JP6052185B2

JP6052185B2 - 歯磨剤組成物

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Publication number: JP6052185B2
Application number: JP2013550172A
Authority: JP
Inventors: 眞里阿部; 貴士近澤; あゆみ天野
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Current assignee: Lion Corp
Priority date: 2011-12-20
Filing date: 2012-10-29
Publication date: 2016-12-27
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Description

本発明は、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩が安定配合された、良好な使用実感を有する歯磨剤組成物に関する。

近年、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩は、生体内に産生された過剰な活性酸素を消去し、生体組織を酸素傷害から保護する抗酸化ビタミンとして注目されている。アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩が、多様な生理活性を有し、口腔分野では歯肉炎、歯周炎の予防・治療に効果があることは知られており（特許文献１）、練歯磨やトローチなどの口腔用組成物に配合することが試みられている。
しかしながら、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を各種組成物に配合した場合、カルシウムなどの金属、微生物、ｐＨの影響等によりアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の残存率が低下し、その有効性が十分に発現されないといった問題が生じ、このため安定化が課題であった。

安定化の問題に関して、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を配合した口腔用組成物の変色や残存率低下の問題に対して、長期保存での変色を研磨剤、及び水溶性リン酸塩等の特定の着色抑制剤を配合することで抑制した技術（特許文献２）が提案されている。また、２５℃にて１ヶ月保存した後の組成物のｐＨを８．０以上にするなど、組成物のｐＨをアルカリ側に維持することで安定性を保つ技術（特許文献３）が提案されている。また、適切な研磨性シリカを配合することでアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を安定配合した技術（特許文献４）が提案されている。

一方、歯磨剤組成物では、洗浄実感の付与が求められる。歯磨剤組成物の洗浄実感は研磨剤種に大きく依存しており、中でも炭酸カルシウム系研磨剤を用いると、歯磨剤組成物の洗浄実感が向上し、使用実感の良い組成物が得られる。

しかしながら、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を配合した歯磨剤組成物は、特に炭酸カルシウム系研磨剤を配合するとアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定性が著しく低下するという問題があり、このため、炭酸カルシウム系研磨剤を主研磨剤として配合することはほとんどなかった。

特開平３−２９４２２７号公報特開平４−１７３７２７号公報特開２００２−２０２９２号公報特開２００３−２１２７４１号公報

従って、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を配合した歯磨剤組成物への炭酸カルシウム系研磨剤の配合において、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定配合が課題となっていた。

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を配合した歯磨剤組成物に炭酸カルシウム系研磨剤を配合し、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩が安定配合された、良好な使用実感を有する歯磨剤組成物を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を含有する歯磨剤組成物に、（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤を配合すると共に、（Ｃ）炭酸水素塩、オルトリン酸塩及び縮合リン酸塩から選ばれる１種以上を配合し、（Ｃ）成分／（Ｂ）成分を質量比として０．０２０〜１．０とすることで、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定性を確保でき、かつ良好な使用実感を付与できることを知見した。また、高い収斂感が得られて使用実感が向上することを知見した。

即ち、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩（以下、ＡＰＥと略記する。）を含有する歯磨剤組成物に炭酸カルシウム系研磨剤を配合すると、ＡＰＥが炭酸カルシウム、特に２価金属イオンであるカルシウムイオンと相互作用し、ＡＰＥの安定性が低下するという課題が生じるが、炭酸カルシウム系研磨剤に対して炭酸水素塩、オルトリン酸塩、縮合リン酸塩から選ばれる１種以上の塩を特定割合で配合すると、意外にもかかる課題が解消して炭酸カルシウム系研磨剤を含む系でＡＰＥを経時で安定配合でき、上記格別の作用効果を与えることを見出したものである。

なお、特許文献２には、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩を含み、研磨剤として炭酸カルシウムが配合され、かつ着色抑制剤としてリン酸塩、クエン酸塩が配合された組成が記載されているが、これはアスコルビン酸誘導体配合により生じる着色を抑制したものであり、かかる特許文献２から、本発明の炭酸水素塩、オルトリン酸塩又は縮合リン酸塩による炭酸カルシウム系研磨剤配合組成でのＡＰＥの安定化、格別の作用効果は予測できない。

従って、本発明は下記の歯磨剤組成物及び歯磨剤組成物におけるアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化方法を提供する。
〔Ｉ〕
（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を０．１〜２質量％と、
（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤を５〜２５質量％と、
（Ｃ）炭酸水素のアルカリ金属塩及びリン酸のアルカリ金属塩から選ばれる１種以上を０．５〜１０質量％と
を含有し、（Ｃ）成分／（Ｂ）成分が質量比として０．０２０〜１．０であることを特徴とする歯磨剤組成物。
〔ＩＩ〕
（Ｃ）成分が、炭酸水素ナトリウムである〔Ｉ〕記載の歯磨剤組成物。
〔ＩＩＩ〕
組成物の２５℃におけるｐＨが８〜９．３である〔Ｉ〕又は〔ＩＩ〕記載の歯磨剤組成物。
〔ＩＶ〕
練歯磨剤である〔Ｉ〕〜〔ＩＩＩ〕のいずれかに記載の歯磨剤組成物。
〔Ｖ〕
（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を０．１〜２質量％と、（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤を５〜２５質量％とを配合した歯磨剤組成物に、（Ｃ）炭酸水素のアルカリ金属塩及びリン酸のアルカリ金属塩から選ばれる１種以上を０．５〜１０質量％配合し、（Ｃ）成分／（Ｂ）成分を質量比として０．０２０〜１．０にすることを特徴とする、前記歯磨剤組成物におけるアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化方法。
〔ＶＩ〕
組成物の２５℃におけるｐＨが８〜９．３である〔Ｖ〕記載の歯磨剤組成物におけるアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化方法。

本発明によれば、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を配合した歯磨剤組成物に炭酸カルシウム系研磨剤を配合し、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩が安定配合された、良好な使用実感を有する歯磨剤組成物を提供できる。また、この歯磨剤組成物は、高い収斂感を与え、使用中及び使用後の洗浄実感に優れる。

以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明の歯磨剤組成物は、（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩、（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤、及び（Ｃ）炭酸水素塩、オルトリン酸塩及び縮合リン酸塩から選ばれる１種以上を含有する。

（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩としては、アスコルビン酸の２，３，５，６位のいずれかの水酸基の１つ又は２つ以上がリン酸、ポリリン酸等の化合物のエステルとなったものであり、例えば、アスコルビン酸−２−リン酸エステル、アスコルビン酸−３−リン酸エステル、アスコルビン酸−６−リン酸エステル、アスコルビン酸−２−ポリリン酸エステル等が挙げられ、その塩類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。特に口腔用として用いるものであり、歯肉炎予防効果の点からアスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩やナトリウム塩が好適に用いられる。

（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の配合量は、組成全体の０．１〜２％（質量％、以下同様。）が好ましく、より好ましくは０．２〜１％である。配合量が多いほど歯肉炎予防効果等のアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の配合効果が高まるが、２％を超えると効果がそれ以上期待できないだけでなく異味が生じ使用感が低下する場合がある。

（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤としては、研磨性を有するものであれば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムのいずれでもよいが、特に重質炭酸カルシウムが好ましい。
炭酸カルシウム系研磨剤としては、例えば（株）カルファイン製の商品名カルファインＫＳ−１０００ＲＳ等の市販品を使用できる。

本発明組成物では、炭酸カルシウム系研磨剤が主研磨剤として配合される。
（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤の配合量は、組成全体の５〜４０％が好ましく、より好ましくは１０〜２５％である。配合量が多いほど洗浄実感は高まるが、４０％を超えるとアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を安定配合できない場合がある。また、４０％を超えると研磨力が強すぎて使用感に劣る場合がある。

（Ｃ）成分は、炭酸水素塩、オルトリン酸塩及び縮合リン酸塩から選ばれる１種以上の塩であり、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化剤として配合される。

（Ｃ）成分の塩としては、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられ、塩はナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。具体的には、炭酸水素塩として炭酸水素ナトリウム、オルトリン酸塩としてリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、縮合リン酸塩としてポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等が挙げられる。これらは１種を単独で用いても、あるいは効果発現の点で２種以上を組み合わせて用いてもよい。

炭酸水素ナトリウムは、重炭酸ナトリウムであり、重曹とも呼ばれるものである。炭酸水素ナトリウムは、例えば重炭酸ナトリウムという商品名で旭硝子（株）から販売されているものなどの市販品を使用できる。
オルトリン酸塩、縮合リン酸塩も、市販品を使用することができる。具体的には、太平化学産業（株）から発売されているリン酸二ナトリウムやリン酸三ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸四カリウムなどを使用できる。

（Ｃ）成分としては、中でも炭酸水素ナトリウムが、効果により優れ、また洗浄実感に優れるので好適である。

（Ｃ）成分の配合量は、組成全体の０．５〜１０％が好ましく、より好ましくは１〜５％である。配合量が０．５％未満では、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化効果に劣る場合があり、１０％を超えると、塩味が使用感に悪影響を与える場合がある。

本発明では、（Ｂ）炭酸カルシウムに対して（Ｃ）成分を適切な割合で配合することが、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を安定配合するために重要である。
（Ｂ）、（Ｃ）成分の配合割合は、（Ｃ）成分／（Ｂ）成分が質量比として０．０２０〜１．０であり、好ましくは０．０３〜０．５、より好ましくは０．０５〜０．３である。配合割合が０．０２０未満であると、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を安定化できない。１．０を超えると、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を安定化できないだけでなく、使用感に劣る。

本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等として、特に練歯磨として好適に調製できる。また、本発明組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、剤型に応じ上記成分以外の公知の添加剤を配合できる。例えば、通常歯磨剤組成物に配合する研磨剤、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、更に必要により甘味料、防腐剤、香料、着色剤、保存安定化剤、薬効成分等を配合し得る。

研磨剤としては、上記炭酸カルシウム系研磨剤に加えて、通常使用されている他の研磨剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。例えば、一般的に使用されている、歯磨用リン酸水素カルシウム（平均粒径１〜３０μｍ程度のもの）、研磨性シリカ、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第３リン酸マグネシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、酸化チタン、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
上記した他の研磨剤を配合する場合は、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定性を低下させない範囲が望ましく、その配合量は組成全体の５％以下、特に０〜３％が好ましい。

粘結剤としては、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシビニルポリマー、トラガントガム、グアガム、ヒドロキシプロピルグアガム、タラガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、クインスシードガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、セルロース、ジェランガム、ゼラチン、カードラン、アラビアガム、寒天、ペクチン、カゼインナトリウム、ポリビニルアルコール、プルラン、増粘性シリカ、ビーガム、スメクタイト、ラポナイト、モンモリロナイト、ベントナイト等が挙げられる。配合量は通常、組成全体の０．０１〜８％である。

粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、分子量２００〜６，０００のポリエチレングリコール、１，３−ブチレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、パラチノース、トレハロース等の多価アルコール、糖アルコールなどの１種以上が使用できる。配合量は通常、組成全体の５〜５０％である。

界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合でき、特にアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる１種以上が好適に使用できる。例えば、アニオン性界面活性剤としてはラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル又はその塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のアシルサルコシン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等、カチオン性界面活性剤としてはアルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等、ノニオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等、両性界面活性剤としては酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。界面活性剤の配合量は通常組成全体の０．２〜１５％、特に０．５〜１０％が好ましい。

甘味料としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、グリチルリチン、ペリラルチン、ソーマチン、ネオヘスペリジルヒドロカルコン、パラメトキシシンナミックアルデヒド、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、アセスルファムカリウム、スクラロース、スクロース、グルコース、デキストロース、転化糖、フラクトース、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、パラチノース、パラチニット、トレハロース、オリゴ糖、還元水飴、アスパルテーム等を配合することができる。
防腐剤としては、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラベン類、安息香酸又はその塩、サリチル酸又はそのエステルもしくは塩、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、ソルビン酸塩等が挙げられる。

香料は、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、これら天然香料を加工処理（前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等）した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、３−ｌ−メントキシプロパン−１，２−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、Ｎ−置換−パラメンタン−３−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨剤組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができる。
また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、製剤組成中に０．０００００１〜１％使用することが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、製剤組成中に０．１〜２．０％使用することが好ましい。

着色剤としては、赤色２号、赤色３号、黄色４号、黄色５号、青色１号、青色２号、緑色３号等の法定色素、ベニバナ色素、クチナシ色素、コチニール色素、アナトー色素、雲母チタン、酸化チタン、ベンガラ等が挙げられる。
保存安定化剤としては、ビタミンＣ、ビタミンＥ、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアリール等が挙げられる。

有効成分としては、（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩に加えて、その他の有効成分、例えばイソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ドデシルジアミノエチルグリシン等の殺菌剤、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等のフッ素化合物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸等の抗プラスミン剤、アスコルビン酸、（Ａ）成分以外のアスコルビン酸誘導体、トコフェロール及びその誘導体、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、β−カロテン、エルゴカルシフェロール、メナジオン、ユビキノン等のビタミン類、グリチルリチン酸塩類、グリチルレチン酸、アラントイン類、オウバク、オウレン、ローズマリー、チョウジ、セージ、タイム、オウゴン、トウキ、ハマメリス、ビワ、緑茶、イチョウ、セイヨウサンザシ、ホップ、ワレモコウ、オトギリソウ、ウーロン茶、シナノキ、アセンヤク、ノバラ、ドクダミ、スギナ、紅茶、シャクヤク、シラカバ、サンザシ、マロニエ、ゼニアオイなどの植物抽出物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキシドジスムターゼ等の酵素、硝酸カリウム、γ−オリザノール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、アズレン、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、トリクロロカルバニリド、アラニン、グリシン、プロリン、Ｌ−アルギニン、Ｌ−アスパラギン酸ナトリウム、トリメチルグリシン、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ゼオライト、乳酸アルミニウム等を、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。

本発明組成物のｐＨは特に限定されないが、２５℃におけるｐＨが８以上、特に８．０〜９．３の範囲であることが、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定性の点から好ましい。

本発明の歯磨剤組成物を充填する容器は特に制限されず、通常、歯磨剤組成物に使用される容器を用いることができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどのプラスチック容器等が使用できる。

以下、実施例及び比較例、処方例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において、％は特に断らない限りいずれも質量％である。

［実施例、比較例］
表１〜３に示す組成の歯磨剤組成物を下記製造法により調製し、下記方法で評価した。結果を表１〜３に示す。
〈１〉歯磨剤組成物の製造法
（１）精製水中に水溶性成分（粘結剤、プロピレングリコールを除く）を常温で混合溶解させたＡ相を調製した。
（２）プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させたＢ相を調製した。
（３）撹拌中のＡ相中にＢ相を添加混合してＣ相を調製した。
（４）Ｃ相中に香料、研磨剤等の水溶性成分以外の成分を、１．５Ｌニーダー（石山工作所製）を用いて常温で混合し、減圧（５．３ｋＰａ）による脱泡を行い、歯磨剤組成物１．２ｋｇを得た。

上記のように製造した歯磨剤組成物を、最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなる直径２６ｍｍ、口径８ｍｍのラミネートチューブ（ＬＤＰＥ５５／ＰＥＴ１２／ＬＤＰＥ２０／白ＬＤＰＥ６０／ＥＭＡＡ２０／ＡＬ１０／ＥＭＡＡ３０／ＬＤＰＥ２０／ＬＬＤＰＥ３０，厚み２５７μｍ（大日本印刷（株）製））に６０ｇ充填し、２５℃における３分後のｐＨを２０ｍＬ容量のプラスチック容器に分注して測定した（測定機：メトラー・トレド（株）製、ＭＰ２２０、電極：メトラー・トレド（株）製、ＩｎＬａｂ４１０）。
使用したラミネートチューブの層構成における略号と名称は以下の通りであり、略号に続く数字は各層の厚み（μｍ）を示したものである。
ＬＤＰＥ：低密度ポリエチレン
白ＬＤＰＥ：白色低密度ポリエチレン
ＬＬＤＰＥ：直鎖状低密度ポリエチレン
ＡＬ：アルミニウム
ＰＥＴ：ポリエチレンテレフタレート
ＥＭＡＡ：エチレン・メタクリル酸の共重合体樹脂

〈２〉アスコルビン酸リン酸エステル塩の安定性
歯磨剤組成物を４０℃にて３ヶ月間保存した後のアスコルビン酸リン酸エステル塩の保存安定性を下記方法で評価した。−５℃の保存品は分解のない対照品とした。

アスコルビン酸リン酸エステル塩の定量：
各歯磨剤組成物０．１ｇを測り取り、１０ｍｍｏｌ／Ｌのリン酸緩衝液（１．５ｍｍｏｌ／Ｌリン酸二水素カリウム、２３．５ｍｍｏｌ／Ｌリン酸水素二カリウム、ｐＨ８．０）を加え、振とう機で２０分間激しく撹拌した後、１０ｍＬにメスアップした。この液１ｍＬを取り、前処理用フィルターで濾過した後、高速液体クロマトグラフィー（ポンプ：日本分光社製ＰＵ１５８０、オートサンプラー：島津製作所社製ＳＩＬ−１０Ａ、ＵＶ検出器：島津製作所社製ＳＰＤ−６Ａ、記録装置：島津製作所社製Ｃ−Ｒ４Ａ）を用い、絶対検量線法にて定量を行った。移動相は２５ｍｍｏｌ／Ｌリン酸二水素カリウム＋５ｍｍｏｌ／Ｌテトラブチルアンモニウム／アセトニトリル＝９１／９混液（容量比）、カラムは直径約４．６ｍｍ、長さ約１５０ｍｍのステンレス管に５μｍの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したもの（例：ＴＳＫ−ｇｅｌＯＤＳ−８０Ｔｓ（東ソー（株）製））、カラム温度約４０℃、検出波長２４０ｎｍ、流速は０．８ｍＬ／分としてアスコルビン酸リン酸エステル塩の保持時間を約７分間とした。４０℃にて３ヶ月保存品中のアスコルビン酸リン酸エステル塩の含有量を算出し、−５℃にて３ヶ月保存品中のアスコルビン酸リン酸エステル塩の含有量を１００％とした場合の残存率を求めた。

評点
◎：残存率が９５％以上
○：残存率が９０％以上９５％未満
△：残存率が８０％以上９０％未満
×：残存率が８０％未満

〈３〉収斂効果の評価
歯磨剤組成物について、専門家パネラー１０人を用いた収斂感の官能試験を実施した。製剤約１ｇを市販品歯ブラシにのせて３分間ブラッシングを行い、使用中及び使用後の収斂感を、以下の評点に従って評価した。１０名の評価結果の平均値を求め、以下の基準で○、◎の評価が確保されるものを、収斂効果の高い歯磨剤組成物であると判断した。
評点
３点：収斂効果を感じる
２点：やや収斂効果を感じる
１点：全く収斂効果を感じない
評価基準
◎：２．５点以上
○：２．０点以上２．５点未満
△：１．３点以上２．０点未満
×：１．３点未満

使用原料の詳細は下記のとおりである。
（１）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム：
和光純薬工業（株）製、生化学用
（２）炭酸カルシウム：
（株）カルファイン製、炭酸カルシウム系研磨剤、商品名カルファ
インＫＳ−１０００ＲＳ
（３）炭酸水素ナトリウム：旭硝子（株）製、商品名重炭酸ナトリウム
リン酸三ナトリウム：太平化学産業（株）製、商品名リン酸三ナト
リウム
リン酸水素二ナトリウム：太平化学産業（株）製、商品名リン酸二
ナトリウム
ポリリン酸ナトリウム：太平化学産業（株）製、商品名トリポリリ
ン酸ナトリウム
ピロリン酸四ナトリウム：太平化学産業（株）製、商品名ピロリン
酸ナトリウム
ポリリン酸四カリウム：太平化学産業（株）製、商品名ポリリン酸
カリウム

表１〜３の結果から、（Ｃ）成分を欠く場合（比較例２）、（Ｂ）、（Ｃ）成分の比率が不適切な場合（比較例３、４）はアスコルビン酸リン酸エステル塩の安定性に劣るのに対して、（Ｂ）、（Ｃ）成分が適切割合で配合された本発明の歯磨剤組成物（実施例）は、アスコルビン酸リン酸エステル塩が安定配合され、また、収斂効果に優れることが確認された。

以下の処方例の歯磨剤組成物を上記と同様の原料を用いて同様に調製し、評価した。各例の歯磨剤組成物は、アスコルビン酸リン酸エステル塩の安定性に優れ、使用中及び使用後の収斂感が高く良好な使用実感を与えるものであった。

［処方例１］練歯磨（ｐＨ８．１８）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム０．１％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム５．０
（Ｂ）軽質炭酸カルシウム５．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム１．０
無水ケイ酸６．０
７０％ソルビット液４５．０
プロピレングリコール２．０
キサンタンガム０．８
ポリアクリル酸ナトリウム０．５
アルギン酸ナトリウム０．２
クエン酸０．０５
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
イプシロンアミノカプロン酸０．０３
硝酸カリウム１．０
サッカリンナトリウム０．１８
塩化セチルピリジニウム０．０１
ラウリル硫酸ナトリウム１．５
ラウロイルサルコシンナトリウム０．２
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．１０

［処方例２］練歯磨（ｐＨ８．１１）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム０．３％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム１０．０
（Ｂ）軽質炭酸カルシウム５．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム２．０
無水ケイ酸５．０
７０％ソルビット液５０．０
プロピレングリコール１．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム１．０
カラギーナン０．６
リンゴ酸０．０５
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
イプシロンアミノカプロン酸０．０３
硝酸カリウム５．０
サッカリンナトリウム０．１６
ポリビニルピロリドン０．１
イソプロピルメチルフェノール０．０５
ラウリル硫酸ナトリウム１．４
イミダゾリニウムベタイン（３０％）０．０２
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．１３

［処方例３］練歯磨（ｐＨ８．０３）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルナトリウム０．２％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム１０．０
（Ｂ）軽質炭酸カルシウム１０．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム３．０
無水ケイ酸５．０
７０％ソルビット液４０．０
プロピレングリコール３．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム１．５
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
トラネキサム酸０．０５
硝酸カリウム１０．０
サッカリンナトリウム０．１７
塩化セチルピリジニウム０．０５
ラウリル硫酸ナトリウム１．６
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．１５

［処方例４］練歯磨（ｐＨ８．１０）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルナトリウム０．５％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム１０．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム１．０
無水ケイ酸５．０
ポリエチレングリコール４０００１．２
７０％ソルビット液４５．０
プロピレングリコール２．０
キサンタンガム０．６
ポリアクリル酸ナトリウム０．５
アルギン酸ナトリウム０．３
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
乳酸アルミニウム１．５
サッカリンナトリウム０．１６
イソプロピルメチルフェノール０．０５
ラウリル硫酸ナトリウム２．０
クエン酸０．０５
酸化チタン０．４
香料１．２
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．１０

［処方例５］練歯磨（ｐＨ８．０６）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム１．５％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム１５．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム２．０
無水ケイ酸５．０
ポリエチレングリコール４０００１．５
７０％ソルビット液４０．０
プロピレングリコール２．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム１．３
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
乳酸アルミニウム２．５
サッカリンナトリウム０．１８
キシリトール０．５
塩化セチルピリジニウム０．１
ラウリル硫酸ナトリウム１．２
ラウロイルサルコシンナトリウム０．２
リンゴ酸０．０５
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．１３

［処方例６］練歯磨（ｐＨ８．１２）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム２．０％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム１５．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム８．０
無水ケイ酸５．０
７０％ソルビット液４２．０
プロピレングリコール２．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム０．８
カラギーナン０．８
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
デキストラナーゼ０．３
乳酸アルミニウム３．０
イソプロピルメチルフェノール０．０５
ポリビニルピロリドン０．３
サッカリンナトリウム０．１８
ラウリル硫酸ナトリウム１．５
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．５３

［処方例７］練歯磨（ｐＨ８．１９）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム０．３％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム２０．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム１．０
無水ケイ酸５．０
７０％ソルビット液２５．０
８５％グリセリン２０．０
プロピレングリコール４．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム１．１
ポリアクリル酸ナトリウム０．３
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
トラネキサム酸０．０５
塩化セチルピリジニウム０．２
デキストラナーゼ０．２
サッカリンナトリウム０．１８
キシリトール０．５
ラウリル硫酸ナトリウム１．５
ラウロイルサルコシンナトリウム０．１
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．０５

［処方例８］練歯磨（ｐＨ８．１２）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム０．２％
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルナトリウム０．２
（Ｂ）重質炭酸カルシウム２５．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム５．０
無水ケイ酸５．０
ポリエチレングリコール４００００．６
７０％ソルビット液２０．０
８５％グリセリン２５．０
プロピレングリコール２．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム０．７
ポリアクリル酸ナトリウム０．３
カラギーナン０．３
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
イソプロピルメチルフェノール０．０５
サッカリンナトリウム０．１８
ラウリル硫酸ナトリウム１．５
イミダゾリニウムベタイン（３０％）０．０１
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．２

［処方例９］練歯磨（ｐＨ８．１１）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム０．３％
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルナトリウム０．１
（Ｂ）重質炭酸カルシウム１０．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム１．０
無水ケイ酸５．０
７０％ソルビット液２７．０
プロピレングリコール２．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム１．０
キサンタンガム０．１
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
サッカリンナトリウム０．１
エリスリトール４０．０
ラウリル硫酸ナトリウム１．０
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．１０

［処方例１０］練歯磨（ｐＨ８．１９）
（Ａ）アスコルビン酸−２−リン酸エステルマグネシウム０．３％
（Ｂ）重質炭酸カルシウム１５．０
（Ｃ）炭酸水素ナトリウム１．０
無水ケイ酸５．０
ポリエチレングリコール４０００１．０
７０％ソルビット液１５．０
プロピレングリコール３．０
カルボキシメチルセルロースナトリウム１．０
キサンタンガム０．１
モノフルオロリン酸ナトリウム０．７３
サッカリンナトリウム０．１
エリスリトール４５．０
ラウリル硫酸ナトリウム１．０
ラウロイルサルコシンナトリウム０．４
酸化チタン０．４
香料１．３
精製水バランス
合計１００．０
（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比（（Ｃ）／（Ｂ））＝０．０６

Claims

（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を０．１〜２質量％と、
（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤を５〜２５質量％と、
（Ｃ）炭酸水素のアルカリ金属塩及びリン酸のアルカリ金属塩から選ばれる１種以上を０．５〜１０質量％と
を含有し、（Ｃ）成分／（Ｂ）成分が質量比として０．０２０〜１．０であることを特徴とする歯磨剤組成物。
（Ｃ）成分が、炭酸水素ナトリウムである請求項１記載の歯磨剤組成物。
組成物の２５℃におけるｐＨが８〜９．３である請求項１又は２記載の歯磨剤組成物。
練歯磨剤である請求項１〜３のいずれか１項記載の歯磨剤組成物。
（Ａ）アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩を０．１〜２質量％と、
（Ｂ）炭酸カルシウム系研磨剤を５〜２５質量％とを配合した歯磨剤組成物に、
（Ｃ）炭酸水素のアルカリ金属塩及びリン酸のアルカリ金属塩から選ばれる１種以上を０．５〜１０質量％配合し、（Ｃ）成分／（Ｂ）成分を質量比として０．０２０〜１．０にすることを特徴とする、前記歯磨剤組成物におけるアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化方法。
組成物の２５℃におけるｐＨが８〜９．３である請求項５記載の歯磨剤組成物におけるアスコルビン酸リン酸エステル又はその塩の安定化方法。