JP6037206B2 - 磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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すなわち、従来、FePt−C膜を得るために、FePtのスパッタリングターゲットとCのスパッタリングターゲットとによるコスパッタを行っているため、二種類のスパッタリングターゲットを用意する必要があると共に、CのスパッタリングターゲットからC粉のパーティクルが発生して異常放電の原因になってしまう不都合があった。また、FePtスパッタ膜にInを添加するためには、FePt合金ターゲットとInターゲットとのコスパッタが考えられるが、上記FePt−C膜と同様に二種類のスパッタリングターゲットを用意する必要があった。
また、Inを上記組成範囲に設定した理由は、1at%未満では、Inの添加による有意な磁気記録膜の規則化温度低減効果が得られず、20at%を超えると、ターゲットの十分高い密度が得られずパーティクルが発生しやすくなるためである。
さらに、Cを上記組成範囲に設定した理由は、3at%未満では、磁気記録膜の微細組織化が不十分となるため高記録密度を実現できず、65at%を超えると、ターゲットの十分高い密度が得られずパーティクルが発生しやすくなるためである。
すなわち、この磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットでは、スパッタ成膜した磁気記録媒体膜の規則化温度がより下がりやすく、低い熱処理温度でも高い保磁力を得ることができる。
なお、酸素の含有量を500ppm以下とした理由は、500ppmを超えると、Inによる磁気記録媒体膜の規則化温度を低減する効果が低下するためである。
すなわち、この磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法では、グラファイト粉の比表面積が、10m2/g以下であるので、表面の剥離や亀裂、空孔等の欠陥の少ないC粉末によって高密度な組織が得られ、C単体のパーティクルが発生し難くなる。
すなわち、この磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法では、混合粉末中のグラファイト粉またはカーボンブラック粉を予め真空中で加熱処理しておくことで、比較的多くグラファイト粉またはカーボンブラック粉に含有する酸素等のガス成分を予め除去し、焼結体に不可避不純物として含有される酸素等を容易に低減させることができる。
すなわち、本発明に係る磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットによれば、一般式:{(FexPt100−x)(100−y)Iny}(100−z)Cz、原子比により30≦x≦80、1≦y≦20、3≦z≦65で表される組成を有した焼結体からなるので、1つのターゲットでInにより規則化温度を低下させたFePtIn−C膜を成膜できると共に、CがFe,Pt,Inからなる金属マトリックス中に介在してC単体のパーティクルが発生し難くなることで、スパッタリング時の異常放電の発生を抑制することができる。
したがって、本発明の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットを用いてスパッタリングにより磁気記録媒体膜を成膜することで、高い生産性をもってHDD用高密度磁気記録媒体に適用される低規則化温度の磁気記録膜、特に垂直磁気記録用または熱アシスト磁気記録用に適用される良好な磁気記録膜を得ることができる。
さらに、窒素(N)の含有量は、150ppm以下であることが好ましい。なお、窒素の含有量を150ppm以下とすることが好ましいとした理由は、150ppmを超えると、磁気記録媒体膜中に軟磁性のFe4N相が生成されて保磁力(Hc)を低下させる可能性があるためである。
特に、グラファイト粉としては、比表面積が10m2/g以下のものを使用することが好ましい。
さらに、FePt合金粉については、粒径5μm以下の微粉をカットすることが好ましい。これは、表面積が大きい粒径5μm以下の微粉を除去しておくことで、含有される酸素や窒素等のガス成分をさらに低減することができるからである。
Pt粉については市販のものを用いればよく、例えばPt粉については純度が3N〜4Nで平均粒径1〜5μmの粉末を用意すればよい。
カーボンブラック粉は、アセチレンガスを原料として燃焼と熱分解とを周期的に繰り返すことによりアセチレンガスの発熱分解により生成された、いわゆるアセチレンブラックを使用する。このカーボンブラック粉としては、例えば平均粒径35nm、比表面積(BET値)70m2/gの粉末を用いる。
なお、このカーボンブラック粉は、予め1×10−3〜1×10−5Torr(133×10−3〜133×10−5Pa)の真空中で、熱処理温度1100〜1300℃で1〜4時間、熱処理し、脱ガスさせておく。
こうして得られた焼結体を、バッキングプレートに接合してターゲットとする。
また、混合粉末中のグラファイト粉またはカーボンブラック粉を予め真空中で加熱処理しておくことで、比較的多くグラファイト粉またはカーボンブラック粉に含有する酸素等のガス成分を予め除去し、焼結体に不可避不純物として含有される酸素等を容易に低減させることができる。
InPt合金アトマイズ粉は、純度4Nの薄片状Inと純度3Nのスポンジ状Ptとを原料として、Inの濃度が60原子%となるように配合し、不活性雰囲気にて溶解し、鋳造することによりInPt合金の鋳塊を製造する。この鋳塊を破砕し、ガスアトマイズ用の原料とする。ガスアトマイズ装置内の溶解用坩堝に、前記破砕した鋳塊を投入し、ガスアトマイズ装置内で溶解し、Arガスにてガスアトマイズし、InPt合金アトマイズ粉を作製し回収した。回収した粉末を篩分し、平均粒径12μmのInPt合金アトマイズ粉を得た。
図1に従って、篩分したInPt合金アトマイズ粉、FePt合金アトマイズ粉および純度3Nで平均粒径3μmのPt粉と純度99.3%で平均粒径8.3μm、比表面積9.0m2/gのグラファイト粉とを目標ターゲット組成となるように秤量した。次に、秤量した各粉末をボールミル混合用の容器に混合用の粉砕媒体となる5mmφのジルコニアボール等と共に投入し、容器内をArガスで置換した後蓋を閉め、さらにこの容器を16時間回転させ、原料を混合して混合粉末とした。この混合粉末を黒鉛モールドに充填した状態でホットプレス装置に装入し、到達真空圧力が1×10−3Torr(133×10−3Pa)の真空雰囲気中で加圧力:350kgf/cm2、保持温度:950℃、保持時間:6時間の条件にて焼結し、本発明ターゲットの焼結体を得た。
平均粒子径=200/√(Nπ)
(Nは、一辺100nmの正方形の観察領域内に含まれる磁性粒子の数)
なお、各実施例とも、上記熱処理の有無以外の条件については同じであり、同一組成かつ同一製造条件としている。
また、酸素量の測定方法は、JIS Z 2613「金属材料の酸素定量方法通則」に記載された赤外線吸収法で測定した。その結果を表2に示す。
このように、酸素量が大幅に低減されたスパッタリングターゲットを用いれば、非特許文献2に記載されているように、例えば300℃程度の低い熱処理温度で高い保磁力が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Claims (2)
- 一般式:{(FexPt100−x)(100−y)Iny}(100−z)Cz、原子比により30≦x≦80、1≦y≦20、3≦z≦65で表される組成を有した焼結体からなり、
酸素の含有量が、500ppm以下であり、
密度比が、96.3%以上であることを特徴とする磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲット。 - 請求項1に記載の磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットを製造する方法であって、
InPt合金粉と、FePt合金粉と、Pt粉と、グラファイト粉またはカーボンブラック粉と、の混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中でホットプレスする工程を有し、
前記グラファイト粉の比表面積が、10m 2 /g以下であり、
前記混合粉末中の前記グラファイト粉または前記カーボンブラック粉を予め真空中で、熱処理温度1100〜1300℃により加熱処理しておくことを特徴とする磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットの製造方法。
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