JPH08170052A - 被覆材及びこれを用いる被着体の被覆方法並びにこの被覆材を用いて得た内・外装材、この内・外装材の製造方法及びこの内・外装材の施工方法 - Google Patents

被覆材及びこれを用いる被着体の被覆方法並びにこの被覆材を用いて得た内・外装材、この内・外装材の製造方法及びこの内・外装材の施工方法

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JPH08170052A
JPH08170052A JP6284290A JP28429094A JPH08170052A JP H08170052 A JPH08170052 A JP H08170052A JP 6284290 A JP6284290 A JP 6284290A JP 28429094 A JP28429094 A JP 28429094A JP H08170052 A JPH08170052 A JP H08170052A
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coating material
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Masaharu Shinoda
正治 篠田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、被覆材が無機質接合剤と、樹脂及
び/又はゴムの水性高分子物質からなることにより、被
着体表面に被覆されて当該被着体の耐熱性、防食性、耐
久性、耐酸化性、耐水性及び耐候性を著しく向上させる
うえ、被着体を塩害から保護し、しかも簡単に、且つ安
価に施工できる、被覆材及びこれを用いる被着体の被覆
方法並びにこの被覆材を用いて得た内・外装材、この内
・外装材の製造方法及びこの内・外装材の施工方法を提
供することを目的とする。 【構成】 本発明は、被着体表面に被覆されて当該被着
体を美粧、保護するための被覆材であって、この被覆材
が無機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物
質からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被着体表面に被覆され
て当該被着体を美粧、保護するための被覆材、特に被着
体の耐熱性、防食性、耐久性、耐酸化性、耐水性及び耐
候性を著しく向上させるうえ、被着体を塩害から保護
し、しかも簡単に、且つ安価に施工できる被覆材及びこ
れを用いる被着体の被覆方法並びにこの被覆材を用いて
得た内・外装材、この内・外装材の製造方法及びこの内
・外装材の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、被着体表面に塗装されて当該被着
体を美粧、保護するための塗料として種々のものが提案
されている。
【0003】この被着体の材質としては合成樹脂、ゴ
ム、木材、金属材料、石材、コンクリート、ガラス、セ
ラミック又は紙材等が挙げられる。
【0004】一方、この種、塗料は油性塗料、水性塗
料、合成樹脂塗料及び繊維素誘導体塗料に分類される。
【0005】この塗料を更に詳細に説明すると、油性塗
料としてはボイル油、油性ペイントがあり、水系塗料と
しては主としてビニル系エマルジョン塗料、アクリル系
エマルジョン塗料があり、合成樹脂塗料としては主とし
てアルキド樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、アミノ樹脂塗
料、熱硬化性アクリル樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹
脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、フェノ
ール樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、シリ
コーン樹脂塗料があり、繊維素誘導体塗料としてはニト
ロセルロースラッカー、アセチルセルロースラッカー、
セルロースアセテートブチレートラッカー、エチルセル
ロースラッカーなどが挙げられる。
【0006】これらの塗料は有機系の塗料用樹脂或いは
繊維素誘導体に、有機溶剤又は水などの溶剤或いは分散
剤を用い、適度の流動性を発現させて塗工し易くしたも
のであり、塗布後にゲル化するものである。
【0007】ところで、塗料は被着体の表面に塗装され
て当該被着体の美粧性の発現と保護を図るものであり、
塗料はこの二大機能を長期間にわたって保持し得るもの
程優れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、 従
来の塗料はいずれも塗膜成分が有機系の塗料用樹脂或い
は繊維素誘導体で形成されているので、熱によって変
質、分解したり、場合によっては燃焼するのであり、従
って、耐熱性が著しく低く、用途が極めて制限されるの
である。
【0009】又、 従来の塗料を被着体に塗装して形
成された塗膜は水に対する透過防止機能が低く、所要の
耐水性が得られないのであり、またこの塗膜は有機系の
物質で形成されているので、光、特に紫外線によって変
質、老化したり、又、空気中の酸素によって酸化を受け
る結果、耐候性が悪いと共に被着体の美粧、保護する機
能が短期間で失われるのであり、特に耐オゾン性が低い
という課題がある。
【0010】更に、 従来の塗料を用いて得られた塗
膜は、上記で述べたように、耐水性及び耐候性が悪
く、被着体の保護する機能が短期間で失われる結果、こ
の塗料で金属材料を被覆した場合、短期間で錆が発生
し、所要の防食性が得られないなどの課題がある。
【0011】ところで、 最近では、種々の事情によ
り、所要の広さの土地を確保することが困難になり、湾
岸地域や海を埋め立てて都市や空港が形成されている
が、このような地域では以下に述べる課題がある。
【0012】即ち、湾岸周辺や海周辺に形成された構造
物等は塩害の影響を受け易いが、現在のところ、従来の
塗料では構造物等を塩害から長期間にわたって保護する
事ができないので、構造物等に塗装を繰り返し行う必要
があり、この結果、構造物等の保守管理が大変煩わしい
のである。
【0013】本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされ
たものであり、被覆材が無機質接合剤と、樹脂及び/又
はゴムの水性高分子物質からなることにより、被着体表
面に被覆されて当該被着体の耐熱性、防食性、耐久性、
耐酸化性、耐水性及び耐候性を著しく向上させるうえ、
被着体を塩害から保護し、しかも簡単に、且つ安価に施
工できる、被覆材及びこれを用いる被着体の被覆方法並
びにこの被覆材を用いて得た内・外装材、この内・外装
材の製造方法及びこの内・外装材の施工方法を提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の被覆材は、上記
目的を達成するために、被着体表面に被覆されて当該被
着体を美粧、保護するための被覆材であって、この被覆
材が無機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子
物質からなることを特徴とするものである。
【0015】本願発明者は、従来の塗料などの被覆材が
抱かえる上述の技術的課題を解決すべく長期間にわたっ
て鋭意検討を重ねてきた。その結果、無機質接合剤を主
材とし、これに樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質を
組み合わせると、驚くべきことに、無機質接合剤と樹脂
及び/又はゴムの水性高分子物質の複合によって、耐熱
性、耐食性、耐久性、耐酸化性及び耐候性が著しく向上
するだけでなく、緻密性及び耐水性が著しく向上するう
え、ひび割れを防止して被着体を塩害から保護し得るの
であり、しかもこの組み合わせによって複合材料は簡単
に、且つ安価に施工できることを見い出し、本発明を完
成するに至ったものである。
【0016】以下、まず、本発明の被覆材について詳細
に説明する。本発明において、被着体の材質としては特
に限定されるものではなく、自然物の加工品、或いは人
工物が挙げられる。
【0017】ところで、本発明の被覆材で被着体を被覆
すると、無機質接合剤の存在によって、帯電し難いの
で、塵や埃を吸引することがなく、汚れにくく、この観
点からも至極有益であるのである。
【0018】又、この被覆材で被着体を被覆すると、被
着体の硬度が高く、耐衝撃性が著しく向上するのであ
る。よって、乗用車などの乗物に適用することによって
その適用部位の強度が著しく向上し、その接触事故など
の際の変形が防止されるのである。
【0019】被着体の具体例としては、例えば建設資
材、農業資材、住宅機材、フィルム材、シート材、板
材、手摺、屋外工作物、橋梁、乗物、管材、工業機材、
容器、タンク又は雑貨品等が挙げられる。
【0020】具体的な材質の例としては、被着体が繊維
強化プラスチック(以下、単にFRPという。)で形成さ
れたものが挙げられるが、このFRPで形成された被着
体としては特に限定されるものではない。
【0021】このFRPとしては繊維強化熱硬化性プラ
スチック又は繊維強化熱可塑性プラスチックが挙げられ
るが、特に機械的強度、耐熱性、耐久性、耐候性等の観
点より、繊維強化熱硬化性プラスチックが望ましい。
【0022】FRPは、マトリックスとして合成樹脂
を、又、補強材として繊維又はウイスカー(針状結晶)
などを使用した繊維強化複合材料である。
【0023】このFRPとしては、繊維強化熱硬化性プ
ラスチック又は繊維強化熱可塑性プラスチックが挙げら
れるが、本発明においては、いずれのものにも適用可能
であり、繊維強化熱可塑性プラスチックの機械的強度、
耐熱性、耐久性及び耐候性等を著しく向上するが、特
に、本質的に機械的強度、耐熱性、耐久性及び耐候性等
が高い繊維強化熱硬化性プラスチックが望ましい。
【0024】この繊維強化熱硬化性プラスチックは、マ
トリックスとして、例えば不飽和ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シ
リコーン樹脂、アリル樹脂及びポリイミド樹脂等を、
又、補強材として、例えばガラス繊維、カーボン繊維、
ボロン繊維又はウイスカー(針状結晶)等を使用した繊
維強化複合材料である。
【0025】このFRPの応用品としては広範囲のもの
が製造されており、具体的には、例えば建設資材、農業
資材、住宅機材、フィルム材、シート材、板材、手摺、
屋外工作物、橋梁、乗物、管材、工業機材、容器、タン
ク又は雑貨品が挙げられるが、これらのうち、特に、例
えば建設資材、住宅機材、乗物、タンク、容器、工業機
材及び雑貨品等が挙げられる。
【0026】上記建設資材としては特に限定されるもの
ではないが、具体的には、例えばドーム・ルーパー、壁
材や床材更に天井材或いはこれらに使用される部品や成
形品、コンクリート形枠、築港資材(ブイ、ポンツー
ン)、組立ハウス、軌条絶縁体埋込栓、設置式プール、
道路資材(道路標識)、パネル、波板又は平板等が挙げ
られる。
【0027】上記住宅機材としては特に限定されるもの
ではないが、具体的には、例えばバスタブ、ユニットバ
ス、スチームバス、シャワーユニット、便槽、浴槽、浄
化槽、下水道に関連する成形品又は仮設便所等が挙げら
れる。
【0028】上記乗物としては、車両、舟艇、船舶又は
航空機が挙げられるのであり、又、この車両としては二
輪車、乗用車、貨物車、鉄道車両、ロープウエイ又はリ
ニアモーターカー、特に乗用車又は鉄道車両が挙げられ
る。
【0029】上記工業機材としては特に限定されるもの
ではないが、具体的には、例えば信号機器、プリント配
線板、各種絶縁板、配電板、スイッチボックス、キャビ
ネット、回路遮断器、リレーケース、端子函、バッテリ
ーケース、椀木、碍子、パイプ、クーリングタワー、安
全カバー、ケース又は引き抜き材等が挙げられる。
【0030】上記雑貨品としては特に限定されるもので
はないが、具体的には、例えば保守帽、マネキン、家
具、スポーツ用品、レジャー用品、遊具、椅子又は盆等
が挙げられる。
【0031】又、本発明においては、被着体が建設資
材、農業資材、住宅機材、フィルム材、シート材、板
材、手摺、屋外工作物、橋梁、乗物、管材、工業機材、
容器、タンク又は雑貨品であり、この被着体が合成樹
脂、ゴム、木材、金属材料、セラミック又は紙材から選
ばれた少なくとも1種で形成されているものが挙げられ
る。
【0032】更に、本発明においては、被着体が建設資
材、農業資材、住宅機材、フィルム材、シート材、板
材、手摺、屋外工作物、橋梁、乗物、管材、工業機材、
容器、タンク又は雑貨品であり、この被着体が合成樹
脂、ゴム、木材、金属材料、セラミック又は紙材から選
ばれた少なくとも1種と他の材料の組み合わせからなる
複合材料で形成されているものが挙げられる。
【0033】この場合、他の材料としては、例えば2種
以上の被着体を接着するための接着剤等の接合体が挙げ
られる。
【0034】上記合成樹脂としては熱可塑性樹脂又は熱
硬化性樹脂が挙げられる。この熱可塑性樹脂としては特
に限定されるものではないが、具体的には、例えばポリ
スチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリ
ロニトリル、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリ塩化ビニル−ポリ塩化ビニリデン系樹
脂、ポリウレタン、アセタールコポリマー、ポリエステ
ル、ポリフェニレンサルフィド、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサル
ファイド、ポリアミド又はポリカーボネート等が挙げら
れる。
【0035】又、熱硬化性樹脂としては特に限定される
ものではなく、具体的には、例えばフェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、シリコーン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹
脂、ポリイミド樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹
脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル
樹脂又はキシレン樹脂等が挙げられる。
【0036】本発明において、ゴムとしては天然ゴム、
再生ゴム又は合成ゴムが挙げられる。上記合成ゴムとし
ては特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ばイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン
ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ク
ロロプレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム又はアク
リロニトリルゴム等が挙げられる。
【0037】本発明においては、屋外工作物としては特
に限定されるものではないが、具体的には、例えば街路
灯、道路照明灯、電柱、送電塔、道路標識、信号機、反
応塔、洗浄塔、精製塔、化学プラント、パイプライン、
煙突、看板又は広告塔が挙げられる。
【0038】本発明においては、以下に述べる理由よ
り、屋外工作物が街路灯、道路照明灯、電柱、道路標識
又は信号機に好適に適用される。
【0039】これらに用いられている支柱(柱)は材質
が金属材料又はコンクリート(セラミック)で形成されて
いるが、金属材料又はコンクリート(セラミック)は自然
との調和をとり難く、景色と同化させることができない
ため景観が失われる。このため、電柱等を無くし、電線
を地下に埋め込むことが提案されているが、実際には工
事が困難であったり、又、経済的にも不可能な場合が多
い。
【0040】このために、アルミ等の耐食性の高い金属
材料を用いることが提案されているが、酸性雨による腐
食だけでなく、立設した支柱(電柱等の柱)は基部がコ
ンクリートに埋設されており、この基部(金属材料)と
コンクリートとの間で電食が生じる結果、この埋設部が
極度に腐食されてボロボロになり、耐久性や耐候性が悪
く、場合によっては、車による振動等によって倒れる恐
れも生じる。従って、その保守点検に、相当の注意を要
するだけでなく、多額の費用を要する。
【0041】一方、コンクリートで電柱などを製造する
際、緑の顔料等を配合して自然との調和を図ることも試
みられたが、このようにすると、色の鮮やかさにかけて
色がくすむので、自然との調和が不充分となり、又、大
量の顔料を配合すると、強度が著しく低下するだけでな
く、コスト高にもなる。
【0042】本発明の被覆材を用いると、被着体の耐熱
性、防食性、耐久性、耐酸化性、耐水性及び耐候性を著
しく向上させるだけでなく、酸性雨に対して優れた耐久
性を発現する上、鮮やかな色の変化を容易にできるの
で、自然と調和する色彩も簡単に、且つ底コストで作成
できるのである。
【0043】ところで、屋外工作物が街路灯、道路照明
灯、電柱、道路標識又は信号機等である場合において、
立設した支柱(電柱等の柱)に違法に張紙等が行われる
ことがあるが、この場合、これらの被着体の表面を、本
発明の被覆材で被覆した後、更にその表面にシリコーン
コート等の離形コートを行って張紙が剥離し易いように
するのが望ましい。
【0044】又、本発明において、乗物とは人や荷物を
のせて輸送するためのものであり、具体的には、例えば
車両、舟艇、船舶又は航空機等が挙げられるのであり、
またこの車両としては、例えば二輪車、乗用車、貨物
車、鉄道車両、ロープウエイ又はリニアモーターカー等
が、更に、航空機としては、例えば旅客機又は輸送機
が、それぞれ挙げられる。
【0045】ところで、本発明においては、以下に述べ
る理由より、車両が乗用車又は鉄道車両に好適に用いら
れる。
【0046】即ち、本発明の被覆材で乗用車又は鉄道車
両の外面を被覆すると、無機質接合剤の存在によって、
帯電し難いので、塵や埃を吸引することがなく、汚れに
くいのであり、又、この被覆材で乗用車又は鉄道車両の
外面を被覆すると、その被覆部位の硬度が高く、耐衝撃
性が著しく向上するのである。
【0047】従って、乗用車などの乗物に適用すること
によってその適用部位の強度が著しく向上し、その接触
事故などの際の変形や外観の汚損が防止されるのであ
る。
【0048】ところで、本発明の被覆材においては、無
機質接合剤と樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質から
なることを特徴とする。
【0049】即ち、本発明においては、無機質接合剤を
主材とし、これに樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質
を組み合わせると、驚くべきことに、無機質接合剤と樹
脂及び/又はゴムの水性高分子物質の複合によって、耐
熱性、耐食性、耐久性、耐酸化性及び耐候性が著しく向
上するだけでなく、緻密性及び耐水性が著しく向上する
うえ、ひび割れを防止して被着体を塩害から保護し得る
のであり、しかもこの組み合わせによって複合材料は簡
単に、且つ安価に施工できることを見い出し、本発明を
完成するに至ったものである。
【0050】本発明において、無機質接合剤(A)と、
樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質(B)の配合割合
は、(B)中の固形分比或いは用いられる樹脂及び/又
はゴムによっても異なるが、一般に、水性高分子物質中
の固形分が30〜45重量%であると、(A)100重
量部に対し、(B)10〜60重量部、好ましくは20
〜50重量部、特に好ましくは25〜45重量部の範囲
とするのが望ましく、10重量部未満では添加による強
度及び耐水性増強効果が乏しいので好ましくなく、一
方、60重量部を超えると上記被覆材中の各成分の実質
的な配合比が小さくなり、耐熱性が損なわれる恐れがあ
るので好ましくない。
【0051】本発明で用いられる無機質接合剤としては
無機物質からなる接合剤であれば特に限定されるもので
はなく、具体的には、気硬性セメント、水硬性セメント
又は特殊セメント類が挙げられるが、これらのうち、特
に、水硬性セメントが被着体との接合力が高く、しかも
被着体表面に形成されて当該被着体の耐熱性、防食性、
耐酸化性、耐水性及び耐候性を著しく向上させるうえ、
ひび割れが極めて少ないか或いは殆ど無く、被着体を塩
害から保護し、加えて、至極簡単に且つ安価に施工でき
るので望ましい。
【0052】この水硬性セメントの代表的なものとして
は、石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とするものが挙げら
れる。
【0053】この石灰ケイ酸質接合剤は単味セメントと
混合セメントに分類され、そのいずれも使用可能である
が、入手が容易で安価であり、しかも品質が安定してい
る上、特性が優れる単味セメントが望ましい。
【0054】上記単味セメントはポルトランドセメント
と特殊ポルトランドセメントに分類されるが、特に、以
下に述べる理由より、特殊ポルトランドセメントの1種
である白色ポルトランドセメントが最も望ましい。
【0055】即ち、本発明者の実験結果によると、セメ
ント中に鉄分やマンガン分が混入している場合、水や樹
脂等の硬化材を加えると著しく硬化が促進されるので、
塗装工事や型枠の中に流し込む際に、被覆材に頻繁に水
や溶剤などの粘度調整剤を加える必要がり、取り扱い難
い上、頻繁に水や溶剤などの粘度調整剤を加えることに
よって硬化物の組成変化が生じる虞れがある。
【0056】ところが、白色ポルトランドセメントは、
その成分中に鉄分やマンガン分が極めて少なく、塗装工
事や型枠の中に流し込む際に、被覆材に頻繁に水や溶剤
などの粘度調整剤を加える必要が無く、しかも白色であ
るので種々の色や模様をつくり易いだけでなく、その変
化が容易であり、従って、美麗な内・外装材や化粧材を
製造するうえで最も好ましいのである。
【0057】以上の観点より、本発明においては、特に
白色ポルトランドセメントを用いるのが望ましい。
【0058】本発明において、石灰ケイ酸質接合剤を必
須成分とする無機質接合剤(C)と、樹脂及び/又はゴ
ムの水性高分子物質(D)の配合割合は、(C)中の固
形分比或いは用いられる樹脂及び/又はゴムによっても
異なるが、一般に、水性高分子物質中の固形分が30〜
45重量%であると、(C)100重量部に対し、
(D)10〜60重量部、好ましくは20〜50重量
部、特に好ましくは25〜45重量部の範囲とするのが
望ましく、10重量部未満では添加による強度及び耐水
性増強効果が乏しいので好ましくなく、一方、60重量
部を超えると上記被覆材中の各成分の実質的な配合比が
小さくなり、耐熱性が損なわれる虞れがあるので好まし
くない。
【0059】又、本発明においては、無機質接合剤が石
灰ケイ酸質接合剤に、更にケイ砂、鉱滓又は骨材から選
ばれた少なくとも1種を配合してなるものも有益であ
る。
【0060】即ち、無機質接合剤が、石灰ケイ酸質接
合剤とケイ砂からなるもの、石灰ケイ酸質接合剤と鉱
滓からなるもの、石灰ケイ酸質接合剤と骨材からなる
もの、石灰ケイ酸質接合剤とケイ砂及び鉱滓からなる
もの、石灰ケイ酸質接合剤とケイ砂及び骨材からなる
もの、石灰ケイ酸質接合剤とケイ砂、鉱滓及び骨材か
らなるもの、等が挙げられる。
【0061】この場合、石灰ケイ酸質接合剤(E)とケ
イ砂、鉱滓又は骨材から選ばれた少なくとも1種(F)
の配合割合は、(E)100重量部に対し、(F)50
〜1200重量部、好ましくは100〜1000重量
部、特に好ましくは200〜800重量部の範囲とする
のが望ましく、(F)が、50重量部未満では添加する
意味がなく、一方、1200重量部を超えると(E)成
分とのバランスが崩れて所望の強度や耐水性更に耐熱性
が得られない場合があるので望ましくない。
【0062】この場合、被着体の材質がコンクリート
(セラミック)のように熱膨張率が比較的低く、しかも耐
久性があり、又、表面高度が高いものが要求される場合
には石灰ケイ酸質接合剤や鉱滓を増やし、一方、金属材
料のように熱膨張率が比較的高く、耐食性が低いものに
ついては樹脂及び/又はゴムの成分を増やすのが望まし
い。
【0063】ところで、本発明においては、石灰ケイ酸
質接合剤にケイ砂や鉱滓を加えると、石灰ケイ酸質接合
剤の水硬反応によって生成したカルシウムイオンがシリ
カに吸着されて、カルシウムジシリケートが生成し、こ
のカルシウムジシリケート層と、樹脂及び/又はゴム
が、ケイ砂、鉱滓或いはセメントゲルから選ばれた少な
くとも1種と強固に接合すると共に、緻密で、しかも体
積収縮が少なくなってひび割れが少なくなるものと解さ
れる。
【0064】本発明で用いられるケイ砂としては、天然
ケイ砂、蛙目ケイ砂、人造ケイ砂などが挙げられるが、
純度が高く、しかも粒度のバラツキが少ない人造ケイ砂
が望ましい。
【0065】上記天然ケイ砂は粒径が数十〜100メッ
シュ程度の石英砂であり、少量の長石、チャート砂、更
にカオリンなどを混ぜても良いのである。
【0066】上記蛙目ケイ砂は粒径が数十メッシュ以下
の石英粒、長石、カオリン鉱物を主成分とし、雲母、微
量の重鉱物を伴っている。
【0067】又、上記人造ケイ砂は白珪石または珪化岩
を粉砕分級して製造したケイ砂であり、粒径が0.01
mm以下の石英の微粒を主成分とし、微量のミョウバン
岩、カオリン、ルチルなどを伴っている。
【0068】本発明において、用いられるケイ砂の最大
粒径としては特に限定されるものではないが、好ましく
は立設した被着体にエアーガンなどで吹き付け塗工した
際、跳ね返らない程度の大きさ、つまり十数mm程度のも
のを多少混ぜても良いのである。
【0069】ケイ砂の市販品の例としては、中日プロゼ
ェクト社製のシリカフラワーの#200、#250及び
#300、又、中日プロゼェクト社製のケイ砂粉(5号
〜8号)等が挙げられる。
【0070】本発明で用いられる鉱滓(スラグ)は、鉱物
質原料の溶融によって生ずる非金属物質をいい、非鉄精
練により生じるものと、鉄精練により生じるものとが含
まれるのであり、ケイ酸性スラグと非ケイ酸性スラグが
挙げられる。これらの中ではケイ砂との混合に適してい
る高炉スラグを用いることが好ましい。
【0071】又、最近では、人造の鉱滓(スラグ)が製
造、販売されているが、これらのものは成分や粒度が調
整され、高強度で、しかも流動性に優れるので分散性が
良好である結果、耐水性及び耐久性が良好であるだけで
なく、品質が安定で、しかも優れたものが得られるので
望ましい。本発明においては市販されている鉱滓であれ
ばいずれのメーカーのものも使用できる。
【0072】この鉱滓の市販品の例としては、新日鐵社
製のエスメントやエスメントスーパー60等が挙げられ
る。
【0073】本発明の被覆材においては、硬化後の機械
的強度を一層高めるために、例えば炭酸カルシウムを主
成分とする骨材を必須成分とすることができる。この骨
材としては種々のものが販売されているが、本発明にお
いては市販されている骨材であればいずれのメーカーの
ものも使用できる。
【0074】ここにおいて、炭酸カルシウムを主成分と
する骨材とは、炭酸カルシウムが50重量%以上含む骨
材のことであり、炭酸カルシウムのみからなる場合のほ
か、一般にセメントに配合される他の骨材を50重量%
未満含んでも良い趣旨である。
【0075】又、炭酸カルシウムは白色であるので、色
の変化を大幅に行うことができる結果、炭酸カルシウム
のみからなるものが望ましい。
【0076】この炭酸カルシウムの市販品の例として
は、中日プロゼェクト社が取り扱っているLW3000
や粒状寒水石更に粉状寒水石が挙げられる。
【0077】このように骨材として、炭酸カルシウムを
用いると好ましい結果が得られる理由は明確ではない
が、炭酸カルシウムはその粒子表面に2価のカルシウム
イオン(陽イオン)と2価の炭酸イオン(陰イオン)が
吸着されており、この2価の陽イオンと陰イオンが石灰
ケイ酸質接合剤の水硬反応によって生成したカルシウム
ジシリケートや樹脂及び/又はゴムとイオン結合を行う
結果、炭酸カルシウムが核となって、無機質接合剤を一
層強固に接合するものと解される。
【0078】又、この炭酸カルシウムは、上述のように
色の変化を大幅に行える他、熱分解の際に熱を吸収して
耐熱性を向上させるうえ、発生した炭酸ガスが消火作用
を発現するので望ましい。
【0079】本発明において、水性高分子物質としては
上述の無機質接合剤に単独或いは水と共に混和されて当
該無機質接合剤を固化する樹脂及び/又はゴムのエマル
ジョン、水溶液又はディスパージョンが挙げられる。
【0080】しかしながら、本発明においては、樹脂及
び/又はゴムの水性高分子物質のうち、特に樹脂及び/
又はゴムの水性高分子物質が官能基を含有するもの、つ
まり官能基を含有する樹脂及び/又はゴムのエマルジョ
ン、水溶液又はディスパージョンが、以下に述べる理由
より、最も望ましい。
【0081】即ち、石灰ケイ酸質接合剤などの無機質接
合剤の耐熱性と、石灰ケイ酸質接合剤などの無機質接合
剤が水と反応して生成した結合水の蒸発潜熱によって長
期間にわたって優れた耐熱性を保持し、しかも官能基を
含有する樹脂及び/又はゴムが、例えば石灰ケイ酸質接
合剤中の金属イオン、或いは石灰ケイ酸質接合剤が水と
反応して生成したカルシウムシリケート水和物に起因す
るカルシウムイオン更に水酸化カルシウムからのカルシ
ウムイオンと架橋反応を起こすことによってこれらが結
合し、この結果、この架橋物が一層緻密で、しかも緩和
材としての機能を発揮し、ひび割れが防止されたり、被
着体表面に被覆されて当該被着体の耐熱性、防食性、耐
久性、耐酸化性、耐水性及び耐候性が著しく向上するう
え、被着体を塩害から保護し得るのである。
【0082】具体的には、例えば官能基がカルボキシル
基(−COOH)である場合、この−COOHは水中で
電離しており、この2つの−COOHから発生した2つ
の水素イオンが1個のカルシウムイオンと置換して化学
的に架橋するので、緻密性が向上する上、耐熱性や耐水
性が格段に向上するのである。
【0083】又、石灰ケイ酸質接合剤などの無機質接合
剤の硬化に際しては、水和反応および水の蒸発が原因で
体積の収縮が起こるが、この体積の収縮は約8%程度と
言われており、官能基を含有する樹脂及び/又はゴムが
石灰ケイ酸質接合剤中の金属イオン、或いは石灰ケイ酸
質接合剤が水と硬化反応して生成したカルシウムシリケ
ート水和物に起因するカルシウムイオン更に水酸化カル
シウムからのカルシウムイオンと架橋反応を起こすこと
によって硬化物に弾力性が生じ、水硬反応に起因する収
縮の応力を緩和する結果、ひび割れの発生が殆ど防止さ
れるのである。
【0084】そして、本発明において、官能基とは石灰
ケイ酸質接合剤やその水硬反応によって生成した陽イオ
ンや陰イオンとイオン結合したり、配位結合し易い基、
更に水素結合を生じたり、水酸基のように酸素の不対電
子に起因して陽イオンを引き付けて結合するような基が
挙げられる。
【0085】ところで、カルシウムシリケートや水酸化
カルシウムは、以下に示すように、石灰ケイ酸質接合剤
が水と反応して生成する。
【0086】即ち、セメントに水を加えると、例えば以
下の化学反応が起こって、カルシウムシリケートの水和
化合物が生成する。
【0087】3CaO・SiO2+6H2O→3CaO・
2SiO・3H2O+3Ca(OH)22(2CaO・S
iO2)+4H2O→3CaO・2SiO2・3H2O+C
a(OH)2
【0088】この水和反応の主体をなすのはカルシウム
シリケートの反応であり、その結果としてCaO−Si
2−H2O系化合物が生成し、水酸化カルシウムが放出
される。
【0089】本発明において、官能基としては、石灰ケ
イ酸質接合剤などの無機質接合剤中の金属イオンや、例
えば石灰ケイ酸質接合剤が水と反応して生成したカルシ
ウムシリケート水和物に起因するカルシウムイオン更に
水酸化カルシウムからのカルシウムイオンと架橋反応を
起こすものであれば特に限定されるものではないが、例
えばカルボキシル基、水酸基、メチロール基、酸アミド
基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロキル基又はエ
ポキシ基から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0090】このように、官能基を含有する重合性モノ
マーとしては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、イタ
コン酸又は無水マレイン酸などの不飽和結合を有するカ
ルボン酸、メチロールアクリルアマイド、ヒドロキシエ
チルメタクリレート或いはヒドロキシプロピルメタクリ
レートなどの不飽和結合を有する水酸化物、ジメチルア
ミノエチルメタクリレートやアクリルアマイドなどの加
水分解によって官能基を生成する物質、グリシジルメタ
クリレートなどのエポキシ基を有する化合物などから選
ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0091】本発明において、官能基を含有する樹脂及
び/又はゴムの水性高分子物質としては、例えばアクリ
ル酸アルキルエステルーアクリロニトリルーメタクリル
酸共重合体、イソブチレンー無水マレイン酸共重合体、
ブタジエンーメタクリル酸共重合体、イソプレンーアク
リル酸共重合体、アクリル酸ブチルーアクリル酸共重合
体或いはアクリル酸2ーエチルヘキシルーアクリル酸共
重合体などのアクリル酸エステルーアクリル酸共重合
体、アクリル酸ブチルーメタクリル酸共重合体或いはア
クリル酸2ーエチルヘキシルーメタクリル酸共重合体な
どのアクリル酸エステルーメタクリル酸共重合体、カル
ボキシルポリイソブチレン、エチレンーアクリル酸共重
合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、ブタジエンー
スチレンカルボキシルエラストマー、ブタジエンアクリ
ロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエンーメ
タクリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエ
ンー塩化ビニリデンカルボキシルエラストマー、ポリク
ロロプレンカルボキシルエラストマー、ポリエチレンカ
ルボキシルエラストマー或いはポリイソブチレンカルボ
キシルエラストマー等のエマルジョン、水溶液又はディ
スパージョンが挙げられる。
【0092】又、本発明の被覆材においては、石灰ケイ
酸質接合剤の硬化収縮によるひび割れを一層防止するた
めに、上記の被覆材に、硬化後に膨張する性質を有する
石膏を加えたり、組成物の反応性、硬化性を調整するた
めに、pH調整材としてマグネシアセメント、アルミナ
セメントなどを添加しても良いのであるが、この場合、
耐水性、耐久性、ひび割れ防止及び耐熱性等に配慮して
配合量が決定される。
【0093】本発明の被覆材において、無機質接合剤と
しては、白色ポルトランドセメント、ケイ砂及び鉱滓を
必須成分とするもの、或いは白色ポルトランドセメン
ト、ケイ砂、鉱滓及び骨材を必須成分とするものが、官
能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質と
の結合によって強固な硬化物が得られるのであり、又、
被着体表面に被覆されて当該被着体の耐熱性、防食性、
耐久性、耐酸化性、耐水性及び耐候性が著しく向上する
うえ、ひび割れがなく、緻密性が一層高くなるので被着
体を塩害から保護し得るのである。
【0094】このように、本発明の被覆材においては、
白色ポルトランドセメントを用いると優れた無機質接合
剤が得られるので望ましい。
【0095】セメントは、広義には水で練った時硬化性
を示す無機物質、即ち、無機質接合剤のことであるが、
本発明においては、特に白色ポルトランドセメントを用
いるのが望ましく、この白色ポルトランドセメントとし
ては市販されているものであれば特に限定されるもので
はない。この白色ポルトランドセメントの市販品は、小
野田セメント等が提供しているが、本発明においては市
販されている白色ポルトランドセメントであればいずれ
のメーカーのものも使用できる。
【0096】白色ポルトランドセメントはセメントを着
色するFe23、TiO2、Mn23、Cr23などの
成分を特に低く維持したものでり、各種の顔料等を用い
ることによって種々の色や模様を形成できるのであり、
しかも鉄分やマンガン成分が少ないので、水や樹脂等の
硬化材を加えても急速なゲル化、つまり硬化を防止して
優れた被覆材が得られるのである。
【0097】本発明の被覆材において、白色ポルトラン
ドセメントの配合比は5〜60重量%の範囲であればよ
く、白色ポルトランドセメントの配合比が5重量%未満
であればケイ砂や鉱滓を接合させる接合力が低下してひ
び割れが生じる虞れがあるので好ましくなく、一方、6
0重量%を超えると硬化による収縮が大となってひび割
れが生じる虞れがあり、又、このひび割れによる水密
(耐水)効果が不十分になるので好ましくない。
【0098】これらの観点より、白色ポルトランドセメ
ントの配合比は、好ましくは7.5〜50重量%の範囲
であり、より好ましくは10〜40重量%の範囲であ
る。
【0099】本発明の被覆材において、ケイ砂の配合比
は、3〜60重量%であればよく、ケイ砂の配合比が5
重量%未満であればケイ砂の配合により耐熱性が高めら
れる効果が乏しくなるので好ましくなく、一方、60重
量%を超えると乾燥、硬化後にひび割れが生じ易くなっ
たり、硬化後の接合剤の強度が低下する虞れがあるので
好ましくない。従って、ケイ砂の配合比としては、好ま
しくは5〜40重量%の範囲であり、より好ましくは
7.5〜35重量%の範囲である。
【0100】本発明において、鉱滓(スラグ)の配合比
は、3〜50重量%の範囲であればよく、5重量%未満
では十分な耐水性や耐久性が得られなくなるので好まし
くなく、一方、50重量%を超えると硬化後にひび割れ
が生じ易くなるので好ましくない。これらの観点より、
鉱滓(スラグ)の配合比は、好ましくは5〜30重量%の
範囲であり、より好ましくは7.5〜25重量%の範囲
である。
【0101】従って、本発明の被覆材において、白色ポ
ルトランドセメント5〜60重量%、好ましくは7.5
〜50重量%の範囲、より好ましくは10〜40重量
%、ケイ砂3〜60重量%、好ましくは5〜40重量%
の範囲、より好ましくは7.5〜35重量%の範囲、鉱
滓(スラグ)3〜50重量%の範囲、好ましくは5〜30
重量%の範囲、より好ましくは7.5〜25重量%の範
囲のものが望ましい。
【0102】又、本発明においては、白色ポルトランド
セメント、ケイ砂及び鉱滓(スラグ)に、更に骨材を配合
したものが有益である。
【0103】この骨材の配合比は、ケイ砂と合わせた場
合、5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、特
に好ましくは15〜75重量%であればよいのである。
【0104】この場合、骨材として、炭酸カルシウムを
用いるときには、炭酸カルシウムとケイ砂との配合比
は、この全体に対して、ケイ砂が25〜75重量%、特
に30〜70重量%とするのが望ましく、このように両
者のバランスを保つことによって、ひび割れが少なく、
しかも耐熱性が至極高い硬化物が得られるのである。
【0105】従って、白色ポルトランドセメント、ケイ
砂、鉱滓及び骨材からなる被覆材の場合には、白色ポル
トランドセメント5〜60重量%、ケイ砂3〜60重量
%、鉱滓3〜40重量%及び骨材5〜75重量%、好ま
しくは白色ポルトランドセメント7.5〜50重量%、
ケイ砂5〜40重量%、鉱滓5〜30重量%及び骨材1
0〜65重量%、特に、白色ポルトランドセメント10
〜40重量%、ケイ砂7.5〜35重量%、鉱滓7.5
〜25重量%及び骨材15〜60重量%とするのが最も
好ましい。この場合、骨材としては炭酸カルシウムが、
上述の理由より、望ましい。
【0106】このように構成することにより、被着体表
面に被覆されて当該被着体の耐熱性、防食性、耐久性、
耐酸化性、耐水性及び耐候性を著しく向上させるうえ、
ひび割れが少なく塩害から被着体を長期間にわたって保
護するのである。
【0107】本発明において、各成分の粒度としては、
例えばタイルの製造のように型枠に流し込んで硬化させ
る場合には特に限定されるものではないが、吹付け塗装
の場合には、この吹付け塗装時に塗装面に反発して付着
し難くならない程度以下、特に、塗装作業の作業性を高
めるために、各成分の粒径を一定以下にした方が作業性
が高くなると共にスプレーや圧力ローラを用いる塗装が
可能になる。従って、この場合においては、各成分の粒
径を0.005〜5mm程度とすることが好ましく、粒径
が0.005mm未満の場合には取扱中に粉塵が飛散して
作業環境を悪くしたり、取扱中に防塵マスクの着用が必
要になって作業性が悪くなるので好ましくなく、一方、
5mmよりも大きくする場合には、吹き付け等、塗装の際
に各成分が落下したり、跳ね返るので塗装の作業効率を
高める上で不利になり、これらの観点より、特に0.0
5〜3mm、特に0.1〜1mmとするのが望ましい。
【0108】本発明においては、上述の無機質接合剤に
対し、更に架橋剤を10重量%以下、特に5重量%以下
配合されているものが、各成分間の親和性を高めたり、
樹脂やゴムとの親和性を高めてこれらの成分相互の結合
力が向上するので望ましい。
【0109】又、上記のように、無機質接合剤に、更に
架橋剤を配合するのに代えて、或いは架橋剤を配合する
と共に、ケイ砂、鉱滓又は骨材から選ばれた少なくとも
1種が架橋剤でコーティング処理されているものも各成
分間の親和性を高めたり、樹脂やゴムとの親和性を高め
てこれらの成分相互の結合力が向上するので望ましい。
【0110】この架橋剤のコーティング処理の仕方とし
ては、架橋剤を、水或いは有機溶媒に溶解ないし分散さ
せて、ケイ砂、鉱滓又は骨材から選ばれた少なくとも1
種を処理し、乾燥するなどの方法が採用される。
【0111】この架橋剤のコーティング処理量としては
0.01〜5重量%の範囲とするのが望ましく、これに
よって、各成分間の親和性を高めたり、樹脂やゴムとの
親和性を高めてこれらの成分相互の結合力が向上するの
で好ましい。
【0112】上記架橋剤としては各成分間の親和性を高
めたり、樹脂やゴムとの親和性を高めてこれらの成分相
互の結合力が向上するものであれば特に限定されるもの
ではないが、具体的には、例えばシリコーン系架橋剤、
アルキルチタネート、チタニウムアシレート、チタニウ
ムキレート、リン酸エステル、ホスホネート、亜リン酸
エステル、ポリリン酸或いはその金属塩、ホウ酸又はホ
ウ砂から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0113】上記シリコーン架橋剤としては、例えばビ
ニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエト
キシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、N−β(アミノメチル)γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N−β(アミノメチル)γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン等がその例として挙げ
られる。
【0114】又、有機チタン系架橋剤としては、アルキ
ルチタネート、チタニウムアシレート又はチタニウムキ
レートが挙げられるが、これらのうち、特に優れた架橋
性を発現するアルキルチタネートが好ましい。
【0115】上記アルキルチタネートとしては、例えば
テトライソプロピルチタネート、テトライソプロピルチ
タネートポリマー、テトラブチルチタネート、テトラブ
チルチタネートポリマー、テトラステアリルチタネー
ト、2−エチルヘキシルチタネート、テトライソプロピ
ルチタネートとテトラステアリルチタネートの混合物又
はジブチルチタネートポリマー等が挙げられるのであ
り、又、チタニウムアシレートとしては、例えばイソプ
ロポキシチタニウムステアレートが挙げられるのであ
り、更にチタニウムキレートとしては、例えばチタニウ
ムアセチルアセトネート又はチタニウムラクテート等が
挙げられる。
【0116】上記リン酸エステルとしては、例えばリン
酸エチル、リン酸ブチル又はリン酸イソアミルが挙げら
れるのであり、又、ホスホネートとしては、例えばジフ
ェニルフェニルホスホネート、ジメチルメチルホスホネ
ート、ジエチルエチルホスホネート、ビスー(2ーエチ
ルヘキシル)ー2ーエチルヘキシルホスホネートまたは
ジブチルブチルホスホネートが挙げられるのであり、更
に、亜リン酸エステルとしては、例えば亜リン酸ジメチ
ル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル又は亜
リン酸ジオクチル等が挙げられる。
【0117】更に、本発明の被覆材においては、機械的
強度を高めるとともに、表面に素材特有の繊維模様を形
成できるようにするため、無機質繊維或いは有機質繊
維、特に、例えばガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、
ロックウール又はスラグウールから選ばれた1種又は2
種以上の無機質繊維を含有させることができるが、この
配合割合としては、被覆材全体の0.05〜15重量
%、特に0.5〜7.5重量%とするのが望ましく、こ
の配合割合が、0.05重量%未満では機械的強度の向
上が乏しく、又、所望の模様が得られない虞れがあり、
一方、15重量%を超えると全体の成分バランスを崩
し、所期の目的を達成できない恐れがあるから好ましく
ない。
【0118】本発明の被覆材は、無機質接合剤を硬化さ
せるために、被着体に適用する際に、樹脂及び/又はゴ
ムの水性高分子物質、特に、官能基を含有する樹脂及び
/又はゴムの水性高分子物質或いはこれに更に水を添加
して上記の各配合成分を混練して製造される。
【0119】この場合において、樹脂及び/又はゴムの
水性高分子物質中の樹脂及び/又はゴム成分の濃度が高
いときには、水を添加して混練するのが望ましい。
【0120】本発明において、上述の無機質接合剤
(G)と、上述の樹脂及び/又はゴムの水性高分子物
質、特に、官能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水性
高分子物質(H)の配合割合は、(H)中の固形分比或
いは用いられる樹脂及び/又はゴムによっても異なる
が、一般に、水性高分子物質中の固形分が30〜45重
量%であると、(G)100重量部に対し、(H)10
〜60重量部、好ましくは20〜50重量部、特に好ま
しくは25〜45重量部の範囲とするのが望ましく、1
0重量部未満では添加による強度及び耐水性増強効果が
乏しいので好ましくなく、一方、60重量部を超えると
上記被覆材中の各成分の実質的な配合比が小さくなり、
耐熱性が損なわれる虞れがあるので好ましくない。
【0121】上記石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする
無機質接合剤(A)の好ましい例としては、石灰ケイ
酸質接合剤5〜60重量%、ケイ砂3〜60重量%及び
鉱滓3〜50重量%を必須成分とする無機質接合剤、又
は、石灰ケイ酸質接合剤5〜60重量%、ケイ砂3〜
60重量%、鉱滓3〜50重量%及び骨材5〜75重量
%を必須成分とする無機質接合剤が挙げられるのであ
り、特に、この石灰ケイ酸質接合剤としては白色ポルト
ランドセメントが望ましい。
【0122】又、本発明の被覆材においては、顔料、天
然石粉又はカイガラ粉のうちの1種又は2種以上のもの
を適量配合して着色したり、花こう岩粉、御影石粉又は
大理石粉などの天然石のような石目模様を作り出した
り、カイガラ粉によって種々の模様を作ることができる
ので、仕上げ材として利用する上で有利になる。
【0123】ここで加えられる顔料としては、耐熱性、
耐候性及び堅牢度等の観点より、無機質顔料であること
が好ましい。しかしながら、所望により、有機質顔料を
配合しても良いが、この場合、有機質顔料が顔料全体の
50重量%以下であることが好ましい。
【0124】この顔料、天然石粉又はカイガラ粉の配合
割合としては、一般に被覆材全体の15重量%以下、特
に0.5〜10重量%の範囲である。
【0125】なお、鉄分、マンガン分などの架橋促進性
を発現する顔料を使用する場合には、架橋による固化を
防止して取扱を容易にするために、ゲル化が早いので、
頻繁に水、樹脂又はゴムの水性高分子物質を加えて粘度
を調整する必要があり、従って、作業性が悪くなるので
その使用を避けるのが望ましい。
【0126】本発明においては、所望により、上述の塗
装材に、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、凍結防止剤、湿
潤剤、消泡剤等の添加剤を配合しても良いのである。
【0127】次に、本発明の被着体の被覆方法について
詳細に説明する。本発明の被着体の被覆方法において
は、本発明の被覆材で被着体を被覆し、固化させること
を特徴とする。
【0128】この被覆方法としては特に限定されるもの
ではないが、被着体の被覆作業が極めて容易である塗装
工法が最も望ましい。
【0129】この塗装工法において、塗装材が塗装され
る塗装面は、水平面であっても、垂直面であっても、傾
斜面であってもよく、又、塗装面の形状は平面であって
も、湾曲面であっても、屈曲面であっても、凹凸面であ
ってもよい。
【0130】この塗装工法は、公知の塗装工法であれば
よく、例えば刷毛塗り、加圧ローラを含むローラ塗り、
無溶剤スプレーを含むスプレー塗装法、エアガン等の吹
き付け塗工、浸漬法など任意の方法を採用することがで
きる。
【0131】ところで、本発明の被着体の被覆方法にお
いては、上記本発明の被覆材で下地被覆を行うことを特
徴とするものである。この場合、下地被覆を美粧、保護
する仕上げ被覆は更に本発明の被覆材を用いても良く、
或いは、これに代えて、例えばモルタルやタイル等の他
の被覆(仕上げ)材を用いてもよい。
【0132】又、本発明の被着体の被覆方法において
は、上記本発明の被覆材を仕上げ被覆に用いることがで
きるのであり、この場合、下地被覆を行うときには本発
明の被覆材を用いても良く、或いは、これに代えて、他
の下地材を用いてもよいのである。
【0133】本発明の被着体の被覆方法においては、上
記本発明の被覆材で下地被覆を行った後、更にその表面
の仕上げ被覆を、上記本発明の被覆材で行っても良く、
このように構成することにより、下地被覆と仕上げ被覆
との密着性を一層高めることができると共に、被着体の
耐熱性、防食性、耐久性、耐酸化性、耐水性及び耐候性
を著しく向上させることができるのであり、しかも一
層、ひび割れを防止して被着体を塩害から極めて長期間
にわたって保護できるので有利である。
【0134】上述の被着体の表面仕上げ用の被覆材に
は、顔料、天然石粉、カイガラ粉等の着色材ないし模様
形成材を配合することにより表面を着色したり、表面に
石目模様等の各種模様を形成したりして、種々のデザイ
ン性の優れた仕上げ被覆が簡単にできるのである。
【0135】本発明の被着体の被覆材で仕上げ被覆を行
うにあたり、この仕上げ被覆の目地部分をマスク材でマ
スクしてから仕上げ被覆を行い、次いで、このマスク材
を剥離するという手順をとることにより、レンガ積み、
タイル貼りなどの目地を有する仕上げ被覆が簡単に形成
できるのである。
【0136】本発明の内・外装材は、本発明の被覆材を
用いて得たことを特徴とするが、この内・外装材の製造
方法としては特に限定されるものではない。
【0137】具体的には、例えば本発明の被覆材を所定
の型枠に流し込み、これを硬化させた後、剥離して製造
されるのであり、このように構成することにより、タイ
ルやレンガ更にブロック等の内・外装材を製造できるの
である。
【0138】ところで、この場合、タイルやレンガ更に
ブロック等の内・外装材を型枠から取り出し易くするた
めに、型枠の内面に離形処理を施すのが望ましい。
【0139】又、本発明の内・外装材の施工方法として
は特に限定されるものではないが、上述のようにして得
られた内・外装材を、例えば接着剤等の接合材を介して
被着体に接着して行われる。
【0140】ところで、本発明の他の内・外装材の施工
方法においては、本発明の被覆材を所定の型枠に流し込
んで硬化させた後、これを剥離して、タイルやレンガ更
にブロック等の内・外装材を製造し、この内・外装材
を、Bステージ状態の繊維強化プラスチック(FRP)製
の被着体表面に張り合わせ、次いで、この被着体を加
熱、硬化することを特徴とするものである。
【0141】このBステージ状態の繊維強化プラスチッ
ク(FRP)は半硬化状態であって接着性を有するもので
あり、従って、この場合には、接着剤が不要になって施
工が一層容易になし得るのである。
【0142】この場合、タイルやレンガ更にブロック等
の内・外装材を型枠から取り出し易くするために、型枠
の内面に離形処理を施すのが望ましい。
【0143】
【作用】本発明の被覆材は、上記のように、無機質接合
剤、特に石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする無機質接
合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質、特に官
能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質か
らなることを特徴とする。
【0144】即ち、本発明の被覆材は、無機質接合剤、
特に石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする無機質接合剤
と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質、特に官能基
を含有する樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質の組み
合わせからなる。
【0145】そして、上記の無機質接合剤、特に石灰ケ
イ酸質接合剤を必須成分とする無機質接合剤と、樹脂及
び/又はゴムの水性高分子物質、特に官能基を含有する
樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質を混合し、被覆材
(複合材料)とし、次いで、この被覆材で被着体を被覆
し、これを硬化すると、耐熱性、耐食性、耐久性、耐酸
化性及び耐候性が著しく向上し、しかも緻密性及び耐水
性が著しく向上するうえ、長期間にわたってひび割れが
殆どなく、特に、石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする
無機質接合剤と、官能基を含有する樹脂及び/又はゴム
の水性高分子物質を混合すると、長期間にわたってひび
割れが発生しないのであり、従って、被着体を塩害から
保護しえる被覆材が得られるが、この理由としては、以
下のことが考えられる。
【0146】無機質接合剤、特に石灰ケイ酸質接合剤を
必須成分とする無機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの
水性高分子物質、特に官能基を含有する樹脂及び/又は
ゴムの水性高分子物質を混合すると、無機質接合剤、特
に石灰ケイ酸質接合剤などの無機質接合剤が、樹脂及び
/又はゴムの水性高分子物質の中の水や任意に添加した
水、特に官能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水性高
分子物質の中の水や任意に添加した水が、硬化の際に、
硬化材として反応に関与するのである。又、この硬化反
応によって生成した結合水の蒸発潜熱によって長期間に
わたって優れた耐熱性を保持し、しかも樹脂及び/又は
ゴム、特に官能基を含有する樹脂及び/又はゴムが石灰
ケイ酸質接合剤中の金属イオン、石灰ケイ酸質接合剤が
水と反応して生成したカルシウムシリケート水和物等に
起因するカルシウムイオン及び水酸化カルシウムからの
カルシウムイオンと架橋反応を起こすことによってこれ
らが相互に有機的に結合し、この結果、この架橋物が緩
和材としての機能を発揮して、ひび割れが防止されて緻
密性及び耐水性が向上したり、被着体表面に被覆されて
当該被着体の耐熱性、防食性、耐久性、耐酸化性、耐水
性及び耐候性を著しく向上させるうえ、被着体を塩害か
ら保護する作用を有するのである。
【0147】具体的には、例えば樹脂及び/又はゴムの
官能基がカルボキシル基(ーCOOH)である場合、こ
のーCOOHは水中で電離しており、この2つのーCO
OHから発生した2つの水素イオンが1個のカルシウム
イオンと置換して化学的に架橋し、このカルシウムイオ
ンの導入によって耐熱性や水密性が格段に向上するので
ある。
【0148】又、水硬性セメントの硬化に際しては、水
和反応および水の蒸発が原因で体積収縮が起こるが、こ
の体積収縮は約8%程度と言われている。
【0149】ところが、樹脂及び/又はゴム、特に、官
能基を含有する樹脂及び/又はゴムが、例えば石灰ケイ
酸質接合剤中の金属イオンや石灰ケイ酸質接合剤が水と
硬化反応して生成したカルシウムシリケート水和物に起
因するカルシウムイオン更に水酸化カルシウムからのカ
ルシウムイオンと架橋反応を起こすことによって硬化物
に弾力性が生じ、水硬反応に起因する収縮の応力を緩和
する結果、ひび割れの発生が発生しないか或は殆ど発生
しないものと解される。
【0150】この場合、官能基とは、石灰ケイ酸質接合
剤からの陽イオンや陰イオンとイオン結合したり、或い
は石灰ケイ酸質接合剤の水硬反応によって生成した陽イ
オンや陰イオンとイオン結合したり、配位結合し易い
基、更に水素結合を生じたり、水酸基のように酸素の不
対電子に起因して陽イオンを引き付けて結合するような
基が挙げられる。
【0151】ところで、カルシウムシリケートや水酸化
カルシウムは、以下に示すように、石灰ケイ酸質接合剤
が水と反応して生成する。
【0152】即ち、石灰ケイ酸質接合剤(セメント)に
水を加えると、例えば以下の化学反応が起こって、カル
シウムシリケートの水和化合物が生成する。
【0153】3CaO・SiO2+6H2O→3CaO・
2SiO・3H2O+3Ca(OH)22(2CaO・S
iO2)+4H2O→3CaO・2SiO2・3H2O+C
a(OH)2
【0154】この水和反応の主体をなすのはカルシウム
シリケートの反応であり、その結果としてCaO−Si
2−H2O系化合物が生成し、水酸化カルシウムが放出
される。
【0155】又、樹脂分やゴム分は硬化のときや硬化後
の温度変化に基づく膨張、収縮などの物理的変化を吸収
し、つまり緩衝材としての機能を発揮し、一層ひび割れ
が防止されるものと解される。
【0156】一方、硬化後においては、外部からの熱に
対し、特にカルシウムシリケートの結合水や水酸化カル
シウムの結合水が気化し、この気化潜熱によって昇温が
抑制される結果、耐熱性が高められると共に、上記の各
配合成分の間に浸潤した樹脂又はゴムによって水密性
(耐水性)が高められるのであり、更に、各配合成分の
間に浸潤した樹脂又はゴムによって各配合成分間の結合
強度が高められる結果、機械的強度が高められることに
なる。
【0157】加えて、樹脂及び/又はゴムの水性高分子
物質、特に、官能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水
性高分子物質を用いているので、下地材或いは仕上げ材
への浸透性が高められるのであり、しかもこの水性高分
子物質の基材、下地材或いは仕上げ材への浸透によるア
ンカー効果により被着体、下地材或いは仕上げ材と塗膜
との接合強度を高めることができる。
【0158】本発明においては、このように樹脂及び/
又はゴムの水性高分子物質、特に官能基を含有する樹脂
及び/又はゴムの水性高分子物質を用いているので、石
灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする無機質接合剤との親
和性が良く、しかも有機溶剤を含まないので、安全かつ
無公害であり、無臭性で被覆作業が行い易いのである。
【0159】又、本発明において、白色ポルトランドセ
メントを用いると、この白色ポルトランドセメントは、
その成分中に鉄分やマンガン分が極めて少なく、被着体
の被覆工事の際に、被覆材に頻繁に、官能基を含有する
樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質や水などの粘度調
整剤を加える必要が無く、しかも白色であるので種々の
色や模様をつくり易いだけでなく、その変化が容易であ
り、従って、美麗な外装材や化粧材を製造できる作用を
有するのである。
【0160】本発明の被着体の被覆方法においては、本
発明の被覆材で被着体を被覆し、固化させることが挙げ
られるが、この被着体の被覆方法としては特に限定され
るものではなく、具体的には、例えば本発明の被覆材を
被着体に塗装することが挙げられる。
【0161】この場合、本発明の被覆材で下地被覆を行
ったり、本発明の被覆材を用いて仕上げ被覆を行った
り、本発明の被覆材で下地被覆を行った後、更にその表
面の仕上げ被覆を、上記本発明の被覆材で行っても良
く、このように構成することにより、下地被覆と仕上げ
被覆との密着性を一層高めることができると共に、被着
体の耐熱性、防食性、耐久性、耐酸化性、耐水性及び耐
候性を著しく向上させることができるのであり、しかも
一層、ひび割れを防止して被着体を塩害から極めて長期
間にわたって保護できるのである。
【0162】この場合、被着体の表面仕上げ用の被覆材
には、顔料、天然石粉、カイガラ粉等の着色材ないし模
様形成材を配合することにより表面を着色したり、表面
に石目模様等の各種模様を形成したりして、種々のデザ
イン性の優れた仕上げ被覆が簡単にできる作用を有する
のである。
【0163】本発明の被着体の被覆材で仕上げ被覆を行
うにあたり、この仕上げ被覆の目地部分をマスク材でマ
スクしてから仕上げ被覆を行い、次いで、このマスク材
を剥離するという手順をとることにより、レンガ積み、
タイル貼りなどの目地を有する仕上げ被覆が簡単に形成
できるのである。
【0164】本発明の内・外装材は、本発明の被覆材を
用いて得たことを特徴とするが、この内・外装材の製造
方法としては特に限定されるものではなく、具体的に
は、例えば本発明の被覆材を所定の型枠に流し込み、こ
れを硬化させた後、剥離して製造されるのであり、この
ように構成することにより、タイルやレンガ更にブロッ
ク等の内・外装材を製造できるのである。
【0165】ところで、本発明の他の内・外装材の施工
方法においては、本発明の被覆材を所定の型枠に流し込
んで硬化させた後、これを剥離して、タイルやレンガ更
にブロック等の内・外装材を製造し、この内・外装材
を、Bステージ状態の繊維強化プラスチック(FRP)製
の被着体表面に張り合わせ、次いで、この被着体を加
熱、硬化させるようにすると、このBステージ状態の繊
維強化プラスチック(FRP)は半硬化状態であって接着
性を有するので、接着剤が不要になって施工が一層容易
になし得る作用を有するのである。
【0166】ところで、本発明の被覆材で被着体を被覆
すると、無機質接合剤の存在によって、帯電し難いの
で、塵や埃を吸引することがなく、汚れにくい作用を有
する。
【0167】従って、本発明の被覆材で被着体、例えば
乗用車又は鉄道車両等の乗物を被覆すると、この乗物
が、無機質接合剤の存在によって、帯電し難いので、塵
や埃を吸引することがなく、汚れにくいのであり、又、
この被覆材で乗用車又は鉄道車両の外面を被覆すると、
その被覆部位の硬度が高く、耐衝撃性が著しく向上する
ので、その接触事故などの際の変形や外観の汚損が防止
される作用を有するのである。
【0168】更に、本発明の被覆材で被着体を被覆する
と、被着体の耐熱性、防食性、耐久性、耐酸化性、耐水
性及び耐候性を著しく向上させるだけでなく、酸性雨に
対して優れた耐久性を発現する上、鮮やかな色の変化を
容易にできるので、自然と調和する色彩も簡単に、且つ
底コストで作成できる作用を有するのである。
【0169】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0170】実施例1 白色ポルトランドセメント1500g、ケイ砂2500
g、鉱滓1000g及び骨材5000gを、アクリル酸ア
ルキルエステル・アクリルニトリル・メタクリル酸共重
合体水性エマルジョン(武田薬品工業株式会社製、商品
名ウルトラゾールCMX−43)3000gと共に混合
し、本発明の被覆材を得た。
【0171】この実施例では、ケイ砂として、表1に示
す粒度分布及び組成を有する中日プロゼェクト社製の商
品名シリカフラワー#300を用いた。
【0172】
【表1】
【0173】又、上記白色ポルトランドセメントとし
は、小野田セメント社から市販されている白色ポルトラ
ンドセメントを用いた。
【0174】上記鉱滓としては、この実施例では、新日
鐵社製エスメントスーパー60を用いた。
【0175】なお、このエスメントスーパー60の品質
規格及び品質例は表2に示す通りである。
【0176】
【表2】
【0177】上記骨材として、この実施例では、中日プ
ロゼェクト社製の寒水石(品名LW3000)を用いた。
【0178】この寒水石(LE3000)は、白度が7
8.7、比表面積が3300cm2/g、水分が0.2重量
%であった。
【0179】上記アクリル酸アルキルエステル・アクリ
ルニトリル・メタクリル酸共重合体水性エマルジョン
(武田薬品工業株式会社製、商品名ウルトラゾールCM
X−43)(原液)の成分は表3に示す通りであり、この
実施例では、原液2400gに水600gを添加して希釈
したものを用いた。なお、このエマルジョンは原液状態
では乳白色をしているが、乾燥すると薄い黄色味を帯び
た透明となり、表面に研かれた石材と同様の光沢を与え
ることが認められた。
【0180】
【表3】
【0181】上記被覆材を段ボール箱の内面に塗装し、
1時間程度経過した後、ガスバーナで被覆面を約30分
間にわたって1200〜1300℃に加熱してから段ボ
ール箱を裁断してその断面を観察したところ、塗膜が若
干膨張したことを除いて、塗膜及び段ボール箱には外観
上全く異常が認められなかった。
【0182】又、上記被覆材を段ボール箱(底が250m
m角、高さ350mm)の内面に被覆した後、1時間程度経
過した後、段ボール箱に水を、高さ300mmまで注入
し、漏水の有無を観察したが、屋外に放置、暴露した状
態で約10ケ月経過した後でも全く漏水は見られなかっ
た。尚、水の高さは電気的に管理し、常に、高さ290
〜310mmになるように調整した。
【0183】この実施例に係る被覆材の耐久試験の結果
では、上記のように被覆した段ボール箱(水を注入して
いない。)を屋外に放置、暴露した状態で約10ケ月経
過後に観察したところ、外部、つまり段ボール箱が風
雨、熱、紫外線等によってボロボロになり、多数の破れ
が生じてた。
【0184】次いで、この段ボール箱に水を、高さ30
0mmまで注入し漏水試験を行ったところ、漏水は認めら
れなかった。この結果より、本発明の被覆材で形成した
塗膜はひび割れがなく緻密で、耐水性が著しく高いこと
が認められる。
【0185】上述のような優れた耐熱性は、耐熱性の高
い白色ポルトランドセメント、ケイ砂、鉱滓及び骨材が
全て無機質接合剤で構成されることと、加熱時にこれら
に含まれた水分、特に結合水が蒸発し、その蒸発熱によ
って塗膜の温度上昇が低く抑えられることにあると解さ
れる。
【0186】又、白色ポルトランドセメント、ケイ砂、
鉱滓及び骨材からなる無機質接合剤の耐熱性と、この無
機質接合剤がカルボキシル基を含有する樹脂の水性高分
子物質中の水や任意に添加した水が、硬化の際に、硬化
材として反応に関与するのである。又、この硬化反応に
よって生成した結合水の蒸発潜熱によって長期間にわた
って優れた耐熱性を保持し、しかもカルボキシル基を含
有する樹脂が白色ポルトランドセメントや炭酸カルシウ
ム中のカルシウムイオン、白色ポルトランドセメントが
水と反応して生成したカルシウムシリケート水和物に起
因するカルシウムイオン及び水酸化カルシウムからのカ
ルシウムイオンと架橋反応を起こすことによってこれら
が相互に有機的に結合し、この結果、この架橋物が緩和
材としての機能を発揮し、ひび割れが防止されたり、被
着体表面に被覆されて当該被着体の耐熱性、耐久性、耐
酸化性、耐水性及び耐候性を著しく向上させるものと解
される。
【0187】ところで、上記被覆材を段ボール箱(底が
250mm角、高さ350mm)の内外両面に被覆した後、
1時間程度経過した後、屋外に放置、暴露した状態で約
10ケ月経過した後、これを切断、剥離して段ボール材
を肉眼で観察したところ、段ボール材の変化は全くな
く、段ボール箱の被覆時と全く同じ状態であった。この
結果より、本発明の被覆材で形成した塗膜は耐久性及び
耐候性が著しく高いことが認められる。
【0188】比較例1 実施例1で用いたものと同様の段ボール箱を用い、この
内面に、市販されている酢酸ビニルーアクリル酸エステ
ル共重合体エマルジョンを塗装した。この段ボール箱に
水を入れたところ、24時間以内に漏水が認められた。
【0189】又、実施例1で用いたものと同様の段ボー
ル箱を用い、この外面に、市販されている酢酸ビニルー
アクリル酸エステル共重合体エマルジョンを塗装した。
【0190】この塗装面をガスバーナで1000〜13
00℃にて加熱したところ、直ちに燃焼した。
【0191】実施例2 実施例1で用いたものと同様の被覆材を用い、これを1
0cm角の鋼板(厚さ2mm)の表面に塗装し、24時間
放置した。
【0192】これを温度90℃で、且つ5重量%の食塩
水に2時間浸漬し、次いで22時間屋外に放置する試験
を20回、つまり20日にわたって行ったが錆の発生は
認められなかった。
【0193】この試験は極めて苛酷な試験と解される
が、20日経過後も異常が認められないことより、被着
体の耐食性を著しく向上させたり、被着体を長期間にわ
たって塩害から保護することが認められる。
【0194】比較例2 市販されている酢酸ビニルーアクリル酸エステル共重合
体エマルジョンを用い、これを、実施例2で用いたもの
と同様の10cm角の鋼板(厚さ2mm)の表面に塗装
し、24時間放置した。
【0195】次いで、これを温度90℃で、且つ5重量
%の食塩水に浸漬したところ、50分程度で塗膜の剥離
が生じたので、これを取り出して屋外に放置したとこ
ろ、5時間程度で錆の発生が認められた。
【0196】この試験結果より、耐食性が悪く、被着体
を長期間にわたって塩害から保護できないことが認めら
れる。
【0197】実施例3 実施例1で用いたものと同様の被覆材に、10cm角の
鋼板(厚さ2mm)を浸漬し、その全体を被覆材で被覆し
た。
【0198】これを5%の酢酸溶液に浸漬し、温度40
℃で2週間放置したが変化は全く認められず、従って、
酸性雨に対して極めて安定である事が認められる。
【0199】比較例3 一方、比較試験のために、実施例3で用いたのと同様の
10cm角の鋼板(厚さ2mm)及びアルマイト処理を施
したアルミ板(10cm角で厚さ1.2mm)を用い、こ
れを温度40℃の5%酢酸溶液に浸漬したところ、両方
共、直ちに反応することが認められた。
【0200】この結果より、鋼板及びアルマイト処理を
施したアルミ板は酸性雨に極めて腐食され易いことが認
められる。
【0201】次ぎに、市販されている酢酸ビニルーアク
リル酸エステル共重合体エマルジョンを用い、これを、
上記のものと同様の10cm角の鋼板(厚さ2mm)の表
面に塗装し、24時間放置した。
【0202】次いで、これを温度40℃の5%酢酸溶液
に浸漬したところ、20分程度で酢酸溶液が変色し、鉄
が溶出していることが認められた。
【0203】この試験結果より、耐食性が悪く、酸性雨
によって極めて腐食され易いことが認められる。
【0204】以上のことより、街路灯、道路照明灯、電
柱、道路標識又は信号機などの柱が鋼材やアルミ材など
の金属材料で形成されていると、耐久性及び耐食性が悪
く、しかも酸性雨で腐食され易いことが認められる。
【0205】実施例4 コンクリートの板(縦が約20cm、横が約15cm、
厚さが5cm)に、実施例1で用いたものと同様の被覆
材をスプレーガンで吹き付け塗装を行った。この場合、
被覆材に緑色の顔料であるクロム緑(黄鉛と紺青の混合
物)40%、緑青(塩基性酢酸銅)40%及び緑系の有
機顔料10%からなる混合顔料を5%混合した。次ぎ
に、この塗膜を自然硬化させた後、市販されているコー
ト材でコートした。
【0206】このものは、緑色が鮮やかで自然と調和し
易い色であり、景色と同化して景観が保持されるのであ
る。
【0207】このものを屋外に放置、暴露した状態で約
10ケ月経過した後、肉眼で観察したところ、全く異常
がなく、又、ひび割れも認められなかった。
【0208】この結果より、本発明の被覆材で形成した
塗膜はひび割れが無く、緻密で、しかも耐久性及び耐候
性が著しく高いことが認められる。
【0209】ところで、屋外工作物が街路灯、道路照明
灯、電柱、道路標識又は信号機等である場合において、
立設した支柱(電柱等の柱)に違法に張紙等が行われる
ことがあるが、この場合、これらの被着体の表面を、本
発明の被覆材で被覆した後、更にその表面にシリコーン
コート等の離形コートを行って張紙が剥離し易いように
するのが望ましい。
【0210】実施例5 実施例1で用いたものと同様の被覆材を用い、この被覆
材を、30cm角の離形性の型枠に流し込み、これを硬
化させて剥離し、床やベランダ等に適用できるタイルを
得た。
【0211】一方、FRP製の被着体をBステージ状態
(半硬化状態で接着力を有する。)にし、このBステー
ジ状態のFRP製の被着体表面に、上記タイルを張り合
わせ後、この被着体を加熱、硬化させることによって、
タイルがFRP製の被着体に接着した床材やベランダ材
等が至極簡単に得られた。
【0212】このタイルとFRP製の被着体の剥離試験
を行ったところ、タイルとFRP製の被着体の間で剥離
は生じず、タイルが割裂し、よって、タイルとFRP製
の被着体は極めて強固に接着していることが認められ
る。
【0213】実施例6 完全に硬化させたFRP製の被着体(板材)に、実施例1
で用いたものと同様の被覆材を5mm厚さに塗工し、次
いで、この被覆材を硬化させた後、この硬化させた被覆
材とFRP製の被着体の剥離試験を行ったところ、硬化
させた被覆材とFRP製の被着体の間で剥離は生じず、
硬化させた被覆材が割裂し、よって、硬化させた被覆材
とFRP製の被着体は極めて強固に接着していることが
認められた。
【0214】実施例7 市販されている乗用車における車体下部箇所のワック
ス、汚れを除去し、次ぎに、この乗用車において、車体
下部のマスクキングを要する箇所にマスク材(粘着性テ
ープ)を貼着してマスクした後、実施例1で用いたもの
と同様の被覆材をスプレーガンで吹き付け塗装を行っ
た。この場合、被覆材に御影石の粉末を混合し、御影石
模様の塗膜を形成した。
【0215】次ぎに、この塗膜を自然硬化させた後、市
販されているコート材でコートし、これによって、乗用
車における車体下部箇所が御影石模様の塗膜を形成し
た。
【0216】この御影石模様の塗膜を施した乗用車を通
常通り約10ケ月使用した後、御影石模様の塗膜を形成
した箇所と、そうでない箇所を比較すると、御影石模様
の塗膜を形成した箇所の塵や埃が、塗膜を形成していな
い箇所に比べて、極めて少なく、本発明の被覆材で被着
体(乗用車)を被覆すると、塵や埃を吸引しにくいもの
と解される。この理由は明確ではないが、本発明の被覆
材の塗膜箇所は、他の箇所に比較して、電気抵抗が小さ
く、帯電し難のいで、塵や埃を吸引しにくいものと解さ
れる。
【0217】又、御影石模様の塗膜を形成した箇所を木
材でこすったがキズの発生は認められなかったが、塗膜
を形成していない箇所は容易にキズが発生することが認
められた。
【0218】従って、本発明の被覆材で被着体(乗用
車)を被覆すると、被着体の硬度が高く、耐衝撃性が著
しく向上するのである。よって、乗用車などの乗物に適
用することによってその適用部位の強度が著しく向上
し、その接触事故など際の変形や外観の汚損が防止され
るのである。
【0219】ところで、本発明の被覆材において、寒水
石とケイ砂とを添加することにより、これらの材料の色
によって、表面に研かれた花こう岩(御影石)のような石
目模様と光沢とが現れ、そのまま仕上げ塗りにも利用で
きることが分かった。
【0220】又、本発明の被覆材に、鉄分を含む顔料
(ベンガラ)を5.5重量%添加したところ、急速に固化
することが認められた。
【0221】この固化が生じる主な原因は、鉄分にエマ
ルジョンを含む混合物の成分間で架橋反応を促進する触
媒性があるためであると思われる。
【0222】そこで、このようにして得られた被覆材
に、更にエマルジョン或いは水を追加し続けながらベン
ガラを微量添加して混合したところ、ベンガラが被覆材
中に十分に分散され、しかも、被覆できる程度に被覆材
の粘度上昇を抑えて、上記の実施例と同様に被覆できる
ことが認められた。
【0223】更に、本発明においては、被覆材に顔料、
他の天然石粉又はカイガラ粉を添加して、色や模様を簡
単に付けることができる。
【0224】又、上記の実施例では、被覆材で被覆する
基材(被着体)が段ボール(紙)で構成されているが、基材
の素材は特に限定されず、紙以外にも合板などの集成材
を含む木材、金属、合成樹脂、コンクリート或いはモル
タルにも本発明の被覆材を被覆することができる。
【0225】更に、被着体が被覆される被覆面の向き及
び形状は特に限定されるものではなく、例えば被覆材で
被覆される被覆面は、水平面であっても、垂直面であっ
ても、傾斜面であってもよく、又、被覆面の形状は平面
であっても、湾曲面であっても、屈曲面であっても、凹
凸面であってもよい。
【0226】又、上記顔料を含まない被覆材を用いて2
〜5mm程度の下地被覆をした後、乾燥させ、その表面に
格子状にマスキングテープを貼り、更にその後、ベンガ
ラを含有させた被覆材を用いて3〜10mm程度の仕上げ
被覆を行い、仕上げ塗膜がある程度乾燥してからマスキ
ングテープを引き剥がすことにより、外観上レンガ積み
のように見える格子状の目地模様を形成することができ
た。
【0227】加えて、上記骨材と共に、或いは骨材に代
えて被覆材にガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、ロッ
クウールまたスラグウールなどの無機質繊維を含有させ
ることも可能であり、この場合は、無機質繊維が有する
引っ張り強度によって塗膜の引っ張り強度を高めること
ができる。
【0228】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の被覆材
は、被着体表面に被覆されて当該被着体を美粧、保護す
るための被覆材であって、この被覆材が無機質接合剤
と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質からなること
を特徴とする。
【0229】即ち、本発明の被覆材は、無機質接合剤、
特に石灰ケイ酸質接合剤を必須成分とする無機質接合剤
と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質、特に官能基
を含有する樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質の組み
合わせからなる。
【0230】そして、本発明の被覆材は、被着体が自然
物或いは人工物、具体的には、例えば繊維強化プラスチ
ック(FRP)で形成されたもの、並びに建設資材、農業
資材、住宅機材、フィルム材、シート材、板材、手摺、
屋外工作物、橋梁、乗物、管材、工業機材、容器、タン
ク又は雑貨品であっても、これらの表面に被覆されて当
該被着体を確実に美粧、保護する効果を有するのであ
る。
【0231】そして、本発明の被覆材は、このような構
成を有することにより、石灰ケイ酸質接合剤などの無機
質接合剤の耐熱性と、石灰ケイ酸質接合剤などの無機質
接合剤が樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質、特に官
能基を含有する樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質の
中の水や任意に添加した水が、硬化の際に、硬化材とし
て反応に関与するのである。又、この硬化反応によって
生成した結合水の蒸発潜熱によって長期間にわたって優
れた耐熱性を保持し、しかも樹脂及び/又はゴム、特に
官能基を含有する樹脂及び/又はゴムが石灰ケイ酸質接
合剤中の金属イオン、石灰ケイ酸質接合剤が水と反応し
て生成したカルシウムシリケート水和物等に起因するカ
ルシウムイオン及び水酸化カルシウムからのカルシウム
イオンと架橋反応を起こすことによってこれらが相互に
有機的に結合し、この結果、この架橋物が緩和材として
の機能を発揮し、ひび割れが防止されたり、被着体表面
に被覆されて当該被着体の耐熱性、防食性、耐久性、耐
酸化性、耐水性及び耐候性を著しく向上させるうえ、被
着体を塩害から保護する効果を有するのである。
【0232】又、硬化後においては、外部からの熱に対
して、特にカルシウムシリケートの結合水や水酸化カル
シウムの結合水が気化し、この気化潜熱によって昇温が
抑制される結果、耐熱性が高められると共に、上記の各
配合成分の間に浸潤した樹脂又はゴムによって耐水性が
高められるのであり、更に、各配合成分の間に浸潤した
樹脂又はゴムによって各配合成分間の結合強度が高めら
れる結果、機械的強度が高められることになる。
【0233】加えて、官能基を含有する樹脂及び/又は
ゴムの水性高分子物質を用いると、下地材或いは仕上げ
材への浸透性が高められ、しかもこの水性高分子物質の
基材、下地材或いは仕上げ材への浸透によるアンカー効
果により基材、下地材或いは仕上げ材と塗膜との接合強
度を著しく高めることができる。
【0234】又、本発明において、白色ポルトランドセ
メントを用いると、この白色ポルトランドセメントは、
その成分中に鉄分やマンガン分が極めて少なく、塗装工
事や型枠に流し込む際に、被覆材に頻繁に、樹脂及び/
又はゴムの水性高分子物質、特に官能基を含有する樹脂
及び/又はゴムの水性高分子物質や水などの粘度調整剤
を加える必要が無く、しかも白色であるので種々の色や
模様をつくり易いだけでなく、その変化が容易であり、
従って、美麗な内・外装材や化粧材を製造できる結果、
内・外装の装飾材として至極有益である。
【0235】又、本発明の被覆材において、石膏、マグ
ネシアセメント又はアルミナセメントから選ばれた少な
くとも1種が含有される場合には、白色ポルトランドセ
メントの硬化収縮によるひび割れを、硬化後に膨張する
性質を有する石膏が防止するのであり、しかも白色ポル
トランドセメントのアルカリ質が骨材の酸性によって中
和され、基材が腐食したり、周囲の被覆材が変質したり
することを防止できるのであり、基材及び塗膜の耐久性
を高めることができるのであり、又、マグネシアセメン
トやアルミナセメントが、pH調整剤として、組成物の
反応性や硬化性を調整するので有益である。
【0236】又、本発明の被覆材において骨材を用いる
場合に、この骨材を炭酸カルシウムを主成分とするもの
で構成すれば、コストダウンが図れる上、炭酸カルシウ
ムの反応性及び高温での熱分解の際に潜熱を奪って外装
材の温度上昇を抑える結果、ひび割れが少なく、しかも
耐熱性が向上するのである。
【0237】又、本発明の被覆材において、ガラス繊
維、炭素繊維、ボロン繊維、ロックウール又はスラグウ
ールから選ばれた1種又は2種以上の無機質繊維が含ま
れている場合には、無機質繊維の引っ張り強度によって
塗膜の引っ張り強度が高められ、これにより塗膜の耐久
性が一層高められる。
【0238】更に、本発明の被覆材において、顔料、花
こう岩粉や大理石粉などの天然石粉、カイガラ粉のうち
の1種または2種以上のものが配合される場合には、塗
膜の表面を任意の色に着色したり、塗膜の表面に花こう
岩や大理石のような石目模様を形成したりすることがで
き、デザイン性を高めることができ、仕上げ材として最
適になる。
【0239】本発明の被着体の被覆方法は上記本発明の
被覆材で被着体を被覆し、固化させるので、被着体の上
に耐熱性及び耐水性を有する継ぎ目のない塗膜を形成す
ることができ、空隙や気孔がなく長期間にわたって優れ
た耐熱性及び耐水性を保持できる防水構造を得ることが
できる。
【0240】本発明の被着体の被覆方法において、上記
本発明の被覆材で下地被覆を行う場合は、長期間にわた
って、優れた耐熱性及び耐水性を有する下地層を形成す
ることができるのであり、又上記本発明の被覆材で仕上
げ被覆を行う場合には、長期間にわたって、優れた耐熱
性及び耐水性を有する仕上げ層を形成することができる
のであり、更に本発明の被覆材で下地被覆を行った後、
本発明の被覆材で仕上げ被覆を行う場合には、長期間に
わたって、一層優れた耐熱性及び耐水性を有する下地層
及び仕上げ層を形成することができる効果を有するので
ある。
【0241】本発明の被着体の被覆方法において、特に
本発明の被覆材で仕上げ被覆をする時に仕上げ被覆の目
地部分をマスク材でマスクしてから仕上げ被覆を行い、
更にこの後にマスク材を剥離すれば、例えばレンガ積み
やタイル貼りのような目地模様のある仕上げ面を形成す
ることができ、デザイン性を高めることができる効果を
有するのである。
【0242】ところで、本発明の被覆材で被着体を被覆
すると、無機質接合剤の存在によって、帯電し難いの
で、塵や埃を吸引することがなく、汚れにくい結果、手
入れや取扱が至極容易である効果を有する。
【0243】従って、本発明の被覆材で被着体、例えば
乗用車又は鉄道車両等の乗物を被覆すると、この乗物
が、無機質接合剤の存在によって、帯電し難いので、塵
や埃を吸引することがなく、汚れにくいのであり、又、
この被覆材で乗用車又は鉄道車両の外面を被覆すると、
その被覆部位の硬度が高く、耐衝撃性が著しく向上する
ので、その接触事故など際の変形や外観の汚損が防止さ
れる結果、手入れや取扱が至極容易である効果を有する
のである。
【0244】更に、本発明の被覆材で被着体を被覆する
と、被着体の耐熱性、防食性、耐久性、耐酸化性、耐水
性及び耐候性を著しく向上させるだけでなく、酸性雨に
対して優れた耐久性を発現する上、鮮やかな色の変化を
容易にできるので、自然と調和する色彩も簡単に、且つ
底コストで作成できる効果を有するのである。
【0245】本発明の内・外装材は、本発明の被覆材を
用いて得たことを特徴とするが、この内・外装材の製造
方法としては特に限定されるものではなく、具体的に
は、例えば本発明の被覆材を所定の型枠に流し込み、こ
れを硬化させた後、剥離して製造されるのであり、この
ように構成することにより、タイルやレンガ更にブロッ
ク等の内・外装材を簡単に、かつ経済的に製造できるの
である。
【0246】本発明の内・外装材の施工方法において、
本発明の被覆材を所定の型枠に流し込んで硬化させた
後、これを剥離して内・外装材を製造し、この内・外装
材を、Bステージ状態の繊維強化プラスチック(FRP)
製の基板表面に張り合わせ、次いで、この基板を加熱、
硬化させるようにすると、このBステージ状態の繊維強
化プラスチック(FRP)は半硬化状態であって接着性を
有するので、接着剤が不要になって施工工数が少なくな
るだけでなく、施工が一層容易になり、これらの結果、
施工コストを著しく廉価にできる効果を奏するのであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B60R 13/04 Z

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被着体表面に被覆されて当該被着体を美
    粧、保護するための被覆材であって、この被覆材が無機
    質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質から
    なることを特徴とする被覆材。
  2. 【請求項2】 被着体が繊維強化プラスチック(FRP)
    で形成されたものである請求項1に記載の被覆材。
  3. 【請求項3】 繊維強化プラスチック(FRP)が繊維強
    化熱硬化性プラスチック又は繊維強化熱可塑性プラスチ
    ックである請求項2に記載の被覆材。
  4. 【請求項4】 被着体が建設資材、農業資材、住宅機
    材、フィルム材、シート材、板材、手摺、屋外工作物、
    橋梁、乗物、管材、工業機材、容器、タンク又は雑貨品
    である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の被覆
    材。
  5. 【請求項5】 被着体が建設資材、農業資材、住宅機
    材、フィルム材、シート材、板材、手摺、屋外工作物、
    橋梁、乗物、管材、工業機材、容器、タンク又は雑貨品
    であり、この被着体が合成樹脂、ゴム、木材、金属材
    料、セラミック又は紙材から選ばれた少なくとも1種で
    形成されている請求項1に記載の被覆材。
  6. 【請求項6】 被着体が建設資材、農業資材、住宅機
    材、フィルム材、シート材、板材、手摺、屋外工作物、
    橋梁、乗物、管材、工業機材、容器、タンク又は雑貨品
    であり、この被着体が合成樹脂、ゴム、木材、金属材
    料、セラミック又は紙材から選ばれた少なくとも1種と
    他の材料の組み合わせからなる複合材料で形成されてい
    る請求項1に記載の被覆材。
  7. 【請求項7】 合成樹脂が熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹
    脂である請求項5又は6に記載の被覆材。
  8. 【請求項8】 ゴムが天然ゴム、再生ゴム又は合成ゴム
    である請求項5又は6に記載の被覆材。
  9. 【請求項9】 屋外工作物が街路灯、道路照明灯、電
    柱、送電塔、道路標識、信号機、反応塔、洗浄塔、精製
    塔、化学プラント、パイプライン、煙突、看板又は広告
    塔である請求項4ないし8のいずれか1項に記載の被覆
    材。
  10. 【請求項10】 屋外工作物が街路灯、道路照明灯、電
    柱、道路標識又は信号機である請求項9に記載の被覆
    材。
  11. 【請求項11】 乗物が車両、舟艇、船舶又は航空機で
    ある請求項4ないし8のいずれか1項に記載の被覆材。
  12. 【請求項12】 車両が二輪車、乗用車、貨物車、鉄道
    車両、ロープウエイ又はリニアモーターカーである請求
    項10に記載の被覆材。
  13. 【請求項13】 車両が乗用車又は鉄道車両である請求
    項12に記載の被覆材。
  14. 【請求項14】 航空機が旅客機又は輸送機である請求
    項11に記載の被覆材。
  15. 【請求項15】 無機質接合剤が気硬性セメント、水硬
    性セメント又は特殊セメント類である請求項1ないし1
    4のいずれか1項に記載の被覆材。
  16. 【請求項16】 無機質接合剤が水硬性セメントである
    請求項15に記載の被覆材。
  17. 【請求項17】 水硬性セメントが石灰ケイ酸質接合剤
    を必須成分とするものである請求項16に記載の被覆
    材。
  18. 【請求項18】 無機質接合剤が石灰ケイ酸質接合剤
    に、更にケイ砂、鉱滓又は骨材から選ばれた少なくとも
    1種を配合してなるものである被覆材。
  19. 【請求項19】 無機質接合剤が石灰ケイ酸質接合剤
    に、更にケイ砂、鉱滓又は骨材から選ばれた少なくとも
    1種と、更に石膏、マグネシアセメント又はアルミナセ
    メントから選ばれた少なくとも1種を配合してなるもの
    である被覆材。
  20. 【請求項20】 石灰ケイ酸質接合剤がポルトランドセ
    メント又は特殊ポルトランドセメントである請求項17
    ないし19のいずれか1項に記載の被覆材。
  21. 【請求項21】 特殊ポルトランドセメントが白色ポル
    トランドセメントである請求項20に記載の被覆材。
  22. 【請求項22】 骨材が炭酸カルシウムを主成分とする
    ものである請求項18ないし21のいずれか1項に記載
    の被覆材。
  23. 【請求項23】 無機質接合剤が白色ポルトランドセメ
    ント、ケイ砂及び鉱滓を必須成分とするものである請求
    項21又は22に記載の被覆材。
  24. 【請求項24】 無機質接合剤が白色ポルトランドセメ
    ント、ケイ砂、鉱滓及び骨材を必須成分とするものであ
    る請求項21又は22に記載の被覆材。
  25. 【請求項25】 無機質接合剤に、更に架橋剤が配合さ
    れている請求項1ないし24のいずれか1項に記載の被
    覆材。
  26. 【請求項26】 ケイ砂、鉱滓又は骨材から選ばれた少
    なくとも1種が架橋剤でコーティング処理されている請
    求項18ないし25のいずれか1項に記載の被覆材。
  27. 【請求項27】 架橋剤がシリコーン系架橋剤、アルキ
    ルチタネート、チタニウムアシレート、チタニウムキレ
    ート、リン酸エステル、ホスホネート、亜リン酸エステ
    ル、ポリリン酸或いはその金属塩、ホウ酸又はホウ砂か
    ら選ばれた少なくとも1種である請求項25又は26に
    記載の被覆材。
  28. 【請求項28】 樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質
    が樹脂及び/又はゴムのエマルジョン、水溶液又はディ
    スパージョンである請求項1ないし27のいずれか1項
    に記載の被覆材。
  29. 【請求項29】 樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質
    が官能基を含有するものである請求項28に記載の被覆
    材。
  30. 【請求項30】 官能基がカルボキシル基、水酸基、メ
    チロール基、酸アミド基、ヒドロキシエチル基、ヒドロ
    キシプロキル基又はエポキシ基から選ばれた少なくとも
    1種である請求項29に記載の被覆材。
  31. 【請求項31】 官能基含有モノマーとしてメタクリル
    酸、アクリル酸、イタコン酸又は無水マレイン酸などの
    不飽和結合を有するカルボン酸、メチロールアクリルア
    マイド、ヒドロキシエチルメタクリレート或いはヒドロ
    キシプロピルメタクリレートなどの不飽和結合を有する
    水酸化物、ジメチルアミノエチルメタクリレートやアク
    リルアマイドなどの加水分解によって官能基を生成する
    物質、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基を有
    する化合物などから選ばれた少なくとも1種である請求
    項30に記載の被覆材。
  32. 【請求項32】 官能基を含有する樹脂及び/又はゴム
    の水性高分子物質がアクリル酸アルキルエステルーアク
    リロニトリルーメタクリル酸共重合体、イソブチレンー
    無水マレイン酸共重合体、ブタジエンーメタクリル酸共
    重合体、イソプレンーアクリル酸共重合体、アクリル酸
    ブチルーアクリル酸共重合体或いはアクリル酸2ーエチ
    ルヘキシルーアクリル酸共重合体などのアクリル酸エス
    テルーアクリル酸共重合体、アクリル酸ブチルーメタク
    リル酸共重合体或いはアクリル酸2ーエチルヘキシルー
    メタクリル酸共重合体などのアクリル酸エステルーメタ
    クリル酸共重合体、カルボキシルポリイソブチレン、エ
    チレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸
    共重合体、ブタジエンースチレンカルボキシルエラスト
    マー、ブタジエンアクリロニトリルカルボキシルエラス
    トマー、ブタジエンーメタクリロニトリルカルボキシル
    エラストマー、ブタジエンー塩化ビニリデンカルボキシ
    ルエラストマー、ポリクロロプレンカルボキシルエラス
    トマー、ポリエチレンカルボキシルエラストマー或いは
    ポリイソブチレンカルボキシルエラストマーなどのエマ
    ルジョン又はディスパージョンである請求項29ないし
    31のいずれか1項に記載の被覆材。
  33. 【請求項33】 請求項1ないし32のいずれか1項に
    記載の被覆材に無機質繊維が含有されている被覆材。
  34. 【請求項34】 無機質繊維がガラス繊維、炭素繊維、
    ボロン繊維、ロックウール、ウイスカー又はスラグウー
    ルから選ばれた1種又は2種以上のものである請求項3
    3に記載の被覆材。
  35. 【請求項35】 請求項1ないし34のいずれか1項の
    被覆材に顔料、天然石粉又はカイガラ粉のうちの1種又
    は2種以上が配合されている被覆材。
  36. 【請求項36】 顔料が無機質顔料である請求項35に
    記載の被覆材。
  37. 【請求項37】 有機質顔料が顔料全体の50重量%以
    下である請求項35又は36に記載の被覆材。
  38. 【請求項38】 天然石粉が花こう岩粉、御影石粉又は
    大理石粉である請求項35ないし37のいずれか1項に
    記載の被覆材。
  39. 【請求項39】 請求項1ないし38のいずれか1項に
    記載の被覆材で被着体を被覆し、固化させることを特徴
    とする被着体の被覆方法。
  40. 【請求項40】 請求項39に記載の被着体の被覆方法
    が被着体の下地被覆であることを特徴とする被着体の被
    覆方法。
  41. 【請求項41】 請求項39に記載の被着体の被覆方法
    が被着体の仕上げ被覆であることを特徴とする被着体の
    被覆方法。
  42. 【請求項42】 請求項1ないし38のいずれか1項に
    記載の被覆材で下地被覆を行った後、更にその表面の仕
    上げ被覆を行うことを特徴とする被着体の被覆方法。
  43. 【請求項43】 請求項1ないし38のいずれか1項に
    記載の被覆材で仕上げ被覆を行うにあたり、この仕上げ
    被覆の目地部分をマスク材でマスクしてから仕上げ被覆
    を行い、次いで、このマスク材を剥離する請求項39、
    41又は42に記載の被着体の被覆方法。
  44. 【請求項44】 請求項1ないし38のいずれか1項に
    記載の被覆材を用いて得たことを特徴とする内・外装
    材。
  45. 【請求項45】 請求項1ないし38のいずれか1項に
    記載の被覆材を所定の型枠に流し込み、これを硬化させ
    た後、剥離して製造することを特徴とする内・外装材の
    製造方法。
  46. 【請求項46】 型枠の内面に離形処理が施されている
    請求項45に記載の内・外装材の製造方法。
  47. 【請求項47】 請求項44ないし46のいずれか1項
    に記載の内・外装材を被着体に接着剤を介して接着する
    ことを特徴とする内・外装材の施工方法。
  48. 【請求項48】 請求項1ないし38のいずれか1項に
    記載の被覆材を所定の型枠に流し込んで硬化させた後、
    これを剥離して内・外装材を製造し、この内・外装材
    を、Bステージ状態の繊維強化プラスチック(FRP)製
    の被着体表面に張り合わせ、次いで、この被着体を加
    熱、硬化することを特徴とする内・外装材の施工方法。
  49. 【請求項49】 型枠の内面に離形処理が施されている
    請求項48に記載の内・外装材の製造方法。
JP6284290A 1994-10-20 1994-10-24 被覆材及びこれを用いる被着体の被覆方法並びにこの被覆材を用いて得た内・外装材、この内・外装材の製造方法及びこの内・外装材の施工方法 Pending JPH08170052A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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