JP5991271B2 - エジェクタ式冷凍サイクル - Google Patents

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本発明は、エジェクタを備えるエジェクタ式冷凍サイクルに関する。
従来、冷媒減圧手段としてエジェクタを備える冷凍サイクル装置であるエジェクタ式冷凍サイクルが知られている。この種のエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタのノズル部から噴射される高速度の噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器から流出した冷媒を吸引し、エジェクタの昇圧部(ディフューザ部)にて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させて圧縮機の吸入側へ流出させる。
従って、エジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタの昇圧部における冷媒昇圧作用を利用して圧縮機の消費動力を低減させることができ、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機の吸入冷媒圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
さらに、特許文献1には、エジェクタ式冷凍サイクルとして蓄冷手段を備えるものが開示されている。この種の蓄冷手段を備える冷凍サイクル装置では、圧縮機の作動時に冷却対象流体を冷却すると同時に蓄冷手段に冷熱を蓄えておくことができるので、圧縮機を一時的に停止させなければならない時にも、蓄冷手段に蓄えられた冷熱によって冷却対象流体を冷却することができる。
特開2009−229014号公報
ところで、エジェクタ式冷凍サイクルに適用されるエジェクタでは、噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口から冷媒を吸引することで、ノズル部にて冷媒を減圧させる際の運動エネルギの損失を回収し、回収した運動エネルギをディフューザ部にて圧力エネルギへ変換している。従って、ノズル部へ流入させる冷媒流量を増加させて噴射冷媒の流速を高速化させることで、ディフューザ部における冷媒昇圧量を増加させることができる。
つまり、エジェクタ式冷凍サイクルでは、圧縮機の冷媒吐出能力を増加させて、噴射冷媒の流速を高速化させるに伴って、上述したエジェクタを備えることによるCOP向上効果を得やすくなる。その一方で、圧縮機の冷媒吐出能力を減少させて、噴射冷媒の流速を低下させてしまうと、ディフューザ部における冷媒昇圧量が減少してしまうため、COP向上効果を充分に得られなくなってしまうことがある。
また、蓄冷手段は、圧縮機の作動時に充分な冷熱を蓄冷させておかないと、圧縮機の停止時に冷却対象流体を、必要とされる時間に亘って充分に冷却することができない。従って、蓄冷手段を備える冷凍サイクル装置では、圧縮機の作動時に、冷却対象流体を冷却するために必要な冷却能力のみならず、蓄冷手段に充分な冷熱を蓄冷させるために必要な冷却能力を発揮できるように、圧縮機の冷媒吐出能力を制御しなければならない。
ところが、圧縮機の冷媒吐出能力を不必要に増加させてしまうと、圧縮機の停止時に蓄冷手段が発揮可能な冷却能力に対して、圧縮機の作動時における消費動力の増加割合が大きくなってしまうので、圧縮機の作動時におけるCOPが悪化してしまう。つまり、蓄冷手段を備える冷凍サイクル装置では、圧縮機の作動時におけるCOPの悪化を招かないように、圧縮機の冷媒吐出能力を適切に制御しなければならない。
以上の如く、エジェクタ式冷凍サイクルにおいてCOPを向上させるために適切な圧縮機の制御態様、および蓄冷手段を備える冷凍サイクル装置においてCOPを向上させるために適切な圧縮機の制御態様は、互いに異なっている。
しかしながら、特許文献1には、蓄冷手段を備えるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、エジェクタを備えることによるCOP向上効果を充分に得つつ、COPを悪化させないように蓄冷手段に冷熱を蓄冷させるための圧縮機の制御態様が開示されていない。換言すると、特許文献1には、蓄冷手段を備えるエジェクタ式冷凍サイクルのCOPを向上させるための圧縮機の制御態様が開示されていない。
本発明では、上記点に鑑み、蓄冷手段を備えるエジェクタ式冷凍サイクルの成績係数(COP)を向上させることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機(11)から吐出された高圧冷媒を放熱させる放熱器(12)と、放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させるノズル部(15a)から噴射する高速度の噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(15c)から冷媒を吸引し、噴射冷媒と冷媒吸引口(15c)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧部(15d)にて昇圧させるエジェクタ(15)と、冷媒吸引口(15c)へ吸引される吸引側低圧冷媒および昇圧部(15d)から流出した流出側低圧冷媒のうち一方の低圧冷媒と冷却対象流体とを熱交換させて、一方の低圧冷媒を蒸発させることによって冷却対象流体を冷却する蒸発器(16、18)と、吸引側低圧冷媒および流出側低圧冷媒のうちいずれかの低圧冷媒の有する冷熱を蓄えるとともに、冷熱によって冷却対象流体を冷却する蓄冷手段(19)と、圧縮機(11)の冷媒吐出能力を制御する吐出能力制御手段(21a)とを備え、
さらに、冷却対象流体を最大冷却能力で冷却する際に、圧縮機(11)に要求される冷媒吐出能力を基準冷媒吐出能力としたときに、
吐出能力制御手段(21a)は、基準冷媒吐出能力よりも高い冷媒吐出能力を発揮するように圧縮機(11)を作動させる作動モードと圧縮機(11)の作動を停止させる停止モードとを交互に切り替えることによって、圧縮機(11)の冷媒吐出能力を制御するエジェクタ式冷凍サイクルを特徴としている。
これによれば、吐出能力制御手段(21a)が、作動モード時に、基準冷媒吐出能力よりも高い冷媒吐出能力を発揮するように、圧縮機(11)を作動させるので、ノズル部(15a)へ流入させる冷媒流量を増加させて、昇圧部(15d)における冷媒昇圧量を増加させることができる。従って、作動モード時には、エジェクタ式冷凍サイクルに高いCOPを発揮させることができる。
さらに、作動モード時には、圧縮機(11)が基準冷媒吐出能力よりも高い冷媒吐出能力を発揮しているので、冷却対象流体を冷却するために必要な冷却能力に対して余剰の冷却能力によって、蓄冷手段(19)に充分な冷熱を蓄冷させることができる。つまり、作動モード時に、COPの悪化を招くことなく、蓄冷手段(19)に充分な冷熱を蓄冷させることができる。
これにより、停止モード時に、蓄冷手段(19)に蓄冷された冷熱によって、冷却対象流体を必要とされる時間に亘って充分に冷却することができ、作動モードへの切り替え頻度(すなわち、圧縮機(11)を作動させる頻度)を低下させることができる。その結果、本請求項に記載の発明によれば、蓄冷手段(19)を備えるエジェクタ式冷凍サイクルのCOPを向上させることができる。
なお、本請求項における最大冷却能力とは、冷却対象流体を冷却するためにエジェクタ式冷凍サイクルに要求される冷却能力の最大値である。従って、基準冷媒吐出能力は、圧縮機(11)の耐久性能や他のサイクル構成機器の耐圧性能等から決定される最大吐出能力とは異なる値であり、この最大吐出能力より低い値となる。
また、本請求項における蒸発器(16、18)は、吸引側低圧冷媒および流出側低圧冷媒のうち、いずれの低圧冷媒を蒸発させるものであってもよい。さらに、蓄冷手段(19)に蓄えられる冷熱を有する低圧冷媒は、蒸発器(16、18)にて冷却対象空間と熱交換する側の一方の低圧冷媒であってもよいし、蒸発器(16、18)にて冷却対象空間と熱交換しない側の他方の低圧冷媒であってもよい。
なお、この欄および特許請求の範囲に記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態のノズル部へ流入させる冷媒流量の変化に対するエジェクタの冷媒昇圧量およびエジェクタ式冷凍サイクルのCOPの変化を示すグラフである。 第1実施形態の圧縮機の冷媒吐出能力の変化を示すタイムチャートである。 第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。
(第1実施形態)
図1〜図3を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、空調対象空間である車室内に送風される送風空気を冷却する機能を果たす。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の冷却対象流体は、送風空気である。
図1の全体構成図に示すエジェクタ式冷凍サイクル10において、圧縮機11は、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで昇圧して吐出するものである。具体的には、本実施形態の圧縮機11は、1つのハウジング内に固定容量型の圧縮機構、および圧縮機構を駆動する電動モータを収容して構成された電動圧縮機である。
この圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用することができる。電動モータは、後述する空調制御装置21から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)等を採用してもよい。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11の吐出口側には、放熱器12の冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12aにより送風される車室外空気(外気)を熱交換させて、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。冷却ファン12aは、空調制御装置21から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
放熱器12の冷媒出口側には、放熱器12から流出した冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧させる冷媒減圧手段としての膨張弁13の入口側が接続されている。膨張弁13は、蒸発器ユニット20出口側冷媒(より具体的には、流出側蒸発器16出口側冷媒)の温度および圧力に基づいて蒸発器ユニット20出口側冷媒の過熱度を検出する感温部13aを有し、蒸発器ユニット20出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準範囲内となるように機械的機構によって絞り開度(冷媒流量)を調整する温度式膨張弁である。
膨張弁13の出口側には、蒸発器ユニット20の冷媒流入口側が接続されている。蒸発器ユニット20は、図1において破線で囲まれたサイクル構成機器(具体的には、分岐部14、エジェクタ15、流出側蒸発器16、固定絞り17、吸引側蒸発器18、および蓄冷剤容器19)を一体的に構成したものである。
まず、蒸発器ユニット20を構成する各構成機器について説明する。分岐部14は、膨張弁13から蒸発器ユニット20へ流入した冷媒の流れを分岐するものである。具体的には、この分岐部14は、3つの流入出口を有する三方継手構造のもので、3つの流入出口のうち1つを冷媒流入口とし、残りの2つを冷媒流出口としたものである。さらに、分岐部14の冷媒流入口は、蒸発器ユニット20全体としての冷媒流入口を構成している。
このような分岐部14は、管径の異なる配管を接合して形成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けて形成してもよい。また、分岐部14の一方の冷媒流出口には、エジェクタ15のノズル部15aの入口側が接続され、分岐部14の他方の冷媒流出口には、固定絞り17の入口側が接続されている。
エジェクタ15は、分岐部14の一方の冷媒流出口から流出した冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる冷媒減圧手段の機能を果たすとともに、高速度で噴射される冷媒流の吸引作用によって冷媒を吸引(輸送)して循環させる冷媒循環手段(冷媒輸送手段)としての機能を果たすものである。
より具体的には、エジェクタ15は、ノズル部15aおよびボデー部15bを有して構成されている。ノズル部15aは、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る略円筒状の金属(例えば、ステンレス合金)等で形成されており、内部に形成された冷媒通路(絞り通路)にて冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるものである。
ノズル部15aの内部に形成された冷媒通路としては、冷媒通路面積が最も縮小した喉部が形成され、さらに、この喉部から冷媒を噴射する冷媒噴射口へ向かって冷媒通路面積が徐々に拡大する末広部が形成されている。つまり、ノズル部15aは、ラバールノズルとして構成されている。さらに、本実施形態では、ノズル部15aとして、冷媒噴射口から噴射される噴射冷媒の流速が音速以上となるように設定されたものが採用されている。もちろん、ノズル部15aを先細ノズルで構成してもよい。
ボデー部15bは、略円筒状の金属(例えば、アルミニウム)あるいは樹脂で形成されており、内部にノズル部15aを支持固定する固定部材として機能するとともに、エジェクタ15の外殻を形成するものである。より具体的には、ノズル部15aは、ボデー部15bの長手方向一端側の内部に収容されるように圧入にて固定されている。従って、ノズル部15aとボデー部15bとの固定部(圧入部)から冷媒が漏れることはない。
また、ボデー部15bの外周面のうち、ノズル部15aの外周側に対応する部位には、その内外を貫通してノズル部15aの冷媒噴射口と連通するように設けられた冷媒吸引口15cが形成されている。この冷媒吸引口15cは、ノズル部15aから噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、後述する吸引側蒸発器18から流出した冷媒をエジェクタ15の内部へ吸引する貫通穴である。
さらに、ボデー部15bの内部には、冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒をノズル部15aの冷媒噴射口側へ導く吸引通路、および、冷媒吸引口15cから吸引通路を介してエジェクタ15の内部へ流入した吸引冷媒と噴射冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部としてのディフューザ部15dが形成されている。
吸引通路は、ノズル部15aの先細り形状の先端部周辺の外周側とボデー部15bの内周側との間の空間に形成されており、吸引通路の冷媒通路面積は、冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。これにより、吸引通路を流通する吸引冷媒の流速を徐々に増加させて、ディフューザ部15dにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
ディフューザ部15dは、吸引通路の出口に連続するように配置されて、冷媒通路面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させながら、その流速を減速させて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力を上昇させる機能、すなわち、混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する機能を果たす。
より具体的には、本実施形態のディフューザ部15dを形成するボデー部15bの内周壁面の断面形状は、複数の曲線を組み合わせて形成されている。そして、ディフューザ部15dの冷媒通路断面積の広がり度合が冷媒流れ方向に向かって徐々に大きくなった後に再び小さくなっていることで、冷媒を等エントロピ的に昇圧させることができる。
ディフューザ部15dの出口側には、流出側蒸発器16の冷媒入口側が接続されている。流出側蒸発器16は、ディフューザ部15dから流出した流出側低圧冷媒と送風ファン16aにより送風された送風空気とを熱交換させ、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する吸熱用熱交換器である。
送風ファン16aは、空調制御装置21から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。さらに、流出側蒸発器16の冷媒出口側には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。従って、流出側蒸発器16の冷媒出口は、蒸発器ユニット20全体としての冷媒流出口を構成している。
続いて、分岐部14の他方の冷媒流出口に接続される固定絞り17は、その下流側に接続された吸引側蒸発器18に流入する冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる冷媒減圧手段の機能を果たすとともに、吸引側蒸発器18へ流入する冷媒の流量調整を行う流量調整手段としての機能を果たすものである。この固定絞り17としては、キャピラリチューブ、オリフィス、ノズル等を採用することができる。
吸引側蒸発器18は、固定絞り17にて減圧された吸引側低圧冷媒と送風ファン16aにより送風されて流出側蒸発器16通過後の送風空気とを熱交換させて、冷媒を蒸発させることによって送風空気をさらに冷却する吸熱用熱交換器である。吸引側蒸発器18の冷媒出口側には、エジェクタ15の冷媒吸引口15c側が接続されている。
さらに、本実施形態の吸引側蒸発器18には、少なくとも相転移温度が後述する第2基準温度KT2(本実施形態では、2℃)より高く、かつ、第1基準温度KT1(本実施形態では、10℃)より低い蓄冷剤(具体的には、パラフィン)が封入された複数の蓄冷剤容器19が一体化されている。
この蓄冷剤容器19は、圧縮機11の作動時には吸引側蒸発器18を流通する吸引側低圧冷媒の有する冷熱を蓄えるとともに、圧縮機11の作動停止時には蓄えた冷熱によって送風空気を冷却する冷熱を蓄冷する蓄冷手段である。
次に、蒸発器ユニット20を構成する各構成機器の一体化について説明する。本実施形態では、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18として、それぞれ冷媒を流通させる複数本のチューブと、この複数のチューブの両端側に配置されてチューブを流通する冷媒の集合あるいは分配を行う一対の集合分配用タンクとを有する、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器を採用している。
そして、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18の集合分配用タンクを同一部材にて形成することによって、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18を一体化している。この際、流出側蒸発器16が吸引側蒸発器18に対して送風空気流れ上流側に配置されるように、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18を送風空気流れに対して直列に配置している。従って、送風空気は図1の破線矢印で示すように流れる。
また、エジェクタ15については、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18のいずれかの集合分配用タンクの内部あるいは外部にろう付けにより接合されて一体化されている。つまり、本実施形態のエジェクタ15、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18は、エジェクタ15のボデー部15bの外周面の一部と集合分配用タンクの一部が接触した状態で一体化されている。
また、分岐部14および固定絞り17については、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18にろう付け等の接合手段あるいはボルト締め等の機械的係合手段によって一体化されている。
また、蓄冷剤容器19は、吸引側蒸発器18の複数のチューブの少なくとも一部にろう付け等の手段によって接合されている。これにより、吸引側蒸発器18および蓄冷剤容器19は、吸引側蒸発器18のチューブを流通する吸引側低圧冷媒と蓄冷剤容器19の蓄冷剤との間で熱移動可能に一体化されている。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置21は、CPU、ROM、RAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、12a、16a等の作動を制御する。
また、空調制御装置21には、車室内温度を検出する内気温センサ、外気温を検出する外気温センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、吸引側蒸発器18の蒸発器温度Tefinを検出する蒸発器温度検出手段としての蒸発器温度センサ、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度センサ、放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力センサ等のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
なお、本実施形態の蒸発器温度センサは、吸引側蒸発器18の熱交換フィン温度を検出しているが、蒸発器温度センサとして、吸引側蒸発器18のその他の部位の温度を検出する温度検出手段を採用してもよい。
さらに、空調制御装置21の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の空調制御装置21は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、空調制御装置21のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御手段を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が吐出能力制御手段21aを構成している。
次に、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、蓄冷手段である蓄冷剤容器19を備えているので、圧縮機11を作動させた際には、送風空気を冷却することができるだけでなく、蓄冷剤容器19の蓄冷剤に冷熱を蓄冷剤に蓄えることができる。従って、圧縮機11を停止させた際に、蓄冷剤に蓄えられた冷熱によって送風空気を冷却することができる。
そこで、本実施形態の空調制御装置21は、吸引側蒸発器18の蒸発器温度Tefinが、予め定めた第1基準温度KT1(本実施形態では、10℃)以上となった際に圧縮機11を作動させる作動モードへ切り替え、蒸発器温度Tefinが、予め定めた第2基準温度KT2(本実施形態では、2℃)以下となった際に圧縮機11を停止させる停止モードに切り替える。
さらに、作動モードでは、送風空気を最大冷却能力で冷却する際に、圧縮機11に要求される冷媒吐出能力を基準冷媒吐出能力としたときに、この基準冷媒吐出能力よりも高い冷媒吐出能力を発揮するように圧縮機11を作動させる。
ここで、基準冷媒吐出能力とは、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の圧縮機11を連続的に作動させ、さらに、送風ファン16aが送風可能な最大風量の送風空気を、最低冷却温度(例えば、1℃)まで冷却する際に、圧縮機11に要求される冷媒吐出能力等と定義することができる。
つまり、基準冷媒吐出能力は、圧縮機11が耐久性能等から決定される最大吐出能力とは異なる値であって、この最大吐出能力より低い値となる。また、上述した最低冷却温度は、吸引側蒸発器18の着霜を防止可能な冷媒蒸発温度から決定することができる。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、操作パネルの空調作動スイッチが投入(ON)されると、空調制御装置21が、各種制御対象機器12a、16aを作動させる。この際、吸引側蒸発器18の蒸発器温度Tefinが、第1基準温度KT1以上となっている場合は、作動モードとなり、空調制御装置21が圧縮機11を作動させる。
これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒は、放熱器12へ流入し、冷却ファン12aから送風された送風空気(外気)と熱交換し、放熱して凝縮する。放熱器12から流出した冷媒は、膨張弁13にて中間圧冷媒となるまで減圧されて蒸発器ユニット20へ流入する。
この際、膨張弁13の絞り開度は、蒸発器ユニット20出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定範囲内となるように調整される。蒸発器ユニット20内へ流入した中間圧冷媒の流れは、分岐部14にて分岐され、エジェクタ15のノズル部15a側へ流れる冷媒流れと、固定絞り17側へ流れる冷媒流れとに分流される。
なお、ノズル部15aへ流入する冷媒流量Gnozと固定絞り17へ流入する冷媒流量Geとの流量比Ge/Gnozは、ノズル部15aおよび固定絞り17の流量特性(減圧特性)によって決定される。さらに、この流量比Ge/Gnozは、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18の双方の蒸発器にて適切な冷凍能力を発揮して、サイクル全体として高い成績係数(COP)を発揮できるように決定されている。
分岐部14からエジェクタ15のノズル部15a側へ流入した冷媒は、ノズル部15aにて、等エントロピ的に減圧膨張され、ノズル部15aの冷媒噴射口から高速度の冷媒流となって噴射される。そして、この噴射冷媒の吸引作用により、吸引側蒸発器18から流出した冷媒が、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。
ノズル部15aから噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口15cより吸引された吸引冷媒は、ディフューザ部15dへ流入する。ディフューザ部15dでは噴射冷媒と吸引冷媒が混合されるとともに、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換されて、冷媒の圧力が上昇する。
ディフューザ部15dから流出した冷媒は、流出側蒸発器16へ流入する。流出側蒸発器16では、ディフューザ部15dから流出した冷媒が送風ファン16aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。流出側蒸発器16から流出した気相冷媒は、蒸発器ユニット20から流出する。蒸発器ユニット20から流出した冷媒は、圧縮機11に吸入されて、再び圧縮される。
一方、分岐部14から固定絞り17側へ流出した冷媒は、固定絞り17で等エンタルピ的に減圧膨張されて、吸引側蒸発器18へ流入する。吸引側蒸発器18へ流入した冷媒は、流出側蒸発器16通過後の送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気がさらに冷却されて車室内へ送風されるとともに、蓄冷剤容器19内の蓄冷剤が冷却されて蓄冷される。吸引側蒸発器18から流出した冷媒は、冷媒吸引口15cからエジェクタ15内へ吸引される。
次に、操作パネルの空調作動スイッチが投入(ON)された状態で、吸引側蒸発器18の蒸発器温度Tefinが、第2基準温度KT2以下となっている場合は、停止モードとなり、空調制御装置21が圧縮機11を停止させる。停止モードでは、送風ファン16aから送風された送風空気が、吸引側蒸発器18の空気通路を通過する際に、蓄冷剤容器19の蓄冷剤に蓄えられた冷熱によって冷却される。
以上の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、作動モード時に、送風空気を流出側蒸発器16→吸引側蒸発器18の順に通過させて冷却している。この際、ディフューザ部15dの昇圧作用によって、流出側蒸発器16の冷媒蒸発温度が吸引側蒸発器18の冷媒蒸発温度よりも上昇しているので、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18の冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を確保して、効率的に送風空気を冷却できる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、蒸発器ユニット20の冷媒流出口側(具体的には、流出側蒸発器16の冷媒流出口側)を圧縮機11の吸入側に接続しているので、エジェクタ15のディフューザ部15dで昇圧された冷媒を圧縮機11に吸入させることができる。その結果、作動モード時には、圧縮機11の吸入圧を上昇させて、圧縮機11の駆動動力を低減させることができ、COPを向上させることができる。
ここで、本実施形態のエジェクタ15では、噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口から冷媒を吸引することで、ノズル部15aにて冷媒を減圧させる際の運動エネルギの損失を回収し、回収した運動エネルギをディフューザ部15dにて圧力エネルギへ変換している。
従って、ノズル部15aへ流入させる冷媒流量Gnozを増加させて噴射冷媒の流速を高速化させることで、ディフューザ部15dにおける昇圧量を増加させることができる。つまり、エジェクタ式冷凍サイクル10では、図2に示すように、ノズル部15aへ流入させる冷媒流量Gnozを増加させて、噴射冷媒の流速を高速化させるに伴って、上述したエジェクタ15を備えることによるCOP向上効果を得やすくなる。
これに対して、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、作動モード時に、空調制御装置21の吐出能力制御手段21aが、基準冷媒吐出能力よりも高い冷媒吐出能力を発揮するように、圧縮機11を作動させている。
従って、基準冷媒吐出能力で圧縮機11を作動させる場合よりも、エジェクタ15のノズル部15aへ流入する冷媒流量Gnozを増加させて、ディフューザ部15dにおける冷媒昇圧量を増加させることができる。その結果、作動モード時には、図2に示すように、基準冷媒吐出能力で圧縮機11を作動させる場合よりも、エジェクタ式冷凍サイクル10のCOPを向上させることができる。
さらに、作動モード時には、圧縮機11が基準冷媒吐出能力よりも高い冷媒吐出能力を発揮しているので、送風空気を冷却するために必要な冷却能力に対して余剰の冷却能力によって、蓄冷剤容器19内の蓄冷剤に充分な冷熱を蓄冷させることができる。つまり、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、作動モード時に、COPの悪化を招くことなく、蓄冷剤容器19内の蓄冷剤に充分な冷熱を蓄冷させることができる。
これにより、停止モード時に、蓄冷剤容器19内の蓄冷剤に蓄冷された冷熱によって、送風空気を充分に冷却できるとともに、図3に示すように、基準冷媒吐出能力で圧縮機11を作動させた場合よりも、長時間に亘って送風空気を充分に冷却することができる。つまり、停止モードの継続時間を長くして、作動モードへの切り替え頻度(すなわち、圧縮機11を作動させる頻度)を低下させることができる。
なお、図3では、本実施形態の制御による圧縮機11の冷媒吐出能力の変化を太実線で示し、作動モード時の冷媒吐出能力を基準冷媒吐出能力とした時の圧縮機11の冷媒吐出能力の変化を太破線で示している。
従って、吸引側蒸発器18の蒸発器温度Tefinが第1基準温度KT1以上になった際に作動モードへ切り替え、蒸発器温度Tefinが第2基準温度KT2以下になった際に停止モードへ切り替える制御を行うことによって、不必要に作動モードへ切り替えられてしまうことを抑制でき、圧縮機11の消費動力を効果的に低減させることができる。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、圧縮機11の消費動力を効果的に低減させて、COPを大きく向上させることができる。なお、本発明者らの検討によれば、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒減圧手段としてエジェクタを備えていない通常の冷凍サイクル装置に対して、約30%のCOPの向上が確認されている。
ところで、従来、一般的な冷凍サイクル装置に適用される蓄冷手段は、圧縮機を作動させることができない場合等に、補助的に冷却対象流体(送風空気)を冷却するための冷熱源として利用されていた。これに対して、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、圧縮機11として電力が供給可能な環境であれば連続的な作動が可能な電動圧縮機を採用しているにもかかわらず、停止モード時には圧縮機11の作動を停止させている。
つまり、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、蓄冷手段を、エジェクタ式冷凍サイクルのCOP向上効果を増加させるために利用しているという点で、冷凍サイクル装置に適用される蓄冷手段の新たな活用態様を開示している。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、蓄冷剤として、相転移温度が第2基準温度より高く、かつ、第1基準温度より低いものを採用している。従って、相変化に伴う潜熱分を蓄冷量とすることができ、蓄冷手段の大型化を抑制できる。
また、本実施形態の蒸発器ユニット20では、エジェクタ15のボデー部15bの外周面の一部が、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18の集合分配用タンクの一部に接触した状態で一体化されている。このため、ノズル部15aから高速度で冷媒を噴射するエジェクタ15の振動が、流出側蒸発器16あるいは吸引側蒸発器18に伝達されて、大きな作動音を発生させてしまうことが懸念される。
これに対して、本実施形態の吸引側蒸発器18には、蓄冷剤容器19がろう付け接合されているので、吸引側蒸発器18の剛性を高めることができ、エジェクタ15の振動に起因する作動音を抑制できる。
なお、本実施形態では、吸引側蒸発器18に蓄冷剤容器19を一体化させた例を説明したが、もちろん、流出側蒸発器16に蓄冷剤容器19を一体化させてもよいし、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18の双方に蓄冷剤容器19を一体化させてもよい。また、本実施形態では、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18の双方を設けた例を説明したが、流出側蒸発器16を廃止してもよい。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図4に示すように、エジェクタ式冷凍サイクル10の構成を変更した例を説明する。なお、図4では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、分岐部14、流出側蒸発器16を廃止するとともに、エジェクタ15のディフューザ部15dの下流側に冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄えるアキュムレータ22を設けている。
さらに、膨張弁13の出口側にエジェクタ15のノズル部15aの入口側が接続され、アキュムレータ22の液相冷媒流出口側に固定絞り17を介して吸引側蒸発器18の冷媒流入口側が接続され、アキュムレータ22の気相冷媒流出口側に圧縮機11の吸入口側が接続されている。なお、本実施形態においても、エジェクタ15および吸引側蒸発器18を、第1実施形態と同様に一体化してもよい。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のようにエジェクタ式冷凍サイクル10を構成しても、第1実施形態と同様に作動させることで、圧縮機11の消費動力を効果的に低減させることができ、COPを大きく向上させることができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図5に示すように、エジェクタ式冷凍サイクル10の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、エジェクタ15のディフューザ部15dの出口側に分岐部14の冷媒流入口側が接続され、分岐部14の一方の冷媒流出口に流出側蒸発器16の冷媒入口側が接続され、さらに、分岐部14の他方の冷媒流出口に固定絞り17を介して吸引側蒸発器18の冷媒流入口側が接続されている。なお、本実施形態においても、エジェクタ15、流出側蒸発器16、吸引側蒸発器18等を、第1実施形態と同様に蒸発器ユニット20として一体化してもよい。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のようにエジェクタ式冷凍サイクル10を構成しても、第1実施形態と同様に作動させることで、圧縮機11の消費動力を効果的に低減させることができ、COPを大きく向上させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、圧縮機11として電動圧縮機を採用した例を説明したが、もちろん、圧縮機11としてプーリ、ベルト等を介して内燃機関(エンジン)から伝達された回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機を採用してもよい。このようなエンジン駆動式の圧縮機としては、吐出容量を変化させることによって冷媒吐出能力を調整可能な可変容量型圧縮機等を採用することができる。
さらに、エンジン駆動式の圧縮機を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10を、エンジンおよび車両走行用電動モータの双方から車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両の車両用空調装置に適用してもよい。
ハイブリッド車両では、車両走行負荷に応じてエンジンを作動あるいは停止させるため、エンジン駆動式の圧縮機を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10をハイブリッド車両の車両用空調装置に適用すると、蒸発器(流出側蒸発器16あるいは吸引側蒸発器18)の蒸発器温度に応じて、作動モードと停止モードとを切り替えることができない。従って、停止モードから作動モードへの切り替え頻度を低下させにくくなるものの、作動モード時に、COPを向上させることができる。
また、上述の実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル10を車両用空調装置に適用した例を説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。例えば、上述の実施形態で説明したエジェクタ式冷凍サイクル10を、定置用の冷凍サイクル装置(冷蔵・冷凍装置、空調装置)等に適用してもよい。
(2)上述の実施形態で説明した作動モードと停止モードとの切り替え制御の適用は、冷却対象流体を冷却するために用いられるエジェクタ式冷凍サイクルであって、蓄冷手段を備えるものであれば、各種サイクル構成のものに適用可能である。
また、エジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器として、例えば、上述の実施形態に開示されたエジェクタ式冷凍サイクル10に対して、放熱器12から流出した冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、分離された液相冷媒を膨張弁13の入口側へ流出させる受益器(レシーバ)を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、圧縮機11吐出冷媒と外気とを熱交換させる熱交換部からなるものを採用した例を説明したが、放熱器12として、圧縮機11吐出冷媒と外気とを熱交換させて圧縮機11吐出冷媒を凝縮させる凝縮部、この凝縮部から流出した冷媒の気液を分離するモジュレータ部、およびモジュレータ部から流出した液相冷媒と外気とを熱交換させて液相冷媒を過冷却する過冷却部を有して構成される、いわゆるサブクール型の凝縮器を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、エジェクタ15のノズル部15a等の構成部材を金属で形成した例を説明したが、それぞれの構成部材の機能を発揮可能であれば材質は限定されない。つまり、これらの構成部材を樹脂にて形成してもよい。また、上述の実施形態では、膨張弁13を採用した例を説明したが、膨張弁13を廃止してもよい。さらに、膨張弁13として電気式膨張弁を採用してもよい。また、上述の第2、第3実施形態において、固定絞り17を廃止してもよい。
(3)上述の実施形態では、蒸発器温度センサによって検出された吸引側蒸発器18の蒸発器温度Tefinに基づいて、作動モードと停止モードとの切り替え制御を行う例を説明したが、作動モードと停止モードとの切り替え制御は、これに限定されない。
例えば、吸引側蒸発器18から吹き出される送風空気の温度や、吸引側蒸発器18内の冷媒温度のように、吸引側蒸発器18の蒸発器温度Tefinに相関を有する物理量を検出する検出手段を備え、この検出手段によって検出された検出値に基づいて、同様の切り替え制御を行ってもよい。さらに、作動モード時であれば、蒸発器温度Tefinに相関を有する物理量として吸引側蒸発器18内の冷媒蒸発圧力を用いてもよい。
また、蓄冷剤容器19を流出側蒸発器16に一体化させる場合は、流出側蒸発器16の蒸発器温度に相関を有する物理量に基づいて、同様の切り替え制御を行えばよい。蓄冷手段と蒸発器とを別体に構成する場合は、蓄冷手段の温度に基づいて、同様の切り替え制御を行ってもよい。
(4)上述の実施形態では、蓄冷手段として、相転移温度が第2基準温度KT2より高く、かつ、第1基準温度KT1より低いパラフィンを封入した蓄冷剤容器19を採用した例を説明したが、蓄冷手段はこれに限定されない。例えば、蓄冷手段として金属ブロック等を採用してもよい。
(5)上述の実施形態では、蓄冷手段である蓄冷剤容器19を吸引側蒸発器18に一体化させた例を説明したが、もちろん、蓄冷手段と蒸発器とを別体で構成してもよい。この場合は、低圧冷媒の流通経路に蓄冷手段を配置し、送風空気の通風経路を切り替え可能とすればよい。そして、作動モード時には蓄冷手段と送風空気とを熱交換させない通風経路に切り替え、停止モード時には蓄冷手段と送風空気とを熱交換させる通風経路に切り替えるようにすればよい。
(6)上述の実施形態では、エジェクタ15と各蒸発器16、18が、少なくとも一部が互いに接触した状態で一体化された例を説明したが、例えば、金属製の冷媒配管やブラケット等の剛体を介して接続された状態で一体化されていても、蓄冷剤容器19を各蒸発器16、18に一体化することの作動音抑制効果を得ることができる。
(7)上述の第1実施形態では、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18によって同一の空調対象空間(車室内)を冷却しているが、流出側蒸発器16および吸引側蒸発器18を蒸発器ユニット20として一体化することなく、別体として構成して異なる空調対象空間を冷却するようにしてもよい。
(8)上述の実施形態では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用した例を説明したが、冷媒の種類はこれに限定されない。例えば、炭化水素系冷媒、二酸化炭素等を採用してもよい。さらに、本発明のエジェクタ式冷凍サイクルを高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルとして構成してもよい。
11 圧縮機
12 放熱器
15 エジェクタ
15a ノズル
15c 冷媒吸引口
15d ディフューザ部
16 流出側蒸発器
18 吸引側蒸発器
19 蓄冷剤容器
21a 吐出能力制御手段

Claims (8)

  1. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機(11)から吐出された高圧冷媒を放熱させる放熱器(12)と、
    前記放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させるノズル部(15a)から噴射する高速度の噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(15c)から冷媒を吸引し、前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(15c)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧部(15d)にて昇圧させるエジェクタ(15)と、
    前記冷媒吸引口(15c)へ吸引される吸引側低圧冷媒および前記昇圧部(15d)から流出した流出側低圧冷媒のうち一方の低圧冷媒と冷却対象流体とを熱交換させて、前記一方の低圧冷媒を蒸発させることによって前記冷却対象流体を冷却する蒸発器(16、18)と、
    前記吸引側低圧冷媒および前記流出側低圧冷媒のうちいずれかの低圧冷媒の有する冷熱を蓄えるとともに、前記冷熱によって前記冷却対象流体を冷却する蓄冷手段(19)と、
    前記圧縮機(11)の冷媒吐出能力を制御する吐出能力制御手段(21a)とを備え、
    さらに、前記冷却対象流体を最大冷却能力で冷却する際に、前記圧縮機(11)に要求される冷媒吐出能力を基準冷媒吐出能力としたときに、
    前記吐出能力制御手段(21a)は、前記基準冷媒吐出能力よりも高い冷媒吐出能力を発揮するように前記圧縮機(11)を作動させる作動モードと前記圧縮機(11)の作動を停止させる停止モードとを交互に切り替えることによって、前記圧縮機(11)の冷媒吐出能力を制御することを特徴とするエジェクタ式冷凍サイクル。
  2. 前記蓄冷手段(19)は、前記吸引側低圧冷媒および前記流出側低圧冷媒のうち、一方の低圧冷媒の有する冷熱を蓄える蓄冷剤を有し、
    前記蓄冷手段(19)および前記蒸発器(16、18)は、前記一方の低圧冷媒と前記蓄冷剤との間で熱移動可能に一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  3. 前記吐出能力制御手段(21a)は、前記蒸発器(16、18)の蒸発器温度(Tefin)が予め定めた第1基準温度(KT1)以上になった際に前記作動モードへ切り替え、前記蒸発器(16、18)の蒸発器温度(Tefin)が予め定めた第2基準温度(KT2)以下になった際に前記停止モードへ切り替えることを特徴とする請求項2に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  4. 前記蓄冷剤として、相転移温度が前記第2基準温度より高く、かつ、前記第1基準温度より低いものが採用されていることを特徴とする請求項3に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  5. 前記エジェクタ(15)および前記蒸発器(16、18)は、少なくとも一部が互いに接触した状態で、一体化されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  6. 前記エジェクタ(15)および前記蒸発器(16、18)は、剛体を介して接続された状態で、一体化されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  7. 前記蒸発器として、前記吸引側低圧冷媒を蒸発させる吸引側蒸発器(18)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  8. 前記蒸発器として、前記流出側低圧冷媒を蒸発させる流出側蒸発器(16)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
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