JP6028988B2 - 滑り止め機能を備えた蓋体 - Google Patents

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Description

本発明は、容器の口筒部に着脱される蓋体、特にはデザイン性と滑り止め機能を備えた蓋体に関する。
容器本体の口筒部に着脱される蓋体としては、例えばネジキャップや嵌め合わせ蓋体が考えられるが、着脱操作は蓋体に対する回動操作や引離し操作により達成される。
この種の着脱操作、特に脱操作は、蓋体の容器本体に対する螺合結合や嵌合結合を解除させるものであるので、この結合力に打ち勝つ操作力を蓋体に作用させる必要があり、このため操作力を蓋体に有効に加えることができるように、手と蓋体との間に滑りが発生しないようにする必要がある。
このための手段としては、例えば以下の特許文献1に記載されているように、蓋体の外周面に、細かい多数の縦条を刻設して構成されるローレットを設けることが、最も代表的な手段として挙げられる。
また、他の手段としては、蓋体の外表面に柔軟性に富んで表面が充分に平滑な軟質皮膜を被覆形成することにより、滑り止め効果と傷付きによる外観体裁の劣化を防止するようにしたものがある(特許文献2参照)。
特開2001−180707号公報 特開2005−075404号公報
上記特許文献1において蓋体を形成するには、内面に細かい多数の縦条が刻設された金型が用いられ、蓋体の成形と同時にローレットが形成される。しかし、通常は蓋体の外周面に縦条が一定のピッチで周方向に並ぶように形成されるだけであるため、デザイン性が付与されたものではなかった。
また金型の内面に刻設されるデザイン、すなわち縦条の位置、大きさ又は範囲を変更すれば、蓋体の外周面に形成されるローレットにデザイン性を高めることが可能となる。しかしながら、外周面のデザインを変更する場合には、デザインが刻設された金型自体を取り替える必要があるため、デザイン変更することが困難であると云う問題がある。
さらに特許文献2に記載の発明は、蓋体の外表面に所定の塗料を塗布することによって軟質皮膜が被覆形成される構成であるため、蓋体の外周面にデザイン性を付与し難いものであった。
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、デザイン性の付与とそのデザインの変更を容易に達成することができる共に滑り止め機能を備えた蓋体を創出することを技術的課題とする。
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる構成は、
頂部と、外周面と、この外周面の下部位置に開栓時に分離可能に設けられた封止リングとを有し、容器の口筒部に着脱される有頂筒状のピルファープルーフ構造から成る蓋体であって、
蓋体の外周面と封止リングの外周面の双方に亘る複数の位置に、任意模様の印刷層を厚盛り状に積層して摩擦係数を高める凹凸が一体的に形成された凸状模様を設けたことを特徴とする、と云うものである。
上記構成では、蓋体の外周面に摩擦係数を高めるための印刷層を凸状模様で形成することにより、デザイン性の付与と滑り止め効果とを同時に達成する。
厚盛り状の印刷層は一回のスクリーン印刷で実現することが可能であるが、多数回の重ね印刷をすると、さらに印刷層の層厚を大きくすることができる。特に円筒状からなる蓋体の場合には、蓋体の外周面が印刷に使用するスクリーン版に向けて凸状に湾曲しているが、スクリーン版から蓋体の外周面に向けて印刷インクをスクイーズする位置の前後直近位置では、版面と外周面とが離反しているので、比較的厚肉の印刷層を押し潰すことなく形成することができる。
さらにこの離反に伴って印刷インクに上方に力が作用し、インクの流動による印刷層の平坦化を抑制し、その印刷層の突出高さを0.2mm以上にも高くすることができ、滑り止め効果を十分に発揮させることができる。なお、通常印刷層の厚さは0.03mm程度である。
蓋体は一般的に合成樹脂成形品が用いられるが、蓋体の外周面に直接凸状模様を形成しようとすると、成形のための金型の内面に凸状模様を刻設する必要があり、多種多様の凸状模様を形成しようとしても、製造コストの点、あるいは対応に要する期間の点で、工業的には自ずとその限界がある。
そこで、上記構成によれば蓋体の外周面に直接凸状模様を形成するのではなく、厚盛り状の印刷層により、すなわちスクリーン印刷におけるスクリーン版を用いることにより凸状模様を容易に変更することができるため、デザインに応じて多種多様な凸状模様のバリエーションの幅を広げることができる。
さらに本発明の他の構成は、請求項1または2に記載の発明において、印刷層を蓋体と同色で形成した、と云うものである。
上記構成では、蓋体と凸状模様とが同一材料で一体に形成されているような外観とすることができる。
さらに本発明の他の構成は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、印刷層を形成する印刷インクに滑り止め効果を有する弾性塗料を用いた、と云うものである。
また本発明の他の構成は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、印刷層を形成する印刷インクにハードコート塗料を用いた、と云うものである。
これらにより形成された印刷層は、特に耐摩擦性、耐擦傷性の面において優れた特性を発揮する。
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成においては、
印刷という比較的簡単な手段を用いることにより、外周面にデザイン性を付与すると共に滑り止め機能を備えた蓋体を提供することができる。
なお、印刷層が、スクリーン印刷により形成される場合には、スクリーン版を変えることにより、安価且つ容易に蓋体の外周面に形成される凸状模様のデザインを変更することができる。このため、凸状模様のデザインのバリエーションの幅を広げることができ、デザイン性に優れた蓋体とすることができる。さらには凸状模様を形成する印刷層の肉厚寸法を自由に設定することができる。
また印刷層蓋体と同色で形成されている構成にあっては、蓋体本体と凸状模様とが同一材料で一体成形で形成されているように見えるため、蓋体の外観上の美観を向上させることができる。
さらに印刷層を形成する印刷インクに滑り止め効果を有する弾性塗料を用いた構成にあっては、特に滑り止め効果に優れ、且つ外周面が傷付き難い蓋体とすることができる。
体の第1参考例を示すボトル状容器の斜視図である。 図1の蓋体を拡大して示す半断面図である。 蓋体に凸状模様を形成する印刷工程の一部を概念的に示す説明図である。 体の第2参考例を示す広口状容器の斜視図である。 本発明の蓋体の実施例を示すペットボトルの斜視図である。 体の第3参考例を示すポンプ付きボトル容器の斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は蓋体の第1参考例を示すボトル状容器の斜視図、図2は図1の蓋体を拡大して示す半断面図、図3は蓋体に凸状模様を形成する印刷工程の一部を概念的に示す説明図である。なお、以下の実施の形態では、印刷層からなる凸状模様をハッチングで示している。
図1及び図2に示す容器1は、ボトル構造をしていて、内容物である乳液などを収納する有底円筒形状をした容器本体4の上端に、縮径した段部を介して、外周面に螺条2aを刻設した口筒部4Bを有して構成されている。
蓋体2は、円盤状の頂部2Aと筒状の外周面2Bと有する有頂筒形状(キャップ状)であり、例えば合成樹脂材料で形成されている。外周面2Bの内面には、容器本体4の口筒部4Bの螺条2aに螺合する螺条4aが設けられている。また蓋体2の頂部2Aの下面には、口筒部4Bに螺合したときに、その密閉度を高めるパッキン5が設けられている。そして蓋体2の外周面2Bの全周には、スクリーン印刷によって厚盛り状に積層された印刷層3による凸状模様Mが形成されている。この印刷層3の厚さの平均値は0.25mmであり、最大厚さは0.35mmにも達する。このように凸状模様Mにおいて突出高さをこの程度にまで高くすることにより、摩擦係数を高くして蓋体2に回転操作力を与えたときに、指と外周面2Bとの間に高い滑り止め効果を付与することができる。
図3は、図1及び図2の蓋体2の外周面2B上にスクリーン印刷する印刷工程の一部を概念的に示している。
スクリーン印刷では、円柱状の支持体10と、スクリーン枠11内に水平方向にテンションを懸けて配設されるスクリーン版11Aと、ブレード状のスキージ12とが用いられる。円筒状の支持体10の外側に蓋体2を外装し、支持体10の中心軸を水平にして保持し、スクリーン版11Aの版面を外周面2Bから6〜8mm程度の隙間Sをおいてセットする(図中の点線で表した水平線参照)。
印刷時には、支持体10の中心軸回りの回動に同期してスクリーン枠11を移動(図2中では右側方向)させながら、スキージ12でスクリーン版11Aを印圧し、このスクリーン版11Aを略V字状に変形させ、このV字の先端を外周面2Bに押し付け、この状態で印刷インク13をスクイーズして印刷層3を厚盛り状に蓋体2の外周面2Bに転写することで形成する。
印刷インク13としては、耐摩擦性、耐擦傷性の面において優れた特性を発揮するものが好ましく、例えば所定の珪酸塩と有機系樹脂とを反応させて一体化した無機−有機複合材を基本とするハードコート塗料が好適である。具体的には、大橋化学工業株式会社製のオーマック(登録商標)を用いることができる。ただし、これに限定されるものではなく、印刷層に高い滑り止め効果を付与する弾性塗料やソフトな質感を与える塗料などその他の印刷インクを用いることもできる。
なお、印刷インク13の色彩は、ベースとなる蓋体2の外周面2Bと同色からなる構成でもよいし、異色からなる構成であってもよい。同色の構成とした場合にあっては、外観上、蓋体2と凸状模様Mとが同一材料で一体に形成されている
ここで、円筒形状からなる蓋体2の外周面2Bに印刷する場合には、この外周面2Bがスクリーン版11Aに向けて凸状に湾曲しており、さらには図3に示したように版面を外表面から6〜8mm程度の隙間Sをおいてセットしてスクリーン版11Aを略V字状に変形させた状態で印刷することにより、スクリーン版11Aからスキージ12により外周面2Bに向けて印刷インク13をスクイーズする位置の前後直近位置では、スクリーン版11Aと外周面2Bとが離反しているので、厚肉の印刷層3を連続的に、押し潰すことなく形成することができる。
また、スクリーン版11Aから外周面2Bに向けて印刷インク13をスクイーズした直後に、スクリーン版11Aと外周面2Bとが離反し、この離反に伴って印刷インク13に上方への力が作用するので、膜厚が0.1〜0.15mm程度のスクリーン版11Aを使用しても、平坦な成形品外表面に印刷する場合に比較して、印刷層3の膜厚を0.3mm以上にもすることができ、印刷層3からなる凸状模様Mをクリアに形成できることができる。
さらに、このようにスクリーン版11Aを略V字状に変形させた状態でスクイーズすることにより、周方向への印刷が1周分進行し、スキージ12がスクリーン枠11の終端部に達した際に、始端部に形成された凸状模様Mの一部をスキージ12で押し潰すのを避けることができ、始端部と終端部の継ぎ目を目立たないようにすることができ、全周に亘って均一に、見栄えのよい凸状模様Mを形成することができる。なお、スクリーン版11Aを変えるだけで、様々なバリエーションからなる凸状模様Mを蓋体2の外周面2Bに簡単に付与することができるため、蓋体2のデザイン性を向上させることが可能である。
図4は蓋体の第2参考例を示す広口状容器の斜視図である。
図4における容器1は、容器本体4の口筒部4Bが広口壜体構造である点で第1参考例と異なるが、その他の構成は第1参考例と同様である。
すなわち、容器本体4は広口壜体構造の有底円筒形状をした胴部4Aの上端に、螺条2aが刻設された口筒部4Bを有して構成され、蓋体2は有頂円筒形状をした外周面2Bの内周面に、容器本体4側の口筒部4Bの螺条2aに螺合する螺条4aを有し、その外表面の全域に印刷層からなる凸状模様Mが被覆形成されている。
この図4に示した第2参考例においては、容器本体4の口筒部4Bの口径が大きいので、容器本体4から蓋体2を螺脱させるのに、強い回転操作力を要することになるが、凸状模様Mが指との間に大きな摩擦を発生させて滑りを防止するため、蓋体2及び容器本体4に、必要な回転操作力を安定して作用させることができる。よって、容器本体4に対する蓋体2の着脱を無理なく円滑に達成することが可能である。
図5は本発明の蓋体の実施例を示すペットボトルの斜視図である。
図5に示す容器1は飲料用のペットボトルであり、第1参考例のボトル状の容器1とほぼ同様の構成である。ただし、この実施例では容器本体4の胴部4Aに、略長円形状からなり減圧時に胴部4Aの陥没変形を抑制するための減圧吸収パネル部7が複数設けられることにより、胴部4Aが全体として多角形状で形成されている点で、円筒状に形成されている第1参考例の容器1と異なっている。
この図5に示した実施例においては、容器本体4は胴部4Aが多角形状であるので、軽い力で把持しても容器本体4と手との間の滑りは防止可能である。他方、蓋体2の外周面2Bは円筒形状であるため、容器本体4から蓋体2を螺脱させるときには、蓋体2との間の滑りを抑制しながら回転操作力を与えることが必要となるが、外周面2Bに形成された凸状模様Mが指との間に大きな摩擦を生じさせて滑りを防止するため、蓋体2を安定的に回転させることができる。よって、上記同様に容器本体4に対する蓋体2の着脱を無理なく円滑に達成することが可能である。
また飲料用のペットボトルでは、蓋体2にピルファープルーフ構造が採用されるが、このピルファープルーフ構造を構成する蓋体2の外周面2Bとその下に位置する封止リング6の外周面6Aの双方に亘って凸状模様Mを形成する構成が好ましい。この構成では、開栓前においては一体的な凸状模様Mを構成するが、開栓により蓋体2と封止リング6とが上下に分離すると、凸状模様Mも上下に分離し、さらには周方向に位置ずれするため、開栓されたものか否かを容易に判断することが可能となる。
さらには凸状模様Mの色彩を、ベースとなる蓋体2の外周面2Bとは異なる色で形成する構成を採用してもよく、この場合には蓋体2の外観を一見しただけで閉栓状態にあるか、開栓状態にあるかを明瞭に判別することができるようになる。
図6は蓋体の第3実施例を示すポンプ付きボトル容器の斜視図である。
図6における容器1は、有底円筒形状をした容器本体4の上部にポンプ部8が設けられたポンプ付きボトル容器である。
蓋体2は、円筒状の外周面2Bとこの外周面2Bの上部に半球状の頂部2Aとが合成樹脂材料により一体に形成されたものであるが、外周面2Bの全周に、凸状模様Mが厚盛り状のスクリーン印刷による印刷層3により形成されている点は、上記第1、第2参考例及び上記実施例と同様である。
第3参考例に示す容器1では、蓋体2の開口端を容器本体4の上部に装着することにより、その内部にポンプ部8が収容される。蓋体2を離脱させるときには、一方の手で容器本体4の胴部4Aを把持し、且つ他方の手で蓋体2を把持した状態において、互いに離れる方向に引き離すことにより行われる。
このとき、凸状模様Mを有しない構成では、把持した蓋体2を引き離そうとすると、指先と蓋体2の外周面2Bとの間がきわめて滑り易い状態となって離脱が困難となる場合があるが、外周面2Bに凸状模様Mを備えた構成では、凸状模様Mの滑り止め効果により、蓋体2を強く把持しなくとも必要な引き離し力を無理なく作用させることができ、これにより蓋体2の離脱を容易に行うことが可能となる。
なお、第3参考例においても、上記第1、第2参考例及び上記実施例同様に、蓋体2の容器本体4への着脱が、蓋体2に形成された螺条と容器本体4に形成された螺条との螺合結合により行われる構成であってもよい。
以上、参考例及び実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、蓋体2が合成樹脂製の場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、アルミニウムなどの金属製の蓋体2の外周面2Bに凸状模様Mを施す構成とすることもできる。
また上記いずれの参考例及び実施例においても、凸状模様Mとしていわゆる牛柄状の模様で示して説明したが、本発明における凸状模様Mはこのような模様に限定されるものではなく、例えば花柄模様などその他の模様であっても良いことは勿論である。
本発明の滑り止め機能を備えた蓋体は、厚盛り状の印刷層からなる凸状模様よって蓋体の外周面にデザイン性と滑り止め効果を付与するものであり、化粧料や飲料水などを収容する容器を口筒部に着脱される蓋体の分野における用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
1 ;容器
2 ;蓋体
2A ;蓋体の頂部
2B ;蓋体の外周面
2a ;螺条
3 ;印刷層
4 ;容器本体
4A ;胴部
4B ;口筒部
4a ;螺条
5 ;パッキン
6 ;封止リング
6A ;封止リングの外周面
7 ;減圧吸収パネル
8 ;ポンプ部
10 ;支持体
11 ;スクリーン枠
11A;スクリーン版
12 ;スキージ
13 ;印刷インク
M ;凸状模様
S ;隙間

Claims (4)

  1. 頂部(2A)と、外周面(2B)と、前記外周面(2B)の下部位置に開栓時に分離可能に設けられた封止リング(6)とを有し、容器(1)の口筒部(4B)に着脱される有頂筒状のピルファープルーフ構造から成る蓋体(2)であって、
    前記蓋体(2)の外周面(2B)と前記封止リング(6)の外周面(6B)の双方に亘る複数の位置に、任意模様の印刷層(3)を厚盛り状に積層して摩擦係数を高める凹凸が一体的に形成された凸状模様(M)を設けたことを特徴とする滑り止め機能を備えた蓋体。
  2. 印刷層(3)蓋体(2)と同色で形成されている請求項記載の滑り止め機能を備えた蓋体。
  3. 印刷層(3)を形成する印刷インクに滑り止め効果を有する弾性塗料を用いた請求項1又は2に記載の滑り止め機能を備えた蓋体。
  4. 印刷層(3)を形成する印刷インクにハードコート塗料を用いた請求項1又は2に記載の滑り止め機能を備えた蓋体。
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