JP5275684B2 - 容器入り歯磨き組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、非カチオン性殺菌剤を含有する容器入り歯磨き組成物に関する。
歯磨き組成物には、むし歯、歯肉炎、歯槽膿漏等の歯周病の原因物質である歯垢を抑制し、又は歯垢中の各種口腔細菌を低レベルに抑制する目的で、広い抗菌スペクトルを持つ非カチオン性殺菌剤が配合したものがある。
しかし、非カチオン性殺菌剤は、歯磨き組成物に配合しても、この歯磨き組成物を容器内に充填した場合にその容器表面に吸着し、歯磨き組成物中の濃度が低下してしまう課題があることが知られていた(例えば、特許文献1)。
この課題に対して、容器の最内層部分に特殊なポリマーを用いて非カチオン性殺菌剤の容器への吸着を改善する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、エチレンビニルアルコールを内層に使用することが提案されている。しかし、特殊なポリマーを用いると、容器の製造性が低下する等の製造上の課題とコストアップの経済上の問題がある。
一方、組成面で非カチオン性殺菌剤の容器への吸着を抑える技術としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合することで安定化した歯磨き剤組成物(特許文献2)、アニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤を特定比率で配合し、水分量を40%以下とすることでフェノール系殺菌剤を安定配合した口腔用組成物(特許文献3)、グリセリン等のポリオールを含有し、ポリオールに対する水分の割合を重量割合で0.4以下とすることにより非水溶性有効成分を安定配合した口腔用組成物(特許文献4)が提案されている。
特開平6−279248号公報 特開2004−250381号公報 特開平11−322554号公報 特開2001−199854号公報
しかし、特許文献3、4に記載された歯磨き剤のようにグリセリン等を多く含有することによって水分含有量を40質量%より低くした場合、粘稠性が増加し、口腔内における歯磨き剤の分散性が悪くなり、使用感を損なう場合がある。また、グリセリン等は苦味があり、使用感だけでなく味にも影響を与える。一方、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する歯磨き剤では、非カチオン性殺菌剤の容器への吸着は防止することはできたが、非カチオン性殺菌剤の殺菌効果が低下していることがわかった。
本発明の課題は、容器入りの歯磨き組成物中において非カチオン性殺菌剤の容器への吸着を抑制し、使用時に非カチオン性殺菌剤を口腔内で十分に作用させることができ、且つ、使用感の良好な歯磨き組成物を提供することにある。
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非カチオン性殺菌剤 0.001〜2質量%
(B)糖アルコール 55〜80質量%
(C)水 0.1〜20質量%
を含有し、糖アルコール中のエリスリトール割合が60質量%以上である、少なくとも容器の最内層が合成樹脂層の容器入り歯磨き組成物を提供するものである。
本発明の歯磨き組成物は、非カチオン性殺菌剤の容器への吸着を抑制し、その効果を持続しつつ容器内に保存が可能であって、しかも口腔内で歯磨き組成物の分散性に優れ、使用感が良好である。
本発明の歯磨き組成物は、上記の成分(A)非カチオン性殺菌剤、成分(B)糖アルコール、及び成分(C)水を20質量%以下含有する。
本発明の歯磨き組成物における(A)非カチオン性殺菌剤としては、非イオン性殺菌剤が好ましく、さらにトリクロサン、イソプロピルメチルフェノールが好ましく、特にトリクロサンが好ましい。
本発明の歯磨き組成物における非カチオン性殺菌剤の含有量は、歯垢抑制効果の観点から、0.001〜2質量%であり、好ましくは0.01〜1質量%である。
トリクロサンは、広範囲な抗菌スペクトルをもつハロゲン化ジフェニルエーテル型の殺菌剤であり、化学名は2’,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテルであって、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社からイルガケアMPの商品名で販売されている。イソプロピルメチルフェノールは、1−ヒドロキシ−4−イソプロピル−3−メチルフェノールであり、例えば、商品名ビオゾームとして大阪化成株式会社から販売されている。
本発明の歯磨き組成物における(B)糖アルコールとしては、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、マルチトール、マンニトール等が挙げられるが、このうちエリスリトール、キシリトール、ソルビトールが好ましい。
本発明の歯磨き組成物における糖アルコールの含有量は、非カチオン性殺菌剤の安定性の観点から、歯磨き組成物の全重量中に55〜80質量%であり、かつ、使用感の観点から糖アルコール全重量中のエリスリトールの割合が60質量%以上である。エリスリトールの糖アルコール全量中の含有量を60質量%以上とすることで、十分な清涼感が得られるとともに、本発明の水分量20質量%以下の歯磨き組成物において粘稠性を抑え、口腔内における歯磨き組成物の分散性を確保し、使用感を良好とすることができる。また、本発明の歯磨き組成物におけるソルビトールの含有量は、歯磨き組成物の全重量中に32質量%以下であるが、25質量%より少ないことが好ましい。
本発明の歯磨き組成物においては、非カチオン性殺菌剤の安定性、即ち、容器への吸着を防止する観点から(C)水分量が20質量%以下である。本発明の歯磨き組成物における水分量とは、歯磨き組成物に処方した精製水等の水だけでなく、例えば70%ソルビトール液のように処方した各成分に含まれる水分を含み、歯磨き組成物に含まれる水分の全重量である。本発明の歯磨き組成物における水分量は0.1〜20質量%であり、好ましくは1〜18質量%である。
なお、歯磨き組成物中の水分量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することができる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業)を用いることができる。この装置では、歯磨き組成物を5gとり、無水メタノール25gにより懸濁させ、この懸濁液0.02gを分取して水分量を測定することができる。
本発明の歯磨き組成物は、使用感と清涼感、冷涼感および味の観点から、糖アルコールの全重量を基準としてエリスリトールを60質量%以上含有し、好ましくは65質量%以上含有する。エリスリトールは、使用感、清涼感、冷涼感及び味の観点から粒子径が355μm未満の粉末もしくは粒子状のものを配合することができる。
エリスリトールの構造としては、L−エリスリトール、D−エリスリトール、meso−エリスリトールの3種の異性体が存在するが、本発明はこれらいずれの構造も使用できる。エリスリトールとしては、通常入手可能なものを使用でき、例えばブドウ糖を発酵させた後、再結晶して得られる結晶状のエリスリトール等が挙げられる。結晶状のエリスリトールは、市販品としては、日研化学(株)、三菱化学フーズ(株)、セレスター社、カーギル社製等のものが入手可能である。また、粒径の大きなものは、粉砕して粒子径を調整したものを使用することもできる。エリスリトールの粉砕には、ローラミル、ハンマーミル、高速度粉砕機、パルベライザーなどを使用するのが一般的であるが、粒度の調整が簡便で、かつ、生産効率にも優れる高速度粉砕機、ハンマーミルによる粉砕が好ましい。
エリスリトールの粒子径は、口腔内で冷涼感が長く続くという観点から45μm以上355μm未満が好ましく、53μm以上300μm未満がより好ましく、75μm以上250μm未満が更に好ましい。エリスリトールの粒子径が45μm以上のものは、口の中で瞬時に溶けることがなく、冷涼感が長く続き好ましい。また355μm未満のものは、口腔内で溶けやすく冷涼感を発揮することができる。
なお、エリスリトールの粒子径は以下のように測定される。
篩:JIS標準篩 φ75mm
目開き:上段より、それぞれ500μm、355μm、250μm、180μm、125μm、90μm及び45μmの目開きを有する篩の下に受器を有する。
振盪機:ミクロ型電磁振動機M−2型(筒井理化学器機(株))
方法:試料15gを500μm篩上に載せ、電磁振動機にて5分間分級する。250μm、180μm、125μm、90μm及び45μmの目開きを有する篩上に存在するエリスリトールの合計量を粒子径45μm以上355μm未満のエリスリトールとする。
エリスリトールは、粉末の状態で歯磨き組成物中に分散しているのが望ましい。そのためには、エリスリトールは製造の最終工程に、粉体のままで投入することが好ましい。このような方法を用いることで、エリスリトールは水にほとんど溶解せずに、歯磨き組成物中に粉末の状態で存在させることが可能となる。
本発明の歯磨き組成物には、口腔組成物に使用可能なその他の配合成分、例えば、粘結剤、研磨剤、湿潤剤、発泡剤、フッ素イオン供給化合物、甘味剤、香味量、pH調整剤、保存剤、各種薬効成分などを、本発明の目的が阻害されない範囲で適宜配合してもよい。
本発明に用いられる粘結剤は、特に限定はないが、例えばアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム及びメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体が挙げられる。このうち、特にカルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン及びキサンタンガムがこのましい。粘結剤は、1種もしくは2種以上を組合せて使用してもよい。
本発明の歯磨き組成物における粘結剤の含有量は、保存安定性、より高い使用感を得る観点から、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜2質量%がより好ましく、0.2〜1.2質量%が更に好ましい。
研磨剤としては、本発明の使用感を損ねない範囲で、含水シリカ、無水シリカ、シリカゲル、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、グルコノシリケート等のシリカ系研磨剤のほか、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト等を用いることができる。特に、十分な清掃効果と使用感の観点から、含水シリカ、無水シリカ、リン酸水素カルシウム2水和物、リン酸水素カルシウム無水和物、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ゼオライトを用いるのが好ましい。研磨剤の含有量は、十分な清掃効果と良好な使用感を得る観点から、本発明の歯磨き組成物中、5〜20質量%が好ましく、特に7〜15質量%が好ましい。
湿潤剤としては、本発明の使用感を損ねない範囲で、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、トレハロース等が好適に用いられる。歯の清掃効果の観点、使用感からグリセリン、ポリエチレングリコールを使用することが好ましい。また、湿潤剤の含有量は、本発明の歯磨き組成物中に、0.5〜20質量%が好ましく、さらに1〜16質量%が好ましい。特に、グリセリンは、1〜12質量%であることが好ましい。
発泡剤としては、陰イオン、非イオン、陽イオン、及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、陰イオン、非イオン、陽イオン界面活性剤等の中から1の界面活性剤のみを用いても良いが、2以上の界面活性剤を用いる場合には、いずれか1の界面活性剤を0.1質量%以下にすることが好ましい。尚、上記の界面活性剤等の中から1の界面活性剤のみを用いる場合、例えば陰イオン界面活性剤を含有する場合には、複数組成の陰イオン界面活性を用いることができるし、2以上の界面活性剤を用いる場合にも、各々の界面活性剤について複数組成の界面活性剤を用いることができる。
陰イオン界面活性剤としては、例えばアシルグルタミン酸ナトリウム、アシルサルコシンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、アルキルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N−メチル長鎖アシルタウリンナトリウム塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩が挙げられる。これらの陰イオン界面活性剤における疎水基のアルキル基、アシル基は炭素数6〜18、特に10〜14のものが好ましい。また、その塩としてはナトリウム塩が好ましい。陰イオン界面活性剤としては、発泡性が良く、また、安価に入手可能な点からアルキル硫酸エステル塩が特に好ましい。
陰イオン界面活性剤は、本発明の歯磨き組成物中に0〜5質量%含有することが好ましく、さらに好ましくは0〜2質量%である。
フッ素イオン供給化合物としては、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化アンモニウム等が挙げられる。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ソーマチン、アセスルファムカリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
香味剤としては、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、ペパーミント油、スペアミント油、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、ユーカリ油、ハツカ油、アニス油、冬緑油等が挙げられる。
各種薬効成分としては、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アズレン、グリチルレチン酸、エピジヒドロコレステリン、α−ビサボロール、グリチルリチン酸及びその塩類等の抗炎症剤;ヒノキチオール等のフェノール性化合物;トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸等の抗プラスミン剤;α−トコフェロール、酢酸α−トコフェロール(dl体、d体)及びその塩;銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物;塩化ナトリウム、硝酸カリウム等の塩類;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、塩化リゾチーム等の酵素;トウキ、オウバク、チョウジ、オウゴン、ベニバナ等の抽出物;乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、ジヒドロコレステロール、クエン酸亜鉛等が挙げられる。
尚、殺菌剤としては、本発明の効果を阻害しない範囲で、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム等の第四級アンモニウム化合物、クロルヘキシジン塩類等のカチオン性殺菌剤を本発明の殺菌剤と併用することができる。
本発明の歯磨き組成物は、その用途に応じて、常法に従って練歯磨き組成物、ゲル状歯磨き組成物などとすることができる。
本発明の歯磨き組成物は、少なくとも最内層が合成樹脂層である容器に充填される容器入り歯磨き組成物であり、充填された歯磨き組成物は最内層の合成樹脂層と接触状態にある。
本発明の歯磨き組成物が充填される容器としては、単層または2種以上の樹脂によるブローチューブ、アルミニウム等の金属、紙、他の合成樹脂との積層フィルムで形成されたチューブ容器のように歯磨き組成物用として通常使用される各種容器の他、合成樹脂製の容器にポンプ式吐出装置や泡吐出装置が取着したポンプ容器、泡吐出容器などが挙げられる。これらの容器の中で、押圧により容器内に充填された歯磨き組成物を吐出させるチューブ容器が一般的によく用いられる。これらの容器本体に歯磨き組成物が充填され、容器本体の歯磨き組成物と接触する最内層は、ポリエチレン等の非カチオン性殺菌剤と親和性の高い合成樹脂で構成されているが、さらに、容器本体だけでなく、例えばチューブ容器の吐出口を構成する頭部、吐出口を封止する蓋部、中栓、吐出装置のディップチューブ、吐出装置本体等の吐出時に歯磨き組成物と接触する部材も、非カチオン性殺菌剤と親和性の高い合成樹脂で構成されていても良い。
容器の最内層を構成する合成樹脂層としては、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂は非カチオン性殺菌剤と親和性が高い。本発明の非カチオン性殺菌剤、例えばトリクロサンは、特にポリエチレンとの親和性が高い。そして、ポリエチレンの中でも直鎖状低密度ポリエチレンは、チューブ容器の製造においてシーラント層として一般に採用されるため、チューブ容器の最内層において充填された歯磨き組成物と接触するものとなる。
例中の%は、特記しない限り質量%である。
表1に示す組成に従って、実施例1、2、比較例1〜3の歯磨き組成物を調製した。
(1)容器内への歯磨き組成物中の保存試験
表1に示す実施例1、2、比較例1〜3の歯磨き組成物を、一端側にある吐出口が蓋により封止されたチューブ容器の他端側の開口部から充填し、充填後に開口部を融着して密封し、この密封状態で50℃1ヶ月(30日)保存した。
保存試験に用いた容器はチューブ容器であって、容器本体は、最内層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であって、外側に印刷層(ニスを含む)を備え、印刷層/低密度ポリエチレン(LDPE)50μm/接着剤/高密度ポリエチレン(HDPE)80μm/接着剤/アルミニウム12μm/接着剤/ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/接着剤/LLDPE100μmからなり、中間層にアルミニウム層を含む多層樹脂層からなる容器である。
(2)容器内に保存した歯磨き組成物中のトリクロサン含有量の測定方法
保存された歯磨き組成物中のトリクロサン含有量の測定は、以下の方法で行った。保存後の歯磨き組成物の各々をチューブ容器から2.0g量りとり、移動相となる0.1w/v%リン酸含有メタノール水混液(メタノール:水=70:30)を加えて100mlとし、これを十分に攪拌することによりトリクロサンを抽出した。そして、この液の一部をろ過し、ろ液を試験溶液として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりトリクロサンの吸光度を測定した。そして、トリクロサンを標準品として同様に0.1w/v%リン酸含有メタノール水溶液(メタノール:水=70:30)を加えて100mlとし、十分に攪拌したものを標準溶液として、同様にHPLCによりトリクロサンの吸光度を測定した。
HPLC条件
装置:日立高速液体クロマトグラム La chrom Elite
カラム:LiChroCART 125-4 Superspher100 RP−8 Endcapped(Merck)
カラム温度:40℃
移動層:0.1w/v%リン酸含有メチルアルコール:水=7:3
流量:1.0ml/min
サンプル注入量:20μl
測定波長:254nm
HPLCにより測定されたトリクロサンの吸光度のピーク面積から以下の式により試験溶液のトリクロサン含有量を求め、表1に示す。
トリクロサンの含有量=(B×C)/(A×D)/100
A:標準溶液の吸光度から得られたトリクロサンのピーク面積
B:試験溶液から得られたトリクロサンのピーク面積。
C:トリクロサン標準品の採取量(g)
D:歯磨き組成物の採取量(g)
(3)使用感の評価
表1に示す実施例1、2、比較例1〜3の歯磨き組成物を、被験者5名により使用感を調査した。
○:口腔内での分散性に優れ使用感が良好である。
×:口腔内での分散性が悪く使用感に劣る。
Figure 0005275684
表1に示すように、実施例1は、歯磨き組成物中の水分量が20質量%以下であって、歯磨き組成物中の糖アルコールを65質量%含有し、糖アルコールにおけるエリスリトールの割合が69%であり、実施例2は、歯磨組成物中の水分量が20質量%以下であって、歯磨き組成物中の糖アルコールを70質量%含有し、糖アルコールにおけるエリスリトールの割合が71%である。実施例1、2の歯磨き組成物は、最内層がLLDPEの合成樹脂製チューブ容器に50℃1月保存した後も、トリクロサンは殆ど減少することなく、口腔内における分散性に優れた高い使用感の評価を得ることができた。従って、糖アルコールにおけるエリスリトールの割合を高くすることで、他の糖アルコールにはない優れた使用感を得ることができる。
一方、歯磨き組成物中の水分量が20質量%よりも多い比較例1では、最内層がLLDPEの合成樹脂製チューブ容器に50℃1月保存した後は、トリクロサンが77%まで減少し、トリクロサンがチューブ容器の最内層に吸着したと判断できる。歯磨き組成物中の水分量が20質量%以下の比較例2、3では、保存後のトリクロサンの含有率は高い結果であった。しかし、比較例2は糖アルコールの含有量が少なく、グリセリンを多量に含有することによって水分量含有量を少なくしており、比較例3は糖アルコールの含有量は多いが、糖アルコール中にエリスリトールを含有せず、すべてソルビトールで構成しており、比較例2及び3は、粘稠性が高く、口腔内における分散性が悪いため、使用感に劣る評価を得た。
実施例3
[歯磨き組成物]
以下に示す組成に従って調整した歯磨き組成物を、実施例1と同様に最内層がLLDPEであるチューブ容器に密封し、容器入りの歯磨き組成物を得た。
マルチトール 10%
エリスリトール 50%
トリクロサン 0.02%
ポリエチレングリコール 5%
シリカ 14%
カルボキシメチルセルロース 1%
サッカリンナトリウム 0.05%
香料 1.5%
界面活性剤 1.5%
精製水 16.93%
実施例4
[歯磨き組成物]
以下に示す組成に従って調整した歯磨き組成物を、実施例1と同様に最内層がLLDPEであるチューブ容器に密封し、容器入りの歯磨き組成物を得た。
ソルビトール 13%
キシリトール 15%
エリスリトール 45%
トリクロサン 0.02%
ポリエチレングリコール 4%
シリカ 8%
カルボキシメチルセルロース 1%
サッカリンナトリウム 0.05%
香料 1.5%
界面活性剤 1.5%
精製水 10.93%

Claims (2)

  1. 次の成分(A)、(B)(C)及び(D)
    (A)イソプロピルメチルフェノール及びトリクロサンから選ばれる非カチオン性殺菌剤 0.01〜2質量%
    (B)糖アルコール 55〜80質量%
    (C)水 0.1〜20質量%
    (D)グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びトレハロースから選ばれ、かつ少なくともグリセリン及び/又はポリエチレングリコールを含む湿潤剤 1〜16質量%
    を含有し、糖アルコール中のエリスリトール割合が60質量%以上である、容器の少なくとも最内層がポリエチレンからなる容器入り歯磨き組成物。
  2. 成分(D)が、少なくともグリセリンを含み、かつグリセリンの含有量が1〜12質量%である、請求項1記載の容器入り歯磨き組成物。
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