JP2007021807A - 画像処理方法及び装置並びに画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズル面と記録面の間の距離に応じて変化する打滴の着弾位置ずれによるスジムラを精度よく補正することができる画像処理方法及び装置、並びにこれを用いた画像記録装置を提供する。
【解決手段】複数の液滴吐出口(3)が形成された液体吐出ヘッド(1)の吐出面(2)と記録面(B)との間の距離(Yb)を把握し、当該距離(Yb)に基づいて記録面(B)上での着弾位置ずれ量(Xbi)を特定し、この特定した着弾位置ずれ量(Xbi)に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する。このとき、吐出面(2)から第1の距離(Ya)を隔てた第1の記録面(A)における着弾位置ずれ量(Xai)の情報を基にして、吐出面(2)から第2の距離(Yb)にある第2の記録面(B)における着弾位置ずれ量(Xbi)を求めることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の液滴吐出口(3)が形成された液体吐出ヘッド(1)の吐出面(2)と記録面(B)との間の距離(Yb)を把握し、当該距離(Yb)に基づいて記録面(B)上での着弾位置ずれ量(Xbi)を特定し、この特定した着弾位置ずれ量(Xbi)に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する。このとき、吐出面(2)から第1の距離(Ya)を隔てた第1の記録面(A)における着弾位置ずれ量(Xai)の情報を基にして、吐出面(2)から第2の距離(Yb)にある第2の記録面(B)における着弾位置ずれ量(Xbi)を求めることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は画像処理方法及び装置並びに画像記録装置に係り、特に複数の液滴吐出口(ノズル)を有する記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置における打滴の着弾位置ばらつきによるスジムラの発生を抑制するのに好適な画像処理技術、並びにこれを用いた画像記録装置に関する。
インクジェット記録装置では、ノズルから吐出されるインクの着弾位置が所望の位置からずれることにより、記録画像にスジムラ(スジ状の濃度ムラ)が発生し、画質の劣化が生じる。とりわけ、1回の走査で画像記録を行うラインヘッド方式(Full Width Array)の記録では、ノズル固有の着弾位置ずれによるスジムラは顕著となり大きな問題となる。
この着弾位置ずれの主たる要因は、ノズル近傍の撥水膜の劣化や傷、ノズル近傍へのインクミストやゴミの付着による打滴の斜め方向飛翔である。したがって、ノズルと媒体面(記録面)の距離が変化すると、打滴の着弾位置が変化し、スジムラの程度が変わってしまう。図18の表は、ノズル−媒体間距離と着弾位置ずれ量の関係を例示したものであり、斜め飛翔角度が1度の場合(正常な飛翔方向に対して1度ずれた場合)と、2度の場合の例が示されている。図示のように、着弾位置ずれ量は、ノズル−媒体間距離と斜め飛翔角度とに応じて変化する。なお、ノズル−媒体間距離は、媒体の厚みなどによって変化する。
特許文献1は、記録材の厚み(すなわち、ノズル−媒体間の距離)により、着弾位置のばらつきが縮小されたり、拡大されたりして画質のばらつきが発生することを課題とし、その解決手段として、媒体の厚みに応じてノズル面と媒体間の距離を一定に保つよう距離の制御手段を設けている。
特許文献2は、スジムラの視認性を低下させる手段として、打滴の飛翔方向を制御する飛翔偏向手段を具備し、ノズル面と媒体間の距離に応じて偏向量を可変する構成を開示している。
特開平2−86457号公報
特開2004−188956号公報
しかしながら、特許文献1で提案されている構成は、メカ的な距離の制御機構を必要とし、高コストである。また、特許文献2で提案されている構成は、飛翔偏向手段として、1ノズルに2つの駆動素子(サーマル素子)を設ける必要があるために、その分コストがかかる。
更にまた、スジムラの補正を行うためには、着弾位置ずれ状態を測定することが必要であるが、図18の表からも明らかなように、そのずれ量は、およそ数μm〜20μmの範囲で変化する。したがって、このμmオーダーのずれ量を精度よく測定することも要求される。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ノズル面と記録面の間の距離に応じて変化する打滴の斜め飛翔による着弾位置ずれを精度よく補正することができる画像処理方法及び装置、並びにこれを用いた画像記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る画像処理方法は、複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面と、前記液滴吐出口から吐出される液体が着弾する記録面との間の距離を把握し、前記距離に基づいて前記記録面上での前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量を特定し、前記特定した着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成することを特徴とする。
本発明によれば、液体吐出ヘッドの吐出面と記録面との間の距離に応じて変化する着弾位置ずれ(例えば、打滴の斜め飛翔による着弾位置ずれ)を、その距離との相関に基づいて特定し、特定した着弾位置ずれ量に基づいて、当該着弾位置ずれに起因するスジムラの発生を抑える観点から画像データの補正を行い、中間階調処理(ハーフトーニング処理)を経て打滴配置(ドット配置)データを得る。これにより、吐出面と記録面との間の距離の変化に伴う着弾位置ずれに対して適応的に対応した高精度の補正が可能であり、着弾位置ずれに起因するスジムラの視認性を低減し得る打滴配置を実現することができる。
本発明は、打滴配置を決定する際の画像信号処理の段階で着弾位置ずれを考慮した補正が行われるため、特許文献1,2に開示の技術と比較して、メカ的な制御機構や飛翔偏向用の駆動素子の追加などが不要であり、比較的低コストで補正効果を得ることができる。
請求項2に係る画像処理方法は、複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面から第1の距離にある第1の記録面上で測定される前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量の情報を取得する第1の着弾位置誤差情報取得工程と、前記吐出面から前記第1の距離とは異なる第2の距離にある第2の記録面について、前記第2の距離の情報を取得する第2の距離情報取得工程と、前記第1及び第2の距離と前記第1の記録面上で測定された前記着弾位置ずれ量に基づいて、前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量を求める第2の着弾位置誤差演算工程と、前記第2の着弾位置ずれ量演算工程で求めた前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する打滴配置決定工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、吐出面から第1の距離を隔てた第1の記録面における着弾位置ずれ量の情報を基にして、吐出面から第2の距離にある第2の記録面における着弾位置ずれ量を推定(計算により算出)することができる。この第2の着弾位置誤差演算工程では、吐出面−記録面間の距離と着弾位置ずれ量の相関を示す関数を用いてもよいし、ルックアップテーブルなどを用いてもよい。このため、第2の記録面については着弾位置ずれ量の測定(実測)が不要となる。すなわち、本発明によれば、吐出面からの距離が異なる複数種の記録面について、記録面ごとに着弾位置ずれ量を毎回測定する必要がなく、基準となる第1の距離にある第1の記録面における着弾位置ずれ量を測定した後は、対象とする記録面と吐出面の距離を特定するだけで、当該記録面における着弾位置ずれを求めることができ、多様な記録面に対して容易に高精度の補正を実現できる。また、測定用のテストプリントを省略でき、無駄な記録媒体の消費を抑制できる。なお、第2の記録面における着弾位置ずれ量の推定(第2の着弾位置誤差演算工程)に際しては、吐出面−記録面間の距離と着弾位置ずれ量との相関を示す関数(或いは演算式)を用いてもよいし、ルックアップテーブルなどを用いてもよい。
請求項3に係る発明は、請求項2記載の画像処理方法の一態様であり、前記第1の距離は、前記第2の距離よりも長いことを特徴とする。
打滴の斜め飛翔による着弾位置のずれ量(記録面上での理想の着弾位置からの誤差)は、吐出面と記録面間の距離(飛翔距離)が長いほど大きくなるので、飛翔距離の長い第1の距離における第1の記録面上での着弾位置ずれ量を測定することにより、ずれ量の測定が容易となり、ずれ量測定手段に要求される精度を下げることができる。
請求項4に係る発明は、前記目的を達成する画像処理装置を提供する。すなわち、請求項4に係る画像処理装置は、複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面と、前記液滴吐出口から吐出される液体が着弾する記録面との距離を特定する距離特定手段と、前記距離に基づいて前記記録面上での前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量を求める着弾位置誤差演算手段と、前記着弾位置誤差演算手段によって求めた着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する打滴配置決定手段と、を備えたことを特徴とする。
吐出面と記録面間の距離を特定する手段(距離特定手段)としては、実際にその距離を測定する測定手段を用いてもよいし、使用される記録媒体の厚みの情報を獲得する手段を用いてもよい。なお、記録媒体の厚みの情報を獲得する手段としては、実際に厚みを測定する手段の他、ユーザインターフェースを利用して厚み情報を入力する態様、記録媒体を収容している容器(マガジン、カセットなど)に付した情報記録部から読み取る態様などがあり得る。
請求項5に係る画像処理装置は、複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面から第1の距離にある第1の記録面上で測定される前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量の情報を取得する第1の着弾位置誤差情報取得手段と、前記吐出面から前記第1の距離とは異なる第2の距離にある第2の記録面について、前記第2の距離の情報を取得する第2の距離情報取得手段と、前記第1及び第2の距離と前記第1の記録面上で測定された前記着弾位置ずれ量に基づいて、前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量を求める第2の着弾位置誤差演算手段と、前記第2の着弾位置誤差演算手段で求めた前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する打滴配置決定手段と、を備えたことを特徴とする。
第1の距離にある第1の記録面上における着弾位置ずれ量の情報を取得する手段(第1の着弾位置誤差情報取得手段)は、予め測定しておいた着弾位置ずれ量に関する情報をメモリ等の記憶手段に格納しておき、必要な情報を読み出すことによって情報を取得してもよいし、実際にテストパターン等を印字してその印字結果を読み取り、解析処理を行って着弾位置ずれ量の情報を取得してもよい。着弾位置のずれ量が状況によって変化することに鑑み、適宜のタイミングで情報を更新する態様が好ましい。
第2の距離の情報を取得する手段(第2の距離情報取得手段)としては、実際にその距離を測定する測定手段を用いてもよいし、使用される記録媒体の厚みの情報を獲得する手段を用いてもよい。なお、記録媒体の厚みの情報を獲得する手段としては、実際に厚みを測定する手段の他、ユーザインターフェースを利用して厚み情報を入力する態様、記録媒体を収容している容器(マガジン、カセットなど)に付した情報記録部から読み取る態様などがあり得る。
請求項6に係る発明は、請求項4又は5記載の画像処理装置の一態様であり、前記打滴配置決定手段は、前記複数の液滴吐出口のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の液滴吐出口を設定する補正範囲設定手段と、前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置誤差に起因する濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を含む補正条件に基づいて前記N個の液滴吐出口から吐出される液滴の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、を含むことを特徴とする。
記録画像における濃度の不均一性(濃度ムラ)は、空間周波数特性(パワースペクトル)での強度で表すことができるが、人間の視覚では高周波成分を視認できないため、濃度ムラの視認性はパワースペクトルの低周波成分で評価できる。濃度補正係数を用いた補正後のパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を用いて濃度補正係数を決めるようにしたことで、周波数原点でのパワースペクトルの強度が最小となり、原点付近(すなわち、低周波領域)のパワースペクトルを小さく抑えることができる。これにより、精度のよいムラ補正を実現できる。
また、請求項6に係る発明の一態様によれば、前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることを特徴とする。
N個の補正ノズルについてそれぞれ濃度補正係数を求める場合、未知数はN個あるため、直流(DC)成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件を用いることで、N本の方程式を得て、これを解くことにより、全ての未知数を決定することができる。
また、より高次の微分係数が略0となる条件を満たすことにより、周波数原点からの周波数の増加に対してパワースペクトルの増加の程度が一層低く抑えられ、低周波成分の強度がより小さい値に保たれる。
濃度補正係数diについては、例えば、ノズル(液滴吐出口)の位置を特定するインデックスをiとし、ノズルiの記録位置をxiとするとき、ノズルiの濃度補正係数diは、次式
を用いて決定される。
濃度プロファイルの重心位置に注目して、プロファイルをδ関数で近似するδ関数型印字モデルを用いた数学的取り扱いによって濃度補正係数の計算式を得ることができる。なお、実際の装置への適用については、上記計算式〔数1〕で求めた厳密解をそのまま利用する態様に限定されず、厳密解に対して適宜の補正を行って実用的な値への修正を行ってもよい。
また、前記複数のノズルのうち、インデックスkで表されるノズルの持つ着弾位置誤差に対して、当該ノズルkを含む周囲N個の補正ノズルの範囲でそれぞれ濃度補正係数が求められ、ノズルkの持つ着弾位置誤差に対するノズルiの濃度補正係数をd(i,k)とするとき、ノズルiのトータルの濃度補正係数diは、kを変えて求めたd(i,k)の線形結合として求められることを特徴とする。
あるノズルiに対して複数のノズルの着弾位置誤差に対する濃度補正係数がそれぞれ独立的に求められ、当該ノズルiのトータルの濃度補正係数は、独立に算出された濃度補正係数の重ね合わせ(線形結合)として求められる。
このとき、全ての記録素子(全てのk)の着弾位置誤差を補正対象として、全てのd(i,k)の線形結合を求めてもよいし、所定の閾値を超える着弾位置誤差をもつノズルのみを補正対象とするなど、ある条件で選択された一部のインデックスkに係るd(i,k)の線形結合を求めてもよい。
請求項7に係る発明は前記目的を達成する画像記録装置を提供する。すなわち、請求項7に係る画像記録装置は、複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記液体吐出ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、前記液体吐出ヘッドの吐出面から第1の距離にある第1の記録面上で測定された前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量と前記第1の距離の情報を記憶しておく記憶手段と、前記吐出面から前記第1の距離とは異なる第2の距離にある第2の記録面について、前記第2の距離の情報を取得する第2の距離情報取得手段と、前記記憶手段に記憶されている前記第1の距離及び前記第1の記録面上における前記着弾位置ずれ量、並びに前記第2の距離情報取得手段で取得された前記第2の距離に基づいて、前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量を求める第2の着弾位置誤差演算手段と、前記第2の着弾位置誤差演算手段で求めた前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことで打滴配置データを生成する打滴配置決定手段と、前記打滴配置決定手段によって生成された打滴配置データに基づいて前記液滴吐出口からの吐出動作を制御する吐出制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る画像記録装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するノズル及び吐出圧を発生させる圧力発生手段(圧電素子や加熱素子など)を含む液滴吐出素子を複数配列させた液滴吐出素子列を有する液体吐出ヘッド(「記録ヘッド」に相当)と、画像データから生成された打滴配置データに基づいて記録ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、前記ノズルから吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成する。
記録ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズルを配列させたフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の記録ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。
「記録媒体」は、液体吐出ヘッド(記録ヘッド)から吐出される液が付着する媒体であり、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける。すなわち、「記録媒体」は、印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体、被吐出媒体など呼ばれ得るものであり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
「搬送手段」は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様のいずれをも含む。
インクジェットヘッドによって、カラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
また、本発明は、上記のフルライン型のヘッドに限らず、シャトルスキャン方式の記録ヘッド(記録媒体の搬送方向に略直交する方向に往復移動しながら打滴を行う記録ヘッド)についても適用可能である。
請求項8に係る発明は、請求項7記載の画像記録装置の一態様であり、前記第1の記録面上に所定のテストパターンを記録するように前記液体吐出ヘッドの吐出駆動を制御するテストパターン記録制御手段と、前記第1の記録面上に記録された前記テストパターンから着弾位置ずれ量を測定する測定手段と、を備え、前記測定手段で測定した着弾位置ずれ量の情報が前記記憶手段に記憶されることを特徴とする。
請求項8の態様によれば、予め記憶手段に記憶されている第1の距離の着弾位置ずれ量の情報を基にして、吐出面から第2の距離にある第1の記録面における着弾位置ずれ量を推定(計算により算出)することができるため、第2の記録面については着弾位置ずれ量の測定(実測)が不要となる。
請求項9に係る発明は、請求項7又は8記載の画像記録装置の一態様であり、前記第1の記録面は、前記記録媒体を搬送するための搬送ベルトの表面であることを特徴とする。
かかる態様によれば、テストプリント用の記録媒体が不要となり、記録媒体の消費を抑制できるという利点がある。また、搬送ベルト上に保持した記録媒体を第1の記録面とする場合と比較して、搬送ベルトを直に第1の記録面とする場合は、打滴の飛翔距離が長くなるため、斜め飛翔に起因する着弾位置ずれ量も大きくなり、ずれ量の測定が容易となる。
本発明によれば、液体吐出ヘッドの吐出面と記録面の間の距離に応じて変化する着弾位置ずれを非常に精度よく補正することができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔着弾位置ずれ量を把握する方法〕
まず、図1を用いて各ノズルの着弾位置ずれ量を把握する方法を説明する。図1において、符号1は記録ヘッド、2はインク吐出面(ノズル面)を表す。ここでは、1つのノズル3(i番目のノズル)に注目して、その着弾位置ずれを考察するが、記録ヘッド1のノズル面2には、複数のノズルが形成されている。また、図1中符号Aは測定の基準となる媒体の記録面(第1の記録面に相当)を示し、符号Bは記録しようとする媒体の記録面(第2の記録面に相当)を示す。
まず、図1を用いて各ノズルの着弾位置ずれ量を把握する方法を説明する。図1において、符号1は記録ヘッド、2はインク吐出面(ノズル面)を表す。ここでは、1つのノズル3(i番目のノズル)に注目して、その着弾位置ずれを考察するが、記録ヘッド1のノズル面2には、複数のノズルが形成されている。また、図1中符号Aは測定の基準となる媒体の記録面(第1の記録面に相当)を示し、符号Bは記録しようとする媒体の記録面(第2の記録面に相当)を示す。
テストパターンの印刷を実施する媒体Aとノズル面2間の距離(第1の距離に相当)をYaとし、媒体Aに対して所定のテスト印刷を行い、その印刷結果を測定する。i番目のノズル3の媒体Aに対する理想着弾位置をX0とし、ノズル3からの打滴の斜め飛翔によって生じる着弾位置のずれ量(理想着弾位置X0からの着弾位置誤差)をXaiとする。こうして、ノズル面2−媒体A間距離Yaと、着弾位置ずれ量Xaiの情報を得る。
実際に記録しようとする媒体Bとノズル面2間の距離(第2の距離に相当)をYbとすると(ただし、Yb<Ya)、媒体Bで予測される着弾位置ずれ量Xbiは、次式
[数2] Xbi=(Yb/Ya)×Xai
として求められる。
[数2] Xbi=(Yb/Ya)×Xai
として求められる。
このXbiに基づいて打滴配置の補正(詳細は後述)を行う。
着弾位置ずれの測定用テストパターンをプリントし、これを測定するタイミングとしては、例えば、記録ヘッドのメンテナンス動作後に実施する態様がある。メンテナンス動作では、ノズル3の吸引やノズル面2のワイピングによって、ノズル面2のインクミストやゴミが取り除かれるため、メンテナンス作業の前後で着弾位置ずれが大きく変化することがある。したがって、メンテナンス動作後に着弾位置ずれの測定を行う態様が好ましい。
ただし、必ずしも毎回のメンテナンス動作後の測定は必要とされない。ノズル近傍の撥水膜の劣化や傷による斜め飛翔は固定的な現象(時間による変動の少ない現象)であるため、これらが支配要因である場合は、装置の起動時、或いは1日〜1週間間隔程度で測定を実施する態様でもよい。なお、インクの特性や環境の影響によってノズル近傍へのインクミストやゴミの付着が顕著な場合は、測定頻度を上げることが好ましい。
着弾位置ずれ量の測定には、テストプリントの印字結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を具備する印字検出手段(例えば、CCDスキャナー)を用いる。印字検出手段にてテストパターンを読み取り、得られた画像信号を解析(処理)して、着弾位置ずれ量Xaiを求める。
テストパターン印字用の媒体Aは、にじみの程度が弱い媒体(例えば多孔質の受像層を有する媒体、インクジェット専用写真用紙など)とすることが好ましい。このような、媒体を用いることで、きれいなドット形状が媒体状で再現されるため、着弾位置ずれの測定精度が上がる。
或いはまた、記録媒体を保持・搬送するための搬送ベルト自体を媒体Aとして兼用する態様も可能である。すなわち、テストパターンを搬送ベルト上に直接プリントする態様も可能である。この場合、無駄な媒体が消費されないという利点があることに加え、次のような利点もある。搬送ベルト上にテストパターンをプリントする態様は、打滴の飛翔距離が最も長くなるため、斜め飛翔による着弾位置ずれ量も大きくなる(搬送ベルト上にテスト印刷用の媒体を載せる場合、媒体の厚み分だけ飛翔距離は短くなるので、何も載せない搬送ベルト上にプリントする場合にYaは最大となる)。したがって、印字検出部での着弾位置ずれ量の測定が容易となる。また、装置の所定位置に印字検出手段を取り付けた構成の場合、当該印字検出手段のセンサによる観察距離が固定値(センサ−ベルト間距離が固定値)になるため、印字検出手段における光学式センサの焦点深度は浅くてよい。
ノズル面−媒体間距離の測定には、例えば、パルスレーザによって距離測定を行う測距手段を用いることができる。また、媒体の厚み情報をユーザインターフェースから与えてもよい。この場合、更に、テストパターンを搬送ベルト上にプリントすればYaを固定値に設計できることから、距離の測定が不要となり(Yaと媒体の厚みからYbを計算できるため)、ノズル面−媒体間距離を測定するための測定手段(測定装置)を省略する装置構成も可能である。
〔処理フロー〕
図2は、画像処理の手順を示したフローチャートである。なお、処理の前提として、予めYaとXaiは過去に測定されていて、その情報はメモリ等の記憶手段に記憶されているものとする。
図2は、画像処理の手順を示したフローチャートである。なお、処理の前提として、予めYaとXaiは過去に測定されていて、その情報はメモリ等の記憶手段に記憶されているものとする。
図示のように、まず、印字しようとする媒体(プリント媒体)Bとノズル面間の距離Ybの情報を獲得する(ステップS11)。既述のとおり、レーザを利用した測距手段などによって実際に距離の測定を行うことでYbの情報を取得してもよいし、ユーザインターフェースから媒体Bの厚み情報を入力することで距離Ybの情報を与えてもよい。
次いで、注目するノズル番号を表すパラメータiの値を1に設定(初期化)する(ステップS12)。その後、ステップS13に進み、iの値が記録ヘッドの総ノズル数nを超えたか否かを判定する。
iの値がnを超えていない場合には、ステップS14に進み、媒体Bでの着弾位置ずれ量Xbiを、上述の〔数2〕で示した計算式に従って求める演算を行う。このとき、予め記憶されているYa、Xaiの情報が活用される。ステップS14で求めたXbiの情報はメモリ等の記憶手段に記憶(保存)される。その後、ステップS15で注目ノズル番号iの値を「1」増加させて(iの値をインクリメントして)から、ステップS13に戻る。
ステップS13〜S15の処理を繰り返し、全てのノズル(i=1〜n)について着弾位置ずれ量Xbiを計算する。全てのノズル(i=1〜n)について着弾位置ずれ量Xbiを計算し終えると、ステップS13の判定においてi>nとなり、ステップS16に進む。
ステップS16では、上記求めたXbi(i=1〜n)を用いて各ノズルの濃度補正係数di(i=1〜n)を求める。次いで、プリント対象の入力画像のデータを濃度補正係数di(i=1〜n)に基づいて補正し(ステップS17)、その補正後のデータを用いて中間階調処理(ハーフトーニング処理)を行い、打滴配置データを求める(ステップS18)。
こうして、求めた打滴配置データに基づいて記録ヘッドの各ノズルの吐出動作が制御される。
ここで、上記ステップS16〜S18の補正処理の一例について、以下に説明する。
〔打滴配置の補正原理〕
本実施形態による打滴配置の補正処理では、あるノズルが持つ着弾位置誤差(着弾位置ずれ)を補正する際に、そのノズルを含む周囲のノズルN本を用いて補正する。詳細は後述するが、補正に用いるノズル数Nが大きいほど、より補正精度が高くなる。
本実施形態による打滴配置の補正処理では、あるノズルが持つ着弾位置誤差(着弾位置ずれ)を補正する際に、そのノズルを含む周囲のノズルN本を用いて補正する。詳細は後述するが、補正に用いるノズル数Nが大きいほど、より補正精度が高くなる。
図3は補正前の様子を示す図である。同図は、ラインヘッド(記録ヘッドに相当)10の左から3番目のノズル(nzl3)が着弾位置誤差を持っており、理想的な着弾位置(原点O)から図上で右方向(X軸で示した主走査方向)に着弾位置がずれて着弾する。また、図3の下側に示したグラフは、ノズルからの打滴による印字濃度を被記録媒体搬送方向(副走査方向)に平均化して得られる、ノズル列方向(主走査方向)の濃度プロファイルを示したものである。ただし、図3ではノズルnzl3の印字に対する補正を考察するので、ノズルnzl3以外の濃度出力は図示を省略した。
各ノズルnzl1〜5の初期出力濃度をDi=Dini(ただし、iはノズル番号1〜5、Diniは一定値を表す)、ノズルnzl3の理想着弾位置を原点O、各ノズルnzl1〜5の着弾位置をXi とする。
ここでDi は、物理的には記録媒体搬送方向に平均化したノズルの出力光学濃度を表し、データ処理上は各画素が持つ濃度データD(i,j) (ただし、iはノズル番号、jは記録媒体搬送方向の画素番号を表す)に対して「j」について平均化したものを表している。
図3に示したように、ノズルnzl3の着弾位置誤差は、ノズルnzl3の濃度出力(太線)の原点Oからのズレとして表される。今、この出力濃度のズレを補正することを考える。
図4は補正後の様子を示す図である。ただし、ノズルnzl3以外は補正分のみを図示した。図4の場合、補正に用いるノズル数はN=3であり、ノズルnzl2, nzl3, nzl4 に濃度補正係数d2, d3, d4 が乗ぜられている。ここでいう濃度補正係数di は、補正後の出力濃度をDi’とするとき、Di’=Di+di×Diで定義される係数である。
本実施形態では、濃度ムラの視認性が最小となるよう、各ノズルの濃度補正係数di が決定される。印字画像の濃度ムラは、空間周波数特性(パワースペクトル)での強度で表される。人間の視覚的には高周波成分は視認できないため、濃度ムラ野視認性は、パワースペクトルの低周波成分に等しい。そのため、パワースペクトルの低周波成分を最小とするよう、各ノズルの濃度補正係数di が決定される。
濃度補正係数diを決定する式の導出について詳細は後述するが、結果のみを先に示すと、特定のノズルの着弾位置誤差に対する濃度補正係数diは、以下の式より決定される。
ここで、xi はそれぞれ補正対象ノズルの理想着弾位置を原点とした各ノズルの着弾位置である。本実施形態の場合、図1〜2で説明した「Xbi」がこれに相当する。〔数3〕の式中のΠは、補正に用いるN本のノズル内で積をとることを意味する。図4におけるN=3の場合について明示的に表すと、次のようになる。
〔濃度補正係数の導出〕
濃度ムラのパワースペクトルの低周波成分を最小化するという条件から、理論的に各ノズルの濃度補正係数を導くことができる。
濃度ムラのパワースペクトルの低周波成分を最小化するという条件から、理論的に各ノズルの濃度補正係数を導くことができる。
まず、各ノズルの誤差特性を取り込んだ濃度プロファイルを次式のように定義する。
画像の濃度プロファイルD(x)は、各ノズルが印字する濃度プロファイルの和であり、ノズルの印字を表すのが印字モデル(1ノズルが印字する濃度プロファイル)である。印字モデルはノズル出力濃度Diと標準濃度プロファイルz(x)に分離して表現される。
標準濃度プロファイルz(x)は、厳密にはドット系に等しい有限の広がりを持つものであるが、位置誤差の補正を濃度ズレのバランシングの問題であると考えると、重要なのは濃度プロファイルの重心位置(着弾位置)であって、濃度プロファイルの広がりは副次的な要素である。そのため、プロファイルをδ関数で置き換える近似は妥当である。このような標準濃度プロファイルを仮定すると数学的な取り扱いが容易となり、補正係数の厳密解が得られる。
図5(a)は現実に即した印字モデルであり、図5(b)はδ関数型印字モデルである。δ関数モデルで近似する場合、標準濃度プロファイルは次式で表される。
補正係数を導出するにあたり、ある特定のノズル(i=0)の着弾位置誤差Δx0を、周辺ノズルN本によって補正することを考える。なお、ここでは補正対象ノズルの番号をi=0とした。また、周辺のノズルも、所定の着弾位置誤差を持ち得ることに注意する。
補正対象ノズル(中心ノズル)を含むN本のノズルの番号(index)は、次式で表される。
なお、この式においては、Nは奇数である必要があるが、本発明の実施に際しては、Nを奇数に限定する必要はない。
初期出力濃度(補正前の出力濃度)はi=0のみ値を持つものとして、次式で表される。
濃度補正係数をdiとするとき、補正後出力濃度Di’は、次式で表される。
つまり、i=0では初期出力濃度値と補正値(di×Dini)の和で表され、i≠0では補正値のみとなる。
各ノズルiの着弾位置xiは、次式で表される。
δ関数型印字モデルを用いると、補正後の濃度プロファイルは、次式で表される。
これに対してFourier変換を行うと、次式、
と表される。なお、Diniは共通の定数のため省略した。
濃度ムラの視認性を最小化することは、すなわち、次式のパワースペクトルの低周波成分を最小化することである。
これは、数学的にはT(f)の f=0における微分係数(1次、2次、…)がゼロであることで近似できる。今、未知数di’はN個であるから、DC成分の保存条件も含めると、N−1次までの微分係数がゼロの条件を用いれば、全ての(N個の)未知数di’が厳密に定まる。このようにして、以下の補正条件が定まる。
δ関数モデルにおいては、各補正条件を展開していくと、容易な計算によってDiについてのN本の連立方程式に帰着する。各補正条件を展開したものを整理すると、以下の条件群(方程式群)が得られる。
これらの方程式群の意味するところは、1式目はDC成分の保存であり、2式目は重心位置の保存を表している。3式目以降は統計学におけるN−1次モーメントがゼロであることを表している。
このようにして得られた条件式を行列形式で表すと、以下のように表すことができる。
この係数行列Aは、いわゆるVandermonde型の行列であり、その行列式は差積を用いて次式となることが知られている。
このため、Crammerの公式を用いてdi’の厳密解を求めることができる。計算の詳細な過程は省略するが、代数計算によって、その解は次式となることが示される。
よって、求めるべき補正係数diは、次式となる。
以上のように、パワースペクトルの原点微分係数をゼロにするという条件から、濃度補正係数diの厳密解が導かれる。補正に用いる周辺ノズル数Nを増やすほど、より高次の微分係数をゼロにすることが可能になるため、低周波エネルギーがより小さくなり、ムラの視認性は一層低減する。
本実施形態では、微分係数をゼロにする条件を用いたが、完全にゼロとせずとも、補正前の微分係数に比べて十分小さい値(例えば、補正前の1/10)に設定しても、ムラ低減可能である。
〔上記濃度補正係数を用いる補正の効果〕
図6は、図3に示した着弾位置誤差を持つノズルに対して、補正後の空間周波数特性(パワースペクトル)を示したものである。図6では補正無しの場合と、N=3のときの補正例1と、N=5のときの補正例2が示されている。計算上の共通の条件として、ドット密度:1200dpi、ドットの着弾径:32μm、ノズル位置誤差(着弾位置誤差):10μmを用いた。
図6は、図3に示した着弾位置誤差を持つノズルに対して、補正後の空間周波数特性(パワースペクトル)を示したものである。図6では補正無しの場合と、N=3のときの補正例1と、N=5のときの補正例2が示されている。計算上の共通の条件として、ドット密度:1200dpi、ドットの着弾径:32μm、ノズル位置誤差(着弾位置誤差):10μmを用いた。
人間の視覚特性を考慮すると、濃度ムラの視認性を示すのは、0〜8cycle/mmの低周波領域であり、この領域のパワースペクトルが小さいほど、補正精度が高いことを意味する。
補正例1(N=3)は、0〜5cycle/mmでほぼパワースペクトルがゼロであり、補正無しの場合と比較して、十分に補正効果を有していることを示している。また、補正例2(N=5)は、補正例1(N=3)に比べてさらにパワースペクトルが低下している。このことより、補正に用いるノズル数Nを増やすほど、補正効果の向上が認められる。なお、本例(図3)の場合、図7に示すように、補正対象ノズルnzl3の出力濃度は、物理的にはarea1、area5にはみ出していないが、ノズルnzl1、nzl5も補正に用いることで、よりパワースペクトルを低下させることができる。
図8は、補正に用いるノズル数を変えた各補正例1〜3の濃度補正係数を比較したものである。N=3のときの補正例1、N=5のときの補正例2、N=7のときの補正例3を比較するとわかるように、N値が増加するほど補正精度は向上するが、濃度補正係数の変化幅も大きくなる。また、当然ながらノズルの着弾位置誤差が増大するほど、濃度補正係数の変化幅も大きくなる。
濃度補正係数がある一定以上増加すると、入力画像の再現を破綻させる可能性があるため好ましくない。したがって、必要以上のN値の増加は好ましくない。補正精度と画像再現性の観点を踏まえて最適なN値を設定することが望ましい。なお、図8で示したN=3〜7の各補正例1〜3は、いずれの場合も濃度補正係数の変化幅(絶対値)は比較的小さいく、入力画像の再現を破綻させることなく、濃度ムラの補正が可能である。
上記説明は、ある特定の1ノズル(例えば、図3におけるノズルnzl3)に対する濃度補正係数の決定方法である。実際には、ヘッド内の全てのノズルが何らかの着弾位置誤差を持っているため、全ての着弾位置誤差に対して補正を行うことが好ましい。
すなわち、全てのノズルに対して、周囲N個のノズルにおける上記の濃度補正係数を求める。濃度補正係数を決定する際に用いる後述のパワースペクトル最小化方程式は線形なので、ノズルごとに重ね合わせが可能である。そのため、トータルの濃度補正係数は、上述のようにして得られた濃度補正係数の和を取れば求められる。
つまり、ノズルkの持つ位置誤差に対するノズルiの濃度補正係数をd(i,k)とおくと、このd(i,k)は〔数3〕の方程式で求められる。そして、ノズルiのトータルの濃度補正係数diは、次式として求められる。
なお、上記の例では、全ノズルの着弾位置誤差を補正対象としてインデックスkを足し合わせているが、ある値ΔX_threshを閾値として予め設定しておき、この閾値を超える着弾位置誤差をもつノズルのみを補正対象とするように選択的に補正する構成も可能である。
前述のとおり、補正に用いるノズル数Nの値を増加させると補正精度が向上するが、濃度補正係数の変化幅も増加して再現画像の破綻を招く可能性がある。そのため、画像破綻を起こさないための補正係数制限範囲(上限値d_maxと下限値d_min)を定めておき、上記〔数20〕の式で求まるトータルの濃度補正係数が制限範囲内に収まるようにN値を設定することが望ましい。すなわち、d_min<di<d_maxを満たすようN値を定める。
実験的な知見によれば、d_min≧−1、d_max≦1を満たすならば画像破綻を起こさない。
〔画像処理フロー〕
本実施形態によるムラ補正処理の実装を含めた画像処理フローを図9に示す。
本実施形態によるムラ補正処理の実装を含めた画像処理フローを図9に示す。
入力画像20のデータ形態は、特に限定されないが、例えば、24bitのRGBデータとする。この入力画像20に対して、ルックアップテーブルによる濃度変換処理を行い(ステップS22)、プリンタの持つインク色に対応した濃度データD(i,j)に変換する。なお、(i,j)は画素の位置を表し、各画素について濃度データが割り当てられる。
ここでは、入力画像20の解像度とプリンタの解像度(ノズル解像度)は一致しているものとする。なお、両者が一致しない場合は、プリンタ解像度に合わせて、入力画像について画素数変換の処理が行われる。
ステップS22における濃度変換処理は一般的な処理であり、下色除去(UCR:Undercolor Removal)処理、或いはライトインク(同色系の淡インク)を使用するシステムの場合におけるライトインクへの分配処理などが含まれる。
例えば、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)の3色インクの構成の場合には、CMYの濃度データD(i,j)に変換される。或いはまた、上記3色に加えてK(黒),LC(ライトシアン),LM(ライトマゼンタ)などの他のインクを含むシステムの場合は、そのインク色を含む濃度データD(i,j)に変換される。
濃度変換処理を経て得られた濃度データD(i,j)(図9中の符号30)に対してムラ補正処理が行われる(ステップS32)。ここでは、対応するノズルに応じた濃度補正係数(打滴率補正係数)diを濃度データD(i,j)に乗ずる演算が行われる。
図10の模式図に示したように、ノズルnzliの位置(主走査方向位置)iと副走査方向位置jによって画像上の画素位置(i,j)が特定され、各画素について濃度データD(i,j)が与えられる。今、図10の斜線で示した画素列の打滴を受け持つノズルについてムラ補正処理を行う場合、補正後の濃度データD’(i,j)は次式、
D’(i,j)=D(i,j)+di×D(i,j)
で計算される。こうして、補正済みの濃度データD’(i,j)が得られる。
D’(i,j)=D(i,j)+di×D(i,j)
で計算される。こうして、補正済みの濃度データD’(i,j)が得られる。
この補正済みの濃度データD’(i,j)(図9中の符号40)からハーフトーニング処理を行うことによって(ステップS42)、ドットのオン/オフ信号(2値データ)、または、ドットサイズ変調を含む場合はサイズの種類(ドットサイズの選択)を含んだ多値データに変換される。ハーフトーニングの手法は特に限定されず、誤差拡散法やディザ法など周知の2値(多値)化手法を用いることができる。
このようにして得られた2値(多値)信号(図9の符号50)に基づいて各ノズルのインク吐出(打滴)データが生成され、吐出動作が制御される。これにより、濃度ムラが抑制され、高品位な画像形成が可能である。
図11は、濃度補正係数(補正データ)の更新処理の例を示したフローチャートである。補正データの更新処理は、例えば、以下のいずれかの条件で開始される。
すなわち、(a)印字結果を監視する自動チェック機構(センサ)によって印字画像にスジムラが生じていると判断された場合、(b)人間(オペレータ)が印字画像を見て画像内にスジムラが生じていると判断して所定の操作(更新処理を開始させる指令の入力など)を行った場合、(c)事前に設定していた更新タイミングに達した場合(タイマー等による時間管理やプリント枚数カウンタなどによる稼働実績管理などによって更新タイミングを設定並びに判断可能)、のいずれかの条件で図示の更新処理がスタートする。
更新処理がスタートすると、まず、着弾誤差データを測定するためのテストパターン(予め定められている所定のパターン)のプリントが実行される(ステップS70)。
次いで、そのテストパターンの印字結果から着弾誤差データを測定する(ステップS72)。着弾誤差データの測定には、イメージセンサ(撮像素子)を利用した画像読取装置(撮像信号を処理する信号処理手段を含む)を用いることができる。着弾誤差データには、着弾位置誤差の情報及び光学濃度情報などが含まれる。
そして、ステップS72で得られた着弾誤差データから補正データ(濃度補正係数)が算出される(ステップS74)。濃度補正係数の算出方法については、既に説明した通りである。
こうして、求めた濃度補正係数の情報はEEPROM等の書き換え可能な記憶手段に記憶され、以後、最新の補正係数が用いられる。
〔インクジェット記録装置の構成〕
次に、上述した濃度ムラの補正機能を備えた画像記録装置の具体的な適用例としてのインクジェット記録装置について説明する。
次に、上述した濃度ムラの補正機能を備えた画像記録装置の具体的な適用例としてのインクジェット記録装置について説明する。
図12は、本発明に係る画像記録装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、記録面までの距離を測定する距離測定部123と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図12では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図12のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト(搬送ベルトに相当)133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。また、着弾位置ずれ量を測定するためのテストパターンをベルト133上に直接記録する構成の場合には、当該ベルト133にテストパターン印字用の領域が設けられる。
図12に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図17中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図12上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図12の左から右へと搬送される。
着弾位置ずれ量を測定するためのテストパターンをベルト133上の所定領域(テストパターン印字領域)に印字したり、縁無しプリント等を印字したりするとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133のクリーニング手段として、印字領域以外の所定位置にベルト清掃部136が設けられている。図12の例では、印字検出部124の後段において、且つ搬送用ローラ137の手前にベルト清掃部136が配置されている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図13参照)。
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図12に示した距離測定部123は、パルスレーザによって記録面までの距離を測定する手段であり、その測定結果からヘッド112K,112C,112M,112Yのノズル面と記録面間の距離情報を得る。
印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置誤差などの吐出特性をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字部112によって記録が行われたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図12には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
図14(a) はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図14(b) はその一部の拡大図である。また、図14(c) はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図、図15は1つの液滴吐出素子(1つのノズル151に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図14(a) 中の15−15線に沿う断面図)である。
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図14(a),(b) に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図14(a) の構成に代えて、図14(c) に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図14(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図15に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
圧力室152の一部の面(図15において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
また、吐出安定性並びに吐出面(ノズル面150A)のクリーニング性を向上させる等の観点から、ヘッド150のノズル面150Aには撥液層159が設けられている。ノズル面150Aに撥液性を付与する方法(撥液処理方法)は、特に限定されず、例えば、フッ素系の撥液材を塗布する方法や、フッ素系高分子粒子(PTFE)等の撥液材を真空中で蒸着し表面に薄層を形成する方法等がある。
入力画像から生成さる打滴配置データに応じて各ノズル151に対応したアクチュエータ158の駆動を制御することにより、ノズル151からインク滴を吐出させることができる。図12で説明したように、記録媒体たる記録紙116を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル151のインク吐出タイミングを制御することによって、記録紙116上に所望の画像を記録することができる。
上述した構造を有するインク室ユニット153を図16に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図16に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13 、151-14 、151-15 、151-16 を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26 を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36 を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16 を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
〔制御系の説明〕
図17は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、ノズル面−媒体間距離情報取得部173、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
図17は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、ノズル面−媒体間距離情報取得部173、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
また、システムコントローラ172は、ノズル面−媒体間距離情報取得部173から得た距離情報と印字検出部124から読み込んだテストパターンの読取データから着弾位置誤差のデータを生成する演算処理を行う着弾誤差測定演算部172Aと、測定された着弾位置誤差の情報から濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部172Bとを含んで構成される。なお、着弾誤差測定演算部172A及び濃度補正係数算出部172Bの処理機能はASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
濃度補正係数算出部172Bにおいて求められた濃度補正係数のデータは、濃度補正係数記憶部190に記憶される。
ノズル面−媒体間距離情報取得部173は、図12で説明した距離測定部123、或いは、ユーザーが記録媒体(記録紙116)の厚み情報を入力するためのユーザーインターフェースなどの態様を含む。
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(例えば、着弾位置誤差測定用のテストパターンのデータ、着弾位置ずれ量の演算に必要な演算式、ルックアップテーブル、Ya ,Xai の値)などが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいが、Xaiの情報を更新する場合は、EEPROMのような書換可能な記憶手段を用いることが好ましい。また、このROM175の記憶領域を活用することで、ROM175を濃度補正係数記憶部190として兼用する構成も可能である。
画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成したインク吐出データをヘッドドライバ184に供給してヘッド150の吐出駆動を制御する吐出制御手段として機能する。
すなわち、プリント制御部180は、濃度データ生成部180Aと、補正処理部180Bと、インク吐出データ生成部180Cと、駆動波形生成部180Dとを含んで構成される。これら各機能ブロック(180A〜D)は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
濃度データ生成部180Aは、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、図9のステップS22で説明した濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
図17の補正処理部180Bは、濃度補正係数記憶部190に格納されている濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、図9のステップS32で説明したムラ補正処理を行う。
図17のインク吐出データ生成部180Cは、補正処理部180Bで生成された補正後の濃度データから2値(又は多値)の打滴配置データ(ドットデータ)に変換するハーフトーニング処理(中間階調処理)手段を含む信号処理手段であり、図9のステップS42で説明した2値(多値)化処理を行う。インク吐出データ生成部180Cにて生成されたインク吐出データはヘッドドライバ184に与えられ、ヘッド150のインク吐出動作が制御される。
駆動波形生成部180Dは、ヘッド150の各ノズル151に対応したアクチュエータ158(図12参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する手段であり、該駆動波形生成部180Dにて生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ184に供給される。なお、駆動信号生成部180Dから出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図17において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ174に記憶される。
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180の濃度データ生成部180A、補正処理部180B、インク吐出データ生成部180Cを経てインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド150のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴配置データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じてヘッド150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
こうして、ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
印字検出部124は、図12で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴の着弾位置ばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180及びシステムコントローラ172に提供する。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124から得られる情報に基づいてヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
本例の場合、ノズル面−媒体間距離情報取得部173が「距離特定手段」及び「第2の距離情報取得手段」並びに「測定手段」に相当し、着弾誤差測定演算部172Aが「着弾位置誤差演算手段」並びに「第2の着弾位置誤差演算手段」に相当する。また、ROM175が「記憶手段」に相当し、該ROM175に記憶されたYa,Xaiの情報を利用する構成が「第1の着弾位置誤差情報取得手段」に相当する。更に、濃度データ生成部180A,補正処理部180B,インク吐出データ生成部180Cを含むプリント制御部180の構成が「打滴配置決定手段」及び「吐出制御手段」に相当し、ROM175内のテストパターンデータに基づいてテストパターンの印字を実行するシステムコントローラ172及びプリント制御部180の組合せが「テストパターン記録制御手段」に相当する。
また、濃度補正係数算出部172Bが「補正範囲設定手段」及び「補正係数決定手段」に相当し、補正処理部180Bが「補正処理手段」に相当している。
上記構成のインクジェット記録装置110によれば、ハーフトーニング処理(中間階調処理)の前段階で、ノズル面−媒体面間の距離に応じた着弾位置誤差を考慮して画像データの補正が行われるため、着弾位置誤差によるスジムラを精度よく補正できる。また、本例の補正機能は、メカ的な距離制御機構や飛翔偏向のための駆動素子の追加が不要なため、低コストで実現可能である。
〔変形例〕
図17で説明した着弾誤差測定演算部172A、濃度補正係数算出部172B、濃度データ生成部180A、補正処理部180Bが担う処理機能の全て又は一部をホストコンピュータ186側に搭載する態様も可能である。
図17で説明した着弾誤差測定演算部172A、濃度補正係数算出部172B、濃度データ生成部180A、補正処理部180Bが担う処理機能の全て又は一部をホストコンピュータ186側に搭載する態様も可能である。
更に、本発明の適用はラインヘッド方式のプリンタに限定されず、シャトルスキャン方式のプリンタにおけるスジムラに対しても有効な補正効果を得ることができる。
また、本発明の実施に際して、着弾位置ずれ量Xbiの情報を利用した補正処理の方法は、図3乃至図11で詳述した例に限定されず、他の補正方法を適用することも可能である。
1…記録ヘッド、2…ノズル面、3…ノズル、10…ラインヘッド、110…インクジェット記録装置、112…印字部、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、114…インク貯蔵/装填部、116…記録紙(記録媒体)、122…ベルト搬送部(搬送手段)、123…距離測定部、124…印字検出部、150…ヘッド、151…ノズル、152…圧力室、153…インク室ユニット、158…アクチュエータ、172…システムコントローラ、172A…着弾誤差測定演算部、172B…濃度補正係数算出部、173…ノズル面−媒体間距離情報取得部、175…ROM、180…プリント制御部、180A…濃度データ生成部、180B…補正処理部、180C…インク吐出データ生成部、180D…駆動波形生成部、184…ヘッドドライバ
Claims (9)
- 複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面と、前記液滴吐出口から吐出される液体が着弾する記録面との間の距離を把握し、
前記距離に基づいて前記記録面上での前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量を特定し、
前記特定した着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成することを特徴とする画像処理方法。 - 複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面から第1の距離にある第1の記録面上で測定される前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量の情報を取得する第1の着弾位置誤差情報取得工程と、
前記吐出面から前記第1の距離とは異なる第2の距離にある第2の記録面について、前記第2の距離の情報を取得する第2の距離情報取得工程と、
前記第1及び第2の距離と前記第1の記録面上で測定された前記着弾位置ずれ量に基づいて、前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量を求める第2の着弾位置誤差演算工程と、
前記第2の着弾位置ずれ量演算工程で求めた前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する打滴配置決定工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 前記第1の距離は、前記第2の距離よりも長いことを特徴とする請求項2記載の画像処理方法。
- 複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面と、前記液滴吐出口から吐出される液体が着弾する記録面との距離を特定する距離特定手段と、
前記距離に基づいて前記記録面上での前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量を求める着弾位置誤差演算手段と、
前記着弾位置誤差演算手段によって求めた着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する打滴配置決定手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドの吐出面から第1の距離にある第1の記録面上で測定される前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量の情報を取得する第1の着弾位置誤差情報取得手段と、
前記吐出面から前記第1の距離とは異なる第2の距離にある第2の記録面について、前記第2の距離の情報を取得する第2の距離情報取得手段と、
前記第1及び第2の距離と前記第1の記録面上で測定された前記着弾位置ずれ量に基づいて、前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量を求める第2の着弾位置誤差演算手段と、
前記第2の着弾位置誤差演算手段で求めた前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことにより打滴配置データを生成する打滴配置決定手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記打滴配置決定手段は、
前記複数の液滴吐出口のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の液滴吐出口を設定する補正範囲設定手段と、
前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置誤差に起因する濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を含む補正条件に基づいて前記N個の液滴吐出口から吐出される液滴の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、
を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理装置。 - 複数の液滴吐出口が形成された液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記液体吐出ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、
前記液体吐出ヘッドの吐出面から第1の距離にある第1の記録面上で測定された前記液滴吐出口から吐出される液滴の着弾位置ずれ量と前記第1の距離の情報を記憶しておく記憶手段と、
前記吐出面から前記第1の距離とは異なる第2の距離にある第2の記録面について、前記第2の距離の情報を取得する第2の距離情報取得手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記第1の距離及び前記第1の記録面上における前記着弾位置ずれ量、並びに前記第2の距離情報取得手段で取得された前記第2の距離に基づいて、前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量を求める第2の着弾位置誤差演算手段と、
前記第2の着弾位置誤差演算手段で求めた前記第2の記録面上における着弾位置ずれ量に応じて画像データを補正して中間階調処理を行うことで打滴配置データを生成する打滴配置決定手段と、
前記打滴配置決定手段によって生成された打滴配置データに基づいて前記液滴吐出口からの吐出動作を制御する吐出制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。 - 前記第1の記録面上に所定のテストパターンを記録するように前記液体吐出ヘッドの吐出駆動を制御するテストパターン記録制御手段と、
前記第1の記録面上に記録された前記テストパターンから着弾位置ずれ量を測定する測定手段と、
を備え、前記測定手段で測定した着弾位置ずれ量の情報が前記記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項7記載の画像記録装置。 - 前記第1の記録面は、前記被記録媒体を搬送するための搬送ベルトの表面であることを特徴とする請求項7又は8記載の画像記録装置。
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