JP6028881B1 - チタン合金、セパレータ、および固体高分子形燃料電池 - Google Patents

チタン合金、セパレータ、および固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

白金族元素の少なくとも1種を合計で0.01〜0.15質量%含有し、残部がチタン、酸素および不純物からなるチタン合金であって、前記白金族元素の少なくとも1種と、チタンと、酸素とで構成される化合物の粒子を含み、当該チタン合金の表面における前記粒子の平均サイズが1μm以下であり、かつ当該チタン合金の表面における前記粒子の数密度が25個/1000μm2以上である、チタン合金。このチタン合金は、同等の白金族元素含有率を有する従来のチタン合金に比して、耐食性が高く、低い接触抵抗を維持できる。

Description

本発明は、チタン合金、このチタン合金を用いた燃料電池用セパレータ、およびこのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池に関する。
チタンは、優れた耐食性を有することから、化学工業設備用材料、火力・原子力発電設備用材料、さらには海水淡水化設備用材料等の用途に広範囲に使用されるようになってきている。しかし、チタンが高い耐食性を発現できる環境は、酸化性酸(硝酸等)環境や、海水等の中性塩化物環境に限られており、高温塩化物環境下での耐隙間腐食性、および塩酸等の非酸化性酸溶液中における耐食性(以下、単に、「耐食性」ともいう。)が十分ではなかった。
この問題を解決するために、チタンに白金族元素を含有させたチタン合金が提案され、ASTM規格のGr.7、Gr.17等、数多くの種類が規格化され、様々な用途に使用されている。以下、Gr.(グレード)は、ASTM規格によるものとする。
具体的には、このようなチタン合金は、たとえば、ソーダ工業分野では、電解に使用される陽極電極において、すきま腐食が問題となる部位に使用されている。ソーダ工業用の陽極電極は、100℃以上で20〜30%の塩水中の環境に曝されるため、極めて高い耐食性が要求される。
これ以外に、上述のチタン合金は、下記の分野または用途に用いられている。
(a) NiまたはPbの精錬工業の分野における反応容器、および配管。これらの反応容器、および配管は、スラリーを含む100℃を超える高温高濃度硫酸溶液にさらされる。
(b) 熱交換器の分野。たとえば、製塩分野で用いられる熱交換器で、高温高濃度の塩水にさらされる伝熱管、および、塩素、NOx、またはSOxを含む焼却炉からの排ガスの熱交換に用いられる伝熱管等。
(c) 石油化学工業の分野。100℃を超える高温の原油、硫化水素、塩化アンモニウム等にさらされる石油精製時の脱硫装置の反応容器。
Ti−0.15Pd合金(Gr.7)は、前述した用途での耐食性を改善するために開発された。このチタン合金は、含有するPdが水素過電圧を低下させ、自然電位を不動態域に維持することができるという現象を利用したものである。すなわち、腐食によりこの合金から溶出したPdが合金の表面に再び析出し、堆積することによって、この合金の水素過電圧が低下し、自然電位が不動態域に維持され、優れた耐食性を示す。
特許文献1には、Gr.7に対して、高価なPdの含有率を低減することにより、経済性を向上させたチタン合金が開示されている。このチタン合金(Gr.17)のPdの含有率は、0.03〜0.1質量%であり、Gr.7と比較して低減されているが、Gr.17は優れた耐隙間腐食性を有する。
特許文献2には、耐食性の低下を抑制しつつ安価に製造し得るチタン合金として、白金族元素の1種以上を合計0.01〜0.12質量%含有し、Al、Cr、Zr、Nb、Si、SnおよびMnの1種以上を合計で5質量%以下含有するチタン合金が開示されている。
上述の用途においては、チタン合金は、Pdが0.01〜0.12質量%の範囲内で、十分な耐食性有する。しかし、近年のさらなる特性向上の要求においては、特に、Pdの含有率が0.05質量%未満の場合においては、耐食性等の特性が十分ではなくなってきている。
非特許文献1には、Ti−Pd合金の耐隙間腐食性を得るために、Pdの含有率は0.05質量%以上が必要であること、および第3の元素としてCo、NiまたはVを添加することにより、耐隙間腐食性が向上することが記載されている。
このように、従来の技術ではPdの含有率が0.05質量%未満の場合は、さらなる耐食性向上の要求には十分に応えられなくなってきている。また、Pdの含有率が0.05質量%以上のTi−Pd合金でも、使用環境によっては、表面に疵等の損傷が発生した場合に、この損傷を起点として腐食が進行しやすいという問題がある。
近年、上記のような耐食性に優れたチタンを、燃料電池のセパレータに適用することが試みられている。燃料電池は、水素と酸素との結合反応の際に発生するエネルギーを利用して発電する。このため、省エネルギーと環境対策との両面から、次世代の発電システムとして、燃料電池の導入および普及が期待されている。
燃料電池には、固体電解質型、溶融炭酸塩型、リン酸型、および固体高分子形などのタイプがある。これらの中でも、固体高分子形燃料電池は、出力密度が高く小型化が可能であり、また、他のタイプの燃料電池より低温で作動し、起動停止が容易である。このため、固体高分子形燃料電池を、電気自動車、および家庭用の小型コジェネレーションに利用することが期待されており、近年、特に注目を集めている。
固体高分子形燃料電池のセパレータに求められる主な機能は、次の通りである。
(1)燃料ガス、または酸化性ガスを、電池面内に均一に供給する「流路」としての機能
(2)カソード側で生成した水を、反応後の空気、酸素といったキャリアガスとともに、燃料電池から効率的に系外に排出する「流路」としての機能
(3)電極膜と接触して電気の通り道となり、さらに、隣接する2つの単セル間の電気的「コネクタ」となる機能
(4)隣り合うセル間で、一方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室との「隔壁」としての機能
(5)水冷型燃料電池では、冷却水流路と隣接するセルとの「隔壁」としての機能
固体高分子形燃料電池に用いられるセパレータ(以下、単に「セパレータ」という。)の基材材料としては、大きく分けて金属系材料とカーボン系材料とがある。チタンをはじめとする金属系材料は、金属特有の性質として加工性に優れ、セパレータの厚みを薄くすることにより、セパレータの軽量化が図れるなどの利点を有する。
燃料電池内では、セパレータには、アノードまたはカソードとして機能するガス拡散層が、接触しているとともに、電気的に接続している必要がある。しかし、金属系材料を用いたセパレータ(以下、単に、「金属製セパレータ」という。)は、表面が酸化して、ガス拡散層との接触抵抗が上昇する可能性がある。
一方、カーボン系材料は、比重が小さいことにより軽量なセパレータが得られる利点があるが、ガス透過性を有するという問題や、機械的強度が低いという問題がある。
金属製セパレータ、特にチタン系材料からなるセパレータに関しては、従来、接触抵抗の上昇を抑制する種々の方策が提案されており、たとえば、特許文献3および4に、そのような方策の例が記載されている。
特許文献3には、白金族元素を含有するチタン合金基材を、非酸化性酸および酸化性酸を含む溶液に浸漬して酸洗することにより、その表面に白金族元素を濃化させた後、低酸素濃度雰囲気で熱処理を施したセパレータ用チタン材が提案されている。これらの処理を施すことにより、このセパレータ用チタン材の表面には、白金族元素とチタン酸化物との混合層が形成される。得られたチタン材は、5kgf/cm2(4.9×105Pa)の荷重を付加した状態で、7.4mAの電流を流した際の接触抵抗が、10mΩ・cm2以下となり、導電性に優れるとしている。同様のチタン材は、非特許文献1にも記載されている。
特許文献4では、白金族元素を含有するチタン合金基材を、非酸化性酸を含む酸溶液に浸漬して処理することにより、その表面に白金族元素を濃化させた層を形成したセパレータ用チタン材が提案されている。このチタン材では、濃化した白金族元素により、低い接触抵抗が得られる。
特許文献5では、スチール、ステンレス、チタン等の表面に、金、銀、白金族、RuO2、およびIrO2のいずれかを表面コーティングしたセパレータ材が提案されている。この表面コーティングにより、低い接触抵抗が得られる。
また、セパレータがチタンを主体とするものである場合に限らず、ガス拡散層とセパレータとが繰り返し接触および離間すると、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が増大する。この問題に対しては、特許文献6に記載のように、セパレータの凸部に高密度カーボン層を設ける工夫がなされることがあった。特許文献7では、均一な電流密度を得るために、鉄、ニッケル、これらの合金、およびステンレススチールからなる群から選択される1種または2種以上の金属からなる金属基板上に、白金族元素の導電性酸化物被覆を施したバイポーラ板が開示されている。
セパレータには、低い初期接触抵抗が必要とされる。特許文献6には、セパレータがガス拡散層と接触した状態で繰り返し荷重疲労が加わった場合に、接触抵抗値が上昇することが指摘され、この上昇を抑制する必要性が述べられている。
特許文献8では、チタン合金基材から析出させた貴金属元素と、この貴金属元素を析出させたチタン合金基材を熱処理して生成させたチタン酸化物との混合層を有するチタン材が提案されている。
特公平4−57735号公報 国際公開第2007/077645号 特開2007−59375号公報 特開2006−190643号公報 米国特許出願公開第2007/0015034号明細書 特開2006−134640号公報 国際公開第2003/026052号 国際公開第2007/013508号
幸英昭、外1名、「耐隙間腐食性に優れた低合金チタンSMI−ACE」、材料学会腐食防食部門委員会、2001年9月12日 Glassford K.M.外1名、"Electron transport properties in RuO2 rutil", Phys. Rev. B:Condens. Matter 49(1994), p.7107-7114 北陸先端技術大学院大学 堀田研究室 HP掲載データ、[平成27年2月10日検索]、インターネット〈http://www.jaist.ac.jp/ms/labs/handoutai/horita-lab/FeRAM/words.htm〉
特許文献3および4で提案されているチタン材は、チタン材への水素吸収を抑制する観点から、酸化性酸を含む酸で処理しているので、再析出した白金族元素の下層にチタン酸化物が存在する。したがって、このチタン酸化物を残したままでは、初期の接触抵抗が高いという問題がある。また、酸化性酸を含む酸での処理により、表面の不動態皮膜が厚くなるために、燃料電池を長時間運転すると、腐食生成物の形成等の影響で接触抵抗が高くなるという問題もある。特に、特許文献3に開示された発明では、熱処理を行っていることにより、これらの問題はさらに顕著に表れる。
また、特許文献3のチタン材では、熱処理を行うことによって、コストアップとなるばかりか、チタン材が変形することもあり、また、熱処理の雰囲気条件が厳しいことから、生産性が低下することもあった。
特許文献5〜7に開示されたセパレータでは、表面にコーティング層が形成されていることによって低い接触抵抗が実現されているので、コーティング層が剥離し脱落すると、接触抵抗が高くなるという問題があった。
特許文献3、4および8に開示されたチタン材は、いずれもチタン材表面に析出させた白金族元素により、低い接触抵抗を実現するものであるため、チタン合金基材に多量の白金族元素を添加する必要がある。このため、コストの上昇を免れない。
本発明の目的は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、同等の白金族元素含有率を有する従来のチタン合金に比して、耐食性が高く、低い接触抵抗を維持できるチタン合金を提供することである。
本発明の他の目的は、安価で、低い接触抵抗を維持できる燃料電池用セパレータおよび固体高分子形燃料電池を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、白金族元素ではなく、白金族元素と酸化物を原料としてチタン合金基材に混合し、溶製して得たチタン合金を見出した。すなわち、この白金族酸化物は、溶解過程で酸化物生成自由エネルギーが低いチタンによって還元されるが、チタン合金材表面には、貴金属元素とチタン酸化物の混合物ではなく、チタンと酸素と白金族元素によって構成される化合物(例えばIr−Ti−O,Ir−Ru−Ti−O、TiO酸化物のTiサイトを白金族が置換した(Ir,Ru,Ti)O2−xなど)が露出した状態となる。このような化合物がチタン合金表面に多数存在させることにより、低接触抵抗化を実現することができる。そして、このような化合物であれば、白金族元素自体を表面に析出させるのに比較して、格段に少ない量の白金族元素で、多くの導電経路を確保することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は下記のとおりである。
(A)白金族元素の少なくとも1種を合計で0.01〜0.15質量%、酸素を0.04〜0.4質量%含有し、残部がチタンおよび不純物からなるチタン合金であって、
前記白金族元素の少なくとも1種と、チタンと、酸素とで構成される化合物の粒子を含み、
当該チタン合金の表面における前記粒子の平均サイズが1.0μm以下であり、かつ当該チタン合金の表面における前記粒子の数密度が25個/1000μm2以上である、チタン合金。
(B)前記白金族元素が、ルテニウムおよびイリジウムの少なくとも1種である、上記(A)に記載のチタン合金。
(C)燃料電池用のチタンセパレータであって、
上記(A)または(B)に記載のチタン合金を含む、セパレータ。
(D)上記(C)に記載のセパレータを備える、固体高分子形燃料電池。
本発明のチタン合金は、腐食性環境(特に、低pHの高濃度塩化物環境)において使用される設備、機器類等に用いることにより、これらの設備等の性能および信頼性を、より一層高めることが可能である。
本発明のチタン合金に含まれる化合物の粒子は、高い導電性を有する。この粒子は、チタン合金表面の不動態皮膜を貫通して表面に露出したものとすることができる。この場合、接触抵抗を低減できる。本発明のチタン合金が高い耐食性を有することと併せて、このチタン合金を含むセパレータは、燃料電池、特に、固体高分子形燃料電池内で、低い接触抵抗を維持することができる。
図1は、本発明例7のチタン合金の反射電子像である。 図2は、本発明例7のチタン合金についてのアノード分極曲線である。 図3は、接触抵抗を測定するための装置の構成を示す図である。
上述のように、本発明のチタン合金は、白金族元素の少なくとも1種を合計で0.01〜0.15質量%、酸素を0.04〜0.4質量%含有し、残部がチタンおよび不純物からなる。このチタン合金は、前記白金族元素の少なくとも1種と、チタンと、酸素とで構成される化合物の粒子を含む。当該チタン合金の表面における前記粒子の平均サイズは1.0μm以下であり、かつ当該チタン合金の表面における前記粒子の数密度が25個/1000μm2以上である。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
[白金族元素の含有率]
ここで「白金族元素」とは、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、および白金(Pt)をいう。
白金族元素は、チタンより低い電気抵抗率を有し、固体高分子形燃料電池の動作環境において、酸化および腐食が発生せず、電気抵抗が上昇しない元素である。金属チタンの電気抵抗率は、白金族元素と比較して大きく、加えて、大気中または動作時の固体高分子形燃料電池内環境下で、金属チタンの表面には、強固な不動態皮膜が生成する。この不動態皮膜の電気抵抗は、金属チタンの電気抵抗より大きい。一方、表面不動態皮膜は、チタンが種々の環境で優れた耐食性を発現させる保護機構を担っており、チタンをセパレータに適用する際には、耐食性維持の点で必要である。
本発明のチタン合金では、白金族元素は、白金族元素の少なくとも1種と、チタンと、酸素とで構成される化合物の粒子(以下、「化合物粒子」という。)を構成する元素として多く存在することが好ましい。化合物粒子は、高い電気伝導度、および高い耐食性を有する。チタン合金表面の大部分がチタンの不動態皮膜に覆われていたとしても、表面に化合物粒子が存在すると、この化合物粒子が不動態皮膜を貫通した状態とすることができる。この粒子が、このチタン合金の基材(マトリックス)と電気的な接続経路を有する。化合物粒子は、チタン合金の基材上に付加されたものではなく、チタン合金中に含まれる。このため、チタン合金が腐食環境に曝されても、化合物粒子はチタン合金から脱落しにくい。
以上の理由により、このチタン合金は、低い接触抵抗と高い耐食性とを両立させることができる。また、セパレータとガス拡散層とが繰り返し接触および離間し、またはこれらの間に繰り返し荷重疲労が加わったとしても、これらの間の接触抵抗の上昇は小さい。
白金族元素の含有率は、チタン合金の0.01〜0.15質量%(以下、「質量%」を、単に、「%」という。)とする。白金族元素の含有率が0.01%未満の場合には、化合物粒子により耐食性を高くする効果が不十分となる。一方、白金族元素の含有率が0.15%より高くなると原料コストが多大となり、白金族元素を含有する従来のチタン合金に比して、経済性が悪くなる。また、過剰な含有は、加工性を劣化させる。
経済性と耐食性とのバランスを考慮すると、白金族元素の含有率は、0.02〜0.10%とすることが好ましい。本発明のチタン合金では、白金族元素の含有率がこの範囲でも、白金族元素の含有率が0.10%よりも高いチタン合金と同等の低い接触抵抗を有する。
この化合物の白金族元素がIrおよびRuで構成される場合は、IrとRuとの割合が、原子比で、0.2:0.8〜0.8:0.2の範囲内であることが好ましい。これはIrが高価な元素であることから、経済性に優れたRuをより多く活用することが好ましい一方、耐食性向上の観点では、Irを含有させることが好ましいためである。
[酸素含有率]
酸素は、白金族元素の少なくとも1種と、チタンと、酸素とで構成される化合物粒子を形成するのに必要な元素である。このため、その含有率は、0.04%以上とすることが好ましい。一方、その含有率が過剰な場合には、化合物粒子が大きくなりすぎるので、0.4%以下とすることが好ましい。
[C含有率]
Cは、チタン合金中に含まれる不純物であり、その含有率が過剰な場合には、TiCが析出し、耐食性が劣化するおそれがある。よって、C含有率は、0.2%以下とすることが好ましい。
[Fe含有率]
一般に、チタン合金は、不純物として、Feを含有する。Feは、耐食性を劣化させる作用を有するので、耐食性を高くするためには、Fe含有率は、0.1%以下とすることが好ましい。
[化合物粒子の数密度]
低い接触抵抗を実現するために、チタン合金の単位表面積あたりに、より多くの化合物粒子が存在することが好ましい。また、化合物粒子は、腐食環境にさらされた場合に、チタン合金の水素化電圧を下げて自然電位を貴化し、表面の不動態皮膜を安定させ、または脱不動態化現象が発生しても、チタン合金の表面を再不動態化させる役割を担う。この役割を十分に発揮させるために、単位表面積あたりに、より多くの化合物粒子が存在している必要がある。
本発明のチタン合金の断面について、ミクロ組織を観察することにより、化合物粒子を確認することができる。粒子の数密度は、たとえば、光学顕微鏡により観察されるミクロ組織をランダムに撮影した10枚の画像の各々について、一辺が20μmの正方形の領域内に存在する化合物粒子の数から求めたものとすることができる。化合物粒子の数密度の測定は、光学顕微鏡によるミクロ組織の像に基づくものに限られず、たとえば、SEM(走査電子顕微鏡)により得られる像に基づくものであってもよい。
高い耐食性(具体的には、後述するアノード溶解ピークの有無および不動態維持電流密度により評価される耐食性)、ならびに低い接触抵抗を得るために、必要な化合物粒子の数は、25個/1000μm2以上(10個/400μm2以上)であり、好ましくは、50個/1000μm2以上(20個/400μm2以上)である。一方、化合物粒子の数が過多になると、このチタン合金の延性が低下して、加工性が劣るようになるので、化合物粒子の数密度は、1500個/1000μm2以下であることが好ましい。
チタン合金中の化合物粒子の体積比が一定であるとすると、化合物粒子の平均粒径が大きいほど(したがって、チタン合金の表面での化合物粒子の平均サイズが大きいほど)、化合物粒子の数密度は小さくなり、この場合、接触抵抗が上昇する傾向がある。このため、チタン合金の表面における化合物粒子の平均サイズは、1.0μm以下とし、小さいほど好ましい。本発明者らの試験結果によると、化合物粒子の平均サイズが1.0μmを超える場合は、化合物粒子の数密度が25個/1000μm2以上であっても、接触抵抗は経時的に高くなる。
低い接触抵抗を維持するために、チタン合金表面の化合物粒子の面積率は、3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。
[好ましい白金族元素の種類]
上述のように、主として化合物粒子がチタン合金の表面における導電性を担うので、当該化合物は、低い導電性を有することが好ましい。化合物を構成する白金族元素が、ルテニウムおよびイリジウムの一方または双方であれば、このチタン合金の接触抵抗は低いので、白金族元素としてルテニウムおよびイリジウムの一方または双方を含有する当該化合物の電気伝導度は高いものと考えられる。また、上記非特許文献2によれば、RuO2の比抵抗値ρは、3.52×10-7Ω・mであり、上記非特許文献3によれば、IrO2の電気伝導度は、49μΩ・cmである。このように、RuO2およびIrO2は、いずれも、酸化物でありながら、金属に近い電気伝導度を有する。これらの各酸化物にチタンが加わって構成される化合物も、同様に、高い電気伝導度を有するものと推察される。
したがって、本発明のチタン合金において、白金族元素がルテニウムおよびイリジウムの少なくとも1種であることが好ましい。化合物は、たとえば、Ti1-xRux2であってもよい。Osは、極めて高価なので、白金族元素として用いることは、経済性の面では好ましくない。
[本発明のチタン合金を製造する方法]
本発明のチタン合金は、たとえば、金属チタンと、白金族元素の酸化物とを、金属チタンの融解温度以上の温度に加熱した後、凝固させることにより、製造することができる。したがって、加熱温度の下限は、チタンの融点より高い温度である必要があり、1700℃以上であることが好ましい。金属チタンの融解は、たとえば、Arアーク溶解、真空アーク溶解等により行うことができる。
白金族元素の酸化物は、たとえば、RuO2、およびIrO2の一方または双方とすることができ、粒状の形態であることが好ましい。製造するべきチタン合金において、化合物粒子は、原料の白金族元素の酸化物に対応する。チタンの酸化物生成自由エネルギーは低いので、加熱温度が高すぎると、白金族元素の酸化物はチタンに還元され、これにより生じた白金族元素がチタンとの合金を形成する。この場合、化合物粒子は得られない。このため、加熱温度(チタン融液の温度)は、2500℃以下にすることが好ましい。
また、白金族元素の酸化物は、チタン融液より比重が大きいため、チタン融液中で沈降する。チタン融液中に白金族元素の酸化物を均一に分散させるために、チタンの融解時に溶湯の撹拌を行うことが好ましい。たとえば、真空アーク溶解時には、スターラーにより、溶湯を攪拌することができる。
上述のようにして得られたチタン融液を冷却して凝固させることにより、本発明のチタン合金が得られる。
チタン融液の凝固後、チタン合金を焼鈍してもよい。この場合、焼鈍温度を750℃以下とし、焼鈍時間を8時間以下とすることが好ましい。焼鈍温度を750℃より高く、または焼鈍温度を8時間より長くすると、原料の白金族元素の酸化物のうち、微細なものは消失し、粗大なものは成長してさらに粗大化して1μm以上となるからである。
焼鈍を行うか否かによらず、得られたチタン合金の表面で、不動態皮膜を貫通して露出する化合物粒子が少ないときは、非酸化性酸溶液(たとえば塩酸)を用いて、チタン合金の表面を処理することにより、不動態皮膜の少なくとも一部を除去して、化合物粒子を露出させることができる。化合物粒子は酸化物であるので、露出した化合物粒子の上に不動態皮膜が再度形成されることはない。
各種のチタン合金の試料を作製、または市場から入手し、耐食性、および接触抵抗を評価して、本発明の効果を確認した。
[試料の作製方法]
表1に、試料の作製方法、および得られた試料の化学組成、ならびに化合物粒子の数密度および平均サイズを示す。
原料として、以下のものを用いた。
Ti:市販の工業用チタンスポンジ(JIS1種)
PdO:キシダ化学株式会社製酸化パラジウム粉末(純度:99.9%)
OsO2:キシダ化学株式会社製酸化オスミウム粉末(純度:99.9%)
Rh23:キシダ化学株式会社製酸化ロジウム粉末(純度:99%)
IrO2:和光純薬工業株式会社製酸化イリジウム粉末(純度:99.9%)
RuO2:株式会社フルヤ金属製酸化ルテニウム粉末(純度:99.9%)
PtO2:小島化学株式会社製酸化プラチナ粉末(純度:98%)
いずれの粉末も、目開きが20μmの篩いを通した篩い下(20μm以下の粒子からなる粉末)を用いた。
本発明例1〜8、および比較例1〜3の試料は、以下の方法により作製した。まず、白金族元素の酸化物とチタンスポンジとを、Arアークボタン溶解により、アークで溶湯を撹拌しながら鋳造し、厚さが15mmのインゴットを作製した。このインゴットを880℃に加熱し、熱間圧延により厚さを4mmまで減じ、その後、750℃で30分熱処理を施した。そして、得られた試料の表面に形成された黒皮を、機械加工により除去した。
次に、この試料の厚さを、複数回の冷間圧延により0.15mmまで減じた。試料の厚さを最終的な厚さにするまでの間に、ひずみ取り焼鈍を、Arガス中、650℃、4時間行った。その後、Arガス中で、650℃、4時間の焼鈍を行い、それぞれ、本発明例、および比較例の試料とした。
比較例の試料は、後述のように、本発明のチタン合金の要件のいずれかを満たさないものであった。
従来例1は、市販のJIS1種チタン材を入手したものである。
従来例2〜6の試料は、いずれも、市販のチタン材を入手したものであるか、特許文献に記載のチタン材を同文献に記載の条件で作製したものである。従来例2の試料は、市販のGr.17のチタンであり、特許文献1に記載のものである。従来例3の試料は、市販のGr.7のチタンを用いて、特許文献3中の略号4と記載された実施例を再現したものである。従来例4の試料は、市販のGr.7のチタンを用い、特許文献4中にNo.4−3と記載された実施例を再現したものである。従来例5の試料は、市販のJIS1種チタンに、特許文献5に開示された条件に従ってAuを蒸着して成膜したものである。従来例6の試料は、特許文献7に記載のものである。この試料は、基材にJIS1種チタンを用い、この基材を、80℃の20%塩酸水溶液中で10分処理し、その後、20%塩酸水溶液中に塩化白金酸と塩化ルテニウム酸とをそれぞれの金属が50g/L含まれるように溶解した浸漬液に、室温で10分間浸漬して得たものである。
従来例の試料は、いずれも、白金族元素の少なくとも1種と、チタンと、酸素とで構成される化合物の粒子を含有しないものであった。
[化合物粒子の数密度]
本発明例、および比較例の試料について、表面の化合物粒子の数密度を測定した。測定方法は、以下の通りである。
各試料を、圧延長手方向に沿う断面、および圧延幅方向に沿う断面が得られるように切断し、これらの断面のそれぞれについて、5つの視野で、ミクロ組織の反射電子(BSE)像を、2000倍の倍率で撮影した。そして、像の視野に存在する白色析出物数をカウントし、視野面積で除算することで、数密度(個/1000μm2)を算出した。
図1に、本発明例7のチタン合金の反射電子像であって、化合物粒子の数密度を測定する対象としたものの一例を示す。図1において、化合物粒子の例を矢印で示す。反射電子像では、化合物粒子は、基材に比して明度が高い(白っぽい)。
[化合物粒子のサイズ]
本発明例、および比較例の試料について、化合物粒子のサイズを測定した。測定方法は、以下の通りである。
化合物粒子の数密度を測定した上述の反射電子像を二値化処理し、化合物粒子が球形で、その最大径部が像に現れているとみなして、その平均粒径を算出し、化合物粒子のサイズとした。化合物粒子のサイズは、数密度測定に用いた10個の像について、三谷商事株式会社製の画像解析ソフト、WinROOF Ver.7.4を用いて算出した。
[白金族元素含有率]
各試料を酸溶液に溶解させ、生じた残渣も異なる種類の溶液で溶解させ、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法で、各試料中の白金族元素含有率を測定した。
[耐食性調査]
各試料について、純チタンがすきま腐食を起こす溶液環境下で、アノード分極試験、すなわち、電位を変化させながら電流密度の測定を行い、アノード溶解ピークの有無を調査し、不動態維持電流密度を純チタン(従来例1)と比較することで耐食性の良否を判定した。
測定機器:北斗電工株式会社製の電気化学測定システム HZ−3000
腐食試験環境:
溶液:250g/L−NaCl;塩酸でpH=0.5に調整
温度:80℃
脱気ガス:Ar
自然電位:各試料を上記溶液中に不通電状態で24時間放置後測定
スウィープ速度:20mV/分;飽和カロメル電極(SCE)に対する電位が1.0Vになるまでスウィープ
自然電位を測定するまでの放置時は、従来例5および6の試料については、それぞれ、表面に形成した蒸着材およびコーティング材の耐久試験を兼ねるものであった。
図2に、本発明例7のチタン合金についてのアノード分極曲線を示す。この試料では、アノード溶解ピークが認められず、不動態維持電流密度が、純チタンと比較して低かった。このような特徴を有する試料の耐食性を良と判定した。本発明例の試料は、いずれも、同様の傾向を示した。
[接触抵抗測定]
図3は、接触抵抗を測定するための装置の構成を示す図である。この装置を用いて、各試料の接触抵抗を測定した。具体的には、まず、各試料について、圧延時に生じた表面不動態皮膜を除去するために0.2%のHF水溶液に3分浸漬して酸洗した後、水洗および乾燥を施した。
図3を参照して、測定対象の試料である金属板11を、固体高分子形燃料電池のガス拡散層に使用される1対のカーボンペーパー(東レ(株)製 TGP−H−90)12で挟み込み、これを1対の金めっきした電極13で挟んだ。カーボンペーパーの面積は、1cm2であった。次に、この1対の金めっき電極13を介して一定の電流を流して、10秒間10kgf/cm2(9.81×105Pa)の圧力で加圧し、その後すぐに除荷する工程を、20サイクル繰り返して、その後、カーボンペーパー12と金属板11との間の電圧降下を測定し、この結果に基づいて抵抗値を求めた。得られた抵抗値は、金属板11の両面の接触抵抗を合算した値となるため、これを2で除して、金属板11の片面あたりの初回の接触抵抗値とした。
さらに、特許文献6の段落[0030]に記載されているように、10kgf/cm2と20kgf/cm2(19.6×105Pa)との応力負荷を繰り返し5回行った後、負荷応力10kgf/cm2時の接触抵抗を測定した。
初回測定時、および5回目測定時の接触抵抗の値が、いずれも10mΩ・cm2以下であった金属板を合格として、良否を判定した。以下、特に比較の基準を示さない限り、接触抵抗の測定値について、「低い」とは、10mΩ・cm2以下であったことを意味し、「高い」とは、10mΩ・cm2を超えたことを意味する。
[評価結果]
表2に、各試料についての耐食性および接触抵抗の評価結果を示す。
〈従来例〉
従来例1(純チタン)
耐食性:アノード溶解電流のピークが観察された。すなわち、耐食性は低かった。
接触抵抗:初回測定時で、すでに、高い値を示し、5回目測定時には、さらに高い値を示した。
従来例2〜4および6
耐食性:従来例と比較して高い耐食性を示した。
接触抵抗:初回測定時には低い値を示したが、5回目測定時には高い値を示した。
従来例5
耐食性:アノード溶解電流のピークが観察された。自然電位測定後、蒸着されたAuが溶液中に脱落して浮遊物として存在していた。基材に対する蒸着膜の密着性が実用的な耐久性を有していなかったとものと推測される。
接触抵抗:初回測定時には低い値を示したが、5回目測定時には高い値を示した。
〈比較例〉
比較例1
耐食性:アノード溶解ピークが観察された。
接触抵抗:初回測定時には、低い値を示したが、5回目測定時には、高い値を示した。
以上の結果は、白金族元素の含有率、および化合物粒子の数密度が、本発明で規定する範囲より小さいことと関係していると考えられる。
比較例2
耐食性、および接触抵抗のいずれも良好であったが、延性に乏しく、加工性が劣っていた。表1に材料の延性を評価した伸び値%を示す。比較例2の伸びは25%以下に過ぎないが、本発明は25%以上の伸びを有する。これは、比較例2の試料で、白金族元素の含有率が本発明で規定する範囲より大きく、化合物粒子の数密度が大きかったことと関係しているものと考えられる。比較例2の試料は、固体高分子形燃料電池のセパレータのように加工工程を経て製造される製品には適さない。
比較例3
耐食性:純チタンより高かった。
接触抵抗:初回測定時には、低い値示したが、5回目測定時には、高い値を示した。これは、比較例3の試料で、化合物粒子のサイズが、本発明で規定する範囲より大きかったことと関係しているものと考えられる。
比較例3の試料で、本発明例1〜8の試料に比して、化合物粒子のサイズが大きいのは、比較例3の試料の作製時に、本発明例1〜8の試料の作製時に比して、焼鈍時間が長かったことに起因していると考えられる。
〈本発明例〉
本発明例1〜8の試料は、いずれも、耐食性は純チタンより高く、接触抵抗値は、初回測定時、および5回目測定時のいずれでも低かった。ただし、本発明例8の試料では、初回測定時、および5回目測定時のいずれの接触抵抗も、10mΩ・cm2に近い値を示した。これは、化合物粒子の数密度が、本発明例8の試料で、本発明例1〜7の試料に比して低いことと関係しているものと考えられる。
本発明例8の試料の作製時に、白金族元素は、酸化物として添加したが、溶湯温度が2500℃を超えたことにより、この酸化物の一部がチタンにより還元され白金族元素となり、その多くが、チタンに固溶するか、チタンと白金族とにより構成される(すなわち、酸素を実質的に含有しない)化合物となったものと推測される。これに関連して、得られたチタン合金において、本発明例1〜7の試料に比して、化合物粒子の数密度、すなわち、表面の不動態皮膜を貫通して表面に露出する電気的接点の数密度が少なくなり、接触抵抗が高くなったものと考えられる。
以上の実施例から、本発明によるチタン合金は、耐食性と、低い接触抵抗(初期、および繰り返し応力負荷後)とを有し、さらに高い加工性を有することが明らかとなった。
本発明のチタン合金は、腐食性環境(特に、低pHの高濃度塩化物環境)において使用される設備、機器等に用いることにより、その設備、機器等の性能を維持し、信頼性を高めることが可能である。このチタン合金の組織中に存在する化合物粒子は良好な導電性を有するので、この化合物粒子がチタン合金表面の不動態皮膜を貫通して表面に露出する形態を実現すると、低い接触抵抗を実現できる。この場合、本発明のチタン合金は、固体高分子形燃料電池のセパレータ用素材として、好適に利用できる。
11:金属板
12:カーボンペーパー
13:金めっき電極

Claims (4)

  1. 白金族元素の少なくとも1種を合計で0.01〜0.15質量%、酸素を0.04〜0.4質量%含有し、残部がチタンおよび不純物からなるチタン合金であって、
    前記白金族元素の少なくとも1種と、チタンと、酸素とで構成される化合物の粒子を含み、
    当該チタン合金の表面における前記粒子の平均サイズが1.0μm以下であり、かつ当該チタン合金の表面における前記粒子の数密度が25個/1000μm2以上である、チタン合金。
  2. 請求項1に記載のチタン合金であって、
    前記白金族元素が、ルテニウムおよびイリジウムの少なくとも1種である、チタン合金。
  3. 燃料電池用のセパレータであって、
    請求項1または2に記載のチタン合金を含む、セパレータ。
  4. 請求項3に記載のセパレータを備える、固体高分子形燃料電池。
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