われる。
【0182】そこで、このようにして得られた塗装材
に、更にエマルジョン或いは水を追加し続けながらベン
ガラ微量添加して混合したところ、ベンガラが塗装材中
に十分に分散され、しかも、塗装できる程度に塗装材の
粘度上昇を抑えて、上記の実施例と同様に塗装できるこ
とが認められた。
【0183】更に、本願発明においては、塗装材に顔
料、天然石粉又はカイガラ粉を添加して、色や模様を簡
単に付けることができる。
【0184】又、上記の実施例では、塗装材に塗装する
基材が段ボール(紙)で構成されているが、基材の素材
は特に限定されず、紙以外にも合板などの集成材を含む
木材、金属、合成樹脂、コンクリート或いはモルタルに
も本願発明の塗装材を塗装することができる。
【0185】さらに、塗装材が塗装される塗装面の向き
及び形状は特に限定されるものではなく、たとえば塗装
材が塗装される塗装面は、水平面であっても、垂直面で
あっても、傾斜面であってもよく、又、塗装面の形状は
平面であっても、湾曲面であっても、屈曲面であって
も、凹凸面であってもよい。
【0186】又、上記顔料を含まない塗装材を用いて2
〜5mm程度の下地塗装をした後、乾燥させた後、その
表面に格子状にマスキングテープを貼り、更にその後、
ベンガラを含有させた塗装材を用いて3〜10mm程度
の仕上げ塗装を行い、仕上げ塗膜がある程度乾燥してか
らマスキングテープを引き剥がすことにより、外観上レ
ンガ積みのように見える格子状の目地模様を形成するこ
とができる。
【0187】加えて、上記骨材と共に、或いは骨材に代
えて塗装材にガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、ロッ
クウール、又はスラグウールなどの無機質繊維を含有さ
せることも可能であり、この場合は、無機質繊維が有す
る引っ張り強度によって塗膜の引っ張り強度を高めるこ
とができる。
【0188】比較例1
【0189】上記実施例において、アクリル酸アルキル
エステル・アクリルニトリル・メタクリル酸共重合体水
性エマルジョンを用いるのに代えて、市販されている酢
酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンを
用いた以外は、実施例と同様にして塗装材を得、この塗
装材を比較例とした。
【0190】上記塗装材を段ボール箱の内面に塗装し、
1時間程度経過した後、ガスバーナで塗装面を1200
〜1300℃にて加熱したところ、約5分間で膨張し、
燃え出すことが認められた。
【0191】又、この後、直ちに段ボール箱を裁断して
その断面を観察したところ、塗膜及び段ボール箱が焦げ
ていることが認められた。
【0192】さらに、上記比較例の塗装材を段ボール箱
(底が250mm角、高さ350mm)の内面に塗装
し、1時間程度経過した後、段ボールに水を、高さ30
0mmまで注入し、漏水の有無を観察したが、屋外に放
置、暴露した状態で約5ケ月経過した後に漏水が確認さ
れた。
【0193】この比較例に係る塗装材の耐久試験の結果
では、上記のように塗装した段ボール箱(水を注入して
いない。)を屋外に放置、暴露した状態で8ケ月経過後
に観察したことろ、外部、つまり段ボール箱が風雨、
熱、紫外線等によってボロボロになり、多数の破れが生
じていた。
【0194】次いで、この段ボール箱に水を、高さ80
mmまで注入した段階で水漏れが認められた。
【0195】実施例2
【0196】白色ポルトランドセメント2000グラ
ム、微粉末鉱滓1000グラム及び炭酸カルシウム60
00グラムを、アクリル酸アルキルエステル・アクリル
ニトリル・メタクリル酸共重合体水性エマルジョン30
00グラムと共に混合したものを使用した。
【0197】骨材として、平均粒度約300μmの粒状
寒水石(中日プロゼクト社製)を4000グラムと、と
平均粒度約30μmの石粉(中日プロゼクト社製)を2
000グラムを配合した。これら二つの骨材の平均粒度
の比は、約10である。
【0198】接着強度を調べるために、鉄板の表面に5
mmの厚さで厚付け塗装した。
【0199】塗膜の強度を調べるために、40×40×
160mmの大きさのブロックを形成し、曲げ強度、圧
縮強度を測定した。
【0200】耐候性を調べるために、鉄板に5mmの厚
さで厚付け塗装し、凍結融解試験を行った。
【0201】上記試験の結果を表4に示す。表4から明
らかなように、接着強度試験においては、塗膜が割裂破
壊しており、鉄板に対する接着強度が極めて高いことが
証明された。
【0202】
【表4】
【0203】また、曲げ強度試験及び圧縮強度試験の結
果から明らかなように、塗膜自体の強度も格段に向上し
ている。
【0204】さらに、凍結融解試験から明らかなよう
に、耐候性も非常に優れている。
【発明の効果】以上に説明したように、本願発明の塗装
材は、上記のように、石灰ケイ酸質接合剤を必須成分と
する無機質接合剤(A)と、樹脂及び/又はゴムの水性
高分子物質(B)と、骨材(C)とからなることを特徴
としている。微粉末鉱滓等の混和剤を配合したものであ
る。
【0205】さらに、上記無機質接合剤(A)に微粉末
鉱滓等の混和剤を配合するとともに、樹脂及び/又はゴ
ムの水性高分子物質(B)に官能基を含有させ、また、
骨材(C)として粒度の異なる2種以上のものを配合す
ることができる。
【0206】本願発明の塗装剤は、このような構成を有
することにより、石灰ケイ酸質接合剤自体の耐熱性と、
水性高分子物質中の水や任意に添加した水が硬化材とし
て反応に関与するとともにこの硬化反応によって生成し
た接合水の蒸発潜熱によって長期間にわたって優れた耐
熱性を保持する。また、樹脂及び/又はゴムの水性高分
子物質に官能基を含有させることによって、石灰ケイ酸
質接合剤中の金属イオン、石灰ケイ酸質接合剤が水と反
応して生成したカルシウムシリケート水和物に起因する
カルシウムイオン及び水酸化カルシウムからのカルシウ
ムイオンと架橋反応を起こし、これらが相互に有機的に
結合する。この結果、この架橋物或いは水性高分子物質
が硬化することによって形成されたフィルムが骨材間の
緩衝材としての機能を発揮し、従来のものに比較して、
ひび割れが防止されたり、耐熱性や水密性更に耐候性が
格段に向上する効果を有するのである。
【0207】また、外部からの熱に対して、特にカルシ
ウムシリケートの結合水や水酸化カルシウムの結合水が
気化し、この気化潜熱によって昇温が抑制される結果、
耐熱性が高められると共に、充填密度の高い骨材及び各
配合成分の間に浸潤した樹脂又はゴムにって水密性が高
められるのであり、更に、各配合成分の間に浸潤した樹
脂又はゴムによって各配合成分間の結合強度が高められ
る結果、機械的強度が高められることになる。
【0208】加えて、官能基を含有する樹脂及び/又は
ゴムの水性高分子物質を用いていると、下地或いは仕上
げ材への浸透性が高められ、しかもこの水性高分子物質
の基材、下地材或いは仕上げ材への浸透によるアンカー
硬化により、基材、下地材或いは仕上げ材と塗膜との接
合強度を著しく高めることができる。
【0209】又、本願発明において、白色ポルトランド
センメントを用いると、この白色ポルトランドセメント
は、その成分中に鉄分やマンガン分が極めて少なく、塗
装工事の際に、塗装材に頻繁に、官能基を含有する樹脂
及び/又はゴムの水性高分子物質や水などの粘度調整剤
を加える必要が無く、しかも白色であるので種々の色や
模様を作り易いだけでなく、その変化が容易であり、し
たがって、美麗な外装材や化粧材を製造できる結果、外
装の装飾材として至極有益である。
【0210】また、本願発明の塗装材において、無機質
接合材中に石膏を含有させることによって、白色ポルト
ランドセメントの硬化収縮によるひび割れを防止するこ
とができる。また、マグネシアセメントやアルミナセメ
ントを配合することによって、pHを調整し、組成物反
応性や硬化特性を調整することができる。
【0211】さらに、微粉末鉱滓を配合することによっ
て、白色ポルトランドセメントのアルカリ質が中和さ
れ、基材が腐食したり、周囲の塗装材が変質したりする
ことを防止できる。
【0212】又、本願発明の塗装材において骨材を用い
る場合に、この骨材を炭酸カルシウムを主成分とするも
ので構成すれば、コストダウンが図れる上、炭酸カルシ
ウムの反応性及び高温での熱分解の際に潜熱を奪って外
装材の温度上昇を抑える結果、ひび割れが少なく、しか
も耐熱性が向上するのである。
【0213】又、粒度の異なる2種或いは3種の骨材を
配合することによって、骨材の充填て密度を高め、機械
的強度の高い塗膜を形成できる。
【0214】又、本願発明の塗装材において、ガラス繊
維、炭素繊維、ボロン繊維、ロックウール、又はスラグ
ウールから選ばれた1種又は2種以上の無機質繊維が含
まれている場合には、無機質繊維の引っ張り強度によっ
て塗膜の引っ張り強度を高められ、これにより塗膜の耐
久性が一層高められる。
【0215】さらに、本願発明の塗装材において、顔
料、花こう岩粉や大理石粉などの天然石粉、はカイガラ
粉のうちの1種又は2種以上のものが配合される場合に
は、塗膜の表面を任意の色に着色したり、塗膜の表面に
花こう岩や大理石粉のような石目模様を形成したりする
ことができ、デザイン性を高めることができ、仕上げ材
として最適になる。
【0216】本願発明の塗装工法は、上記本願発明の塗
装材を基材に塗装し、乾燥させるので、基材の上に耐熱
性及び水密性を有する継ぎ目のない塗膜を形成すること
ができ、空隙や気孔がなく長期間にわたって優れた耐熱
性及び水密性を保持できる防水構造を得ることができ
る。
【0217】本願発明の塗装工法において、上記本願発
明の塗装材で下地塗装を行う場合は、長期間にわたって
優れた耐熱性及び水密性を有する下地沿うを形成するこ
とができるのであり、又上記本願発明の塗装材で仕上げ
塗装を行う場合には、長期間にわたって優れた耐熱性及
び水密性を有する仕上げ層を形成することができるので
あり、さらに、本願発明の塗装材で下地塗装を行った
後、本願発明の仕上げ塗装を行う場合には、長期間にわ
たって優れた耐熱性及び水密性を有する下地層及び仕上
げ層を形成することができる効果を有するのである。
【0218】本願発明の塗装工法において、特に本願発
明の塗装材で仕上げ塗装をする時に仕上げ塗装の目地部
分をマスクしてから仕上げ塗装を行い、更にこの後にマ
スクを剥離すれば、例えばレンガ積みやタイル貼りのよ
うな目地模様のある仕上げ面を形成することができ、デ
ザイン性を高めることができる効果を有するのである。
【0219】ところで、本願発明の塗装材においては、
安価な材料で形成されており、しかも硬化剤として官能
基を含有する樹脂又はゴムの水性高分子物質を用いてい
るので、室内塗装の場合でも換気やマスクを着用して作
業を行う必要がなく、作業性が著しく良好で、従来の1
/2〜1/4のコストで塗装できるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 1/08 PCP 1/12 PCQ 7/12 PSK PSM E04F 13/02 A 9127−2E //(C04B 28/04 24:24) Z 111:27

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする無
    機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質
    と、骨材とを含む塗装材。
  2. 【請求項2】 樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質が
    官能基を含有する、請求項1に記載した塗装材。
  3. 【請求項3】 骨材が、二酸化ケイ素を主成分とするケ
    イ砂、炭酸カルシウムを主成分とする石粉、鉱滓から選
    ばれた少なくとも1種を配合してなる請求項1又は請求
    項2のいずれかに記載の塗装材。
  4. 【請求項4】 石灰ケイ酸質接合剤が、ポルトランドセ
    メント又は特殊ポルトランドセメントである請求項1な
    いし請求項3のいずれかに記載の塗装材。
  5. 【請求項5】 特殊ポルトランドセメントが白色ポルト
    ランドセメントである請求項4に記載の塗装材。
  6. 【請求項6】 無機質接合剤に、石膏、マグネシアセメ
    ント、アルミナセメント、微粉末鉱滓、フライアッシ
    ュ、シリカフューム、ポゾラン、又はゼオライトから選
    ばれた少なくとも1種が含有されている請求項1ないし
    請求項5のいずれかに記載の塗装材。
  7. 【請求項7】 無機質接合剤が白色ポルトランドセメン
    ト及び微粉末鉱滓を必須成分とするものである請求項1
    ないし請求項6のいずれかに記載の塗装材。
  8. 【請求項8】 粒度の異なる2種以上の骨材を配合した
    請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の塗装材。
  9. 【請求項9】 骨材の最大粒度を500μm以下に設定
    した、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の塗装
    材。
  10. 【請求項10】 平均粒度の比が8ないし12である2
    種或いは3種以上の骨材を配合した、請求項1ないし請
    求項9のいずれかに記載の塗装材。
  11. 【請求項11】 無機質接合剤、および骨材の白色度が
    75以上である請求項1ないし請求項10のいずれかに
    記載の塗装材。
  12. 【請求項12】 無機質接合剤に、更に架橋剤が配合さ
    れている請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の
    塗装材。
  13. 【請求項13】 骨材の少なくとも1種が架橋剤でコー
    ティング処理されている請求項1ないし請求項12のい
    ずれかに記載の塗装材。
  14. 【請求項14】 架橋剤がシリコーン系架橋剤、アルキ
    ルチタネート、チタニウムアシレート、チタニウムキレ
    ート、リン酸エステル、ホスホネート、亜リン酸エステ
    ル、ポリリン酸或いはその金属塩、ホウ酸またはホウ砂
    から選ばれた少なくとも1種である請求項12又は請求
    項13のいずれかに記載の塗装材。
  15. 【請求項15】 水性高分子物質が官能基を含有する樹
    脂及び/又はゴムのエマルジョン、水溶液又はディスパ
    ージョンである請求項1ないし請求項14のいずれかに
    記載の塗装材。
  16. 【請求項16】 官能基がカルボキシル基、水酸基、メ
    チロール基、酸アミド基、ヒドロキシエチル基、ヒドロ
    キシプロキル基又はエポキシ基から選ばれた少なくとも
    1種である請求項1ないし請求項15のいずれかに記載
    の塗装材。
  17. 【請求項17】 官能基含有モノマーとしてメタクリル
    酸、アクリル酸、イタコン酸又は無水マレイン酸等の不
    飽和結合を有するカルボン酸、メチロールアクリルアマ
    イド、ヒドロキシエチルメタクリレート或いはヒドロキ
    シプロピルメタクリレートなどの不飽和結合を有する水
    酸化合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートやアク
    リルアマイドなどの加水分解によって官能基を生成する
    物質、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基を有
    する化合物などから選ばれた少なくとも1種が配合され
    ている請求項16に記載の塗装材。
  18. 【請求項18】 官能基を含有する樹脂及び/又はゴム
    の水性高分子物質がアクリル酸アルキルエステル−アク
    リロニトリル−メタクリル酸共重合体、イソブチレン−
    無水マレイン酸共重合体、ブタジエン−メタクリル酸共
    重合体、イソプレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸
    ブチル−アクリル酸共重合体或いはアクリル酸2−エチ
    ルヘキシル−メタクリル酸共重合体などのアクリル酸エ
    ステル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−メタ
    クリル酸共重合体或いはアクリル酸2−エチルヘキシル
    −メタクリル酸共重合体などのアクリル酸エステル−メ
    タクリル酸共重合体、カルボキシルポリイソブチレン、
    エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル
    酸共重合体、ブタジエン−スチレンカルボキシルエラス
    トマー、ブタジエンアクリロニトリルカルボキシルエラ
    ストマー、ブタジエン−メタクリロニトリルカルボキシ
    ルエラストマー、ブタジエン−塩化ビニリデンカルボキ
    シルエラストマー、ポリクロロプレンカルボキシルエラ
    ストマー、ポリエチレンカルボキシルエラストマー或い
    はポリイソブチレンカルボキシルエラストマーなどのエ
    マルジョン、水溶液又はディスパージョンである請求項
    16又は請求項17のいずれかに記載の塗装材。
  19. 【請求項19】 請求項1ないし請求項18のいずれか
    に記載の塗装材に無機質繊維が含有されている塗装材。
  20. 【請求項20】 無機質繊維がガラス繊維、炭素繊維、
    ボロン繊維、ロックウール又はスラグウールから選ばれ
    た1種又は2種以上のものである請求項19に記載の塗
    装材。
  21. 【請求項21】 請求項1ないし請求項20のいずれか
    に記載の塗装材に顔料、着色材としての天然石粉又はカ
    イガラ粉のうちの1種または2種以上が配合されている
    塗装材。
  22. 【請求項22】 顔料が無機質顔料である請求項21に
    記載の塗装材。
  23. 【請求項23】 有機質顔料が顔料全体の50重量%以
    下である請求項22に記載の塗装材。
  24. 【請求項24】 天然石粉が花こう岩粉、御影石粉又は
    大理石粉である請求項21ないし請求項23のいずれか
    に記載の塗装材。
  25. 【請求項25】 請求項1ないし請求項24のいずれか
    に記載の塗装材を基材に塗装し、固化させることを特徴
    とする建設基材の塗装工法。
  26. 【請求項26】 請求項1ないし請求項25のいずれか
    に記載の塗装材で下地塗装を行う建設基材の塗装工法。
  27. 【請求項27】 請求項1ないし請求項26のいずれか
    に記載の塗装材で仕上げ塗装を行う建設基材の塗装工
    法。
  28. 【請求項28】 請求項1ないし請求項27のいずれか
    に記載の塗装材で下地塗装を行った後に、更にこの塗装
    材で仕上げ塗装を行う建設基材の塗装工法。
  29. 【請求項29】 仕上げ塗装の目地部分をマスクしてか
    ら仕上げ塗装を行い、更にこの後にマスクを剥離するこ
    とを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の建設
    基材の塗装工法。
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