JP6039027B1 - エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法 - Google Patents

エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかごの運行とを両立させる。【解決手段】実施形態のエレベータ制御装置は、第1利用者の携帯端末から目的地情報と位置情報とを受信する無線通信部と、第1乗車階の乗り場呼びを自動登録する乗り場呼び自動登録部と、第1利用者が乗り場に近づいたか否かを判定する接近判定部と、第1利用者が乗り場に近づいたと判定される前に第2乗車階の乗り場呼びが登録された場合に、第1乗車階の乗り場呼びの方向と第2乗車階の乗り場呼びの方向と乗りかごの運行方向とが同じであり、かつ、第2乗車階の位置が乗りかごの現在位置と第1乗車階との間であるという応答条件を満たすか否かを判定する応答条件判定部と、応答条件を満たす場合に、第1乗車階の乗り場呼びに応答する前に第2乗車階の乗り場呼びに応答するように乗りかごの運行を制御する運行制御部と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明の実施形態は、エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法に関する。
従来、エレベータの乗り場における利用者の待機時間を短縮させるための制御技術として、携帯端末を用いた行き先(目的地)の指定を受けて利用者の乗車階の乗り場呼びを自動登録し、携帯端末から受信する位置情報をもとに利用者の動向を把握しながら、自動登録した乗り場呼びに応答するように乗りかごの運行を制御する技術が知られている。
しかし、このような従来の制御技術では、目的地を指定した利用者の待機時間が最小となるように最適化制御を行うため、乗りかごの運行が必ずしも効率的とはならず、乗りかごの移動回数が増加して消費電力の増大を招く場合があった。このため、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかごの運行とを両立させることができる新たな制御技術が望まれている。
特許第5283162号公報
本発明が解決しようとする課題は、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかごの運行とを両立させることができるエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法を提供することである。
実施形態のエレベータ制御装置は、無線通信部と、乗り場呼び自動登録部と、接近判定部と、応答条件判定部と、運行制御部と、を備える。無線通信部は、第1利用者の携帯端末から、少なくとも、前記第1利用者が前記携帯端末に建物内の目的地を入力することで生成される目的地情報と、前記第1利用者の現在位置を示す位置情報とを受信する。乗り場呼び自動登録部は、少なくとも前記目的地情報に基づいて、前記第1利用者の乗車階である第1乗車階および前記第1利用者の前記第1乗車階からの移動方向を特定し、前記第1乗車階の乗り場呼びを自動登録する。接近判定部は、少なくとも前記位置情報に基づいて、前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたか否かを判定する。応答条件判定部は、前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたと判定される前に、前記第1乗車階とは異なる第2乗車階で第2利用者が乗り場操作盤を操作することにより乗り場呼びが登録された場合に、前記第1乗車階の乗り場呼びの方向と前記第2乗車階の乗り場呼びの方向と前記第1乗車階の乗り場呼びに応答する乗りかごの運行方向とが同じであり、かつ、前記第2乗車階の位置が、前記乗りかごの現在位置と前記第1乗車階との間であるという応答条件を満たすか否かを判定する。運行制御部は、前記応答条件を満たす場合に、前記第1乗車階の乗り場呼びに応答する前に前記第2乗車階の乗り場呼びに応答するように、前記乗りかごの運行を制御する。
図1は、実施形態で想定するエレベータを説明する模式図である。 図2は、携帯端末の機能的な構成例を示すブロック図である。 図3は、携帯端末に表示される画面の一例を示す図である。 図4は、第1実施形態のエレベータ制御装置の機能的な構成例を示すブロック図である。 図5は、第1実施形態のエレベータ制御装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図6は、第2実施形態のエレベータ制御装置の機能的な構成例を示すブロック図である。 図7は、第2実施形態のエレベータ制御装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図8は、第3実施形態のエレベータ制御装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図9は、第4実施形態のエレベータ制御装置の機能的な構成例を示すブロック図である。 図10は、第4実施形態のエレベータ制御装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下、実施形態のエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態のエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法は、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかごの運行とを両立させることができる新たな制御技術を組み込んだものである。
携帯端末から目的地の情報を受信して乗り場呼びを自動登録する従来の制御技術では、携帯端末に目的地を入力した利用者の乗り場での待機時間を短縮できるものの、他階の乗り場呼びとの関係で、必ずしも乗りかごの運行が効率的にならない場合があった。具体的には、携帯端末に目的地を入力した利用者が乗り場に近づく前に他階で乗り場操作盤の操作による乗り場呼びがあった場合、自動登録した乗り場呼びに応答する前に他階の乗り場呼びに応答した方が乗りかごの運行が効率的であったとしても、自動登録した乗り場呼びに優先的に応答する。このため、乗りかごの移動回数が増加して消費電力の増大を招く場合があった。
そこで、本実施形態では、携帯端末に目的地を入力した利用者が乗り場に近づく前に他階で乗り場操作盤の操作による乗り場呼びがあった場合に、乗りかごの運行が効率的となる所定の応答条件を満たすか否かを判定し、応答条件を満たす場合は、自動登録した乗り場呼びに応答する前に他階の乗り場呼びに応答するように、乗りかごの運行を制御する。これにより、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかごの運行とを両立させることができる。
図1は、実施形態で想定するエレベータを説明する模式図である。エレベータは、複数階を有する建物1に設けられた昇降路2内で乗りかご3を昇降させることにより、乗りかご3に乗車した利用者をある階から別の階へと搬送する搬送手段である。乗りかご3は、ロープ4を介してつり合い重り5と連結されている。そして、巻上機6の駆動によりロープ4が送り動作されることにより、乗りかご3がつり合い重り5とバランスを取りながら昇降路2内を昇降する。巻上機6は、通常は商用電源からの電力供給を受けて駆動するが、停電などにより商用電源からの電力供給が遮断されると、蓄電装置7からの電力供給を受けて駆動する。蓄電装置7は、商用電源から電力供給が遮断された場合に、巻上機6だけでなくエレベータ内で電力を消費するすべての機器に電力供給するバックアップ電源である。なお、蓄電装置7は、停電時のバックアップ電源だけでなく、ピークシフト用の電源として用いたり、商用電源を補助するサポート電源として用いたりすることもできる。
建物1の各階の昇降路2近傍は、乗り場8と呼ばれる。各階の乗り場8には、それぞれ、利用者が乗り場呼びの操作を行うための乗り場操作盤9が設けられている。乗り場呼びとは、利用者が移動方向(上下)を指定して乗車階の乗り場8に乗りかご3を移動させるための操作である。乗り場呼びに応じて乗りかご3が利用者の乗車階に移動することを、乗り場呼びに応答するという。
また、乗りかご3には、乗りかご3に乗車した利用者がかご呼びの操作を行うためのかご内操作盤10が設けられている。かご呼びとは、乗りかご3に乗車した利用者が目的階を指定して乗りかご3を目的階の乗り場8に移動させるための操作である。かご呼びに応じて乗りかご3が目的階まで移動することを、かご呼びに応答するという。また、乗りかご3には、乗りかご3の現在位置(昇降路2内の上下方向の位置)を検出するためのかご位置検出装置11が設けられている。
建物1の各階の乗り場8に設けられた乗り場操作盤9や、乗りかご3に設けられたかご内操作盤10およびかご位置検出装置11は、それぞれハーネスを介してエレベータ制御装置100に接続されている。エレベータ制御装置100は、乗り場操作盤9の操作による乗り場呼びやかご内操作盤10の操作によるかご呼びがあるとこれら乗り場呼びやかご呼びを登録し、かご位置検出装置11からの情報をもとに乗りかご3の現在位置を把握しながら、登録した乗り場呼びやかご呼びに応答するように、巻上機6の駆動を制御することによって乗りかご3の運行を制御する。乗り場呼びやかご呼びの登録とは、応答すべき乗り場呼びやかご呼びの情報を記憶することをいう。乗り場呼びやかご呼びに応答した後、これらの情報は消去される。
また、実施形態のエレベータ制御装置100は、利用者が保持する携帯端末200から目的地情報や位置情報などを受信して、その利用者の乗車階の乗り場呼びを自動登録する機能を持つ。目的地情報は、利用者が携帯端末200に建物1内の目的地を入力することで生成される目的地に関する情報である。以下では、エレベータ制御装置100が、目的地情報の一例として、携帯端末200から、目的地までの建物1内の経路を示す経路情報を受信するものとして説明する。また、位置情報は、携帯端末200を保持する利用者の現在位置を示す情報である。これら目的地情報や位置情報は、例えば無線LANなどのネットワークを介して、携帯端末200からエレベータ制御装置100に送信される。位置情報は携帯端末200において随時検出され、例えば予め定められた一定間隔で携帯端末200からエレベータ制御装置100に送信される。
以下では、携帯端末200を保持する利用者(携帯端末200に目的地を入力した利用者)を第1利用者U1と呼び、乗り場操作盤9の操作により乗り場呼びを行った利用者を第2利用者U2と呼んで、両者を区別する。また、乗り場呼びが自動登録された第1利用者U1の乗車階を第1乗車階F1と呼び、第1乗車階F1とは異なる乗車階であって、乗り場操作盤9の操作により乗り場呼びが登録された第2利用者U2の乗車階を第2乗車階F2と呼んで、両者を区別する。
エレベータ制御装置100は、第1乗車階F1の乗り場呼びを自動登録した場合、第1乗車階F1の乗り場8に第1利用者U1が近づいたか否かを判定し、第1乗車階F1の乗り場8に第1利用者U1が近づいたときに、自動登録した第1乗車階F1の乗り場呼びに応答するように、乗りかご3の運行を制御する。つまり、自動登録した第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する乗りかご3は、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定されたときに、第1乗車階F1に向かって移動を開始する。ここで、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたか否かは、例えば、携帯端末200から受信した情報をもとに第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に到着するまでの所要時間を算出し、算出した所要時間が所定の閾値以下となったか否かにより判定することができる。
また、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定される前に、第2利用者U2が第2乗車階F2で乗り場操作盤9を操作することにより乗り場呼びが登録された場合は、エレベータ制御装置100は、所定の応答条件を満たすか否かを判定する。この応答条件は、第1乗車階F1の乗り場呼びの方向と第2乗車階F2の乗り場呼びの方向と第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する乗りかご3の運行方向とが同じであり、かつ、第2乗車階F2の位置が、乗りかご3の現在位置と第1乗車階F1との間であるという条件である。このような応答条件を満たす場合は、乗りかご3が第1乗車階F1へと移動する途中に第2乗車階F2があるため、第2乗車階F2の乗り場呼びに応答した後に第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する方が、乗りかご3の運行が効率的となる。また、第1利用者U1はまだ第1乗車階F1の乗り場8に近づいていないため、第2乗車階F2の乗り場呼びに先に応答しても、第1利用者U1の乗り場8での待機時間が過度に増大することはない。そこで、エレベータ制御装置100は、上記の応答条件を満たす場合、第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する前に第2乗車階F2の乗り場呼びに応答するように、乗りかご3の運行を制御する。これにより、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかご3の運行とを両立させることができる。
以下、実施形態のエレベータ制御装置100の構成および動作の具体例について、さらに詳しく説明する。
[第1実施形態]
まず、本実施形態のエレベータ制御装置100の説明に先立ち、第1利用者U1が保持する携帯端末200の具体例について説明する。携帯端末200は、例えばスマートフォンなどの携帯可能な情報処理装置であり、各種プログラムを実行するコンピュータシステムや、各種情報を記憶するフラッシュメモリなどの記憶装置、タッチパネルディスプレイなどのユーザインタフェース、エレベータ制御装置100との間で無線LANなどのネットワークを介して無線通信を行うための通信インタフェース、GPSセンサや加速度センサなどの各種センサを基本ハードウェアとして備える。
図2は、携帯端末200の機能的な構成例を示すブロック図である。携帯端末200は、例えば、コンピュータシステム上で所定のアプリケーションプログラム(以下、エレベータ予約アプリと呼ぶ。)を実行することにより、図2に示すように、表示制御部201、入力受付部202、経路探索部203、位置検出部204、移動速度検知部205、無線通信部206などの機能的な構成要素を実現する。地図データ格納部207は、フラッシュメモリなどの記憶装置に確保される記憶領域であり、エレベータの位置情報を含む建物1内の電子地図である地図データを格納する。
表示制御部201は、エレベータ予約アプリに関わる各種画面を携帯端末200のタッチパネルディスプレイなどに表示させる制御を行う。入力受付部202は、タッチパネルディスプレイなどに表示された画面上での第1利用者U1によるタッチ操作などによる入力を受け付ける。
経路探索部203は、建物1内の目的地を入力する第1利用者U1の操作が入力受付部202により受け付けられた場合に、地図データ格納部207に格納されている地図データを参照して、位置検出部204により検出される第1利用者U1の現在位置から目的地までの建物1内の経路を探索する。
位置検出部204は、GPSセンサなどを利用した3次元測位により、携帯端末200の現在位置、すなわち携帯端末200を保持する第1利用者U1の現在位置を検出する。移動速度検知部205は、加速度センサによって検出される加速度などをもとに、携帯端末200を保持する第1利用者U1の移動速度を検知する。
無線通信部206は、通信インタフェースを利用してエレベータ制御装置100と無線通信を行い、各種情報をエレベータ制御装置100に送信する。例えば無線通信部206は、第1利用者U1による目的地の入力に応じて経路探索部203により目的地までの経路が探索されると、この経路を示す経路情報を目的地情報としてエレベータ制御装置100に送信する。また、無線通信部206は、位置検出部204により随時検出される第1利用者U1の現在位置を示す位置情報や、移動速度検知部205により随時検知される第1利用者U1の移動速度を示す速度情報などを、例えば予め定められた一定間隔でエレベータ制御装置100に送信する。
図3は、携帯端末200のタッチパネルディスプレイなどに表示される画面の一例を示す図であり、図3(a)は第1利用者U1が目的地を入力するための目的地入力画面210の一例、図3(b)は目的地までの経路を表示する経路表示画面220の一例を示している。
携帯端末200においてエレベータ予約アプリが実行されると、まず、図3(a)に示すような目的地入力画面210がタッチパネルディスプレイに表示される。この目的地入力画面210は、テキスト入力ボックス211と、決定ボタン212と、テンキー213とを含む。この目的地入力画面210上で、第1利用者U1がテンキー213を用いてテキスト入力ボックス211に目的地を入力し、決定ボタン212を押すと、目的地までの経路が探索される。
目的地までの経路が探索されると、携帯端末200のタッチパネルディスプレイに表示される画面が、図3(a)に示すような目的地入力画面210から図3(b)に示すような経路表示画面220に切り替わる。この経路表示画面220では、探索された目的地までの経路221が建物1の概略図222とともに表示される。また、この経路表示画面220は、エレベータ予約ボタン223を含んでおり、経路表示画面220を参照した第1利用者U1がこのエレベータ予約ボタン223を押すと、探索された目的地までの経路221を示す経路情報が、目的地情報としてエレベータ制御装置100に送信される。
次に、第1実施形態のエレベータ制御装置100について説明する。エレベータ制御装置100は、各種プログラムを実行するコンピュータシステムや、各種情報を記憶するHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置、携帯端末200との間で無線LANなどのネットワークを介して無線通信を行うための通信インタフェース、乗り場操作盤9やかご内操作盤10、かご位置検出装置11などからハーネスを介して各種情報を入力するための外部入力インタフェースなどを基本ハードウェアとして備える。
図4は、第1実施形態のエレベータ制御装置100の機能的な構成例を示すブロック図である。本実施形態のエレベータ制御装置100は、例えば、コンピュータシステム上で所定の制御プログラムを実行することにより、図4に示すように、乗り場呼び入力部101、乗り場呼び登録部102、かご呼び入力部103、かご呼び登録部104、無線通信部105、乗り場呼び自動登録部106、接近判定部107、かご位置入力部108、応答条件判定部109、運行制御部110などの機能的な構成要素を実現する。
乗り場呼び入力部101は、乗り場操作盤9からハーネスを介してエレベータ制御装置100に送られる乗り場呼びの情報、つまり、乗り場呼びのあった階および乗り場呼びの方向を示す情報を入力する。乗り場呼び登録部102は、乗り場呼び入力部101が入力した乗り場呼びの情報を記憶することで、乗り場操作盤9の操作に応じた乗り場呼びを登録する。
かご呼び入力部103は、かご内操作盤10からハーネスを介してエレベータ制御装置100に送られるかご呼びの情報、つまり、乗りかご3に乗車した利用者の目的階を示す情報を入力する。かご呼び登録部104は、かご呼び入力部103が入力したかご呼びの情報を記憶することで、かご内操作盤10の操作に応じたかご呼びを登録する。
無線通信部105は、通信インタフェースを利用して第1利用者U1が保持する携帯端末200と無線通信を行い、携帯端末200から送信される各種情報を受信する。例えば無線通信部105は、第1利用者U1が目的地を入力することで生成される目的地情報として、目的地への建物1内の経路を示す経路情報が携帯端末200から送信されると、この経路情報を受信する。また、無線通信部105は、第1利用者U1の現在位置を示す位置情報や第1利用者U1の移動速度を示す速度情報などが、例えば予め定められた一定間隔で携帯端末200から送信されると、これら位置情報や速度情報を受信する。
乗り場呼び自動登録部106は、例えば、無線通信部105が携帯端末200から目的地情報として受信した経路情報に基づいて、第1利用者U1の乗車階である第1乗車階F1および第1利用者U1の第1乗車階F1からの移動方向を特定し、第1乗車階F1の乗り場呼びを自動登録する。乗り場呼びの自動登録とは、乗り場操作盤9の操作によらずに乗り場呼びの情報を生成し、生成した乗り場呼びの情報を乗り場呼び登録部102に記憶させることをいう。
接近判定部107は、携帯端末200に目的地を入力した第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたか否かを判定する。接近判定部107は、例えば、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に到着するまでの所要時間が所定の閾値以下となったか否かにより、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたか否かを判定することができる。この場合、接近判定部107は、例えば、無線通信部105が携帯端末200から受信した経路情報と位置情報とに基づいて、第1利用者U1の現在位置から第1乗車階F1の乗り場8までの道のりを抽出する。そして、接近判定部107は、抽出した道のりの距離と、無線通信部105が携帯端末200から受信した速度情報とに基づいて、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に到着するまでの所要時間を算出する。そして、接近判定部107は、算出した所要時間を所定の閾値と比較し、算出した所要時間が閾値以下であれば第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定し、算出した所要時間が閾値を超えていれば第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいていないと判定する。このような接近判定部107による判定は、携帯端末200から送信された位置情報や速度情報を無線通信部105が受信するたびに行われる。
かご位置入力部108は、かご位置検出装置11からハーネスを介してエレベータ制御装置100に送られる情報、つまり、乗りかご3の現在位置を示すかご位置の情報を入力する。
応答条件判定部109は、接近判定部107により第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定される前に、第2利用者U2が第2乗車階F2の乗り場操作盤9を操作することによって第2乗車階F2の乗り場呼びが登録された場合に、上述の応答条件を満たすか否かを判定する。すなわち、応答条件判定部109は、乗り場呼び登録部102に記憶された第1乗車階F1の乗り場呼びの情報および第2乗車階F2の乗り場呼びの情報と、かご位置入力部108が入力したかご位置の情報とに基づいて、第1乗車階F1の乗り場呼びの方向と第2乗車階F2の乗り場呼びの方向と第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する乗りかご3の運行方向とが同じであり、かつ、第2乗車階F2の位置が、乗りかご3の現在位置と第1乗車階F1との間であるという応答条件を満たすか否かを判定する。
運行制御部110は、かご位置入力部108が入力したかご位置の情報に基づいて乗りかご3の現在位置を把握しながら、乗り場呼び登録部102に記憶された乗り場呼びの情報や、かご呼び登録部104に記憶されたかご呼びの情報に基づいて、これら乗り場呼びやかご呼びに応答するように、巻上機6を駆動制御して乗りかご3の運行を制御する。特に本実施形態のエレベータ制御装置100では、応答条件判定部109によって応答条件を満たすと判定された場合、運行制御部110が、第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する前に第2乗車階F2の乗り場呼びに応答するように、乗りかご3の運行を制御する。また、接近判定部107により第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定されると、運行制御部110は、第1乗車階F1の乗り場呼びにすぐに応答するように、乗りかご3の運行を制御する。
図5は、第1実施形態のエレベータ制御装置100による処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、この図5のフローチャートに沿って、第1利用者U1が携帯端末200に目的地を入力した場合のエレベータ制御装置100の動作を説明する。
まず、第1利用者UIが携帯端末200に目的地を入力することで経路情報が生成され、この経路情報が携帯端末200からエレベータ制御装置100に送信されると、無線通信部105が、この経路情報を受信する(ステップS101)。
次に、乗り場呼び自動登録部106が、ステップS101で受信された経路情報に基づいて、第1利用者U1の乗車階である第1乗車階F1および第1乗車階F1からの第1利用者U1の移動方向を特定し、第1乗車階F1の乗り場呼びを自動登録する(ステップS102)。
次に、無線通信部105が、携帯端末200からエレベータ制御装置100に送信された位置情報および速度情報を受信する(ステップS103)。そして、接近判定部107が、ステップS103で受信された位置情報および速度情報に基づいて、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に到着するまでの所要時間を算出し、算出した所要時間が所定の閾値以下となったか否かにより、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたか否かを判定する(ステップS104)。
ここで、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいていない場合は(ステップS104:No)、第2乗車階F2での乗り場操作盤9の操作による乗り場呼びが登録されたか否かが判定される(ステップS105)。そして、第2乗車階F2の乗り場呼びが登録されていなければ(ステップS105:No)、ステップS103に戻って以降の処理が繰り返される。
一方、第2乗車階F2の乗り場呼びが登録された場合は(ステップS105:Yes)、応答条件判定部109が、かご位置入力部108が入力するかご位置を取得し(ステップS106)、第1乗車階F1の乗り場呼びの情報および第2乗車階F2の乗り場呼びの情報と、ステップS106で取得したかご位置の情報とに基づいて、所定の応答条件、つまり、第1乗車階F1の乗り場呼びの方向と第2乗車階F2の乗り場呼びの方向と第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する乗りかご3の運行方向とが同じであり、かつ、第2乗車階F2の位置が、乗りかご3の現在位置と第1乗車階F1との間であるという応答条件を満たすか否かを判定する(ステップS107)。そして、このような応答条件を満たしていなければ(ステップS107:No)、ステップS103に戻って以降の処理が繰り返される。
一方、上記の応答条件を満たしていると判定された場合は(ステップS107:Yes)、運行制御部110が、第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する前に第2乗車階F2の乗り場呼びに応答するように、乗りかご3の運行を制御する(ステップS108)。その後、運行制御部110は、第2乗車階F2で乗りかご3に乗車した第2利用者U2によるかご呼びの目的階が、第1乗車階F1よりも近いか否かを判定する(ステップS109)。そして、かご呼びの目的階が第1乗車階F1よりも近ければ(ステップS109:Yes)、第2利用者U2によるかご呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御した後(ステップS110)、ステップS103に戻って以降の処理が繰り返される。一方、かご呼びの目的階が第1乗車階F1よりも遠い場合は(ステップS109:No)、かご呼びに応答せずにステップS103に戻り、以降の処理が繰り返される。
また、ステップS104において、接近判定部107により第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定された場合は(ステップS104:Yes)、運行制御部110が、第1乗車階F1の乗り場呼びに応答するように、乗りかご3の運行を制御する(ステップS111)。その後、運行制御部110が、第1乗車階F1で乗りかご3に乗車した第1利用者U1によるかご呼びと、第2利用者U2が乗りかご3に乗車している場合は第2利用者U2によるかご呼びにも応答するように乗りかご3の運行を制御して(ステップS112)、エレベータ制御装置100による一連の動作が終了する。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のエレベータ制御装置100は、携帯端末200に目的地を入力した第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定される前に、第2乗車階F2で第2利用者U2の乗り場操作盤9の操作による乗り場呼びが登録された場合は、第1乗車階F1の乗り場呼びの方向と第2乗車階F2の乗り場呼びの方向と第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する乗りかご3の運行方向とが同じであり、かつ、第2乗車階F2の位置が、乗りかご3の現在位置と第1乗車階F1との間であるという応答条件を満たすか否かを判定する。そして、このような応答条件を満たす場合は、第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する前に第2乗車階F2の乗り場呼びに応答するように、乗りかご3の運行を制御する。したがって、本実施形態のエレベータ制御装置100によれば、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかご3の運行とを両立させることができる。
乗りかご3の運行の効率化は消費電力の削減につながるため、本実施形態による制御技術は、消費電力を極力抑えながらエレベータを動作させることが求められる環境において特に有効となる。例えば、上述の蓄電装置7からの電力供給によりエレベータを動作させる場合は、蓄電装置7から供給可能な電力量に限りがあることから、消費電力を極力抑えることが求められるため、本実施形態による制御技術が特に有効となる。また、蓄電装置7以外にも、商用電源に比べて安定的な電力供給が困難な発電機などを電源としてエレベータを動作させる場合にも、消費電力を極力抑えることが求められるため、本実施形態による制御技術が特に有効となる。
なお、以上の説明では、エレベータ制御装置100が携帯端末200から受信する目的地情報として、目的地までの経路を示す経路情報を例示したが、これに限らない。例えば、第1利用者U1が携帯端末200に入力した目的地の位置を示す目的地位置情報を、エレベータ制御装置100が携帯端末200から目的地情報として受信する構成としてもよい。この構成の場合、携帯端末200は、経路情報の代わりに目的地位置情報を生成してエレベータ制御装置100に送信する。エレベータ制御装置100は、携帯端末200から受信した目的地位置情報と、携帯端末200から別途受信する第1利用者U1の現在位置を示す位置情報とに基づいて、第1利用者U1の乗車階である第1乗車階F1および第1乗車階F1からの移動方向を特定し、第1乗車階F1の乗り場呼びを自動登録する。このような構成とすることにより、携帯端末200の処理負荷を軽減することができる。
また、以上の説明では、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に到着するまでの所要時間を算出し、算出した所要時間が所定の閾値以下となったか否かにより、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたか否かを判定するものとしたが、これに限らない。例えば、携帯端末200から一定の時間間隔で受信される位置情報をもとに、第1利用者U1の現在位置と第1乗車階F1の乗り場8の位置との差分を随時算出し、算出した差分が所定の閾値以下となったか否かにより、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたか否かを判定する構成としてもよい。このような構成とすることにより、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたか否かをより簡便に判定することができる。
また、以上の説明では、エレベータ制御装置100が携帯端末200から受信した目的地情報(経路情報)をもとに第1乗車階F1の乗り場呼びを自動登録するものとしたが、第1乗車階F1の乗り場呼びだけでなく、第1利用者U1が乗りかご3に乗車した後のかご呼びについても自動登録する構成としてもよい。すなわち、エレベータ制御装置100は、携帯端末200から受信した目的地情報(経路情報)により第1利用者U1の目的階を特定できるので、乗りかご3を第1乗車階F1の乗り場呼びに応答させた後、第1利用者U1のかご内操作盤10の操作によらずに、かご呼びを自動登録することができる。このような構成とすることにより、第1利用者U1の利便性をさらに向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のエレベータ制御装置100について説明する。本実施形態のエレベータ制御装置100は、第2乗車階F2の乗り場呼びに応答した後に第1乗車階F1の乗り場呼びに応答する乗りかご3が第1乗車階F1に到着した際に、第2乗車階F2で乗りかご3に乗車した第2利用者U2に対して、第1乗車階F1で第1利用者U1が乗車することを報知する。なお、その他の機能は第1実施形態と共通である。以下、第1実施形態と重複する説明は省略して、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図6は、第2実施形態のエレベータ制御装置100の機能的な構成例を示すブロック図である。本実施形態のエレベータ制御装置100は、図6に示すように、第1実施形態の構成(図4参照)に加えて、報知部111を備える。
報知部111は、乗りかご3が第2乗車階F2の乗り場呼びに応答した後、第1乗車階F1の乗り場呼びに応答するように移動している間、かご位置入力部108が入力するかご位置の情報に基づいて、乗りかご3の運行を監視する。そして、報知部111は、第2乗車階F2で第2利用者U2が乗車した乗りかご3が第1乗車階F1に到着すると、例えば、乗りかご3に設けられたスピーカ12から所定の音声アナウンスを出力させることにより、第1乗車階F1で第1利用者U1が乗車することを乗りかご3内の第2利用者U2に報知する。
図7は、第2実施形態のエレベータ制御装置100による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図7のステップS201〜ステップS211およびステップS213の処理は、第1実施形態(図5のステップS101〜ステップS111およびステップS112)と同様であり、ステップS211の後にステップS212の処理が追加されている点のみが第1実施形態と異なる。
本実施形態では、ステップS211で第1乗車階F1の乗り場呼びに応答した乗りかご3が第1乗車階F1に到着すると、報知部111が、第1乗車階F1で第1利用者U1が乗車することを乗りかご3内の第2利用者U2に報知する(ステップS212)。その後、第1利用者U1が乗りかご3に乗り込むと、運行制御部110が、第1利用者U1によるかご呼びや第2利用者U2によるかご呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御して(ステップS213)、エレベータ制御装置100による一連の動作が終了する。なお、ステップS210で第2利用者U2によるかご呼びに応答している場合は、第1乗車階F1に到着した乗りかご3内に第2利用者U2がいないため、ステップS212の報知部111による報知は行わない構成としてもよい。
以上説明したように、実施形態のエレベータ制御装置100は、上述した第1実施形態のエレベータ制御装置100と共通の機能を有するため、第1実施形態のエレベータ制御装置100と同様に、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかご3の運行とを両立させることができる。
さらに、本実施形態のエレベータ制御装置100によれば、乗りかご3が第1乗車階F1に到着した際に、第1乗車階F1で第1利用者U1が乗車することを乗りかご3内の第2利用者U2に報知するため、乗りかご3が第1乗車階F1に停車した理由を第2利用者U2に認識させることができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のエレベータ制御装置100について説明する。本実施形態のエレベータ制御装置100は、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定される前に携帯端末200から新たな目的地情報(例えば経路情報)を受信した場合に、自動登録した第1乗車階F1の乗り場呼びを変更する。なお、第2実施形態のエレベータ制御装置100の構成は、第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と重複する説明は省略して、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態のエレベータ制御装置100では、乗り場呼び自動登録部106が、接近判定部107によって第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定されるまでの間、無線通信部105が第1利用者U1の携帯端末200から新たな目的地情報(例えば経路情報)を受信したか否かを監視する。そして、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定される前に無線通信部105が携帯端末200から新たな目的地情報を受信した場合、乗り場呼び自動登録部106は、新たに受信された目的地情報に対応する新たな第1乗車階F1および新たな移動方向を特定して、自動登録した第1乗車階F1の乗り場呼びを変更する。乗り場呼びの変更とは、乗り場呼び登録部102が記憶する乗り場呼びの情報を書き換えることをいう。これにより、変更前の乗り場呼びの情報が消去されるので、運行制御部110が変更前の乗り場呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御することはなく、乗りかご3の無駄な運行を防止できる。
図8は、第3実施形態のエレベータ制御装置100による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図8のステップS301〜ステップS304およびステップS307〜ステップS311の処理は、第1実施形態(図5のステップS101〜ステップS104およびステップS105〜ステップS112)と同様であり、ステップS304の後にステップS305およびステップS306の処理が追加されている点のみが第1実施形態と異なる。
本実施形態では、ステップS304で第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいていないと判定された場合(ステップS304:No)、乗り場呼び自動登録部106が、第1利用者U1の携帯端末200からの新たな経路情報を無線通信部105が受信したか否かを判定する(ステップS305)。そして、新たな経路情報が受信された場合(ステップS305:Yes)、乗り場呼び自動登録部106は、新たに受信された経路情報に基づいて新たな第1乗車階F1および新たな移動方向を特定し、自動登録した第1乗車階F1の乗り場呼びを変更する(ステップS306)。その後、ステップS303に戻って以降の処理が繰り返される。一方、携帯端末200から新たな経路情報を受信していない場合は(ステップS305:No)、ステップS307に進んで第1実施形態と同様の処理が行われる。
以上説明したように、実施形態のエレベータ制御装置100は、上述した第1実施形態のエレベータ制御装置100と共通の機能を有するため、第1実施形態のエレベータ制御装置100と同様に、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかご3の運行とを両立させることができる。
さらに、本実施形態のエレベータ制御装置100によれば、第1利用者U1が第1乗車階F1の乗り場8に近づいたと判定される前に携帯端末200から新たな目的地情報を受信した場合に、自動登録した第1乗車階F1の乗り場呼びを変更するため、乗りかご3の無駄な運行を防止できる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のエレベータ制御装置100について説明する。本実施形態のエレベータ制御装置100は、乗りかご3が第1乗車階F1に到着してから所定時間が経過しても第1利用者U1が乗りかご3に乗車しない場合に、第1乗車階F1の乗り場呼びの登録を継続させつつ、かご呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御する。また、本実施形態のエレベータ制御装置100は、乗りかご3が第1乗車階F1に到着してから所定時間が経過しても第1利用者U1が乗りかご3に乗車しない場合に、第1利用者U1が乗車しないことをエレベータ監視装置に通知する。なお、その他の機能は第1実施形態と共通である。以下、第1実施形態と重複する説明は省略して、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図9は、第4実施形態のエレベータ制御装置100の機能的な構成例を示すブロック図である。本実施形態のエレベータ制御装置100は、図9に示すように、第1実施形態の構成(図4参照)に加えて、異常通知部112を備える。
本実施形態のエレベータ制御装置100では、運行制御部110が、第1乗車階F1に乗りかご3が到着してからの経過時間を計測し、計測した経過時間が所定時間に達するまでの間は、第1利用者U1が乗車するまで乗りかご3を第1乗車階F1に待機させる。そして、計測した経過時間が所定時間に達しても第1利用者U1が乗りかご3に乗車しない場合、運行制御部110は、第1乗車階F1の乗り場呼びの登録を継続させつつ、かご呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御する。ここで、乗り場呼びの登録を継続させるとは、乗り場呼びに応答した後に、乗り場呼び登録部102が記憶する乗り場呼びの情報を消去しないことをいう。第1乗車階F1の乗り場呼びの登録を継続させておくことで、運行制御部110は、かご呼びに応答した後に第1乗車階F1の乗り場呼びに再度応答するように、乗りかご3の運行を制御することができる。
なお、第1利用者U1が乗りかご3に乗車したか否かは、例えば、第1利用者U1の携帯端末200から受信する位置情報に基づいて、第1利用者U1の現在位置が乗りかご3の位置と重なっているか否かにより判断することができる。また、乗りかご3が荷重センサを備える場合は、その荷重センサが検出する乗りかご3の重量変化をもとに、第1利用者U1が乗りかご3に乗車したか否かを判断する構成としてもよい。第1利用者U1が乗りかご3に乗車した場合は、通常通り、かご呼びの応答が行われる。
また、運行制御部110は、計測した経過時間が所定時間に達しても第1利用者U1が乗りかご3に乗車しない場合に、異常通知部112を起動する。異常通知部112は、例えば、係員が駐在する建物1内の監視室などに設けられたエレベータ監視装置20と通信可能に接続されており、運行制御部110により起動されると、第1利用者U1が乗りかご3に乗車しないことをエレベータ監視装置20に通知する。これにより、第1利用者U1が何らかの異常により乗りかご3に乗車できていない状況を監視室に駐在する係員などに知らせ、適切な対応を促すことができる。
図10は、第4実施形態のエレベータ制御装置100による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図10のステップS401〜ステップS411およびステップS415の処理は、第1実施形態(図5のステップS101〜ステップS111およびステップS112)と同様であり、ステップS411の後にステップS412〜ステップS414の処理が追加されている点のみが第1実施形態と異なる。
本実施形態では、ステップS411で第1乗車階F1の乗り場呼びに応答した乗りかご3が第1乗車階F1に到着すると、運行制御部110が、乗りかご3に第1利用者U1が乗車したか否かを判定し(ステップS412)、第1利用者U1が乗りかご3に乗車していなければ(ステップS412:No)、乗りかご3が第1乗車階F1に到着してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS413)。そして、運行制御部110は、乗りかご3が第1乗車階F1に到着してから所定時間が経過していなければ(ステップS413:No)、ステップS412に戻って乗りかご3に第1利用者U1が乗車したか否かの判定を繰り返す。
その後、第1利用者U1が乗りかご3に乗車することなく所定時間が経過した場合(ステップS413:Yes)は、異常通知部112が、第1利用者U1が乗りかご3に乗車しないことをエレベータ監視装置20に通知する(ステップS414)。そして、運行制御部110が、第2利用者U2によるかご呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御する(ステップS415)。なお、ステップS410で第2利用者U2によるかご呼びに応答している場合は、ステップS414の通知処理のみが行われる。また、乗りかご3が第1乗車階F1に到着してから所定時間が経過する前に第1利用者U1が乗車した場合は(ステップS413:No、ステップS412:Yes)、ステップS414の通知処理は行わず、ステップS415において、運行制御部110が、第1利用者U1によるかご呼びや第2利用者U2によるかご呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御する。
以上説明したように、実施形態のエレベータ制御装置100は、上述した第1実施形態のエレベータ制御装置100と共通の機能を有するため、第1実施形態のエレベータ制御装置100と同様に、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかご3の運行とを両立させることができる。
さらに、本実施形態のエレベータ制御装置100によれば、乗りかご3が第1乗車階F1に到着してから所定時間が経過しても第1利用者U1が乗りかご3に乗車しない場合に、第1乗車階F1の乗り場呼びの登録を継続させつつ、かご呼びに応答するように乗りかご3の運行を制御するため、第1乗車階F1で乗りかご3が停止する時間が過大となる不都合を有効に防止できるともに、かご呼びに応答した後に第1乗車階F1の乗り場呼びに再度応答することができる。
また、本実施形態のエレベータ制御装置100によれば、乗りかご3が第1乗車階F1に到着してから所定時間が経過しても第1利用者U1が乗りかご3に乗車しない場合に、第1利用者U1が乗車しないことをエレベータ監視装置20に通知するため、第1利用者U1が何らかの異常により乗りかご3に乗車できていない状況を監視室に駐在する係員などに知らせ、適切な対応を促すことができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態にかかるエレベータ制御装置100によれば、利用者の待機時間の短縮と効率のよい乗りかご3の運行とを両立させることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 建物、3 乗りかご、8 乗り場、9 乗り場操作盤、10 かご内操作盤、11 かご位置検出装置、20 エレベータ監視装置、100 エレベータ制御装置、105 無線通信部、106 乗り場呼び自動登録部、107 接近判定部、109 応答条件判定部、110 運行制御部、111 報知部、112 異常通知部、200 携帯端末、F1 第1乗車階、F2 第2乗車階、U1 第1利用者、U2 第2利用者

Claims (9)

  1. 第1利用者の携帯端末から、少なくとも、前記第1利用者が前記携帯端末に建物内の目的地を入力することで生成される目的地情報と、前記第1利用者の現在位置を示す位置情報とを受信する無線通信部と、
    少なくとも前記目的地情報に基づいて、前記第1利用者の乗車階である第1乗車階および前記第1利用者の前記第1乗車階からの移動方向を特定し、前記第1乗車階の乗り場呼びを自動登録する乗り場呼び自動登録部と、
    少なくとも前記位置情報に基づいて、前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたか否かを判定する接近判定部と、
    前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたと判定される前に、前記第1乗車階とは異なる第2乗車階で第2利用者が乗り場操作盤を操作することにより乗り場呼びが登録された場合に、前記第1乗車階の乗り場呼びの方向と前記第2乗車階の乗り場呼びの方向と前記第1乗車階の乗り場呼びに応答する乗りかごの運行方向とが同じであり、かつ、前記第2乗車階の位置が、前記乗りかごの現在位置と前記第1乗車階との間であるという応答条件を満たすか否かを判定する応答条件判定部と、
    前記応答条件を満たす場合に、前記第1乗車階の乗り場呼びに応答する前に前記第2乗車階の乗り場呼びに応答するように、前記乗りかごの運行を制御する運行制御部と、を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
  2. 前記無線通信部は、前記目的地情報として前記目的地への前記建物内の経路を表す経路情報を受信し、
    前記乗り場呼び自動登録部は、前記経路情報に基づいて、前記第1乗車階および前記移動方向を特定することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
  3. 前記無線通信部は、前記目的地情報として前記目的地の位置を示す目的地位置情報を受信し、
    前記乗り場呼び自動登録部は、前記位置情報と前記目的地位置情報とに基づいて、前記第1乗車階および前記移動方向を特定することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
  4. 前記接近判定部は、前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に到着するまでの所要時間を算出し、該所要時間が閾値以下となったか否かにより、前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
  5. 前記第2乗車階の乗り場呼びに応答した前記乗りかごが前記第1乗車階に到着した際に、前記第1乗車階で前記第1利用者が乗車することを前記第2利用者に報知する報知部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
  6. 前記乗り場呼び自動登録部は、前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたと判定される前に前記無線通信部が前記携帯端末から新たな前記目的地情報を受信した場合に、新たに受信された前記目的地情報に対応する新たな前記第1乗車階および新たな前記移動方向を特定して、自動登録した前記第1乗車階の乗り場呼びを変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
  7. 前記運行制御部は、前記乗りかごが前記第1乗車階に到着してから所定時間が経過しても前記第1利用者が前記乗りかごに乗車しない場合、前記第1乗車階の乗り場呼びの登録を継続させつつ、かご呼びに応答するように前記乗りかごの運行を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
  8. 前記乗りかごが前記第1乗車階に到着してから前記所定時間が経過しても前記第1利用者が前記乗りかごに乗車しない場合に、前記第1利用者が乗車しないことをエレベータ監視装置に通知する異常通知部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のエレベータ制御装置。
  9. 第1利用者の携帯端末から、少なくとも、前記第1利用者が前記携帯端末に建物内の目的地を入力することで生成される目的地情報と、前記第1利用者の現在位置を示す位置情報とを受信する工程と、
    少なくとも前記目的地情報に基づいて、前記第1利用者の乗車階である第1乗車階および前記第1利用者の前記第1乗車階からの移動方向を特定し、前記第1乗車階の乗り場呼びを自動登録する工程と、
    少なくとも前記位置情報に基づいて、前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたか否かを判定する工程と、
    前記第1利用者が前記第1乗車階の乗り場に近づいたと判定される前に、前記第1乗車階とは異なる第2乗車階で第2利用者が乗り場操作盤を操作することにより乗り場呼びが登録された場合に、前記第1乗車階の乗り場呼びの方向と前記第2乗車階の乗り場呼びの方向と前記第1乗車階の乗り場呼びに応答する乗りかごの運行方向とが同じであり、かつ、前記第2乗車階の位置が、前記乗りかごの現在位置と前記第1乗車階との間であるという応答条件を満たすか否かを判定する工程と、
    前記応答条件を満たす場合に、前記第1乗車階の乗り場呼びに応答する前に前記第2乗車階の乗り場呼びに応答するように、前記乗りかごの運行を制御する工程と、を含むことを特徴とするエレベータ制御方法。
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