JP6045430B2 - 撮像装置及びその像ブレ補正方法 - Google Patents
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Description
一方、流し撮りという撮影手法がある。この撮影手法は、動く被写体に合わせてカメラを振りながら、例えば横方向についてパンニング動作、縦方向についてチルティング動作を行いながら撮影する。この撮影手法であれば、動く被写体をブレなく撮影、すなわち被写体があたかも停止したように撮影し、動く被写体の背景が当該被写体の動く方向に流れてにじむ(像ブレする)ことにより、被写体を際立てて撮影し、さらに被写体の動きを表現することができる。
このため、流し撮りの撮影により得られた画像は、背景のブレが緩和され、被写体にブレが生じたものとなり、本来の流し撮りの意図と合わない画像が撮影されてしまうという問題がある。
例えば、
1.流し撮り時に、カメラを振る速度(角速度)が一定でない、
2.カメラを振った方向と直交する方向の像ブレ(揺れ)が生じる、
3.カメラを振る速度が、被写体の移動速度と一致していない、
に起因する新たな像ブレを補正することは困難である。
このため、流し撮りでは、動く被写体に合わせてブレないようにカメラを振るという高度な操作が要求される。
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は流し撮り検出機能を搭載したカメラ等の撮像装置の外観構成図を示す。本装置は、カメラ本体1に正面に光学系2が設けられ、上面にレリーズスイッチ(SW)9が設けられている。
ここで、カメラ本体1に生じる動きについて図1を参照して定義する。
カメラ本体1に対して左右方向は、X軸方向とし、このX軸方向においてカメラ本体1に向かって右方向をプラス(+)方向、左方向をマイナス(−)方向とする。これにより、便宜上、右方向の移動量を+方向への移動量とし、左方向の移動量を−への移動量とする。
カメラ本体1に対して上下方向は、Y軸方向とし、このY軸方向においてカメラ本体1に向かって上方向をプラス(+)方向、下方向をマイナス(−)方向とする。これにより、便宜上、上方向の移動量を+方向への移動量とし、下方向の移動量を−への移動量とする。
カメラ本体1の光軸Lの方向は、Z軸方向とし、被写体側を+、反対方向を−とする。
これらXYZ軸方向は、撮像素子4の撮像面にも対応する。
なお、上記各方向の正負(+,−)に関しては、後述する角速度センサ8の実装方向に依存するものであり、これら方向の正負に限定するものでない。
図2は本装置における流し撮りの動作の流れを示す。具体的には、流し撮り時にカメラを移動する方向に対応して検出される回転角速度成分の時間推移の様子を示したものである。
例えば、水平方向にカメラを振って流し撮りを行うパンニング動作では、カメラ本体1には、ヨー方向に角速度ωが生じる。この角速度ωは、カメラが静止した状態での角速度である静止時基準角速度ωzeroに対して偏りが生じる。
これに対して、通常の手持ち撮影時の手ブレでは生じえない角速度を、例えば閾値THとして設定される。この閾値THは、カメラ本体1に生じる角速度ωが当該閾値THを所定期間超えると、流し撮りが開始されたと判断する条件とするための値である。なお、上述ではカメラを、水平方向に回転移動させるパンニング動作の例を示したが、これに限らず、カメラを垂直方向に振って回転移動させるチルティング動作においても、検出されるピッチ方向の角速度は、同様にピッチ方向の基準角速度に対して偏りを生じる。
この後、カメラ本体1に生じる角速度ωが、静止時基準角速度ωzeroに対して、下回る状況になり、この状態をゼロクロスする状態と定義する。このゼロクロスした時点t7で流し撮りが終了したと検出する。これにより、期間t2〜t7までが流し撮り検出期間Bとなる。
上記時点t3から時点t5までの角度検出期間Fにおいて検出された角速度ωと、時点t4から時点t5までの速度検出期間Hにおいて検出された角速度ωの平均値から露光中の補正に使用するパンニングの角速度ωpan、またはチルティングの角速度ωtilが算出される。ここでは、カメラがパンニング方向に流し撮りがされた場合を例にして説明する。
図3はカメラ本体1のヨー方向及びピッチ方向の角速度ωを時間積分した結果の時間変化の様子での一例を示す。図3の横軸は時間であり、縦軸は、移動量である。∫ωyawはヨー方向の角速度ωyawに対する時間積分結果を示す。この結果の値は、流し撮り撮影時にヨー方向に移動される角度(パンニング角度と定義する)に相当する。同様に、もう一方での∫ωpitchは、ピッチ方向の角速度ωpitchの時間積分された結果を示す。この結果は流し撮り撮影時にピッチ方向に移動される角度(チルティング角度と定義)に相当する。
カメラ本体1の角速度ωの検出方向に対してカメラ本体1が傾いた状態で振られた場合、ヨー方向及びピッチ方向の両方向にそれぞれ角速度ωyaw,ωpitchが発生する。これら角速度ωyaw,ωpitchを時間積分した結果の比率により、それぞれが検出した角速度ωの検出方向に対する、実際にカメラ本体1が振られる方向とのずれに対応する角度θyaw
,θpitchが求められる。
tanθyaw = ∫ωpitch / ∫ωyaw …(1)
同様に、ピッチ方向からのずれ角度をθpitchとすると、以下の関係式(2)が成り立つ。
tanθpitch = ∫ωyaw / ∫ωpitch …(2)
よって、ヨー方向の角速度ωyawからピッチ方向の角速度ωpitchは、以下(3)の式により求められる。
ωpitch =∫ωpitch / ∫ωyaw × ωyaw …(3)
同様に、ピッチ方向の角速度からヨー方向の角速度ωyawは、以下の関係式(4)により求められる。
ωyaw =∫ωyaw / ∫ωpitch × ωpitch …(4)
本実施の形態では、ヨー方向、及びピッチ方向に検出される角速度のうち、カメラ本体1が強く振られる方向の角速度ωと、ヨー方向及びピッチ方向の角速度の積分値の比率による振る角度ずれから、同方向に直交する方向成分の角速度ωを算出する。
この角速度ωの算出は、カメラ本体1が強く振られている方向の角速度ωはパンニング動作による振りの影響が大きく、かつ手ブレの影響が小さいので、カメラ本体1が強く振られている方向の角速度を基に、直交する方向に生じるパンニング動作の振りによる角速度ωを求めることで、カメラ本体1が振られる方向を、正確に求めることができる。
図5は本装置の全体構成のブロック図を示す。カメラ本体1は、光学系2と、フォーカルプレーンシャッタ3と、撮像素子4と、駆動部5と、システムコントローラ(制御部)6と、ブレ補正マイクロコンピュータ(以下、ブレ補正マイコンと省略する)7と、角速度センサ8と、レリーズSW9と、電子ビューファインダ(EVF)11と、記憶媒体としてのメモリカード12とから成る。
フォーカルプレーンシャッタ3は、撮像素子4の前面に配置され、開閉動作をすることにより撮像素子4を露光状態又は遮光状態にする。
撮像素子4は、システムコントローラ6からの指示に基づき、撮像面に結像された被写体像を電気信号に変換し、この変換した電気信号を映像信号として読み出す。
レリーズスイッチSW9は、ユーザが撮影操作を行う際の動作である半押し(1stレリーズ)と全押し(2nd)との各レリーズ操作を検出し、これらレリーズ操作の検出信号をシステムコントローラ6に出力する。
メモリカード12は、撮影画像を記録するための不揮発性のメモリであり、カメラ本体1に対して着脱可能である。
駆動部5は、撮像素子4を支持し、かつブレ補正マイコン7から発せられる指示に基づいてX軸方向及びY軸方向に撮像素子4を移動駆動する。
角速度センサ8は、例えばヨー方向とピッチ方向との各回転運動をそれぞれ検出するもので、互いに実装方向を変えて設けられた例えばヨー角速度センサ(第1の角速度検出部)8aと、ピッチ角速度センサ(第2の角速度検出部)8bとを有する。
ヨー角速度センサ8aは、光学系2の光軸Lの方向に対して第1の垂直方向を第1の軸としてヨー方向に回転するときの第1の角速度を検出するもので、ヨー方向の角度変化を角速度ωyawとして検出し、アナログの角速度検出信号をブレ補正マイコン7に出力する。
ピッチ角速度センサ8bは、光軸Lと第1の軸との双方に対して直交する方向を第2の軸としてピッチ方向に回転するときの第2の角速度を検出するもので、ピッチ方向の角度変化を角速度ωpitchとして検出し、アナログの角速度検出信号をブレ補正マイコン7に出力する。なお、ロール方向の角度変化を角速度ωrollとして検出するロール角速度センサを設けても良い。
これらADC71a、71bは、それぞれ例えばサンプリングレートを1kHzとし、1ms間隔でアナログの角速度検出信号をデジタル信号に変換する。このサンプリングレートは、特にそのレート値に限定するものではなく、レートを上げることでより正確な検出ができる。なお、このサンプリングレートは、システムの性能に合わせて最適なレートに設定すれば良い。
2つのドライバ73a、73bは、それぞれ例えばヨー方向とピッチ方向とおいて、CPU70により算出された各ブレ補正量G(Gy、Gp)に基づいて駆動部5を駆動するための駆動信号を出力する。ドライバ73aは、ヨー方向のブレ補正量G(Gy)に基づく駆動信号を出力する。ドライバ73bは、ピッチ方向のブレ補正量G(Gp)に基づく駆動信号を出力する。
ブレ補正量算出用のプログラムは、被写体を結像する光学系2と、この光学系2によって結像された光像から画像信号を出力する撮像素子4とを有する撮像装置のCPU70に、ヨー方向に回転するときの角速度ωyawを検出させる機能と、ピッチ方向に回転するときの角速度ωpitchを検出させる機能と、これらヨー方向の角速度ωyawとピッチ方向の角速度ωpitchとに基づいて流し撮り状態であるか否かを判定させる機能と、光学系2又は撮像素子4のいずれか一方又は両方を駆動して流し撮り中に生じる像ブレを無くす補正を行わせる機能と、流し撮りと検出された場合は、撮影直前の強く振られているほうの角速度ωと、ヨー方向角速度ωyawとピッチ方向の角速度ωpitchとの比率に基づいていて、流し撮りのカメラ操作に伴う、ヨー方向のパンニング角速度ωpanと、ピッチ方向のチルティング角速度ωtilを算出する機能と、ヨー方向の角速度ωyaw及び、ピッチ方向の角速度ωpitchと、パンニング角速度ωpanと、チルティング角速度ωtilとの差分に基づいて、ブレ補正量G(Gy、Gp)を算出させる機能とを実現させる。
基準算出部74bは、ピッチ方向の角速度センサ8bから出力される角速度検出信号を取り込み、ピッチ方向の回転運動が停止した状態での角速度ωpitchの値を基準値として求める。これら静止時角速度基準値を算出する目的は、次の通りである。静止時の角速度センサが検出する角速度検出出力は、本来は零であるが、実際はセンサ出力に直流成分のオフセット成分を含まれてしまう場合がある。従って、正しい角速度を検出するために、実際に検出された角速度の値から、このオフセット成分に相当する、静止時角速度基準値を差し引きして補償するために行う。
このヨー方向及びピッチ方向のどちらの静止時角速度基準値も、十分に長い期間(数秒程度)の平均値を取ることで算出できるが、これに限定するものではなく、各種方法により求めても良い。例えば、角速度信号の低域周波数成分のみを抽出するLPF(Low Pass Filter)処理によっても同じ効果が得られる。また、角速度検出信号に対して、減算部75a及び、75bを含めて交流信号成分のみを抽出するHPF(High Pass Filter)処理によって直流成分を除去することでも、同様の効果が得られる。
具体的に流し撮り制御部76は、減算部75aから出力されるヨー方向の減算信号すなわち符号化された角速度ωyawと、減算部75bから出力されるピッチ方向の減算信号すなわち符号化された角速度ωpitchとを取り込み、これら角速度ωyaw、ωpitchを基に、
流し撮りが開始されたことを判定し、流し撮り検出中に撮影が開始されると、検出した各角速度ωyaw、ωpitchから流し撮りに関わるパンニング角速度ωpanと、チルティング角速度ωtilを除去した補正角速度ωstabyawと、ωstabpitchを出力する。
図7は流し撮り制御部の具体的なブロック構成図を示す。この流し撮り制御部76は、2つの流し撮り検出761a、761bと、オフセット検出部762と、2つの減算部763a、763bとを有する。
流し撮り検出部761aは、減算部75aから出力される符号(+、−)を持ったヨー方向の角速度ωyawを入力し、この角速度ωyawに基づいて、図2で示すように、角速度ωyawが検出期間Aだけ継続して閾値THを超えたかを確認し、流し撮り操作が行われているかを検出する。
流し撮り検出部761bは、減算部75bから出力される符号(+、−)を持ったピッチ方向の角速度ωpitchを入力し、この角速度ωpitchに基づいて、図2で示すように、角速度ωpitchが検出期間Aだけ継続して閾値THを超えたかを確認し、流し撮り操作が行われているかを検出する。
又、減算部763bは、上記減算部75bから出力される符号(+、−)を持ったピッチ方向の角速度ωpitchを入力し、このピッチ方向の角速度ωpitchから流し撮り角速度算出部762により算出されたパンニング角速度ωtilを減算し、補正すべき角速度すなわち補正角速度ωstabpitchを算出する。
これら流し撮り検出部761a、761bは、それぞれ同一構成を有するもので、移動平均部7611と、閾値比較部7612と、計時部7613と、ゼロクロス検出部7614と、流し撮り検出フラグ部7615と、リミット検出部7616とを有する。
又、移動平均部7611は、減算部75bから出力される符号(+、−)を持ったピッチ方向の角速度ωpitchを逐次入力し、これら角速度ωpitchの直前の複数回のサンプリング値を基にピッチ方向の角速度ωpitchの移動平均値Aveωpitchを算出する。
なお、この移動平均部7611は、設けなくても良いが、シャッターの動作時の衝撃などの様々な外的要因によるノイズが生じたとしても、当該移動平均部7611を設けることにより流し撮りを安定して検出することができる。
又、閾値比較部7612は、移動平均部7611により算出されたピッチ方向の角速度ωpitchの移動平均値Aveωpitchとピッチ方向の閾値THとを比較し、ピッチ方向の角速度ωpitchの移動平均値Aveωpitchがピッチ方向の閾値THを超えたか否かを判定する。
なお、ヨー方向とピッチ方向との各閾値THは、それぞれ例えば10deg/s程度の通常の手持ち撮影では発しない程度の角速度ωに設定するが、この角速度ωは、固定値でも良いし、光学系2の焦点距離等により変更することで、撮影画角に適した検出を行うことができる。
この基準速度算出部762は、2つの平均値バッファ7621a、7621bと、2つの積分部7622a、7622bと、流し撮り角速度算出7623とを有する。
平均値バッファ7621aは、上記減算部75aから出力される符号(+、−)を持ったヨー方向の角速度ωyawを入力し、この角速度ωyawのうち所定期間の平均値を複数保持する。例えばここでは、8周期の平均値を、最新から8周期おきに8データ保持する。
同様に、移動平均部7621bは、上記減算部75bから出力される符号(+、−)を持ったピッチ方向の角速度ωpitchを入力し、この角速度ωpitchのうち所定期間の平均値を複数保持する。
これら平均値バッファ7621a、7621bは、8周期の平均値を、最新から8周期おきに8データ保持するが、これに限定されるものでなく、他のデータ数でもよい。
積分部7622bは、平均値バッファ7621bにより算出され保持されている平均値の8データを逐次取り込み積分する。
なお、ヨー方向とピッチ方向との各角速度ωyaw、ωpitchの各平均値Aveωyaw、Aveωpitchは、各角速度ωyaw、ωpitchの最新の8データの平均値なので、最新の16データは、8サイクルごとのデータを用いることで、少ないデータ数で、長い期間のヨー方向の角速度ωyaw、ωpitchの積分値の比率を求めることができる。
手ブレの影響を除去して、ヨー方向角速度ωyawとピッチ方向角速度ωpitchの比率を求めるためのものであり、手ブレ成分が除去できる期間であればよい。
このパンニング角速度ωpanと、チルティング角速度ωtilの算出では、ヨー方向の角速度ωyawの積分値とピッチ方向の角速度ωpitchの積分値とを比較し、これら積分値のうち絶対値の大きい積分値に対応する方向、すなわちヨー方向又はピッチ方向のカメラ本体1が強く振られている方向の角速度を基にして、もう一方の角速度を算出する。
このようにすることで、手ブレの影響を除去したパンニング又はチルティングによる角速度を正確に算出できる。
図10は流し撮り制御部の制御の流れを示すフローチャートである。
先ず、ステップS1において、流し撮り検出部761aの移動平均部7611は、減算部75aから出力される符号(+、−)を持ったヨー方向の角速度ωyawを逐次入力し、これら角速度ωyawの直前の複数回のサンプリング値を基にヨー方向の角速度ωyawの平均値Aveωyawを算出する。
又、同ステップS1において、流し撮り検出部761bの移動平均部7611は、減算部75bから出力される符号(+、−)を持ったピッチ方向の角速度ωpitchを逐次入力し、これら角速度ωpitchの直前の複数回のサンプリング値を基にピッチ方向の角速度ω0pitchの平均値Aveωpitchを算出する。
次に、ゼロクロス検出7614は、ステップS2において、移動平均部7611により算出されたヨー方向の角速度ωyawの平均値Aveωyawを受け取り、このヨー方向の角速度ωyawの平均値Aveωyawがゼロクロスしたか否かを判定する。
これと共に、このゼロクロス検出7614は、同ステップS2において、移動平均部7611により算出されたピッチ方向の角速度ωpitchの平均値Aveωpitchを受け取り、このピッチ方向の角速度ωpitchの平均値Aveωpitchがゼロクロスしたか否かを判定する。
このゼロクロスの判定は、角速度ωyaw、ωpitchの符号(+、−)が反転したか、又は「0」値になったかのいずれか一方でゼロクロスと判定する。このゼロクロスは、ヨー方向に関し、前回算出したヨー方向の角速度ωyawの平均値Aveωyawと、今回算出したヨー方向の角速度ωyawの平均値Aveωyawとの符号(+、−)が異なるか、又は今回算出したヨー方向の角速度ωyawの平均値Aveωyawが「0」の場合に、ゼロクロスが発生したとしてゼロクロスフラグを立てる。ピッチ方向に関しても、ゼロクロスは、前回算出したピッチ方向の角速度ωpitchの平均値Aveωpitchと、今回算出したピッチ方向の角速度ωpitchの平均値Aveωpitchとの符号(+、−)が異なるか、又は今回算出したピッチ方向の角速度ωpitchの平均値Aveωpitchが「0」の場合に、ゼロクロスが発生したとしてゼロクロスフラグを立てる。
流し撮り検出部761bは、同ステップS3において、上記減算部75bから出力される符号(+、−)を持ったピッチ方向の角速度ωpitchを入力し、この角速度ωpitchに基づいて流し撮り操作が行われているかを検出する。流し撮りの開始が検出されると、流し撮り検出部761bは、流し撮りフラグを立てる。
これら流し撮り検出部761a、761bの動作の詳細は、後述する。
この判定の結果、流し撮り検出期間Bであれば、ステップS7に移って本装置(カメラ)の状態が露光状態であるか否かを判定し、流し撮り検出期間Bでなければ、ステップS11に移ってピッチ方向のパンニング角速度ωpanとヨー方向のチルティング角速度ωtilとをそれぞれ「0」にクリアする。
この判定の結果、補正開始1回目の補正処理であれば、ステップS9において、各積分部7622a、7622bをそれぞれ積分動作させる。つまり、積分部7622aは、平均値バッファ7621aに保持されている8データ分の平均値を積分する。同様に、積分部7622bは、平均値バッファ7621bに保持されている8データ分の平均値を積分する。
流し撮り角速度算出部7623は、ステップS10において、積分部7622aにより算出されたヨー方向の角速度ωyawの積分値と、積分部7622bにより算出されたピッチ方向の角速度ωpitchの積分値の比率と絶対値の大小関係を求め、ヨー方向とピッチ方向との流し撮りに伴う角速度であるヨー方向のパンニング角速度ωpanと、チルティング方向の流し撮り角速度ωpitchとを算出する。
又、減算部763bは、同ステップS12において、上記減算部75bから出力される符号(+、−)を持ったピッチ方向の角速度ωpitchを入力し、このピッチ方向の角速度ωpitchと流し撮り角速度算出部762により算出されたピッチ方向のチルティング角速度ωtilとの減算を行い、補正すべきピッチ(pitch)補正角速度を算出する。
なお、流し撮りを検出していない場合は、パンニング角速度ωpan及び、チルティング角速度ωtilは共に0なので、通常の手ブレ補正として機能する。
先ず、流し撮り検出部761a、761bは、ステップS31において、それぞれ流し撮りフラグが立っているか否かを判断することにより流し撮り中であるか否かを判定する。なお、この流し撮りフラグは、流し撮り検出フラグ部7615によって立てられる。この判定の結果、既に、流し撮りが開始されて流し撮りフラグが立っていれば、流し撮り検出部761a、761bは、本流し撮り検出処理をスルーする。
なお、ヨー方向の角速度ωyawまたは、ピッチ方向の角速度ωpitchとが閾値THを超えていなければ、計時部7613は、ステップS34において、それぞれ対応する方向の上記カウンタの計測値を「0」にクリアする。
この判定の結果、計測期間t1−t2が予め決められた検出期間Aを超えると、流し撮り検出フラグ部7615は、ステップS36において、計測期間が予め決められた検出期間Aを超えた時点t2に流し撮り検出フラグを立てる。
流し撮り角速度算出部7623は、流し撮りが検出された状態、つまり検出期間Bにおいて露光が開始されると、ブレ補正を開始する最初の周期で算出される、積分部7622aによる積分値∫Ave_ωyawと、積分部7622bによる積分値∫Ave_ωpitchとを入力し、ステップS91において、これらヨー方向の積分値∫Ave_ωyawとピッチ方向の積分値∫Ave_ωpitchとの各絶対値|∫Ave_ωyaw|、|∫Ave_ωpitch|を求め、次式(5)に示すようにこれら絶対値のうちいずれかが大きいのかを判定する。
|∫Ave_ωyaw|>|∫Ave_ωpitch| …(5)
この判定の結果、ヨー方向の積分値の絶対値|∫Ave_ωyaw|が大きければ、流し撮り角速度算出部7623は、ヨー方向に対してカメラ本体1が優位に振られて流し撮りされているものと判定し、ステップS92において、ヨー方向の角速度ωyawの平均値Aveωyawをヨー方向のパンニング角速度ωpanとする。
ωtil = Aveωyaw × (∫Ave_ωpitch / ∫Ave_ωyaw) …(6)
一方、上記判定の結果、ピッチ方向の積分値の絶対値|∫Ave_ωpitch|が大きければ、流し撮り角速度算出部7623は、ピッチ方向に対してカメラ本体1が優位に振られて流し撮りされているものと判定し、ステップS94において、ピッチ方向の角速度ωpitchの平均値Aveωpitchをピッチ方向のチルティング角速度ωtilとする。
ωpan = Aveωpitch × (∫Ave_ωyaw / ∫Ave_ωpitch) …(7)
この後、上記の通り、減算部763aは、上記減算部75aから出力されるヨー方向の角速度ωyawと上記より算出されたヨー方向のパンニング角速度ωpanとの減算を行い、補正すべき角速度すなわちヨー補正角速度を算出する。
これと共に減算部763bは、上記減算部75bから出力されるピッチ方向の角速度ωpitchと上記より算出されたピッチ方向のチルティング角速度ωtilとの減算を行い、補正すべき角速度すなわちピッチ補正角速度を算出する。
この結果、駆動部5は、ヨー方向とピッチ方向との各ブレ補正量G(Gy、Gp)に対応する駆動指示に基づいて撮像素子4をX軸方向及びY軸方向に移動駆動するので、撮像素子4の撮像面に生じるブレが補正される。
一方、ピッチ方向の積分値の絶対値|∫Ave_ωpitch|が大きければ、ピッチ方向のチルティング角速度ωtilは、ピッチ方向の角速度ωpitchの平均値とし、ヨー方向の基準角速度ωtilは、上記式(7)を演算して算出する。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態の要旨について説明する。
図13A乃至図13Eは平行移動する被写体100に対してカメラ本体1を振って追っている状態を示すもので、図13A及び図13Bはカメラ本体1を振って追っている状態におけるEVF11に表示されるライブビュー映像の連続するフレーム画像を示す。
このライブビュー映像は、カメラが撮影待機状態で、フォーカルプレーンシャッタ3を開放状態として、撮像素子4に結像された被写体像を光電変換した映像をリアルタイムでシステムコントローラ6が読み出し、画像処理を施した後、EVF11に表示される。
図13Eは図13Aに示すようにカメラ本体1が角速度ωの検出方向に傾きを持った状態でパンニング動作されたときの被写体100の移動方向を、被写体100の移動方向を水平方向に換算した模式図を示す。図13Eに示すベクトルθtargetは、被写体100の移動方向と被写体100の速度とをカメラ本体1の角度変化に換算した値である。
撮像素子4により撮像された画像には、図13Cに示すようにカメラ本体1を振る速度と被写体100の速度とが対応していない場合、被写体100の像のブレの移動量として現れる。
ΔD=f×tanΔθ …(8)
Δθ=atan(ΔD/f) …(9)
ΔD:移動量
f:焦点距離
又、フレーム間の時間をTとすると、Tはフレームレートにより決まり、以下式により角速度ωcを求めることができる。
ωc=Δθ/T …(10)
この角速度ωcを算出することにより、ヨー方向とピッチ方向とに換算した角速度ωx、ωyを求めることができる。
本実施の形態では、被写体100のフレーム間に算出された角速度ωx、ωyとし、パンニング角速度ωpan、チルティング角速度ωtilに対するズレを補正することで、撮像素子4の撮像面上での被写体像のズレを無くすことができる。
システムコントローラ6は、ライブビュー映像の表示中に、撮影画角内の中心付近の被写体100を検出し、この被写体100のフレーム間での移動量を算出する。この移動量の算出の方法は、既に様々な方法があり、いずれの方法を用いても良い。
このブレ補正マイコン7は、SIO72を経由し、通信部78でX軸とY軸方向の各移動量を受信する。
角度変換部764aは、X軸方向の移動量を基に、上記式(9)及び(10)を演算してヨー方向に換算した角速度ωxを算出する。
同様に角度変換部764bは、Y軸方向の移動量を基に、上記式(9)及び(10)を演算してピッチ方向に換算した角速度ωyを算出する。
減算部763cは、オフセット検出部762により算出したヨー方向のパンニング角速度ωpanからヨー方向に換算した角速度ωxを減算する。
減算部763dは、基準速度算出部762により算出したピッチ方向のチルティング角速度ωtilからピッチ方向に換算した角速度ωyを減算する。
図15は基準角速度算出開始フローチャートを示す。
角度変換部764aは、ステップS90において、X軸方向の移動量を基に、上記式(6)及び(7)を演算してヨー方向に換算した角速度ωxを算出する。
角度変換部764aは、システムコントローラ6から通知されたフレーム間の移動量をΔX、ΔYとして角速度ωxを算出するが、本実施の形態では、ライブビューのフレームレートを60fpsとしているので、算出した角度変化に上記60fpsとする60を乗算して角速度ωxとしている。
ωx=atan(ΔX/f)×60 …(11)
ωy=atan(ΔY/f)×60 …(12)
この後、流し撮り角速度算出部7623は、ステップS93において、ヨー方向の角速度ωyawの平均値と、上記式(3)に示すピッチ方向の角速度ωpitchと、角速度ωyに基づいてピッチ方向のチルティング角速度ωtilを算出する。すなわち、基準角速度算出部7623は、次式(13)を演算してピッチ方向の基準角速度ωrefpitchを算出する。
ωtil = Aveωyaw × (∫Ave_ωpitch / ∫Ave_ωyaw)−ωy …(13)
ω = Aveωpitch × (∫Aveωyaw / ∫Aveωpitch)−ωx …(14)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
なお、本装置の構成は、上記第1の実施の形態の構成と略同一であるので図5乃至図9を援用し、かつ上記第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、相違するところについて説明する。
図16は流し撮り制御開始フローチャートを示す。この流し撮り制御開始フローチャートは、上記図10に示す流し撮り制御開始フローチャートの流し撮り角速度算出(ステップS10)の実施するステップ位置が相違する。
Claims (8)
- 被写体を結像する光学系と、
前記光学系によって結像された被写体像から画像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子の結像面上での垂直方向を第1の軸として第1の方向に回転するときの第1の角速度を検出する第1の角速度検出部と、
前記結像面上の前記第1の軸に対して直交方向となる第2の軸に対して第2の方向に回転するときの第2の角速度を検出する第2の角速度検出部と、
前記第1の角速度検出部と前記第2の角速度検出部とにより検出される各角速度に基づいて、流し撮り状態であるか否かを判定する流し撮り検出部と、流し撮り検出部の検出結果に応じて、流し撮りによって生じるパンニング角速度及び、チルティング角速度を算出して、前記第1の角速度及び第2の角速度を補正演算する角速度算出部とから成る流し撮り制御部と、
前記流し撮り制御部から算出された角速度に応じて、像ブレ補正量を算出するブレ補正部と、
前記ブレ補正部が算出した像ブレ補正量に基づいて、像ブレを打ち消す方向に光学系又は前記撮像素子のいずれか一方又は両方を駆動して前記撮像素子の撮像面に生じる像ブレを補正するブレ駆動部と、
を具備し、
前記流し撮り制御部では、前記流し撮り検出部によりパンニング、またはチルティング操作に伴う流し撮り状態であると検出したときに、
前記角速度算出部は、前記第1の角速度と前記第2の角速度との絶対値での大小関係に基づいて、流し撮りの主方向となる回転方向と、傾き角を判定し、この判定に基づいて、いずれか一方の前記角速度から、前記第1または前記第2の方向の基準角速度となるパンニング角速度およびチルティング角速度を露光直前の第1の角速度と第2の角速度と、前記傾き角に基づく比率に基づいてそれぞれ算出し、
前記ブレ補正部は、前記第1の角速度と前記パンニング角速度の差と、前記第2の角速度と前記チルティング角速度の差とに基づいて、像ブレ補正量を算出する、
ことを特徴とする撮像装置。 - 前記流し撮り制御部の角速度算出部は、前記流し撮りの傾き角を、
前記第1の角速度と前記第2の角速度とのうち前記第1の角速度が大きければ、当該第1の角速度を前記第1の方向の基準角速度に設定し、かつ当該基準角速度に対して前記第1の角速度の平均の積分値と前記第2の角速度の平均の積分値との除算した値によって設定し、
前記第1の角速度と前記第2の角速度とのうち前記第2の角速度が大きければ、当該第2の角速度を前記第2の方向の基準角速度に設定し、かつ当該基準角速度に対して前記第2の角速度の平均の積分値と前記第1の角速度の平均の積分値との除算した値に基づいて設定する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。 - 前記撮像素子から出力される前記画像信号から予め設定された各座標軸に対する前記被写体の各移動量をそれぞれ検出する制御部を有し、
前記流し撮り制御部は、前記制御部により検出された前記被写体の各移動量から、それぞれ前記第1と前記第2の方向との、それぞれの換算角速度に変換する、角速度変換部を更に有しており、
前記角速度変換部によって変換された前記それぞれの換算角速度に基づいて、前記第1と前記第2の方向との各基準角速度となる、パンニング角速度およびチルティング角速度を補正する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。 - 前記流し撮り制御部の角速度算出部は、露光前の第1の期間において前記第1の方向及び前記第2の方向の各角速度の時間の積分値又は平均値を基に前記傾き角を算出することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の撮像装置。
- 前記流し撮り制御部の角速度算出部は、前記露光前の前記第1の期間に含まれる期間である第2の期間にて、前記第1の角速度または前記第2の角速度に対する平均値を算出することによって、前記パンニング角速度または前記チルティング角速度を算出し、
前記第1の期間は、前記第2の期間よりも長い時間である、
ことを特徴とする請求項4記載の撮像装置。 - 当該撮像装置の露光開始の操作を行うための操作部を有し、
前記流し撮り制御部の角速度算出部は、前記操作部に対する操作を受け、かつ、前記流し撮り検出部が流し撮り状態を検知した場合には、前記パンニング角速度及びチルティング角速度を露光する直前に算出し、前記露光中に前記第1及び前記第2の方向の基準角速度を更新しない、
ことを特徴とする請求項1乃至5記載のうちいずれか1項記載の撮像装置。 - 前記流し撮り制御部の角速度算出部は、露光前に算出した第1の角速度と第2の角速度の比率と絶対値の大小関係に基づいて、流し撮りの主方向となる回転方向を判定し、
当該撮像装置が前記露光中は、
前記判定された主方向となる回転方向から、パンニングと判定された場合は、第1の角速度をパンニング角速度とし、パンニング角速度と、前記露光前に算出した比率に基づいてチルティング角速度を決定し、
チルティングと判定された場合は、第2の角速度をチルティング角速度とし、チルティング角速度と、前記露光前に算出した比率に基づいてパンニング角速度を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。 - 被写体を結像する光学系と、前記光学系によって結像された被写体像から画像信号を出力する撮像素子とを有する撮像装置の像ブレ補正方法において、
前記撮像素子の結像面での垂直方向を第1の軸として第1の方向に回転するときの第1の角速度を検出するステップと、
前記第1の軸に対して直交方向を第2の軸として第2の方向に回転するときの第2の角速度を検出するステップと、
前記第1の角速度と前記第2の角速度とに基づいて流し撮り状態であるか否かを判定するステップと、前記判定するステップの結果に応じて、前記第1の角速度及び第2の角速度を補正演算する角速度算出ステップとを有する流し撮り制御ステップと、
前記流し撮り制御ステップによって算出された角速度に応じて、像ブレ補正量を算出するブレ補正ステップと、
前記ブレ補正ステップが算出した像ブレ補正量に基づいて、前記光学系又は前記撮像素子のいずれか一方又は両方を駆動して前記撮像素子の撮像面に生じる像ブレを補正するブレ駆動ステップと、
を有し、
前記流し撮り制御ステップは、
前記流し撮り検出ステップで、該撮像装置がパンニング、またはチルティング操作に伴う流し撮り状態であると検出されたときに、
前記角速度算出ステップは、前記第1の角速度と前記第2の角速度との絶対値での大小関係に基づいて、いずれか一方の前記角速度から前記第1又は前記第2の方向の基準角速度となるパンニング角速度およびチルティング角速度を、露光直前の第1の角速度と第2の角速度の比率に基づいて、それぞれ算出し、
前記ブレ補正ステップは、前記第1の角速度と前記パンニング角速度の差と、前記第2の角速度と前記チルティング角速度の差とに基づいて、像ブレ補正量を算出する、
ことを特徴とする撮像装置の像ブレ補正方法。
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