JP6048044B2 - 回転式圧縮機 - Google Patents

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本発明は、バランスウェイト機構を備えた回転式圧縮機に係るものである。
従来より、流体を圧縮する回転式圧縮機が知られており、冷凍装置等に広く適用されている。
例えば特許文献1に開示の回転式圧縮機は、ケーシング内に電動機と圧縮機構とが収容される。電動機は、ケーシングに固定される固定子と、該固定子の内部に挿通される回転子とを有する。圧縮機構は、駆動軸を介して電動機に連結される。圧縮機構は、シリンダ室が形成されるシリンダと、駆動軸の偏心部に外嵌するピストンとを備えている。電動機へ電力が供給されると、固定子の内部で回転子が回転し、これに伴い駆動軸、ひいてはピストンが回転する。これにより、シリンダ内の圧縮室の容積が縮小し、この圧縮室で流体が圧縮される。
特許文献1に記載の回転式圧縮機では、駆動軸の偏心部との質量バランスを図るために、バランスウェイト機構が設けられる。具体的に、このバランスウェイト機構は、回転子の軸方向端部に固定される質量バランス部材16と、該質量バランス部材16を覆うカバー部材18とを備えている。カバー部材18は、上側に平坦な天板部18Bを形成した略筒状に形成され、その軸心部を駆動軸4が貫通している。
このように、特許文献1に記載の回転式圧縮機では、回転子に質量バランス部材16を取り付けることで、偏心部との質量バランスを図り、圧縮機の振動の低減を図っている。また、カバー部材18で質量バランス部材16を覆うことで、質量バランス部材16の回転に起因する攪拌損失を低減している。
特開2003−97470号公報
ところで、上述のようなバランスウェイト機構を備えた圧縮機では、バランスウェイト機構の径方向外方へ油が流出することで、圧縮機内の油上がりが促進されてしまうという問題があった。この点について、以下に詳細に説明する。
例えば図11に模式的に示すように、駆動軸121の周囲にカバー部材122を設けた構成では、カバー部材122の平坦部123の内縁部と駆動軸121との間や、カバー部材122の外周壁124と回転子125との間に、製造誤差等に起因して僅かな隙間が生じてしまう。このため、電動機が駆動されると、圧縮機内の油が、図11の矢印で示すように、平坦部123の内側の隙間を通過してカバー部材122の内部に流入する。この油は、遠心力によって径方向外方へ流れ、外周壁124側の隙間を流通し、カバー部材122の外部へ噴出される。このようにして、バランスウェイト機構120から径方向外方へ油が流出すると、この油は電動機のエアギャップ等を軸方向に流れる流体と衝突するため、この油が微細化されたり、この流体によって油が上方へ巻き上がったりする。この結果、バランスウェイト機構の近傍の油が、流体とともにケーシングの外部へ流出し、圧縮機内の油上がりが促進されてしまう、という問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転式圧縮機において、攪拌損失を低減でき、且つ圧縮機内の油上がりも防止できるバランスウェイト機構を提案することである。
第1の発明は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)に固定される固定子(31)及び回転子(32)を有する電動機(30)と、該電動機(30)に駆動軸(40)を介して連結され、ケーシング(11)の内部に流体を吐出する圧縮機構(50)と、上記駆動軸(40)が挿通される挿通部(68,78,82a,97a)、及び該駆動軸(40)の軸端側に平面を形成する平坦部(67,77,88,98)を有し、上記回転子(32)の軸方向端部に設置されるバランスウェイト機構(60,70)とを備えた回転式圧縮機を対象とし、該バランスウェイト機構(60)は、上記回転子(32)の軸方向端部に設置される本体部(81)と、該本体部(81)の外周縁部を覆う筒状の外周壁(86)、及び該本体部(81)の軸方向端部を覆うとともに上記平坦部(88)が形成される蓋部(87)を有する有底筒状のカバー部材(85)とを備え、上記蓋部(87)は、上記本体部(81)と上記駆動軸(40)の端部とを覆うように構成され、該カバー部材(85)の外周壁(86)には、該カバー部材(85)の内部と外部とを連通させる連通路(89)が形成され、該連通路(89)は、上記外周壁(86)のうち上記本体部(81)の逆回転方向側の端部寄りにのみ形成されることを特徴とする。
の発明では、バランスウェイト機構(60)の本体部(81)が、有底筒状のカバー部材(85)で覆われる。カバー部材(85)の蓋部(87)には、平坦部(88)が形成されるので、バランスウェイト機構(60)の回転に伴う攪拌損失が低減される。
また、第の発明では、カバー部材(85)の蓋部(87)は、本体部(81)と駆動軸(40)とに亘って形成され、駆動軸(40)が蓋部(87)を貫通しない。カバー部材(85)の蓋部(87)を駆動軸(40)が貫通する構成とすると、この貫通孔を通じて油がカバー部材(85)の内部に漏れ込んでしまう。これに対し、本発明では、蓋部(87)が駆動軸(40)を貫通しないので、このようにして、油がカバー部材(85)の内部に漏れ込むことが阻止される。
第2の発明は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)に固定される固定子(31)及び回転子(32)を有する電動機(30)と、該電動機(30)に駆動軸(40)を介して連結され、ケーシング(11)の内部に流体を吐出する圧縮機構(50)と、上記駆動軸(40)が挿通される挿通部(68,78,82a,97a)、及び該駆動軸(40)の軸端側に平面を形成する平坦部(67,77,88,98)を有し、上記回転子(32)の軸方向端部に設置されるバランスウェイト機構(60,70)とを備えた回転式圧縮機を対象とし、該バランスウェイト機構(70)は、上記回転子(32)の軸方向端部に設置される本体部(91)と、該本体部(91)の外周縁部を覆う筒状の外周壁(96)、及び該本体部(91)の軸方向端部を覆うとともに上記平坦部(98)が形成される蓋部(97)を有する有底筒状のカバー部材(95)とを備え、上記外周壁(96)は、上記本体部(91)から上記回転子(32)の外周縁部に亘って形成され、上記カバー部材(95)の外周部(96)には、該カバー部材(95)の内部と外部とを連通させる連通路(99)が形成され、該連通路(99)は、上記外周壁(96)のうち上記本体部(91)の逆回転方向側の端部寄りにのみ形成されることを特徴とする。
の発明では、バランスウェイト機構(70)の本体部(91)が、有底筒状のカバー部材(95)で覆われる。カバー部材(95)の蓋部(97)には、平坦部(98)が形成されるので、バランスウェイト機構(70)の回転に伴う攪拌損失が低減される。
また、第の発明では、カバー部材(95)の外周壁(96)が、回転子(32)に亘るように形成される。このため、カバー部材(95)の内部に漏れ込んだ油が径方向外方へ流れたとしても、この油は外周壁(96)の内壁に衝突する
の発明によれば、カバー部材(85)の蓋部(87)を駆動軸(40)が貫通しないので、カバー部材(85)の外部の油が内部へ浸入してしまうことを確実に回避でき、ひいてはバランスウェイト機構(60)の径方向外方へ油が噴出されることを確実に回避できる。
第2の発明によれば、カバー部材(95)の内部の油が外周壁(96)に衝突するため、バランスウェイト機構(70)から径方向外方への油の流出を確実に防止できる。
第1及び第2の発明によれば、カバー部材(85,95)の内部に漏れ込んだ油を連通路(87,97)を介して外部へ排出できるので、カバー部材(85,95)の内部の油の溜まり込みに起因して、潤滑油が不足してしまうことを防止できる。加えて、第1及び第2の発明によれば、冷凍装置の冷媒回路に圧縮機を接続して真空引きを行う際、カバー部材(85,95)の内部のガスを連通路(89,99)を介して外部へ排出できる。
図1は、参考形態1に係る圧縮機の縦断面図である。 図2は、参考形態1に係る電動機を拡大した縦断面図である。 図3は、参考形態1に係る上側バランスウェイト機構の下面図である。 図4は、参考形態1の変形例に係る電動機を拡大した縦断面図である。 図5は、参考形態1の変形例に係る上側バランスウェイト機構の下面図である。 図6は、参考形態2に係る圧縮機の縦断面図である。 図7は、参考形態2に係る電動機を拡大した縦断面図である。 図8は、参考形態2に係る上側バランスウェイト機構の本体部の下面図である。 図9は、参考形態2に係る下側バランスウェイト機構の要部を拡大した縦断面図である。 図10は、実施形態に係る電動機を拡大した縦断面図である。 図11は、参考例に係る圧縮機の要部を拡大した模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の参考形態1
本発明の参考形態1について説明する。参考形態1は、流体を圧縮する回転式の圧縮機(10)である。圧縮機(10)は、空気調和装置や冷却装置等の冷凍装置に適用される。具体的に、例えば冷凍装置は、冷媒が充填される冷媒回路を備え、この冷媒回路に圧縮機が接続される。冷媒回路では、圧縮機(10)で圧縮された冷媒が、凝縮器(放熱器)で放熱し、減圧機構で減圧された後、蒸発器で蒸発する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
〈圧縮機の基本構成〉
図1に示すように、圧縮機(10)は、縦長のケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に収容される電動機(30)、駆動軸(40)及び圧縮機構(50)を備えている。ケーシング(11)は、全密閉式の円筒状の容器である。ケーシング(11)は、筒状の胴部(12)と、該胴部(12)の下部を閉塞する下部境板(13)と、該胴部(12)の上部を閉塞する上部境板(14)とを備えている。ケーシング(11)の内部空間は、圧縮機構(50)の吐出冷媒で満たされる。つまり、圧縮機(10)は、いわゆる高圧ドーム式に構成される。また、ケーシング(11)の内部空間は、圧縮機構(50)と電動機(30)との間の一次空間(S1)と、電動機(30)の上側の二次空間(S2)とを含んでいる。更に、ケーシング(11)内の底部には、油が貯留される油溜部(15)が形成される。油溜部(15)には、圧縮機構(50)や軸受(53b,54b)等の各摺動部を潤滑する油(潤滑油)が貯留される。
圧縮機(10)は、吸入管(16)と吐出管(17)とターミナル(18)とを備えている。吸入管(16)は、胴部(12)の下側寄りの部位を径方向に貫通し、圧縮機構(50)の吸入ポート(58)に接続される。吐出管(17)は、上部境板(14)を軸方向に貫通し、その流入口(17a)がケーシング(11)の内部空間に連通する。吐出管(17)の流入口(17a)は、二次空間(S2)の径方向中央部に位置する。ターミナル(18)は、圧縮機(10)の外部の電力を電動機(30)へ供給するための中継端子である。ターミナル(18)は、上部境板(14)の内部に挿通されて固定される。
電動機(30)は、吐出管(17)の流入口(17a)と圧縮機構(50)との間において、胴部(12)の内周面に固定されている。電動機(30)は、ケーシング(11)に固定される固定子(31)(ステータ)と、該固定子(31)の内部に挿通される回転子(32)(ロータ)とを有している。固定子(31)の外周面には、該固定子(31)の軸方向の両端に亘ってコアカット(図示省略)が形成される。コアカットは、軸直角断面が矩形状あるいは扇状の流体流路を構成し、一次空間(S1)と二次空間(S2)とを連通させる。
固定子(31)は、プレス成形によって成型された電磁鋼板が、駆動軸(40)の軸方向に積層されて構成される。固定子(31)の軸方向両端部には、コイルが巻回されるコイルエンド(33)が形成される。これらのコイルエンド(33)のうち固定子(31)の上側であって、ターミナル(18)に比較的近いコイルエンド(33)には、ターミナル(18)からの配線(19)が接続される。
また、参考形態1の固定子(31)には、配線(19)を径方向外方へ案内する案内板(20)が形成される。案内板(20)は、固定子(31)の上側のコイルエンド(33)から上方に延びており、その上端が上側バランスウェイト機構(60)(詳細は後述する)の上端よりも高い位置にある。この案内板(20)を設けることにより、電動機(30)の運転時において、回転する上側バランスウェイト機構(60)と配線(19)とが干渉してしまことが回避される。
図2に示すように、回転子(32)は、回転子コア部(32a)と、該回転子コア部(32a)の軸方向両端にそれぞれ積層される一対の端板(32b)とを有している。回転子コア部(32a)は、プレス成形によって成型された環状の電磁鋼板が、駆動軸(40)の軸方向に積層されて構成される。端板(32b)は、例えばステンレス等の非磁性体材料で構成される。
参考形態1の回転子(32)は、例えば駆動軸(40)に焼き嵌めによって固定される。固定子(31)と回転子(32)の軸方向の長さ(高さ)は、概ね同じである。一方、回転子(32)は、固定子(31)に対して上方に若干シフトするように配置される。つまり、固定子(31)の下端部には、回転子(32)に対向しない非対向部が形成される。これにより、電動機(30)では、回転子(32)が固定子(31)の非対向部に向かって引き寄せられる下向きの磁気力(いわゆるマグネットプルフォース)が発生する。この結果、駆動軸(40)の上下の振動が抑制される。
参考形態1の電動機(30)には、回転子(32)の軸方向両端部を挟み込むように、複数のリベット(34)が設けられる。リベット(34)は、回転子(32)を軸方向に貫通するピン(34a)と、該ピン(34a)の両端に形成され且つ該ピン(34a)よりも大径の頭部(34b)とを有している。つまり、回転子(32)では、一対の頭部(34b)により電磁鋼板が軸方向内方へ挟み込まれて一体化される。参考形態1の回転子(32)では、例えば4本のリベット(34)が周方向に等間隔(90度)おきに配列される。
図1に示すように、駆動軸(40)は、電動機(30)と圧縮機構(50)とを連結し、圧縮機構(50)を駆動する。駆動軸(40)は、主軸部(41)と、該主軸部(41)の下端に連結するクランク軸部(偏心部)(42)と、該クランク軸部(42)の下端に連結する副軸部(43)と、該副軸部(43)の下端に連結する油ポンプ(44)とを有している。主軸部(41)及び副軸部(43)は、これらの軸心が概ね一致する一方、クランク軸部(42)の軸心は、主軸部(41)及び副軸部(43)の軸心とずれている。また、クランク軸部(42)の外径は、主軸部(41)及び副軸部(43)の外径よりも大きい。油ポンプ(44)は、油溜部(15)の油を上方へ汲み上げるポンプ機構を構成する。油ポンプ(44)によって汲み上げられた油は、駆動軸(40)の内部の油通路(図示省略)を通じて、圧縮機構(50)や駆動軸(40)の各摺動部へ供給され、該各摺動部の潤滑に利用される。
圧縮機構(50)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内壁に固定されるピストン収容部(51)と、該ピストン収容部(51)に収容されるピストン(56)とを備えている。ピストン収容部(51)は、環状のシリンダ(52)と、該シリンダ(52)の上側開放部を閉塞するフロントヘッド(53)と、該シリンダ(52)の下側開放部を閉塞するリヤヘッド(54)とを有している。これにより、ピストン収容部(51)の内部には、シリンダ(52)とフロントヘッド(53)とリヤヘッド(54)との間に円柱状のシリンダ室(C)が形成される。
シリンダ(52)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内壁に固定される略環状の部材である。シリンダ(52)の内部には、該シリンダ(52)を径方向に貫通する吸入ポート(58)が形成される。吸入ポート(58)の流入端には、吸入管(16)が接続され、該吸入ポート(58)の流出端は、シリンダ室(C)の吸入部に連通する。
フロントヘッド(53)は、円板状の上側閉塞部(53a)と、該上側閉塞部(53a)の中央部から上方へ突出する主軸受(53b)とを有している。主軸受(53b)は、駆動軸(40)の主軸部(41)を回転可能に支持している。上側閉塞部(53a)の内部には、該上側閉塞部(53a)を軸方向に貫通する吐出ポート(図示省略)が形成される。吐出ポートの流入端は、シリンダ室(C)の吐出部に連通し、該吐出ポートの流出端は、マフラー部材(55)内の消音空間(55a)を介して、一次空間(S1)と連通する。
リヤヘッド(54)は、円板状の下側閉塞部(54a)と、該下側閉塞部(54a)の中央部から下方へ突出する副軸受(54b)とを有している。下側閉塞部(54a)は、クランク軸部(42)のスラスト軸受を構成する。副軸受(54b)は、駆動軸(40)の副軸部(43)を回転可能に支持している。
圧縮機構(50)は、シリンダ室(C)に収容される環状のピストン(56)を備えている。ピストン(56)は、クランク軸部(42)に外嵌している。また、シリンダ室(C)には、一端がシリンダ(52)の内部に挿通され、他端がピストン(56)の外周面に連結するブレード(図示省略)が設けられる。このブレードは、シリンダ室(C)の内部を、吸入ポート(58)に連通する低圧室(低圧部)と吐出ポートに連通する高圧室(高圧部)とに区画する。
駆動軸(40)の回転に伴いクランク軸部(42)が偏心回転すると、ピストン(56)がシリンダ室(C)で偏心回転する。これに伴い低圧室の容積が拡大されると、冷媒が吸入ポート(58)を通じて低圧室へ吸入される。同時に、高圧室の容積が縮小されると、高圧室の冷媒の圧力が高くなる。高圧室の内圧が所定値を越えると、吐出ポートの弁機構(例えばリード弁)が開放され、冷媒が吐出ポートを通じて一次空間(S1)へ吐出される。
〈バランスウェイト機構の構成〉
図2に示すように、参考形態1に係る圧縮機(10)は、一対のバランスウェイト機構(60,70)を有している。バランスウェイト機構(60,70)は、駆動軸(40)の軸心に対して所定量偏心した重心を有し、クランク軸部(42)の遠心力を相殺するように、駆動軸(40)に遠心力を作用させる。具体的に、圧縮機(10)では、回転子(32)の上側に上側バランスウェイト機構(60)が設けられ、回転子(32)の下側に下側バランスウェイト機構(70)が設けられる。上側バランスウェイト機構(60)と、下側バランスウェイト機構(70)の重心は、駆動軸(40)の軸心を中心として互いに180°ずれている。
各バランスウェイト機構(60,70)は、本体部(61,71)と、該本体部(61,71)の軸方向外方端部に形成される環状板部(62,72)とをそれぞれ有している。具体的に、上側バランスウェイト機構(60)では、本体部(61)の上部に環状板部(62)が形成され、下側バランスウェイト機構(70)では、本体部(71)の下部に環状板部(72)が形成される。各本体部(61,71)は、駆動軸(40)が軸方向に貫通する筒状に形成される。各本体部(61,71)は、駆動軸(40)の軸周りに形成される略扇状の中実部(63,73)と、該中実部(63,73)の外周面から周方向に連続する略円弧状の外周板部(64,74)とを有している。中実部(64,74)は、例えば本体部(61,71)の約180°を越える範囲に亘って形成される(図3を参照)。外周板部(64,74)の内側には、略扇状の中空部(65,75)が形成される。各バランスウェイト機構(60,70)が、回転子(32)の軸方向端部に設置される状態において、中空部(65,75)は、中実部(63,73)、外周板部(64,74)、駆動軸(40)、及び回転子(32)によって閉塞される閉空間を構成する。このように、各バランスウェイト機構(60,70)では、中実部(64,74)及び中空部(65,75)の位置及び容積に応じて、バランスウェイト機構(60,70)の重心が調節される。
各中実部(63,73)の軸方向内方端面には、円柱状の溝(66,76)が形成される(図2及び図3を参照)。具体的に、上側バランスウェイト機構(60)では、中実部(63)の下面側に溝(66)が形成され、下側バランスウェイト機構(70)では、中実部(73)の上面側に溝(76)が形成される。参考形態1の中実部(63,73)には、例えば2つの溝(76)が周方向に90°おきに配置される。各溝(76)の内径は、対応するリベット(34)の頭部(34b)の外径よりも僅かに大きい。各バランスウェイト機構(60,70)の取付状態では、リベット(34)の頭部(34b)が、対応する溝(66,76)にそれぞれ嵌合する。つまり、各溝(66,76)は、駆動軸(40)に対するバランスウェイト機構(60,70)の相対位置を決めるための位置決め部を構成する。これにより、バランスウェイト機構(60,70)の重心位置が最適化され、駆動軸(40)に対して所望の遠心力を作用させることができる。
各環状板部(62,72)は、円環状に形成され、本体部(61,62)と一体に成形される。環状板部(62,72)の軸方向外方端面には、水平な環状の平面を形成する平坦部(67,77)が形成される。具体的に、上側バランスウェイト機構(60)では、環状板部(62)の上側に環状の平坦部(67)が形成され、下側バランスウェイト機構(70)では、環状板部(72)の下側に環状の平坦部(77)が形成される。このように、各バランスウェイト機構(60,70)に平坦部(67,77)を形成することで、電動機(30)を比較的高速回転で運転したとしても、バランスウェイト機構(60,70)の回転に起因する攪拌損失を低減できる。
各環状板部(62,72)の径方向中央部には、駆動軸(40)が貫通する挿通部(68,78)が形成される。各バランスウェイト機構(60,70)の取り付け前の状態では、挿通部(68,78)の内径が、駆動軸(40)の外径よりも僅かに小さい。そして、各バランスウェイト機構(60,70)の取り付け時には、環状板部(62,72)の挿通部(68,78)に駆動軸(40)が圧入されることで、各バランスウェイト機構(60,70)が駆動軸(40)に固定される。この際、上側バランスウェイト機構(60)の各溝(66)を、対応するリベット(34)の上側の頭部(34b)に嵌合させることで、上側バランスウェイト機構(60)の位置決めが行われる。また、下側バランスウェイト機構(70)の各溝(76)を、対応するリベット(34)の下側の頭部(34b)に嵌合させることで、下側バランスウェイト機構(70)の位置決めが行われる。なお、各バランスウェイト機構(60,70)の取り付け状態では、本体部(61,71)と回転子(32)とが直に固定されておらず、両者は単に接触しているだけである。
各バランスウェイト機構(60,70)の環状板部(62,72)の挿通部(68,78)に駆動軸(40)を圧入することで、環状板部(62,72)と駆動軸(40)とが密着する。これにより、バランスウェイト機構(60,70)が駆動軸(40)に固定されるとともに、環状板部(62,72)と駆動軸(40)との隙間が封止される。つまり、挿通部(68,78)は、この隙間での油の流通を阻止する封止部である
また、各バランスウェイト機構(60,70)では、環状板部(62,72)の軸方向の厚みd1が、外周板部(64,74)の径方向の厚みd2よりも大きくなっている。これにより、各バランスウェイト機構(60,70)では、環状板部(62,72)の挿通部(68,78)の圧入代が十分確保される。この結果、バランスウェイト機構(60,70)の駆動軸(40)に対する取り付け強度が増大するとともに、挿通部(68,78)の隙間での油の流通を確実に防止できる。
−運転動作−
次いで、参考形態1の圧縮機(10)の運転動作について図1を参照しながら説明する。電動機(30)が運転状態になると、固定子(31)と回転子(32)との間に回転磁界が発生し、回転子(32)、ひいては駆動軸(40)が回転駆動される。駆動軸(40)とともにクランク軸部(42)が回転すると、シリンダ室(C)でピストン(56)が旋回する。これにより、吸入ポート(58)からシリンダ室(C)へ冷媒が吸入されるとともに、シリンダ室(C)で冷媒が圧縮される。圧縮された後の高圧冷媒は、吐出ポート、消音空間(55a)を介して一次空間(S1)へ流出する。一次空間(S1)の冷媒は、電動機(30)のコアカットや、エアギャップ、コイルスロットの隙間等を通じて、上方へ流れ、二次空間(S2)へ流出する。二次空間(S2)の冷媒は、吐出管(17)へ流出し、冷凍装置の冷凍サイクルに利用される。
また、電動機(30)の運転に伴い駆動軸(40)が回転すると、油溜部(15)の油が油ポンプ(44)に吸引される。この油は、駆動軸(40)の内部の油流路を通じて、ピストン(56)や各軸受(53b,54b)の摺動部へ供給され、この摺動部の潤滑に利用される。摺動部の潤滑に利用された油は、ケーシング(11)の内部空間で冷媒と分離され、油溜部(15)に回収される。
ところで、運転中の圧縮機(10)のケーシング(11)の内部には、冷媒とともに上記の油が存在する。このため、二次空間(S2)の油が、上側バランスウェイト機構(60)の中空部(65)へ漏れ込んでしまい、この油が遠心力によって上側バランスウェイト機構(60)の径方向外方へ噴出される虞がある。また、一次空間(S1)の油が、下側バランスウェイト機構(70)の中空部(75)に漏れ込んでしまい、この油が遠心力によって下側バランスウェイト機構(70)の径方向外方へ噴出される虞がある。このように、各バランスウェイト機構(60,70)から径方向外方へ油が噴出されると、この油が上方へ流れる冷媒と衝突し、この油が微細化されたり、この油が冷媒とともに上方へ巻き上げられたりする虞がある。この結果、圧縮機(10)内の油が吐出管(17)より外部へ流出し易くなり、油溜部(15)の油が不足してしまい、各摺動部へ十分な油を供給できない、という問題があった。
これに対し、参考形態1の各バランスウェイト機構(60,70)では、環状板部(62,72)の挿通部(68,78)に駆動軸(40)を圧入しているため、駆動軸(40)と環状板部(62,72)とが密接し、両者の隙間をシールすることができる。これにより、この隙間での油の流通が阻止されるので、この油が、中空部(65,75)内へ漏れ込むことを防止でき、ひいてはこの油がバランスウェイト機構(60,70)の径方向外方へ噴出されることを防止できる。
参考形態1の効果−
上記参考形態1によれば、各バランスウェイト機構(60,70)において、バランスウェイト機構(60,70)と駆動軸(40)との間の隙間を、圧入された挿入部(68,78)によって封止している。これにより、各バランスウェイト機構(60,70)の径方向外方へ油が噴出されてしまうことを回避でき、この油の微細化や巻き上げを防止できる。この結果、圧縮機(10)内の油上がりを防止でき、各摺動部を確実に潤滑して圧縮機の信頼性を向上できる。
また、上記参考形態1によれば、環状板部(62,72)の板厚d1を外周板部(64,74)の板厚よりも大きくすることで、環状板部(62,72)の圧入代を拡大できる。この結果、バランスウェイト機構(60,70)の取り付け強度を向上できるとともに、挿通部(68,78)の隙間での油のシール性も向上する。また、環状板部(62,72)の厚みd1を大きくしても、バランスウェイト機構(60,70)の径方向の重心は変わらないため、該バランスウェイト機構(60,70)の重心を容易に管理できる。
参考形態1の変形例〉
図4及び図5に示す参考形態1の変形例は、上述した参考形態1のバランスウェイト機構(60,70)において、本体部(61,71)の内部と外部とを連通させる連通孔(69,79)を形成したものである。
具体的に、上側バランスウェイト機構(60)の外周板部(64)には、その下端部に上側連通孔(69)が形成される。つまり、上側連通孔(69)は、回転子(32)の上端面に沿うように形成される。また、下側バランスウェイト機構(70)の外周板部(74)には、その下端部に下側連通孔(79)が形成される。つまり、下側連通孔(79)は、環状板部(72)の上端面に沿うように形成される。各連通孔(69,79)は、中空部(65,75)に漏れ込んだ油を本体部(61,71)の外部へ排出するための連通路を構成する。即ち、圧縮機(10)の運転に伴い中空部(65,75)に油が溜まっていくと、潤滑油不足の原因となってしまう。これに対し、この変形例では、バランスウェイト機構(60,70)の回転に伴い中空部(65,75)に溜まった油が遠心力によって径方向外方へ流れると、この油が各連通孔(69,79)を通じて外部へ排出される。これにより、中空部(65,75)での油の溜まり込みを回避できる。なお、各連通孔(69,79)の口径は、径方向に流出した油が冷媒によって微細化ないし巻き上げられない程度に、比較的小径に設定される。
また、図5に示すように、連通孔(69,79)は、バランスウェイト機構(60,70)において、バランス部を構成する中実部(63,73)の周方向の両端部のうち、該バランスウェイト機構(60,70)の回転方向とは逆側の端部寄りに配置されている。つまり、連通孔(69,79)から中実部(63,73)の回転方向側の端部までの距離は、連通孔(69,79)から中実部(63,73)の逆回転方向側の端部まで距離よりも小さい。仮に、連通孔(69,79)を中実部(63,73)の回転方向側の端部の近傍(例えば図5のAで示す領域)に形成すると、中空部(65,75)内の流体が、回転する中実部(63,73)に押し出されるようにして、連通孔(69,79)から径方向外方へ噴出される虞がある。この場合、連通孔(69,79)から噴出された流体により、油の微細化や巻き上げの原因となってしまう。これに対し、この変形例では、連通孔(69,79)が中実部(63,73)の逆回転方向側の端部寄りに形成されるため、回転する中実部(63,73)によって中空部(65,75)内の流体が押し出されることを抑制できる。この結果、連通孔(69,79)から噴出される流体によって、油の微細化や巻き上げが生じることを防止できる。
また、各連通孔(69,79)は、冷凍装置の据え付け時に行われる、真空引きのガス抜き孔として機能する。冷凍装置の据え付け時には、冷媒配管(冷媒回路)に圧縮機(10)や熱交換器等を接続した後、冷媒回路中の空気を真空引きした後に、冷媒回路に冷媒を充填する。バランスウェイト機構(60,70)の外周板部(64,74)に連通孔(69,79)を形成すると、真空引き時において、中空部(65,75)の空気を連通孔(69,79)を介して外部へ排出できる。
本変形例のこれ以外の作用効果は、上述した参考形態1と同様である。
《発明の参考形態2
参考形態2の圧縮機(10)は、参考形態1とバランスウェイト機構(60,70)及び回転子(32)の構成が異なるものである。図6及び図7に示すように、参考形態2は、本体部(81,91)と、該本体部(81,91)を覆うカバー部材(85,95)とを備えている。
具体的に、参考形態2の上側バランスウェイト機構(60)は、上側本体部(81)と、上側カバー部材(85)とを備えている。上側本体部(81)は、筒状の小径部(82)と、該小径部(82)の外周縁部から径方向外方へ拡がった大径部(83)とが一体に成形されて構成される(図8を参照)。小径部(82)の径方向中央部には、駆動軸(40)が挿通される挿通部(82a)が軸方向に貫通して形成される。小径部(82)の挿通部(82a)には、駆動軸(40)が圧入される。また、駆動軸(40)は、該駆動軸(40)の軸端面(上端面)が、挿通部(82a)の内部に位置するように配設される。つまり、駆動軸(40)の軸端面は、挿通部(82a)の上側開口面よりも回転子(32)側寄りに位置している。なお、駆動軸(40)は、該駆動軸(40)の軸端面が挿通部(82a)の上側開口面と面一となるように配設されてもよい。
大径部(83)は、小径部(82)よりも外径が大きな扇状に形成される。大径部(83)には、リベット(34)が挿通される2つのリベット孔(83a)が形成される。つまり、参考形態2では、2本のリベット(34)を介して回転子(32)と上側バランスウェイト機構(60)とが固定される。
上側カバー部材(85)は、下側が開放された有底筒状に形成される。上側カバー部材(85)は、大径部(83)の外周面を覆う円筒状の外周壁(86)と、該外周壁(86)の上側を閉塞する円板状の蓋部(87)とを有する。上側カバー部材(85)の蓋部(87)には、2本のリベット(34)がそれぞれ挿通される2つのリベット穴(87a)が形成される。つまり、上側カバー部材(85)は、2本のリベット(34)を介して上側本体部(81)に固定される。また、上側カバー部材(85)の蓋部(87)の上側には、水平な円形の平面を形成する平坦部(88)が構成される。これにより、電動機(30)を比較的高速回転で運転したとしても、上側バランスウェイト機構(60)の回転に起因する攪拌損失を低減できる。上側バランスウェイト機構(60)では、上側カバー部材(85)の蓋部(87)と上側本体部(81)とが互いに密接するように、リベット(34)によって固定される。
参考形態2では、上側カバー部材(85)の蓋部(87)が、上側本体部(81)及び駆動軸(40)を上側から覆っている。つまり、上側カバー部材(85)の蓋部(87)には、駆動軸(40)の挿通穴が形成されていない。このため、参考形態2では、二次空間(S2)の油が、上側本体部(81)の挿通部(82a)と駆動軸(40)との間の隙間に入り込むことが防止される
参考形態2の上側カバー部材(85)の外周壁(86)は、上側本体部(81)の外周面に亘って形成される。上側カバー部材(85)の外周壁(86)の軸方向端部(下端部)は、端板(32b)より僅かに上方に位置している。つまり、上側カバー部材(85)の外周壁(86)は、回転子(32)の周囲を覆わないように配設される。これにより、回転子(32)と固定子(31)との間の磁気吸引力が、上側カバー部材(85)の外周壁(86)によって阻害されることを防止できる。
参考形態2の下側バランスウェイト機構(70)は、下側本体部(91)と、下側カバー部材(95)とを備えている。下側本体部(91)は、駆動軸(40)の軸周りに形成される扇状に形成される。下側本体部(91)には、リベットが挿通されるリベット孔(91a)が形成される。
下側カバー部材(95)は、下側が開放された有底筒状に形成される。下側カバー部材(95)は、下側本体部(91)の外周面を覆う円筒状の外周壁(96)と、下側本体部(91)の下側を覆う円板状の蓋部(97)とが一体に形成される。下側カバー部材(95)の蓋部(97)には、2本のリベット(34)がそれぞれ挿通される2つのリベット穴(97a)が形成される。また、下側カバー部材(95)の蓋部(97)の径方向中央部には、駆動軸(40)が貫通する挿通部(97b)が形成される。蓋部(97)の挿通部(97b)の内周縁部と駆動軸(40)との間には、環状の隙間が形成される。また、下側カバー部材(95)の蓋部(97)の下側には、水平な環状の平面を形成する平坦部(98)が構成される。これにより、電動機(30)を比較的高速回転で運転したとしても、上側バランスウェイト機構(60)の回転に起因する攪拌損失を低減できる。下側バランスウェイト機構(70)では、下側カバー部材(95)の蓋部(97)と下側本体部(91)とが互いに密接するように、リベット(34)によって固定される。
参考形態2の回転子(32)は、下側本体部(91)と回転子コア部(32a)との間に介在するアルミニウム製のスペーサ部材(100)を有している。一方、参考形態2の回転子(32)では、参考形態1に係る下側の端板(32b)が省略された構成となっている。スペーサ部材(100)の厚さは、回転子コア部(32a)の電磁鋼板や、上側の端板(32b)の厚さよりも大きい。更に、スペーサ部材(100)の厚さは、回転子コア部(32a)の下面と固定子(31)の下面との間の軸方向のシフト量よりも大きい(図9を参照)。また、スペーサ部材(100)は、回転子コア部(32a)の電磁鋼板や、端板(32b)よりも剛性が高い材料で構成される。
スペーサ部材(100)の径方向中央部には、駆動軸(40)が貫通する軸挿通孔(100a)が形成される。また、スペーサ部材(100)の外周寄りには、4本のリベット(34)がそれぞれ挿通する4つのリベット挿通孔(100b)が周方向に90度おきに配列される。
軸挿通孔(100a)には、駆動軸(40)が圧入される。これにより、スペーサ部材(100)は、駆動軸(40)に固定される。また、スペーサ部材(100)は、下側リベット(36)を介して下側バランスウェイト機構(70)が固定される。このため、下側バランスウェイト機構(70)の遠心力は、スペーサ部材(100)の軸挿通孔(100a)を介して、駆動軸(40)に作用することになる。
図7に示すように、参考形態2のリベット(34)は、上側バランスウェイト機構(60)寄りに配設される2本の上側リベット(35)と、下側バランスウェイト機構(70)寄りに配設される2本の下側リベット(36)とで構成される。上側リベット(35)では、上側の頭部(34b)が上側カバー部材(85)の蓋部(87)の上面に接し、下側の頭部(34b)がスペーサ部材(100)の下面に接している。上側リベット(35)は、軸方向に順に配列された、上側カバー部材(85)の蓋部(87)、上側本体部(81)、端板(32b)、回転子コア部(32a)、及びスペーサ部材(100)を軸方向両側から挟持している。下側リベット(36)では、上側の頭部(34b)が端板(32b)の上面に接し、下側の頭部(34b)が下側カバー部材(95)の蓋部(97)の上面に接している。下側リベット(36)は、軸方向に順に配列された、端板(32b)、回転子コア部(32a)、スペーサ部材(100)、下側本体部(91)、及び下側カバー部材(95)の蓋部(97)を軸方向両側から挟持している。
参考形態2では、スペーサ部材(100)とリベット(34)のピン(34a)との間の径方向の隙間が、回転子コア部(32a)とリベット(34)のピン(34a)との間の径方向の隙間よりも小さくなっている。具体的に、参考形態2では、図9に示すように、スペーサ部材(100)におけるリベット(34)のリベット挿通孔(100b)の内径L1が、回転子コア部(32a)におけるリベット(34)のリベット挿通孔(32c)の内径L2よりも小さい。これにより、下側バランスウェイト機構(70)の遠心力に伴いリベット(34)が径方向外方へ変位する際、リベット(34)のピン(34a)が回転子コア部(32a)と僅かな隙間を空けた状態で、リベット(34)のピン(34a)とスペーサ部材(100)とが当接する。これにより、リベット(34)と回転子コア部(32a)とが密に接することを防止でき、回転子コア部(32a)の電磁鋼板の変形を防止できる。
加えて、参考形態2では、スペーサ部材(100)と駆動軸(40)との間の径方向の隙間が、回転子コア部(32a)と駆動軸(40)との間の径方向の隙間よりも小さくなっている。具体的に、参考形態2では、スペーサ部材(100)における上記駆動軸(40)の軸挿通孔(100a)の内径L3が、回転子コア部(32a)における上記駆動軸(40)の軸挿通孔(32d)の内径L4よりも小さい。これにより、下側バランスウェイト機構(70)の遠心力に伴いリベット(34)及び回転子コア部(32a)が径方向外方へ変位する際、駆動軸(40)が回転子コア部(32a)と僅かな隙間を空けた状態で、駆動軸(40)とスペーサ部材(100)とが当接する。これにより、駆動軸(40)と回転子コア部(32a)とが密に接することを防止でき、回転子コア部(32a)の電磁鋼板の変形も防止できる。
参考形態2の下側カバー部材(95)の外周壁(96)は、下側本体部(91)から回転子(32)の外周面に亘って形成される。具体的に、下側カバー部材(95)の外周壁(96)の軸方向端部(上端部)は、回転子コア部(32a)の外周側に位置している。これにより、下側カバー部材(95)の内部に漏れ込んだ油が、遠心力によって径方向外方へ飛散しても、この油が外周壁(96)の内壁に衝突する。この結果、この油が下側バランスウェイト機構(70)の径方向外方へ噴出されることが阻止される
図9に詳細に示すように、下側カバー部材(95)の外周壁(96)の軸方向内方端面(上端面)の高さ位置(図9のH1で示す高さ位置)は、回転子コア部(32a)の軸方向外方端面(下端面)の高さ位置(図9のH2で示す高さ位置)と、スペーサ部材(100)の軸方向外方端面(下端面)(図9のH3で示す高さ位置)との間に位置している。これにより、下側カバー部材(95)の外周壁(96)が、回転子コア部(32a)と径方向にオーバーラップしないため、回転子(32)と固定子(31)との間の磁気吸引力が阻害されることがない。また、カバー部材(95)の内部の油が、下側バランスウェイト機構(70)の径方向外方へ噴出されることを、外周壁(96)によって阻止できる。
加えて、下側カバー部材(95)の外周壁(96)の上端面の高さ位置(H1)は、固定子(31)の軸方向外方端面(下端面)の高さ位置(図9のH4で示す高さ位置)と、スペーサ部材(100)の下端面の高さ位置(H3)との間に位置している。これにより、下側カバー部材(95)の外周壁(96)が、固定子(31)と径方向にオーバーラップしないため、回転子(32)と固定子(31)との間の磁気吸引力が阻害されることもない。
以上のように、参考形態2では、固定子(31)よりも下方に突出するスペーサ部材(100)を設け、下側カバー部材(95)の外周壁(96)を、回転子コア部(32a)や固定子(31)と対向しないように配置しているので、電動機(30)の磁気吸引力を確保しつつ、下側カバー部材(95)の内部からの油の流出を阻止できる。
参考形態2の効果−
参考形態2によれば、上側バランスウェイト機構(60)において、上側本体部(61)及び駆動軸(40)を上側カバー部材(85)の蓋部(87)によって覆っている。このため、二次空間(S2)の油が、挿通部(82a)の隙間に流入してしまうことを確実に防止できる。加えて、上側バランスウェイト機構(60)では、上側カバー部材(85)の外周壁(86)が回転子(32)に亘って形成される。このため、上側カバー部材(85)の内部に油が漏れ込んだとしても、この油が上側バランスウェイト機構(60)の径方向外方へ流出されることを防止でき、ひいては圧縮機(10)内の油上がりを防止できる。
同様に、下側バランスウェイト機構(70)では、下側カバー部材(95)の外周壁(86)が回転子(32)に亘って形成される。このため、下側バランスウェイト機構(70)の内部に油が漏れ込んだとしても、この油が下側バランスウェイト機構(70)の径方向外方へ流出されることを防止でき、ひいては圧縮機(10)内の油上がりを防止できる。
また、参考形態2では、下側バランスウェイト機構(70)と回転子コア部(32a)の間にスペーサ部材(100)を介設し、下側カバー部材(95)の外周壁(96)の上端をスペーサ部材(100)の外周側に位置させている。これにより、下側カバー部材(95)の外周壁(96)と回転子コア部(32a)とが径方向に干渉することを防止できる。加えて、下側カバー部材(95)の外周壁(96)の上端は、固定子(31)よりも下方に位置している。これにより、下側カバー部材(95)の外周壁(96)と固定子(31)とが径方向に干渉することも防止できる。このように、参考形態2では、下側カバー部材(95)の外周壁(96)が、回転子コア部(32a)や固定子(31)と干渉しないため、電動機(30)の効率の低下を防止できる。
本発明の実施形態
図10に示す実施形態は、上述した参考形態2のバランスウェイト機構(60,70)において、カバー部材(85,95)の内部と外部とを連通させる連通孔(89,99)を形成したものである。
具体的に、上側バランスウェイト機構(60)では、上側カバー部材(85)の外周壁(86)の下端部に上側連通孔(89)が形成される。つまり、上側連通孔(89)は、回転子(32)の上端面に沿うように形成される。また、下側バランスウェイト機構(70)では、下側カバー部材(95)の外周壁(96)の下端部に下側連通孔(99)が形成される。つまり、下側連通孔(99)は、下側カバー部材(95)の蓋部(97)の上端面に沿うように形成される。各連通孔(89,99)は、カバー部材(85,95)の内部に漏れ込んだ油を、該カバー部材(85,95)の外部へ排出するための連通路を構成する。なお、各連通孔(89,99)の口径は、径方向に流出した油が冷媒によって微細化ないし巻き上げられない程度に、比較的小径に設定される。
このように、各カバー部材(85,95)に連通孔(89,99)を形成することで、カバー部材(85,95)の内部に油が溜まり込むことを回避でき、圧縮機(10)の油上がりを防止できる。また、実施形態においても、参考形態1の変形例と同様にして、連通孔(89,99)が、バランスウェイト機構(60,70)の本体部(バランス部(81,91))の逆回転方向側の端部寄りに形成される。このため、連通孔(88,99)から流体が噴出することが抑制され、油の微細化や巻き上げを防止できる。また、これらの連通孔(89,99)を、参考形態1の変形例と同様にして、真空引き時のガス抜き孔として利用できる。
実施形態のこれ以外の作用効果は、上述した参考形態2と同様である。
以上説明したように、本発明は、バランスウェイト機構を備えた回転式圧縮機について有用である。
10 圧縮機(回転式圧縮機)
11 ケーシング
30 電動機
31 固定子
32 回転子
32a 回転子コア部
40 駆動軸
50 圧縮機構
60 上側バランスウェイト機構(バランスウェイト機構)
62,72 環状板部
64,74 外周板部
65,75 中空部
67,77 平坦部
68,78 挿通部(油流通阻止部)
69,79 連通路
70 下側バランスウェイト機構(バランスウェイト機構)
81 上側本体部(本体部)
85 上側カバー部材(カバー部材)
86,96 外周壁(油流通阻止部)
87 蓋部(油流通阻止部)
88,98 平坦部
89,99 連通孔(連通路)
100 スペーサ部材

Claims (2)

  1. ケーシング(11)と、該ケーシング(11)に固定される固定子(31)及び回転子(32)を有する電動機(30)と、該電動機(30)に駆動軸(40)を介して連結され、ケーシング(11)の内部に流体を吐出する圧縮機構(50)と、上記駆動軸(40)が挿通される挿通部(68,78,82a,97a)、及び該駆動軸(40)の軸端側に平面を形成する平坦部(67,77,88,98)を有し、上記回転子(32)の軸方向端部に設置されるバランスウェイト機構(60,70)とを備えた回転式圧縮機であって、
    上記バランスウェイト機構(60)は、
    上記回転子(32)の軸方向端部に設置される本体部(81)と、
    上記本体部(81)の外周縁部を覆う筒状の外周壁(86)、及び該本体部(81)の軸方向端部を覆うとともに上記平坦部(88)が形成される蓋部(87)を有する有底筒状のカバー部材(85)とを備え、
    上記蓋部(87)は、上記本体部(81)と上記駆動軸(40)の端部とを覆うように構成され、
    上記カバー部材(85)の外周壁(86)には、該カバー部材(85)の内部と外部とを連通させる連通路(89)が形成され、
    上記連通路(89)は、上記外周壁(86)のうち上記本体部(81)の逆回転方向側の端部寄りにのみ形成される
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  2. ケーシング(11)と、該ケーシング(11)に固定される固定子(31)及び回転子(32)を有する電動機(30)と、該電動機(30)に駆動軸(40)を介して連結され、ケーシング(11)の内部に流体を吐出する圧縮機構(50)と、上記駆動軸(40)が挿通される挿通部(68,78,82a,97a)、及び該駆動軸(40)の軸端側に平面を形成する平坦部(67,77,88,98)を有し、上記回転子(32)の軸方向端部に設置されるバランスウェイト機構(60,70)とを備えた回転式圧縮機であって、
    上記バランスウェイト機構(70)は、
    上記回転子(32)の軸方向端部に設置される本体部(91)と、
    上記本体部(91)の外周縁部を覆う筒状の外周壁(96)、及び該本体部(91)の軸方向端部を覆うとともに上記平坦部(98)が形成される蓋部(97)を有する有底筒状のカバー部材(95)とを備え、
    上記外周壁(96)は、上記本体部(91)から上記回転子(32)の外周縁部に亘って形成され、
    上記カバー部材(95)の外周壁(96)には、該カバー部材(95)の内部と外部とを連通させる連通路(99)が形成され、
    上記連通路(99)は、上記外周壁(96)のうち上記本体部(91)の逆回転方向側の端部寄りにのみ形成される
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
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