JP6937634B2 - 金属/樹脂複合構造体、金属/樹脂複合構造体の製造方法および耐リーク性部品 - Google Patents

金属/樹脂複合構造体、金属/樹脂複合構造体の製造方法および耐リーク性部品 Download PDF

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Description

本発明は、金属/樹脂複合構造体、金属/樹脂複合構造体の製造方法および耐リーク性部品に関する。
電気・自動車分野を中心に、幅広い産業分野で金属部品をインサート成形した金属/樹脂複合部品が使用されている。このような金属/樹脂複合部品は種々あり、金属部品をインサートする目的も製品の機能・用途などによっても異なるが、例えば、電子機器、通信機器、屋外照明機器等に使用される各種コネクター類等が挙げられる(例えば、特許文献1および2参照)。
特開平10−247547号公報 実用新案登録第3192627号
コネクター類の例では、例えば自動車分野や屋外機器分野等の分野で使用される場合に、雨や路面からの跳ね上がりで被水が想定されるため適正な防水機能が求められる。また、機器内部の封入液(潤滑油、冷却液等)や封入気体(窒素等)に対する液密性、気密性が求められることもある。そしてこのような防水機能、液密・気密機能(以降、当該機能を総称して、耐リーク性能という)は、機器の信頼性確保のために、高温・高湿度下や厳しいヒートサイクルが課せられる環境下等の過酷な環境下での使用であっても、長期間にわたって安定して維持されることが求められる。
しかしながら、従来の方法でインサート成形を行った場合では樹脂と金属端子の線膨張係数の差によって両材料間に熱応力が発生して、耐リーク性能を満たせないことがあった。また、インサート成形直後の段階では耐リーク性能を満たした場合であっても、高温・高湿環境下や厳しいヒートサイクルが課せられる環境下等の過酷な環境下で、コネクター類を長期間にわたって使用している間に、金属と樹脂の接合界面に隙間が発生し、水の浸入によって接合強度の低下が起こり、コネクター機能が損なわれることがあった。この原因の一つとしては、長期間の使用中に高温環境と低温環境に繰り返し晒されることによって、線膨張係数の小さな金属端子と、線膨張係数の大きな熱可塑性樹脂との間に歪が生じて隙間が発生することが考えられる。
このように、本発明者らの検討によれば、従来の方法で作製した金属/樹脂複合構造体は、高温・高湿度下や厳しいヒートサイクルが課せられる環境下等の過酷な環境下で、長期間にわたって接合強度や耐リーク性能を維持することが困難である場合があることが明らかになった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高温・高湿度下や厳しいヒートサイクルが課せられる環境下等の過酷な環境下であっても接合強度や耐リーク性能の低下を抑制でき、長期間にわたって安定して使用することが可能な金属/樹脂複合構造体を提供するものである。
本発明者らは、過酷な環境下であっても接合強度や耐リーク性能の低下を抑制でき、長期間にわたって安定して使用することが可能な金属/樹脂複合構造体を提供するために、金属部材の表面粗さを調整することを検討した。
しかし、金属部材の表面粗さを単に調整するだけでは金属/樹脂複合構造体の長期信頼性を十分に向上させることができないことが明らかとなった。
そこで、本発明者らは、金属/樹脂複合構造体の長期信頼性を向上させるための設計指針についてさらに鋭意検討した。その結果、本発明者らが考案した、金属部材と樹脂部材との接合部への浸透液の最大浸透長さという尺度がこうした設計指針として有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば以下に示す金属/樹脂複合構造体、金属/樹脂複合構造体の製造方法および耐リーク性部品が提供される。
[1]
アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面を有する金属部材と、
上記金属部材の上記微細凹凸表面に接合し、かつ、熱可塑性樹脂または上記熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成された樹脂部材と、
を備える金属/樹脂複合構造体であって、
下記要件(1)および(2)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体。
(1)上記微細凹凸表面は、間隔周期が5μm以上300μm以下の範囲にある微細凹凸形状を有する
(2)下記の方法により測定される、上記金属部材と上記樹脂部材との接合部への浸透液の最大浸透長さが0.01mm以上0.5mm以下である
(方法)
上記金属部材と上記樹脂部材との上記接合部における上記金属部材と上記樹脂部材が形成する交線上に、浸透液(イチネンケミカルズ社製、ミクロチェック浸透液、0.1mL)を塗布し、23℃、10−2kPa以下で24時間静置する。次いで、上記金属部材と上記樹脂部材との上記接合部の表面に付着した上記浸透液をふき取った後、上記接合部における上記金属部材と上記樹脂部材とを引き剥がすことによって上記接合部を破壊する。次いで、上記金属部材側の表面と上記樹脂部材側の表面における上記浸透液の浸透状態をそれぞれ観察し、上記交線から最も進入した浸透液の浸透長さを最大浸透長さと定義して求める。
[2]
上記[1]に記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記アルミニウム系金属が、下記のアルミニウム系金属(m1)およびアルミニウム系金属(m2)から選択される一種または二種以上を含む金属/樹脂複合構造体。
(m1):Al純度が99質量%超えである純アルミニウム
(m2):Al純度が96質量%以上99質量%以下の範囲にあり、Si、MgおよびMnから選択される少なくとも一種を0.2質量%以上3.0質量%以下含むアルミニウム合金
[3]
上記[2]に記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記アルミニウム系金属(m1)が、JIS H4000に規定された合金番号1000番台である金属/樹脂複合構造体。
[4]
上記[2]または[3]に記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記アルミニウム系金属(m2)が、JIS H4000に規定された合金番号3000番台、5000番台または6000番台である金属/樹脂複合構造体。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂およびポリカーボネート樹脂から選択される一種または二種以上を含む金属/樹脂複合構造体。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記金属部材の上記微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(A)および要件(B)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体。
(A)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
(B)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
[7]
アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面を有する金属部材を準備する工程と、
上記金属部材の上記微細凹凸表面を含む表面の少なくとも一部に接合するように、熱可塑性樹脂または上記熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成された樹脂部材を成形する工程と、
を含む金属/樹脂複合構造体の製造方法であって、
上記金属部材を準備する工程は、
第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸とを含む酸系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理する酸処理工程を含み、
上記酸処理工程の前に、両性金属イオンと水酸化物イオンとを含むアルカリ系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理するアルカリ処理工程を含み、
上記金属部材の上記微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(A)および要件(B)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体の製造方法。
(A)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
(B)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
[8]
上記[7]に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法において、
上記樹脂部材は射出成形により成形する金属/樹脂複合構造体の製造方法。
[9]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体を含む耐リーク性部品。
本発明によれば、高温・高湿度下や厳しいヒートサイクルが課せられる環境下等の過酷な環境下であっても接合強度や耐リーク性能の低下を抑制でき、長期間にわたって安定して使用することが可能な金属/樹脂複合構造体を提供することができる。
本発明に係る実施形態の金属/樹脂複合構造体の構造の一例を模式的に示した外観図である。 本発明に係る実施形態の金属/樹脂複合構造体を製造する過程の一例を模式的に示した構成図である。 本発明に係る実施形態の金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。 実施例および比較例における金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。なお、文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
<金属/樹脂複合構造体>
まず、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106について説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の金属/樹脂複合構造体106の構造の一例を示す外観図である。
本発明に係る実施形態の金属/樹脂複合構造体106は、アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面104を有する金属部材103と、金属部材103の微細凹凸表面104に接合し、かつ、熱可塑性樹脂または上記熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物(P)により構成された樹脂部材105と、を備える金属/樹脂複合構造体106であって、下記要件(1)および(2)を同時に満たす。
(1)微細凹凸表面104は、間隔周期が5μm〜300μmの範囲、好ましくは10μm〜200μmの範囲、より好ましくは20μm〜150μmの範囲にある微細凹凸形状を有する。
微細凹凸表面104の微細凹凸形状の間隔周期は、金属部材103と樹脂部材105との接合部の断面SEM画像を用いて測定することができる。接合部の断面SEM画像は、通常、金属部材103と樹脂部材105とを引き剥がした後の接合部について観察されるものであるが、金属部材103と樹脂部材105とを引き剥がす前の金属/樹脂複合構造体における接合部の断面SEM観察であってもよい。本発明者らは、両方法について得られた間隔周期が同一であることを別途確認している。
なお、SEM画像における間隔周期は、画像内の任意の20か所について測定した凸部と最隣接凸部間の距離の平均値である。
(2)下記の方法により測定される、金属部材103と樹脂部材105との接合部への浸透液の最大浸透長さが0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下、特に好ましくは0.2mm以下である。上記最大浸透長さの下限値は0.00mmが好ましいが、0.01mm以上であってもよいし、0.02mm以上であってもよい。
(方法)
金属部材103と樹脂部材105との上記接合部における金属部材103と樹脂部材105が形成する交線上に、浸透液(イチネンケミカルズ社製、ミクロチェック浸透液、0.1mL)を塗布し、23℃、10−2kPa以下で24時間静置する。次いで、金属部材103と樹脂部材105との接合部の表面に付着した上記浸透液をふき取った後、上記接合部における金属部材103と樹脂部材105とを引き剥がすことによって上記接合部を破壊する。次いで、金属部材103側の表面と樹脂部材105側の表面における上記浸透液の浸透状態をそれぞれ観察し、上記交線から最も進入した浸透液の浸透長さを最大浸透長さと定義して求める。なお本発明者らは、最大浸透長さは、同一素材を用い、同一成形条件を採用する限りにおいて最大浸透長さはほぼ同一値を再現することを別途の実験において確認している。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、上記要件(1)および(2)を同時に満たすことによって、高温・高湿度下や厳しいヒートサイクルが課せられる環境下等の過酷な環境下であっても接合強度や耐リーク性能の低下を抑制でき、長期間にわたって安定して使用することができる。
上記要件(1)および(2)を同時に満たすと、長期信頼性に優れた金属/樹脂複合構造体106が得られる理由は必ずしも明らかではないが、金属と樹脂の接合界面に隙間が生じ難い構造になっているためと考えられる。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、上記要件(1)および(2)を同時に満たすが、好ましい態様においてはさらに下記要件(3)および(4)の少なくとも一方を満たす。
(3)金属部材103と樹脂部材105とを引き剥がした後の接合面において、接合面の剥離状態を目視判定した場合に、接合部断面の剥離状態が母材破壊に基づく樹脂残りが観測される。なお、本実施形態において破壊試験の種類は特に限定されず、一般的な工業材料に外力を加えた場合に発生する破断や亀裂(きれつ)の状況を観察できる試験法であればいずれの方法でも採用可能である。後述する実施例では引張りせん断試験によって発生する破断面の観察を行っている。接合面の剥離状態がこのような要件を満たすことによって、金属/樹脂複合構造体106を高温・高湿度下等の過酷な環境下で長期使用した場合であっても接合強度や耐リーク性能の低下をより抑制することができ、耐久性をより一層良好にすることができる。
(4)微細凹凸表面104の上記微細凹凸形状の凹部の深度が、好ましくは5μm〜30μm、より好ましくは10μm〜25μmの範囲にある。なお、微細凹凸表面104の上記微細凹凸形状の凹部の深度は接合部の断面SEM画像内の任意の20か所について測定した凹部深度の平均値である。金属/樹脂複合構造体106が要件(4)をさらに満たすと、金属/樹脂複合構造体106を高温・高湿度下等の過酷な環境下で長期使用した場合であっても接合強度や耐リーク性能の低下をより抑制することができ、耐久性をより一層良好にすることができる。
<金属/樹脂複合構造体の構成部品>
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、特定の金属部材103と特定の樹脂部材105が強固に接合してなる構造体である。以下、金属部材103と樹脂部材105について説明する。
1.金属部材
本実施形態に係る金属部材103はアルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面を有する。アルミニウム系金属としては、軽量かつ高強度である点から純アルミニウム(アルミニウム単体)およびアルミニウム合金が好ましく、アルミニウム合金がより好ましい。
純アルミニウムとしては、Al純度が99質量%超えである純アルミニウム(m1)が好ましく、JIS H4000に規定された合金番号1000番台である純アルミニウムがより好ましい。合金番号が1000番台である純アルミニウムとしては、1080、1060、1050、1100、1200を例示できる。
アルミニウム合金としては、Al純度が96質量%以上99質量%以下の範囲にあり、Si、MgおよびMnから選択される少なくとも一種を0.2質量%以上3.0質量%以下含むアルミニウム合金(m2)が好ましい。このようなアルミニウム合金の中では、JIS H4000に規定された合金番号3000番台、5000番台または6000番台がより好ましい。合金番号3000番台、5000番台または6000番台であるアルミニウム合金としては、3003、3004、3005、3104、3105、5005、5052、6061、6063および6082を例示できる。
アルミニウム系金属としては、鋳物・ダイカスト用合金も好ましい。このような鋳物・ダイカスト用合金としては、JIS H5302に規定された合金番号、AC1B、AC2A、AC2B、AC4A、ADC1、ADC3、ADC5、ADC6、ADC10、ADC12、ADC14を例示できる。
なお、本実施形態に係る金属部材103は、金属/樹脂複合構造体106の製造方法において後述するように、微細凹凸表面104が後述の表面粗さ要件(A)および(B)の少なくとも一方を満たすことが好ましく、表面粗さ要件(A)および(B)を同時に満たすことがより好ましい。これら要件については製造方法の項目(後述)において述べる。
金属部材103の形状は、樹脂部材105と接合できる形状であれば特に限定されず、例えば、平板状、曲板状、棒状、筒状、塊状等とすることができる。また、これらの組み合わせからなる構造体であってもよい。
また、樹脂部材105と接合する接合部表面の形状は、特に限定されないが、例えば、平面、曲面等が挙げられる。
金属部材103は、金属材料を切断やプレス等による塑性加工や、打ち抜き加工、切削、研磨、放電加工等の除肉加工によって上述した所定の形状に加工された後に、後述する粗化処理がなされたものが好ましい。要するに、種々の加工法により、必要な形状に加工されたものを用いることが好ましい。
2.樹脂部材
以下、本実施形態に係る樹脂部材105について説明する。
樹脂部材105は熱可塑性樹脂(A)または熱可塑性樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂組成物(P)により構成される。熱可塑性樹脂組成物(P)は、樹脂成分として熱可塑性樹脂(A)と、必要に応じて充填材(B)と、含む。さらに、熱可塑性樹脂組成物(P)は必要に応じてその他の配合剤を含む。なお、便宜上、樹脂部材105が熱可塑性樹脂(A)のみからなる場合であっても、樹脂部材105は熱可塑性樹脂組成物(P)からなると記載する場合がある。
(熱可塑性樹脂(A))
熱可塑性樹脂(A)としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等のポリメタクリル系樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂等のポリアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール−ポリ塩化ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等のポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アイオノマー、アミノポリアクリルアミド樹脂、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ACS、AES、AS、ASA、MBS、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフトポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ノルボルネン樹脂、フッ素プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フッ素化エチレンポリプロピレン樹脂、PFA、ポリクロロフルオロエチレン樹脂、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリパラメチルスチレン樹脂、ポリアリルアミン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂やポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等のポリフェニレン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オリゴエステルアクリレート、キシレン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリグルタミン酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は一種単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、熱可塑性樹脂(A)としては、金属部材103と樹脂部材105との接合強度向上効果がより効果的に得ることができる観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、およびポリカーボネート樹脂から選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が好適に用いられ、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、およびポリアミド系樹脂から選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が特に好適に用いられる。
(充填材(B))
熱可塑性樹脂組成物(P)は、金属部材103と樹脂部材105との線膨張係数差の調整や樹脂部材105の機械的強度を向上させる観点から、充填材(B)をさらに含んでもよい。
充填材(B)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭素粒子、粘土、タルク、シリカ、ミネラル、セルロース繊維からなる群から一種または二種以上を選ぶことができる。これらのうち、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、ミネラルから選択される一種または二種以上である。
このような充填材(B)の形状は特に限定されず、繊維状、粒子状、板状等どのような形状であってもよい。
充填材(B)は、最大長さが10nm以上600μm以下の範囲にある充填材を数分率で5〜100%有することが好ましい。当該最大長さは、より好ましくは30nm以上550μm以下、さらに好ましくは50nm以上500μm以下である。また、該最大長さの範囲にある充填材(B)の数分率は、好ましくは10〜100%であり、より好ましくは20〜100%である。
充填材(B)の最大長さが上記範囲にあると、熱可塑性樹脂組成物(P)の成形時に溶融した熱可塑性樹脂(A)中を充填材(B)が容易に動くことができるので、後述する金属/樹脂複合構造体106の製造時において、金属部材103の表面付近にも一定程度の割合で充填材(B)を存在させることが可能となる。そのため、上述したように充填材(B)と相互作用をする樹脂が金属部材表面の凹凸形状に入り込むことで、より強固な接合強度を持つことが可能となる。
また、上記数分率が上記範囲にあると、金属部材103表面の凹凸形状と作用するのに十分な数の充填材(B)が熱可塑性樹脂組成物(P)中に存在することになる。
なお、充填材(B)の長さは、金属/樹脂複合構造体106から熱可塑性樹脂組成物(P)からなる樹脂部材105を外したのち、該熱可塑性樹脂組成物(P)をオーブン中で加熱することにより、完全に炭化させ、その後、炭化させた樹脂を取り除き、残った充填材(B)を走査型電子顕微鏡で測定することにより求められる。ここで、充填材(B)の最大長さとは、長方形であれば3辺の内で最大の長さ、円筒形であれば円の長軸側の直径長さと円筒の高さとで長い方の長さ、球または回転楕円体であれば、あらゆる断面の長軸側の直径長さをとった時のもっとも長い直径の長さのことである。
充填材(B)の数分率は、上記充填材(B)の長さ測定を行う際に用いた電子顕微鏡写真に写るすべての充填材(B)の数を数え、そのうち、上記範囲に含まれる充填材(B)の数を算出することにより求められる。
充填材(B)は1種類であっても2種類以上でもよく、2種類以上用いる場合は、全ての種類の充填材(B)をまとめて前述したような方法で最大長さを求める。
なお、熱可塑性樹脂組成物(P)が充填材(B)を含む場合、その含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上90質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以上80質量部以下である。
充填材(B)は、樹脂部材105の剛性を高める効果の他、樹脂部材105の線膨張係数を制御できる効果がある。特に、本実施形態の金属部材103と樹脂部材105との複合体の場合は、金属部材103と樹脂部材105との形状安定性の温度依存性が大きく異なることが多いので、大きな温度変化が起こると複合体に歪みが掛かりやすい。樹脂部材105が上記充填材(B)を含有することにより、この歪みを低減することができる。また、上記充填材(B)の含有量が上記範囲内であることにより、靱性の低減を抑制することができる。
(その他の配合剤)
熱可塑性樹脂組成物(P)には、個々の機能を付与する目的でその他の配合剤を含んでもよい。このような配合剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等が挙げられる。
<熱可塑性樹脂組成物(P)の製造方法>
熱可塑性樹脂組成物(P)の製造方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。まず、上記熱可塑性樹脂(A)、必要に応じて上記充填材(B)、さらに必要に応じて上記その他の配合剤とを、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機等の混合装置を用いて、混合または溶融混合することにより、熱可塑性樹脂組成物(P)が得られる。
<金属/樹脂複合構造体の製造方法>
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体の製造方法については特に限定されるものではないが、ここでは本願明細書の実施例(後述)において採用した製造法を一例として述べる。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106の製造方法は、アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面104を有する金属部材103を準備する工程と、金属部材103の微細凹凸表面104を含む表面110の少なくとも一部に接合するように、熱可塑性樹脂(A)または熱可塑性樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂組成物(P)により構成された樹脂部材105を成形する工程と、を含む。
そして、金属部材103の微細凹凸表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(A)および要件(B)を同時に満たす。
要件(A);評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が好ましくは10μm〜30μm、より好ましくは12μm〜28μm、さらに好ましくは15μm〜25μm、特に好ましくは15μm〜23μmの範囲にある。なお、上記の十点平均粗さ(Rz)の平均値は、前述の任意の6直線部のRzを平均したものを採用することができる。金属部材103の表面110の少なくとも樹脂部材105との接合面が、上記Rzを満たすことによって、得られる金属/樹脂複合構造体106を高温・高湿度下等の過酷な環境下で長期使用した場合であっても接合強度や耐リーク性能の低下をより抑制することができ、耐久性をより一層良好にすることができる。
要件(B);評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が、好ましくは50μm〜250μm、より好ましくは70μm〜230μm、さらに好ましくは90μm〜200μm、特に好ましくは100μm〜170μmの範囲にある。なお、上記粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値は、前述の任意の6直線部のRSmを平均したものを採用することができる。上記RSmを満たすことによって、得られる金属/樹脂複合構造体106を高温・高湿度下等の過酷な環境下で長期使用した場合であっても接合強度や耐リーク性能の低下をより抑制することができ、耐久性をより一層良好にすることができる。
図3は、金属部材103の微細凹凸表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部を説明するための模式図である。
上記6直線部は、例えば、図3に示すような6直線部B1〜B6を選択することができる。まず、基準線として、金属部材103の微細凹凸表面104の中心部Aを通る中心線B1を選択する。次いで、中心線B1と平行関係にある直線B2およびB3を選択する。次いで、中心線B1と直交する中心線B4を選択し、中心線B1と直交し、中心線B4と並行関係にある直線B5およびB6を選択する。ここで、各直線間の垂直距離D1〜D4は、例えば、2〜5mmである。
なお、通常、金属部材103の表面110中の接合部表面だけでなく、金属部材103の表面110全体に対して表面粗化処理が施されている。金属部材103の表面110全体に対して表面粗化処理が施されている場合は、金属部材103の接合部表面と同一面で、接合部表面以外の箇所から6直線部を選択してもよい。
上記要件(A)と(B)を共に満たす微細凹凸表面104を有する金属部材103は、例えば、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸とを含む酸系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理する酸処理工程を含む方法によって製造することが可能である。このような酸系エッチング剤を用いる粗化方法としては、例えば国際公開第2015/8847号、特開2001−348684号公報、国際公開2008/81933号等に開示された公知方法をそのまま採用することができる。
本実施形態においては、上記酸系エッチング剤による酸処理工程の前に、両性金属イオン、好ましくは亜鉛金属イオンと水酸化物イオンとを含むアルカリ系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理するアルカリ処理工程をおこなうことが好ましい。このようなアルカリエッチング剤による処理を加えることによって、特定のアルミニウム合金、例えばJIS H4000に規定された6000番台である場合に、優れた長期耐久性能を備えた金属/樹脂複合構造体106を得ることができる。なお、亜鉛イオン含有アルカリ水溶液による処理方法については、例えば国際公開2013/47365号に開示された処理方法を採用することができる。
本実施形態において、アルミニウム系金属部材の表面を粗化する特に好ましい方法は、次のステップ(1)〜(4)をこの順に実施する方法である。
(1)前処理工程
アルミニウム系金属部材の樹脂部材105との接合側の表面に存在する酸化膜や水酸化物等からなる被膜を除去する。例えば、機械研磨や化学研磨処理が行われる。接合側表面に機械油等の著しい汚染がある場合は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液による処理や、脱脂を行ってもよい。
(2)亜鉛イオン含有アルカリ水溶液による処理工程
水酸化アルカリ(MOH)と亜鉛イオン(Zn2+)とを重量比(MOH/Zn2+)1〜100の割合で含む亜鉛イオン含有アルカリ水溶液中に、前処理後のアルミニウム系金属部材を浸漬し、アルミニウム系金属部材の表面に亜鉛含有被膜形成させる。
(3)酸系エッチング剤による処理工程
上記工程(2)終了後のアルミニウム系金属部材を、第二鉄イオンと第二銅イオンの少なくとも一方と、酸を含む酸系エッチング剤により処理してアルミニウム系金属部材の表面上の亜鉛含有被膜を溶離させると共に、ミクロンオーダーの凹凸形状を形成させる。
(4)後処理工程
上記工程(3)の後に、例えば、アルミニウム系金属部材の表面の洗浄および乾燥をおこなう。スマット除去のために超音波洗浄操作をおこなってもよい。
図2は、本発明に係る実施形態の金属/樹脂複合構造体106を製造する過程の一例を模式的に示した構成図である。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、例えば、微細凹凸表面104を有する金属部材103を金型102内に配置し、熱可塑性樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂組成物(P)を金型102内に射出することにより製造可能である。
射出工程は、例えば、微細凹凸表面104を有する金属部材103を射出成形用の金型102のキャビティ部にインサートし、金属部材103の微細凹凸表面104に接するように熱可塑性樹脂組成物(P)を射出する射出成形法によって樹脂部材105を成形し、金属/樹脂複合構造体106を製造する工程である。
具体的には、まず、射出成形用の金型102を用意し、その金型102を開いてその一部に金属部材103を設置する。その後、金型を閉じ、熱可塑性樹脂組成物(P)の少なくとも一部が金属部材103の表面110に形成された微細凹凸形状と接するように、金型102内に熱可塑性樹脂組成物(P)を射出して固化する。その後、金型102を開き離型することにより、金属/樹脂複合構造体106を得ることができる。
また、上記射出成形工程においては、公知の射出発泡成形や、金型の温度制御を射出成形の一サイクルの中で行い加熱冷却する公知のヒート&クール成形を併用してもよい。ヒート&クール成形の条件としては、射出成形金型を80℃以上300℃以下の温度に加熱し、熱可塑性樹脂組成物(P)の射出が完了した後、射出成形金型を冷却することが望ましい。金型を加熱する温度は、熱可塑性樹脂組成物(P)を構成する熱可塑性樹脂(A)によって好ましい範囲が異なり、結晶性樹脂で融点が200℃未満の熱可塑性樹脂であれば、80℃以上200℃以下が好ましく、結晶性樹脂で融点が200℃以上の熱可塑性樹脂であれば、120℃以上300℃以下が好ましい。非晶性樹脂を含有する樹脂組成物においては、樹脂のTg(ガラス転移温度)以上の温度で射出完了させた後、20℃以上180℃以下に金型を冷却することが好ましい。
<金属/樹脂複合構造体の用途>
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、生産性が高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に展開することが可能である。
さらに、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、高い気密性、液密性が発現するので、これらの特性に応じた用途に好適に用いられる。
例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
より具体的には、樹脂だけでは強度が足りない部分を金属がサポートする様にデザインされた次のような部品である。車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ラジエータ、オイルパン、ステアリングホイール、ECUボックス、LIB電池モジュール、車載カメラモジュール、車載レーダーモジュール、電装部品等が挙げられる。また、建材や家具類として、ガラス窓枠、手すり、カーテンレール、たんす、引き出し、クローゼット、書棚、机、椅子等が挙げられる。また、精密電子部品類として、コネクタ、リレー、ギヤ等が挙げられる。また、輸送容器として、輸送コンテナ、スーツケース、トランク等が挙げられる。
また、金属部材103の高い熱伝導率と、樹脂部材105の断熱的性質とを組み合わせ、ヒートマネージメントを最適に設計する機器に使用される部品用途、例えば、各種家電にも用いることができる。具体的には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、スピーカー等の家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、パソコン、タブレットPC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池等電子情報機器、ロボット用部材等が挙げられる。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、高温・高湿度下や厳しいヒートサイクルが課せられる環境下等の過酷な環境下であっても接合強度や耐リーク性能の低下を抑制でき、長期間にわたって安定して使用することが可能なため、特に耐リーク性能が求められる耐リーク性部品に好適に用いられ、防水コネクターに特に好適に用いることができる。
以上、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106の用途について述べたが、これらは本発明の用途の例示であり、上記以外の様々な用途に用いることもできる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
[1]
アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面を有する金属部材と、
上記金属部材の上記微細凹凸表面に接合し、かつ、熱可塑性樹脂または上記熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成された樹脂部材と、
を備える金属/樹脂複合構造体であって、
下記要件(1)および(2)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体。
(1)上記微細凹凸表面は、間隔周期が5μm以上300μm以下の範囲にある微細凹凸形状を有する
(2)下記の方法により測定される、上記金属部材と上記樹脂部材との接合部への浸透液の最大浸透長さが0.5mm以下である
(方法)
上記金属部材と上記樹脂部材との上記接合部における上記金属部材と上記樹脂部材が形成する交線上に、浸透液(イチネンケミカルズ社製、ミクロチェック浸透液、0.1mL)を塗布し、23℃、10 −2 kPa以下で24時間静置する。次いで、上記金属部材と上記樹脂部材との上記接合部の表面に付着した上記浸透液をふき取った後、上記接合部における上記金属部材と上記樹脂部材とを引き剥がすことによって上記接合部を破壊する。次いで、上記金属部材側の表面と上記樹脂部材側の表面における上記浸透液の浸透状態をそれぞれ観察し、上記交線から最も進入した浸透液の浸透長さを最大浸透長さと定義して求める。
[2]
上記[1]に記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記アルミニウム系金属が、下記のアルミニウム系金属(m1)およびアルミニウム系金属(m2)から選択される一種または二種以上を含む金属/樹脂複合構造体。
(m1):Al純度が99質量%超えである純アルミニウム
(m2):Al純度が96質量%以上99質量%以下の範囲にあり、Si、MgおよびMnから選択される少なくとも一種を0.2質量%以上3.0質量%以下含むアルミニウム合金
[3]
上記[2]に記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記アルミニウム系金属(m1)が、JIS H4000に規定された合金番号1000番台である金属/樹脂複合構造体。
[4]
上記[2]または[3]に記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記アルミニウム系金属(m2)が、JIS H4000に規定された合金番号3000番台、5000番台または6000番台である金属/樹脂複合構造体。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂およびポリカーボネート樹脂から選択される一種または二種以上を含む金属/樹脂複合構造体。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体において、
上記金属部材の上記微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(A)および要件(B)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体。
(A)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
(B)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
[7]
アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面を有する金属部材を準備する工程と、
上記金属部材の上記微細凹凸表面を含む表面の少なくとも一部に接合するように、熱可塑性樹脂または上記熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成された樹脂部材を成形する工程と、
を含む金属/樹脂複合構造体の製造方法であって、
上記金属部材の上記微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(A)および要件(B)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体の製造方法。
(A)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
(B)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
[8]
上記[7]に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法において、
上記金属部材を準備する工程は、
第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸とを含む酸系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理する酸処理工程を含む金属/樹脂複合構造体の製造方法。
[9]
上記[8]に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法において、
上記金属部材を準備する工程は、
上記酸処理工程の前に、両性金属イオンと水酸化物イオンとを含むアルカリ系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理するアルカリ処理工程を含む金属/樹脂複合構造体の製造方法。
[10]
上記[7]乃至[9]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法において、
上記樹脂部材は射出成形により成形する金属/樹脂複合構造体の製造方法。
[11]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体を含む耐リーク性部品。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
以下、実施例および比較例で採用した各種分析法、接合強度評価法を示す。
(接合部分の接合強度および浸透液試験)
金属/樹脂複合構造体の引張せん断強度試験、および金属部材と樹脂部材の接合部の浸透液試験は以下の方法でおこなった。
まず、金属部材と樹脂部材との上記接合部における金属部材と樹脂部材が形成する交線上である接合部端面にスポイトで浸透液(イチネンケミカルズ社製、ミクロチェック浸透液、0.1mL)を塗布し、常温(23℃)、真空(10−2kPa以下)下で24時間静置した。次いで、接合部の表面に付着した浸透液をウエスで拭き取り後、引張せん断強度試験機(「モデル1323(アイコーエンジニヤリング社製)」を使用し、引張試験機に専用の治具を取り付け、室温(23℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて測定)によって金属部材と樹脂部材とをせん断方向に引き剥がして接合部を破壊した。なお、上記破壊時点の強度は引っ張りせん断強度又は単に接合強度として定義される。次いで、金属部材側の表面と樹脂部材側の表面における浸透液の浸透状態をそれぞれ観察し、上記交線から最も進入した浸透液の浸透長さである最大浸透長さを求めた。なお、本実施例・比較例では、金属/樹脂複合構造体106の試験片を合計20検体作製し、そのうち5検体の接合部について、接合強度と最大浸透長さを求めている。
(微細凹凸形状の間隔周期)
金属/樹脂複合構造体の金属部材表面の間隔周期の測定方法について述べる。本実施例・比較例では、金属/樹脂複合構造体の引張せん断強度試験によって破壊された金属部材側の表面の断面部を走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM−6701F)を用いて観察し、得られた写真から間隔周期を算出した。電子顕微鏡写真から間隔周期を求める場合は、具体的には、金属部材表面の断面写真を撮影する。その写真から、任意の凸部を20個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定する。凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して20で除したものを間隔周期とした。隣接する凸部の定義としては、任意の凸部から隣接する凸部間にある凹部(最低部)と隣接凸部との高低差が10μm以上存在した時に、隣接凸部としてみなしている。
(金属部材表面の、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定)
表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を測定した。なお、測定条件は以下のとおりである。
・触針先端半径:5μm
・基準長さ:0.8mm
・評価長さ:4mm
・測定速度:0.06mm/sec
測定は、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部についておこなった(図4参照)。
(破壊形態観察)
引張試験後の金属部材側を観察し、金属/樹脂接合部分の界面に樹脂が残っていれば材料破壊とした。界面の一部のみに樹脂が残っている場合を一部材料破壊、界面に樹脂残りがない場合を界面破壊とした。一部材料破壊および界面破壊の場合は接合強度が不足していることを示す。
[実施例1]
(表面粗化工程)
JIS H4000に規定された合金番号6063のアルミニウム合金板(厚み:2.0mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム合金板を脱脂処理した後、水酸化ナトリウムを15質量%と酸化亜鉛を3質量%含有するアルカリ系エッチング剤(30℃)が充填された処理槽1に3分間浸漬(以下の説明では「アルカリ系エッチング剤処理」と略称する場合がある)後、30質量%の硝酸(30℃)にて、1分間浸漬し、アルカリ系エッチング剤処理をさらに1回繰り返し実施した。次いで、得られたアルミニウム合金板を、塩化第二鉄を3.9質量%と、塩化第二銅を0.2質量%と、硫酸を4.1質量%とを含有する酸系エッチング水溶液が充填された処理槽2に、30℃下で5分間浸漬し搖動させた(以下の説明では「酸系エッチング剤処理」と略称する場合がある)。次いで、流水で超音波洗浄(水中、1分間)を行い、その後乾燥させることによって表面処理済みのアルミニウム合金板を得た。
得られた表面処理済みのアルミニウム合金板の表面粗さを、表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)をそれぞれ測定した。その結果、Rz平均値は19μm、RSmの平均値は104μmであった。なお、Rz平均値およびRSm平均値は、測定場所を変えた6点の測定値の平均である。なお、測定場所は、図4に示すように、金属部材103の微細凹凸表面104上の任意の3直線部、および当該直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について行ったものである。
(射出成形工程)
上記方法で得られた表面処理済みアルミニウム合金板を、日本製鋼所社製のJ85AD110Hに小型ダンベル金属インサート金型102を装着し、金型102内に表面処理済み合金板を設置した。次いで、その金型102内に熱可塑性樹脂組成物(P)として、ポリプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ジュラネックス(登録商標)930HL)を、シリンダー温度270℃、金型温度160℃、射出速度25mm/sec、保圧80MPa、保圧時間10秒の条件にて射出成形を行い、金属/樹脂複合構造体106を合計20検体作製した。得られた検体のうち、5検体について浸透液試験と接合強度の測定をおこなった。その結果、最大浸透長さの平均値は0.12mmであった。また、接合強度の平均値は36MPaであった。いずれの破壊形態も母材破壊であった。また破壊面の断面をSEM観察して間隔周期を求めたところ、49μmであった。
(高湿保管試験)
上記方法で得られた金属/樹脂複合構造体106の8検体を、温度50℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に1000時間保管した。室温に戻した後、上記方法と同様にして浸透液試験と接合強度の測定をおこなった。その結果、最大浸透長さの平均値は0.08mm、接合強度の平均値は36MPa(接合強度保持率=100%)であった。いずれの破壊形態も母材破壊であった。結果を表1にまとめた。
[実施例2]
実施例1の表面粗化工程において、合金番号6063のアルミニウム合金板の代わりに合金番号5052を用いた以外は実施例1と同様な表面粗化を行った。得られた表面処理済みのアルミニウム合金板の表面粗さを、表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)をそれぞれ測定した。その結果、Rz平均値は18μm、RSmの平均値は139μmであった。次いで、このアルミニウム合金板について実施例1に記載した射出成型工程と同様な方法によって射出接合、浸透液試験、および高湿保管試験を実施した。結果を表1にまとめた。
[実施例3]
実施例2の表面粗化工程において、アルカリ系エッチング剤処理を行わなかった以外は実施例2と同様に実験を行った。結果を表1にまとめた。
[実施例4]
実施例1の射出成型工程において、ポリプラスチックス社製PBT樹脂(ジュラネックス(登録商標)930HL)の代わりに、東ソー社製PPS樹脂(サスティール(登録商標)SGX120、GF20wt%強化品)を用いた以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1にまとめた。
[比較例1]
実施例1の表面粗化工程において、アルカリ系エッチング剤処理を行わなかった以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1にまとめた。
[比較例2]
実施例1の表面粗化工程として下記の表面粗化処理(以下の説明ではNMT処理と略称する場合がある)を行った以外は実施例1と同様に実験を行った。結果を表1にまとめた。
(表面粗化工程)
特開2005−119005号公報の実施例1に記載の処理法に準じて粗化処理した。すなわち、市販のアルミニウム脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」を15%濃度で水に溶かし75℃とした。この水溶液が入ったアルミニウム脱脂槽に、実施例1で用いたアルミニウム合金板を5分間浸漬し水洗し、40℃の1%塩酸水溶液が入った槽に1分浸漬し水洗した。つづいて、40℃の1%水酸化ナトリウム水溶液が入った槽に1分浸漬し水洗した。次いで40℃の1%塩酸水溶液を入れた槽に1分浸漬し水洗し、60℃の2.5%濃度の1水和ヒドラジン水溶液を入れた第1ビドラジン処理槽に1分浸漬し、40℃の0.5%濃度の1水和ヒドラジン水溶液を入れた第2ヒドラジン処理槽に0.5分浸漬し水洗した。これを40℃で15分間、60℃で5分程度温風乾燥させることにより、表面処理済みのアルミニウム合金板を得た。
Figure 0006937634
101 射出成形機
102 金型
103 金属部材
104 微細凹凸表面
105 樹脂部材
106 金属/樹脂複合構造体
107 ゲート/ランナー
110 表面

Claims (9)

  1. アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面を有する金属部材と、
    前記金属部材の前記微細凹凸表面に接合し、かつ、熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成された樹脂部材と、
    を備える金属/樹脂複合構造体であって、
    下記要件(1)および(2)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体。
    (1)前記微細凹凸表面は、間隔周期が5μm以上300μm以下の範囲にある微細凹凸形状を有する
    (2)下記の方法により測定される、前記金属部材と前記樹脂部材との接合部への浸透液の最大浸透長さが0.01mm以上0.5mm以下である
    (方法)
    前記金属部材と前記樹脂部材との前記接合部における前記金属部材と前記樹脂部材が形成する交線上に、浸透液(イチネンケミカルズ社製、ミクロチェック浸透液、0.1mL)を塗布し、23℃、10−2kPa以下で24時間静置する。次いで、前記金属部材と前記樹脂部材との前記接合部の表面に付着した前記浸透液をふき取った後、前記接合部における前記金属部材と前記樹脂部材とを引き剥がすことによって前記接合部を破壊する。次いで、前記金属部材側の表面と前記樹脂部材側の表面における前記浸透液の浸透状態をそれぞれ観察し、前記交線から最も進入した浸透液の浸透長さを最大浸透長さと定義して求める。
  2. 請求項1に記載の金属/樹脂複合構造体において、
    前記アルミニウム系金属が、下記のアルミニウム系金属(m1)およびアルミニウム系金属(m2)から選択される一種または二種以上を含む金属/樹脂複合構造体。
    (m1):Al純度が99質量%超えである純アルミニウム
    (m2):Al純度が96質量%以上99質量%以下の範囲にあり、Si、MgおよびMnから選択される少なくとも一種を0.2質量%以上3.0質量%以下含むアルミニウム合金
  3. 請求項2に記載の金属/樹脂複合構造体において、
    前記アルミニウム系金属(m1)が、JIS H4000に規定された合金番号1000番台である金属/樹脂複合構造体。
  4. 請求項2または3に記載の金属/樹脂複合構造体において、
    前記アルミニウム系金属(m2)が、JIS H4000に規定された合金番号3000番台、5000番台または6000番台である金属/樹脂複合構造体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体において、
    前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、およびポリカーボネート樹脂から選択される一種または二種以上を含む金属/樹脂複合構造体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体において、
    前記金属部材の前記微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(A)および要件(B)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体。
    (A)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
    (B)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
  7. アルミニウム系金属により構成され、かつ、微細凹凸表面を有する金属部材を準備する工程と、
    前記金属部材の前記微細凹凸表面を含む表面の少なくとも一部に接合するように、熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物により構成された樹脂部材を成形する工程と、
    を含む金属/樹脂複合構造体の製造方法であって、
    前記金属部材を準備する工程は、
    第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸とを含む酸系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理する酸処理工程を含み、
    前記酸処理工程の前に、両性金属イオンと水酸化物イオンとを含むアルカリ系エッチング剤を用いてアルミニウム系金属部材を処理するアルカリ処理工程を含み、
    前記金属部材の前記微細凹凸表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが下記要件(A)および要件(B)を同時に満たす金属/樹脂複合構造体の製造方法。
    (A)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が10μm以上30μm以下の範囲にある
    (B)評価長さ4mmにおける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が50μm以上250μm以下の範囲にある
  8. 請求項7に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法において、
    前記樹脂部材は射出成形により成形する金属/樹脂複合構造体の製造方法。
  9. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体を含む耐リーク性部品。
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