JP6057811B2 - 画像記録装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の画像記録部により記録紙の異なる領域に画像を記録する画像記録装置及び方法に関する。
インクジェットヘッドからインク(液滴)を吐出して記録紙に画像を記録するインクジェットプリンタとして、近年、記録紙の表裏面にそれぞれ画像を記録する両面印刷を行うインクジェットプリンタが増加している。両面印刷を行う方法としては、表裏面印刷共用のインクジェットヘッドにより表面印刷を行った後で記録紙を反転させて裏面印刷を行う方法と、表面印刷用のインクジェットヘッド及び裏面印刷用のインクジェットヘッドによりそれぞれ表面印刷、裏面印刷を行う方法とが知られている。
両面印刷を行う2種類の方法のうち後者の方法では、表面印刷と裏面印刷とを異なるインクジェットヘッドにより行うため、記録画像の色再現品質が表面と裏面とで異なるおそれがある。このため、記録紙の表面と裏面とで同じ色(色の濃度)を再現するために、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、記録紙の表面と裏面とにそれぞれ印刷されたテストチャートの色再現特性を測定し、この測定に結果に基づき濃度補正を行うことで表面と裏面の色毎の濃度を合わせている。また、特許文献2に記載のインクジェットプリンタでは、記録紙の表面と裏面とにそれぞれ印刷されたテストチャートを読み取り両者を比較して、表裏面の一方のテストチャートの各色の濃度に他方のテストチャートの各色の濃度をそれぞれ合わせている。
特開2002−192815号公報 特許4102794号公報
ところで、記録紙の表面と裏面とにそれぞれ記録される画像の色毎の濃度を合わせる場合には、一方の面上に記録される濃度の高い画像(濃度レンジの広い画像)の色を削って、他面に記録される濃度の低い画像(濃度レンジが狭い画像)の色の方に合わせる。この場合に、インクジェットプリンタでは記録画像が網点で構成されるので、他面上に記録される濃度レンジの狭い画像の最高濃度領域(ベタ部)は一面が色材で埋められるが、一面上に記録される濃度レンジの広い画像の最高濃度領域には網点パターン(網点構造ともいう、図5参照)が生じる。すなわち、表面と裏面とで最高濃度領域の像構造が異なってしまう。このような像構造の違いは、最高濃度部だけでなく、線や文字などの品質にも現れる。
また、インクジェットプリンタでは、インク、記録紙の製造時期、プリント記録安定性のばらつきによって、記録画像の色再現にばらつきが生じる(図6参照)。これらのばらつきは画像データ(画像信号)に濃度補正処理を施すことにより解消される。しかし、濃度補正を行うときの色再現の目標が、表裏面にそれぞれ記録される記録画像の濃度のばらつきを加味していない場合に、表裏面のいずれも最高濃度領域付近で目標の色再現が得られず、いずれの面も絶対的な色再現の目標が得られない場合がある。さらに、表裏面のいずれでも目標の色再現が得られた場合であっても、記録画像の濃度が、像構造品質が保たれる下限値を下回ってしまうおそれもある。
このような各問題に対する解決方法は、上記特許文献1、2には開示されていない。
本発明の目的は、記録紙の表裏面等の異なる領域に画像を記録する際に、像構造品質を保ちつつ目標の色再現が得られる画像記録装置及び方法を提供することにある。
本発明の目的を達成するための画像記録装置は、記録紙の異なる領域に画像を記録する複数の画像記録部と、記録紙と複数の画像記録部とを相対移動させる相対移動部と、複数の画像記録部及び相対移動部を制御して、複数の画像記録部により異なる領域にそれぞれテストチャートを記録させる記録制御部と、異なる領域に記録された各テストチャートの濃度を測定する濃度測定部と、複数の画像記録部により記録される画像の品質が保たれる濃度の代表値である濃度下限許容値を予め記憶した濃度下限許容値記憶部と、少なくとも濃度下限許容値記憶部に記憶された濃度下限許容値に基づき、複数の画像記録部が記録する画像の濃度の目標値を決定する目標値決定部と、目標値決定部が決定した目標値と、濃度測定部の測定結果とに基づき、複数の画像記録部が記録する画像の濃度を補正する濃度補正値を算出する濃度補正値算出部と、濃度補正値算出部が算出した濃度補正値に基づき、複数の画像記録部がそれぞれ記録する画像の濃度を補正する濃度補正部と、を備える。
本発明によれば、記録紙の異なる領域に記録される各画像の像構造品質を保ちつつ、各各画像の濃度を合わせることができる。
濃度測定部の測定結果を累積的に記憶する測定結果記憶部を備え、目標値決定部は、測定結果記憶部に記憶された測定結果に基づき、各テストチャートの個別の濃度のばらつきの下限の代表値をそれぞれ算出し、各代表値の中の最小代表値が濃度下限許容値以上となる場合に最小代表値を目標値として決定し、最小代表値が濃度下限許容値未満となる場合に濃度下限許容値を目標値として決定することが好ましい。これにより、記録紙の異なる領域に記録される各画像の濃度のばらつきを加味した濃度補正を行うことができるので、目標の色再現が得られる。
濃度下限許容値記憶部は、濃度下限許容値として、複数の画像記録部により記録される最高濃度の画像の品質が保たれる最高濃度下限許容値を記憶し、目標値決定部は、各テストチャートの最高濃度領域の個別の濃度のばらつきの下限の代表値をそれぞれ算出して、この算出結果と最高濃度下限許容値とに基づき目標値を決定することが好ましい。これにより、各画像の最高濃度領域付近で目標の色再現が得られる。
目標値決定部は、テストチャートの濃度の測定結果の最小値をテストチャートに対応する代表値として算出することが好ましい。
目標値決定部は、テストチャートの濃度の測定結果の標準偏差値を求め、標準偏差値に基づきテストチャートに対応する代表値を算出することが好ましい。
目標値決定部は、テストチャートの濃度の測定結果の最小値に予め定めた係数を乗じた値をテストチャートに対応する代表値として算出することが好ましい。
測定結果記憶部は、濃度測定部の測定結果を、複数の記録部の種類、記録紙の種類、及び印刷条件をそれぞれ識別可能な状態で記憶し、目標値決定部は、複数の記録部の種類、記録紙の種類、及び印刷条件に対応した測定結果記憶部内の測定結果に基づき、テストチャートごとの代表値をそれぞれ算出することが好ましい。これにより、複数の記録部の種類、記録紙の種類、及び印刷条件に対応した濃度のばらつきを加味した濃度補正を行うことができる。
複数の画像記録部は、それぞれ複数色の画像を記録可能であり、記録制御部は、複数の画像記録部により異なる領域にそれぞれ複数色のテストチャートを記録させ、濃度測定部は、各テストチャートの濃度を色毎に測定し、濃度下限許容値記憶部は、濃度下限許容値を色毎に予め記憶し、目標値決定部は、各テストチャートの色毎の濃度測定結果に基づき各テストチャートの個別の代表値を色毎に算出して、各色の代表値と各色の濃度下限許容値とに基づいて目標値を色毎に決定し、濃度補正値算出部は、各色の目標値に基づき濃度補正値を色毎に算出し、濃度補正部は、各色の目標値に基づき、複数の画像記録部がそれぞれ記録する画像の濃度を色毎に補正することが好ましい。複数色の色毎の濃度のばらつきを加味した色毎の濃度補正を行うことができる。
異なる領域は、記録紙の表面と裏面であることが好ましい。
複数の画像記録部は、インクジェットヘッドであることが好ましい。
本発明の目的を達成するための画像記録方法は、記録紙の異なる領域に画像を記録する複数の画像記録部と、記録紙とを相対移動させながら、複数の画像記録部により異なる領域にそれぞれテストチャートを記録させるテストチャート記録ステップと、異なる領域に記録された各テストチャートの濃度を測定する濃度測定ステップと、少なくとも複数の画像記録部により記録される画像の品質が保たれる濃度の代表値である濃度下限許容値に基づき、複数の画像記録部が記録する画像の濃度の目標値を決定する目標値決定ステップと、目標値決定ステップで決定した目標値と、濃度測定ステップの測定結果とに基づき、複数の画像記録部が記録する画像の濃度を補正する濃度補正値を算出する濃度補正値算出ステップと、濃度補正値算出ステップで算出された濃度補正値に基づき、複数の画像記録部がそれぞれ記録する画像の濃度を補正する濃度補正ステップと、を有する。
濃度測定ステップの測定結果を累積的に測定結果記憶部に記憶させる測定結果記憶ステップを有し、目標値決定ステップは、測定結果記憶部に記憶された測定結果に基づき、各テストチャートの個別の濃度のばらつきの下限の代表値をそれぞれ算出し、各代表値の中の最小代表値が濃度下限許容値以上となる場合に最小代表値を目標値として決定し、最小代表値が濃度下限許容値未満となる場合に濃度下限許容値を目標値として決定することが好ましい。
本発明の画像記録装置及び方法は、各テストチャートの個別の濃度のばらつきと、画像の品質が保たれる濃度の下限値である濃度下限許容値とに基づき、複数の画像記録部が記録する画像の濃度の目標値を決定するので、記録紙の異なる領域にそれぞれ記録される各画像の像構造品質を確保した上で、各画像の色の濃度を合わせることができる。
インクジェットプリンタの概略図である。 インクジェットプリンタのプリンタ制御部の機能ブロック図である。 表面側・裏面側キャリブチャートパターンの正面図である。 濃度値保管部の概略図である。 像構造品質が保たれない場合の網パターンの発生を説明するための説明図である。 表面・裏面最高濃度ばらつき幅の下限の代表値を説明するための説明図である。 目標値の決定処理(Lb≧DL)を説明するための説明図である。 目標値の決定処理(Lb<DL)を説明するための説明図である。 表面・裏面濃度補正LUTの生成処理を説明するための説明図である。 濃度値測定処理の流れを示したフローチャートである。 目標値決定処理の流れを示したフローチャートである。 濃度補正LUT生成処理の流れを示したフローチャートである。 画像記録処理の流れを示したフローチャートである。 他実施形態の目標値決定処理の流れを示したフローチャートである。 インクジェットヘッドの構造例を示す概略図である。 インクジェットヘッドの断面図である。
[インクジェットプリンタの構成]
図1に示すように、本発明の画像記録装置に相当するインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタと略す)10は、記録紙11の両面に画像を記録(描画、形成、印刷ともいう)する両面印刷を行う。プリンタ10は、表面・裏面インクジェットヘッド12,1422を用いて、シングルパス方式で画像を記録する。すなわちプリンタ10では、表面・裏面インクジェットヘッド12,14に対して記録紙11を相対的に移動させる動作を1回行うだけで、記録紙11の両面の画像記録領域に所定記録解像度(例えば、1200dpi)の画像をそれぞれ記録(形成、印刷、描画ともいう)する。なお、記録紙11は長尺のものに限らず、枚葉紙を用いてもよい。
プリンタ10には、記録紙11の搬送経路に沿って、表面インクジェットヘッド12と、ドラムローラ13と、裏面インクジェットヘッド14と、ドラムローラ15と、表面測色器16及び裏面測色器17とが設けられている。表面・裏面インクジェットヘッド12,14は、本発明の複数の画像記録部に相当する。表面・裏面インクジェットヘッド12,14の構造については後述する(図15、図16参照)。ドラムローラ13,15は、本発明の相対移動部に相当するものであり、記録紙11を搬送することで表面・裏面インクジェットヘッド12,14と記録紙11とを相対移動させる。表面測色器16及び裏面測色器17は、本発明の濃度測定部に相当する。
表面インクジェットヘッド12は、記録紙11の表面11aの上方に配置されており、記録紙11の搬送方向に直交する方向(所謂、主走査方向)に長く延びた形状を有している。表面インクジェットヘッド12の表面11aと対応する面には、k(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインク滴(液滴ともいう)を吐出するノズルが2次元アレイ状に配列されている。表面インクジェットヘッド12は、表面11a上に各色のインク滴を打滴する。
ドラムローラ13は、そのドラム表面が記録紙11の裏面11bに接した状態で回転することで、記録紙11を搬送するとともにその搬送方向を180°反転させる。これにより、表面インクジェットヘッド12による画像記録後の記録紙11の表面11aと裏面11bとが反転する。また、ドラムローラ13のドラム表面の温度は所定のインク乾燥温度に設定されている。これにより、表面11aに記録された画像がドラムローラ13により乾燥される。
裏面インクジェットヘッド14は、裏面11bの上方に配置されている。この裏面インクジェットヘッド14は、表面インクジェットヘッド12と基本的に同じものであり、裏面11b上にCMYKの各色のインク滴を打滴する。
ドラムローラ15は、そのドラム表面が表面11aに接した状態で回転することで、記録紙11を搬送するとともにその搬送方向を180°反転させる。これにより、記録紙11の表面11aと裏面11bとが再度反転する。また、ドラムローラ15のドラム表面の温度がインク乾燥温度に設定されているので、裏面11bに記録された画像がドラムローラ15により乾燥される。
表面測色器16は、表面11aの上方に配置されており、表面11aに対向している。表面測色器16は、表面11aに記録された表面側キャリブチャートパターン(テストチャート)18のCMYKの各色の濃度をそれぞれ測定する(図2、図3参照)。
裏面測色器17は、裏面11bの下方に配置されており、裏面11bに対向している。裏面測色器17は、裏面11bに記録された裏面側キャリブチャートパターン(テストチャート)19のCMYKの各色の濃度をそれぞれ測定する(図2、図3参照)。
プリンタ制御部20は、上述の表面インクジェットヘッド12、ドラムローラ13、裏面インクジェットヘッド14、ドラムローラ15、表面測色器16、及び裏面測色器17を含むプリンタ10の各部の動作を統括的に制御する。また、プリンタ制御部20は、本発明の記録制御部として機能する。
図2に示すように、プリンタ10には、前述の各部12〜17,20の他に、ホストI/F部22及び画像メモリ23などが設けられている。
ホストI/F部22は、ホストコンピュータ25から送られてくる画像データを受信する、いわゆる通信インターフェースである。ホストI/F部22は、ホストコンピュータ25から受信した画像データを画像メモリ23へ送る。
画像メモリ23は、ホストI/F部22を介して入力された画像データを格納するものであり、1ページ分の画像データを記憶し得る記憶容量を有するDRAMなどが用いられる。ここで、1ページ分の画像データとは、表面印刷用の表面画像データ27と、裏面印刷用の裏面画像データ28とで構成される。
また、画像メモリ23には、表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19の画像データであるキャリブチャートパターンデータ29が格納されている。なお、表面・裏面画像データ27,28及びキャリブチャートパターンデータ29は、例えば8ビットの画像データである。
プリンタ制御部20は、濃度補正部30と、ヘッドドライバ31と、搬送制御部32と、測色器制御部33と、濃度値保管部(測定結果記憶部)34と、演算パラメータ保管部(濃度下限許容値記憶部)35と、目標値決定部36と、目標値保管部37と、濃度補正値算出部38と、LUT保管部39とを備えている。プリンタ制御部20は、これら各部30〜39を制御することでプリンタ10の全体動作を統括制御する。
濃度補正部30は、表面11aに記録される表面画像と裏面11bに記録される裏面画像との色再現を合わせるために、画像メモリ23から読み出した表面画像データ27及び裏面画像データ28に対してそれぞれ濃度補正処理を施す。この濃度補正処理には、後述の濃度補正値算出部38により生成されたCMYKの各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42が用いられる。濃度補正部30は、各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42に従って、例えば表面・裏面画像データ27,28のCMYK信号をcmyk信号に変換したり、C信号、M信号、Y信号、K信号の各信号を色別にc信号、m信号、y信号、k信号に変換したりする。
なお、濃度補正処理後の表面・裏面画像データ27,28は、それぞれ色毎に図示しないハーフトーン処理部にてハーフトーン処理が施される。ハーフトーン処理部は、表面・裏面画像データ27,28の多階調の各色の画像信号を、例えば「大滴インクを吐出する」、「中滴インクを吐出する」、「小滴インクを吐出する」、「吐出しない」の4値の信号に変換する。ハーフトーン処理後の表面・裏面画像データ27,28は、ヘッドドライバ31へ出力される。
ヘッドドライバ31は、ハーフトーン処理後の表面・裏面画像データ27,28(本例の場合4値のマーキング信号)に基づき、それぞれ表面インクジェットヘッド12、裏面インクジェットヘッド14の各ノズルのインク吐出を制御する。大滴インク、中滴インク、小滴インクによってそれぞれ表裏面11a,11b上に大ドット、中ドット、小ドットが記録される。ドラムローラ13,15により記録紙11を搬送しつつ、各インクジェットヘッド12,14によりCMYKの各色のインク滴を打滴することで、表裏面11a,11bにそれぞれ表面画像データ27に基づく表面記録画像、裏面画像データ28に基づく裏面記録画像が形成される。
搬送制御部32は、ドラムローラ13,15の回転/停止、及び回転速度を制御することで、記録紙11の搬送を制御する。
プリンタ制御部20は、プリンタ10の電源ON時、表面・裏面濃度補正LUT41,42の生成時、所定枚数の画像記録実行時、ユーザから濃度測定指示を受けた時などの所定のタイミングで、表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19の記録を実行する。この場合には、画像メモリ23内のキャリブチャートパターンデータ29が濃度補正部30に読み出される。キャリブチャートパターンデータ29は、濃度補正処理、ハーフトーン補正処理が施された後、ヘッドドライバ31へ送られる。ヘッドドライバ31は、ハーフトーン処理後のキャリブチャートパターンデータ29に基づき、表面・裏面インクジェットヘッド12,14の各ノズルのインク吐出を制御する。ドラムローラ13,15により記録紙11を搬送しつつ、各インクジェットヘッド12,14によりCMYKの各色のインク滴を打滴することで、表裏面11a,11bにそれぞれ表面側キャリブチャートパターン18、裏面側キャリブチャートパターン19が記録される。
図3に示すように、表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19は、共通のキャリブチャートパターンデータ29により生成され、CMYKの各色の濃度をそれぞれ段階的に変化させてなる濃度パターン44C,44M,44Y,44Kを含む。濃度パターン44C,44M,44Y,44Kは、例えば0階調を0%、255階調を100%とした場合に、5%ずつ段階的に階調が高くなるように形成されている。これにより、濃度パターン44C,44M,44Y,44Kはそれぞれ21段のパッチ45で構成される。1段目のパッチ45の濃度が最も低くなり、21段目のパッチ45の濃度が最も高くなる。以下、21段目のパッチ45を「最高濃度パッチ45」という。
図2に戻って、測色器制御部33は、表面測色器16及び裏面測色器17による濃度測定を制御する。測色器制御部33は、表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19の記録後に、これら表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19が各測色器16,17を通過するタイミングに合わせて各測色器16,17による濃度測定を実行させる。なお、表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19の位置は、既知の記録紙11の搬送速度情報に基づきトラッキングすることができる。
また、測色器制御部33は、表面測色器16から表面側キャリブチャートパターン18の各濃度パターン44C,44M,44Y,44Kの濃度測定結果である表面濃度値46aを取得する。さらに、測色器制御部33は、裏面測色器17から裏面側キャリブチャートパターン19の各濃度パターン44C,44M,44Y,44Kの濃度測定結果である裏面濃度値46bを取得する。表面・裏面濃度値46a,46bには、CMYKの色毎にそれぞれ1段目から21段目までの各パッチ45の濃度測定結果が記録されている(図4参照)。そして、測色器制御部33は、表面・裏面濃度値46a,46bを濃度値保管部34及び濃度補正値算出部38にそれぞれ送る。
図4に示すように、濃度値保管部34は、測色器制御部33から入力される濃度値46a,46bを、表裏面11a,11b(表面・裏面インクジェットヘッド12,14の種類)、記録紙11の種類、印刷条件をそれぞれ識別可能な状態で累積的に記憶する。ここで印刷条件としては、例えば記録紙11の搬送速度や製造時期、プリンタ10の周囲の温度や湿度などが例として挙げられるが、記録画像の色再現に影響を及ぼす各種のパラメータが含まれていてもよい。なお、記録紙11の種類(「記録紙1」、「記録紙2」、「記録紙3」、・・・)に関する情報や、印刷条件(「印刷条件1」、「印刷条件2」、「印刷条件3」、・・・)に関する情報などのプリンタ情報は、プリンタ制御部20から取得可能である。
例えば、「記録紙1」でかつ「印刷条件1」の下での表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19の記録が繰り返し実行されると、「表面−記録紙1−印刷条件1」のフォルダ内に表面濃度値46a(「濃度値1」、「濃度値2」、・・・)が累積的に記憶される。また同時に、「裏面−記録紙1−印刷条件1」のフォルダ内に裏面濃度値46b(「濃度値1」、「濃度値2」、・・・)が累積的に記憶される。なお、記録紙11の種類や印刷条件が変わった場合には、変更後の条件に対応するフォルダ内に表面濃度値46a、裏面濃度値46bが記憶される。
図2に戻って、演算パラメータ保管部35は、本発明の濃度下限許容値として、CMYKの各色の最高濃度下限許容値DLを予め記憶している。最高濃度下限許容値DLは、表面・裏面インクジェットヘッド12,14がそれぞれ記録する各色の最高濃度(最高濃度領域)の画像の品質が保たれる濃度の下限値である。ここでいう、画像の「品質」とは、例えば像構造品質である。
像構造品質は、記録紙11に記録された記録画像(画像パターン)の画像データに対する再現精度を意味する。すなわち、画像データ上の画像パターンと、記録紙11に記録された画像パターンとはミクロな再現レベルにおいても同じ再現になっているのが理想的であるので、像構造品質は、画像データ上の画像パターンと記録紙11に記録された画像パターンとがどこまでミクロなレベルで再現しているかの品質を指している。このような像構造品質は、例えば下記の4点の少なくともいずれかに基づき評価される。第1は、画像データ上では同じ色で塗りつぶされたパターンになっているものに対して、記録紙11上でも塗りつぶされた状態になっているかという点である。第2は、網パターンが残り、ところどころに紙白が見えてしまっているかという点である。第3は、画像データ上では直線のエッジが直線で描かれているものに対して、記録紙11上でもエッジが直線で描かれているかという点である。第4は、網パターンが残り、エッジがでこぼこした直線になっているかという点である。
図5に示すように、例えば表面記録画像51の方が裏面記録画像52よりも最高濃度が高くなる場合には、表面・裏面記録画像51,52の最高濃度を合わせるために、表面11aに打滴される大ドットに対する中ドットや小ドットの比率を高くする。そして、大ドットに対する中ドットや小ドットの比率が一定以上になると、表面記録画像51の像構造品質が保たれなくなり、網パターン(網点構造ともいう)54が発生する。従って、最高濃度下限許容値DLは、表面・裏面記録画像51,52の最高濃度領域に網パターン54が発生しない下限値を下回ることはない。
最高濃度下限許容値DLは、プリンタ10の機種ごとあるいは製品ごとに予め実験やシミュレーション等で算出された値が演算パラメータ保管部35に記憶される。また、プリンタ10にて図3に示したような濃度を変えたパッチを表裏面11a,11bに記録した後、ユーザがパッチの像構造を見てパッチに対応する数字を入力することで、最高濃度下限許容値DLを設定してもよい。
なお、CMYKの各色の最高濃度下限許容値DLは、記録紙11の種類や印刷条件ごとにそれぞれ求めてもよいが、本実施形態では共通の最高濃度下限許容値DLを用いる。
<目標値決定処理に係る構成>
図2に戻って、目標値決定部36は、表面・裏面インクジェットヘッド12,14がそれぞれ記録する表面・裏面記録画像のCMYKの各色の濃度の目標値Tを決定する。これら各色の目標値Tは、後述の濃度補正値算出部38による各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42の生成に用いられる。目標値決定部36には、代表値算出部56と比較部57とが設けられている。なお、各色の目標値Tを決定する処理は全て同じであるので、ここではC色の目標値Tを決定する処理を代表例として説明を行う。
代表値算出部56は、濃度値保管部34に記憶されている濃度値46a,46bに基づき、表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19の個別のC色の最高濃度(最高濃度パッチ45の濃度)のばらつきを示す最高濃度ばらつき幅の下限の代表値を算出する。
最初に、代表値算出部56は、表面側・裏面側キャリブチャートパターン18,19の記録時の記録紙11の種類及び印刷条件を示すプリンタ情報をプリンタ制御部20から取得する。そして、代表値算出部56は、濃度値保管部34内のプリンタ情報に対応するフォルダ内に格納されている濃度値46a,46bをそれぞれ取得する。例えばプリンタ情報が「記録紙1」かつ「印刷条件1」である場合に、代表値算出部56は「表面−記録紙1−印刷条件」フォルダ内の全ての濃度値46aを取得するとともに、「裏面−記録紙1−印刷条件」フォルダ内の全ての濃度値46bを取得する。
次いで、図6に示すように、代表値算出部56は、濃度値保管部34から取得した各濃度値46aのうちのC色の最高濃度パッチ45の濃度測定結果を統計処理することにより、C色の表面最高濃度ばらつき幅Waの下限の代表値Laを求める。具体的には、各最高濃度パッチ45の濃度測定結果の最小値を代表値Laとして求める。ここで、図6の横軸は、各濃度値46a,46bの測定時間であるが、例えば、各濃度値46a,46bの番号(濃度値1、濃度値2、濃度値3、・・・)であってもよい。また、図6では、最高濃度値がサインカーブ(コサインカーブ)状に変動しているが、これは例示である。
なお、最小値を求める代わりに他の統計処理の方法として、各最高濃度パッチ45の濃度測定結果の標準偏差値σに基づき3σ値を求めて、この3σ値で代表値Laを定義(例えば、濃度測定結果の平均値から−3σ離れた値)してもよい。あるいは、上述の濃度測定結果の最小値に予め定めた係数を乗じた値を代表値Laとしてもよい。
また、代表値算出部56は、濃度値保管部34から取得した各濃度値46bのうちのC色の最高濃度パッチ45の濃度測定結果を統計処理することにより、C色の裏面最高濃度ばらつき幅Wbの下限の代表値Lbを算出する。なお、統計処理の方法は、代表値Laを求める際の方法と同じであるので、具体的な説明は省略する。
代表値La,Lbを算出することで、表面・裏面記録画像51,52において確実な色再現が得られるC色の最高濃度(最高濃度領域の濃度)の大きさを判別することができる。例えば、C色の最高濃度を代表値Lbに設定した場合には、表面・裏面記録画像51,52のC色の最高濃度領域において目標の色再現が得られる。一方で、C色の最高濃度を代表値Lbよりも高いDxに設定した場合には、裏面記録画像52のC色の最高濃度領域において目標の色再現が得られない場合(図中の斜線部で表示)がある。なお、表面・裏面記録画像51,52の最高濃度領域において目標の色再現が得られれば、最濃度領域以外の他の領域についても目標値の色再現が得られるので、代表値算出部56は表面・裏面最高濃度ばらつき幅Wa,Wbの代表値La,Lbの算出のみを行う。
図7に示すように、比較部57は、代表値算出部56によるC色の代表値La,Lbの算出結果と、演算パラメータ保管部35に記憶されているC色の最高濃度下限許容値DLとを比較して、C色の目標値Tを決定する。なお、図中の横軸の入力信号は、画像信号(画像データが定義された例えば8ビット信号である)。
具体的に比較部57は、代表値Laと代表値Lbとを比較して、最小の代表値である最小代表値を決定する。本実施形態では代表値Laが代表値Lbよりも高くなるものとして、代表値Lbが最小代表値として決定された場合について説明を行う。そして、比較部57は、最小代表値Lbと最高濃度下限許容値DLと比較して、Lb≧DLとなる場合には最小代表値Lbに基づきC色の目標値Tを決定する。この目標値Tは、入力信号(画像信号)の最大値が最小代表値Lbとなるように決定される。すなわち、目標値Tの最大濃度値Dmaxが最小代表値Lbに設定される。
一方、図8に示すように、比較部57は、Lb<DLとなる場合には、最小代表値Lbを目標値Tとして設定すると図5に示したように像構造品質が保たれないので、最高濃度下限許容値DLに基づきC色の目標値Tを決定する。この場合に目標値Tは、入力信号(画像信号)の最大値が最高濃度下限許容値DLとなるように決定される。すなわち、目標値Tの最大濃度値Dmaxが最高濃度下限許容値DLに設定される。
以下同様にして、代表値算出部56は、C色以外の他のMYKの各色の表面・裏面最高濃度ばらつき幅Wa,Wbを算出する。また、比較部57は、MYKの各色の表面・裏面最高濃度ばらつき幅Wa,Wbと、MYKの各色の最高濃度下限許容値DLとに基づき、MYKの各色の目標値Tを決定する。そして、比較部57は、CMYKの各色の目標値Tを目標値保管部37(図2参照)へ送る。
図2に戻って、目標値保管部37は、目標値決定部36から入力されるCMYKの各色の目標値Tを記憶する。
<濃度補正処理に係る構成>
濃度補正値算出部38は、目標値保管部37に新たに格納されたCMYKの各色の目標値Tと、測色器制御部33から入力される表面・裏面濃度値46a,46bとに基づき、CMYKの各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42をそれぞれ生成する。なお、各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42を決定する処理は全て同じであるので、ここでは、C色の表面・裏面濃度補正LUT41,42を決定する処理を代表例として説明する。
図9(A)に示すように、濃度補正値算出部38は、表面濃度値46aに含まれるC色の各パッチ45の濃度測定値と、C色の目標値Tとを比較して、各パッチ45の濃度測定値をそれぞれ対応する目標値Tに補正するための補正値を求める。これにより、図9(B)に示すように、濃度補正値算出部38は、C色の表面画像データ27(入力信号)と、目標値Tに合わせて濃度補正されたC色の表面画像データ27(出力信号)との関係を1対1で定めた表面濃度補正LUT(濃度補正値)41を算出することができる。例えば表面画像データ27が8ビットの画像信号である場合には、表面濃度補正LUT41では8ビットのin/outの関係が定められる。
また、濃度補正値算出部38は、裏面濃度値46bに含まれるC色の各パッチ45の濃度測定値と、C色の目標値Tとを比較して、各パッチ45の濃度測定値をそれぞれC色の目標値Tに補正するための補正値を求める。これにより、濃度補正値算出部38は、C色の裏面画像データ28(入力信号)と、目標値Tに合わせて濃度補正されたC色の裏面画像データ28(出力信号)との関係を1対1で定めた裏面濃度補正LUT(濃度補正値)42を算出することができる。なお、LUTの代わりに、入力信号と出力信号との関係を定めた関数等を用いてもよい。
以下同様にして、濃度補正値算出部38は、C色以外の他のMYKの各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42を算出する。そして、濃度補正値算出部38は、CMYKの各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42をLUT保管部39(図2参照)に出力する。
図2に戻って、LUT保管部39は、濃度補正値算出部38から入力された表面・裏面濃度補正LUT41,42を記憶する。濃度補正部30は、LUT保管部39から取得した各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42を用いて、画像メモリ23から読み出した表面画像データ27及び裏面画像データ28に対してそれぞれ濃度補正処理を施す。
[インクジェットプリンタの作用]
次に、上記構成のプリンタ10の作用について説明を行う。このプリンタ10では、濃度値測定処理、目標値決定処理、濃度補正LUT生成処理、画像記録処理に分けて実行する。なお、これら各処理は基本的には異なる時期に実行される。
<濃度値測定処理>
図10に示すように、プリンタ10の電源ON時、表面・裏面濃度補正LUT41,42の生成時、所定枚数の画像記録実行時、ユーザから濃度測定指示を受けた時などの所定のタイミングで、プリンタ制御部20は、濃度値測定処理を開始する。
プリンタ制御部20の制御の下、濃度補正部30が画像メモリ23からキャリブチャートパターンデータ29を取得する(ステップS1)。このキャリブチャートパターンデータ29は、濃度補正部30やハーフトーン処理部にて濃度補正処理やハーフトーン処理が施された後でヘッドドライバ31へ出力される。そして、プリンタ制御部20の制御の下、ドラムローラ13,15により記録紙11を搬送しつつ、キャリブチャートパターンデータ29に基づき表面・裏面インクジェットヘッド12,14がそれぞれ表面11a,裏面11bにCMYKの各色のインク滴を打滴する。これにより、表裏面11a,11bに表面・裏面側キャリブチャートパターン18,19がそれぞれ記録される(ステップS2、テストチャート記録ステップ)。
表面・裏面側キャリブチャートパターン18,19の記録後、測色器制御部33は、既知の記録紙11の搬送速度情報に基づき表面・裏面側キャリブチャートパターン18,19をトラッキングする。そして、測色器制御部33は、表面・裏面側キャリブチャートパターン18,19がそれぞれ表面測色器16、裏面測色器17を通過するタイミングに合わせて各測色器16,17による濃度測定を実行させる(ステップS3、濃度測定ステップ)。これにより、測色器制御部33は、表面濃度値46aと裏面濃度値46bをそれぞれ取得する。そして、測色器制御部33は、表面・裏面濃度値46a,46bを濃度値保管部34に送る。
濃度値保管部34は、プリンタ制御部20から取得したプリンタ情報に基づき、表面・裏面濃度値46a,46bをそれぞれ表裏面11a,11b(各インクジェットヘッド12,14)、記録紙11の種類、印刷条件等に対応したフォルダ内に記憶させる(ステップS4、測定結果記憶ステップ)。これにより、表面・裏面濃度値46a,46bが、表裏面11a、記録紙11の種類、印刷条件をそれぞれ識別可能な状態で濃度値保管部34内に記憶される。
以上で1回分の濃度値測定処理が完了する。プリンタ制御部20は、表面・裏面濃度補正LUT41,42の生成時、所定枚数の画像記録実行時、ユーザから濃度測定指示を受けた時などの所定のタイミングで、再度、プリンタ10の各部を制御して前述のステップS1からステップS4までの処理を繰り返し実行させる(ステップS5)。これにより、新たな表面・裏面濃度値46a,46bが濃度値保管部34内に記憶される。以下、プリンタ10の電源がOFFされるなどの濃度測定処理が終了するまでの間、濃度値測定処理が繰り返し実行される(ステップS6)。これにより、表面・裏面濃度値46a,46bが表裏面11a、記録紙11の種類、印刷条件をそれぞれ識別可能な状態で累積的に記憶される。
<目標値決定処理>
図11に示すように、プリンタ制御部20は、複数回分あるいは数日分の表面・裏面濃度値46a,46bが濃度値保管部34内に蓄積された後、あるいはユーザから目標値決定指示を受けた時などの所定のタイミングで目標値決定処理を開始する。最初に、プリンタ制御部20は、プリンタ情報(記録紙11の種類、印刷条件)を目標値決定部36に出力するとともに、この目標値決定部36に対して目標値Tの作成指示を行う(ステップS8)。なお、プリンタ制御部20は、プリンタ情報についてはユーザに入力設定操作を求めてもよい。
目標値決定部36は、プリンタ制御部20からの指示を受けて代表値算出部56と比較部57とを作動させる。代表値算出部56は、プリンタ制御部20から取得したプリンタ情報に基づき、濃度値保管部34内のプリンタ情報(記録紙11の種類、印刷条件)に対応するフォルダ内に格納されている全ての表面・裏面濃度値46a,46bをそれぞれ取得する(ステップS9)。
次いで、代表値算出部56は、各表面濃度値46aの各色(CMYK)の最高濃度パッチ45の濃度測定結果を統計処理して、表面最高濃度ばらつき幅Waの下限の代表値LaをCMYKの色毎に算出する。具体的に、比較部57は、CMYKの色毎に最高濃度パッチ45の濃度測定結果の最小値をそれぞれ求め、各色の最小値をそれぞれ各色の代表値Laとする(ステップS10の(1))。あるいは、比較部57は、CMYKの色毎に最高濃度パッチ45の濃度測定結果の標準偏差値σをそれぞれ算出し、各色の3σ値に基づきそれぞれ各色の代表値Laを決定する(ステップS10の(2))。あるいは、比較部57は、前述のCMYKの各色の最小値にそれぞれ係数を乗じた値を各色の代表値Laとする(ステップS10の(3))。
また、代表値算出部56は、前述の代表値Laの算出と同様に、各裏面濃度値46bの各色の最高濃度パッチ45の濃度測定結果を統計処理して、裏面最高濃度ばらつき幅Wbの下限の代表値LbをCMYKの色毎に算出する(ステップS10)。プリンタ情報(記録紙11の種類、印刷条件等)に対応した表面・裏面濃度値46a,46bに基づき各色の表面・裏面最高濃度ばらつき幅Wa,Wbの代表値La、Lbを算出するので、プリンタ情報に対応した代表値La、Lbを正確に算出することができる。その結果、より正確な濃度のばらつきを加味した濃度補正を行うことができる。代表値算出部56は、各色の代表値La、Lbの算出結果を比較部57へ出力する。
比較部57は、代表値算出部56から各色の表面・裏面最高濃度ばらつき幅Wa,Wbの算出結果を取得するとともに、演算パラメータ保管部35から各色の最高濃度下限許容値DLを取得する(ステップS11)。
次いで、比較部57は、CMYKの各色の代表値Laと代表値Lbとをそれぞれ比較して各最高濃度ばらつき幅Wa,Wbの最小代表値をそれぞれ色毎に決定する(ステップS12)。ここでは、全ての色で代表値Lbが最小代表値として決定された場合について説明を行う。そして、比較部57は、CMYKの各色の最小代表値Lbと各色の最高濃度下限許容値DLとをそれぞれ比較して、前述の図7に示したように、Lb≧DLを満たす色の最小代表値Lbをその色の目標値Tとして決定する(ステップS13でYES、ステップS14、目標値決定ステップ)。
このようにLb≧DLを満たす場合には、最小代表値Lbを目標値Tに決定することで、前述の図6に示したように表面・裏面記録画像51,52の最高濃度領域において目標の色再現が得られる。また、プリンタ10としては目標値Tを高くして表面・裏面記録画像51,52の濃度を高くした方が見た目も鮮やかになる。このため、本実施形態のように、目標値Tを最高濃度下限許容値DLよりも可能な範囲内で高く設定することで、目標値Tを最高濃度下限許容値DLに設定した場合と比較して、鮮やかな表面・裏面記録画像51,52が得られる。
一方、比較部57は、Lb<DLとなる色についてはその色の最高濃度下限許容値DLを目標値Tとして決定する(ステップS13でNO、ステップS15、目標値決定ステップ)。目標値Tが最高濃度下限許容値DLを下回ると前述の図5に示したように像構造品質が保たれずに網パターン54が発生してしまう。このため、Lb<DLとなる場合には像構造品質を優先して最高濃度下限許容値DLを目標値Tとすることで、表面・裏面記録画像51,52の少なくとも像構造品質を保つことができる。
比較部57は、CMYKの各色の目標値Tを目標値保管部37へ送る。各色の目標値Tは、目標値保管部37に記憶される(ステップS16)。以上で目標値決定処理が完了する。
<濃度補正LUT生成処理>
図12に示すように、プリント制御部20は、画像記録前などの目標値決定処理とは異なるタイミング(同じであってもよい)で、プリンタ10の各部を制御して濃度補正LUT生成処理を開始させる。最初に、前述のステップS1からステップS3で説明した濃度値測定処理が開始される。これにより、キャリブチャートパターンデータ29の取得(ステップS18)、表面・裏面側キャリブチャートパターン18,19の記録(ステップS19)、各測色器16,17による濃度測定(ステップS20)が順番に実行される。これにより、測色器制御部33は、表面濃度値46aと裏面濃度値46bをそれぞれ取得する。そして、測色器制御部33は、表面・裏面濃度値46a,46bを濃度値保管部34及び濃度補正値算出部38へそれぞれ送る(ステップS21)。濃度値保管部34は、新たな表面・裏面濃度値46a,46bを記憶する。
濃度補正値算出部38は、目標値保管部37からプリンタ情報(記録紙11の種類、印刷条件等)に対応した最新のCMYKの各色の目標値Tを取得する(ステップS22)。次いで、濃度補正値算出部38は、図9に示したように、各色の目標値Tと、表面・裏面濃度値46a,46bとに基づき、CMYKの各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42をそれぞれ算出する(ステップS23、濃度補正値算出ステップ)。そして、濃度補正値算出部38は、各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42をLUT保管部39へ送る。LUT保管部39は、各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42を記憶する(ステップS24)。以上で濃度補正LUT生成処理が完了する。
<画像記録処理>
図13に示すように、プリント制御部20は、図示しない操作部等で印刷開始操作がなされるとプリンタ10の各部を制御して画像記録処理を開始する。最初に、プリンタ制御部20は、プリンタ情報(記録紙11の種類、印刷条件)を濃度補正部30に出力するとともに、濃度補正部30及びヘッドドライバ31に対して印刷指示を行う(ステップS26)。
プリンタ制御部20からの指示を受けて、濃度補正部30は、画像メモリ23から表面画像データ27及び裏面画像データ28をそれぞれ取得する(ステップS27)。また、濃度補正部30は、プリンタ情報に対応したCMYKの各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42をLUT保管部39から取得する。次いで、濃度補正部30は、各色の表面・裏面濃度補正LUT41,42を用いて、表面画像データ27及び裏面画像データ28に対してそれぞれ濃度補正処理を施す(ステップS29、濃度補正ステップ)。濃度補正処理後の表面画像データ27及び裏面画像データ28は、ハーフトーン処理が施された後、ヘッドドライバ31へ出力される。
プリンタ制御部20の制御の下、ドラムローラ13,15により記録紙11を搬送しつつ、各インクジェットヘッド12,14によりCMYKの各色のインク滴を打滴する。これにより、表裏面11a,11bにそれぞれ表面画像データ27に基づく表面記録画像51、裏面画像データ28に基づく裏面記録画像52が記録される(ステップS30,S31)。
他の表面・裏面画像データ27,28に基づき再度印刷を行う場合には(ステップS32でYES)、上述の各ステップS26からステップS31までの処理が繰り返し実行される。
以下、プリンタ10での印刷が終了するまで上述の各ステップの処理が繰り返し実行される。目標値Tを決める際に、記録画像(プリント)の濃度値のばらつきを考慮した濃度値を設定することができる。また、プリンタ10でキャリブレーションを行った運用(図10の濃度値測定処理)を一定期間行ったのちに目標値Tを更新する場合は、蓄積してきた過去の濃度値情報から濃度ばらつきを把握することで、より正確な目標値Tを設定することが可能になる。
なお、上記実施形態では、目標値決定処理と濃度補正LUT生成処理とが異なるタイミングで実施されており、目標値Tはいったん決定されたら一定期間が経過するまで更新されないが、例えば、濃度補正LUT生成処理のタイミングに合わせて目標値Tの更新を行ってもよい。
<インクジェットプリンタの作用効果>
このように本実施形態では、表面・裏面最高濃度のばらつきと最高濃度下限許容値DLとを比較した結果に基づき、表面・裏面インクジェットヘッド12,14がそれぞれ記録する表面・裏面記録画像51,52の各色(CMYK)の濃度の目標値Tを決定している。これにより、少なくとも表面・裏面記録画像51,52の像構造品質を確保した上で、表面・裏面記録画像51,52の最高濃度領域付近で目標の色再現が得られる、すなわち、最高濃度領域付近での色の濃度を合わせることができる。
<目標値決定処理の別実施形態>
上記実施形態では、表面・裏面最高濃度のばらつきと最高濃度下限許容値DLとを比較した結果に基づき目標値Tを決定している(図11参照)。これに対して、例えば、図14に示すように、表面・裏面最高濃度のばらつきを考慮せずに(図11のステップS8〜S10、S12〜S14を省略)、最高濃度下限許容値DLに基づき基づき目標値Tを決定してもよい。この場合には、目標値Tが低く設定されるので上記実施形態よりも色再現性は狭くなるが、上記実施形態よりも簡単かつ短時間で目標値Tを決定することができる。また、少なくとも表面・裏面記録画像51,52の像構造品質を確保した上で、表面・裏面記録画像51,52の最高濃度領域付近での色の濃度を合わせることができる。
<インクジェットヘッドの構造>
次に、図15を用いてCMYKの各色の表面・裏面インクジェットヘッド12,14の構造について、各ヘッド172M、172K、172C、172Yを例に挙げて説明を行う。なお、各ヘッド172M、172K、172C、172Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってインクジェットヘッド(ヘッド250)を示すものとする。
図15(a)に示したように、本例のヘッド250は、インク吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)253をマトリクス状に二次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(主走査方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙11の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録紙11の記録領域の全幅に対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は、本例に限定されない。例えば、複数のノズル251が二次元に配列された短尺のヘッドモジュール(図示は省略)を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙11の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成する態様や、ヘッドモジュールを一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル251への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図16に示すように、ヘッド250は、ノズル251が形成されたノズルプレート251Aと、圧力室252や共通流路255等の流路が形成された流路板252P等を積層接合した構造から成る。
流路板252Pは、圧力室252の側壁部を構成するとともに、共通流路255から圧力室252にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口254を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図16では簡略的に図示しているが、流路板252Pは一枚又は複数の基板を積層した構造である。
ノズルプレート251A及び流路板252Pは、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
共通流路255はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に供給される。
圧力室252の一部の面(図16において天面)を構成する振動板256には、個別電極257を備えた圧電アクチュエータ258が接合されている。本例の振動板256は、圧電アクチュエータ258の下部電極に相当する共通電極259として機能するニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)から成り、各圧力室252に対応して配置される圧電アクチュエータ258の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
個別電極257に駆動電圧を印加することによって圧電アクチュエータ258が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、圧電アクチュエータ258が元の状態に戻る際、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
かかる構造を有するインク室ユニット253を図15(b)に示す如く、主走査方向に
沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル251が一定のピッチP=Ls/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
ノズル251の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。例えば、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
[その他]
上記実施形態では、両面印刷を行うプリンタ10について説明をしたが、複数のインクジェットヘッドにより記録紙の同一記録面上の異なる領域に画像を記録する各種のインクジェットプリンタにも本発明を適用することができる。なお、インクジェットヘッドが3個以上設けられている場合にも本発明を適用することができる。
上記実施形態のインクジェットヘッドはCMYKの4色の記録を行うが、記録する色は特に限定はされない。さらに、記録紙11の搬送方式も図1に示した実施形態に限定されるものでなく、公知の各種搬送方式を採用することができる。さらに、固定されたインクジェットヘッドに対して記録紙を移動させる代わりに、記録紙に対してインクジェットヘッドを移動させるシャトルヘッドタイプのインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタにも本発明を適用することができる。
上記各実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェットプリンタへの適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェットプリンタに広く適用できる。
上記各実施形態では、本発明の画像記録装置としてインクジェットプリンタを例に説明したが、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッド(画像記録部)を複数備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録ヘッド(画像記録部)を複数備えたLED電子写真プリンタなどの各種画像記録装置に本発明を適用することができる。
10,100…インクジェットプリンタ,11…記録紙,12…表面インクジェットヘッド,14…裏面インクジェットヘッド,16…表面測色器16,17…裏面測色器,20…プリンタ制御部,29…キャリブチャートパターンデータ,30…濃度補正部,34…濃度値保管部,35…演算パラメータ保管部,36…目標値決定部,38…濃度補正値算出部,DL…最高濃度下限許容値

Claims (9)

  1. 記録紙の異なる領域に画像を記録する複数の画像記録部と、
    前記記録紙と前記複数の画像記録部とを相対移動させる相対移動部と、
    前記複数の画像記録部及び前記相対移動部を制御して、前記複数の画像記録部により前記異なる領域にそれぞれテストチャートを記録させる記録制御部と、
    前記異なる領域に記録された各前記テストチャートの濃度を測定する濃度測定部と、
    前記複数の画像記録部により記録される画像の品質が保たれる濃度の代表値である濃度下限許容値を予め記憶した濃度下限許容値記憶部と、
    前記濃度測定部の測定結果を累積的に記憶する測定結果記憶部と、
    記濃度下限許容値記憶部に記憶された前記濃度下限許容値と、前記測定結果記憶部に記憶された測定結果とに基づき、前記複数の画像記録部が記録する画像の濃度の目標値を決定する目標値決定部であって、各前記テストチャートの個別の濃度のばらつきの下限の代表値をそれぞれ算出し、各前記代表値の中の最小代表値が前記濃度下限許容値以上となる場合に前記最小代表値を前記目標値として決定し、前記最小代表値が前記濃度下限許容値未満となる場合に当該濃度下限許容値を前記目標値として決定する目標値決定部と、
    前記目標値決定部が決定した前記目標値と、前記濃度測定部の測定結果とに基づき、前記複数の画像記録部が記録する画像の濃度を補正する濃度補正値を算出する濃度補正値算出部と、
    前記濃度補正値算出部が算出した前記濃度補正値に基づき、前記複数の画像記録部がそれぞれ記録する画像の濃度を補正する濃度補正部と、
    を備え、
    前記濃度下限許容値記憶部は、前記濃度下限許容値として、前記複数の画像記録部により記録される最高濃度の画像の品質が保たれる最高濃度下限許容値を記憶し、
    前記目標値決定部は、各前記テストチャートの最高濃度領域の個別の濃度のばらつきの下限の代表値をそれぞれ算出して、この算出結果と前記最高濃度下限許容値とに基づき前記目標値を決定する画像記録装置。
  2. 前記目標値決定部は、前記テストチャートの最高濃度領域の濃度の測定結果の最小値を当該テストチャートに対応する前記代表値として算出する請求項記載の画像記録装置。
  3. 前記目標値決定部は、前記テストチャートの最高濃度領域の濃度の測定結果の標準偏差値を求め、前記標準偏差値に基づき当該テストチャートに対応する前記代表値を算出する請求項記載の画像記録装置。
  4. 前記目標値決定部は、前記テストチャートの最高濃度領域の濃度の測定結果の最小値に予め定めた係数を乗じた値を当該テストチャートに対応する前記代表値として算出する請求項記載の画像記録装置。
  5. 前記測定結果記憶部は、前記濃度測定部の測定結果を、前記複数の記録部の種類、前記記録紙の種類、及び印刷条件をそれぞれ識別可能な状態で記憶し、
    前記目標値決定部は、前記複数の記録部の種類、前記記録紙の種類、及び印刷条件に対応した前記測定結果記憶部内の前記測定結果に基づき、前記テストチャートごとの前記代表値をそれぞれ算出する請求項からのいずれか1項記載の画像記録装置。
  6. 前記複数の画像記録部は、それぞれ複数色の画像を記録可能であり、
    前記記録制御部は、前記複数の画像記録部により前記異なる領域にそれぞれ複数色の前記テストチャートを記録させ、
    前記濃度測定部は、各前記テストチャートの濃度を色毎に測定し、
    前記濃度下限許容値記憶部は、前記最高濃度下限許容値を色毎に予め記憶し、
    前記目標値決定部は、各前記テストチャートの色毎の濃度測定結果に基づき各前記テストチャートの個別の前記代表値を色毎に算出して、各色の前記代表値と各色の前記最高濃度下限許容値とに基づいて前記目標値を色毎に決定し、
    前記濃度補正値算出部は、各色の目標値に基づき前記濃度補正値を色毎に算出し、
    前記濃度補正部は、各色の前記目標値に基づき、前記複数の画像記録部がそれぞれ記録する画像の濃度を色毎に補正する請求項からのいずれか1項記載の画像記録装置。
  7. 前記異なる領域は、前記記録紙の表面と裏面である請求項1からのいずれか1項記載の画像記録装置。
  8. 前記複数の画像記録部は、インクジェットヘッドである請求項1からのいずれか1項記載の画像記録装置。
  9. 記録紙の異なる領域に画像を記録する複数の画像記録部と、前記記録紙とを相対移動させながら、前記複数の画像記録部により前記異なる領域にそれぞれテストチャートを記録させるテストチャート記録ステップと、
    前記異なる領域に記録された各前記テストチャートの濃度を測定する濃度測定ステップと、
    前記濃度測定ステップの測定結果を累積的に測定結果記憶部に記憶させる測定結果記憶ステップと、
    記複数の画像記録部により記録される画像の品質が保たれる濃度の代表値である濃度下限許容値と、前記測定結果記憶部に記憶された測定結果とに基づき、前記複数の画像記録部が記録する画像の濃度の目標値を決定する目標値決定ステップであって、各前記テストチャートの個別の濃度のばらつきの下限の代表値をそれぞれ算出し、各前記代表値の中の最小代表値が前記濃度下限許容値以上となる場合に前記最小代表値を前記目標値として決定し、前記最小代表値が前記濃度下限許容値未満となる場合に当該濃度下限許容値を前記目標値として決定する目標値決定ステップと、
    前記目標値決定ステップで決定した前記目標値と、前記濃度測定ステップの測定結果とに基づき、前記複数の画像記録部が記録する画像の濃度を補正する濃度補正値を算出する濃度補正値算出ステップと、
    前記濃度補正値算出ステップで算出された前記濃度補正値に基づき、前記複数の画像記録部がそれぞれ記録する画像の濃度を補正する濃度補正ステップと、
    を有し、
    前記濃度下限許容値は、前記複数の画像記録部により記録される最高濃度の画像の品質が保たれる最高濃度下限許容値であり、
    前記目標値決定ステップは、各前記テストチャートの最高濃度領域の個別の濃度のばらつきの下限の代表値をそれぞれ算出して、この算出結果と前記最高濃度下限許容値とに基づき前記目標値を決定する画像記録方法。
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