JP6053031B2 - 圧延スケールままでの皮削り性に優れた高炭素鋼線材およびその製造方法 - Google Patents

圧延スケールままでの皮削り性に優れた高炭素鋼線材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主に内燃機関の弁ばね等に使用される高炭素鋼線材に関し、特に熱間圧延後に鋼材表面に形成されるスケール(酸化スケール:圧延スケール)の密着性を高めることで、圧延スケールが存在した状態のまま(以下、「圧延スケールまま」と呼ぶことがある)での皮削り性(以下、「SV処理性」と呼ぶことがある)を可能とする高炭素鋼線材、およびこのような高炭素鋼線材を製造するための有用な方法に関するものである。
自動車のエンジン、燃料噴射装置等の内燃機関に使用される弁ばねは、長期間に亘り高応力で使用されるため、高レベルの耐疲労特性が必要とされている。耐疲労特性を担保するためには、優れた表面性状を達成することや、介在物の微細化制御が要求される。表面性状については、ばね成形後にショットピーニング、窒化処理等で平坦化、および硬化処理されるが、わずか数十ミクロン程度の疵が残存若しくは発生した場合は、使用中に表面疵を起点とした折損が生じる。
そこで、一般的には、圧延後に皮削り処理(以下、「SV処理」と呼ぶことがある)を施すことで、圧延材表面の微細疵を除去する工程が設けられている。このSV処理は、チッパーダイスを用いて線材の表層全周を深さ方向に数百ミクロン程度削り取る処理である。SV処理の工程では、チッパーダイスを用いる直前に、減面率で数%程度のスキンパスを行なうことで、スキンパスダイス(以下、「D1ダイス」と呼ぶ)、チッパーダイス、巻取り機の芯出しを行ない、表層全周の均一な皮削りが可能となっている。
また、通常、SV処理の前処理としては、酸洗い、皮膜処理が実施されている。これは高炭素鋼線材の圧延スケールは非常に剥がれやすく、酸洗い等の前処理をせずにSV処理を行うと、D1ダイスで処理する前に圧延スケールが剥離し、断線の原因となる焼付きがD1ダイスに発生するだけでなく、D1ダイスにスケールが噛み込んだ場合には、SV処理では除去できない深い傷を圧延後の鋼線材に発生させる可能性がある。
しかしながら、SV処理の前処理である酸洗い、皮膜処理は高コストな処理であり、酸洗い後の廃液処理等のコストもかかるため、圧延スケールままでSV処理が可能な高炭素鋼線材(即ち、高炭素鋼圧延線材)が強く望まれている。
一方、高炭素鋼線材は、タイヤコード、PC鋼線等に使用されることが大半であり、これらの用途に用いられる場合、圧延スケールは伸線前のメカニカルデスケーリングにて除去される。そのため、高炭素鋼線材の圧延スケールは、特許文献1に示されているように、剥離、脱落し易いスケールが求められている。この特許文献1の技術では、鋼材の化学成分組成とパーライト面積率と共に、鋼線材表層のスケール中に占めるFe34の体積比率、およびFe34中の空孔面積率を規定することで、メカニカルデスケーリング時に容易に剥離する圧延スケールを形成している。
特許文献1の技術における圧延スケールは、圧延時の捲取り温度から600℃までの平均冷却速度を遅くすることによってスケール厚みを厚くし、メカニカルデスケーリング等で曲げ応力が加わった際に剥がれ易いスケールとなっている。
特開2006−28619号公報
従来、高炭素鋼線材の圧延スケールは、メカニカルデスケーリングでの圧延スケール剥離性が重視されているため剥離し易く、弁ばね用途に用いる場合にはD1ダイスへの剥離した圧延スケールの噛み込みを防止するために、酸洗い、皮膜処理を施している。しかしながら、酸洗い、皮膜処理は高コストであるため、高炭素鋼線材に密着性の良い圧延スケールが生成可能であれば、SV処理前の酸洗い、皮膜処理が省略可能であるという発想に至った。
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、圧延スケールの密着性を高めることで、酸洗い、皮膜処理を施すことなく圧延スケールが存在した状態のままで良好なSV処理性を実現できる高炭素鋼線材、およびこのような高炭素鋼線材を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明の高炭素鋼線材は、C:0.6〜0.90%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.2〜1.0%、Al:0.005%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、線材表面のスケール中に占めるFeOの体積比率が10%以下で、且つスケールの付着量が10g/m2以上、30g/m2以下であるところに特徴がある。
本発明の高炭素鋼線材には、必要によって更に、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)およびB:0.005%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有することも有用であり、これによって高炭素鋼線材の特性が更に改善される。
上記課題を解決し得た本発明の高炭素鋼線材の製造方法とは、高炭素鋼線材を製造するにあたり、上記のような化学成分組成を有する鋼材を用い、熱間圧延後の鋼線材を載置温度:750〜900℃として巻取った後、18〜40℃/秒の平均冷却速度で550℃まで冷却し、引続き2.0℃/秒以下の平均冷却速度で60秒以上冷却することを特徴とする。
本発明によれば、鋼材の化学成分組成を適切に制御した上で、熱間圧延後の載置温度、巻取り温度、冷却速度などを制御することによって、鋼線材表面に形成されるスケール中に占めるFeOの体積比率を低くでき、これによって圧延スケールの密着性を高めることができ、圧延スケールままでのSV処理性を可能とする高炭素鋼線材が実現できる。
高炭素鋼線材の圧延スケールは、メカニカルデスケーリングでの圧延スケール剥離性が重視されているため剥離し易いのが一般的である。高炭素鋼線材を弁ばね用途に用いる場合には、D1ダイスへの剥離した圧延スケールの噛み込みを防止するために、酸洗い、皮膜処理を実施している。しかしながら、酸洗いや皮膜処理は高コストである。こうしたことから、高炭素鋼線材に密着性の良い圧延スケールが生成可能であれば、SV処理前の酸洗い、皮膜処理が省略可能であるという着想に至った。
こうした着想に基づき本発明者らは、密着性の良い圧延スケールを高炭素鋼線材表面に形成する手段について更に鋭意検討した。その結果、圧延後の冷却条件を最適化することで、圧延スケールの組成、付着量をコントロール可能であることが判明した。また、様々な圧延スケール組成、付着量の高炭素鋼線材を用いて、SV処理の実験を繰返すことによって、圧延スケールが剥離しにくく、D1ダイスへのスケール咬み込みがなく、且つD1ダイスのダイス寿命が低下しない密着性の良い圧延スケールが明らかとなった。
密着性の良い圧延スケールは、スケール中に占めるFeOの体積比率が10%以下で、且つスケールの付着量が10g/m2以上、30g/m2以下であることが特徴である。まずこれらの要件を規定した理由について説明する。
(スケール中に占めるFeOの体積比率が10%以下)
圧延スケールのFeOは、ポーラスな構造を有しており、且つ軟質な組成である。そのため、スケール中に占めるFeO体積比率が高くなると密着性が低下し、剥離し易くなる。従って、スケール中に占めるFeOの体積比率は10%以下とする必要がある。このFeOの体積比率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下である(0%であってもよい)。
スケール中には、FeOの他に、Fe34、Fe23、Fe2SiO4、(Fe,Mn)O等が含まれることになる(残部は不可避的不純物)。従って、FeOの体積比率は、これらの合計(FeO、Fe34、Fe23、Fe2SiO4、および(Fe,Mn)Oの合計)を100%としたときの値である。FeO以外の各成分における体積比率の好ましい範囲は、下記の通りである。尚、上記成分のうち、Fe2SiO4、(Fe,Mn)Oは、スケールと地鉄界面に生成するサブスケールである。
Fe34:60〜95%(より好ましくは65〜85%)
Fe23:5〜25%(より好ましくは10〜20%)
Fe2SiO4:0〜5%(より好ましくは0〜2%)
(Fe,Mn)O:0〜10%(より好ましくは0〜5%)
(スケールの付着量が10g/m2以上、30g/m2以下)
スケールの付着量は、スケールの密着性および鋼線材の伸線性に大きな影響を与える。スケールの付着量が少ない場合には、焼付きが生じ、伸線性を低下させるためスケールの付着量は10g/m2以上(好ましくは12g/m2以上)とする。その一方で、スケールの付着量が多くなると、スケールの密着性が低下するため、スケールの付着量は30g/m2以下(好ましくは28g/m2以下)とする。
次に、本発明に係る高炭素鋼線材の化学成分組成について説明する。
(C:0.6〜0.90%)
Cは、鋼材の強度、およびばねの強度・耐へたり性を確保するために有用な元素である。C含有量が少ないと、必要な引張強度が確保できないばかりか、疲労強度および耐へたり性を低下させるため、Cの含有量は0.6%以上(好ましくは0.65%以上、より好ましくは0.70%以上)とする。一方で、Cの含有量が過剰になると、粗大なセメンタイトが多量に析出し、延性や靱性の低下により、SV処理性、ばね加工性、ばね特性に悪影響を与えるため、Cの含有量は0.90%以下(好ましくは0.85%以下、より好ましくは0.80%以下)とする必要がある。
(Si:0.05〜0.50%)
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、ばねの強度を確保するためにも有用な元素である。これらの効果を発揮させるためには、0.05%以上(好ましくは0.10%以上)含有させる必要がある。しかしながら、Si含有量が過剰になると、材料を硬化させるだけでなく、延性・靱性を低下させる他、表面の脱炭が増加してSV処理性、および疲労特性を低下させるため、0.50%以下(好ましくは0.45%以下)とする必要がある。
(Mn:0.2〜1.0%)
Mnは、製鋼時の脱酸に有効な元素であり、鋼中SをMnSとして固定することに加えて、焼入れ性を高めてばね強度の向上に貢献する。これらの効果を発揮させるためには、0.2%以上(好ましくは0.25%以上)含有させる必要がある。しかし、Mn含有量が過剰になると、焼入れ性が過度に向上するため、マルテンサイト、ベイナイト等の過冷組織が生成し、SV処理性、伸線性を著しく悪化させるため、Mn添加量は1.0%以下(好ましくは0.90%以下)とする必要がある。
(Al:0.005%以下(0%を含まない))
Alは脱酸元素として有効であるが、硬質非変形のアルミナ系非金属介在物(Al23)を生成する。この非金属介在物は、伸線性に悪影響を及ぼすことがある。こうした観点から、Alの含有量は0.005%以下とする必要がある。好ましくは0.004%以下である。尚、Alによる効果を発揮させるためには、0.001%以上含有させることが好ましい。
本発明に係る高強度鋼線材における基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物(例えば、P、S等)であるが、該不可避的不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。この不可避的不純物のうち、PやSについては、下記のように抑制することが好ましい。
(P:0.015%以下(0%を含まない))
Pは不可避的不純物であり、できるだけ少ないほうが好ましい。特にフェライトを固溶強化するため、伸線性に悪影響を及ぼすことがある。こうした観点から、Pの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.010%以下である。
(S:0.015%以下(0%を含まない))
Sは不可避的不純物であり、できるだけ少ないほうが好ましい。特に介在物MnSを生成して伸線性に悪影響を及ぼすことがある。こうした観点から、Sの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.010%以下である。
また、本発明の高強度鋼線材には、上記成分の他に必要によって、更に、Cr,V,B等を含有させることも有効である。これらの元素を含有させるときの適正な範囲および作用は以下の通りである。
(Cr:0.5%以下(0%を含まない))
Crは、パーライトラメラ間隔を小さくして、圧延後、熱処理後の強度を向上させることに加え、C(炭素)の活量を低下させて圧延時や熱処理時の脱炭を防止する効果がある。これらの効果を発揮させるためには0.10%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Crの含有量が過剰になると、焼入れ性が過度に向上するため、マルテンサイト、ベイナイト等の過冷組織が生成し、SV処理性、伸線性を著しく悪化させる。こうしたことから、Crの含有量は0.5%以下(より好ましくは0.4%以下)とすることが好ましい。
(V:0.5%以下(0%を含まない))
Vは、熱間圧延および焼入れ焼戻し処理において結晶粒を微細化する作用があり、延性、靱性を向上させる効果がある。これらの効果を発揮させるためには、0.05%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Vの含有量が過剰になると、その効果は飽和するため、過度な添加は経済的に無駄となる。そのため、Vの含有量は0.5%以下(より好ましくは0.4%以下)とすることが好ましい。
(B:0.005%以下(0%を含まない))
Bは、焼入れ性の向上とオーステナイト結晶粒界の清浄化による延性・靱性の向上効果がある。これらの効果を発揮させるためには、0.001%以上含有させることが好ましい。一方で、Bの含有量が過剰になると、FeとBの複合化合物が析出し、熱間圧延時の割れを引き起こす危険がある。そのため、Bの含有量は0.005%以下(より好ましくは0.004%以下)とすることが好ましい。
本発明の高炭素鋼線材は、上記化学成分組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造、分塊圧延の後、線材に圧延し、室温まで冷却することで製造できるが、上記の線材表面のスケール形態を達成するためには、下記の条件で製造することが必要である。即ち、仕上げ圧延後のコンベア上への載置温度を750〜900℃として巻取った後、18〜40℃/秒の平均冷却速度で550℃まで急速に且つ均一に線材を冷却することで、スケール付着量の制御が可能である。また圧延載置後の冷却に引続き(即ち、550℃まで冷却した後)、2.0℃/秒以下の平均冷却速度で60秒以上の冷却(徐冷)を実施することで、目的とするスケール組成を得ることができる。
上記載置温度が高くなりすぎると、密着性を低下させるFeOスケールの生成が促進されると共に、圧延スケールの生成速度が大きくなり、またスケール生成温度域(600℃以上程度)での滞在時間が長くなって、スケール付着量が大きくなる。こうした観点から、載置温度は900℃以下とする必要がある。この載置温度の好ましい上限は、880℃以下である。一方、記載置温度が低くなりすぎると、圧延機が過負荷となり、生産トラブルの原因となる可能性がある。こうした観点から、載置温度は750℃以上とする必要がある。この載置温度の好ましい下限は、800℃以上である。
載置後の冷却(この冷却を「初期冷却」と呼ぶことがある)では、550℃までを18℃/秒以上の平均冷却速度とすることによって、スケール付着量が過剰にならないようにしながら、FeOの成長を抑制する。即ち、載置温度から550℃までの温度範囲では、スケールはFeOの成長を主体として進行するので、この温度範囲を平均冷却速度で18℃/秒以上を確保しつつ冷却することによって、FeOが過剰に成長することを抑制する。初期冷却時の平均冷却速度は、好ましくは20℃/秒以上である。
しかしながら、載置温度から550℃までの温度範囲での冷却(初期冷却)における平均冷却速度が速くなり過ぎると、スケール付着量が低下し、SV処理時にD1ダイスで焼付きが生じ易くなる。こうした観点から、初期冷却の平均冷却速度は40℃/秒以下とする必要がある。初期冷却時の平均冷却速度は、好ましくは30℃/秒以下である。
また550℃未満になると、スケールの成長は抑制され、それまで形成されたスケール中のFeOの変態が進行し、Fe34やFe23等に変化していくことになる。この温度領域を、2.0℃/秒以下の平均冷却速度で徐冷することによって、上記の変態を促進し、スケール中のFeO体積比率をできるだけ低減する。また、こうした変態をできるだけ進行させるために、徐冷時間は60秒以上(好ましくは100秒以上)を確保する必要がある。尚、こうした徐冷を完了した後(上記条件を確保できた後)は、そのまま徐冷を続けてもよいが、通常は放冷することになる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記表1に示す化学成分組成の鋼を溶製し、熱間圧延にて直径(線径)が8.0mmの線材(2トン)を作製した。このときの熱間圧延の加熱温度は1100℃とし、載置温度、初期冷却における平均冷却速度、および初期冷却後の徐冷における冷却条件(平均冷却速度、冷却時間)を下記表2に示す。
Figure 0006053031
Figure 0006053031
圧延線材のスケール組成分析、スケール付着量、スキンパス後のスケール残留率は、圧延線材TOP側のリングから切出したサンプルを用いて、夫々以下に示す方法で測定した。
スケール組成(スケール成分構成比率)の分析は、下記表3、4に示す装置、測定条件にて実施した。圧延線材の表層をX線回折測定し、得られたピーク強度と積分強度からFeO、Fe34、Fe23、Fe2SiO4、(Fe,Mn)O(同定物質)の体積比率を算出した。体積比率の測定は、圧延線材の任意の表層3点を測定し、平均値を求めた。
Figure 0006053031
Figure 0006053031
スケールの付着量は、圧延線材を120mm毎に8本切断し、8本合計の線材質量を測定した(W1)。この線材サンプルを、インヒビター入りの10%塩酸中に約15分浸漬して線材表層に付着しているスケールを完全に剥離させ、水洗、ブロワー乾燥後、スケール除去した線材質量を測定した(W2)。この質量測定結果と測定に用いた線材の表面積の合計(S1)から、下記式(1)に基づいて圧延線材のスケール付着量(A1)を算出した。
圧延線材のスケール付着量A1(g/m2)=(W1−W2)/S1 …(1)
圧延線材のスケール密着性は、圧延線材スケールままで減面率7%のスキンパス伸線を行い(線速30m/min)、スキンパス伸線後のワイヤを100mm毎に8本切断し、8本合計の線材質量を測定した(W3)。この線材サンプルを、インヒビター入りの10%塩酸中に約15分浸漬して線材表層に付着しているスケールを完全に剥離させ、水洗、ブロワー乾燥後、スケール除去した線材質量を測定した(W4)。この質量測定結果と、伸線ワイヤの表面積の合計(S2)から、下記式(2)により伸線ワイヤの残留スケール付着量(A2)を算出した。そして、求めた残留スケール付着量(A2)と圧延線材のスケール付着量A1を用いた下記式(3)によりスケール残留率を算出した。そして、スケール残留率が80%以上の場合を、「スケール密着性が良好」と判断した。
残留スケール付着量A2(g/m2)=(W3−W4)/S2 …(2)
スケール残留率(%)=(A1/A2)×100 …(3)
SV処理性の評価は、圧延線材のBOT側1トンを用いてD1ダイス径:φ7.7mm、SV処理線径:φ7.4mmのSV処理を行ない、SV処理中に断線が生じたサンプルを×、SV処理後にD1ダイスに焼付きが生じたサンプルを△、問題なくSV処理が終了したサンプルを○と表記し、×および△をSV処理性が悪い、○をSV処理性が良好と判断した。
これら結果を、下記表5に示す。
Figure 0006053031
この結果から、次のように考察できる。即ち、試験No.1〜11は、鋼の成分組成も製造条件も適切に制御されているため、FeOの体積比率、スケール付着量が適切な範囲となり、スケール密着性が向上して、いずれも優れたSV処理性を実現している。これに対し、試験No.12〜21は、本発明で規定するいずれかの要件を満足しないものであり、SV処理性が劣化している。
試験No.12は、C含有量が過剰な鋼材(鋼種L)を用いた例であり、初析セメンタイトが多量に生成したため圧延材の靭延性が乏しくなり、SV処理中に断線が生じた。試験No.13は、Si含有量が過剰な鋼材(鋼種M)を用いた例であり、圧延線材の強度が高く、靭延性に乏しいため、SV処理中に断線が生じた。
試験No.14は、Mn含有量が過剰な鋼材(鋼種N)を用いた例であり、圧延線材にマルテンサイトおよびベイナイトが生成したため圧延線材の靭延性が乏しくなり、SV処理中に断線が生じた。試験No.15は、Cr含有量が過剰な鋼材(鋼種O)を用いた例であり、圧延線材の強度が高く、靭延性に乏しいため、SV処理中に断線が生じた。試験No.16は、B含有量が過剰な鋼材(鋼種P)を用いた例であり、圧延材に割れが生じたため、伸線およびSV処理が不可能であった。
試験No.17は、圧延後の載置温度が高い例であり、スケールの付着量(生成量)が多くなって、スケール密着性が悪くなり、D1ダイスに焼付きが生じた。試験No.18は、圧延後の初期冷却速度が遅いため、スケールの付着量(生成量)が多くなって、スケール密着性が悪くなり、D1ダイスに焼付きが生じた。
試験No.19は、圧延後の初期冷却速度が速い例であり、スケールの付着量(生成量)が少なくなって、SV処理時にD1ダイスで焼付きが生じ断線した。試験No.20は、初期冷却後の徐冷速度が速くなっている例であり、スケールの変態が完了しなかったためにスケールの密着性が悪くなり、D1ダイスに焼付きが生じた。試験No.21は、初期冷却後の徐冷時間が短い例であり、スケールの変態が完了しなかったためスケールの密着性が悪くなり、D1ダイスに焼付きが生じた。

Claims (3)

  1. C:0.6〜0.90%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、
    Si:0.05〜0.50%、
    Mn:0.2〜1.0%、
    Al:0.005%以下(0%を含まない)を夫々含有し、
    残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    線材表面のスケール中に占めるFeOの体積比率が10%以下で、且つスケールの付着量が10g/m2以上、30g/m2以下であることを特徴とする圧延スケールままでの皮削り性に優れた高炭素鋼線材。
  2. 更に、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)およびB:0.005%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有するものである請求項1に記載の高炭素鋼線材。
  3. 請求項1または2に記載の高炭素鋼線材を製造する方法であって、
    前記高炭素鋼線材を製造するにあたり、請求項1または2に記載の化学成分組成を有する鋼材を用い、熱間圧延後の鋼線材を、載置温度:750〜900℃として巻取った後、18〜40℃/秒の平均冷却速度で550℃まで冷却し、引続き2.0℃/秒以下の平均冷却速度で60秒以上冷却することを特徴とする高炭素鋼線材の製造方法。
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