JP6045527B2 - 積層体及びその製造方法、並びに反射板、ミラーフィルム、抗菌コート、導電膜、熱伝導体 - Google Patents
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Description
<1> 基材と、基材上に設けられ、少なくとも、下記式(A)で表される銀化合物と、下記式(B)で表されるアミン化合物と、水と、を含む溶液の塗布により形成された銀層と、を有する積層体である。
AgnX ・・・(A)
R11−CHR12−CH2−NH2 ・・・(B)
式(A)中、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセテート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基を表すである。nは、1〜4の整数を表すである。
式(B)中、R11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基を表すである。
<3> 極性溶媒が、アルコール系溶媒又はアミン系溶媒である<2>に記載の積層体である。
<4> 溶液は、式(A)で表される銀化合物1モルに対して、式(B)で表されるアミン化合物を2モル〜30モルと、水を3モル〜100モルと、極性溶媒を3モル〜100モルと、を含む<2>又は<3>に記載の積層体である。
<5> 銀化合物は、酸化銀、炭酸銀、硝酸銀、及び酢酸銀から選択される少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の積層体である。
<6> 溶液は、更に、還元剤を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の積層体である。
<7> 還元剤が、下記式(1)で表される化合物である<6>に記載の積層体である。
R−COOH ・・・式(1)
式(1)中、Rは、水素原子、又は1つ以上のアルデヒド基を有する1価の官能基を表すである。
<8> 基材は、少なくとも一方面に易接着層を有し、易接着層の表面に銀層を有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の積層体である。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の積層体を備えた反射板である。
<10> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の積層体を備えた抗菌コートである。
<11> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の積層体を備えた導電体である。
<12> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の積層体を備えた熱伝導体である。
AgnX ・・・(A)
R11−CHR12−CH2−NH2 ・・・(B)
式(A)中、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセテート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基を表すである。nは、1〜4の整数を表すである。
式(B)中、R11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基を表すである。
<15> 極性溶媒が、アルコール系溶媒又はアミン系溶媒である<14>に記載の積層体の製造方法である。
<16> 溶液は、式(A)で表される銀化合物1モルに対して、式(B)で表されるアミン化合物を2モル〜30モルと、水を3モル〜100モルと、極性溶媒を3モル〜100モルと、を含む<14>又は<15>に記載の積層体の製造方法である。
<17> 銀化合物は、酸化銀、炭酸銀、硝酸銀、及び酢酸銀から選択される少なくとも1種である<13>〜<16>のいずれか1つに記載の積層体の製造方法である。
また、本発明によれば、従来に比べて高品質な反射板、ミラーフィルム、抗菌コート、導電膜、及び熱伝導体が提供される。
本発明の積層体は、基材と、基材上に設けられ、少なくとも、下記式(A)で表される銀化合物と、下記式(B)で表されるアミン化合物と、水と、を含む溶液の塗布により形成された銀層と、を設けて構成されている。
AgnX ・・・(A)
式(A)において、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセテート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
R11−CHR12−CH2−NH2 ・・・(B)
式(B)において、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
本発明においては、銀化合物と共に特定の一級アミン化合物を水に溶かした溶液を銀層の形成に用いる。これにより、構造の複雑な錯化剤であるカルバメート系もしくはカーボネート系化合物を合成し、調整する煩雑な工程を経ることなく、簡易な工程としながら、従来と同等以上の高い光反射率の銀層を形成することが可能になる。
−銀層−
本発明の積層体は、式(A)で表される銀化合物と、式(B)で表されるアミン化合物と、水と、を含む溶液の塗布により形成された銀層を設けて構成されている。本発明における銀層は、銀化合物と特定のアミン化合物を含む溶液を塗布し加熱することで、還元されて形成された金属銀により光反射層として機能する。
銀層の塗布形成に用いる溶液又は銀層は、式(A)で表される銀化合物の少なくとも一種を含有する。銀化合物は、銀錯体として含まれてもよい。
AgnX ・・・(A)
式(A)において、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセテート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
中でも、反射率がより優れたものとなる点で、酸化銀、炭酸銀、硝酸銀、及び酢酸銀が好ましく、更には炭酸銀、酸化銀が好ましい。
銀層の塗布形成に用いる溶液又は銀層は、下記式(B)で表されるアミン化合物の少なくとも一種を含有する。このアミン化合物は、β位が分岐した一級アミン化合物である。アミン化合物は、銀錯体として含まれてもよい。
R11−CHR12−CH2−NH2 ・・・(B)
式(B)において、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
無置換アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
置換アルキル基の置換基としては、アリール基(例:フェニル基、ナフチル基)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等、好ましくは炭素数1〜4)、ハロゲン原子(例:塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、アミノ基、ヘテロ環基(例:ピロリジン環、ピロール環、イミダゾール環等の含窒素ヘテロ環基や、フラン環、テトラヒドロフラン環等の含酸素ヘテロ環基などの環状基)などが挙げられる。
置換アルキル基の例としては、アリールアルキル基(アルキル部位の炭素数1〜4)、シアノアルキル基(アルキル部位の炭素数1〜4)、ハロゲン化アルキル基(アルキル部位の炭素数1〜4)、シクロオレフィン結合アルキルが好適である。
上記のうち、R1及びR2の少なくとも一方は、エチル基であることが好ましい。この点の理由については必ずしも明確でなく推測であるが、エチル基の2つの炭素原子とアミノ基の窒素原子及び水素原子とが6員環を形成することで、HOMOが窒素原子からエチル基まで広がるために錯体形成が安定化されると考えられる。
更には、R11が、ブチル基であり、R12がエチル基である場合がより好ましい。
中でも、イソブチルアミン、2−エチルブチルアミン、2−エチルヘキシルアミンが好ましく、2−エチルブチルアミン、2−エチルヘキシルアミンがより好ましい。
銀層の塗布形成に用いる溶液は、水を含有する。水を含むので、溶液は水性塗布液として用いられる。
溶液中における水の含有量としては、溶液中の銀化合物1モルに対して、3モル〜100モルが好ましく、5モル〜50モルがより好ましく、5モル〜30モルが更に好ましい。水の含有量が3モル以上であると、銀化合物の溶解がより良好になる。また、水の含有量が30モル以下であると、光反射率により優れたものとなる。
銀層の塗布形成に用いる溶液又は銀層は、溶媒を含有することができ、極性溶媒を含有していることが好ましい。
溶媒としては、例えば特開2012−181301号公報の段落番号[0040]に記載の溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。その中でも、極性溶媒を選択して用いることが本発明の効果をより向上させる点で好ましく、極性溶媒は銀化合物などに応じて適宜選択することができる。
中でも、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、アミン系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒、アミン系溶媒がより好ましい。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アンモニア、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ブトキシプロピルアミン、ジエチルメチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミンがより好ましい。更には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アンモニア、イソプロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミンが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアミンがさらに好ましい。
また、銀化合物として酸化銀を用いる場合、極性溶媒としては、アミン系溶媒(好ましくはイソプロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン)が好ましい。
溶液は、銀還元のための還元剤を含有することが好ましい。還元剤を含有することで、銀還元反応が促進し、光反射率をより向上させることができる。
還元剤としては、ヒドラジン、アセティックヒドラジド、クエン酸三ナトリウム、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミンボラン等のアミン化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド化合物、グルコース、アスコルビン酸、サリチル酸、タンニン酸、ピロガロール、ヒドロキノンなどの有機化合物、ナトリウム、水酸化ホウ素カリウム、塩化第一鉄、硫酸鉄等の金属塩、ヨウ化水素、一酸化炭素などの無機化合物が挙げられる。
R−COOH ・・・式(1)
中でも、光反射率がより優れたものとなる点で、ギ酸が好ましい。
なお、式(1)で表される化合物は、一種単独で用いるほか、二種以上を併用してもよい。
溶液が式(1)で表される化合物を含有する場合、溶液中における式(1)で表される化合物の含有量としては、溶液の全質量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。式(1)で表される化合物の含有量が0.01質量%以上であると、還元性を示し、光反射率の向上効果が高い。式(1)で表される化合物の含有量が20質量%以下であると、塗布液保存時の液安定性の点で有利である。
添加剤の詳細については、特開2012−181301号公報の段落番号[0037]〜[0040]の記載を参照することができる。
本発明の積層体は、基材を設けて構成されている。
基材としては、フレキシブル性や軽量化の観点で、ガラスエポキシ、ポリエステル、ポリイミド、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアラミド、液晶ポリマー等の樹脂をフィルム状に成形した樹脂フィルム、ガラスフィルム、紙などを用いることができる。
樹脂としては、フィルム状に成形可能な樹脂であれば特に制限はなく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、液晶樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアセチレン等が好適である。
特に好適な基材としては、ポリエステルフィルム又はポリイミドフィルムである。
基材の厚みとしては、10μm〜5mm程度が好ましい。厚みが10μm未満であると、生産時のハンドリングが難しくなり、厚みが5mmを超えると、成型し難くなる。より好ましい厚みは、20μm〜1mmであり、更に好ましくは25μm〜500μmの範囲である。
そして、基材の易接着層の表面に、銀層を設けられていることが好ましい。易接着層の表面に銀層が接していることで、銀層の密着性をより向上させることができる。
表面処理としては、UV照射、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理などの表面を分解活性化させる処理、ヒドラジン、N−メチルピロリドン、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液のようなアルカリ性溶液での処理、硫酸、塩酸、硝酸のような酸性溶液での処理などが挙げられる。また、基材表面の汚れを落として清浄にする処理としては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等の有機溶剤による処理、付着したゴミを落とすための水洗等が挙げられる。これらの表面処理は複数種を組み合わせて行ってもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、及びホスファイト系酸化防止剤が好適に挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3’ ,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。
特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、及び酸化チタン等の無機粒子型の紫外線吸収剤などが好適に挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
本発明の積層体は、基材と銀層との間に、塗布により形成された第1の隣接層を設けて構成することができる。この第1の隣接層を設けることで、基材と銀層との間の密着性がより向上する。また、第1の隣接層に既述の式(1)で表される化合物を含めて光反射率をより向上させることができる。
下塗層として設ける場合、隣接する基材との密着性の観点から、基材を構成する樹脂と同じ樹脂、あるいは基材を構成する樹脂と親和性を有する樹脂を含むことが好ましい。
下塗層に含まれる樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられ、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂はそれぞれを単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
本発明の積層体は、銀層の第1の隣接層が設けられる側(基材と対向する側)と反対側に、塗布により形成される第2の隣接層を設けて構成することができる。この第2の隣接層を、銀層の光入射側に設けることで、太陽光、雨水、砂塵等による銀層、樹脂製支持体、あるいは所望により設けられる下塗層の劣化や破損を防止し、鏡面性の安定化を図ることができる。また、第1の隣接層に既述の式(1)で表される化合物を含めて光反射率をより向上させることができる。
樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方を含むことを表す。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した後、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られる生成物等が好適である。
ここで、ポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られるものであり、具体例として、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリオキシプロピレンジオール(PPG)、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられる。また、ポリイソシアネート(B)は、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、具体例として、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。また、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、第2の隣接層と銀層との密着性の観点から、第2の隣接層に含有される樹脂は、アクリル樹脂、ビニルブチラール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、及びエチレンアクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の樹脂が好ましい。
架橋剤としては、第2の隣接層を構成する樹脂との相関により選択すればよく、例えば、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物、ビスビニルスルオン化合物などが挙げられ、効果の点で、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、及びエポキシ化合物からなる群より選ばれ少なくとも1種の架橋剤が好ましい。
中でも、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、カーボネート系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、トルエンが好ましい。
本発明の積層体は、銀層の表面、あるいは銀層上の第2の隣接層の上に、さらに表面被覆層を有していてもよい。表面被覆層は、最外層として設けることができる。表面被覆層を有することで、積層体の耐候性、耐傷性がより向上する。
表面被覆層は、第2の隣接層上に(好ましくは最外層として)設けられることで積層体表面の物理的もしくは化学的な損傷を防止し得るものであれば制限はない。表面被覆層は、公知の樹脂層などを任意に使用して形成することができる。すなわち、表面被覆層は、硬さが100N/mm2以下であり、かつ弾性回復率が60%以上である軟質な層であってもよく、あるいは表面が硬質ないわゆるハードコート層として設けられてもよい。
また、表面被覆層が硬質な層である場合、表面被覆層の厚みは、防汚性、耐傷性の観点から、0.1μm〜50μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜15μmである。
(ア)基材/銀層
(イ)基材/基材の易接着層/銀層
(ウ)基材/第1の隣接層/銀層
(エ)基材/銀層/第2の隣接層
(オ)基材/基材の易接着層/銀層/第2の隣接層
(カ)基材/第1の隣接層/銀層/第2の隣接層
次に、本発明の積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体の製造方法は、基材上に、少なくとも、式(A)で表される銀化合物と、式(B)で表されるアミン化合物と、水と、を含む溶液を塗布し、乾燥させて銀層を形成する工程(以下、「銀層形成工程」ともいう。)を設けて構成されている。
AgnX ・・・(A)
R11−CHR12−CH2−NH2 ・・・(B)
式(A)中、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセテート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基を表す。nは、1〜4の整数を表す。
式(B)中、R11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
なお、式(A)で表される銀化合物及び式(B)で表されるアミン化合物、並びに溶液の詳細については、既述の通りである。
第1の態様では、少なくとも、式(A)で表される銀化合物と、式(B)で表されるアミン化合物と、水と、を含む溶液を塗布し、乾燥させて銀層を形成する銀層形成工程を有する。
なお、式(A)で表される銀化合物、式(B)で表されるアミン化合物、及びこれらを含有する溶液に関する詳細については、既述の通りである。
乾燥条件は、特に制限はなく、溶剤が乾燥すればいずれの条件でもよい。
加熱処理の条件は、80℃〜120℃の温度域で15分以上、または121℃〜150℃の温度域で5分以上、または151℃〜200℃の温度域で1分以上が好ましく、165℃〜200℃の温度域で1分30秒以上がさらに好ましい。
第1隣接層形成工程を有する場合、本工程では、銀錯体化合物を含む溶液が塗布される前の基材の表面に、第1の塗液を塗布し、乾燥させて第1の隣接層を形成する。これにより、例えば基材に下塗層を設けることができる。
塗布液の固形分濃度は、密着性に優れた第1の隣接層を均一性をもって形成する観点から、1質量%〜30質量%が好ましい。
塗布及び乾燥は、銀層形成工程における場合と同様の方法を適用して行うことができる。
紫外線照射は、紫外線ランプや水銀灯などの光源を用いて行うことができる。
加熱は、例えば、輻射熱を塗膜にあてる方法、基材を加熱する方法等により行うことができる。
第2隣接層形成工程を有する場合、基材表面、又は基材上の第1の隣接層の表面に、銀層を形成した後、本工程では、銀層の基材を有する側と反対側に、第2の塗液を塗布し、乾燥させて第2の隣接層を形成する。これにより、例えば第2の隣接層が最外層となる場合には、銀層の表面保護を目的とした層とすることができる。
塗布液の固形分濃度は、密着性に優れた第1の隣接層を均一性をもって形成する観点から、1質量%〜30質量%が好ましい。
塗布及び乾燥は、銀層形成工程における場合と同様の方法を適用して行うことができる。
紫外線照射は、紫外線ランプや水銀灯などの光源を用いて行うことができる。
加熱は、例えば、輻射熱を塗膜にあてる方法、基材を加熱する方法等により行うことができる。
−銀層の形成−
基材として用意したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製、コスモシャインA−4100、厚さ:100μm)の易接着処理されてない側の表面(S1面)に、下記の方法により調製した銀層形成用塗布液を、バーコート法により塗布し、165℃で2分間乾燥して、本発明の積層体である光反射フィルムを作製した。塗布は、乾燥後の厚みが約0.1μmとなるようにバー番手を調整して行った。
銀の錯化剤として2−エチルヘキシルアミン(2EHA)12.9部、炭酸銀2.7部、及び水18部を混合し、攪拌することにより、銀層形成用塗布液を調製した。
実施例1において、銀層形成用塗布液の塗布を、S1面からPETフィルムの易接着処理された側の面(S2面)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例2において、銀層形成用塗布液の水量を18部から1.8部に変更し、さらにメタノールを9.6部加えたこと以外は、実施例2と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAの量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAの量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、水の量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、水の量を変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、メタノールの量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、メタノールの量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、メタノールをエタノールに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、メタノールをイソプロパノールに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、メタノールを1−メトキシ−2−プロパノールに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、メタノールをアセトンに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、メタノールをエチルメチルケトンに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAを2−エチルブチルアミン(2EBA)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
−下塗層の形成−
PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA−4100)のS1面に、以下の組成を有する下塗層用水性組成物を、バーコート法により塗布し、150℃で2分間乾燥して、下塗層を形成した。塗布は、乾燥後の厚みが約0.1μmとなるようにバー番手を調整して行った。この下塗層を有するPETフィルムの下塗層形成面を「S3面」とする。
そして、実施例3において、銀層形成用塗布液の塗布を、S1面から下塗層を有するPETフィルムのS3面に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
<下塗層用水性組成物の組成>
・酸化スズ微粒子分散液(微粒子固形分:20質量%) ・・・8部
(石原産業社製、FS−10D)
・ポリウレタン ・・・2.8部
(三井化学社製、タケラックWS−5100)
・架橋剤 ・・・4.2部
(日清紡ケミカル社製、カルボジライトV−02−L2の10質量%希釈液)
・界面活性剤A ・・・0.2部
(三洋化成工業社製、サンデッドBLの10質量%水溶液、アニオン性)
・界面活性剤B ・・・0.2部
(三洋化成工業社製、ナロアクティーCL−95の10質量%希釈液、ノニオン性)
・水 ・・・84.6部
実施例16において、メタノールをイソプロピルアミンに代えたこと以外は、実施例16と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例17において、炭酸銀を酸化銀に代えたこと以外は、実施例17と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例16において、炭酸銀を硝酸銀に代えたこと以外は、実施例16と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例16において、炭酸銀を酢酸銀に代えたこと以外は、実施例16と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例19において、ギ酸0.1部をさらに加えたこと以外は、実施例19と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例20において、ギ酸0.1部をさらに加えたこと以外は、実施例20と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、銀層形成用塗布液を、下記の銀層形成用塗布液に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
(銀層形成用塗布液の調製)
銀の錯化剤としてn−ブチルアミン1.64部、硝酸銀0.34部、及びメタノール6.88部を混合し、攪拌した後、攪拌することにより、銀層形成用塗布液を調製した。
実施例3において、銀層形成用塗布液を、下記の銀層形成用塗布液に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
(銀層形成用塗布液の調製)
銀の錯化剤としてn−ブチルアミン7.3部、硝酸銀0.34部、水1.8部、及びメタノール9.6部を混合し、攪拌した後、攪拌することにより、銀層形成用塗布液を調製した。
実施例2において、水及び極性溶媒(メタノール)を加えなかったこと以外は、実施例2と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、水を加えなかったこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAをジエチルアミンに代えたこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAをn−ブチルアミンに代えたこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAをトリエチルアミンに代えたこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAをイソプロピルアミンに代えたこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
実施例3において、2EHAをヘキシルアミンに代えたこと以外は、実施例3と同様にして、光反射フィルムを作製した。
−1.反射性(特定波長における反射率)−
PETフィルム上に光反射層として銀層が形成された光反射フィルムについて、銀層の反射率(光反射フィルムの反射率)を測定した。具体的には、紫外可視近赤外分光光度計UV−3100(島津製作所社製)を用いて、アルミニウム(Al)基板をリファレンスとして測定し、Alの文献値を基準として、銀層の波長400nmの光の反射率(%)を算出した。
反射率は、20%以上であれば光反射機能が得られるが、85%を超える範囲が好ましく、90%を超える範囲がより好ましい。
PETフィルム上に光反射層として銀層が形成された光反射フィルムについて、高湿環境下における密着性について評価した。具体的には、光反射フィルムを85℃、85%RHの恒温恒湿槽に240時間保管し、基材であるPETフィルムからの銀層の剥離の有無を下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:剥離は全く認められなかった。
B:端部のみに剥離が発生した。
C:全面に剥離が認められた。
これに対し、比較例では、10%未満の光反射率しか得られなかった。
Claims (5)
- 基材上に、少なくとも、下記式(A)で表される銀化合物と、下記式(B)で表されるアミン化合物と、水と、を含む溶液を塗布し、乾燥させて銀層を形成する工程を有する積層体の製造方法。
AgnX ・・・(A)
R11−CHR12−CH2−NH2 ・・・(B)
式(A)中、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセテート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基を表す。nは、1〜4の整数を表す。
式(B)中、R11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜12の炭化水素基を表す。 - 前記溶液は、更に、極性溶媒を含む請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記極性溶媒が、アルコール系溶媒又はアミン系溶媒である請求項2に記載の積層体の製造方法。
- 前記溶液は、前記式(A)で表される銀化合物1モルに対して、前記式(B)で表されるアミン化合物を3モル〜30モルと、水を3モル〜30モルと、前記極性溶媒を10モル〜100モルと、を含む請求項2又は請求項3に記載の積層体の製造方法。
- 前記銀化合物は、酸化銀、炭酸銀、硝酸銀、及び酢酸銀から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
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