以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態以降において、既に説明された実施形態の構成と同一若しくは類似する構成については、既に説明された実施形態の構成と同一の符号を付すことがあり、また、説明を省略することがあるものとする。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す模式図である。図1において、紙面上方及び下方は、鉛直方向の上方及び下方に対応し、紙面左右方向は水平方向に対応している。また、以下において、紙面左側(後述するプランジャ9がキャビティ105に向かう方向)を前方、その反対側(紙面右側)を後方ということがある。
ダイカストマシン1は、例えば、固定金型101及び移動金型103の型締めを行う不図示の型締装置と、型締された固定金型101及び移動金型103により形成されたキャビティ105内に溶湯を射出する射出装置3と、キャビティ105内の溶湯が凝固して形成されたダイカスト品を移動金型103若しくは固定金型101から押し出す不図示の押出装置と、これら各装置を制御するための制御装置5とを有している。なお、制御装置5は、射出装置3等の各装置の一部を構成していると捉えられてもよい。
射出装置3は、例えば、キャビティ105に通じるスリーブ7と、スリーブ7内の溶湯をキャビティ105へ押し出すためのプランジャ9と、プランジャ9を駆動可能な液圧式の射出シリンダ11と、射出シリンダ11に作動液(例えば油)を供給する液圧回路13と、プランジャ9の後退限を規定するストッパ機構15とを有している。
スリーブ7は、例えば、概ね円筒状の部材であり、その軸方向を水平方向に一致させて配置されている。スリーブ7の上面には、スリーブ7内に溶湯を供給するための給湯口(供給口)7aが形成されている。給湯口7aの水平方向における位置は、スリーブ7の中途の適宜な位置とされている。
プランジャ9は、スリーブ7内を摺動可能なプランジャチップ9aと、プランジャチップ9aに固定され、スリーブ7の後方へ延び出るプランジャロッド9bとを有している。なお、プランジャチップ9a及びプランジャロッド9bは、互いに一体形成されることにより、互いに固定されていてもよい。後述するその他の部材の固定についても同様である。
射出シリンダ11は、シリンダ部17と、シリンダ部17に移動可能に保持されるピストン部19とを有している。
シリンダ部17は、概ね円筒状の部材である。ピストン部19は、シリンダ部17内を摺動可能なピストン本体21と、ピストン本体21に固定され、シリンダ部17から前方へ延び出るピストンロッド23とを有している。
シリンダ部17の内部は、ピストン本体21によって、ピストンロッド23が延び出る側のロッド側室17rと、その反対側のヘッド側室17hとに区画されている。そして、ヘッド側室17h又はロッド側室17rへ選択的に作動液が供給されることにより、ピストン本体21はシリンダ部17に対して前方又は後方へ移動する。
ピストン本体21は、ストッパ機構15等による移動規制を受けない状態においては、2点鎖線で示すように、前進限Lfと後退限Lbとの間で移動可能である。前進限Lf及び後退限Lbは、ピストン本体21がシリンダ部17に対して前後方向において当接することにより、その移動が規制される位置である。なお、シリンダ部17のうち、前進限Lf又は後退限Lbにおいてピストン本体21に当接する部分は、シリンダ部17の端面部分であってもよいし、シリンダ室内に設けられたストッパであってもよい。
射出シリンダ11は、プランジャ9と同軸状に配置されている。そして、プランジャロッド9bとピストンロッド23とは継手25により連結されている。従って、ピストン本体21の前後進により、プランジャチップ9aは前後進する。
スリーブ7の長さ、射出シリンダ11のストローク、及び、スリーブ7と射出シリンダ11との位置関係は、射出シリンダ11の駆動によって、プランジャチップ9aを給湯口7aよりも後方の位置から給湯口7aよりも前方の位置へ移動させることが可能であれば、適宜に設定されてよい。好適には、ピストン本体21が後退限Lbに位置するとき、プランジャチップ9aは、スリーブ7の後方端部に先端側の一部が挿入される位置Pbに位置し、ピストン本体21が前進限Lfよりも少し手前に位置するとき、プランジャチップ9aは、適宜なビスケット厚が確保される位置Pfに位置する。
液圧回路13は、特に図示しないが、タンク、ポンプ、アキュムレータ、複数の制御弁を有して構成されている。そして、液圧回路13は、例えば、ヘッド側室17h及びロッド側室17rの一方のシリンダ室へ作動液を供給するとともに、他方のシリンダ室の圧抜きを行い、射出シリンダ11を駆動する。
ストッパ機構15は、ピストン部19に対して後方から直接又は間接に当接することにより、ピストン部19が後退限Lbに至る前にピストン部19の後退を規制するためのものである。本実施形態では、ストッパ機構15は、継手25の後端面に当接(係合)して、ピストン部19の後退を規制している。
制御装置5は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、を含んで構成されている。制御装置5は、入力された各種の入力信号に基づいて、各部を制御するための制御信号を出力する。
制御装置5に信号を入力するのは、例えば、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置27、プランジャ9の位置を検出する位置センサ31、射出シリンダ11のヘッド側室17h等の圧力を検出する不図示の圧力センサである。制御装置5が信号を出力するのは、例えば、ユーザに情報を表示する表示器29、液圧回路13である。
位置センサ31は、例えば、シリンダ部17に対するピストン部19の位置を検出するものであり、プランジャ9の位置を間接的に検出するものである。なお、位置センサ31は、プランジャ9の位置を直接に検出するものであってもよい。位置センサ31は、例えば、ピストンロッド23に固定され若しくは形成され、ピストンロッド23の軸方向に延びる不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。
図2(a)は、ストッパ機構15の詳細を説明する模式図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における断面図である。
プランジャロッド9bは、後端にプランジャ側フランジ9cを有している。また、ピストンロッド23は、前端にピストン側フランジ23cを有している。継手25は、例えば、プランジャ側フランジ9cとピストン側フランジ23cとの間に介在するスペーサ35と、これらフランジ及びスペーサ35を覆うカバー37とを有している。
ストッパ機構15は、継手25に当接するストッパ41と、ストッパ41の前後方向(紙面左右方向)の位置を調整可能にストッパ41を支持する支持機構43とを有している。
ストッパ41は、例えば、端部がU字状に形成された板状の部材である。従って、ストッパ41は、継手25(カバー37)の後端面に対して、比較的広い面積で当接可能であり、また、左右均等に当接可能である。
支持機構43は、例えば、ねじ軸45と、ねじ軸45に螺合する第1ナット47及び第2ナット49を有している。
ねじ軸45は、その軸方向を前後方向に一致させて配置され、例えば、前後方向の移動及び軸回りの回転を含む、全ての移動が規制されている。また、ねじ軸45は、例えば、ストッパ41に形成された不図示の孔に挿通されている。第1ナット47は、ストッパ41の後方において、ねじ軸45に螺合され、ストッパ41に直接若しくは座金等を介して間接に当接している。第2ナット49は、ストッパ41の前方において、ねじ軸45に螺合され、ストッパ41に直接若しくは座金等を介して間接に当接している。
従って、ストッパ41は、第1ナット47及び第2ナット49により前後方向の両側から締め付けられて、前後方向の位置が規制されている。また、ストッパ41は、第1ナット47及び第2ナット49をねじ軸45に対して回転させて、これらナットのねじ軸45における位置を調整することにより、前後方向の位置が調整される。
ストッパ41の前後方向の位置の調整可能範囲(ねじ軸45の雄ねじ部の範囲)は、適宜に設定されてよい。好適には、前方の限界位置は、プランジャチップ9aを給湯口7aに後方から隣接させることができるように設定され、後方の限界位置は、ピストン本体21が後退限Lb若しくはその直前に到達することができるように設定されている。
ダイカストマシン1(特に射出装置3)の動作の概要は、以下のとおりである。
まず、制御装置5は、不図示の型締装置を駆動して、固定金型101及び移動金型103の型締めを行う。型締が完了すると、制御装置5は、不図示の給湯装置を制御して、給湯口7aからスリーブ7内へ溶湯を供給する。
このとき、図1に示すように、継手25は、ストッパ機構15に当接しており、プランジャチップ9aは、ストッパ機構15により規定される待機位置に位置している。射出シリンダ11に対する作動液の流入出は、ピストン部19が前進しないように適宜に制御されている。例えば、射出シリンダ11は、ピストン部19を後退させる方向の力を生じるように液圧が付与されている。具体的には、例えば、ヘッド側室17hは、タンクに接続されて、その圧力はタンク圧とされており、ロッド側室17rは、不図示のポンプにより比較的低圧の液圧が付与されている。
次に、制御装置5は、射出シリンダ11を駆動して、プランジャチップ9aを前進させる。具体的には、例えば、制御装置5は、ロッド側室17rをタンク圧とし、ヘッド側室17hに作動液を供給するように液圧回路13を制御する。これにより、スリーブ7内の溶湯は、キャビティ105に射出され、さらには、キャビティ105に射出された溶湯は、所定の鋳造圧力まで増圧される。なお、適宜に公知の変速制御及び増圧制御がなされてよい。
そして、制御装置5は、射出シリンダ11の駆動力により、鋳造圧力を維持する保圧を行う。この間に、キャビティ105内の溶湯は冷却して凝固する。これにより、ダイカスト品(成形品)が形成される。なお、制御装置5は、一定の時間の経過等により、溶湯が凝固し、ダイカスト品が形成されたと判定する。
ダイカスト品が形成されると、制御装置5は、不図示の型締装置を駆動して型開きを行うとともに、不図示の押出装置を駆動して固定金型101又は移動金型103からダイカスト品を押し出す。この際、射出装置3は、ビスケットの押し出しに利用されてよい。
その後、制御装置5は、射出シリンダ11を駆動して、プランジャ9の後退を行う。具体的には、例えば、制御装置5は、ヘッド側室17hをタンク圧とし、ロッド側室17rに不図示のポンプから作動液を供給するように液圧回路13を制御する。
なお、このときロッド側室17rに付与される液圧は、プランジャチップ9aの摺動抵抗に抗して速やかにプランジャ9を後退させることができるように、比較的高くされる。例えば、ダイカストマシン1の大きさにもよるが、10t程度の力がプランジャ9に付与されることもある。
そして、プランジャ9は、継手25がストッパ41に衝突することにより、停止する。その後、制御装置5は、位置センサ31の検出値等によってプランジャ9がストッパ41により規定される待機位置にて停止したことを検出すると、ロッド側室17rに付与する液圧を下げる。これにより、射出シリンダ11は、次の成形サイクルの射出に備える待機状態となる。
ダイカストマシン1において、金型交換が行われ、ひいては、1ショットの湯量が変更されると、ストッパ41の前後方向における位置の調整が行われる。例えば、湯量が増えれば、プランジャチップ9aの待機位置はより後方の位置へ変更され、湯量が減少すれば、プランジャチップ9aの待機位置はより前方の位置へ変更される。これにより、スリーブ7及びプランジャチップ9aにより形成される空間の体積は、湯量に適したものとなる。なお、湯量に適したプランジャチップ9aの位置の具体的な算出方法は、特許文献1に記載された方法と同様でよい。
以上の実施形態によれば、射出装置3は、キャビティ105に通じるスリーブ7と、スリーブ7内の溶湯をキャビティ105へ押し出すプランジャ9と、プランジャ9を駆動する射出シリンダ11とを有する。射出シリンダ11は、プランジャ9に連結されたピストン部19、及び、当該ピストン部19を後退限Lbと前進限Lfとの間で移動可能に保持するシリンダ部17を有する。また、射出装置3は、後退限Lbよりも前方に位置するピストン部19に固定された継手25の被当接部(カバー37の後端面)に対して後方から当接することが可能なストッパ41と、ストッパ41の前後方向の位置を調整可能にストッパを支持する支持機構43と、を有する。そして、射出後のプランジャ後退において、ピストン部19は、継手25がストッパ41に衝突することによって後退限Lbよりも前方にて停止する。
従って、プランジャ9の位置決めを好適に行うことができる。例えば、プランジャ9の後退において、射出シリンダ11のヘッド側室17hに作動液を供給してピストン本体21を停止させる必要は無く、制御が簡便であり、また、位置決めの精度も高い。プランジャ9を待機位置にて待機させている間においても、制御の簡便性及び精度向上の効果が奏される。さらに、プランジャ9を待機位置にて待機させている間においてヘッド側室17hに作動液を供給する必要がないことから、射出開始時におけるプランジャの初動は、ピストン本体21を後退限Lbに位置させてプランジャ90を待機させた場合と同様となる。その結果、従来のノウハウを生かしてダイカスト品の品質を向上させることができる。
また、本実施形態では、支持機構43は、前後方向に延び、前後方向の移動及び軸回りの移動が規制されたねじ軸45と、ねじ軸45に螺合するとともに、ストッパの後方への荷重を支持する第1ナット47と、を有する。
従って、支持機構43の構成が簡便である。また、第1ナット47のねじ軸45に対する位置は、後述する第3の実施形態(図4)との比較から理解されるように、連続的に変化させることができる(任意の位置とすることができる)ことから、湯量に応じて算出された所望の待機位置を高精度に実現することができる。
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態に係る射出装置203の要部を示す模式図である。
射出装置203は、ストッパ41が、継手25に当接可能な位置と、当接不可能な位置との間で移動可能とされている点が第1の実施形態の射出装置3と相違する。具体的には、以下のとおりである。
射出装置203のストッパ機構215は、ストッパ41と、ストッパ41を支持する支持機構243とを有している。
支持機構243は、第1の実施形態と同様に、ストッパ41の前後方向(図3の紙面左右方向)の位置を調整可能にストッパ41を支持するために、ねじ軸45、第1ナット47及び第2ナット49を有している。なお、ねじ軸45は、前後方向(軸方向)の移動及び軸回りの回転が規制されている。
さらに、支持機構243は、ねじ軸45を上下方向に案内可能にねじ軸45を前後方向において支持する上下リニアガイド51と、ストッパ41を上下に駆動するエアシリンダ53と、エアシリンダ53を前後方向に案内可能にエアシリンダ53を鉛直方向において支持する水平リニアガイド55とを有している。
上下リニアガイド51は、上下に延びるレール57と、レール57に案内される可動ブロック59とを有している。可動ブロック59は、レール57の延びる方向への移動以外の移動が全て規制されている。ねじ軸45は、可動ブロック59に固定されている。
エアシリンダ53は、シリンダ部61と、シリンダ部61に摺動可能に支持されたピストン部63とを有している。ピストン部63は、シリンダ部61に不図示の空圧回路によってエアが供給されることによって駆動される。なお、エアシリンダ53は、ピストン部63のシリンダ部61に対する移動のうち、一方向の移動のみがエアによって実現され、他方向の移動はばね若しくは重力によって実現されるものであってもよいし、双方の移動ともエアによって実現されるものであってもよい。ストッパ41は、シリンダ部61及びピストン部63の一方(本実施形態ではピストン部63)に固定されている。
水平リニアガイド55は、射出シリンダ11の前後方向に延びるレール65と、レール65に案内される可動ブロック67とを有している。可動ブロック67は、レール65の延びる方向への移動以外の移動が全て規制されている。シリンダ部61及びピストン部63のうちストッパ41に固定されていない方(本実施形態ではシリンダ部61)は、可動ブロック67に固定されている。
以上の第2の実施形態によれば、ストッパ41を、ピストン部19の径方向外側の、継手25に当接不可能な位置へ移動させることができることから、例えば、プランジャ9の交換が容易化される。具体的には、以下のとおりである。
プランジャ9は、スリーブ7を摺動して摩耗することなどから、交換が必要となる。この場合、一般には、まず、ピストン本体21を後退限Lb(図1)に位置させ、ひいては、プランジャチップ9aをスリーブ7の後端の位置Pb(図1)に位置させる。さらに、継手25のスペーサ35を取り外すことにより、プランジャチップ9aをスリーブ7から引き抜く。これにより、プランジャ9を交換することができる。
上記の作業おいて、ピストン本体21を後退限Lbに位置させるために、ストッパ41も後方へ移動させるとすれば、手間である。また、プランジャ9の交換後、再度、ストッパ41の前後方向の位置を調整しなければならない。しかし、ストッパ41を、ピストン部19の径方向外側の、継手25と当接不可能な位置へ移動させることにより、このような不都合が解消される。
また、第2の実施形態によれば、ストッパ41の前後方向の位置の調整も容易化される。すなわち、ストッパ41を下げて継手25と当接しない位置へ移動させることにより、射出シリンダ11の生じる力、及び、ピストン部19の位置に影響を受けずに、ストッパ41の位置を調整することができる。
<第3の実施形態>
図4は、第3の実施形態に係る射出装置303の要部を示す模式図である。
射出装置303は、ストッパ41の前後方向の位置を調整するための機構として、ねじ機構に代えてハーフナットを用いている点、また、ストッパ41の前後方向の位置の調整が自動で行われる点が第1の実施形態と相違する。具体的には、以下のとおりである。
射出装置303のストッパ機構315は、ストッパ41と、ストッパ41の前後方向の位置を調整可能にストッパ41を支持する支持機構343を有している。
支持機構343は、前後方向に延びるバー345と、バー345に形成された被係合部345aに噛み合うハーフナット347と、ハーフナット347を駆動する液圧式(空圧式でもよい)のハーフナット用シリンダ349とを有している。
バー345は、例えば、前後方向の移動を含む、全ての移動が規制されている。被係合部345aは、例えば、バー345の外周面に複数の溝が形成されることにより構成され、その複数の溝の、前後方向における配置範囲は、ハーフナット347の歯の、前後方向における配置範囲よりも広くされている。ハーフナット347は、前後方向においてストッパ41に対して移動不可能にストッパ41に支持されている。
従って、ハーフナット用シリンダ349によってハーフナット347を駆動して、ハーフナット347と被係合部345aとを噛み合わせることにより、ストッパ41は前後方向において位置決めされ、また、その噛み合い位置を調整することにより、ストッパ41の前後方向の位置は調整される。
上記の構成に加え、ストッパ機構315は、第1の実施形態と同様に、ストッパ41を前後方向において案内可能にストッパ41を支持するリニアガイド55と、ストッパ41を前後方向において駆動するための駆動装置365を有している。
駆動装置365は、例えば、回転式の電動機367と、電動機367の回転を並進運動に変換してストッパ41に伝達する変換機構369とを有している。
変換機構369は、例えば、ねじ機構により構成されている。具体的には、変換機構369は、前後方向に延びるねじ軸371と、ねじ軸371に螺合するナット373とを有している。ねじ軸371は、前後方向の移動が規制されるとともに軸回りに回転可能である。ナット373は、ストッパ41(及び可動ブロック67)に固定されるとともに、ねじ軸371の軸回りの回転が規制されている。
従って、電動機367によりねじ軸317が回転されると、ナット373がねじ軸317に沿って移動し、これにより、ストッパ41は前後方向に移動する。
制御装置5は、ハーフナット用シリンダ349及び駆動装置365を制御して、ストッパ41を前後方向に移動させ、また、位置決めする。具体的には、例えば、以下のとおりである。
金型交換に伴って、制御装置5には、入力装置27等を介して交換後の金型の情報(若しくは湯量)が入力される。そして、制御装置5は、湯量及び予め入力されているスリーブ7の形状及び大きさ等の情報に基づいて、プランジャ9の好適な待機位置を算出する。なお、待機位置は、入力装置27等を介して制御装置5に入力されてもよい。
次に、制御装置5は、液圧回路313を介してハーフナット用シリンダ349を駆動して、ハーフナット347を開き、ハーフナット347と被係合部345aとの噛み合いを解除する。
次に、制御装置5は、モータドライバ375を介して電動機367を制御し、算出若しくは入力された待機位置に応じた位置にストッパ41を移動させる。このとき、制御装置5は、ストッパ41の位置を検出する不図示の位置センサの検出結果に基づいてフィードバック制御を行ってよい。なお、フィードバック制御は、継手25をストッパ41に当接させた状態でストッパ41を移動させることにより、位置センサ31の検出値に基づいて行われてもよい。
ストッパ41が目標位置に到達すると、制御装置5は、液圧回路313を介してハーフナット用シリンダ349を駆動して、ハーフナット347を閉じ、ハーフナット347と被係合部345aとを噛み合わせる。なお、このとき、制御装置5は、ハーフナット347と被係合部345aとが適切に噛み合うように、被係合部345aの溝のピッチ未満の大きさで、噛み合い位置の調整を適宜に行ってよい。
第3の実施形態では、ハーフナット347を用いていることから、例えば、プランジャ後退によって生じる比較的大きな力を受けることが容易であり、その一方で、位置調整の自動化が容易である。
<第4の実施形態>
図5(a)は、第4の実施形態に係る射出装置403の要部を示す模式図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における断面図である。
射出装置403は、ストッパがシリンダ部の内部でピストン部に当接する点、及び、ストッパの位置調整機構として、ウォームギア等を利用している点が第1の実施形態の射出装置と相違する。具体的には、以下のとおりである。
射出装置403において、ストッパ441は、概略、軸状に形成されており、射出シリンダ411のシリンダ部417に後方から挿入されている。従って、ストッパ441は、ピストン本体21に対して後方から当接し、ピストン本体21の後退を規制することができる。
なお、ストッパ441の先端は、フランジ441bが形成されるなど、径が大きくされていることが好ましい。これにより、例えば、ストッパ441とピストン本体21との当接を安定化したり、これらの部材に加えられる圧力を低下させてこれらの部材の破損を抑制したりできる。
また、シリンダ部417の後方には、ストッパ441が摺動する、シリンダ部417の本体部分に比較して小径の小径部417bが形成されていることが好ましい。これにより、例えば、ヘッド側室417hからの作動液の漏れを抑制したり、ストッパ441の傾斜を抑制したりすることができる。
射出装置403の、ストッパ441を支持する支持機構443は、例えば、ストッパ441と一体的に形成されたねじ軸471と、ねじ軸471に螺合するウォームホイール−ナット473と、ウォームホイール−ナット473に螺合するウォーム475と、ウォーム475を回転させる電動機367とを有している。
ねじ軸471は、雄ねじを構成しており、前後方向(図5(a)の紙面左右方向)において移動可能に、且つ、軸回りに回転不可能に支持されている。ウォームホイール−ナット473は、ウォームホイールとナットとを組み合わせた部材である。すなわち、ウォームホイール−ナット473は、ねじ軸471に螺合する雌ねじ部473aと、径方向外側へ突出する複数の歯からなる歯部473bとを有している。ウォームホイール−ナット473は、前後方向に移動不可能に且つ軸回りに回転可能に支持されている。ウォーム475は、歯部473bに螺合する雄ねじを構成しており、軸回りに回転可能に支持されている。
従って、電動機367が回転駆動されると、その回転は、ウォーム475、ウォームホイール−ナット473及びねじ軸471によって、並進運動に変換されつつストッパ441に伝達される。また、ピストン本体21がストッパ441に衝突し、ストッパ441に後方への荷重が加えられたときには、ねじ軸471によりウォームホイール−ナット473を回転させるときの抵抗、及び、ウォームホイール−ナット473によりウォーム475を回転させるときの抵抗により、ストッパ441の後方への移動は規制される。
なお、電動機367の駆動は、例えば、第3の実施形態の射出装置303と同様に、制御装置5によって行われる。例えば、制御装置5は、プランジャ9の待機位置を算出し、若しくは、待機位置が入力されると、その待機位置に対応する位置にストッパ441を移動させるように、位置センサ477の検出するストッパ441の位置に基づいて、電動機367をフィードバック制御する。
以上の第4の実施形態では、ウォームギア等を用いていることから、例えば、ハーフナット等の係合装置を設けることなく、プランジャ後退によって生じる比較的大きな力をストッパ441により受けることが容易であり、その一方で、位置調整の自動化が容易である。
また、ピストン部19は、シリンダ部417内にてストッパ441に衝突することから、例えば、ピストン部19とストッパ441との間の作動液の流体抵抗によって、その衝突による衝撃を緩和することができる。
<第5の実施形態>
図6は、第5の実施形態に係る射出装置503の要部を示す模式図である。
第1の実施形態では、図1を参照して説明したように、ピストン本体21が後退限Lbに位置するとき、プランジャチップ9aの先端部分がスリーブ7の後端に挿入された状態(位置Pb参照)となるように、射出シリンダ11等が設けられた。
これに対して、本実施形態の射出装置503では、ピストン本体21が後退限Lbに位置するとき、プランジャチップ9aがスリーブ7から引き抜かれるように(位置Pbbに位置するように)、射出シリンダ11等が設けられている。
成形サイクルにおいて、ピストン本体21が後退限Lbに位置する場合、図1のように、プランジャチップ9aがスリーブ7から引き抜かれないようにする必要がある。これは、プランジャ9等の自重による撓み等の影響から、一度引き抜かれたプランジャチップ9aを射出シリンダ11のみにより円滑に再度スリーブ7へ挿入することは困難なことからである。
一方、本発明のように、ストッパを設けた射出装置においては、成形サイクルにおいてピストン本体21が後退限Lbに位置しないように射出装置を運用することも可能である。この場合、ピストン本体21を後退限Lbに位置させたときに、プランジャ9がスリーブ7から引き抜かれないようにすることは、必ずしも必須ではない。
そこで、射出装置503のように射出シリンダ11等を設けると、例えば、プランジャ9の交換が容易化される。具体的には、スペーサ35(図2(a))は不要であり、スペーサ35を有さない継手525(図6)を使用することにより、スペーサ35の取り外しの手間が省略される。
<第6の実施形態>
図7(a)及び図7(b)は、第6の実施形態に係る射出装置603の要部を示す模式図である。
射出装置603は、図7(a)と図7(b)との比較から理解されるように、給湯口609aの前後方向(図7の紙面左右方向)の位置を変更可能となっている。具体的には、以下のとおりである。
射出装置603のスリーブ607は、上方に開口606aが形成された概ね筒状のスリーブ本体606と、開口606aを塞ぐ上面部材609とを有している。
開口606aは、例えば、前後方向において比較的長く形成されている。上面部材609には、開口606aに重なり、開口606aよりも前後方向の径が小さい給湯口609aが形成されている。また、上面部材609は、スリーブ本体606に対して前後方向に移動(例えば摺動)可能に設けられている。従って、上面部材609の前後方向の位置を調整することにより、給湯口609aの位置を前後方向において調整することができる。
上面部材609は、第1の実施形態のストッパ41等と同様の役割を果たす、ストッパ641と連結されている。従ってストッパ641の前後方向の位置を調整すると、これに連動して給湯口609aの位置が調整される。なお、ストッパ641の支持機構は、他の実施形態の支持機構と同様でよい。
第1の実施形態において、プランジャチップ9aがスリーブ7の比較的後方の位置に待機し、且つ、比較的多い量で溶湯がスリーブ7に供給されると、プランジャチップ9aが溶湯を押しながら給湯口7aに近づくときに、溶湯が給湯口7aから溢れるおそれがある。従って、プランジャチップ9aの待機位置の設定可能範囲は、給湯口7aの位置に対して制限される。一方、本実施形態によれば、ストッパ641の位置調整に連動して給湯口609aの位置調整がなされることから、そのような制限は生じない。その結果、湯量の大きな変化に対しても適切に待機位置を設定することができる。
また、給湯口609aが変更されると、スリーブ本体606の下方側の内面において、注がれる溶湯を受ける部分が変化することになるから、一定の部分が常に溶湯を受けることによって生じるスリーブ本体606の劣化が抑制される。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
上述した実施形態は、適宜に組み合わされてよい。例えば、第2の実施形態(図3)のストッパを上下させる構成(例えばエアシリンダ)は、第3の実施形態(図4)の支持機構に組み合わされてもよいし、また、その上下動は、制御装置によって制御され、自動でストッパの位置を調整する動作に組み入れられてよい。また、例えば、第1〜第3の実施形態の支持機構(特に前後方向の位置調整に係る構成)と、第4の実施形態(図5)のシリンダ部内のストッパとが組み合わされてもよいし、逆に、第4の実施形態のウォームギアを含む支持機構と、第1〜第3の実施形態のシリンダ部外のストッパとが組み合わされてもよい。また、例えば、第5の実施形態(図6)の射出シリンダによりプランジャがスリーブから引き抜かれる構成は、第1〜第4、第6の実施形態のいずれに適用されてもよい。また、例えば、第6の実施形態の給湯口をストッパに連動させて位置調整する構成は、第1〜第5のいずれのストッパ若しくは支持機構と組み合わされてもよい。なお、ストッパが第2の実施形態のように被当接部に当接不可能な位置へ移動可能である場合、上面部材とストッパとは、前後方向における互いの移動が規制される一方で、前後方向に直交する面内の移動等が許容されるようにリニアガイド等により連結されることが好ましい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。換言すれば、成形材料は、溶湯に限定されない。例えば、成形機は、成形材料としての樹脂を射出する射出成形機であってもよい。
また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、横型締縦射出や縦型締縦射出であってもよい。また、横射出において、スリーブは、水平に延びるものに限定されず、水平に傾斜した方向に延びるものであってもよい。
スリーブへの成形材料の供給方法は、スリーブ上面に形成された供給口に成形材料を注ぐ方法に限定されない。例えば、スリーブに通じる管状部材を介して成形材料がスリーブへ供給されてもよい。換言すれば、ダイカストマシンは、コールドチャンバ式のものに限定されず、ホットチャンバ式のものであってもよい。
ストッパの形状、及び、ストッパの支持機構は、実施形態に例示したものに限定されない。例えば、ねじ軸に螺合し、ねじ軸の回転によって前後方向に移動するナット自体がストッパとして機能してもよいし、電動機の回転をストッパに伝達する機構としてラック・ピニオン機構が用いられてもよいし、ストッパを移動させるための駆動源としてリニアモータが用いられてもよい。
ストッパが後方から当接する部材(被当接部を有する部材)は、継手若しくはピストン本体に限定されない。例えば、当該部材は、ピストンロッド(のシリンダ部から延び出た部分)又はプランジャであってもよい。ただし、これらの部材を利用する場合、ストッパが当接するためのフランジ等を形成若しくは固定する必要がある。
ストッパの、被当接部に当接可能な位置と当接不可能な位置との移動は、上下方向の平行移動に限定されない。例えば、水平方向における平行移動であってもよいし、被当接部から離れた位置を中心とする回転移動であってもよい。
ストッパは、後退するプランジャを停止させることのみに利用されるものに限定されない。例えば、前後方向の比較的広い範囲においてストッパを駆動可能な駆動装置を設け、ストッパの前進する力をプランジャの前進に利用してもよい。