本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する縦方向と横方向と厚さ方向と、を有し、着用者の胴回りに配置される胴回り部を備える使い捨ておむつであって、前記胴回り部は、前記厚さ方向に重ねて接合された内層シート及び外層シートを有し、前記胴回り部の腹側の前記横方向の中央部、かつ、前記縦方向の上端部には切り込みが設けられており、前記胴回り部の腹側において、前記切り込みの外縁に沿った縁部のうち少なくとも一部の領域には、前記内層シートと、前記外層シートとを接合する接着剤、及び、前記内層シート又は前記外層シートと、他の部材とを接合する接着剤、のうち少なくとも一方の接着剤が設けられていない、ことを特徴とする使い捨ておむつ。
このような使い捨ておむつによれば、切り込みの縁部のうち接着剤が設けられていない部分ではシート部材の剛性が高くならず、柔軟性が保たれるため、おむつ着用時において当該部分が着用者の肌と接触した場合であっても、着用者の肌に過度な刺激を与えにくくすることができる。
かかる使い捨ておむつであって、前記縁部のうち、前記切り込みの下端から前記縦方向の下方に所定の幅を有する領域には、前記内層シートと、前記外層シートとを接合する接着剤、及び、前記内層シート又は前記外層シートと、他の部材とを接合する接着剤、のうち少なくとも一方の接着剤が設けられていない、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、着用者の臍に接触する可能性が最も高い領域である切り込み縁部の下方領域に接着剤を設けないようにすることで、当該部分の剛性が高くなることを抑制できる。これにより、おむつ着用時において着用者の臍回りに刺激を与えにくくすることができる。
かかる使い捨ておむつであって、前記縁部のうち、前記切り込みの両横端から前記横方向の外側に所定の幅を有する領域には、前記内層シートと、前記外層シートとを接合する接着剤、及び、前記内層シート又は前記外層シートと、他の部材とを接合する接着剤、のうち少なくとも一方の接着剤が設けられていない、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、切り込み縁部の下方領域に加えて、切り込み縁部の横方向外側の領域にも接着剤を設けないようにすることで、切り込み縁部の全域について剛性が高くなることを抑制できる。これにより、おむつ着用時において着用者の臍回りの肌触りをより良好なものにすることができる。
かかる使い捨ておむつであって、前記内層シート又は前記外層シートには、前記内層シート及び前記外層シートとは異なる1以上のシート部材が接合されており、前記縁部のうち、前記切り込みの下端から前記縦方向の下方に所定の幅を有する領域には、前記内層シート又は前記外層シートと、前記シート部材とを接合する全ての接着剤が設けられていない、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、切り込み縁部の下方領域に、各シート部材(例えばプリントシート等)を接合するためのいずれの接着剤も設けられないようにすることで、当該部分に一部の接着剤が設けられている場合と比較して、切り込み縁部の剛性を低く保つことができる。これにより、着用者の臍回りに与えられる刺激をより弱くすることができる。
かかる使い捨ておむつであって、前記外層シートの前記縦方向の上端部であって、前記内層シートの前記縦方向の上端部から上側にはみ出した部分を前記縦方向の下側に折り返して前記内層シートの非肌側に重ねた折り返しシートを有し、前記折り返しシートの前記縦方向の下端の位置は、前記切り込みの下端の位置よりも低く、前記縁部のうち、前記切り込みの下端から前記縦方向の下方に所定の幅を有する領域には、前記折り返しシートと前記内層シートとを接合する接着剤が設けられていない、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、折り返しシートの下端部を腹側胴回り部の内層シートに接合することで、おむつ1を着脱する際に、折り返しシートの下端部が捲れあがってしまったり、着脱動作の邪魔になったりすることが抑制される。その際、切り込み縁部の下方領域には接着剤が設けられないようにすることで、当該部分の剛性が高くなることを抑制できる。これにより、折り返しシートと腹側胴回り部との接着領域を十分に確保しつつ、着用者の臍回りに与えられる刺激をより弱くすることができる。
かかる使い捨ておむつであって、前記切り込みの下端から前記縦方向の下方に所定の幅を有し、かつ、前記胴回り部の腹側の前記横方向の全体に亘る領域には、前記内層シートと、前記外層シートとを接合する接着剤、及び、前記内層シート又は前記外層シートと、他の部材とを接合する接着剤、のうち少なくとも一方の接着剤が設けられていない、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、着用者の臍に接触する可能性が最も高い領域である切り込み縁部の下方領域において剛性が高くなることを抑制できる。また、切り込み縁部下方領域の横方向全体に亘って接着剤が設けられていないことにより、横方向全体の剛性を低く抑えることが可能となり、おむつ着用時の肌触りが良好になる。
かかる使い捨ておむつであって、前記胴回り部の腹側において、前記縁部のうち前記接着剤が設けられていない部分よりも前記横方向の外側の領域には前記接着剤が設けられている、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、おむつの着用時において着用者の臍回りに刺激を与えにくくしつつ、シート部材同士の接合部分の面積を大きくすることで当該接合部分の強度を高くすることができるため、腹側胴回り部の全体(おむつ1)をより丈夫に形成することが可能となる。
かかる使い捨ておむつであって、前記胴回り部の腹側において、前記内層シートと前記外層シートとの間には、前記横方向に伸縮可能な弾性部材が前記横方向に伸長された状態で設けられており、前記内層シートと前記外層シートとは、前記弾性部材の表面の少なくとも一部に設けられた接着剤を介して互いに接合されており、前記縁部のうち、前記切り込みの下端から前記縦方向の下方に所定の幅を有する領域には、前記弾性部材が配置されていない、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、弾性部材(例えば糸ゴム)に塗布された接着剤が切り込み縁部の下方領域に設けられないため、当該部分の剛性が高くなることを抑制することができる。また、糸ゴムの配置によって接着領域を自在に形成することができるため、腹側胴回り部に作用する弾性力や接合強度に関する設計の自由度が高くなる。また、全体として接着剤の使用量を少なくして、腹側胴回り部の剛性が高くなることを抑制できる。
かかる使い捨ておむつであって、前記縁部のうち、前記切り込みの両横端から前記横方向の外側に所定の幅を有する領域には、前記弾性部材が配置されていない、ことが望ましい。
このような使い捨ておむつによれば、切り込み縁部の下方領域に加えて、切り込み縁部の横方向外側の領域にも接着剤が設けられていないことにより、切り込み縁部の全域について剛性が高くなることが抑制される。これにより、おむつ着用時において着用者の臍回りの肌触りをより良好なものにすることができる。
===第1実施形態===
図1は、第1実施形態に係るパンツ型の使い捨ておむつ1(以下、単に、おむつ1と呼ぶ)の概略斜視図である。図2は、おむつ1の展開状態を表す平面図である。図3は、図2のY−Y断面について表す概略断面図である。なお、図3ではおむつ1の断面構造を説明するために、実際の構造を簡略化して表示している。例えば、腹側胴回り部40等の各部材の大きさや腹側糸ゴム43の数量等は、実際のおむつ1とは異なる場合がある。
おむつ1は、主に新生児を着用対象としたパンツ型おむつであり、図1のパンツ型状態において、互いに直交する縦方向と横方向とを有する。また、図2において展開状態の横方向は図1のパンツ型状態での横方向と同義である。一方、展開状態の縦方向はパンツ型状態の縦方向に沿った方向であるが、両者は若干意味が異なる。そのため、以下の説明では、必要に応じて図2における縦方向を「展開状態での縦方向」等と呼んでパンツ型状態での縦方向と区別する場合がある。また、図3に示されるように、厚さ方向に関して着用対象者に接触する側のことを「肌側」と言い、その逆側のことを「非肌側」と言う。
本実施の形態に係るおむつ1は、所謂3ピースタイプであり、3つの部品を有している。すなわち、このおむつ1は、第1部品として、着用者の股間部にあてがわれ尿等の排泄物を吸収する吸収性本体10を有し、第2部品として、同着用者の背側部を覆う背側胴回り部30を有し、第3部品として、同着用者の腹側部を覆う腹側胴回り部40を有している。
図2の展開状態では、背側胴回り部30と腹側胴回り部40とが互いに縦方向(展開状態での縦方向)に間隔をあけて平行に並んだ状態で、これらの間に吸収性本体10が掛け渡されている。そして、吸収性本体10の一端部10aに背側胴回り部30が、他端部10bに腹側胴回り部40が固定されており、その外観形状は平面視略H形状をなしている。換言すれば、吸収性本体10の一端側に背側胴回り部30が位置し、吸収性本体10の他端側に腹側胴回り部40が位置している。なお、図2の展開状態は、背側胴回り部30等の各部材に対して後述する各種弾性部材による収縮力が発現していない場合において平坦に延びたときのおむつ1の形状について表している。
そして、この状態から、吸収性本体10が、その長手方向(つまり、縦方向)におけるおむつ1の中央(展開状態のおむつ1の縦方向における一端と他端の真ん中)の位置を折り位置として二つ折りされる。この二つ折りの状態において互いに対向する背側胴回り部30と腹側胴回り部40とが、横方向の縁部にて接合・連結されると、これら胴回り部同士が環状に成形される。つまり、おむつ1は、背側胴回り部30の横方向における背側両縁部30aと腹側胴回り部40の横方向における腹側両縁部40aが連結(接合)されて形成されている。これにより、図1に示すような胴回り開口1a及び一対の脚回り開口1bが形成された着用状態のおむつ1となる。なお、本実施の形態においては、縦方向における腹側胴回り部40の上端40bの位置と縦方向における背側胴回り部30の上端30bの位置とを一致させた状態で、背側両縁部30aと腹側両縁部40aとが連結されている。換言すれば、背側両縁部30aの上端と腹側両縁部40aの上端とが揃うように互いに連結されている。
以下、3つの部品について、吸収性本体10、腹側胴回り部40、背側胴回り部30の順に説明する。
吸収性本体10は、着用者の股間(股下)に対応し、尿等の排泄物を吸収するためのものである。図2に示すように、吸収性本体10は平面視長方形状を有しており、長手方向(長辺方向)が展開状態での縦方向に沿うように設けられている。そして、図3に示すように吸収性本体10は、吸収体11と、同吸収体11を肌側から覆うトップシート部材13と、同吸収体11を非肌側から覆って吸収性本体10の外装をなすバックシート部材15と、を備えている。
吸収体11は、液体吸収性素材を積層してなる部材(吸収性コア)であり、尿等の排泄物を吸収することができる。吸収体11は、パルプ(パルプ繊維)と吸収性ポリマー(SAP)とを有している。なお、本実施の形態に係る吸収体11は、平面視略砂時計形状を有している。すなわち、展開状態の吸収体11は、当該吸収体11の縦方向における中央部分に、横方向の内側へ窪んだ窪み部12を備え、当該窪み部12において、吸収体11の幅が最も狭くなっている。なお、窪み部12の縦方向位置は、図2では中央よりも腹側胴回り部40側であるが、おむつ1のサイズによっては背側胴回り部30側となる場合もある。一方で、吸収体11の縦方向における端部(吸収体11の背側上端11aや腹側上端11b)には、窪み部12が設けられておらず、当該端部(吸収体11の背側上端11aや腹側上端11b)においては、吸収体11の幅が最も広くなっている。本実施の形態において、吸収体11の最大幅W11は約120mmである。また、吸収体11は、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートからなるコアラップ(不図示)で被覆されていても良い。
トップシート部材13は、例えば吸収体11よりも大きい平面サイズの液透過性の不織布等からなるシート部材である。バックシート部材15は、例えば吸収体11よりも大きい平面サイズのシート部材であり、その一例としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等の液不透過性の防漏シート15aと、不織布等の外層シート15bとが貼り合わされた二層構造のシートが挙げられる。そして、これらバックシート部材15とトップシート部材13との間に吸収体11を挟んだ状態において、吸収体11の四辺から外側にはみ出す部分にて、バックシート部材15とトップシート部材13とが額縁状に貼り合わされ、これにより、吸収性本体10が形成されている。なお、バックシート部材15が外層シート15bを有さず、防漏シート15aのみによって構成されていても良い。
また、吸収性本体10の横方向における両側部に位置する部位、つまり、一対のサイドフラップ26には、縦方向に沿って伸縮するレッグギャザーLG(脚回り伸縮部)がそれぞれ設けられている。レッグギャザーLGは、不織布により形成され、縦方向に沿って伸縮する弾性部材(具体的には、糸ゴム。便宜上、LG糸ゴム26aと呼ぶ)を備えている。そして、当該LG糸ゴム26aがサイドフラップ26に伸縮性を付与することによって、レッグギャザーLGが構成される。
また、吸収性本体10の横方向において、レッグギャザーLG(サイドフラップ26)よりも内側には、一対のレッグサイドギャザーLSG(立体ギャザー)が設けられている。レッグサイドギャザーLSGは、吸収性本体10の肌側に備えられ、脚繰りの隙間からの液漏れを防止する役割を果たす。レッグサイドギャザーLSGは、不織布により形成されている。レッグサイドギャザーLSGは、吸収性本体10の横方向におけるレッグサイドギャザーLSGの内側端部に頂点28を備え、頂点28及び頂点28よりも外側の不織布が立ち上がるようになっている。また、レッグサイドギャザーLSGの頂点28には、縦方向に沿って伸縮する弾性部材(具体的には、糸ゴム。便宜上、LSG糸ゴム29と呼ぶ)が設けられている。
腹側胴回り部40は、着用者の腹部に対応するシート状部材を有する。この腹側胴回り部40は、不織布等からなる平面視長方形状のシートであり、長手方向(長辺方向)が横方向に沿うように設けられている。腹側胴回り部40は、図3に示されるように、厚さ方向の肌側から内層シート41及び外層シート42を二枚重ねにした状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いて互いに接合することにより形成されている。なお、内装シート41及び外装シート42が一枚の部材(同一の部材)であり、一枚の部材を折り畳んで重ねることによって腹側胴回り部40が形成されるのであっても良い。そして、腹側胴回り部40は、吸収性本体10の他端部10bに重ねられ、同接着剤を用いて接合固定されている。腹側胴回り部40の吸収性本体10に重ねられた部分は、横方向における腹側胴回り部40の中央部に設けられている。
腹側胴回り部40の横方向における中央部であって、縦方向における上端40bには、切り込み45が設けられている。この切り込み45は、着用者の臍(へそ)や臍に取り付けられたクリップ等がおむつ1に当たらないようにするためのものである。
図4は、切り込み45について説明する図である。本実施形態に係る切り込み45は、おむつ1をパンツ型とした状態において、図4に示されるように深さD1、幅W1を有する矩形状である。切り込み45の縦方向の深さD1は、腹側胴回り部40の縦方向の上端40bと切り込み45の縦方向の下端45аとの間の距離で表される。すなわち、深さD1は、切り込み45の縦方向の最大長さである。本実施形態において、深さD1は、例えば15mm程度である。切り込み45の横方向の幅W1は、腹側胴回り部40の縦方向の上端40bと切り込み45とが交差する点である2つの側端45bの間の距離で表される。すなわち、幅W1は、切り込み45の横方向の最大長さである。本実施形態において、幅W1は、例えば85mm程度である。
なお、実際の製品においては、後述する腹側糸ゴム43等の弾性部材の作用により腹側胴回り部40が横方向に収縮するため、製品を自然状態で平置きにして見たときの切り込み45の幅W1は20〜40mm程度となる。但し、弾性部材の収縮度合いに応じてこれよりも広くなる場合や狭くなる場合もある。上述した深さD1や幅W1の長さは、腹側糸ゴム43等の各種弾性部材による収縮力が発現していない場合において腹側胴回り部40を平坦に延ばしたときの状態で測定される長さである。
腹側胴回り部40は、切り込み45の外縁に沿った縁部46を有する。図4の斜線部で表示されるように、縁部46は、切り込み45の外縁からの距離D2の範囲に設けられている。すなわち、縁部46は、腹側胴回り部40において切り込み45の外縁に沿って所定の幅D2を有する領域である。本実施形態において、縁部46の幅D2は2mm以上D1(15mm)以下の長さを有する。以下では、幅D2は2mmであるとする。
また、切り込み45の形状は必ずしも図4のような矩形状である必要は無く、形状に制限は無い。図5A及び図5Bは、切り込み45の形状の変形例について説明する図である。図5Aの例では、切り込み45が、縦方向の下方へ湾曲した円弧状に形成されている。この場合、縁部46は、図5Aの斜線部で示されるように切り込み45の外縁に沿った幅D2の円弧状に形成される。図5Bの例では、切り込み45が、縦方向に所定の長さを有する直線状のスリットとして形成されている。この場合、縁部46は、図5Bの斜線部で示されるように切り込み45の外縁を取り囲むような。幅D2の矩形状に形成される。なお、切り込み45の形状が図5Bに示されるようなスリットである場合、おむつ1の着用時において腹側胴回り部40が横方向に伸長されるのに応じて該切り込み45(スリット)も横方向両側に引っ張られ、縦方向の上方側が横方向に開くことによりスリットがV字型に変形する。これにより、おむつ1の着用時に着用者の臍等が腹側胴回り部40に当たらないようにすることができる。
図2に戻って、腹側胴回り部40には、横方向に沿って伸縮する弾性部材が、縦方向に複数並んで配置されている。この弾性部材は、例えば、糸ゴムや伸縮性ウレタン等であり、以下では便宜上、腹側糸ゴム43と呼ぶ。腹側糸ゴム43は、横方向に伸長された状態で腹側胴回り部40に接着剤により接合固定されている。そして、このことにより、腹側胴回り部40には、横方向の伸縮性が付与され、おむつ1の胴回り開口1aに伸縮性を与えている。
また、腹側胴回り部40を構成する内層シート41及び外層シート42が横方向に伸縮可能なシート部材(例えば伸縮性不織布)によって構成されていても良い。この場合、腹側糸ゴム43を設けなくても伸縮性不織布自体の弾性力(収縮力)によって腹側胴回り部40に横方向の伸縮性を発現させることができる。
背側胴回り部30は、着用者の背部に対応するシート状部材を有する。この背側胴回り部30は、不織布等からなる平面視長方形状のシートであり、長手方向(長辺方向)が横方向に沿うように設けられている。背側胴回り部30は、図3に示されるように、厚さ方向の肌側から内層シート31及び外層シート32を二枚重ねにした状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いて互いに接合することにより形成されている。なお、内装シート31及び外装シート32が一枚の部材(同一の部材)であり、一枚の部材を折り畳んで重ねることによって背側胴回り部30が形成されるのであっても良い。そして、背側胴回り部30は、吸収性本体10の一端部10aに重ねられ、接合固定されている。背側胴回り部30の吸収性本体10に重ねられた部分は、横方向における背側胴回り部30の中央部に設けられている。
背側胴回り部30には、腹側胴回り部40とは異なり、切り込みが設けられていない。上述したように、切り込み45は、着用者の臍等がおむつ1に当たらないようにすることを目的として設けられているため、背側には切り込み45に相当する切り込みを設ける必要が無いからである。
背側胴回り部30には、腹側胴回り部40と略同様に、横方向に沿って伸縮する弾性部材(便宜上、背側糸ゴム33と呼ぶ)が、縦方向に複数並んで配置されている(図2参照)。背側糸ゴム33は、横方向に伸長された状態で背側胴回り部30に接着剤により接合固定されている。そして、このことにより、背側胴回り部30には、横方向の伸縮性が付与され、おむつ1の胴回り開口1aに伸縮性を与えている。また、腹側胴回り部40と同様に、背側胴回り部30を構成する内層シート31及び外層シート32が横方向に伸縮可能な伸縮性不織布等によって構成されていても良い。
<切り込み45の周囲における接着剤の配置について>
上述したように、腹側胴回り部40を構成する内層シート41及び外層シート42(及び腹側糸ゴム43)は接着剤によって互いに接合されている。一般に、シート部材に接着剤が設けられた場合、当該接着剤が設けられた部分は、接着剤が設けられていない部分と比較してシート部材の剛性が高くなり、硬くなる。したがっておむつ1において、切り込み45の外縁を含む縁部46(すなわち、切り込み45のエッジに相当する部分)に接着剤が設けられていると、当該縁部46の剛性が高くなり、着用者の臍回りの肌触りが悪化するおそれがある。特に、新生児は肌が弱いため、おむつ1の着用時において縁部46の剛性が臍回りに過度な刺激を与え、不快感を大きくする要因となり得る。このような場合、着用者の臍等にシート部材が当たりにくくするために形成された切り込み45が、かえって肌触りを悪化させてしまうことになる。
そこで、本実施形態のおむつ1では、腹側胴回り部40に形成された切り込み45の縁部46について、少なくとも一部の領域に接着剤が設けられないようにすることで、着用時において着用者の肌へ縁部46が過度な刺激を与えることを抑制している。以下、おむつ1における接着剤の配置について説明する。
図6A〜図6Cは、おむつ1の腹側胴回り部40で接着剤が設けられている領域について説明するための概略平面図、及び、一部の断面図である。同図6A〜図6Cでは、切り込み45の縁部46が形成されている領域を斜線部で表示し、接着剤が設けられた領域(以下、接着領域HMAとも呼ぶ)を網掛けで表示している。なお、図6A〜図6Cはいずれも腹側胴回り部40を横方向に伸長させた状態について説明するものである。
図6Aに示されるように、腹側胴回り部40では横方向に沿った所定の領域に帯状の接着領域HMAが形成されている。そして、縁部46のうち下方の領域には接着領域HMAが形成されていない。すなわち、図6Aにおいて、切り込み45の外縁の下端から下方側へ幅D2の領域には横方向の全体に亘って接着剤が設けられていない。この縁部46下方領域は、おむつ1の着用時において、着用者の臍に接触する可能性が最も高い領域であり、また、新生児がおむつ1を着用した状態で前傾姿勢を取った場合などには、臍回りの肌に食い込む可能性のある領域である。したがって、切り込み45の下端から所定の幅(幅D2)を有する範囲に接着剤を設けないことにより、当該部分の剛性が他の部分(網掛けで表示された接着領域HMAの部分)よりも低くなり、着用者の臍回りに刺激を与えにくくすることができる。
上述したように、縁部46の幅D2は約2mm程度とすることが望ましい。つまり、本実施形態のおむつ1では、切り込み45の下端45aから少なくとも2mmの距離を空けて接着材が塗工されている。但し、おむつ1のサイズや種類に応じて縁部46の幅D2を2mm以下としても良い。
一方、図6Aにおいて、縁部46のうち横方向両側の一部の領域と接着領域HMAとは重複している。すなわち、切り込み45の横方向の両側には接着剤が設けられている領域がある。当該領域は、横方向の中央から少なくとも切り込み45の幅W1の1/2以上離れており(図4参照)、おむつ1の着用時において直接臍に当たる可能性が低い。そのため、この領域の剛性が高くなっていたとしても、縁部46の下端45aの領域の剛性が高くなる場合と比較して着用者の臍部に過度な刺激を与える可能性は低い。そのため、縁部46の横方向の両側には接着材を設けることが可能である。
接着領域HMAを形成する接着剤の塗工方法は、内層シート41及び外層シート42の少なくとも一方の所定の領域にスパイラル塗工、Ω塗工、コントロールシーム塗工等の公知の接着剤塗工方法を用いて行われる。図6Aの網掛けで表示された接着領域HMAの全範囲に均一に接着剤が設けられているものには限られない。また、接着剤を塗工して内層シート41及び外層シート42を互いに接合する際には、腹側糸ゴム43が横方向に伸長された状態で内層シート41及び外層シート42の間に挟み込まれて接合される(図6AのA−A断面図等参照)。この腹側糸ゴム43の収縮力により、腹側胴回り部40に横方向の伸縮性が付与される。なお、腹側糸ゴム43の配置は、図6Aに示される限りではない。例えば、接着領域HMA中で腹側糸ゴム43が全く配置されていない部分があっても良いし、接着領域HMA以外の部分に腹側糸ゴム43が配置されていても良い。また、図6では腹側糸ゴム43と外層シート42との間に接着領域HMAが設けられているが、腹側糸ゴム43と内層シート41との間に接着領域HMAが設けられていても良い。
図6Bは、図6Aの場合よりも接着領域HMAを広く取った場合について表している。同図6Bでは、腹側胴回り部40において、縁部46の下方領域のうち、横方向中央の所定の幅の領域に接着剤が設けられておらず、それ以外の領域には接着剤が設けられている。すなわち、切り込み45の外縁の下端(図6Bにおいて切り込み45の底辺に相当)から下方側へ幅D2の領域に接着剤が設けられていない。これにより、おむつ1の着用時において着用者(新生児)の臍回りに刺激を与えにくくしつつ、内層シート41及び外層シート42の接合部分の面積を大きくすることで、腹側胴回り部40の全体の接合強度を高くしておむつ1をより丈夫に形成することができる。
図6Cは、切り込み45の縁部46全体と接着領域HMAとが重複しないように接着剤が設けられた場合について表している。図6Bと比較して縁部46の横方向両側領域(切り込み45の外縁の両横端よりも横方向外側の幅D2の領域)にも接着剤が設けられないため、縁部46の全体について剛性が高くなることが抑制される。すなわち、切り込み45の外縁(エッジ)部分の全体が柔らかく形成されるため、着用者の腹側における肌触りをより良好なものとすることができる。また、接着剤が設けられていない領域よりも横方向の外側(すなわち縁部46の横方向外側の領域)には接着剤が設けられているので、腹側胴回り部40全体としての接合強度も十分に確保される。
なお、図6A〜図6Cでは、いずれも縁部46のうち下方の領域(切り込み45の下端から下方側へ幅D2の領域)に接着剤が設けられていない場合の例について示されているが、縁部46のうち少なくとも一部に接着剤が設けられていなければ、その部分において剛性が高くなることが抑制されるため、着用者の肌触りを向上させる効果がある。
また、内層シート41及び外層シート42が横方向に伸縮可能な伸縮性不織布等によって形成されている場合も同様である。図7は、おむつ1の腹側胴回り部40が伸縮性を有するシート部材によって形成される場合に、接着剤が設けられる領域について説明する図である。なお、図7では、図6Cに対応させて、縁部46の全体と接着領域HMAとが重複しない場合の例について示している。同図7では、伸縮性不織布が使用されているため腹側糸ゴム43は設けられておらず、内層シート41及び外層シート42が接着領域HMAを介して互いに直接接合されている。この場合も、接着領域HMAが形成される領域は、図6A〜図6Cで説明したのと同様である。すなわち、少なくとも切り込み45の縁部46のうちの一部、例えば、縁部46の下方領域(切り込み45の下端から下方側へ幅D2の領域)には接着剤が設けられていない。これにより、縁部46の剛性が高くなることが抑制され、着用者の臍回りにおける肌触りを良くすることができる。
また、接着領域HMAを形成する接着剤が内層シート41若しくは外層シート42側に設けられるのではなく、腹側糸ゴム43側に設けられるのであっても良い。図8は、糸ゴムに接着剤が設けられる場合の接着領域について説明する図である。図8のA−A断面及びB−B断面に示されるように、内層シート41及び外層シート42は、腹側糸ゴム43の表面に塗布された接着剤を介して互いに接合されている。つまり、腹側糸ゴム43が配置されている領域が接着領域HMAとなる。
図8では、横方向に沿った腹側糸ゴム43が縦方向に間欠的に複数並んで配置されることによって略縞模様状の接着領域HMAが形成されている。そして、複数の腹側糸ゴム43は、切り込み45の縁部46と重複しないようにそれぞれ配置されている。具体的には、縦方向において、縁部46の下端よりもさらに下側の領域に腹側糸ゴム43が配置されている。つまり、縁部46の下方領域(切り込み45の下端から下方側へ幅D2の領域)には腹側糸ゴム43及び接着剤が設けられていない。これにより、縁部46の下方領域の剛性が高くなることを抑制し、おむつ1の着用時において、着用者の臍回りに刺激を与えにくくすることができる。また、腹側糸ゴム43の配置を調整することによって接着領域HMAを自在に形成することができるため、腹側胴回り部40に作用する弾性力や接合強度に関する設計の自由度が高くなる。さらに、全体として接着剤の使用量を少なくして、腹側胴回り部40全体として接着剤によって剛性が高くなってしまうことを抑制できる。
一方、横方向においては、縁部46の両端よりもさらに外側に腹側糸ゴム43が設けられている。言い換えると、腹側胴回り部40の縦方向の上端40bから高さD1の範囲において横方向に沿って配置されている腹側糸ゴム43のうち縁部46に近い方の横方向端部が、縁部46よりも横方向の外側になるように配置されている。つまり、縁部46のうち横方向両側の領域(切り込み45の外縁の両横端から横方向外側の幅D2の領域には腹側糸ゴム43及び接着剤が設けられていない。これにより、縁部46全域について剛性が高くなることが抑制され、おむつ1着用時の肌触りをより良好にすることができる。
腹側糸ゴム43への接着剤の塗工は、スリット塗工やスパイラル塗工等の公知の接着剤塗工方法を用いて行われる。また、図8の例では腹側糸ゴム43の全体に接着剤が設けられているが、腹側糸ゴム43の長手方向に沿って間欠的に接着剤が設けられるようにしても良い。
<腹側胴回り部40に他の部材が接合される場合について>
おむつ1では、腹側胴回り部40に他の部材が接合される場合がある。すなわち、内層シート41,外層シート42, 腹側糸ゴム43以外の「他の部材」が接着剤によって接合される場合がある。以下では、そのような「他の部材」が接合される場合における接着剤の配置について説明する。
図9は、腹側胴回り部40に別体シート部材50が設けられる場合に、別体シート部材50を接合する接着剤の配置について説明する図である。本実施形態において別体シート部材50は、フィルムや不織布等により構成され、その表面に所定の色や画像が付されたプリントシートである。このような別体シート部材50を設けることで、おむつ1のデザイン性を向上させることができる。図9では、別体シート部材50が内層シート41と外層シート42との間に挟まれて設けられているが、別体シート部材50が外層シート42よりも非肌側(つまり腹側胴回り部40の最外装)に設けられても良いし、内層シート41よりも肌側に設けられていても良い。すなわち、別体シート部材50は、腹側胴回り部40において、吸収性本体10よりも非肌側に設けられるシートである。なお、以下の図9〜図12では腹側糸ゴム43を省略して表示しているが、腹側糸ゴム43が設けられていても良い。
図9に示されるように、縁部46の下方領域(切り込み45の下端から下方側へ幅D2の領域)には別体シート部材50を接合するための接着剤が設けられていない。これにより、当該領域の剛性が他の領域よりも低くなり、着用者の臍回りに刺激を与えにくくすることができる。なお、図9では、別体シート部材50の非肌側表面に接着剤が設けられることで接着領域HMAが形成されている。当該接着領域によって別体シート部材50が外層シート42に接合される。この場合、別体シート部材50の肌側は、内層シート41と外層シート42とを接合する接着剤によって内層シート41と接合される。但し、背側及び腹側における接着剤の配置はこの逆でも良い。また、図9では、接着領域HMAと切り込み45の縁部46とが重複していない図6Cに対応したパターンで接着剤が設けられているが、図6〜図8で説明したいずれのパターンについても同様に適用可能である。なお、図9では腹側胴回り部40と別体シート部材50とを接合する接着剤によって形成される接着領域HMAのみについて説明されている。他の接着剤(例えば内層シート41と外層シート42とを接合する接着剤)の配置については図6等で説明した通りである。
図10A及び図10Bは、折り返しシート42fが設けられる場合に、折り返しシート42fを接合する接着剤の配置について説明する図である。折り返しシート42fは、厳密には外層シート42の一部であるが、ここでは他の部材として説明を行う。折り返しシート42fを設ける場合は、まず、外層シート42の縦方向の長さを内層シート41よりも長くして、厚さ方向に重ねた状態で外層シート42の縦方向上側端部が内層シート41の縦方向上側端部からはみ出すように構成する。そして、外層シート42のはみ出し部分が、図10Aに示されるように縦方向の下側(厚さ方向の肌側)に折り返されることで、折り返しシート42fが形成され、内層シート41に重ね合わせられて接合される。内層シート41の上端のエッジ部が折り返しシート42fによって覆われるため(図10AのB−B断面参照)、おむつ1の着用時において、内層シート41のエッジ部が着用者の肌と接触することが抑制され、肌触りがソフトになる。
折り返しシート42fと内層シート41との接合は、図10Aのように、折り返しシート42fの縦方向の下端部分に設けられた接着剤によって行われる。この折り返しシート42fを接合する接着剤(接着領域HMA)は、縁部46の下方領域(切り込み45の下端から下方側へ幅D2の領域)には設けられていない。これにより、縁部46の下方領域の剛性が高くならず、着用者の臍回りに刺激を与えにくくすることができる。なお、縁部46のうち横方向両側の領域の一部及びその外側の領域には接着剤が設けられていても良い。この理由は、上述の図6Aで説明したのと同様である。また、図10Aでは、上述の図6Aに対応したパターンで接着剤が設けられているが、図6〜図8で説明したいずれのパターンについても同様に適用可能である。
また、折り返しシート42fが設けられる場合、図10Bに示されるように、内層シート41の上端の位置が切り込み45の下端45aよりも低くなるようにしても良い。この場合、腹側胴回り部40の上方領域(腹側胴回り部40の縦方向の上端40bから高さD1の範囲)において、厚さ方向に重ねられるシート部材の数が少なくなるため、当該上方領域が柔らかくなり、おむつ1着用時おける肌触りがより良好になる。
本実施形態では、折り返しシート42fの上端から下端までの縦方向の長さL42fが、切り込み45の上端から縁部46の下端までの縦方向の長さ(D1+D2)よりも長くなるように形成されている。そして、縁部46の下端よりも下側の位置に接着領域HMAが形成される。仮に、L42fがD1+D2よりも短いとすると、縁部46の下方領域において、折り返しシート42fの下端部を接着剤によって接合することができなくなる。すなわち、折り返しシート42fの下端部に非接合部ができる。この場合、おむつ1を着脱する際に、該非接合部が捲れあがってしまったり、着脱動作の邪魔になったりすることがあり、問題となる。これに対して、L42fを長くすることにより、縁部46の下端部と接着領域HMAとが重複しないようにしつつ折り返しシート42fの下端部の全体を内層シート41と接合することが可能となる。
また、折り返しシート42fが設けられる場合には、さらにカバーシート部材60が設けられていても良い。カバーシート部材60は、折り返しシート42fの下端部分を厚さ方向に覆うことで、折り返しシート42fの下端エッジが着用者の肌と直接接触しないようにするための部材である。図11は、カバーシート部材60が設けられる場合に、カバーシート部材60を接合する接着剤の配置について説明する図である。カバーシート部材60を接合する接着剤(接着領域HMA)も、上述の各実施例と同様に、縁部46の下方領域(切り込み45の下端から下方側へ幅D2の領域)には設けられていない。これにより、縁部46の下方領域の剛性が高くならず、着用者の臍回りに刺激を与えにくくすることができる。
なお、折り返しシート42fが設けられていない場合に、カバーシート部材60が設けられていても良い。この場合、カバーシート部材60は吸収性本体10の上端部分を厚さ方向に覆うことで、吸収性本体10の上端エッジが着用者の肌と直接接触しないようにする。
また、腹側胴回り部40と接合される他の部材には、吸収性本体10も含まれる。図12は、吸収性本体10と腹側胴回り部40とを接合する接着剤の配置について説明する図である。同図12に示されるように、吸収性本体10の縦方向腹側の端部には、腹側胴回り部40と重ね合わせた状態で切り込み45と同形状の切り込みが形成されている。したがって、吸収性本体10の一部は、腹側胴回り部40の切り込み45の縁部46と厚さ方向に重複している。本実施形態では、図12に示されるように、吸収性本体10と腹側胴回り部40(内層シート41)とを接合する接着剤(接着領域HMA)が、縁部46の下方領域(切り込み45の下端から下方側へ幅D2の領域)には設けられていないため、当該領域の剛性が高くならず、着用者の臍回りに刺激を与えにくくすることができる。これにより、本実施形態のおむつ1の主な着用対象者として想定される新生児の臍回りに過度な刺激を与えないという課題を解決することができる。また、図12では、上述の図6Aに対応したパターンで接着剤が設けられているが、図6〜図8で説明したいずれのパターンについても同様に適用可能である。なお、図12では吸収性本体10と腹側胴回り部40とを接合する接着剤によって形成される接着領域HMAのみについて説明されている。他の接着剤(例えば腹側胴回り部40の内層シート41と外層シート42とを接合する接着剤)の配置については図6等で説明した通りである。
内層シート41または外層シート42に対して2以上の「他の部材」が接合される場合には、複数の「他の部材」のそれぞれについて接着領域HMAが形成される。例えば、おむつ1の製造過程において、別体シート部材50と外層シート42とを接合する接着剤、及び、吸収性本体10と内層シート41とを接合する接着剤はそれぞれ別々に塗工される。切り込み45の縁部46の剛性が高くなることを抑制するためには、これらの接着剤のいずれもが縁部46に設けられていないことが望ましい。縁部46に全く接着剤が設けられていなければ、その分、縁部46を柔らかく保つことが可能となり、着用者の臍回りに過度な刺激を与えることが抑制されるからである。但し、これらの接着剤のうちいずれかの接着剤が縁部46に設けられないようにするだけでも、着用者の臍回りに与えられる刺激を弱くするという効果を得ることができる。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱すること無く、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでも無い。例えば、以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、使い捨ておむつの一例として3つの部品10,30,40によって構成される所謂3ピースタイプのおむつ1について説明されていたが、使い捨ておむつの種類はこの限りではない。例えば、腹側胴回り部40及び背側胴回り部30が一体的に構成された一体型の外装部材と、吸収性本体10との2つの部品からなるパンツ型の使い捨ておむつ等にも適用可能である。この場合も、一体型外装部材のうち腹側の胴回り部の横方向中央部かつ縦方向上端部に切り込みが設けられる。そして、一体型外装部材(腹側胴回り部)を構成する内層シート、外層シート、及び、その他の部材(例えばプリントシート等)を接合する接着剤が切り込みの縁部の少なくとも一部に設けられないようにすることで、該切り込み周囲の剛性が高くなることを抑制することができる。これにより、着用者の肌へ過度な刺激が与えられることが抑制される。