JP6028004B2 - ドーム部が傾斜しているおろし器 - Google Patents

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Description

本発明は、おろし器に関する。
従来、野菜等の食材を細かくすりおろすためのおろし器にあっては、金板やセラミックス製の皿状体に、断面形状が円錐形状や台形状である棘状突起刃あるいはギザ刃を形成しておろし刃とするものが知られている(例えば特許文献1、2、3を参照)。また、おろし面に適当な間隔で貫通孔を設けて、おろされた食材を下方の容器に落下させるものが知られている(例えば特許文献1、3を参照)。
実開平4−80447号公報 特開2002−191512号公報 特開2005−73861号公報
しかしながら、上記おろし器においては、作業中に指が棘状突起刃やギザ刃に当たって怪我をすることがある。
また、棘状突起刃やギザ刃が食材の当接面から掻き出すようにして刃に当接した部分の食材を掻きおろすため、食材(例えば生姜等)の繊維が刃に引っ掛かって、洗浄しにくいという問題がある。また、突起刃やギザ刃に洗浄用のたわしが引っ掛かることも多く、洗浄の難しさを増す。
さらに、食材が摺動作業における進行方向と逆方向におろされて金面に残るという問題がある。この問題を解決するため、特許文献1に係るおろし器においては、数列の棘状突起刃ごとに一列の貫通孔が設けられ、特許文献3に係るおろし器においては、略四辺形状の貫通孔の両辺(進行方向と直行し互いに対向する両辺)にキザ刃が設けられているものの、おろされた食材は、必ずしも直ちに貫通孔から下方に落下するとは限らず、何回かの摺動作業で落下するものもあり、完全に解決できたとは言い難い。このような問題は、根本的には、上記おろし器において、食材をおろす作業と、食材を下方に落下させる作業とは、それぞれ独立した作業になるからである。おろされて金面に残された食材は、何回も刃に当たって、おろし作業の効率の低下や食感が悪くなる要因となり、根本的な解決手段が望まれる。
また、さらに、近時、離乳食や介護食への需要が高まり、食材を従来の薬味等細かい断片よりも大きめのブロックにおろすことが可能なおろし器が望まれている。
上記課題を解決するために、本発明に係るおろし器は、食材を摺動させる面であるおろし面と、前記おろし面に形成された複数の刃部と、を備えるおろし器であって、前記刃部は、貫通孔と、前記おろし面から徐々に幅を広げながら隆起し、前記貫通孔の縁に至る形状をなすドーム部と、を含み、前記ドーム部は、前記隆起の始まりと前記貫通孔の中心とを結ぶ方向(以下「ドーム方向」という)が、前記おろし器の長手方向、柄方向、又は傾斜方向に直交する方向に対して、0°を超えて、45°以下の角度となるように形成されている。
また、前記ドーム部は、前記ドーム方向が、前記おろし器の長手方向、柄方向、又は傾斜方向に直交する方向に対して、10°〜30°の角度となるように形成されていてもよい。
また、隣り合う前記刃部は、前記おろし器の長手方向、柄方向、又は傾斜方向に対して、前記貫通孔の位置が互いにずれて配置されていてもよい。
また、隣り合う前記刃部は、前記おろし器の長手方向、柄方向、又は傾斜方向に直交する方向に対して、前記貫通孔の位置が互いにずれて配置されていてもよい。
また、複数の前記刃部は、前記ドーム方向が交互に異なるように配置されていてもよい。
また、複数の前記刃部の少なくとも一部は、同一の前記貫通孔に対して、複数の前記ドーム部が形成されていてもよい。
また、前記同一の貫通孔に対して形成された複数のドーム部は、互いに向き合っていてもよい。
また、前記同一の貫通孔に対して形成された複数のドーム部は、前記おろし面の表面及び裏面に形成されていてもよい。
また、前記おろし器は、さらに、柄を備えてもよい。
また、前記おろし器は、さらに、前記おろし面を囲う枠が載置される容器を備え、前記容器は、載置された前記おろし器本体が前記摺動方向における手前側から反対側に傾斜するように、形成されていてもよい。
本発明によれば、安全で洗浄しやすく、また、一つのおろし作業で食材のおろしとおろされた食材の容器への落下を完了させ、おろし作業の効率を向上させるおろし器を提供することができる。
実施形態1に係るおろし器を示した図である。 実施形態1に係るおろし器のおろし刃を説明するための図である。 実施形態1に係るおろし器を用いたおろし作業を説明するための図である。 実施形態1の変形例1に係るおろし器を示した図である。 実施形態2に係るおろし器の一例を示した図である。 実施形態2に係るおろし器の一例のおろし刃を説明するための図である。 実施形態2に係るおろし器のもう一つの例を示した図である。 実施形態2の係るおろし器のもう一つの例におけるおろし刃を説明するための図である。 実施形態3に係るおろし器を示した図である。 実施形態3に係るおろし器のおろし刃を説明するための図である。 実施形態3の変形例1に係るおろし器を示した図である。
以下、図面に基づいて本発明に係るおろし器の実施形態の例を説明する。
<実施形態1>
まず、おろし器1の全体の概略について説明する。図1は、本実施形態1に係るおろし器1を示した図である。図2は、本実施形態1に係るおろし器1のおろし刃20を説明するための図である。図3は、本実施形態1に係るおろし器1を用いたおろし作業を説明するための図である。
おろし器1は、おろし面と、当該おろし面に形成された複数の刃部と、を備える。下ろし面は、食材を摺動しておろす際に、当該食材を摺動させる面である。
具体的には、図1に示すように、おろし器1は、おろし金10と、複数のおろし刃20と、おろし枠30とを含む。おろし金10は、食材を摺動しておろす際に食材との当接面となる部分であり、上記おろし面に相当するものである。おろし刃20は、上記刃部に相当するものである。おろし金10は、例えば、角に丸みを持つ略台形をなし、おろし作業時に手前側となる基端部の幅が細く、反対側となる先端部の幅が広く形成される。
おろし金10は、金属製である。具体的には、おろし金10は、例えば0.2〜0.5mm程度のステンレス鋼板が用いられる。また、おろし金10は、外周部分にエンボス加工を施し、金属板のゆがみ等を防止することができる。さらには、中央付近などに適宜リブ状にエンボスを設けてもよい。
前述のように、おろし金10には、複数のおろし刃20が形成されている。おろし刃20は、おろし金10の表裏のうち一方の面に形成されている。本実施形態では、おろし金10の表面に形成されるものとする。おろし刃20は、穴部21と、ドーム部22とを含む。
おろし刃20の穴部21は、円形状の貫通孔である。穴部21は、例えば2.0〜5.0mmの範囲内とすることができる。おろし刃20のドーム部22は、おろし金10の表面から徐々に幅を広げながら隆起し、穴部21の縁に至る形状をなす。ドーム部22は、上記隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、0°〜45°の角度となるように形成されている。例えば、粗目な大根おろしの仕上がりには角度を大きくすることで対応できる。さらには、従来の細かめの大根おろしに仕上げるには、10°〜30°がより適している。ここでは、例えば、図2(a)に示すように、ドーム部22は、隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、18°の角度となるように形成される。
おろし刃20は、おろされた食材の用途によって、適宜な大きさに形成することができる。具体的には、例えば、薬味用に細かくおろしたい場合は、おろし刃20を小さく形成し、みじん切りのようにすこし大きいブロックにしたい場合は、おろし刃20を大きく形成することができる。例えば、図2(b)に示すように、おろし刃20は、穴部21の直径を3.5mm、ドーム部22の最大幅を3.3mm、ドーム部22の隆起の始まり部分から穴部21の中心部分までの距離を4.75mm、穴部21の縁におけるドーム部22の頂点の高さを1.2mmに形成することができる。
また、穴部21は、楕円形状や、さらには多角形でも良いが、角を丸めることで、安全性を高めることができる。また、穴部21とドーム部22の最大幅の比や、ドーム部22の最大幅に対する頂点の高さの比を変えることで、仕上がりの細かさや食材の仕上がり形状を変えることで、食感も変化する。
おろし金10の外周には、その外周縁を囲むようにおろし枠30が形成されている。おろし枠30は、例えば、おろし金20に相応して角に丸みを持つ略台形に形成される。おろし枠30は、プラスチック樹脂やエラストマー樹脂で、おろし金10をインサート成型して形成することができる。または、ステンレス鋼の板厚材を用いて形成したり、角材やワイヤーを用いておろし枠30を形成し、おろし金10を溶接して一体化することもできる。さらには、木材でおろし枠30を形成することもできる。
次に、おろし器1を用いたおろし作業を説明する。
おろし器1を用いたおろし作業は、食材をおろし器1のおろし金10に押し当てて、おろし金10の基端部から先端部の方向に単方向に摺動することにより行われる。
図3(a)に示すように、ドーム部22は、摺動方向即ち進行方向の斜め前方、具体的には進行方向に直交する方向と10°〜30°の角度になる前方で、食材を待ち受ける。
図3(b)に示すように、食材がおろし刃20に到達しドーム部22に当接すると、ドーム部22の開口部となる穴部21の縁からドーム状の頂点付近にかけての縁面が食材に切り込む。そして、食材がさらに押されて進行すると、切り込まれた部分がドーム部22の内壁部に当たって内壁部に沿って押し下げられる。さらに、これと同時に、ドーム部22が摺動の直角方向に対して斜めに設けられた角度により、斜めに曲げる力が働き、結果としてねじり曲げられる力が働く。これにより、食材が抉り取られるように周囲から離断されて、略半月状の断片に切られて穴部21から下方に落ちる。そして、摺動により次々に断片が削り落とされることとなる。例えば大根を例にとってみれば、摺動により大根が穴部21の縁からドーム状の頂点付近にかけての縁面によって切り込まれ、さらに、押し込まれる。これにより、本来ならば連続した長い千切り状態に加工されるものであるが、ドームの内壁面で、急激に折り曲げられるため、食材が食材の弾性力を超えた曲げにより、微細に折り曲りながら捲り上げられ、断片を形作り、大根は抉られた形状を示す。さらに、前述した捻じりが生じ、断片化が加速される。
複数のおろし刃20が進行方向で待ち受けて、当接された食材の部分を上記のように断片化することで、食材がおろし器1によって平均的におろされる。
このように、おろし器1では、棘状の突起刃を使用せず、ドーム形状に形成された前方障害壁即ちおろし刃20のドーム部22を用いて食材をおろす。言い換えれば、ドーム部22の開口部となる穴部21の縁面が、刃になる。そのため、従来のように棘状の突起刃に当たって指等に怪我をすることがなくなる。
また、食材が略半月状の断片に切られて穴部21から下方に落ちるため、食材の繊維が刃に引っ掛かって洗浄しにくいという課題も解決される。
さらに、おろし作業の過程で食材が落下しておろし金から離れるため、おろされた食材が金面に残り、何回も刃に当たって、おろし作業の効率低下や食感が悪くなるという課題も解決される。
さらには、食材が微細な折り曲げから切断され形成されるため、食材がふんわりと形成できるとともに、ドレッシングなどがしみ込みやすくなる。
おろし刃20の数は、おろし刃20の大きさ及びおろし金10の面積を考慮して、適宜定めることができる。
また、複数のおろし刃20の配置も適宜定めることができる。例えば、隣り合うおろし刃20を、摺動方向に対して、穴部21の位置が互いにずれるように配置することができる。また、摺動方向に直交する方向に対しても、穴部21の位置を互いにずれるように配置することができる。また、ドーム部22の方向が交互に異なるように配置することもできる。一例として、例えば、図1に示すように、複数のおろし刃20は、進行方向(摺動方向)では、上下に隣り合うおろし刃20の穴部21をずらし、かつドーム部22の方向が交互に異なるように配置し、進行方向に直交する方向では、おろし金10の幅の略中心地帯(線L1〜線L2)からおろし刃20が略逆V字状に左下がり及び右下がりの行をなし、右側の行のおろし刃20のドーム部22と左側のおろし刃20のドーム部22が対峙するように配置することができる。
このように、隣り合うおろし刃20の穴部21をずらして配置することで、食材をまんべんなくおろすことができる。また、ドーム部22の方向が交互に異なるように配置することで、左右斜めに隣り合うおろし刃20のドーム部22同士が対峙して進行方向に対し横ブレする動きを左右に均等にすることができる。また、おろし刃20を略逆V字状の行をなし、両側のドーム部22が対峙するように配置することで、進行方向に対し食材が左右の片側に反れるような横ブレを防止することができる。
<実施形態1の変形例1>
図4は、実施形態1の変形例1に係るおろし器2を示した図である。おろし器2は、容器50を備える点のみが実施形態1に係るおろし器1と異なるため、以下では実施形態1と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
容器50は、おろし器2本体が載置されて、おろし刃20によりおろされた食材を受け止める部分である。容器50は、底面の周囲に側壁が形成され、おろし枠30が載置される面が開放されて開放口部51が形成されている。開放口部51は、おろし枠30に相応して、使用状態における先端部側が基端部側より幅広く、また各角部は丸みを持つように形成されている。また、容器50は、基端部側が先端部側より深く形成されている。
開放口部51は、外縁が外周方向に延出するように形成されて、この外縁によりおろし枠30を受け止める。また、容器50の両側壁には切欠部52が設けられている。図4に示すように、載置されたおろし器2本体は、外周部30の切欠部52により露出している部分を持ち上げることにより、容易に取り外すことができる。
以上のように、おろし器2は、容器50を備えることで、他の器具を必要とせずに、おろし作業を行うことができる。また、容器50は食器としてもそのまま利用できるため、食卓に持ち込んで使用することもでき、利便性が高くなる。
また、おろし器2は、おろし器2本体を容器50に載置するだけで一体化して使用できるため、簡便である。また、容器50は、基端部側が先端部側より深く形成されているため、載置されたおろし器2本体が基端部側から先端部側に傾斜し、使い心地がよい。
また、図示していないが、おろし器2は、底部にゴムなどの滑り止めを設けたり、上部に保管用のカバーを設けたり、内部にすのこ状の水切りトレーを設けてもよい。
<実施形態2>
図5は、実施形態2に係るおろし器3の一例を示した図である。図6は、実施形態2に係るおろし器3の一例におけるおろし刃20Aを説明するための図である。おろし器3は、おろし刃20A及び柄40のみが第1の実施形態に係るおろし器1と異なるため、以下では実施形態1と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
おろし器3は、おろし金10と、おろし刃20Aと、おろし枠30と、柄40とを備える。
おろし器3を用いたおろし作業は、食材をおろし器3のおろし金10に押し当てて、おろし金10の基端部から先端部方向に摺動して、あるいは、おろし金10の先端部から基端部方向に摺動して、あるいは、基端部と先端部との間で双方向に往復摺動して行うことができる。以下、おろし金10の基端部から先端部への摺動方向を「往方向」とし、先端部から基端部への摺動方向を「復方向」とする。
おろし器3のおろし金10には、複数のおろし刃20Aが形成されている。おろし刃20Aは、おろし金10の表裏のうち一方の面に形成されている。本実施形態では、複数のおろし刃20Aは、おろし金10の表面に形成されるものとする。おろし刃20Aは、同一の貫通孔に対して、複数のドーム部が形成されている。具体的には、図5に示すように、おろし刃20Aは、1つの穴部即ち穴部21と、2つのドーム部即ちドーム部22及びドーム部23とを含む。
おろし刃20Aの穴部21は、前述のように円形状の貫通孔であり、例えば2.0〜5.0mmの範囲内とすることができる。また、おろし刃20Aのドーム部22は、前述のように、おろし金10の表面から徐々に幅を広げながら隆起し、穴部21の縁に至る形状をなす。ドーム部22は、上記隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、0°〜45°の角度となるように形成されている。例えば、図6(a)に示すように、ドーム部22は、隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、18°の角度となるように形成されている。
これに対して、ドーム部23も、おろし金10の表面から徐々に幅を広げながら隆起し、穴部21の縁に至る形状をなす。また、ドーム部23も、上記隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、0°〜45°の角度となるように形成されている。例えば、図6(a)に示すように、ドーム部23は、隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、18°の角度となり、かつドーム部22と互いに向かい合うように形成される。すなわち、ドーム部22とドーム部23とは、隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ線が同一線上にあるように形成される。
おろし刃20Aは、おろされた食材の用途によって、適宜な大きさに形成することができる。例えば、図6(b)に示すように、おろし刃20Aは、穴部21の直径を3.5mm、ドーム部22の最大幅を3.3mm、ドーム部22の隆起の始まり部分から穴部21の中心部分までの距離を4.75mm、穴部21の縁におけるドーム部22の頂点の高さを1.2mm、ドーム部23の最大幅を3.3mm、ドーム部23の隆起の始まり部分から穴部21の中心部分までの距離を3.35mm、穴部21の縁におけるドーム部23の頂点の高さを1.2mmとすることができる。
おろし器3を用いたおろし作業は、おろし金10の基端部から先端部方向(往方向)に摺動するおろし作業では、食材がドーム部22に当接して切られて穴部21から下方に落下する。また、おろし金10の先端部から基端部方向(復方向)に摺動するおろし作業では、食材がドーム部23に当接して切られて穴部21から下方に落下する。それぞれの作業の詳細については、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
おろし刃20Aの数は、おろし刃20Aの大きさ及びおろし金10の面積を考慮して、適宜定めることができる。また、おろし刃20Aは、おろし金10に適宜配置することができる。例えば、隣り合うおろし刃20を、摺動方向に対して、穴部21の位置が互いにずれるように配置することができる。また、摺動方向に直交する方向に対しても、穴部21の位置を互いにずれるように配置することができる。また、ドーム部22の方向が交互に異なるように配置することもできる。一例として、例えば、図5に示すように、複数のおろし刃20Aは、進行方向(摺動方向)では、上下に隣り合うおろし刃20Aの穴部21をずらし、進行方向に直交する方向では、左右に(左右斜めに)隣り合うおろし刃20Aの穴部21をずらし、かつドーム部の方向が交互に異なってドーム部22同士またはドーム部23同士がそれぞれ対峙するように配置することができる。
このように、隣り合うおろし刃20Aの穴部21をずらして配置することで、食材をまんべんなくおろすことができる。また、左右に(左右斜めに)隣り合うおろし刃20Aのドーム部22同士またはドーム部23同士がそれぞれ対峙するように配置することで、進行方向に対し横ブレする動きを左右に均等にすることができる。
おろし器3は、おろし器1と同様に、棘状突起刃を使用していないため、従来のように棘状の突起刃に当たって指等に怪我をすることがなくなる。また、食材が略半月状の断片に切られて穴部21から下方に落下するため、食材の繊維が刃に引っ掛かって洗浄しにくいという課題も解決される。また、おろし作業の過程で食材が落下しておろし金から離れるため、おろされた食材が金面に残り、何回も刃に当たって、おろし作業の効率低下や食感が悪くなるという課題も解決される。
さらに、おろし器3は、大きさの異なる2つのドーム部(ドーム部22及びドーム部23)を有するおろし刃20Aを用いることで、おろし金10の基端部から先端部への方向と、先端部から基端部への方向とで、異なる大きさに食材をおろすことができ、利便性が高くなる。
また、ここで、おろし刃20Aの2つのドーム部(ドーム部22及びドーム部23)は同じ大きさにすることができることは言うまでもなく、この場合、おろし金10の基端部と先端部との間で往復摺動しておろし作業を行うことができ、おろし作業の効率が向上する。
おろし器3は、図5に示すように、柄40を含む。柄40は、おろし枠30の基端部に接続して形成されている。柄40は、おろし枠30の基端部から、幅を徐々に狭めながら厚みを増して、断面形状が楕円形をなす棒状に形成されている。
柄40の末端部41は、厚みを徐々に減らして末端面が傾斜面になるように形成されている。末端部41には、貫通孔42が設けられている。
このように、おろし器3は、棒状の柄40を備えることで、柄40を把持しておろし作業を行うことができ、使いやすくなる。また、柄40の末端部41の厚みを減らして貫通孔42を設けることで、比較的に小さいフックにもおろし器を引っ掛けて収納することができるようになり、利便性が高くなる。
なお、柄40は、おろし枠30と一体的に形成してもよいし、おろし枠30とは別体に形成した後、柄40をおろし枠30に取り付けてもよい。さらに、おろし枠の下部にゴムなどで滑り止めを設けても良い。
以上では、おろし刃20Aが2つのドーム部即ちドーム部22とドーム部23とを含み、ドーム部22とドーム部23とが互いに向かい合うように形成される例を説明したが、ドーム部22とドーム部23とは互いに向かい合うように形成されなくてもよく、本実施形態に係るおろし器3は、これに限定されるものではない。すなわち、本実施形態に係るおろし器3は、おろし刃が、おろし金10の表裏のうち一方の面に形成され、2つのドーム部を含めばよい。以下では、本実施形態に係るおろし器3のもう一つの例を説明する。
図7は、実施形態2に係るおろし器3のもう一つの例を示した図である。図8は、実施形態2に係るおろし器3のもう一つの例におけるおろし刃を説明するための図である。おろし器3は、おろし金10と、おろし刃20aと、おろし枠30と、柄40とを備える。
おろし刃20aは、おろし刃20Aと同様に、おろし金10の表裏のうち一方の面に形成され、ここでは、おろし金10の表面に形成される。また、おろし刃20aは、おろし刃20Aと同様に、同一の貫通孔に対して、複数のドーム部が形成され、図7に示すように、1つの穴部即ち穴部21と、2つのドーム部即ちドーム部22及びドーム部23aとを含む。すなわち、おろし刃20aは、ドーム部23aのみがおろし刃20Aと異なる。
ドーム部23aも、おろし金10の表面から徐々に幅を広げながら隆起し、穴部21の縁に至る形状をなす。また、ドーム部23aも、上記隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、0°〜45°の角度となるように形成され、図8(a)に示すように、ここでは、隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が摺動方向に直交する方向に対して18°の角度となるように形成される。
ドーム部23aは、ドーム部23と異なり、隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ線が、ドーム部22における隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ線と同一線上にあるのではなく、互いに交差している。すなわち、ドーム部23aとドーム部22とは、互いに向かい合うようには形成されていない。
おろし刃20aは、おろされた食材の用途によって、適宜な大きさに形成することができる。例えば、図8(b)に示すように、おろし刃20aは、穴部21の直径を3.5mm、ドーム部22の最大幅を3.3mm、ドーム部22の隆起の始まり部分から穴部21の中心部分までの距離を4.75mm、穴部21の縁におけるドーム部22の頂点の高さを1.2mm、ドーム部23aの最大幅を2.3mm、ドーム部23aの隆起の始まり部分から穴部21の中心部分までの距離を3.75mm、穴部21の縁におけるドーム部23aの頂点の高さを0.8mmとすることができる。
ここで、おろし器3を用いたおろし作業は、往方向(おろし金10の基端部から先端部方向)における摺動作業となる。食材は、ドーム部22及びドーム部23aの両方に当接して、それぞれ異なる大きさの断片に切られて穴部21から下方に落下する。そのため、食材を一方向の一回のおろし作業で大きさの異なる断片におろすことができ、例えば離乳食や介護食に最適であり、利便性が高い。
<実施形態3>
図9は、実施形態3に係るおろし器4を示した図である。図10は、実施形態3に係るおろし器4のおろし刃20及びおろし刃20Bを説明するための図である。おろし器4は、おろし刃20B及び柄40のみが実施形態1に係るおろし器1と異なるため、以下では実施形態1と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。また、柄40は、実施形態2に係るおろし器3と同様であるため、その説明を省略する。
おろし器4は、おろし金10と、おろし刃20と、おろし刃20Bと、おろし枠30と、柄40とを備える。
おろし器4では、おろし刃は、おろし金10の表裏両方の面に形成されている。すなわち、おろし器4のおろし金10の表裏のうち一方の面には複数のおろし刃20が形成され、他方の面には複数のおろし刃20Bが形成される。おろし刃20及びおろし刃20Bはそれぞれ、穴部とドーム部とを含む。おろし刃20及びおろし刃20Bは、穴部を共通して形成されてもよいし、それぞれ異なる穴部を有するように形成されてもよい。以下では、おろし刃20及びおろし刃20Bの穴部が共通する例を説明し、おろし金10の表面におろし刃20が形成され、裏面におろし刃20Bが形成されるものとする。表面又は裏面は、例えば、図9に示すように、柄40の表面にハート模様43を施すことにより、一目で区別できるようにすることができる。
おろし金10の表面に形成されているおろし刃20は、おろし器1と同様であるため、説明を省略する。おろし器4の裏面に形成されているおろし刃20Bは、穴部21とドーム部24とを含み、穴部21がおろし刃20と共通する。言い換えれば、同一の穴部21に対して、おろし金10の表面にはドーム部22が形成され、裏面にはドーム部24が形成されている。さらに言えば、おろし刃20及びおろし刃20Bがおろし刃複合体を形成し、同一の穴部21に対して形成されたドーム部22及びドーム部24がそれぞれおろし金10の表面及び裏面に形成される。
おろし刃20Bのドーム部24は、おろし金10の裏面から徐々に幅を広げながら隆起し、穴部21の縁に至る形状をなす。ドーム部24は、おろし金10の裏面において、上記隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、0°〜45°の角度となるように形成されている。例えば、図10(a)に示すように、ドーム部24は、おろし金10の裏面において、隆起の始まり部分と穴部21の中心部分とを結ぶ方向が、摺動方向に直交する方向に対して、18°の角度となるように形成されている。
おろし刃20Bは、おろされた食材の用途によって、適宜な大きさに形成することができる。例えば、おろし刃20Bは、図10(b)に示すように、穴部21の直径を3.5mm、ドーム部24の最大幅を2.3mm、ドーム部24の隆起の始まり部分から穴部21の中心部分までの距離を3.75mm、穴部21の縁におけるドーム部24の頂点の高さを0.8mmとすることができる。
おろし器4を用いたおろし作業は、食材をおろし金10の表面に押し当てておろし刃20を用いて行ってもよいし、食材をおろし金10の裏面に押し当てておろし刃20Bを用いて行ってもよい。それぞれの作業の詳細については、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
おろし刃20及びおろし刃20Bの数は、その大きさ及びおろし金10の面積を考慮して、適宜定めることができる。また、おろし金10において、おろし刃20及びおろし刃20Bは、適宜配置することができる。例えば、隣り合うおろし刃20及びおろし刃20Bを、摺動方向に対して、穴部21の位置が互いにずれるように配置することができる。また、摺動方向に直交する方向に対しても、穴部21の位置を互いにずれるように配置することができる。また、ドーム部22の方向が交互に異なるように配置することもできる。一例として、例えば、穴部を共通するおろし刃20及びおろし刃20Bの場合には、図9に示すように、複数のおろし刃20とおろし刃20Bとの複合体を、進行方向(摺動方向)では、上下に隣り合う複合体の穴部21をずらし、かつドーム部22同士及びドーム部24同士の方向が交互に異なるように配置し、進行方向に直交する方向では、複合体がおろし金10の幅の略中心地帯(線L1〜線L2)から穴部21が略逆V字状に左下がり及び右下がりの行をなし、表面においては右側のドーム部22と左側のドーム部22同士が、裏面においては右側のドーム部24と左側のドーム部24同士がそれぞれ対峙するように配置することができる。
このように、隣り合うおろし刃の穴部をずらして配置することで、食材をまんべんなくおろすことができ、また、ドーム部の方向が交互に異なるように配置することで、左右斜めに隣り合うおろし刃のドーム部同士が対峙して進行方向に対し横ブレする動きを左右に均等にすることができる。また、おろし刃を略逆V字状の行をなし、両側のドーム部が対峙するように配置することで、進行方向に対し食材が左右の片側に反れるような横ブレを防止することができる。
おろし器4は、おろし器1と同様に、棘状突起刃を使用していないため、従来のように棘状の突起刃に当たって指等に怪我をすることがなくなる。また、食材が略半月状の断片に切られて穴部21から下方に落下するため、食材の繊維が刃に引っ掛かって洗浄しにくいという課題も解決される。また、おろし作業の過程で食材が落下しておろし金から離れるため、おろされた食材が金面に残り、何回も刃に当たって、おろし作業の効率低下や食感が悪くなるという課題も解決される。
さらに、おろし器4は、表裏両面において、大きさの異なるおろし刃20及びおろし刃20Bを用いることで、異なる大きさに食材をおろすことができ、利便性が高くなる。
また、ここで、同じ大きさのおろし刃20及びおろし刃20Bを用いることができることは言うまでもなく、この場合、両方のおろし刃を交互に使うことで、使用によるドーム部の損傷を少なくすることができる。
<実施形態3の変形例>
図11は、実施形態3の変形例に係るおろし器5を示した図である。おろし器5は、トレー60及びおろし枠30Aのみが実施形態3に係るおろし器4と異なるため、以下では実施形態3と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
おろし器5は、おろし金10と、おろし刃20と、おろし刃20Bと、おろし枠30Aと、柄40と、トレー60とを備える。図11は、トレー60が裏面に取り付けられた状態におけるおろし器5を示したものである。
おろし枠30Aは、トレー60と当接する部分である当接枠部31と、当接枠部31の内周側に位置する内周部32と、当接枠部31の外周側に位置する外周部33とを含む。当接枠部31、内周部32及び外周部33のいずれも、おろし器5の表面及び裏面において同形状であるため、以下では一面の形状のみを説明する。
おろし枠30Aの当接枠部31は、おろし金20に相応して角に丸みを持つ略台形に形成され、後述するトレー60の開放部61が嵌め込まれる部分である。おろし枠30Aの内周部32は、当接枠部31に向かって高くなる斜面状に形成されている。また、内周部32の先端部は、他の部分より幅広に形成されている。おろし枠30Aの外周部33は、先端部及び基端部が両側部より幅広に形成されている。
また、おろし枠30Aには、内周部32の先端部から外周部33の先端部にかけて、2つの係止溝34が左右に形成されている。また、外周部33に2つの係止溝34の上方をそれぞれ遮る2対の押さえ片35が形成されている。この2対の押さえ片35は、係止溝34の上方を、中央に空隙を残して両側から遮るように形成されている。また、外周部33の基端部の略中央には、係止孔36が形成されている。
トレー60は、当接枠部31に嵌め込まれて、おろし刃20やおろし刃20Bによりおろされた食材を受け止める部分であり、略台形体の五面体に形成されている。使用時に当接枠部31に嵌め込まれる開放部は、当接枠部31に相応した形状であり、作業時に設置面に載置される底面部より、面積が広く形成されている。トレー60には、係止溝34に差し込まれて係止する2つの突起(図示せず)及び固定爪61が形成されている。トレー60は、2つの突起を係止溝34に差し込んだ後、固定爪61を係止孔36に嵌め込むことで、おろし器5本体に取り付けられて使用可能な状態となる。
以上のように、おろし器5は、さらに、トレー60を備えることで、他の器具を必要とせずに、おろし作業を行うことができ、食卓などでも必要なときに必要な量だけ食材をおろして利用することができる。
また、おろし器5は、トレー60を取り付けた状態でフック等に引っかけて収納することもでき、利便性が高い。
また、おろし器5は、上記のように係止溝34の両端部が開放され、上方も一対の押し片の間に空隙が残されているため、食材がつまることなく、洗浄性に優れたものである。
以上、本発明に係るおろし器の実施形態について説明したが、これらは本発明の実施形態の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明には、以上の各実施形態を組み合わせた形態や、様々な変形例が含まれる。例えば、実施形態1に係るおろし器が柄を備えてもよいし、実施形態2に係るおろし器のおろし刃がおろし金の表裏両方の面に形成されてもよい。
1、2、3、4、5 おろし器
10 おろし金
20、20A、20a、20B おろし刃
21 穴部
22、23、23a、24 ドーム部
30 おろし枠
40 柄
50 容器
60 トレー

Claims (8)

  1. 食材を摺動させる面であるおろし面と、前記おろし面に形成された複数の刃部と、を備えるおろし器であって、
    前記刃部は、貫通孔と、前記おろし面から徐々に幅を広げながら隆起し、前記貫通孔の縁に至る形状をなすドーム部と、を含み、
    前記ドーム部は、前記隆起の始まりと前記貫通孔の中心とを結ぶ方向(以下「ドーム方向」という)が、前記おろし器の長手方向、柄方向、又は傾斜方向に直交する方向に対して、0°を超えて、45°以下の角度となるように形成されている
    ことを特徴とするおろし器。
  2. 請求項1に記載のおろし器であって、
    隣り合う前記刃部は、前記おろし器の長手方向、柄方向、又は傾斜方向に対して、前記貫通孔の位置が互いにずれて配置されている
    ことを特徴とするおろし器。
  3. 請求項1又は2に記載のおろし器であって、
    隣り合う前記刃部は、前記おろし器の長手方向、柄方向、又は傾斜方向に直交する方向に対して、前記貫通孔の位置が互いにずれて配置されている
    ことを特徴とするおろし器。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のおろし器であって、
    複数の前記刃部は、前記ドーム方向が交互に異なるように配置されている
    ことを特徴とするおろし器。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のおろし器であって、
    複数の前記刃部の少なくとも一部は、同一の前記貫通孔に対して、複数の前記ドーム部が形成されている
    ことを特徴とするおろし器。
  6. 請求項5に記載のおろし器であって、
    前記同一の貫通孔に対して形成された複数のドーム部は、互いに向き合っている
    ことを特徴とするおろし器。
  7. 請求項5又は6に記載のおろし器であって、
    前記同一の貫通孔に対して形成された複数のドーム部は、前記おろし面の表面及び裏面に形成されている
    ことを特徴とするおろし器。
  8. 請求項6又は7に記載のおろし器であって、
    前記刃部は、略「へ」の字状に形成されている
    ことを特徴とするおろし器。
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