JP6030422B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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また、陸部の接地圧を均一化して接地性を改善するため、タイヤ幅方向中心部には深さ方向に凹凸のある3次元サイプを設け、タイヤ幅方向両端部には深さ方向に凹凸のない2次元サイプを設ける方法(例えば、特許文献1参照)や、ヒール・アンド・トウ摩耗の発生を抑制するため、サイプの振幅をブロック踏み込み側で大きくし、蹴り出し側で小さくする方法(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載のサイプは、タイヤ幅方向と平行な方向に延長しているため、横方向のエッジ成分を増加させることはできなかった。一方、特許文献2に記載のサイプは、延長方向がタイヤ幅方向と交差しているものの、雪上ハンドリング性能に対する影響の少ないショルダー部のサイプまで延長方向がタイヤ幅方向と交差しているため、雪上トラクション性能が低下してしまうといった問題点があった。
このように、雪上ハンドリング性能に対する影響の少ないショルダーブロックに形成されたサイプのサイプ角を小さくして前後方向のエッジ成分を確保するとともに、センターブロックや中間ブロックに形成されたサイプのサイプ角を大きくして横方向のエッジ成分を増加させて、ハンドリング走行でスリップ角が付与された状態でのセンターブロック及び中間ブロックの追従性を高めるようにしたので、雪上ハンドリング性能を向上させることができる。
また、センターサイプ角の大きさを3°〜8°の範囲とし、中間サイプ角の大きさを9°〜24°の範囲とし、ショルダーサイプ角の大きさを0°としたので、雪上ハンドリング性能と雪上トラクション性能の両方に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
また、センターブロックに形成されたサイプのサイプ角を中間ブロックに形成されたサイプのサイプ角よりも小さくしたので、十分な雪上トラクション性能を確保できる。
これにより、タイヤ踏面でのサイプエッジ圧が一繋ぎに均一に繋がって働くため、タイヤ踏面内でブロックが局所的に不安定な挙動をせず、安定した雪上性能を実現できる。
これにより、雪上ハンドリング性能を確保しつつ十分な雪上トラクション性能を確保することができる。
これにより、雪上での前後方向のグリップ力と雪柱剪断力とを確保できるので、雪上ハンドリング特性と雪上トラクション特性とを更に向上させることができる。
図1は本実施の形態に係る空気入りタイヤ(以下、タイヤという)10のトレッドパターンの一例を示す図で、上下方向がタイヤ周方向、左右方向がタイヤ幅方向である。
同図において、11はトレッド、12はトレッド11の踏面側のタイヤ幅方向中心にタイヤ周方向に沿って延長するように設けられた周方向溝(以下、主溝という)、13は主溝12に交差する方向に沿って延長し主溝12に連通するラグ溝、14a,14bは、ラグ溝13に交差する方向(ここでは、タイヤ周方向に対して10°程度傾いた方向)に延長し主溝12とラグ溝13とにより区画された陸部15をセンターブロック15aとショルダーブロック15bと中間ブロック15cとに区画する縦溝、16a〜16cは各ブロック15a〜15cのタイヤ踏面側に設けられたサイプである。
以下、主溝12側に位置する縦溝14aを内側縦溝と呼ぶ。
センターブロック15aは主溝12とラグ溝13と内側縦溝14aとにより区画されたブロックで、ショルダーブロック15bは外側縦溝14bとラグ溝13とにより区画されたブロック、中間ブロック15cは内側縦溝14aとラグ溝13と外側縦溝14bとにより区画されたブロックである。
このように、ラグ溝13の溝幅をタイヤ幅方向外側に行くにしたがって広くなるように形成すれば、タイヤのセンター部ではブロック長を増加させてブロック剛性を確保できるとともに、ショルダー部ではセンター部で不足するラグ溝13による雪中剪断力増大させることができるので、雪上ハンドリング特性と雪上トラクション特性とを更に向上させることができる。
また、本例では、陸部15をブロック15a〜15cに区画する縦溝14a,14bの溝幅を主溝12の溝幅よりも狭くするとともに、ラグ溝13の溝幅を、主溝12側からタイヤ幅方向外側に行くにしたがって次第に広くなるように形成しているので、排水性を向上させることができる。
更に、本例では、縦溝である主溝12の断面積と縦溝14a,14bの断面積との和を、横溝であるラグ溝13の総断面積よりも小さくしている。これにより、同一ネガティブ率(溝面積比率)での従来のトレッドパターンを有するタイヤと比較してラグ溝13の比率を大きくできるので、雪上での前後力を効果的に確保することができる。
具体的には、図2に示すように、センターブロック15aに形成されるサイプ16aのサイプ角であるセンターサイプ角をθA=5°とし、ショルダーブロック15bに形成されるサイプ16bのサイプ角であるショルダーサイプ角をθB=0°とし、中間ブロック15cに形成されるサイプ16cのサイプ角である中間サイプ角をθC=15°とした。
本例では、ハンドリング性能に対する寄与の大きいセンターブロック15aや中間ブロック15cに形成されるサイプ16a,16cのサイプ角θA,θCを大きくして横方向のエッジ成分を増加させるとともに、ハンドリング性能に対する影響の少ないショルダーブロック15bに形成されるサイプ16bのサイプ角θBを0°とすることで、タイヤセンター部及びタイヤ中間部での路面に対する追従性を高めるとともに、前後方向のエッジ成分を確保するようにしている。
なお、センターブロック15aは、雪上トラクション性能に対する影響も大きいので、本例では、センターブロック15aに形成されるサイプ16aのサイプ角θAを中間ブロックに形成されるサイプのサイプ角θCよりも小さくしている。
このように、センターブロック15a、ショルダーブロック15b、及び、中間ブロック15cにそれぞれサイプ16a〜16cを形成する際に、センターサイプ角θAをショルダーサイプ角θBよりも大きくし、かつ、中間サイプ角θCをセンターサイプ角θAよりも大きくしたタイヤ10を用いれば、車両の雪上トラクション性能を確保しつつ、雪上ハンドリング性能を向上させることができる。
このとき、中間サイプ角θCの大きさをセンターサイプ角θAの大きさの3倍程度とすれば、車両の雪上トラクション性能と雪上ハンドリング性能とをバランスよく向上させることができる。
センターサイプ角θA、ショルダーサイプ角θB、及び、中間サイプ角θCを上記の範囲にすることで、雪上トラクション性能を確保しつつ、雪上ハンドリング性能を向上させることができる。
また、サイプ16a〜16cとしては、深さ方向に凹凸のない2次元サイプであってもよいし、深さ方向に凹凸のある3次元サイプでもよい。あるいは、2次元サイプを基調とし、その一部を3次元サイプとしてもよい。
また、前記例では、内側縦溝14aと外側縦溝14bとを細溝としたが、内側縦溝14aと外側縦溝14bのいずれか一方又は両方の溝幅を主溝12と同じにしてもよい。
また、内側縦溝14aと外側縦溝14bの延長方向をタイヤ周方向に対して10°程度傾いた方向としたが、これに限るものではなく、タイヤ周方向に平行な方向でもよいし、タイヤ周方向に対して傾いた方向であってもよい。但し、ブロック剛性の観点からは、傾きの大きさとしては、タイヤ周方向に対して30°以内とすることが好ましい。
図3のトレッドパターンでは、主溝12と内側縦溝24aと外側縦溝14bとを細溝とするとともに、内側縦溝24aの溝幅を主溝12の溝幅よりも広くしている。これにより、周方向への排水効果を更に高めることができる。
また、前記例と同様に、縦溝である主溝12の断面積と縦溝24a,14bの断面積との和を、横溝であるラグ溝13の総断面積がよりも小さくすれば、同一ネガティブ率(溝面積比率)での従来のトレッドパターンを有するタイヤと比較してラグ溝13の比率を大きくできるので、雪上での前後力を効果的に確保することができる。
なお、各タイヤのタイヤサイズは195/65R15、使用リムは15×6.5J、内圧は220kPa、荷重は(車重)+70kgである。
雪上ハンドリング性能は、トラック状のテストコースを車速が60km/hで10周したときのトラック一周当たりに要する (LAPタイム)を測定し、このLAPタイムの逆数を従来例1を100とした指数で評価した。数字が高い程LAPタイムが短く、雪上ハンドリング性能が高い。
これに対して、全てのブロックのサイプ角を15°とした比較例1のタイヤでは、雪上ハンドリング性能は向上するものの、雪上トラクション性能が従来例よりも大幅に低下していることが確認された。
また、中間サイプ角とセンターサイプ角とをともに15°とした比較例2のタイヤは、雪上ハンドリング性能は従来例のタイヤよりも向上しているものの、従来例のタイヤとほぼ同等の雪上トラクション性能を確保することはできなかった。
一方、センターサイプ角のみを15°とした比較例3のタイヤは、従来例のタイヤとほぼ同等の雪上トラクション性能を有し、かつ、雪上ハンドリングも性能向上しているが、本発明のタイヤに比較すると雪上ハンドリング性能の向上の度合いが少ないことが分かる。
したがって、この試験により、サイプ角を各ブロック毎に適宜設定することで、雪上トラクション性能を確保しつつ、雪上ハンドリング性能を効果的に向上させることができることが確認された。
14a 内側縦溝、14b 外側縦溝、15a センターブロック、
15b ショルダーブロック、15c 中間ブロック、16a〜16c サイプ。
Claims (4)
- タイヤのトレッド表面のタイヤ幅方向中心部に位置してタイヤ周方向に沿って延長する主溝と、前記主溝と交差する方向に延長するラグ溝と、前記主溝と前記ラグ溝とにより区画される陸部を、前記主溝側に位置するセンターブロックとタイヤ幅方向外側に位置するショルダーブロックと前記センターブロックと前記ショルダーブロックとの中間に位置する中間ブロックとに区画する複数の縦溝と、前記各ブロックにそれぞれ形成された複数のサイプとを備えた空気入りタイヤであって、
前記センターブロックに形成されるサイプのタイヤ幅方向に対する角度であるセンターサイプ角の大きさが3°〜8°の範囲にあり、
前記ショルダーブロックに形成されるサイプのタイヤ幅方向に対する角度であるショルダーサイプ角の大きさが0°であり、
前記中間ブロックに形成されるサイプのタイヤ幅方向に対する角度である中間サイプ角の大きさが9°〜24°の範囲にあることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記センターブロックに形成されるサイプを前記中間ブロック側に延長した直線と前記中間ブロックに形成されるサイプを前記センターブロック側に延長した直線との交点の位置が前記センターブロックと前記中間ブロックとを区画する縦溝内にあり、前記中間ブロックに形成されるサイプを前記ショルダーブロック側に延長した直線と前記ショルダーブロックに形成されるサイプを前記中間ブロック側に延長した直線との交点の位置が前記中間ブロックと前記ショルダーブロックとを区画する縦溝内にあることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記中間サイプ角の大きさが前記センターサイプ角の大きさの3倍であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ラグ溝が、タイヤ幅方向の一方の端部からタイヤ幅方向中心部に向かってタイヤ周方向に交差するように延長し、タイヤ幅方向中心部にて折り返してタイヤ幅方向の他方の端部まで延長するV字状のラグ溝であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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