JP6057216B2 - インサート成形方法及びインサート成形品 - Google Patents
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Description
しかしながら、樹脂絶縁体と金属導電体から成るインサート成形品は、線膨張係数の小さな金属と、成形収縮率や線膨張係数の大きい樹脂又は樹脂組成物とが接触しているため、射出成形時及び冷却時にその界面には大きな熱応力が発生して、金属導電体と樹脂絶縁体との界面の密着性が低下する問題がある。特に、成形後の冷却過程においては、樹脂絶縁体が大きく収縮するために金属導電体と樹脂絶縁体との界面の密着性が低下しやすい。その結果、金属導電体と樹脂絶縁体との間に隙間が生じ、その隙間から水が浸入する虞があった。
小型軽量化用の樹脂絶縁体として、電気特性に優れ耐熱性が高いエンジニアリングプラスチックが使用されており、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂などが使われている。特に近年、低吸水で寸法安定性が良く、流動性が高い事により薄肉成形が実現できるポリフェニレンサルファイド樹脂が自動車電装部品へ使用されることが増加している。
しかし、成形加工温度が高いポリフェニレンサルファイド樹脂へ、融点が100℃以上低いポリオレフィン系樹脂を添加すると、添加されたポリオレフィン系樹脂が炭化劣化することによる異物の問題、熱分解によって生じたポリオレフィン系樹脂の低分子量体によって金型を汚染する問題があり、また、形状や成形条件によっては密着の効果が十分発揮されないなどと課題も多く、新たな密着技術が望まれていた。
しかし、インサート部品へ表面処理を行なってから成形するまでの間を注意深く管理する必要が有り、量産化するには問題があった。
インサート部品が銅又は銅合金からなり、
熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン系樹脂又は変性ポリフェニルエーテル樹脂からなり、
射出成形前にインサート部品における熱可塑性樹脂で覆われる部分の表面に主としてクロロスルホン化ポリエチレン、架橋剤および架橋促進剤を含む混合物からなる薄膜層を形成し、熱可塑性樹脂の溶融樹脂を射出する射出成形時の金型内で加温された金型及び溶融樹脂の熱を利用して薄膜層が架橋反応をおこしてインサート部品及び熱可塑性樹脂とも架橋させることを特徴とする。
このように、本発明のインサート成形方法によれば、銅及び銅合金からなるインサート部品の熱可塑性樹脂で覆われる部分の表面に、主としてクロロスルホン化ポリエチレンからなる薄膜層を射出成形前に形成しておき、薄膜層が形成されたインサート部品を金型内に配置させて熱可塑性樹脂を金型内に射出することで、薄膜層が金型内の高温の樹脂や金型で加熱されて架橋してインサート部品と熱可塑性樹脂とが薄膜層を介して良好に密着する。その結果、射出成形後に熱可塑性樹脂が熱収縮を起こしても薄膜層がその弾性力により熱可塑性樹脂の収縮を吸収するので密着性は維持される。そして、インサート部品である金属導電体と熱可塑性樹脂からなる樹脂絶縁体との間には隙間が形成されず、良好な防水機能を発揮できる電装部品が得られる。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下PPS樹脂という)は、熱変形温度260℃以上、連続使用温度の実力値は170℃以上と優れ、耐薬品性にも優れ、絶縁性にも優れている。さらに、流動性がよく寸法安定性に優れるので精密な射出成形に適している。その結果、車載用として優れた電装部品が得られる。
ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン系樹脂又は変性ポリフェニルエーテル樹脂からなる樹脂絶縁体に、銅又は銅合金からなる金属導電体の一部が、主としてクロロスルホン化ポリエチレン、架橋剤および架橋促進剤を含む混合物からなる薄膜層の架橋を介して樹脂絶縁体及び金属導電体とも架橋して一体に結合されていることを特徴とする。
本発明のインサート成形品は、金属導電体と樹脂絶縁体との間に主としてクロロスルホン化ポリエチレンからなる薄膜層が形成されているので、薄膜層により樹脂絶縁体の収縮を吸収して樹脂絶縁体と金属導電体との密着性を良好にできる。その結果、金属導電体と樹脂絶縁体との間の隙間が形成されず、良好な防水機能が得られる。
また、本発明のインサート成形品によれば、本発明のインサート成形方法で形成された薄膜層により樹脂絶縁体の収縮を吸収して樹脂絶縁体と金属導電体との密着性を良好にできるので、金属導電体と樹脂絶縁体との間の隙間が形成されず、防水機能も良好な電装部品が得られる。
このインサート成形品は図1で示すように、金属導電体3の一部が樹脂絶縁体2によって覆われており、金属導電体3の表面において樹脂絶縁体2で覆われる部分に薄膜層4が形成されている。従って、金属導電体3における端子を構成する部分は、外部に露出させるので薄膜層4は形成されていない。なお、薄膜層4は、その端部が樹脂絶縁体2からはみ出した状態になってもよいし、樹脂絶縁体2よりも内方に位置させて樹脂絶縁体2で覆われた状態になってもよい。何れの場合でも、金属導電体3と樹脂絶縁体2とが薄膜層4を介して良好に密着する。
薄膜層4の端部が固定金型及び可動金型により挟持された状態で射出成形を行なうと、上述したように薄膜層4は樹脂絶縁体2からはみ出した状態になる。
また、薄膜層4の端部がキャビティの金型内面よりも内方に位置された状態で射出成形を行なうと、薄膜層4の端部は外部に露出せず、上述したように樹脂絶縁体2で覆われた状態になる。
ゴム組成物は、CSM、架橋剤(加硫剤)、架橋促進剤(加硫促進剤)、受酸剤及び酸化防止剤などを有機溶媒内に投入して均質になるまで攪拌する。このようにしてゴム組成物の有機溶液を作製する。この有機溶液を金属導電体3の所定の部分に塗布して乾燥させることにより薄膜層4を形成する。
しかし、加熱乾燥を選択する場合はCSMゴム組成物の架橋が起こらない乾燥条件であれば乾燥時間を短縮できることから好ましい。すなわち、乾燥温度が70℃以下であることが好ましい。また、室温温度以下の環境であれば乾燥後に長期保管してもかまわない。
まず、金属プレス成形品である金属導電体3の表面における樹脂絶縁体2で覆われる部分に上述したように薄膜層4を形成する。
このようにキャビティ内に金属導電体3が配置された状態で、図示しない射出成形機を用いて溶融した熱可塑性樹脂を、キャビティ内に射出してインサート成形を行なう。溶融した熱可塑性樹脂は、金属導電体3の表面に形成された薄膜層4を覆うようにキャビティ内に充填され、両金型内で所定の形状に固化する。
また、インサート成形における樹脂の流動性を確保する為に、予め金属導電体3を予備加熱する場合があるが、薄膜層4のゴム組成物が大きく架橋させない範囲で予熱を施すことができる。
クロロスルホン化ポリエチレン(TOSO−CSM(登録商標) CM−1500:東ソー株式会社製)100重量部に対し、
架橋剤及び受酸材として酸化マグネシウム(キョーワマグ(登録商標)150:協和化学工業株式会社製)4重量部、
架橋促進剤としてジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(ノクセラー(登録商標)TRA:大内新興化学工業株式会社製)2重量部、
酸化防止剤としてペンタエリスリトール(ノイライザー(登録商標)P:日本合成化学株式会社製)3重量部
を添加して、加圧ニーダー(INC−118型:株式会社井本製作所製)を用いて加工温度80℃で5分間混錬することによりゴム組成物を得た。
上記ゴム組成物を所定の濃度に合わせて計り取り、トルエン(和光1級トルエン:和光純薬株式会社製)の中へゴム組成物を投入し、スターラーを用いて4時間撹拌し有機溶液を得た。
実施例及び比較例で使用したインサート部品3A(銅、真鍮及び燐青銅)は、図2にも示すように、20mm×60mm×厚さ1mmの長方形の板状部材であって、樹脂絶縁体2Aで覆われる表面の表面粗さがRa0.15μmの金属板を使用した。
インサート部品3Aへ有機溶液をバーコーターによって塗布し、室温25℃の環境下で16時間自然乾燥して薄膜層4Aを得た。その薄膜層4Aの膜厚は、長方形の金属板の4つの角部と中心部の肉厚を測定し、予め測定しておいた金属板の厚みを引いて膜厚を計算し、5箇所の膜厚の平均値を膜厚とした。
本実施例及び比較例に使用した樹脂絶縁体2Aを形成するための成形材料はGFなどの補強材の添加濃度が異なる市販のポリフェニレンサルファイド樹脂を用意し、140℃の乾燥機で3時間以上乾燥したものを用いた。
図2に示すように、固定金型5と可動金型6により、全長60mm×横幅60mm×厚さ1.7mmの平板形状のキャビティ7が形成される金型(日精樹脂工業株式会社製)を用いた。図2に示すようにインサート部品3A(比較例1は薄膜層4Aなし)をキャビティ7内に設置し、型締め力980kN、プランジャー径25mmの射出成形機(LA−100:株式会社ソディック製)を用いてインサート成形を行うことによりインサート成形品を得た。インサート成形を行った時の主な成形条件は、樹脂温度320℃、金型温度130℃、射出速度30mm/sec、保圧40MPaとした。
得られたインサート成形品を1日間室温で放置した後、染色浸透探傷液(カラーチェック(登録商標)FP−S:株式会社タセト製)の中へ室温で15分浸漬した。成形品表面に付着した染色浸透探傷液を取り除いた後、金属のインサート部品3Aと樹脂絶縁体2Aとを分離することにより、染色浸透探傷液の浸入の有無による樹脂絶縁体2Aとインサート部品3Aの密着性を評価した。
得られたインサート成形品は1日間室温で放置した後、−35℃と150℃のヒートサイクル試験を行った。試験はインサート成形品を−35℃にて15分間保持した後、150℃で15分間保持するサイクルを10回繰り返した。試験後、このインサート成形品を上記密着評価の方法と同様に染色浸透探傷液に室温で15分浸漬後、インサート部品3Aと樹脂絶縁体2Aとを分離して密着性を評価した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、JIS H3100 によって規定されている名称黄銅、記号C2801P(以下、真鍮板C2801Pという)へ塗布・乾燥しインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は34μmであった。このインサート部品へ非強化のPPS樹脂(ジュラファイド(登録商標)0220A9:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のインサート成形品の密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は全体の約5%程度浸入した箇所があったが使用上問題が無い密着であると判断した。
実施例1により、真鍮板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層を付与したインサート部品を非強化のPPS樹脂でインサート成形を行う事により良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、真鍮板C2801Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は30μmであった。このインサート部品へGFが30重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1130A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のサンプルの密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は見られなかった。
実施例2により、真鍮板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層を付与したインサート部品をGFが30重量部添加されて強化されたPPS樹脂でインサート成形を行う事により良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、真鍮板C2801Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は35μmであった。このインサート部品へGFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のサンプルの密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は見られなかった。
実施例3により、真鍮板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層を付与したインサート部品をGFが40重量部添加されて強化されたPPS樹脂でインサート成形を行う事により良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、真鍮板C2801Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は28μmであった。このインサート部品へGF及び無機補強材が合計65重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド6165A6:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のサンプルの密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は見られなかった。
実施例4により、真鍮板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層を付与したインサート部品をGF及び無機補強材が65重量部添加されて強化されたPPS樹脂でインサート成形を行う事により良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を15重量部添加して有機溶液を作成し、真鍮板C2801Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は13μmであった。このインサート部品へGFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のインサート成形品の密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は全体の約3%程度浸入した箇所があったが使用上問題が無い密着であると判断した。
実施例5により、真鍮板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層が薄いインサート部品をPPS樹脂でインサート成形を行う事でも良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、真鍮板C2801Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は55μmであった。このインサート部品へGFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のサンプルの密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は見られなかった。
実施例6により、真鍮板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層が厚いインサート部品をPPS樹脂でインサート成形を行う事でも良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、JIS H3100に規定されている名称タフピッチ銅、記号C1100Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は31μmであった。このインサート部品へGFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のサンプルの密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は見られなかった。
実施例7により、銅板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層を付与したインサート部品をGFが40重量部添加されて強化されたPPS樹脂でインサート成形を行う事により良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、JIS H3110に規定されている名称りん青銅、記号C5191Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は29μmであった。このインサート部品へGFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のサンプルの密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は見られなかった。
実施例8により、燐青銅板へCSMゴム組成物から構成される薄膜層を付与したインサート部品をGFが40重量部添加されて強化されたPPS樹脂でインサート成形を行う事により良好な密着効果を有することを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、真鍮板C2801Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は35μmであった。このインサート部品を室温25℃湿度50%に調湿した恒温槽の中に13日間放置した。このインサート部品へGFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
得られたインサート成形品の密着性評価では、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入が見られなかった。更にヒートサイクル試験後のサンプルの密着評価を行なったところ、薄膜層へ染色浸透探傷液の浸入は見られなかった。
実施例9により、薄膜層を付与したインサート部品を室温環境下において長期に保管したものをインサート成形に用いても、良好な密着効果を有することを確認した。
薄膜層を形成しない真鍮板C2801Pをインサート部品とし、GFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
インサート成形品をキャビティから離型すると同時に樹脂からインサート部品が剥がれ落ちた。よって、インサート部品が樹脂へ密着していないことが判明した。
比較例1により、薄膜層を形成していないインサート部品では目的とする金属と樹脂との密着効果が得られないことを確認した。
トルエン100重量部に対し、上記CSMゴム組成物を40重量部添加して有機溶液を作成し、真鍮板C2801Pへ塗布して乾燥することによりインサート部品を得た。このときの薄膜層の平均膜厚は29μmであった。このインサート部品を170℃のドライオーブンで4時間架橋を行なった。このインサート部品をトルエンへ浸漬させ1時間経過した後、塗布面を観察したところ、薄膜層が金属板から剥離しなかった事により完全に架橋がなされていることを確認した。このインサート部品へGFが40重量部添加されたPPS樹脂(ジュラファイド1140A1:ポリプラスチックス株式会社製)をインサート成形した。
インサート成形品をキャビティから離型すると同時に樹脂からインサート部品が剥がれ落ちた。よって、インサート部品が樹脂へ密着していないことが判明した。
比較例2により、薄膜層が完全に架橋されたインサート部品を用いてインサート成形を行った場合は、目的とする金属と樹脂との密着効果が得られないことを確認した。
浸透液の浸入が見られず密着性が良好な場合は◎とする。
浸透液が微小に浸入した後が見られるが、使用上問題が無いと判断できる場合は○とする。
全面に浸入しており、密着性が悪い場合は×とする。
実施していない事柄は−とする。
2, 2A 樹脂絶縁体
3 金属導電体
3A インサート部品
4,4A 薄膜層
5 固定金型
6 可動金型
7 キャビティ
Claims (2)
- 成形金型に金属導電体であるインサート部品をセットし、型締めしてキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出充填することによって熱可塑性樹脂とインサート部品とを一体成形するインサート成形方法であって、
インサート部品が銅又は銅合金からなり、
熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン系樹脂又は変性ポリフェニルエーテル樹脂からなり、
射出成形前にインサート部品における熱可塑性樹脂で覆われる部分の表面に主としてクロロスルホン化ポリエチレン、架橋剤および架橋促進剤を含む混合物からなる薄膜層を形成し、熱可塑性樹脂の溶融樹脂を射出する射出成形時の金型内で加温された金型及び溶融樹脂の熱を利用して薄膜層が架橋反応をおこしてインサート部品及び熱可塑性樹脂とも架橋させることを特徴とするインサート成形方法。 - 請求項1に記載のインサート成形方法を用いて形成されたインサート成形品であって、
ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン系樹脂又は変性ポリフェニルエーテル樹脂からなる樹脂絶縁体に、銅又は銅合金からなる金属導電体の一部が、主としてクロロスルホン化ポリエチレン、架橋剤および架橋促進剤を含む混合物からなる薄膜層の架橋を介して樹脂絶縁体及び金属導電体とも架橋して一体に結合されていることを特徴とするインサート成形品。
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