以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1〜図3は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は、本発明の車両用熱交換器をエジェクタ式冷凍サイクル10に適用した例を示す。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10において、冷媒を吸入圧縮する圧縮機11は、電磁クラッチ11a、ベルト等を介して図示しない車両走行用エンジンにより回転駆動される。
圧縮機11の冷媒吐出側には放熱器12が配置されている。放熱器12は圧縮機11から吐出された高圧冷媒と図示しない冷却ファンにより送風される外気(車室外空気)との間で熱交換を行って高圧冷媒を冷却する。
ここで、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷媒として、本実施形態ではフロン系、HC系等の冷媒のように高圧圧力が臨界圧力を超えない冷媒を用いて、蒸気圧縮式の亜臨界サイクルを構成している。このため、放熱器12は冷媒を凝縮する凝縮器として作用する。放熱器12の出口側には受液器12aが設けられている。受液器12aは、冷媒の気液を分離してサイクル内の余剰液冷媒を溜める気液分離器を構成する。受液器12aはその出口から液冷媒を導出するようになっている。受液器12aの出口側には温度式膨張弁13が配置されている。温度式膨張弁13は受液器12aからの液冷媒を減圧する減圧手段であって、圧縮機11の吸入側通路に配置された感温部13aを有している。
温度式膨張弁13は、圧縮機11の吸入側冷媒(後述の蒸発器出口側冷媒)の温度と圧力とに基づいて圧縮機吸入側冷媒の過熱度を検出し、圧縮機吸入側冷媒の過熱度が予め設定された所定値となるように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。温度式膨張弁13の出口側にエジェクタ14が配置されている。エジェクタ14は冷媒を減圧する減圧手段であるとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用(巻き込み作用)によって冷媒の循環を行う流体輸送を冷媒循環手段(運動量輸送式ポンプ)でもある。エジェクタ14には、膨張弁13通過後の冷媒(中間圧冷媒)の通路面積を小さく絞って、冷媒をさらに減圧膨張させるノズル部14aと、ノズル部14aの冷媒噴出口と同一空間に配置され、後述する第2蒸発器18からの気相冷媒を吸引する冷媒吸引口14bが備えられている。
さらに、ノズル部14aおよび冷媒吸引口14bの冷媒流れ下流側部位には、ノズル部14aからの高速度の冷媒流と冷媒吸引口14bの吸引冷媒とを混合する混合部14cが設けられている。そして、混合部14cの冷媒流れ下流側に昇圧部をなすディフューザ部14dが配置されている。ディフューザ部14dは冷媒の通路面積を徐々に大きくする形状に形成されており、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する作用を果たす。エジェクタ14のディフューザ部14dの出口側に第1蒸発器15が接続され、第1蒸発器15の出口側は圧縮機11の吸入側に接続される。
一方、エジェクタ14の入口側(温度式膨張弁13の出口側とエジェクタ14の入口側との間の中間部位)から冷媒分岐通路16が分岐され、冷媒分岐通路16の下流側はエジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続される。Zは冷媒分岐通路16の分岐点を示す。
冷媒分岐通路16には絞り機構17が配置され、絞り機構17よりも冷媒流れ下流側には第2蒸発器18が配置されている。絞り機構17は第2蒸発器18への冷媒流量の調節作用をなす減圧手段である。本実施形態では、2つの蒸発器15、18を後述の構成により一体構造に組み付けるようになっている。2つの蒸発器15、18を図示しないケース内に収納し、そして、ケース内に構成される空気通路に共通の電動送風機19により空気(被冷却空気)を矢印Aのごとく送風し、送風空気を2つの蒸発器15、18で冷却するようになっている。
2つの蒸発器15、18で冷却された冷風を車室内空間に送り込み、これにより、2つの蒸発器15、18によって車室内空間を冷却するようになっている。ここで、2つの蒸発器15、18のうち、エジェクタ14の下流側の主流路に接続される第1蒸発器15を空気流れAの上流側(風上側)に配置し、エジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続される第2蒸発器18を空気流れAの下流側(風下側)に配置している。
本実施形態では、エジェクタ14、第1、第2蒸発器15、18、および絞り機構17を1つの一体化ユニット20として組み付けている。一体化ユニット20は、本発明の熱交換器を構成している。
次に、一体化ユニット20の全体構成の概要を図2、図3によって説明する。図2は一体化ユニット20の全体構成の概要を示す斜視図で、図3は一体化ユニット20の部分的拡大図である。まず、2つの蒸発器15、18の一体化構造の具体例を図2によって説明する。
図2の例では、2つの蒸発器15、18が完全に1つの蒸発器構造として一体化されるようになっている。そのため、第1蒸発器15は1つの蒸発器構造のうち空気流れAの上流側領域を構成し、そして、第2蒸発器18は1つの蒸発器構造のうち空気流れAの下流側領域を構成するようになっている。
第1蒸発器15は、熱交換コア部15aと、熱交換コア部15aの上下両側に位置するタンク部15b、15cとを備えている。第2蒸発器18は、熱交換コア部18aと、熱交換コア部18aの上下両側に位置するタンク部18b、18cとを備えている。
熱交換コア部15aは、上下方向に延びる複数のチューブ21aを備える。これら複数のチューブ21aの間には、被熱交換媒体、実施形態では冷却される空気が通る通路が形成される。これら複数のチューブ21a相互間には、フィン22aを配置し、チューブ21aとフィン22aとを接合することができる。
つまり、熱交換コア部15aは、チューブ21aとフィン22aとからなる積層構造を構成する。チューブ21aとフィン22aは、熱交換コア部15aの左右方向に交互に積層配置されている。
熱交換コア部18aは、それぞれ上下方向に延びる複数のチューブ21bを備える。これら複数のチューブ21bの間には、被熱交換媒体、実施形態では冷却される空気が通る通路が形成される。これら複数のチューブ21b相互間には、フィン22bを配置し、チューブ21bとフィン22bとを接合することができる。
つまり、熱交換コア部18aは、チューブ21bとフィン22bとからなる積層構造を構成する。チューブ21bとフィン22bは熱交換コア部18aの左右方向に交互に積層配置されている。他の実施形態では、フィン22を備えない構成を採用することができる。
なお、図2では、チューブ21a、21bとフィン22a、22bの積層構造の一部のみ図示しているが、熱交換コア部15a、18aの全域にチューブ21a、21bとフィン22a、22bの積層構造が構成され、積層構造の空隙部を電動送風機19の送風空気が通過するようになっている。
チューブ21a、21bは、冷媒通路を構成するもので、断面形状が空気流れ方向Aに沿って扁平に形成されている扁平チューブよりなる。チューブ21a、21bの具体的な構造について後述する。フィン22a、22bは、薄板材を波状に曲げ成形したコルゲートフィンであり、チューブ21a、21bの平坦な外面側に接合され空気側伝熱面積を拡大する。第1蒸発器15のチューブ21aと第2蒸発器18のチューブ21bは、互いに独立した冷媒通路を構成し、第1蒸発器15の上下両側のタンク部15b、15cと、第2蒸発器18の上下両側のタンク部18b、18cは互いに独立した冷媒通路空間を構成する。
ここで、第1蒸発器15のタンク部15b、15cおよび第2蒸発器18のタンク部18b、18cは、いずれも複数のチューブ21a、21bの配列方向に細長く延びる形状になっている。チューブ21a、21bの配列方向は図2の左右方向であり、空気流れ方向Aと直交する方向である。
第1蒸発器15の上下両側のタンク部15b、15cは熱交換コア部15aのチューブ21aの上下両端部が挿入され、接合されるチューブ嵌合穴部(図示せず)を有し、チューブ21aの上下両端部がタンク部15b、15cの内部空間に連通するようになっている。
同様に、第2蒸発器18の上下両側のタンク部18b、18cは熱交換コア部18aのチューブ21bの上下両端部が挿入され、接合されるチューブ嵌合穴部(図示せず)を有し、チューブ21bの上下両端部がタンク部18b、18cの内部空間に連通するようになっている。これにより、上下両側のタンク部15b、15c、18b、18cは、それぞれ対応する熱交換コア部15a、18aの複数のチューブ21a、21bへ冷媒流れを分配したり、複数のチューブ21a、21bからの冷媒流れを集合したりする役割を果たす。
2つの上側タンク15b、18b、および2つの下側タンク15c、18cは隣接しているので、2つの上側タンク15b、18b同士、および2つの下側タンク15c、18c同士はそれぞれ一体成形されている。ここで、チューブ21a、21b、フィン22a、22b、タンク部15b、15c、18b、18c等の蒸発器構成部品の具体的材質としては、熱伝導性やろう付け性に優れた金属であるアルミニウムが好適であり、アルミニウム材にて各部品を成形することにより、第1、第2蒸発器15、18の全体構成を一体ろう付けにて組み付けることができる。
キャピラリチューブ17aおよび接続ブロック23は、蒸発器部品と同様にアルミニウム材にて成形される。
接続ブロック23は、図2に示すように、第1、第2蒸発器15、18の上側タンク15b、18bの長手方向の一方の側面部にろう付け固定される部材であって、図1に示す一体化ユニット20の1つの冷媒入口25と1つの冷媒出口26とを構成する。接続ブロック23の厚さ方向の途中にて冷媒入口25は、エジェクタ14の入口側に向かう第1通路をなす主通路25aと、キャピラリチューブ17aの入口側に向かう第2通路をなす分岐通路16とに分岐される。分岐通路16は図1の分岐通路16の入口部分に相当する。従って、図1の分岐点Zは接続ブロック23の内部に構成されることになる。
これに対し、冷媒出口26(図3中省略する)は、接続ブロック23の厚さ方向に貫通する1つの単純な通路穴(円形穴等)で構成される。そして、接続ブロック23の分岐通路16はキャピラリチューブ17aの一端部にろう付けによりシール接合される。
また、図2に示すように、第1蒸発器15の上側タンク15bの内部空間の長手方向の略中央部には仕切板30が配置され、仕切板30によって上側タンク15bの内部空間が長手方向の2つの空間、すなわち、左側空間31と右側空間32とに仕切られている。
接続ブロック23では、その冷媒出口26が上側タンク15bの左側空間31と連通し、主通路25aが上側タンク18bの左側空間27と連通し、かつ、分岐通路16がキャピラリチューブ17aの一端部と連通した状態で上側タンク15b、18bの側面壁にろう付けされている。
エジェクタ14は、図3および図4に示すように、そのノズル部14aの軸方向Sに延びる細長の円筒形状に形成されているボディ部140を備えており、その細長円筒形状の長手方向を上側タンク部18bの長手方向に一致させて、エジェクタ14が上側タンク部18bと平行に設置されている。
ボディ部140の長手方向一端側には、図3に示すように、ノズル部14aが挿入されており、ノズル部14aは、冷媒入口側がボディ部140から突出している。ボディ部140は、上述した冷媒吸引口14b、混合部14c、およびディフューザ部14dを構成し、冷媒吸引口14bは第2蒸発器18の上側タンク18bの左側空間27に連通するようになっている。エジェクタ14のうち、ノズル部14aはステンレス、黄銅等の材質で形成され、ボディ部140は銅、アルミニウムといった金属材にて構成するが、樹脂(非金属材)で構成してもよい。
次に、上側タンク15b、18b、接続ブロック23、およびエジェクタ14の、より具体的な組み付け構造について説明する。
図5に示すように、2つの上側タンク15b、18bを、タンク長手方向(チューブ配列方向)に延びるチューブ側(底面側)半割れ部材40と反チューブ側(上面側)半割れ部材41とに分割し、2つの半割れ部材40、41を組み合わせて一体に接合することにより、タンク長手方向(チューブ配列方向)に延びる2つの筒形状を空気流れ方向Aの前後に並んで形成する。2つの筒形状の長手方向側面部(図6の右端部)をキャップ43で閉塞する。これによって、2つの上側タンク15b、18bが構成される。
図7に示すように、チューブ側半割れ部材40は、2つの上側タンク15b、18bのそれぞれのチューブ側半割れ部を一体成形した略W字状断面形状を有し、また、反チューブ側半割れ部材41は2つの上側タンク15b、18bのそれぞれの反チューブ側半割れ部を一体成形した略M字状断面形状を有している。
本実施形態では、キャピラリチューブ17aを2つの上側タンク15b、18bのうち上面側半割れ部材63の略M字状断面の中央部に形成される谷間形状部の上に載せて、キャピラリチューブ17aを上側タンク15b、18bの外面側に一体ろう付けするようになっている。
キャピラリチューブ17aの出口側端部(右端側)は、図6に示すように上側タンク18bの長手方向の他方の側面部を閉塞するキャップ43の貫通穴43aに挿入され、右側空間28内に開口している。
また、本実施形態では、図5に示すように、接続ブロック23と上側タンク15b、18bの長手方向の一方の側面部との間に介在プレート44を配置して、接続ブロック23を介在プレート44を挟んで上側タンク15b、18bの側面部に一体ろう付けするようになっている。
従って、介在プレート44も、蒸発器構成部品、キャピラリチューブ17aおよび接続ブロック23と同様にアルミニウム材にて成形される。介在プレート44は接続ブロック23と共同して、後述する冷媒通路を構成するとともに、エジェクタ14の長手方向の一端部(ノズル部14a側の一端部)を保持固定する役割を果たす部材である。
本実施形態の接続ブロック23には、図8、図9に示すように、一体化ユニット20の1つの冷媒入口25と1つの冷媒出口26とを設けるとともに、エジェクタ14を蒸発器タンク内に挿入するための専用の穴部45を設けている。
エジェクタ挿入用の専用の穴部45は円形穴であって、第2蒸発器18の上側タンク部18bのうち左側タンク空間27の側面部に対向するように開口している。ここで、左側タンク空間27は冷媒集合側タンク空間を構成する。
介在プレート44には、穴部45と同心状に対向する円筒部46が形成されている。円筒部46は、図3、図5に示すように、介在プレート44の平板状の基板部から上側タンク部18bの左側タンク空間27内へ円筒状に突出したものである。
一方、図3に示すように、エジェクタ14の長手方向のうち、入口側(ノズル部14a側)には、円柱状のプラグ63が設けられている。プラグ63は、エジェクタ挿入用穴部45を密閉する栓部材であり、プラグ63の外周面には雄ネジ63aが設けられている。雄ネジ63aは、エジェクタ挿入用穴部45の内周面の雌ネジに螺合する。
また、プラグ63の外周面にはOリング29b装着用の溝部14hがリング状に形成されている。そして、Oリング29bが円筒部46の内周面に弾性的に圧接することにより、エジェクタ14の入口側外周面をシールすることができ、上述した主通路25aが左側タンク空間27内に直接連通することを防止する。
また、プラグ63の外周面には、Oリング29c装着用の溝部14eがリング状に形成されている。そして、Oリング29cがエジェクタ挿入用穴部45の内周面に弾性的に圧接することにより、エジェクタ14の外周面をシールすることができる。
ここで、プラグ63の外周面には、4つの冷媒流入孔630が設けられており、4つの冷媒流入孔630は、主通路25aから冷媒をプラグ63内の連通流路631に導く孔部である。主通路25aは、プラグ63の外周方向にリング状に形成されている。
4つの冷媒流入孔630は、ノズル14aの軸線方向(図4中S)を中心とする円周方向に均一角度(90°)間隔で並べられている。プラグ63の軸方向端部には、開口部632が形成されており、連通流路631は、4つの冷媒流入孔630から開口部632内を通してノズル14aの冷媒入口側に連通するように設けられている。プラグ63の開口部632内には、エジェクタ14のノズル部14aが圧入される。
図8、図9に示すように、接続ブロック23のうち、介在プレート44側の面には「くの字状」に曲がった凹状の溝部47が形成され、凹状の溝部47の一端部に冷媒入口25が連通している。そして、凹状の溝部47の他端部寄りの中間部に穴部45と、介在プレート44の円筒部46が連通する。
介在プレート44には、図8に示すように、接続ブロック23の凹状溝部47に対向する凹状溝部48が形成され、両凹状溝部47、48の組み合わせによって冷媒通路断面積を増大している。なお、凹状溝部48の凹形状は図5に図示されている。
接続ブロック23の凹状溝部47によって形成される冷媒通路のうち、介在プレート44の円筒部46へ向かう通路部によって主通路25aが形成される。そして、凹状の溝部47によって形成される冷媒通路のうち、円筒部46の対向位置よりも更に他端部47a側の通路部によって分岐通路16が形成される。
一方、介在プレート44のうち、接続ブロック23の分岐通路16に対向する部位に分岐通路側開口部50が円形状で開口して分岐通路16と連通する。開口部50にはキャピラリチューブ17aの入口側端部(図5の左側端部)がろう付けによりシール接合される。キャピラリチューブ17aの出口側端部(図5の右側端部)は、図6に示すようにU状に曲げられて上側タンク18bの長手方向の他方の側面を閉塞するキャップ43の貫通穴43aに挿入され、上側タンク18bの右側空間28内に開口している。
介在プレート44には、接続ブロック23の冷媒出口26および第1蒸発器15の上側タンク15bの左側空間31の側面部に対向する部位に冷媒出口側開口部51が開口しており、開口部51により左側空間31を冷媒出口26に連通させる。
介在プレート44から蒸発器側に突出する複数の第1爪部52を上側タンク15b、18bにかしめ固定することにより、介在プレート44を蒸発器側にろう付け前に仮固定することができる。
一方、介在プレート44から接続ブロック23側に突出する複数の第2爪部53を接続ブロック23にかしめ固定することにより、接続ブロック23を介在プレート44を介して蒸発器側にろう付け前に仮固定することができる。
エジェクタ固定板54は、図6に示すように、第2蒸発器18の上側タンク18bの内部空間の長手方向の略中央部に配置され上側タンク18bの内壁面にろう付けされる部材である。エジェクタ固定板54は、円筒部54aが一体成形され、円筒部54aの内周側にエジェクタ14のディフューザ部14dを嵌合して固定するとともに、上側タンク18bの内部空間を左側空間27と右側空間28とに仕切る役割を果たす。エジェクタ固定板54から上方へ突出する爪部54bは、上側タンク18bの上面のスリット状穴部55(図6参照)を貫通し、上側タンク18bにかしめ固定される。これにより、エジェクタ固定板54を上側タンク18bにろう付け前に仮固定できる。
上側タンク18b内の右側空間28の上下方向の略中央部には仕切り板56が配置されている。仕切り板56は、図5に示すように、上側タンク18bの長手方向に延びる全体として概略板状の部材であり、上側タンク18bの内壁面にろう付けされる。
上側タンク18b内の右側空間28は、図6に示すように、仕切り板56によってさらに上下方向の2つの空間、すなわち、上側空間28aと下側空間28bとに仕切られている。
仕切り板56の長手方向端部のうち、キャピラリチューブ17aの出口端部側の端部(図6中の右端部)は上方へ向かって直角に屈曲した屈曲部56aが形成され、屈曲部56aの先端部から上方へ突出する爪部56bが形成される。爪部56bは上側タンク18bの上面のスリット状穴部57(図6参照)を貫通して上側タンク18bにかしめ固定される。
これにより、仕切り板56を上側タンク18bに対してろう付け前に仮固定できる。また、仕切り板56の屈曲部56aとキャピラリチューブ17aの出口端部との間に、図6に示す所定の間隔を設定することにより、キャピラリチューブ17aの出口端部は右側空間28の下側空間(冷媒分配側空間)28bに連通する。
仕切り板56の長手方向端部のうち、エジェクタ固定板54側の端部(図6の左端部)には下方へ向かって直角に屈曲した屈曲部56dが形成され、屈曲部56dはエジェクタ固定板54および上側タンク18bのチューブ側半割れ部材40に接触して、両者54、40にろう付けされる。
エジェクタ14の長手方向の先端部(ディフューザ部14dの出口部)は、エジェクタ固定板54の円筒部54a内を貫通して上側タンク18b内の右側空間28の上側空間28a内に突き出して、ディフューザ部14dの出口部が上側空間28a内に直接連通する。
仕切り板56には、屈曲部56dに隣接して下方への円弧状凹部56eが形成され、円弧状凹部56e上にエジェクタ14のディフューザ部14dの出口側下部が嵌合し、更に、円弧状凹部56eに連続してガイド部56fが仕切り板56に形成されている。ガイド部56fは傾斜円弧形状であり、ディフューザ部14dの出口部から流出する冷媒流れをスムースにガイドするものである。
上側タンク18b内の右側空間28の上側空間28aは連通穴部58(図6参照)を介して第1蒸発器15の上側タンク15bの右側空間(冷媒分配側空間)32に連通している。連通穴部58は、図6に示すように、タンク長手方向に沿って複数個(図示の例では4個)形成される。
連通穴部58は、図7に示すように、2つの上側タンク15b、18bの結合部に形成されるものである。より具体的には、2つの上側タンク15b、18bのチューブ側半割れ部材40のうち略W字状断面の中央部に形成される平板面60と、2つの上側タンク15b、18bの反チューブ側半割れ部材41のうち略M字状断面の中央部に形成される平板面61とをろう付けにより接合するに際して、反チューブ側半割れ部材41の平板面61に上方への凹形状を複数形成して、凹形状とチューブ側半割れ部材40の平板面60とで囲まれてできる空間によって連通穴部58が形成される。
図3は、接続ブロック23のエジェクタ挿入用穴部45および介在プレート44の円筒部46の穴形状(主通路側開口部49)を通過してエジェクタ14を上側タンク18bの内部に挿入した(差し込んだ)状態を示しており、エジェクタ14の挿入作業終了後に、接続ブロック23のエジェクタ挿入用穴部45内にプラグ63の外周面の雄ネジ63aをエジェクタ挿入用穴部45の内周面の雌ネジに螺合する。
プラグ63はその外側端面に工具係止用の六角形状等の係止凹部63b(図3参照)を有し、そして、雄ネジ63aよりも先端側外周面にOリング29cを配置し、Oリング29cを接続ブロック23のエジェクタ挿入用穴部45の内周面に弾性的に圧接することにより、プラグ63とエジェクタ挿入用穴部45との間をシールするようになっている。
一方、上側タンク18b内の右側空間28の下側空間28bの上下方向の略中央部には冷媒貯留板64(図6参照)が配置されている。冷媒貯留板54は上側タンク18bの内壁面にろう付けされる部材であり、断面山形にて上側タンク18bの長手方向に延びる板状部材である。冷媒貯留板64の断面山形の頂部には、矩形状に打ち抜かれた穴部64aが上側タンク18bの長手方向に複数個設けられている。
下側空間28bは図6に示すように複数のチューブ21bの上端開口部へ冷媒を分配する分配側タンク空間部を構成している。そこで、冷媒貯留板64はその断面山形形状の両側部に形成される谷部65(図7参照)にキャピラリチューブ17aからの気液2相冷媒の液冷媒を溜めて、液冷媒を複数の矩形状穴部54aから落下させ、複数のチューブ21bの上端開口部へ冷媒を均一に分配する。
なお、図9に示すように接続ブロック23において蒸発器15、18のタンク15b、18bと反対側面(外側面)のうち、冷媒入口25と冷媒出口26との中間部位には2つのネジ穴66が開けてあり、ネジ穴66を使用して、冷凍サイクル部品、具体的には、温度式膨張弁13と接続ブロック23とをネジ止め結合できるようになっている。
また、本実施形態において、キャピラリチューブ17a、接続ブロック23、介在プレート44、エジェクタ固定板54、仕切り板56および冷媒貯留板64はいずれも蒸発器15、18と一体ろう付けされる部品であるため、蒸発器部品(チューブ21a、21b、フィン22、タンク部15b、15c、18b、18c等)と同様にアルミニウム材にて成形される。
以上のごとく構成される一体化ユニット20全体の冷媒流路をより具体的に説明する。
まず、図2の接続ブロック23の冷媒入口25は主通路25aと分岐通路16とに分岐される。主通路25aの冷媒は介在プレート44の円筒部46内側の主通路側開口部49を通過したのち、プラグ63(図3参照)およびエジェクタ14(ノズル部14a→混合部14c→ディフューザ部14d)を通過して減圧され、減圧後の低圧冷媒は風下側に位置する第2蒸発器18の上側タンク18b内の右側空間28の上側空間28aに流入する。
その後、冷媒は複数個の連通穴部58を経て矢印aのように風上側に位置する第1蒸発器15の上側タンク15bの右側空間32に流入する。
右側空間32の冷媒は風上側熱交換コア部15aの右側部の複数のチューブ21aに分配され、複数のチューブ21aを矢印bのように下降して下側タンク15c内の右側部に流入する。下側タンク15c内には仕切板が設けてないので、下側タンク15cの右側部から冷媒は矢印cのように左側部へと移動する。
下側タンク15cの左側部の冷媒は風上側熱交換コア部15aの左側部の複数のチューブ21aを矢印dのように上昇して上側タンク15bの左側空間31に流入し、さらに、ここから冷媒は矢印eのように接続ブロック23の冷媒出口26へと流れる。
これに対し、接続ブロック23の分岐通路16の冷媒はまずキャピラリチューブ17aを通過して減圧され、減圧後の低圧冷媒(気液2相状態の冷媒)は矢印fのように第2蒸発器18の上側タンク18bの右側空間28の下側空間28bに流入する。
下側空間28bに流入した冷媒のうち液冷媒は一旦、冷媒貯留板56の山形形状の左右両側に位置する谷部65(図7参照)に溜まり、冷媒貯留板64の山形形状の頂部付近の矩形状穴部54aから液冷媒が溢れ出て下方へ落下する。
矩形状穴部54aから落下した液冷媒を含む気液2相冷媒は風下側熱交換コア部18aの右側部の複数のチューブ21bを矢印gのように下降して下側タンク18c内の右側部に流入する。下側タンク18c内には仕切板が設けてないので、下側タンク18cの右側部から冷媒は矢印hのように左側部へと移動する。
下側タンク18cの左側部の冷媒は風下側熱交換コア部18aの左側部の複数のチューブ21bを矢印iのように上昇して上側タンク18bの左側空間27に流入する。左側空間27にエジェクタ14の冷媒吸引口14bが連通しているので、左側空間27内の冷媒は冷媒吸引口14bからエジェクタ14内に吸引される。
なお、本実施形態の一体化ユニット20の製造方法は、上記特許文献1の一体化ユニットの製造方法と同様であるため、その説明を省略する。
次に、本実施形態のチューブ21a、21bの構造の詳細について図10〜図13を参照して説明する。図10は、チューブ21a、21bを示す斜視図である。図11は図10中のチューブ21a(21b)のD矢視図である。
チューブ21a、21bは、それぞれ、押し出し成形によって成形されたチューブである。チューブ21a、21bの内部には、複数の仕切り壁70が設けられている。複数の仕切り壁70は、チューブ21a、21bの内部空間を複数の冷媒通路穴71に区分けしている。なお、図11のチューブ21a、21bには、6個の冷媒通路穴71が設けられている。
ここで、熱交換コア部15aを構成するチューブ21aの本数と熱交換コア部18aを構成するチューブ21bの本数とは、同一である。チューブ21aの長手方向の寸法とチューブ21bの長手方向の寸法とは同一である。
図11のチューブ21a、21bの空気流れ方向Aに対して直交する直交方向をBとし、チューブ21aの空気流れ方向Aの寸法をh1とし、直交方向Bの寸法をb1とする。そして、チューブ21bの空気流れ方向Aの寸法をh2とし、直交方向Bの寸法をb2とし、複数のチューブ21aの共振周波数をf1とし、複数のチューブ21bの共振周波数をf2とする。さらに、後述するように、f1<f2であるときには1.2<f2/f1<1.4を満足し、f1>f2であるときには1.2<f1/f2<1.4を満足するように、複数のチューブ21aの寸法h1、および複数のチューブ21bの寸法h2が設定されている。
次に、本実施形態の一体化ユニット20の作動について図12、図13を参照して説明する。図12は、一体化ユニット20の振動の発生のメカニズムを示す図である。図13(a)は、縦軸をイナータンス(m/s^2/N)とし、横軸を周波数とするグラフG1、Ga、Gbを示している。グラフG1は、複数のチューブ21a、21bのイナータンス、グラフGaは複数のチューブ21aのイナータンス、グラフGbは複数のチューブ21bのイナータンスを示している。複数のチューブ21a、21bは、複数のチューブ21aと複数のチューブ21bとを合わせたものである。図13(b)は、複数のチューブ21aの振動の位相α1、および複数のチューブ21bの振動の位相α2を示している。
まず、主通路25aの冷媒が、上述の如く、エジェクタ14(ノズル部14a→混合部14c→ディフューザ部14d)を通過する際に(図12中ステップ200)、冷媒の流れに起因してタンク部18bに振動が発生する(ステップ201)。このタンク部18bに発生した振動が熱交換コア部15a、15bに伝わる。このため、熱交換コア部15aを構成する複数のチューブ21aと熱交換コア部15bを構成する複数のチューブ21bとがそれぞれ振動する(ステップ202、203)。したがって、複数のチューブ21aと複数のチューブ21bとが発音源として騒音を発生する(ステップ204)。
例えば、チューブ21a、21bが同一構造を有している場合、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とが同一になる。このため、複数のチューブ21a、21bのイナータンスと、共振周波数との関係において、複数のチューブ21a、21bのイナータンスは、上記共振周波数で、最大値になる。このため、上記共振周波数における騒音は非常に大きくなる。
これに対し、本実施形態では、複数のチューブ(風下チューブ)21bの共振周波数f2が例えば5kHzである場合、複数のチューブ(風上チューブ)21aの共振周波数f1を5.5kHz〜6.0kHzの範囲内に設定する。つまり、f1>f2であるときには1.1<f1/f2<1.2を満足するように、複数のチューブ21aと複数のチューブ21bとを設定する。一方、複数のチューブ21aの共振周波数f1が例えば5kHzである場合、複数のチューブ21bの共振周波数f2を5.5kHz〜6.0kHzの範囲内に設定する。つまり、f1<f2であるときには1.1<f2/f1<1.2を満足するように、複数のチューブ21aと複数のチューブ21bとを設定する。
これにより、共振周波数f1および共振周波数f2の間の範囲では、複数のチューブ21aの振動の位相α1および複数のチューブ21bの振動の位相α2の間に位相差(図13(b)参照)が生じる。これに伴い、当該位相差によって、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動とが互いに相殺される。なお、図13(b)では、上記範囲以外の周波数域では、複数のチューブ21aの振動の位相α1と複数のチューブ21bの振動の位相α2とが同一になっている例を示している。
例えば、図13(a)のグラフGa、Gbから分かるように、複数のチューブ21aのイナータンスは、共振周波数f1で最大値になり、複数のチューブ21bのイナータンスは、共振周波数f2で最大値になる。これに伴い、複数のチューブ21a、21bのイナータンスは、共振周波数f1、f2でピーク値になるものの、上述の如く、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動とが互いに相殺されるので、共振周波数f1、f2の間でボトム値を有することになる。
ここで、チューブ21a、21bの共振周波数をfとし、チューブ21a、21bのヤング率をEとし、チューブ21a、21bの断面二次モーメントIとし、チューブ21a、21bの長さをLとし、チューブ21a、21bの質量をmとすると、次の数1の式が成立する。但し、断面二次モーメントIは、空気流れ方向に直交する面を中立面とする。
このため、共振周波数fは、I
1/2に比例する。チューブ21aの断面二次モーメントをI1とし、チューブ21bの断面二次モーメントをI2とする。そして、チューブ21a、21bのヤング率Eが同一であり、チューブ21a、21bの長さLが同一であり、チューブ21a、21bの質量mが同一であるとする。
この場合、1.1<f1/f2<1.2が成立する場合には、1.21<I1/I2<1.44が成立する(図5参照)。或いは、1.1<f2/f1<1.2が成立する場合には、1.21<I2/I1<1.44が成立する。つまり、f1<f2であるときには1.21<I2/I1<1.44が成立し、f2<f1であるときには1.21<I1/I2<1.44が成立する。
ここで、I1/I2(或いは、I2/I1)の範囲を規定する数値としては、
図5に示す「1.21」、「1.44」の小数点2桁の値を省略して次のようにしてもよい。すなわち、f1>f2であるときには1.2<I1/I2<1.4が成立し、f2>f1であるときには1.2<I2/I1<1.4が成立するようにチューブ21a、21bの断面二次モーメントの範囲を設定してもよい。
次に、チューブ21a、21bにおいて、空気流れ方向の大きさをhとし、空気流れ方向に対する直交方向の寸法をbとすると、次の数2の式が成立する。
ここで、チューブ21aにおいて空気流れ方向の寸法をh1とすると、チューブ21bにおいて空気流れ方向の寸法をh2とする。このため、寸法bが一定であるとする。そして、Iはh
3に比例する。このため、1.21<I1/I2<1.44を成立する場合には、1.06<h1/h2<1.12が成立する。或いは、1.21<I2/I1<1.44が成立する場合には、1.06<h2/h1<1.12が成立する。
そこで、本実施形態では、f1>f2であるときには1.06<h1/h2<1.12が成立し、f1<f2であるときには1.06<h2/h1<1.12が成立するように、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とが設定されている。
以上説明した本実施形態によれば、一体化ユニット20は、空気流れ方向Aの上流側に配置されて空気と冷媒との間で熱交換するチューブ21aと、空気流れ方向Aの下流側に配置されて空気と冷媒との間で熱交換する複数のチューブ21bとを備える。チューブ21a、21bにおいて互いに剛性が相違することにより、チューブ21a、21bを非対称の形状にすることができる。このため、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とがオフセットして、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動の間の位相差によって、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動とが相殺する。したがって、パッキンやマスダンパーを追加することなく、振動を低減させることができる。これにより、部品点数の増加を抑えつつ、振動、ひいては騒音を低減することができる。
本実施形態では、f1>f2であるときには1.21<I1/I2<1.44が成立し、f1<f2であるときには1.21<I2/I1<1.44が成立することにより、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とが互いに相違する。具体的には、f1>f2であるときには1.06<h1/h2<1.12が成立し、f1<f2であるときには1.06<h2/h1<1.12が成立するように、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とが設定されている。本実施形態では、断面二次モーメントI1、I2は、空気流れ方向に直交する面を中立面とする。
これにより、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とをオフセットする。これにより、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動の間の位相差によって、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動とが相殺することができる。これにより、騒音を低減することができる。
図16に縦軸を騒音減衰度(dB(A))と横軸をh1/h2としたグラフを示す。ここで、騒音減衰度(dB(A))は、数3の式で表される。
数3中のE1は、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とを同一に設定した場合に複数のチューブ21a、21bから発生する可聴周波数の音の強さである。数3中のE2は、本実施形態の複数のチューブ21a、21bから発生する可聴周波数の音の強さである。
このようなに図16のグラフG2から分かるように、f1>f2であるときには1.06<h1/h2<1.12が成立する場合には、騒音減衰度(dB(A))が約5〜約9.8になる。つまり、複数のチューブ21a、21bから発生する可聴周波数の音の騒音を大きく低減することができる。
また、本実施形態では、f1<f2であるときには1.06<h2/h1<1.12が成立するように、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とが互いに相違するように設定されている。このため、複数のチューブ21a、21bから発生する可聴周波数の音の騒音を大きく低減することができる。
また、本実施形態において、チューブ21a、21bの共振周波数fは、断面二次モーメントIが小さくなるほど低くなる。このため、チューブ21a、21bのうち断面二次モーメントIが小さい方のチューブを乗員に近い風下側に配置することにより、より大きな騒音効果を得ることができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とをオフセットするために、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とを互いに相違するように設定した例について説明したが、これに代えて、本第2実施形態では、次のようにする。
すなわち、本実施形態では、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とをオフセットするために、チューブ21aの質量とチューブ21bの質量とを互いに相違するように設定する。
具体的には、チューブ21a、21bの質量をmとし、チューブ21a、21bの共振周波数をfとしたときには、上記数1の式から分かるように、fは、(m1/2)に反比例する。
ここで、チューブ21aの質量をm1とし、チューブ21bの質量をm2とする。そして、チューブ21a、21bのヤング率Eが同一であり、チューブ21a、21bの長さLが同一であるとする。
この場合、1.1<f1/f2<1.2が成立する場合には、1.21<m2/m1<1.44が成立する。或いは、1.1<f2/f1<1.2が成立する場合には、1.21<m1/m2<1.44が成立する。
そこで、本実施形態では、f2>f1であるときには1.21<m1/m2<1.44が成立し、f1>f2であるときには1.21<m2/m1<1.44が成立するように、チューブ21aの質量とチューブ21bの質量とを相違させるように設定されている。
ここで、m1/m2(或いは、m2/m1)の範囲を規定する数値としては、
「1.21」、「1.44」の小数点2桁の値を省略して次のようにしてもよい。すなわち、本実施形態では、f2>f1であるときには1.2<m1/m2<1.4が成立し、f1>f2であるときには1.2<m2/m1<1.4が成立するように、チューブ21a、21bの質量の範囲を設定しもよい。
これにより、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とがオフセットして、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動の間の位相差によって、複数のチューブ21aの振動と複数のチューブ21bの振動とが相殺する。
図17に縦軸を騒音減衰度(dB(A))と横軸をm1/m2としたグラフを示す。ここで、騒音減衰度(dB(A))は、上記数3の式で表される。但し、本実施形態の数3中のE2は、本実施形態の複数のチューブ21a、21bから発生する可聴周波数の音の強さである。
このようなに図17のグラフG3から分かるように、f1<f2であるときには1.2<m1/m2<1.4が成立する場合には、騒音減衰度(dB(A))が約4〜約9.8になる。つまり、複数のチューブ21a、21bから発生する可聴周波数の音の騒音を大きく低減することができる。
また、本実施形態では、f1>f2であるときには1.2<m2/m1<1.4が成立するように、チューブ21aの質量とチューブ21bの質量とが互いに相違するように設定されている。このため、f1>f2の場合と同様に、複数のチューブ21a、21bから発生する可聴周波数の音の騒音を大きく低減することができる。
以上により、上記第1実施形態と同様に、パッキンやマスダンパーを追加することなく、振動、ひいては騒音を低減させることができる。これにより、部品点数の増加を抑えつつ、振動、ひいては騒音を低減することができる。
また、本実施形態において、チューブ21a、21bの共振周波数fは、質量が大きいほど低くなる。このため、チューブ21a、21bのうち質量が大きい方のチューブを乗員に近い風下側に配置することにより、より大きな騒音効果を得ることができる。
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、チューブ21aの空気流れ方向Aの寸法h1とチューブ21bの空気流れ方向Aの寸法h2とを相違させることにより、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とを相違させるようにした例について説明したが、次の(1)、(2)のようにしてもよい。
(1)チューブ21aの空気流れ方向Aに対する直交方向の寸法b1とチューブ21bの空気流れ方向Aに対する直交方向の寸法b2とを相違させることにより、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とを相違させてもよい。
ここで、本実施形態のチューブ21a、21bは、第1、第2の蒸発器15、18を構成している。そして、チューブ21a、21bのうち風上側に配置されるチューブ(以下、風上側チューブという)には、風下側に配置されるチューブ(以下、風下側チューブという)よりも気体冷媒が多く流れる。このため、チューブ21a、21bのうち冷媒通路の断面積が大きい方のチューブを空気の流れ方向Aの風上側に配置することにより、冷媒の流れの圧力損失を低減することができる。
(2)チューブ21a、21bの冷媒流路内にインナーフィンを配置した構造のチューブを用いた場合に、チューブ21a、21bのインナーフィンとして互いに異なる形状のものを用いる。これにより、チューブ21aの剛性とチューブ21bの剛性とを相違させることができる。
また、上記第2実施形態では、図18に示すように、チューブ21a(21b)とフィン22a(22b)からなる熱交換コア部15a(18a)において、チューブ21aの質量とチューブ21bの質量とを相違させることにより、複数のチューブ21aの共振周波数と複数のチューブ21bの共振周波数とをオフセットする例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
図19に示すように、2つのチューブ21a(21b)の間に蓄冷材を収納する蓄冷ケース150a(150b)を配置した熱交換コア部15a(18a)において、熱交換コア部15aの蓄冷ケース150aの質量と熱交換コア部18aの蓄冷ケース150bの質量とを相違させる。
つまり、熱交換コア部15aの蓄冷ケース150aの質量と熱交換コア部18aの蓄冷ケース150bの質量とを相違させることにより、蓄冷ケース150a付きのチューブ21aの質量と蓄冷ケース150b付きのチューブ21bの質量とを相違させることになる。
この場合も、蓄冷ケース150a、150bのうち質量が大きい方の蓄冷ケースが付いたチューブを乗員に近い風下側に配置することにより、より大きな騒音効果を得ることができる。
上記第1、第2の実施形態では、エジェクタ14および第1、第2の蒸発器15、18を一体化した一体化ユニット20を本発明の熱交換器とした例について説明したが、これに代えて、エジェクタ14を備えない熱交換器を本発明の熱交換器としてもよい。
上記第1、第2の実施形態では、熱冷媒として冷媒と空気との間で熱交換する熱交換器(一体化ユニット20)について説明したが、これに代えて、冷媒以外の熱冷媒と空気との間で熱交換する熱交換器を本発明の熱交換器としてもよい。
上記第1、第2の実施形態では、空気流れ方向Aの上流側に配置される複数のチューブ21aに流通させる熱冷媒、および空気流れ方向Aの下流側に配置される複数のチューブ21bに流通させる熱媒体として、共通の冷媒を用いた例について説明したが、これに代えて、複数のチューブ21aに流通させる熱冷媒、および複数のチューブ21bに流通させる熱媒体として、互いに相違する熱媒体を用いてもよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。