JP2015105418A - 圧延スケールままでの皮削り性に優れた高炭素鋼線材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
圧延スケールのFeOは、ポーラスな構造を有しており、且つ軟質な組成である。そのため、スケール中に占めるFeO体積比率が高くなると密着性が低下し、剥離し易くなる。従って、スケール中に占めるFeOの体積比率は10%以下とする必要がある。このFeOの体積比率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下である(0%であってもよい)。
Fe3O4:60〜95%(より好ましくは65〜85%)
Fe2O3:5〜25%(より好ましくは10〜20%)
Fe2SiO4:0〜5%(より好ましくは0〜2%)
(Fe,Mn)O:0〜10%(より好ましくは0〜5%)
スケールの付着量は、スケールの密着性および鋼線材の伸線性に大きな影響を与える。スケールの付着量が少ない場合には、焼付きが生じ、伸線性を低下させるためスケールの付着量は10g/m2以上(好ましくは12g/m2以上)とする。その一方で、スケールの付着量が多くなると、スケールの密着性が低下するため、スケールの付着量は30g/m2以下(好ましくは28g/m2以下)とする。
Cは、鋼材の強度、およびばねの強度・耐へたり性を確保するために有用な元素である。C含有量が少ないと、必要な引張強度が確保できないばかりか、疲労強度および耐へたり性を低下させるため、Cの含有量は0.6%以上(好ましくは0.65%以上、より好ましくは0.70%以上)とする。一方で、Cの含有量が過剰になると、粗大なセメンタイトが多量に析出し、延性や靱性の低下により、SV処理性、ばね加工性、ばね特性に悪影響を与えるため、Cの含有量は0.90%以下(好ましくは0.85%以下、より好ましくは0.80%以下)とする必要がある。
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、ばねの強度を確保するためにも有用な元素である。これらの効果を発揮させるためには、0.05%以上(好ましくは0.10%以上)含有させる必要がある。しかしながら、Si含有量が過剰になると、材料を硬化させるだけでなく、延性・靱性を低下させる他、表面の脱炭が増加してSV処理性、および疲労特性を低下させるため、0.50%以下(好ましくは0.45%以下)とする必要がある。
Mnは、製鋼時の脱酸に有効な元素であり、鋼中SをMnSとして固定することに加えて、焼入れ性を高めてばね強度の向上に貢献する。これらの効果を発揮させるためには、0.2%以上(好ましくは0.25%以上)含有させる必要がある。しかし、Mn含有量が過剰になると、焼入れ性が過度に向上するため、マルテンサイト、ベイナイト等の過冷組織が生成し、SV処理性、伸線性を著しく悪化させるため、Mn添加量は1.0%以下(好ましくは0.90%以下)とする必要がある。
Alは脱酸元素として有効であるが、硬質非変形のアルミナ系非金属介在物(Al2O3)を生成する。この非金属介在物は、伸線性に悪影響を及ぼすことがある。こうした観点から、Alの含有量は0.005%以下とする必要がある。好ましくは0.004%以下である。尚、Alによる効果を発揮させるためには、0.001%以上含有させることが好ましい。
Pは不可避的不純物であり、できるだけ少ないほうが好ましい。特にフェライトを固溶強化するため、伸線性に悪影響を及ぼすことがある。こうした観点から、Pの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.010%以下である。
Sは不可避的不純物であり、できるだけ少ないほうが好ましい。特に介在物MnSを生成して伸線性に悪影響を及ぼすことがある。こうした観点から、Sの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.010%以下である。
Crは、パーライトラメラ間隔を小さくして、圧延後、熱処理後の強度を向上させることに加え、C(炭素)の活量を低下させて圧延時や熱処理時の脱炭を防止する効果がある。これらの効果を発揮させるためには0.10%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Crの含有量が過剰になると、焼入れ性が過度に向上するため、マルテンサイト、ベイナイト等の過冷組織が生成し、SV処理性、伸線性を著しく悪化させる。こうしたことから、Crの含有量は0.5%以下(より好ましくは0.4%以下)とすることが好ましい。
Vは、熱間圧延および焼入れ焼戻し処理において結晶粒を微細化する作用があり、延性、靱性を向上させる効果がある。これらの効果を発揮させるためには、0.05%以上含有させることが好ましい。しかしながら、Vの含有量が過剰になると、その効果は飽和するため、過度な添加は経済的に無駄となる。そのため、Vの含有量は0.5%以下(より好ましくは0.4%以下)とすることが好ましい。
Bは、焼入れ性の向上とオーステナイト結晶粒界の清浄化による延性・靱性の向上効果がある。これらの効果を発揮させるためには、0.001%以上含有させることが好ましい。一方で、Bの含有量が過剰になると、FeとBの複合化合物が析出し、熱間圧延時の割れを引き起こす危険がある。そのため、Bの含有量は0.005%以下(より好ましくは0.004%以下)とすることが好ましい。
圧延線材のスケール付着量A1(g/m2)=(W1−W2)/S1 …(1)
残留スケール付着量A2(g/m2)=(W3−W4)/S2 …(2)
スケール残留率(%)=(A1/A2)×100 …(3)
Claims (3)
- C:0.6〜0.90%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.2〜1.0%、
Al:0.005%以下(0%を含まない)を夫々含有し、
残部が鉄および不可避的不純物からなり、
線材表面のスケール中に占めるFeOの体積比率が10%以下で、且つスケールの付着量が10g/m2以上、30g/m2以下であることを特徴とする圧延スケールままでの皮削り性に優れた高炭素鋼線材。 - 更に、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)およびB:0.005%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有するものである請求項1に記載の高炭素鋼線材。
- 高炭素鋼線材を製造するにあたり、請求項1または2に記載の化学成分組成を有する鋼材を用い、熱間圧延後の鋼線材を、載置温度:750〜900℃として巻取った後、18〜40℃/秒の平均冷却速度で550℃まで冷却し、引続き2.0℃/秒以下の平均冷却速度で60秒以上冷却することを特徴とする高炭素鋼線材の製造方法。
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