JP6057287B2

JP6057287B2 - パンツ型使い捨ておむつ

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Publication number: JP6057287B2
Application number: JP2012261878A
Authority: JP
Inventors: 美幸越智
Original assignee: Daio Paper Corp
Current assignee: Daio Paper Corp
Priority date: 2012-11-30
Filing date: 2012-11-30
Publication date: 2017-01-11
Anticipated expiration: 2032-11-30
Also published as: JP2014104313A

Description

本発明は、吸収体を含む吸収性本体と、この吸収性本体の外面側に一体的に設けられた外装シートとからなり、おむつ股下部で折り畳まれ前記外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、製品状態でウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、ウエスト周りのフィット性を高めたパンツ型使い捨ておむつに関する。

従来より、パンツ型使い捨ておむつでは、体液の吸収を図る吸収体を身体に装着するため、前記吸収体を保持する不織布などに対して弾性伸縮部材を配設し、身体へのフィット性を向上させるようにしている。

本出願人も下記特許文献１、２などにおいて、パンツ型使い捨ておむつを提案した。このパンツ型使い捨ておむつ５０は、図１２に示されるように、吸収体５１を含む吸収性本体５２と、この吸収性本体５２の外面側に一体的に設けられた外装シート５３とからなり、おむつ股下部で折り畳まれ前記外装シート５３の前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、図１３に示される製品状態でウエスト開口部５４及び左右一対のレッグ開口部５５、５５が形成されている。前記外装シート５３は、前記ウエスト開口部５４回りに配置されたウエスト部弾性部材５６、５６…と、前身頃及び後身頃に上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材５７、５７…とを備え、ウエスト部及び腰回り部にシャーリングが形成されている。

特開２００６−１４９７４５号公報特開２００６−１４９７４７号公報

しかしながら、従来のパンツ型使い捨ておむつ５０では、図１３に示されるように、吸収性本体５２の前後端５８ａ、５８ｂとウエスト開口部５４の前後の開口端５９ａ、５９ｂとの間に、ウエスト部弾性部材５６及び腰回り弾性部材５７（図示例の場合、ウエスト部弾性部材５６のみ）が配置されているため、吸収性本体５２の前後端部より上方に延在する外装シート５３部分の収縮力によって、吸収性本体５２の前後端部に急激な縮こまりが生じ、この部分に大きなシワが生じやすかった。このような吸収性本体５２の縮こまりによって、外装シート５３のウエスト周りではウエスト開口部５４の開口端に歪みが生じ弾性部材本来の伸縮力が作用しにくく、ウエスト周りのフィット性が低下するとともに、吸収性本体５２では縮こまり部分の大きなシワによって漏れが発生するという問題が生じていた。

吸収性本体５２の前後端５８ａ、５８ｂとウエスト開口部５４の開口端５９ａ５９ｂとの距離が長ければ（例えば４０mmを超える場合）、ウエスト開口部５４の開口端に近い側に配設されたウエスト部弾性部材５６は吸収性本体５２の剛性の影響を受けずに弾性部材本来の伸縮性を発揮できるのであるが、特に、幼児用のおむつなど、吸収性本体５２の前後端５８ａ、５８ｂとウエスト開口部５４の開口端５９ａ５９ｂとの距離が短い場合（例えば１mm以上４０mm以下の場合）、この間に配置されたウエスト部弾性部材５６は、吸収性本体５２の剛性の影響を直接受けやすく、弾性部材本来の伸縮性を発揮できないどころか、逆に吸収性本体５２の縮こまりの原因となって、吸収性本体５２の前後端部に大きなシワを生じさせ、このシワによって漏れを発生させるなどの悪影響をもたらすものであった。

ところが、所定の吸収力を維持し吸収性本体の前後端部からの漏れを防止するにはある程度の長さの吸収性本体が必要となるため、幼児用などの股上の小さい（外装シート５３のおむつ前後方向の長さが短い）おむつの場合でも、吸収性本体の長さを短くすることができず、吸収性本体の前後端とウエスト開口部の開口端との間の距離が短くならざるをえなかった。

そこで本発明の主たる課題は、吸収性本体の前後端とウエスト開口部の開口端との間の距離が短い小さめのパンツ型使い捨ておむつであっても、ウエスト部分のフィット性を向上させ、漏れを防止することにある。

上記課題を解決するために請求項１に係る本発明として、吸収体を含む吸収性本体と、この吸収性本体の外面側に一体的に設けられた外装シートとからなり、おむつ股下部で折り畳まれ前記外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、製品状態でウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記外装シートは、前身頃及び後身頃に上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配置された複数の弾性部材を有するとともに、前記吸収性本体の前後端と前記ウエスト開口部の開口端との間に、その間に配置された前記弾性部材のうち全部又は一部について伸縮力を作用させないことにより非伸縮領域が形成され、前記非伸縮領域は、前記吸収性本体の幅方向範囲のうち、前記吸収性本体の剛性が相対的に高い部分に対応する範囲に設けられていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつが提供される。

上記請求項１記載の発明では、吸収性本体と外装シートとからなるパンツ型使い捨ておむつにおいて、前記外装シートとして、前身頃及び後身頃に上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配置された複数の弾性部材を有するとともに、前記吸収性本体の前後端と前記ウエスト開口部の開口端との間に、その間に配置された前記弾性部材のうち全部又は一部について伸縮力を作用させないことにより非伸縮領域を形成しているため、前記吸収性本体の前後端より上方に延在する外装シート部分の収縮力が大幅に抑制され、吸収性本体の前後端部の縮こまりが生じにくくなり、この部分のシワの発生もなくなる。このため、弾性部材本来の伸縮力が作用し、ウエスト周りのフィット性が向上するとともに、吸収性本体の縮こまりによるシワが生じないため漏れが防止できるようになる。

特に、吸収性本体の前後端とウエスト開口部の開口端との間の距離が短い小さめのおむつの場合には、この間に前記非伸縮領域を形成することにより、弾性部材本来の伸縮性が発揮できるようになるとともに、弾性部材の収縮力による吸収性本体の縮こまりが防止でき、ウエスト回りの締付けが適正に行われ、フィット性が向上するとともに、漏れが防止できるようになる。

なお、前記非伸縮領域とは、弾性部材を細かく切断することなどによって弾性部材の伸縮力を作用させない或いは弾性部材の伸縮力を大幅に減少させた領域のことであって、外装シートを構成するシート材等自体の伸縮性によって若干の伸縮性が付与されている場合を含むものである。

また、上記請求項１記載の発明では、前記非伸縮領域を形成するおむつ幅方向範囲として、前記吸収性本体の幅方向範囲のうち、前記吸収性本体の剛性が相対的に高い部分、例えば吸収体の両側部に肌側に起立する立体ギャザーが設けられる場合において、前記立体ギャザーを構成するギャザー不織布が吸収性本体の前後端部で折り畳まれて吸収体側に接合されることにより、これ以外の部分より相対的に剛性が高くなっている部分に対応する幅方向範囲に設けている。これにより、吸収性本体の剛性が特に高い部分で、弾性部材の伸縮力が作用しなくなり、伸縮力を作用させない領域を最低限に抑えて伸縮領域を広く取ることができ、ウエスト周りのフィット性がさらに向上できるようになる。

請求項２に係る本発明として、前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての上下方向の距離が４０mm以下に設定されている請求項１記載のパンツ型使い捨ておむつが提供される。

上記請求項２記載の発明では、前記吸収性本体の前後端と前記ウエスト開口部の開口端との距離が短い小さめのおむつの場合として、この間のおむつ上下方向の距離を４０mm以下に設定したものである。この距離を４０mm以下に限定した理由としては、幼児用のおむつのほとんどが４０mm以下に設定されていることと、この距離が４０mmを超えたおむつでは、吸収性本体の前後端とウエスト開口部の開口端との間に配置された弾性部材であっても吸収性本体の剛性の影響をあまり受けずに弾性部材本来の伸縮性を発揮できるものが存在し、ウエスト周りのフィット性が損なわれるという問題が生じにくいこととに基づくものである。

請求項３に係る本発明として、前記非伸縮領域は、前記弾性部材を細かく切断するか、前記弾性部材を前記外装シートを構成するシート材に熱融着するか、非伸縮性の別部材を配設することにより形成されている請求項１、２いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつが提供される。

上記請求項３記載の発明では、前記非伸縮領域を形成するための具体的手段について３つ例示し、いずれかを適宜用いることができる旨を規定している。具体的には、前記弾性部材を細かく切断する方法、前記弾性部材を前記外装シートを構成する不織布等のシート材に熱融着する方法、非伸縮領域に非伸縮性の別部材を配設する方法が挙げられる。これらの方法のうち、細かく切断する方法は、簡便であり伸縮力の低減効果が高いため特に有効であるが、弾性部材の切断時に外装シートを構成するシート材も切断され液の浸出等のおそれもあるので、その点ではそのような問題が生じない他の方法も有効である。

請求項４に係る本発明として、前記非伸縮領域は、前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての領域のうち、前記ウエスト開口部の開口端側に偏倚して設けられている請求項１〜３いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつが提供される。

上記請求項４記載の発明では、前記非伸縮領域を、前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての領域のうち、前記ウエスト開口部の開口端側に偏倚して設けることにより、おむつの股上が短い場合（おむつ前後方向の長さが短い場合）に特に効果を発揮できるようにしている。つまり、股上が短いおむつでは、ウエスト開口部の開口端が臀部の割れ目近くに位置するため、非伸縮領域をレッグ開口部の開口端側に偏倚して設けることによって、吸収体近傍の臀部の割れ目付近の伸縮性を残したまま、ウエスト開口部の開口端近傍を非伸縮にでき、吸収体を臀部の曲線に沿ってフィットさせることが可能となり、漏れが確実に防止できるようになる。なお、非伸縮領域をウエスト開口部の開口端側に偏倚して設ける場合としては、吸収性本体の前後端とウエスト開口部の開口端との間に上下方向に間隔をおいて複数配置された弾性部材のうち、ウエスト開口部の開口端に近い側の弾性部材のみの伸縮力を作用させないようにした場合や、吸収性本体の前後端に近接する弾性部材の中央部からウエスト開口部の開口端に近接する弾性部材の両側に向けて、非伸縮領域のおむつ幅方向長さを漸次拡大させるようにした場合などがある。

請求項５に係る本発明として、前記非伸縮領域は、前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての領域のうち、前記吸収性本体の前後端側に偏倚して設けられている請求項１〜３いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつが提供される。

上記請求項５記載の発明では、前記非伸縮領域を、前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての領域のうち、前記吸収性本体の前後端側に偏倚して設けることにより、おむつの股上が長い場合（おむつ前後方向の長さが長い場合）に特に効果的としている。つまり、股上が長いおむつでは、ウエスト開口部の開口端がウエスト回りの比較的細い部分に位置するため、ウエスト開口部の開口端近傍の伸縮性を残したまま、前記非伸縮領域によって吸収性本体の縮こまりによるシワの発生を低減して、ウエスト周りをフィットさせることが可能となり、漏れが確実に防止できるようになる。なお、非伸縮領域が吸収性本体の前後端側に偏倚して設けられる場合としては、吸収性本体の前後端とウエスト開口部の開口端との間に上下方向に間隔をおいて複数配置された弾性部材のうち、吸収性本体の前後端に近い側の弾性部材のみの伸縮力を作用させないようにした場合や、ウエスト開口部の開口端に近接する弾性部材の中央部から吸収性本体の前後端に近接する弾性部材の両側に向けて、非伸縮領域のおむつ幅方向長さを漸次拡大させるようにした場合などがある。

請求項６に係る本発明として、前記非伸縮領域は、前記弾性部材を細かく切断することにより形成され、この非伸縮領域の肌当接面側に撥水性不織布が配設されている請求項１〜５いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつが提供される。

上記請求項６記載の発明では、前記弾性部材の全部又は一部を細かく切断することにより前記非伸縮領域を形成した場合において、前記弾性部材の切断時に外装シートを構成するシート材が一緒に切断されると、この切断部分から体液の浸み出し等が発生する場合が考えられるので、その対策の一例について規定している。具体的には、非伸縮領域の肌当接面側に撥水性不織布を配設することによって、シート材の切断部分からの体液の浸出を防止している。また、その他の対策例としては、非伸縮領域の形成方法を、弾性部材を細かく切断する方法の代わりに、弾性部材を外装シートのシート材に熱融着する方法又は非伸縮性の別部材を配設する方法とすることが挙げられる。

以上詳説のとおり本発明によれば、吸収性本体の前後端とウエスト開口端との間の距離が短い小さめのパンツ型使い捨ておむつであっても、ウエスト部分のフィット性が向上でき、漏れを防止することができるようになる。

本発明に係るパンツ型使い捨ておむつ１の展開図である。そのII−II線矢視図である。製品状態における図１のIII−III線矢視図である。吸収性本体１０と外装シート２０との分解斜視図である。パンツ型使い捨ておむつ１の製品状態外観図である。他の形態に係るパンツ型使い捨ておむつ１の製品外観図（その１）である。 (A)、(B)は、他の形態に係るパンツ型使い捨ておむつ１の製品外観図（その２）である。 (A)、(B)は、他の形態に係るパンツ型使い捨ておむつ１の製品外観図（その３）である。他の形態に係るパンツ型使い捨ておむつ１の製品外観図（その４）である。他の形態に係るパンツ型使い捨ておむつ１の製品外観図（その５）である。 (A)〜(C)は、製造工程を示す製品端部の縦断面図である。従来のパンツ型使い捨ておむつ５０を示す展開図である。従来のパンツ型使い捨ておむつ５０を示す製品状態外観図である。

以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。なお、本発明における「おむつ長手方向」及び「おむつ上下方向」とは、パンツ型使い捨ておむつ１の腹側と背側を結ぶ方向（おむつ展開時の前後方向）を意味し、「おむつ幅方向」及び「おむつ周方向」とは、前記おむつ長手方向と直交する方向（おむつ展開時の左右方向）を意味する。なお、図面の所要部位において接着部位を×印で明示している。

〔使い捨ておむつ１の基本構造例〕
本発明に係るパンツ型使い捨ておむつ１（以下、単におむつともいう。）は、図１〜図５に示されるように、不織布などからなる透液性の表面シート１１と、ポリエチレン等からなる裏面シート１２との間に、綿状パルプなどからなる吸収体１３を介在させた吸収性本体１０と、この吸収性本体１０と一体的に接合され、少なくとも装着者の腹側に位置する腹側部Ｆと装着者の背側に位置する背側部Ｂとを構成するとともに、腹側部Ｆ及び背側部Ｂのそれぞれの領域におむつ長手方向に離隔して配置され、上層不織布及び下層不織布の間にウエスト部及び胴周り部に沿って多数の弾性部材が配置された外装シート２０とから構成されている。そして、前記外装シート２０の腹側部Ｆと背側部Ｂとが両側部の脇部接合縁４０、４０において接合されることにより、ウエスト開口部ＷＯ及び左右一対のレッグ開口部ＬＯ、ＬＯが形成されたパンツ型とされている。なお、前記腹側部Ｆと背側部Ｂの間であって装着者の股下に位置する股下部Ｍは、少なくとも前記吸収性本体１０が介在されて構成されている。

本発明が主として対象とするのは、吸収性本体１０の前後端とウエスト開口端との間の距離が短い小さめのパンツ型使い捨ておむつである。具体的には、乳幼児用使い捨ておむつが対象となる。この乳幼児用使い捨ておむつは、体重1,000ｇ程度の低体重出生児用の紙おむつから体重35kg程度の幼児用の紙おむつがある。おむつサイズもある程度の範囲に亘ることになるが、例えば乳幼児用のＭサイズのパンツ型おむつの場合のサイズは、おむつの製品の縦方向の長さ寸法は約400〜500mm、製品の横方向の長さ寸法は約300〜400mm、吸収体の長さは約300〜400mm、吸収体の左右幅は約70〜140mmである。なお、これらの寸法は、弾性伸縮部材を伸長させた状態で測定したものである。

以下、更に各構成について具体的に詳述する。

（吸収性本体１０について）
先ず、前記吸収性本体１０の構造の一例について図１〜図４に基づいて詳述する。吸収性本体１０は、前述したように、不織布などからなる透液性の表面シート１１と、ポリエチレン等からなる裏面シート１２との間に、綿状パルプ等の繊維集合体と高吸収性ポリマー等の高吸収材などからなる吸収体１３を介在させた構造とされ、体液を吸収保持するものである。前記吸収体１３は、坪量が５０〜６００ｇ／ｍ^２程度が好ましく、３００〜５００ｇ／ｍ^２程度がより好ましい。

前記高吸収性ポリマーとしては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸収性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力（吸収倍率）と吸水速度の調整が可能である。前記吸収体１３における高吸収性ポリマーの含有比率は、３０〜７０％程度が適当であるが、これに限るものではない。また、図示例では脚周りへの当たりを和らげるために両側部に夫々括れ部を有する平面形状を略砂時計状とされているが、略方形状として成形されたものを使用することもでき、いずれの場合もその幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅とされている。

前記吸収体１３は、被包シート１４によって囲繞されている。被包シート１４は、ティシュー等の紙材あるいは不織布等の透液性のシートを用いることができる。厚みは０．０５〜０．５ｍｍ程度が好ましく、０．０５〜０．２ｍｍ程度がより好ましい。坪量は５〜２５ｇ／ｍ^２程度が好ましく、１０〜２０ｇ／ｍ^２程度がより好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やＳＭＳ法により加工された不織布、特にＳＭＳ法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適である。なお、被包シート１４は、少なくとも吸収体１３の表面側（肌当接面側）の面が撥水性でなければシートの親水度は特に問わない。

前記吸収体１３の表面側（肌当接面側）を覆う透液性の表面シート１１としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、ＳＭＳ法、サーマルボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。特には、スパンボンド法やＳＭＳ法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつドライタッチ性に優れるため好適である。これらは１層からなるシートでも２層以上（同一種類あるいは複数種類）からなるシートでもよいが、合計の坪量としては、１０〜４０ｇ／ｍ^２が好ましく、１０〜２２ｇ／ｍ^２がより好ましく、１５〜２０ｇ／ｍ^２が特に好ましい。厚みは１ｍｍ以下が好ましく、０．５ｍｍ以下がより好ましく、０．３ｍｍ以下が特に好ましい。表面シート１１に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。前記表面シート１１は、吸収体１３の側縁部を巻き込んで吸収体１３の裏面側まで延在している。

前記吸収体１３の裏面側（非肌当接面側）を覆う裏面シート１２は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの不透液性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートであり、仮にシート厚が同じであれば無孔シートよりも剛性が低下するため、柔軟性の点で勝るものとなる。具体的には、JIS Z0208に準じて測定された透湿度が３０００〜１２０００g/m²・24hr、好ましくは６０００〜１２０００g/m²・24hr、より好ましくは８０００〜１２０００g/m²・24hrの不透液性シートを使用するのが望ましい。

一方、立体ギャザーＢＳを形成するギャザー不織布１５は、折返しによって二重シートとした不織布が用いられ、前記表面シート１１によって巻き込まれた吸収体１３の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体１３の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、前記ギャザー不織布１５は、おむつの長手方向中間部では、立体ギャザーＢＳ形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体１３の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、前記幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体１３の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、前記立体ギャザーＢＳを形成する部分を吸収体１３の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。

前記二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布１５の内部には、図２に示されるように、起立先端側部分に複数本の糸状弾性伸縮部材１６、１６…が配設されるとともに、吸収性本体１０の側縁部近傍部位に糸状弾性伸縮部材１７が配設され、さらに吸収体１３の裏面がわ側部に糸状弾性伸縮部材１８が夫々配設されている。前記先端部弾性伸縮部材１６、１６…は、主にはその弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーＢＳを形成するためのものであり、前記糸状弾性伸縮部材１７、１８は、主にその弾性伸縮力により図３の製品状態図に示されるように、吸収性本体１０の側部を屈曲させ、吸収体１３の側部を起立端として立体ギャザーＢＳの基端側部分を構成するためのものである。

前記糸状弾性伸縮部材１７としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは９４０dtex以下、テンション（伸張率）は150〜350％として配設するのがよい。なお、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。

前述のギャザー不織布１５を構成する素材繊維も前記表面シート１１と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、ＳＭＳ法、サーマルボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法によって得られた不織布を用いることができる。具体的には、不織布の加工方法としてはスパンボンド法やＳＭＳ法によるものが薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、坪量としては、８〜３０ｇ／ｍ^２が好ましく、１０〜２２ｇ／ｍ^２がより好ましく、１０〜１５ｇ／ｍ^２が特に好ましい。厚みは０．５ｍｍ以下が好ましく、０．３ｍｍ以下がより好ましく、０．２ｍｍ以下が特に好ましい。さらに前記ギャザー不織布１５については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性（ドライ感）を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いても良い。

（外装シート２０について）
前記外装シート２０は、詳細には図１及び図４に示されるように、不織布などからなる肌面側のギャザー押さえシート２１Ａと非肌面側のバックシート２１Ｂと、その間の前身頃側シャーリングゾーンＫ１及び後身頃側シャーリングゾーンＫ２にそれぞれ、ウエスト部２３の上下方向に間隔をおいておむつ幅方向に沿って伸長下で配置固定されたウエスト部弾性部材２４、２４…と、腰回り部２５の上下方向に間隔をおいておむつ幅方向に沿って伸長下で配置固定された複数の腰回り弾性部材２６、２６…とを備えている。また、おむつ中間両側部に相当する部位に、夫々脚部開口を形成するための凹状の脚回りライン２９、２９が形成されている。前記ギャザー押さえシート２１Ａは、図示例では、少なくとも前記前身頃側シャーリングゾーンＫ１及び後身頃側シャーリングゾーンＫ２の一部を覆う範囲にそれぞれ設けられ、その中間ゾーンＭには設けていないが、前身頃から後身頃にかけて一体的に設けるようにしてもよい。前記外装シート２０は、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂよりおむつ長手方向に所定長さだけ延在する長さで設けられている。この延在部分に後段で詳述する非伸縮領域３０が形成されている。

前記ギャザー押さえシート２１Ａとバックシート２１Ｂとは、少なくとも弾性伸縮部材を配置するシャーリングゾーンＫ１、Ｋ２の実質的に全面に亘って、ホットメルト接着剤等で接着されていることが好ましい。そうすることで、弾性伸縮部材を細かく切断する場合は、弾性伸縮部材の断片がシート間を移動することがなくなるため、好ましい。また、弾性伸縮部材の固定をさらに確実にするために、コントロールシーム塗布、オメガ塗布又はシュアラップ塗布といった、公知の直接塗布方式により弾性伸縮部材の周面にホットメルト接着剤を塗布し、接着力を強化しても良い。接着力を強化しすぎると、細かく切断された弾性伸縮部材が外装シートを細かく収縮させ、外観を損ねることがある。そのような場合には、接着力を強化する必要がある部位のみ、弾性伸縮部材にホットメルト接着剤を直接塗布すれば良い。

前記ウエスト部弾性部材２４，２４…は、前身頃Ｆと後身頃Ｂとが接合された脇部接合縁４０、４０の範囲の内、ウエスト開口端近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることにより紙おむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材２４は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。

前記腰回り弾性部材２５，２５…は、脇部接合縁４０、４０の内、概ね上部から下部までの範囲及び脚回りライン２９にかかる範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配設された糸ゴム状の弾性部材であり、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂの腰回り部分に夫々水平方向の伸縮力を与え、紙おむつを身体に密着させるためのものである。

なお、図示例では、前記ウエスト部弾性部材２４、２４…は、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂ付近よりおむつ長手方向に外側の範囲に配設され、腰回り弾性部材２５、２５…は、吸収性本体１０にかかる範囲に配設されている。また、図示例では、前記ウエスト部弾性部材２４、２４…と腰回り弾性部材２５、２５…との境界に前記ウエスト部弾性部材２４同士の配置間隔及び腰回り弾性部材２５同士の配置間隔より幅広の離間部を設けて明確に区別しているが、これらの境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃Ｆ及び後身頃Ｂに上下方向に間隔をおいて水平方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。

さらに、図示例では前記外装シート２０が腹側部Ｆから背側部Ｂにかけて一体的に形成されているが、腹側部Ｆと背側部Ｂの少なくとも前記シャーリングゾーンＫ１、Ｋ２において後身頃用外装シートと前身頃用外装シートとが分割して設けられるようにしてもよい。この場合、後身頃用外装シートと前身頃用外装シートの間の股間部において、前記吸収性本体１０の外面に股間部外装シートを配設することが好ましい。このとき前記股間部用外装シートは、後身頃用外装シート及び前身頃用外装シートのバックシートと同じ素材のものを用いるようにする。これにより、前記股間部用外装シートと、後身頃用外装シート及び前身頃用外装シートとの境界が目立たなくなる。また、前記股間部用外装シートは、後身頃用外装シート及び前身頃用外装シートのバックシートと異なる素材のものを用いるようにしてもよい。股間部に位置する前記股間部用外装シートは、着用者の股の間で擦れることが多いため、前後身頃のシートよりも柔軟性、耐摩耗性に優れた不織布素材を用いることが好ましい。前記股間部用外装シートの耐摩耗性を向上するためには、股間部用外装シートの外面側からエンボスを施すことにより、股間部用外装シートと裏面シート１２との一体化を図るようにすることができる。股間部用外装シートは前記吸収性本体１０の全長にわたって設けてもよいが、離隔して配置されている後身頃用外装シートと前身頃用外装シートとを連結するように、股間部のみに設けるのが好ましい。

前記ギャザー押さえシート２１Ａ及びバックシート２１Ｂの構成素材としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用い、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法にて得られた不織布を用いることができる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型のバイコンポーネント不織布やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維による不織布を用いることができる。前記バイコンポーネント不織布は、熱融着性に優れたものとすることができるため好ましい。

（非伸縮領域３０について）
本発明に係るパンツ型使い捨ておむつ１では、図１及び図５に示されるように、外装シート２０の前身頃においては吸収性本体１０の前端１０ａとウエスト開口部ＷＯの前側開口端２０ａとの間に、外装シート２０の後身頃においては吸収性本体１０の後端１０ｂとウエスト開口部ＷＯの後側開口端２０ｂとの間にそれぞれ、これらの間に配置されたウエスト部弾性部材２４、２４…の全部について、ウエスト部弾性部材２４、２４…を細かく切断することによってウエスト部弾性部材２４の伸縮力を作用させない非伸縮領域３０が形成されている。前記非伸縮領域３０は、吸収性本体１０の幅寸法以下の範囲に形成され、これより幅方向外側には切断されないウエスト部弾性部材２４、２４…が配置されている。

前記非伸縮領域３０を設けることにより、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂとウエスト開口部ＷＯの開口端２０ａ、２０ｂとの間の外装シート２０部分の収縮力が大幅に抑制され、吸収性本体１０の縮こまりが生じにくくなり、この部分のシワの発生もなくなる。このため、ウエスト部弾性部材２４本来の伸縮力が作用でき、ウエスト周りのフィット性が向上するとともに、吸収性本体１０の縮こまりによるシワが生じないため漏れが防止できるようになる。

特に、本パンツ型使い捨ておむつ１は、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂからウエスト開口端２０ａ、２０ｂにかけての上下方向の距離Ｃａ、Ｃｂがそれぞれ、４０mm以下に設定された幼児用おむつなどの股上の短い小型のおむつに効果的である。前記距離Ｃａ、Ｃｂが４０mmを超えていれば、ウエスト開口端に近い側に配置されたウエスト部弾性部材２４が吸収性本体１０の剛性の影響を受けずに弾性部材本来の伸縮性を発揮できるのであるが、前記距離Ｃａ、Ｃｂが４０mm以下の小型のおむつの場合、この間に配置されたウエスト部弾性部材２４が吸収性本体１０の剛性の影響を受けやすく、ウエスト部弾性部材２４本来の伸縮性を発揮できないどころか、逆に吸収性本体１０の縮こまりの原因となり、吸収性本体１０の前後端部に大きなシワを生じさせ、このシワによって漏れを発生させるなどの悪影響をもたらしていた（図１３参照）。そこで、本おむつ１では、前記非伸縮領域３０を設けることによって、ウエスト部弾性部材２４本来の伸縮性を発揮できるようにするとともに、ウエスト部弾性部材２４の収縮力による吸収性本体１０の縮こまりを防止し、ウエスト回りの締付け状態を適正化し、穿かせるときの拡げやすさや、お腹周りの締付け感もなく、フィット性を向上させるとともに、漏れを防止している。

なお、前記非伸縮領域３０とは、ウエスト部弾性部材２４を細かく切断すること及び後段で詳述する他の非伸縮化手段によってウエスト部弾性部材２４の伸縮力を作用させない或いは伸縮力を大幅に減少させた領域のことであって、外装シート２０のギャザー押さえシート２１Ａ及びバックシート２１Ｂや後段で詳述するこの領域に配設される別部材自体の伸縮性によって若干の伸縮性が付与されている場合を含むものである。

前記非伸縮領域３０を設ける主な目的は、主に吸収性本体１０と外装シート２０との剛性差による影響をなくすことであるので、本おむつ１では、吸収性本体１０の剛度＞外装シート２０（吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂとウエスト開口端２０ａ、２０ｂとの間の外装シート２０部分）の剛度、の関係で形成されることが一つの条件となる。これとは逆に、この部分の外装シート２０の剛度が吸収性本体１０の剛度以上であれば、外装シート２０が吸収性本体１０の剛性の影響を受けずに適正に伸縮できることとなるため非伸縮領域３０を設ける必要がなくなる。

前記非伸縮領域３０のおむつ幅方向の寸法は、吸収性本体１０の幅寸法以下とすることが好ましい。非伸縮領域３０は吸収性本体１０とその前後端に延在する外装シート２０部分との間の剛性差による影響を緩和するために設けられるものであるので、吸収性本体１０の幅で形成すれば十分であるし、これより広く形成すると、ウエスト部分の伸縮性が必要以上に損なわれて、締付け力が低下し、おむつのずれ落ちが発生するおそれがある。前記非伸縮領域３０のおむつ幅方向の長さは、吸収性本体１０の幅寸法以下であれば、吸収性本体１０の幅全体でも一部でも構わない。また、前記非伸縮領域３０のおむつ長手方向の長さは、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂからウエスト開口端２０ａ、２０ｂにかけての範囲であれば、全部でも一部でも構わない。

前記非伸縮領域３０を設けることによって、ウエスト回り全体としての伸縮力が低下することが懸念されるため、前記非伸縮領域３０の幅寸法に応じて、該非伸縮領域３０より両側に延在するウエスト部弾性部材２４のテンションを上げるなどにより伸縮力を高くすることが好ましい。張力の増加割合としては、非伸縮領域３０の幅寸法に応じて変化させることができ、非伸縮領域３０の幅寸法が小さければ張力の増加割合を低く設定し、幅寸法が大きければ張力の増加割合を高く設定することができる。

前記非伸縮領域３０の配設パターンとしては、図６に示されるように、吸収性本体１０の幅方向範囲のうち、吸収性本体１０の剛性が相対的に高い部分に対応する幅方向範囲にのみ設け、それ以外の吸収性本体１０の幅方向範囲を通常の伸縮領域とすることができる。図示例では、吸収体１３の両側部に肌側に起立する立体ギャザーＢＳ、ＢＳが設けられ、この立体ギャザーＢＳを構成するギャザー不織布１５が吸収性本体１０の前後端部で折り畳まれ吸収体１３側に接合されることにより、吸収性本体１０の両側部が中央部に比べて相対的に剛性が高い部分とされている。このため、非伸縮領域３０は、この相対的に剛性が高い部分、即ち吸収性本体１０の両側部に対応する幅方向範囲にそれぞれ設けられ、その中間部では通常の伸縮領域としている。これにより、吸収性本体１０の剛性が特に高い部分で、ウエスト部弾性部材２４の伸縮力を作用させないようにしているため、伸縮力を作用させない領域を最低限に抑えて伸縮領域を広く取ることができるようになる。この他に、例えば、前記立体ギャザーＢＳが設けられない場合には、吸収体１３の幅を非伸縮領域３０とすることができるし、吸収体１３の中央部のみが２層構造とされ両側部が単層構造とされる場合には、中央部の２層構造の部分のみを非伸縮領域３０とすることができる。

また、図７に示されるように、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂからウエスト開口端２０ａ、２０ｂにかけての領域のうち、ウエスト開口端２０ａ、２０ｂの側に偏倚して非伸縮領域３０を設けても良い。具体的には、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂとウエスト開口端２０ａ、２０ｂとの間に上下方向に間隔をおいて複数、図示例では６本に亘って配置されたウエスト部弾性部材２４、２４…のうち、同図７(A)に示されるように、ウエスト開口端２０ａ、２０ｂに近接する側、図示例ではウエスト開口端２０ａ、２０ｂ側の３本のウエスト部弾性部材２４、２４…を細かく切断することにより伸縮力を作用させないようにしたり、同図７(B)に示されるように、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂに近接するウエスト部弾性部材２４の中央部からウエスト開口端２０ａ、２０ｂに近接するウエスト部弾性部材２４の両側に向けて、非伸縮領域３０のおむつ幅方向長さを漸次拡大させるようにしたりすることができる。このパターンは、おむつ股上が短い場合（おむつ前後方向の長さが短い場合、幼児用のおむつなど小型のおむつの場合）に特に有効である。つまり、股上が短いおむつでは、後身頃側のウエスト開口端２０ｂが臀部の割れ目近くに位置するため、非伸縮領域３０をウエスト開口端２０ｂの側に偏倚して設けることによって、吸収体１３近傍の臀部の割れ目付近の伸縮性を残したまま、ウエスト開口端２０ｂ近傍を非伸縮にでき、吸収体１３を臀部の曲線に沿ってフィットさせることが可能となり、漏れが確実に防止できるようになる。図７(A)に示されるパターンでは、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂとウエスト開口端２０ａ、２０ｂとの間に配置された複数のウエスト部弾性部材２４…のうち、この領域の上下方向の中央部より上側に位置するウエスト部弾性部材２４を非伸縮とすることが好ましい。

一方、図８に示されるように、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂからウエスト開口端２０ａ、２０ｂにかけての領域のうち、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂの側に非伸縮領域３０を偏倚して設けることも可能である。具体的には、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂとウエスト開口端２０ａ、２０ｂとの間に上下方向に間隔をおいて複数、図示例では６本に亘って配置されたウエスト部弾性部材２４、２４…のうち、同図８(A)に示されるように、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂに近い側、図示例では吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂ側の３本のウエスト部弾性部材２４、２４…を細かく切断することにより伸縮力を作用させないようにしたり、同図８(B)に示されるように、ウエスト開口端２０ａ、２０ｂに近接するウエスト部弾性部材２４の中央部から吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂに近接するウエスト部弾性部材２４の両側に向けて、非伸縮領域３０のおむつ幅方向長さを漸次拡大させるようにしたりすることができる。このパターンは、おむつ股上が長い場合（おむつ前後方向の長さが長い場合）に特に有効である。つまり、股上が長いおむつでは、ウエスト開口端がウエスト回りの比較的細い部分に位置するため、ウエスト開口端近傍の伸縮性を残したまま、非伸縮領域３０によって吸収性本体１０の縮こまりによるシワの発生が低減でき、ウエスト周りにフィットさせ、漏れが確実に防止できる。

図７(B)及び図８(B)に示される、おむつ長手方向に非伸縮領域３０の幅を漸次変化させたパターンでは、特に後身頃において、吸収性本体１０の後端１０ｂからウエスト開口端２０ｂにかけての領域に、ポケット空間を形成したような形状になるため、万一吸収性本体１０の後端１０ｂから便が漏れた場合でも、前記ポケット空間で捕捉でき、便漏れ防止効果を高めることができるようになる。

前記非伸縮領域３０の形成手段としては、前述のウエスト部弾性部材２４を細かく切断する方法の他、ウエスト部弾性部材２４をギャザー押さえシート２１Ａ及び／又はバックシート２１Ｂに熱融着させることにより伸縮性をなくす方法や、図９に示されるように、非伸縮領域３０に、非伸縮性で且つある程度の剛性を有するウレタン樹脂シートやクレープ紙などの別部材３１を、ホットメルト接着剤や熱融着などによって固着させることにより伸縮性をなくす方法などを用いることもできる。前記別部材３１の配設位置としては、外装シート２０の外面側（非肌当接面側）、ギャザー押さえシート２１Ａとバックシート２１Ｂとの間又は外装シート２０の内面側（肌当接面側）のいずれでもよい。また、別部材３１としてクレープ紙を用いる場合には、図１０に示されるように、吸収性本体１０の吸収体１３を囲繞する被包シート１４を延在させることにより設けてもよい。

ところで、前記非伸縮領域３０を形成するためにウエスト部弾性部材２４を細かく切断する場合、カッターロールなどによって外装シート２０のギャザー押さえシート２１Ａ及び／又はバックシート２１Ｂとともに切断すると、ギャザー押さえシート２１Ａ及び／又はバックシート２１Ｂの切断部分からの液の浸出等が発生するおそれがある。そこで、次のような対策を講じることができる。先ず第１の対策として、ウエスト部弾性部材２４を細かく切断した後、上記別部材３１と同様にウレタン樹脂シートやクレープ紙などの別部材３１を配設することができる。前記別部材３１としてクレープ紙を使用する場合には、吸収体１３を囲繞する被包シート１４を延在させることにより設けてもよい（図１０参照）。また第２の対策としては、図１１に示されるように、製造過程において、(A)バックシート２１Ｂにウエスト部弾性部材２４を接着固定した状態で、所定領域のウエスト部弾性部材２４、２４…を細かく切断した後、(B)ギャザー押さえシート２１Ａを積層させるとともに、この切断領域の上方に延在させたバックシート２１Ｂをギャザー押さえシート２１Ａの端部を回り込ませるようにギャザー押さえシート２１Ａの外面側に折り返し、(C)バックシート２１Ｂの折返し部分の外面側（肌当接面側）に撥水性不織布３２をホットメルト接着剤などによって固着させることができる。これにより、ウエスト部弾性部材２４とともにギャザー押さえシート２１Ａ及び／又はバックシート２１Ｂが切断されても撥水性不織布３２により液の浸出が防止できるようになる。

〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、吸収性本体１０の前後端１０ａ、１０ｂとウエスト開口端２０ａ、２０ｂとの間にウエスト部弾性部材２４のみを位置させていたが、前記腰回り弾性部材２６を位置させるようにしてもよい。この場合には、ウエスト部弾性部材２４及び腰回り弾性部材２６を細かく切断するなどの非伸縮化手段を施すことによって非伸縮領域３０を形成することができる。

１…使い捨ておむつ、１０…吸収性本体、１１…表面シート、１２…裏面シート、１３…吸収体、１４…被包シート、１５…ギャザー不織布、１６〜１８…糸状弾性伸縮部材、２０…外装シート、２１Ａ…ギャザー押さえシート、２１Ｂ…バックシート、２３…ウエスト部、２４…ウエスト部弾性伸縮部材、２５…胴周り部、２６…腰回り弾性伸縮部材、２９…脚周りライン、３０…非伸縮領域、３１…別部材、３２…撥水性不織布、ＬＯ…レッグ開口部、ＷＯ…ウエスト開口部

Claims

吸収体を含む吸収性本体と、この吸収性本体の外面側に一体的に設けられた外装シートとからなり、おむつ股下部で折り畳まれ前記外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、製品状態でウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記外装シートは、前身頃及び後身頃に上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配置された複数の弾性部材を有するとともに、前記吸収性本体の前後端と前記ウエスト開口部の開口端との間に、その間に配置された前記弾性部材のうち全部又は一部について伸縮力を作用させないことにより非伸縮領域が形成され、前記非伸縮領域は、前記吸収性本体の幅方向範囲のうち、前記吸収性本体の剛性が相対的に高い部分に対応する範囲に設けられていることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての上下方向の距離が４０mm以下に設定されている請求項１記載のパンツ型使い捨ておむつ。
前記非伸縮領域は、前記弾性部材を細かく切断するか、前記弾性部材を前記外装シートを構成するシート材に熱融着するか、非伸縮性の別部材を配設することにより形成されている請求項１、２いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。
前記非伸縮領域は、前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての領域のうち、前記ウエスト開口部の開口端側に偏倚して設けられている請求項１〜３いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。
前記非伸縮領域は、前記吸収性本体の前後端から前記ウエスト開口部の開口端にかけての領域のうち、前記吸収性本体の前後端側に偏倚して設けられている請求項１〜３いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。
前記非伸縮領域は、前記弾性部材を細かく切断することにより形成され、この非伸縮領域の肌当接面側に撥水性不織布が配設されている請求項１〜５いずれかに記載のパンツ型使い捨ておむつ。