JP6028963B2 - 高分子電解質の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、ニッケル重合後のポリアリーレンを窒素のオキソ酸に接触させる製法が記載されている。しかし、この方法では金属不純物の除去が十分でない。
また、特許文献3には、金属不純物を含有する高分子電解質を、硫酸を含む溶媒に溶解させ、不純物含量が低下した電解質を取り出す精製方法が記載されている。しかし、スルホン化されやすい芳香環は硫酸と反応する可能性が高く、使用できる高分子電解質が限定される。
また、特許文献4には、スルホン酸基またはその前駆体を有するポリアリーレンにおいて、抽出操作によって金属不純物を除去する方法が記載されている。しかし、抽出操作を行なった後に、酸洗浄を行なっており、操作が煩雑である。
さらに、特許文献5では重合溶液を塩酸で繰り返し洗浄している。しかし、特許文献4においてこの方法では精製が不十分であると記載されている。
で示される構造を有することが好ましい。
で示される構造を有し、式(2)で示される構造成分Aモルに対し、式(3)で示される構造成分Bモルが、B/(A+B)が0〜0.95を満たすことが好ましい。
本発明の製造方法は、高分子電解質溶液と第一の酸を混合して、高分子電解質を析出させる工程、および、析出した高分子電解質を第一の酸とは異なる第二の酸で洗浄する工程を含む。
本発明で使用する高分子電解質としては、下記式(1):
で示される構造を主鎖に有することが好ましい。ここで陽イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの第1族の金属イオンや、マグネシウム、カルシウムなどの第2族の金属イオン、アルミニウムなどの第13族金属イオン、第3〜第12族の遷移金属の金属イオンが挙げられる。また、n/(m+n)は、0〜0.95であることが好ましく、0.30〜0.90であることがより好ましい。
で示される構造であることが好ましい。
で示される構造を主鎖に有することも好ましい。また、式(2)で示される構造成分Aモルに対し、式(3)で示される構造成分Bモルが、B/(A+B)が0〜0.95を満たすことが好ましく、0〜0.60であることがより好ましい。また、n/(m+n)は、0〜0.95が好ましく、0.30〜0.90であることがより好ましい。
および下記式(6)
で示される構造であることが好ましい。
で示される構造を主鎖に含んでもよい。また、n/(m+n)は、0〜0.95が好ましい。
で示される構造を有することが好ましい。
で示される構造を含むものが、有機溶媒への溶解性が良好で高分子量ポリマーを得やすいため好ましい。
で示される構造であり、さらに好ましくは下記式
で示される構造である。
本発明で使用する高分子電解質の調製は、一般的な重合反応(「実験化学講座第4版 有機合成VII 有機金属試薬による合成」P353−366(1991)丸善株式会社)などを適用することができる。
本発明の製造方法により得られる高分子電解質を用いて燃料電池用高分子電解質膜を調製することができる。高分子電解質膜は、上述の高分子電解質を膜形状(フィルム形状)に加工したものである。このような製膜方法としては、公知の方法が適宜適用される。上記公知の方法としては、例えば、ホットプレス法、インフレーション法、Tダイ法などの溶融押出成形、キャスト法、エマルション法などの溶液からの製膜方法が例示されうる。例えば溶液からの製膜方法としては、キャスト法が例示される。これは粘度を調整した高分子電解質の溶液を、ガラス板などの平板上に、バーコーター、ブレードコーターなどを用いて塗布し、溶媒を気化させて膜を得る方法である。工業的には溶液を連続的にコートダイからベルト上に塗布し、溶媒を気化させて長尺物を得る方法も一般的である。
調製したオリゴマーや高分子電解質の分子量はGPC法により測定し、標準ポリスチレン試料を用いた換算値から算出した。
GPC測定装置 東ソー社製HLC−8220
カラム 昭和電工社製 SuperAW4000、SuperAW2500の2本を直列に接続
カラム温度 40℃
移動相 NMP(LiBr 10mmol/dm3)
流量 0.3mL/min
検出器 RI検出器
前処理として、試料を秤量後、硫酸及び硝酸を加えてマイクロウェーブ分解装置にて加圧酸分解した。分解液25mLを定容し、ICP−MS法により分析した。
装置 アジレント・テクノロジー社製 Agilent 7500CX
前処理法 燃焼管燃焼法
前処理装置 三菱化学アナリテック社製AQF−2100H
IC測定装置 日本ダイオネクス社製ICS−2000
カラム IonPac AG18、AS18
溶離液 KOHグラジエント
流量 1.0mL/min
検出器 電気伝導度検出器
4,4’−ジクロロベンゾフェノン50.2gと30%発煙硫酸270gを混合し、130℃にて6時間反応させた。反応終了後、室温に戻し、NaCl水(500ml)に注いだ。析出した固体を濾取し、水(500ml)中に加えNaOHにて中和した。系中の固体を濾取した後、減圧乾燥することで目的物を81.1g(収率89%)にて白色固体として得た。
リービッヒ冷却管とDean−Stark管、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(31.6g)と4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(21.42g)、炭酸カリウム(20.78g)、DMAc(200ml)およびトルエン(50ml)を加えた。この溶液を140℃のオイルバス加熱条件下にて3時間攪拌した後、170℃に昇温し、さらに24時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応液をメタノール中に滴下し、生じた白色沈殿を濾取した。水中に固体を入れ、水相を中和した後、60℃にて1時間攪拌した。濾過後、再度60℃の水で洗浄し、さらにメタノール60℃で洗浄した。濾取した固体を70℃にて真空乾燥することで目的物のオリゴマーを白色固体として得た。
リービッヒ冷却管とDean−Stark管、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三口フラスコに、合成例1で得たスルホン化モノマー12gと合成例2で得たオリゴマー8gと2,2’−ビピリジン11.56gとDMSO240mlとトルエン60mlを加えた。これを170℃のオイルバス加熱条件下にて還流させて系中の水分を除去後、トルエンも除き80℃まで冷却した。ここに、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル20gを加えた後、80℃にて3時間反応させて重合溶液を得た。
合成例3の反応終了後、重合溶液を6Nの硫酸600mlに注ぎ固体を析出させた。室温下にて1時間攪拌した後、固体を濾過した後、直ちに2Nの塩酸500ml中で、再度室温下30分攪拌した。固体を濾取した後、水洗し、105℃にて減圧乾燥することで目的の高分子電解質を15g得た。この高分子電解質の分子量はMn=113,000、Mw/Mn=2.17であった。
得られた高分子電解質0.7gをDMSO20mlに溶解した後、溶液をガラス基板上に流延塗布し、80℃にて15時間減圧乾燥した後、さらに100℃にて18時間減圧乾燥した。これを室温下6Nの塩酸で2時間の洗浄を3回繰り返した後、1時間の水洗を2回繰り返した後、60℃の乾燥機で乾燥することで高分子電解質膜を得た。
合成例3の反応終了後、重合溶液を6Nの硫酸600mlに注ぎ固体を析出させた。室温下にて1時間攪拌した後、固体を濾過し水洗、105℃にて減圧乾燥することで目的の高分子電解質を得た。この高分子電解質の分子量はMn=149,000、Mw/Mn=1.82であった。
得られた高分子電解質を実施例1と同様に高分子電解質膜とし、各種評価を実施した。
合成例3の反応終了後、重合溶液を2Nの硝酸600mlに注ぎ固体を析出させた。室温下にて1時間攪拌した後、固体を濾過し水洗、メタノール洗浄した後、室温下にて減圧乾燥することにより目的の高分子電解質を得た。この高分子電解質の分子量はMn=115,000、Mw/Mn=2.14であった。
得られた高分子電解質を実施例1と同様に高分子電解質膜とし、各種評価を実施した。
合成例3の反応終了後、重合溶液を濃塩酸600mlに注ぎ固体を析出させた。室温下にて1時間攪拌した後、固体を濾過し水洗、105℃にて減圧乾燥することで目的の高分子電解質を得た。この高分子電解質の分子量はMn=120,000、Mw/Mn=1.94であった。
得られた高分子電解質を実施例1と同様に高分子電解質膜とし、各種評価を実施した。
合成例3の反応終了後、重合溶液を6N塩酸(2L)に注ぎ固体を析出させた。室温下にて30分攪拌した後、固体を濾過し、再度6N塩酸(2L)中にて室温下1時間攪拌した。固体を濾過、水洗後、105℃にて減圧乾燥することで目的の高分子電解質を得た。この高分子電解質の分子量はMn=63,000、Mw/Mn=2.73であった。
得られた高分子電解質を実施例1と同様に高分子電解質膜とし、各種評価を実施した。
合成例3の反応終了後、重合溶液をDMSO80mlで希釈し、1N塩酸(1L)に注ぎ固体を析出させた。この固体を濾取した後、80℃にて減圧乾燥し、乾燥後の固体を粉砕後、6N塩酸(1L)に加え室温下にて6時間攪拌した。固体を濾過、水洗後、80℃にて減圧乾燥することで目的の高分子電解質を得た。この高分子電解質の分子量はMn=90,500、Mw/Mn=2.05であった。
得られた高分子電解質を実施例1と同様に高分子電解質膜とし、各種評価を実施した。
比較例2で得られた高分子電解質膜を再度DMSOに溶解し、実施例1と同様の条件で製膜した後、6Nの硫酸にて2時間の洗浄を2回繰り返した後、1時間の水洗を2回繰り返した後、60℃の乾燥機で乾燥することで高分子電解質膜を得た。
比較例4で得られた高分子電解質膜を80℃の熱水中にて2時間の洗浄を3回繰り返した後、60℃の乾燥機で乾燥することで高分子電解質膜を得た。
Claims (7)
- 高分子電解質溶液と第一の酸を混合して、高分子電解質を析出させる工程、および、
析出した高分子電解質を第一の酸とは異なる第二の酸で洗浄する工程
を含むことを特徴とする高分子電解質の製造方法であって、
高分子電解質がスルホン酸基を有する親水性セグメントとスルホン酸基を有さない疎水性セグメントからなる共重合体である高分子電解質の製造方法。 - 第一の酸及び第二の酸がそれぞれ第一の酸の溶液及び第二の酸の溶液であって、第一の酸の溶液および第二の酸の溶液の濃度がいずれも0.1〜20Nである請求項1に記載の高分子電解質の製造方法。
- 第一の酸の溶液を、高分子電解質100重量部に対して10〜10000重量部使用する請求項2に記載の高分子電解質の製造方法。
- 第二の酸の溶液を、高分子電解質100重量部に対して10〜10000重量部使用する請求項2に記載の高分子電解質の製造方法。
- 第一の酸が硫酸であり、第二の酸が塩酸である請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質の製造方法。
- 前記高分子電解質が、下記式(2)
で示される構造を有し、式(2)で示される構造成分Aモルに対し、式(3)で示される構造成分Bモルが、B/(A+B)が0〜0.95を満たす、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質の製造方法。
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