従来のまな板では、食材を載せる載置面は水平面で形成されており、包丁で食材を切断等する際に食材をある程度安定させて載せておくようになっている。しかしながら、食材をまな板に載せて包丁で切断する際に、包丁の刃と水平面からなるまな板面との当たり具合によって食材を確実に切断できずに、食材に切れ残りが生じて切った食材どうしが繋がってしまう場合があった。特に、根菜類や果物のように食材に皮がついている場合には、食材が繋がりやすい問題があった。さらに、切断した食材を水平面のまな板から取り上げにくい場合があった。また、調理によっては食材をすりおろして加工する場合があるが、そのすりおろし作業の際には、包丁やまな板とは別途におろし器を用意する必要があり、使い勝手、保管管理が不便であった。また、食材をおろし器ですりおろす際には、大きな力をかけながら食材をすりおろす必要があるとともに、手で持っているおろし器が不安定になってすりおろしにくく、労力がかかっていた。
本考案は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、食材を包丁で切る際に確実に食材を切断分離して切り残しを防止できるまな板を提供することにある。また、他の目的は、食材をすりおろす際にも便利であるまな板を提供することにある。
上記課題を解決するために本考案は、まな板本体12の食材載置面14が、水平面16と、水平面16に連続して形成され、該水平面16から所定の角度で下り傾斜して形成された第1傾斜平面18と、第1傾斜平面18に連続して形成され、該第1傾斜平面18からさらに所定の角度で下り傾斜して形成された第2傾斜平面20と、を備えたことを特徴とするまな板10から構成される。第1傾斜平面、第2傾斜平面の傾斜角度は急な角度でなくてもよく、水平面に近い緩やかな傾斜で形成される。水平面と第1傾斜平面との角度と、第1傾斜平面と第2傾斜平面との角度と、は同じ角度でも異なる角度で設定してもよい。
また、水平面16と第1傾斜平面18とが接続する第1稜線22及び、第1傾斜平面18と第2傾斜平面20とが接続する第2稜線24が、平面視で2つの対向斜辺線と底辺線を含む略三角形状又は台形状となる線で形成されていることとしてもよい。すなわち略三角形状となる3つの線または台形状となる4つ線のうち2つの線(2つの対向傾斜辺線)が第1稜線22と第2稜線24となる。
また、まな板本体12は、一つの平板部材をその平板部材の上面である水平面から所定の傾斜で2段階に切削することにより、水平面16と第1傾斜平面18と第2傾斜平面20とを形成したこととしてもよい。
また、第2傾斜平面20の周囲にはその傾斜平面から立ち上がるガイド壁26が形成されるとともに、傾斜最下端部には側方に開放して外部と連通する開口28が設けられたこととしてもよい。
また、包丁30をまな板本体12に挿脱自在に収納するように、まな板本体12の側面から内部に向けて穿穴されたスリット状穴34が設けられた包丁収納部32を含むこととしてもよい。
また、まな板本体12に食材すりおろし部40を併設接合させ、食材すりおろし部40は、平板状のおろし具42と、おろし具42をまな板本体12の水平面と略面一状に格納する格納状態と、該おろし具42を前下がり角度で傾斜させて支持する傾斜状態と、に変更させる角度設定機構44と、を含むこととしてもよい。角度設定機構44は、おろし具を複数段階又は無段階の傾斜角度で調整できるようにしてもよい。
本考案のまな板によれば、まな板本体の食材載置面が、水平面と、水平面に連続して形成され、該水平面から所定の角度で下り傾斜して形成された第1傾斜平面と、第1傾斜平面に連続して形成され、該第1傾斜平面からさらに所定の角度で下り傾斜して形成された第2傾斜平面と、を備えた構成であるから、水平面と2段階の下り傾斜平面およびそれらが形成する2つの稜線を利用して、包丁で食材を切る際に確実に切断分離することができ、切り残しを防止して良好に調理することができる。特に、2つの稜線に同時に包丁が交差する状態で食材に刃を当てて切ると、食材を確実に切断分離できる。また、切った食材が2つの傾斜平面の傾斜に沿って下位側にスムーズに移動させることができるので、切った食材が邪魔になりにくく食材を取り扱いやすい。
また、水平面と第1傾斜平面とが接続する第1稜線及び、第1傾斜平面と第2傾斜平面とが接続する第2稜線が、平面視で2つの対向斜辺線と底辺線を含む略三角形状又は台形状となる線で形成されている構成とすることにより、食材を切る際に包丁を第1、第2稜線に同時にX字状に交差させることができ、その交差状態で食材を切ることで確実に食材を切断分離することができる。また、第1、第2稜線が次第に近接するように対向して離隔しているので、包丁の長さや食材の大きさに応じて最適な位置に食材を載せて切断することもでき使い勝手がよい。
また、まな板本体は、一つの平板部材をその平板部材の上面である水平面から所定の傾斜で2段階に切削することにより、水平面と第1傾斜平面と第2傾斜平面とを形成した構成とすることにより、例えば、一枚の木材の板等を切削して連続して形成される第1、第2傾斜平面を簡単に実現することができ、低コストで製造できる。
また、第2傾斜平面の周囲にはその傾斜平面から立ち上がるガイド壁が形成されるとともに、傾斜最下端部には側方に開放して外部と連通する開口が設けられた構成とすることにより、ガイド壁により切った食材が無秩序にまな板から落ちるのを防止して傾斜の下位側に向けて誘導し開口から集めて簡単に取り出すことができる。
また、包丁をまな板本体に挿脱自在に収納するように、まな板本体の側面から内部に向けて穿穴されたスリット状穴が設けられた包丁収納部を含む構成とすることにより、まな板に包丁を安全に収納できるので、使い勝手がよく、保管管理も便利である。
また、まな板本体に食材すりおろし部を併設接合させ、食材すりおろし部は、平板状のおろし具と、おろし具をまな板本体の水平面と略面一状に格納する格納状態と、該おろし具を前下がり角度で傾斜させて支持する傾斜状態と、に変更させる角度設定機構と、を含む構成とすることにより、まな板に食材をすりおろす部分を設けることで調理内容に応じて食材を加工しやすく便利である。さらにおろし具を使用する際には、該おろし具を前下がり傾斜状態で支持するので食材に確実に力をかけながらスムーズにすりおろすことができる。また、おろし具を使用しない場合には、邪魔にならないように格納状態として保管できる。
以下、添付図面を参照しつつ本考案のまな板の実施の形態について説明する。本考案のまな板は、包丁で食材を切る際に該食材を確実に切断分離できるとともに切った食材をスムーズに移動させることができるものである。さらに、本考案のまな板は、包丁収納部、食材すりおろし部を一体的に有する複合まな板である。図1ないし図10は、本考案に係るまな板の一実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態において、まな板10は、まな板本体12の食材載置面14が、水平面16と、第1傾斜平面18と、第2傾斜平面20と、を備えている。
図1、図2、図3に示すように、本実施形態では、まな板本体12は、例えば、平面視横長矩形状に形成され所定の厚みの木製の板状部材からなり、まな板本体12の上面となる一つの板面側に形成される食材載置面14も平面視横長矩形状となっている。食材載置面14には、水平面16と第1傾斜平面18と第2傾斜平面20とが連続して形成されている。まな板本体12は、例えば、一つの木製平板部材をその平板部材の上面である水平面から所定の傾斜で2段階に切削することにより、水平面16と第1傾斜平面18と第2傾斜平面20とを一体的に形成している。なお、本実施形態では、まな板本体12の長辺方向に沿って横長方向Wとし、横長方向Wに対して直交する短辺方向を幅方向Dとする。
水平面16は、例えば、食材載置面14において食材をある程度安定的に載せるための水平部位である。図3に示すように、本実施形態では、水平面16は、例えば、主として平面視で食材載置面14の左側の領域に形成されており、該食材載置面14の略半分或いは半分以上の面積を占めて形成されている。なお、この水平面16のみを利用して従来のまな板同様に食材を切ることもできる。
図1、図2、図3に示すように、第1傾斜平面18は、水平面16に連続して形成され、該水平面16から所定の角度で下り傾斜して形成されている。本実施形態では、第1傾斜平面18は、平面視で左右横長の食材載置面14の略中間位置に形成されており、水平面16から平面視略右側又は右上側に向けて下方傾斜するようになっている。よって、図4に示すように、第1傾斜平面18は、水平面16となす第1稜線22から右下がり傾斜で形成されている。第1傾斜平面18の傾斜下端辺には第2傾斜平面20が連続して形成される。第1傾斜平面18は、例えば、水平面16に対して所定の角度α、例えば5°下方に下がる傾斜、すなわち5°の傾斜勾配で形成されている。第1傾斜平面18は、例えば、平面視で、横長方向Wに対して斜めに交差するように一方に細長い三角形状に形成されている。水平面16と連続する第1傾斜平面18の傾斜上端辺、すなわち該第1傾斜平面18と水平面16とが接続する第1稜線22は、幅方向Dに対して斜めに交差するように形成されている。同時に、第1傾斜平面18の傾斜下端辺と連続する第2傾斜平面20の傾斜上端辺、すなわち第1傾斜平面18と第2傾斜平面20とが接続する第2稜線20は、幅方向Dに対して斜めに交差するように形成されている。すなわち、第1稜線22、第2稜線24は、平面視で2つの対向斜辺線と底辺線を含む略三角形状となる線で形成されている。2つの対向斜辺線は、傾斜角度を異ならせて対向して斜めに形成された左上がりの長い斜線からなり、それぞれ第1稜線22と第2稜線24となっている。例えば、平面視では、第1稜線22は幅方向Dに対して30°の角度で傾いた斜線となっており、第2稜線24は幅方向Dに対して45°の角度で傾いた斜線となっている。一方、底辺線は、平面視で下方側に形成される比較的短く形成された右上がりの線である。第1傾斜平面18の底辺線には、該傾斜面から立ち上がったガイド壁26が形成されている。なお、本実施形態では、第1稜線22は水平面16より上に隆起したものではなく、水平面16と第1傾斜平面18の傾斜上端との境界線であり2つの平面どうしがなす辺である。同様に、第2稜線24は、第1傾斜平面18及び第2傾斜平面20より上に隆起したものではなく、第1傾斜平面18の傾斜下端と第2傾斜平面の傾斜上端との境界線であり2つの傾斜平面どうしがなす辺である。
図1、図2、図3に示すように、第2傾斜平面20は、第1傾斜平面18に連続して形成され、該第1傾斜平面20からさらに所定の角度で下り傾斜して形成されている。本実施形態では、第2傾斜平面20は、平面視で食材載置面14の右方側の位置に形成されており、第1傾斜平面18から略右側又は略右上方向に向けて下方傾斜するようになっている。図4に示すように、第2傾斜平面20は、第1傾斜平面18となす第2稜線24から右下がり傾斜で形成されている。よって、食材載置面14は、左側から右側に向けて順に水平面16、第1傾斜面18、第2傾斜面20が設けられて2段階で下り傾斜して設けられている。第2傾斜平面20は、その傾斜下端がまな板本体12の外形輪郭縁部に接続されている。第2傾斜平面20は、例えば、第1傾斜平面18からさらに角度β、例えば5°下方に下がる傾斜、すなわち10°の傾斜勾配で形成されている。第2傾斜平面20は、例えば、平面視で略台形状に形成されている。
さらに、第2傾斜平面20の周囲であって、第2稜線24と後述の開口28部分以外の該傾斜平面の外形輪郭線には、該第2傾斜平面から鉛直状に立ち上がるガイド壁26が設けられている。第2傾斜平面20の傾斜最下端部には、ガイド壁26が設けられずに、側方に開放して外部と連通する開口28が設けられている。ガイド壁26は、切った食材がまな板の側方から無秩序に外側に落ちるのを防止して傾斜下方の開口28に向けて誘導するガイド手段である。そして傾斜下端の開口28が食材取り出し手段となっている。ガイド壁26は、例えば、一つの板状部材を上面から2段階の傾斜で切削して第1、第2傾斜平面を形成する際に、第2傾斜平面の周囲に水平面を残して切削することでそれらの傾斜平面と同時に形成されている。
上述のように食材載置面14が水平面16、第1傾斜平面18、第2傾斜平面20を連続して備えるとともに、第1稜線22と第2稜線は、平面視略三角形状の2つの対向斜線で形成されている。よって、第1稜線22と第2稜線24とは、一端側を所定の間隔で離隔しているとともに、他端側に向けて次第に離隔幅が狭くなるように設定されている。図5に示すように、食材載置面14に食材を載せて包丁30で食材を切断する際には、包丁30の刃線が第1稜線22と第2稜線24とに同時にX状に交差するように設定されている。これにより、水平面16と角度がついた第1稜線22、第2稜線24を同時に利用できることで、単なる水平面だけで構成した従来のまな板と比較して、包丁をまな板の載置面に確実に押し当てさせて食材を確実に切断分離させることができ、食材の切り残しを良好に防止できる。また、水平面16から下がる傾斜平面が形成されているので、切断分離した食材の移動をスムーズに行うことができる。その結果、食材をスムーズに調理することができる。
なお、図11のまな板の他の形態10aに示すように、第1傾斜平面18の平面視外形輪郭形状は略三角形状に限らず、台形状に形成されてもよい。すなわち、第1稜線22、第2稜線24は、2つの対向斜線と2つの底辺線を含む台形状となる線で形成されることとしてもよい。また、図11の第1、第2傾斜平面の周囲にガイド壁26を設けなくてもよい。また、水平面16、第1傾斜平面18、第2傾斜平面20の配置態様は上述のものに限らない。例えば、第1、第2傾斜平面の傾斜の流れ方向を変えて、平面視で右側から左側に向けて順に水平面16、第1傾斜平面18、第2傾斜平面20を配置させると、左利き用のまな板とできる。また、水平面16、第1傾斜平面18、第2傾斜平面20のそれぞれの平面視での形状は任意でもよい。
図1、図3、図6に示すように、本実施形態では、まな板本体12には包丁30を該まな板本体12に挿脱自在に収納するための包丁収納部32が設けられている。包丁収納部32は、例えば、まな板の厚みを利用して包丁30を挿入できるようになっており、まな板の左側、すなわち、水平面16が形成されてまな板の厚みが一定となる左側位置に設けられている。包丁収納部32は、まな板本体12の1つの長辺側の側面から内部に向けて穿穴されたスリット状穴34を含む。スリット状穴34は、例えば、横長い細幅の挿入開口が形成され、幅方向Dに対して斜めに穿穴されている。図6に示すように、包丁収納部32は、例えば、まな板本体12を切削して包丁30の刃の厚みより大きな幅の穴を形成した後に、該スリット状の穴内に所定形状に折り曲げて包丁の刃に対応する隙間のスリット状穴34を形成するように対向した金属板36a、36bを挿し込んで構成されている。さらに、包丁収納部32の挿入口近傍位置には、まな板本体12の上面側の一部が切欠きされて段差38が形成されている。包丁をスリット状穴に挿入する際に、包丁を安全かつ確実に挿入させやすくなっている。また、スリット状穴に熱湯を入れて該穴内を殺菌処理等する際に、熱湯を該穴内に注ぎ入れやすい。なお、例えば、スリット状穴の上下に対向する穴壁を形成する金属板36a、36bを、包丁30の刃の両面に弾性的に軽く圧着するように設けると、包丁を収納した際に該包丁が不意に離脱しないようにでき、安全性を向上できる。
図1、図2、図3に示すように、まな板本体12には、食材をすりおろし加工するための食材すりおろし部40が併設接合されている。本実施形態では、食材すりおろし部40は、例えば、平面視でまな板本体12の右側に一体的に設けられている。食材すりおろし部40は、おろし具42と、該おろし具42の角度設定機構42と、を含む。おろし具42は、例えば、まな板本体12とは別部材で平板状に設けられ、角度設定機構44に対して着脱自在となっている。おろし具42は、周知のおろし金と略同様な構成で、板面を貫通する複数の孔の縁に沿うように多数の刃が突設されている。なお、おろし具42は、板面に多数の刃を突設しただけのものでもよく、その他任意の形態でもよい。おろし具42は、例えば、多数の貫通孔と多数の刃が形成された本体部分が略縦長矩形状に形成され、長手方向の一端側には手で持ちやすいように本体部分よりも幅をやや狭くした外形輪郭が略円弧状の端部が一体的に形成されている。おろし具42には、例えば、食材を薄くスライスするためのスライスカッタが一体的に設けられている。
図7、図8、図9に示すように、角度設定機構44は、おろし具42をまな板本体12の水平面16と略面一状に格納する格納状態(図7参照)と、該おろし具42を前下がり角度で傾斜させて支持する傾斜状態(図8参照)と、に変更させる角度設定手段である。角度設定機構44は、例えば、まな板本体12に一体的に設けられた受凹部46に設けられている。受凹部46は、例えば、まな板本体の幅方向Dと同じ長さとなる縦長矩形状で設けられ、上面を開口して内部に凹設部分を有し、高さがまな板本体と略同じ高さの有底容器状に設けられている。角度設定機構44は、例えば、受凹部46の上面側に形成されおろし具42を格納状態で取り付ける枠状部48と、角度変向自在に設けられておろし具42を下から傾斜状態で支持するスタンド部50と、を含む。枠状部48は、例えば、その枠の内側がおろし具42の本体部分の短辺幅と同じ幅となる平面視縦長矩形状の枠部材からなる。図7に示すように、枠状部48の内側におろし具42を嵌合状に取り付けることで格納状態で取り付けることができる。なお、枠状部を設けず受凹部46の開口内におろし具を嵌合させて格納状態としたり、又はスタンド部50で支持させながら格納状態とすることとしてもよい。
スタンド部50は、例えば、基端を受凹部46に支持され他端どうしを互いに回動自在に接続させた第1、第2リンク52、54と、それらの2つのリンク52、54を回動自在に接続した円環状部材56と、第1、第2リンク52、54の基端を支持するように受凹部46に設けられた係止具58a〜58dと、を含む。第1リンク52は、例えば、略U字状に曲折された金属製U字杆からなり、基端となるU字の両端を外側に向けてL字状に曲折されて1組の係止具58aに回転自在に枢支されている。第2リンク54は、例えば、第1リンクと略同じU字状に曲折され、かつ第1リンクよりも長く形成された金属製U字杆からなり、基端となるU字の両端を外側に向けてL字状に曲折されている。円環状部材56は、例えば、第1リンク52と第2リンク54のそれぞれ中間部を円環内部に貫通させてそれらのリンクの中間を回動自在に接続している。係止具58a〜58dは、それぞれ受凹部の凹部内で対向する2個1組で構成されたものが、幅方向Dに向けて所定間隔で離隔して複数対配置されている。係止具58a〜58dは、第1、第2リンクの基端の外側にL字状に曲折された端部を挿入して係止する穴が設けられている。1組の係止具52aは第1リンク52の基端を枢支している。残りの3組の係止具58b〜58dは、第2リンクの基端を着脱可能に係止するものであり、その係止位置を変更することにより、第1リンクと第2リンクの成す角度を変更しながら、所定の傾斜角度で係止する。図9の実線と二点鎖線に示すように、第2リンク54を弾性により撓ませて弾性復元することにより、第2リンク54の基端を係止具52b〜52dから離脱又は係止することができる。図1、図7に示すように、第1リンクと第2リンクとを180度の角度として、第2リンクの基端を52dに係止させるとスタンド部50全体が受凹部46内に収納される。よっておろし具42を水平面と略面一状とした状態で格納できる。また、図2、図8に示すように、第1リンク52と第2リンク54を回動させて第2リンク54を前下がり傾斜状態とした状態で該第2リンクの基端を係止具54cに係止させると、おろし具42を前下がり傾斜状態で支持できる。第2リンクの基端を係止させる係止具の位置を変更しておろし具の傾斜角度を変更できる。なお、角度設定機構は、上記実施形態の構成に限定されず、角度を変更できる構成であれば任意の構成でよい。
図1、図10に示すように、例えば、まな板10を壁に固定したフック60等に引っ掛けて吊支状態で収納するための吊支部が設けられている。本実施形態では、吊支部は、例えば、まな板10の一つの短辺側(食材すりおろし部側)に取り付けられた2個の吊り下げ部材62a、62bを含む。なお、吊支部は、まな板に貫通孔を設けて形成してもよい。吊り下げ部材62a、62bは、例えば、まな板の幅方向Dの略中央位置と一方の隅部位置近傍に固定されている。図10(a)に示すように、略中央位置の吊り下げ部材62aを利用してまな板を吊支した状態では、まな板の横長方向Wが縦に向く状態でまな板の食材載置面14を立てた状態で収納できる。まな板を吊り下げた状態では、水切りを行いやすく乾燥を促すことで食材載置面に雑菌等の繁殖を防止して衛生的に保管できる。また、図10(b)に示すように、隅部位置近傍の吊り下げ部材62bを利用してまな板を吊支した状態では、まな板の横長方向Wが斜めに傾いた状態で吊支される。この際、まな板本体12に設けられた包丁収納部32のスリット状穴の挿入口が斜め上方に向くようになるので、まな板を吊支した際に、包丁30を該包丁収納部32に収納した状態であっても包丁30が抜けて落下しにくい安定した状態となり、まな板と包丁を安全にセットで収納できる。
次に本実施形態にかかるまな板10の作用について説明する。例えば、根菜、葉野菜、果物、魚、肉等の食材を包丁で切断する際には、食材を水平面16と第1傾斜平面及び第2傾斜平面に跨るようにして食材載置面に載置させる。この際、食材の切断目的位置が第1稜線22と第2稜線24に跨るように配置させておく。そして図5に示すように、包丁30の刃を第1稜線22と第2稜線にX字状に交差するような状態で食材にその刃を当てて押し切り動作して食材を切断する。この切断動作の際には、2段階の下り傾斜平面の構成とともに、包丁の刃が第1稜線22及び第2稜線24に当たりやすくなることから、食材を確実に切断分離することができ、切り残しを防止して良好に調理できる。切断された食材は、第1、第2傾斜平面の傾斜によって傾斜下位側に移動させて開口28から容易に取り出すことができる。食材の切断作業が終了したら、まな板と包丁を水で洗い、その後包丁を包丁収納部32に収納する。
一方、例えば、大根や果物等の食材をすりおろす際には、格納状態のおろし具42を取り出して、図8に示すように、該おろし具42を角度設定機構44により前下がり傾斜状態で支持する。おろし具42の多数の刃に食材を擦り当てて食材をすりおろしていく。受凹部46の凹部空間内には、図示しないが、すりおろした食材を受ける受け皿を配置したり、ラップを敷いておいて置くとすりおろした食材を取り出しやすく便利であり、受凹部46内を清潔にしておける。また、角度設定機構44を介しておろし具42を前下がり傾斜状態で安定的に支持させておくことができるので、食材に力を確実に加えて軽労力でスムーズに食材をすりおろすことができる。作業が終了したらおろし具を水で洗って、まな板本体と一体的に格納する。また、まな板を使用しない時には図10に示すようにフック等に吊支して収納しておくことができる。
以上説明した本考案のまな板は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載した本考案の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。