JP6027697B1 - ベビー肌着 - Google Patents
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Abstract
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さらに、乳幼児は首回りの細さに比して頭部が大きい等の点で成人や子供の体型とは異なる。そこで、乳幼児特有の体型に合わせた様々なタイプの衣服が従来より提供されている。
特許文献1には、トップ衣類、ボトム衣類あるいはトップとボトムとが一体化した繋ぎ衣類の少なくとも前身頃全体と後身頃全体とを、夫々、伸縮性糸条を用いて編物機により連続編成した伸びを有する編地から構成し、上記前身頃の腹部にあたる部分の編組織を変えて膨らませ、立体的に腹部を包むようにすると共に他の部位よりも伸びを持たせ、且つ上記伸縮性糸条としてポリウレタン系弾性糸条を綿で被覆している多層構造の糸条を用い、該多層構造の糸条と綿糸を用いて、いずれか一方を表用糸条、いずれか他方を裏用糸条としていることを特徴とする乳幼児用を含む幼児用衣類が記載されている。
特許文献1記載の幼児用衣類は、大きな頭の乳幼児に対して脱着しやすいようにクロスショルダー構造、つまり前身頃の肩片が後身頃の内側で後身頃と重複し、後身頃の肩片が前身頃の外側で前身頃と重複していることが記載されている。さらに、特許文献1記載の幼児用衣類の腹部の一部を楕円形状に区画して、楕円形内において縦横両方向への伸びを大きくした天竺編みの生地を使用し、且つ前方に膨らませることで着用者の立体的な腹部を包むようにすることが記載されている。臀部についても同様に臀部の一部を区画して、その区画内において縦横両方向への伸びを大きくした天竺編みの生地を使用し、且つ後方に膨らませることで着用者の立体的な臀部を包むようにすることが記載されている。
しかし、特許文献1記載の幼児用衣類は、乳幼児は腹部や臀部の中央部だけではなく腹部及び臀部全体が丸みを帯びて立体的なのに対し、腹部及び臀部の一部が伸縮しやすい生地になっているだけであって、腹部及び臀部全体の立体的な形状に対応できるものではなく、実質的に着用者の腹部及び臀部の形状に合ったものになっていないという問題点を有する。
特許文献2記載のベビー用衣服は、腹部にあたる部分の天竺編みとしている部分を臀部にあたる部分と同様に立体的に膨らませており、これにより前にはりだした腹部を立体的に包み込み、優しくフィットさせることができ、急激な腹部の突出に対応させることができることが記載されている。
しかし、特許文献1と同様に、乳幼児は腹部や臀部の中央部だけではなく腹部及び臀部全体が丸みを帯びて立体的なのに対し、腹部及び臀部の一部が伸縮しやすい生地になっているだけであって、腹部及び臀部全体の立体的な形状に対応できるものではなく、実質的に着用者の腹部及び臀部の形状に合ったものになっていないという問題点を有する。
特許文献3に係るベビー用ボディースーツは、肩部がクロスショルダー構造になっていることが図示されているものの、着用者の腹部や臀部の立体的な形状には対応できないという問題点を有する。
本明細書において、「下辺」とは着用者の足側の縁に沿って、ある特定の幅を持った帯状の領域を意味する。
本明細書において、「下辺中央部」とは上記下辺の中央付近の領域を意味する。
本明細書において、「上辺」とは着用者の頭側の縁に沿って、特定の幅を持った帯状の領域を意味する。
本明細書において、「側辺」とは着用者の脇の下から裾方向に延びる縁に沿って、ある特定の幅を持った帯状の領域を意味する。
本明細書において、「いせ込み」とは、長短2枚の生地を縫合する際、長い方の生地の縫合部分を密にして(縮めて)短い方に合わせ、長い方にふくらみを持たせる技法である。ふくらみを作りたい方の生地を縫い縮め、アイロンで形状を安定させることによって行われる場合もある。長い方の生地は縫合部分だけが縮んでおり、それ以外は元のままであるので、縫合部分からふわりと広がるようなふくらみが出来、「ギャザー縫い」「ダーツ縫い」の様に立体化のための縫合やつまみがないので、自然な立体化が可能となる。
本明細書において「前」とは、着用者にとっての前方、つまり着用者の腹部側を指す。
本明細書において「後」とは、着用者にとっての後方、つまり着用者の背面側を指す。
本明細書において「肩巾」とは、身頃の上辺、つまり肩側の縁部を指す。
本明細書において「肩山」とは、衣服の肩部の頂点周辺の領域、つまり衣服の肩部において最も襟部から遠い領域を指す。
本明細書において「接ぎ目」とは、布の縁部同士を縫着した部分を指す。
本明細書において「首回り」とは、着用者の頭を通すために設けられた襟部を指す。
本発明において、「下辺中央部」とは上記下辺の中央付近の領域を意味する。
本発明において、「上辺」とは頭側の縁のある特定の幅を持った帯状の領域を意味する。
本発明において、「側辺」とは着用者の脇の下から裾方向に延びる縁に沿って、ある特定の幅を持った帯状の領域を意味する。
本発明において、「いせ込み」とは、長短2枚の生地を縫合する際、長い方の生地の縫合部分を密にして(縮めて)短い方に合わせ、長い方にふくらみを持たせる技法である。ふくらみを作りたい方の生地を縫い縮め、アイロンで形状を安定させることによって行われる場合もある。長い方の生地は縫合部分だけが縮んでおり、それ以外は元のままであるので、縫合部分からふわりと広がるようなふくらみが出来、「ギャザー縫い」「ダーツ縫い」の様に立体化のための縫合やつまみがないので、自然な立体化が可能となる。
本発明において「前」とは、着用者にとっての前方、つまり着用者の腹部側を指す。
本発明において「後」とは、着用者にとっての後方、つまり着用者の背面側を指す。
本発明において「肩巾」とは、身頃の肩側の縁部を指す。
本発明において「肩山」とは、衣服の肩部の頂点周辺の領域、つまり衣服の肩部において最も襟部から遠い領域を指す。
本発明において「接ぎ目」とは、布の縁部同士を縫着した部分を指す。
本発明において「首回り」とは、着用者の頭を通すために設けられた襟部を指す。
該前身頃の側辺と後身頃の側辺がいせ込みで縫着されていることで、着用者の腹部の立体的な形状に沿った立体的な前身頃とすることができる。
前身頃の肩巾と後身頃の肩巾の交差点が左右の肩山よりも前に位置することで、襟部が全体的に前寄りになるため、着用者の肩がはだけにくくなる。さらに、襟部が全体的に前寄りになることで、襟部による前方からの首の締め付けが軽減され、着心地が良いものになる。
脇部のダーツの量を少なくして袖部の下縁が胴回りの側辺に対して鈍角に形成されることで、腕を上げたバンザイをしている状態で寝ることが多い乳幼児の体勢に対応したベビー肌着を提供することができ、着用者にとって無理のない、着心地の良いものとなる。
前身頃(2)及び後身頃(3)の着丈は、図1及び2が示すような着用者の太腿の付け根辺りまでのものが好ましい。何故なら、ズボンやスカート、ワンピース等様々な形状の衣服の下に着用することが可能な肌着とすることができるからである。
前身頃(2)及び後身頃(3)は別体の前身頃(2)及び後身頃(3)が、前身頃の側辺(22)及び後身頃の側辺(32)が縫着されてなるものである。この時、前身頃の側辺(22)と後身頃の側辺(32)との縫着部である脇接ぎ目(5)は図2(A)に示す如く着用者の脇の真下よりも体中央側に配置されている方が着用者の腹部の大きな丸みに対応しやすいという観点から好ましい。
長い方の生地は縫合部分だけが縮んでおり、それ以外は元のままであるので、縫合部分からふわりと広がるようなふくらみが出来、「ギャザー縫い」「ダーツ縫い」の様に立体化のための縫合やつまみがないので、自然な立体化が可能となる。
この技法を用いれば縫合部にギャザーが生じないので、見た目も美しくなる。
ベビー肌着(1)を構成する布地の組織(編み方)も特に限定されないが、その肌触りや吸水性の高さ等から、春から夏にかけて使用する場合はフライス、天竺、ガーゼ、パイル等が挙げられ、その保温性の高さ等から秋から冬にかけて使用する場合はフライス、スムース、接結天竺、ニットキルト等が挙げられる。
図2及び3に示す如く、本発明は後身頃(3)は前身頃(2)よりも裾に向かって垂直方向に長く形成され、後身頃の下辺中央部が突出してクロッチ部(7)を形成するものであっても良い。クロッチ部の下辺中央部(71)は、オムツをしている着用者の股部に対応する部分がはだけないように、図2及び3に示す如くU字状に(円弧上に)突出しているのが好ましい。ベビー肌着(1)の前身頃の下辺中央部(21)とクロッチ部の下辺中央部(71)に設けられた係止部(8)を備えている。
図2及び3に示す係止部(8)は、前身頃の下辺中央部(21)に設けられた留め具(81)と、クロッチ部の下辺中央部(71)に設けられた受け止め具(82)からなるスナップである。留め具(81)と受け止め具(82)の位置は逆であってもよく、すなわち留め具(81)がクロッチ部の下辺中央部(71)に設けられ、受け止め具(82)が前身頃の下辺中央部(21)に設けられていても良い。
前身頃の下辺中央部(21)をクロッチ部の下辺中央部(71)の内側で留められるように、係止部(8)は前身頃の下辺中央部(21)の外側及び後身頃の下辺中央部(71)の内側に配置されるのが好ましい。この構成により、係止部(8)を手早く容易に留めることができるため、着せ替えやオムツ替えが容易になる。
図2及び3において、係止しやすさ及び着用者の肌にあたっても違和感が少ないとの観点から係止部(8)としてスナップを用いているが、例えば面ファスナー、紐、ボタン、ホック等であっても良く、特に限定されない。
図2、3及び8にも示すように、後身頃(3)は前身頃(2)よりも裾に向かって垂直方向に長く形成され、後身頃の下辺中央部が突出してクロッチ部(7)を形成する。クロッチ部(7)は着用者の腹部に向かって折り返し、留め具(81)に受け止め具(82)を係止する。この折り返し線(9)からクロッチ部分の下辺中央部(71)までの長さ(X)を長く形成するのと同時に、前身頃の脇側の下辺から前身頃の下辺中央部(21)までの長さ(Z)を短く形成するのが好ましい。何故なら、後身頃を裾方向に長く形成し、前身頃を裾方向に短く形成することで、係止部(8)の位置が着用者の腹部に寄るため、オムツ替えがより容易になるからである。
図9に示す如く、着用者の臀部のふくらみに沿った形状となるように、クロッチ部の側辺(72)にはギャザー、タック、ダーツ、いせ込み等の布地を立体的に縫製する方法を用いることが好ましい。立体的に縫製できる方法であれば何でも良く、特に限定されない。これにより、オムツをはいた状態の臀部でも全体をゆるやかに覆うことができ、着用者を締めつけないため着心地が良いものになる。
図10(B)に示すように、ベビー肌着(1)は袖部の下縁(41)が胴回りの側辺(14)に対して鈍角(θ)となるように形成されているのが好ましい。これにより、図10(A)に示すような袖部の下縁(41)が胴回りの側辺(14)に対してやや鋭角となるように形成された従来のパターンと比較して、寝ている時間が多く、その際腕を上げている状態(バンザイ)であることが多い乳幼児の体勢に合ったものとなる。
さらに、着用者の脇の下に相当する部分にダーツの分量をとった立体的な縫製を施すことが好ましい。これにより、着用者の立体的な腕周りに沿った形状となり、着用者が腕を動かしやすくなる。
図5は、本発明に係るベビー肌着(1)とは異なり、前身頃及び後身頃の肩部が重複せずに1連の布で構成されている場合、着用者の頭を通す際に首回りが広がらない様子を示す図であって、(A)は着用前の首回りを示す図であり、(B)は首回りを広げた様子を示す図であり、(C)は着用時に首回りが広がらず、着用者の頭が通りづらいことを示す図である。
図6は、本発明に係るベビー肌着(1)において、クロスショルダー構造を備えている場合、着用者の頭を通す際首回りが広がる様子を示す図であって、(A)は着用前の首回りを示す図であり、(B)は首回りを広げた様子を示す図であり、(C)は着用時に首回りが広がり、着用者の頭が通りやすいことを示す図である。
図7は、(A)従来のベビー肌着を着用している様子を示す平面図であり、(B)従来のクロスショルダー構造を備えたベビー肌着の平面図であり、(C)前寄りの襟部(本発明のクロスショルダー構造)を備えている本発明に係るベビー肌着(1)の平面図である。
この構成を備えていることにより、図6に示すように、着用者の頭部をベビー肌着(1)の首回り(12)に通す際、着用者の前後方向に首回り(12)が広がるため、首回りの長さに比して頭部が大きい乳幼児であっても容易に頭を通すことができる。この構成を備えていない場合、すなわち首回り(12)の布地に上記のような重複部分がない場合、図5に示すように着用者の首の太さに合わせて作られている首回り(12)に、大きな頭部を通すのが難しくなり、着用者にとっても着せ替えが不快なものとなってしまう。
また、この構成を備えていることにより、首回りに頭囲に必要なゆとりがあるため着用の際に無理してひっぱられることが少なく、着用者の頭部を通した後も首回り(12)が着崩れることがなく、着用者の首回りの長さに合わせたサイズに首回り(12)が保持される。
具体的には、図7のように頭上から見た場合、前身頃の肩巾(上辺)(23)と後身頃の肩巾(上辺)(33)の交差点(Y)が左右の肩山(13)よりも着用者の腹部側に寄るように構成される。このような構成を備えていることにより、前身頃の肩巾(上辺)(23)と後身頃の肩巾(上辺)(33)の交差点(Y)が左右の肩山(13)を結ぶ直線上にある場合(図7(B)参照)と比較して、着用者の肩部を覆う布地の面積が大きくなるため、着用時に着用者の肩部がはだけにくくなるという効果を奏する。さらに、この構成を備えていることにより、襟部が全体的に前寄りになることで、襟部による前方からの首の締め付けが軽減され、着心地が良いものになる。
2 前身頃
21 前身頃の下辺中央部
22 前身頃の側辺
23 前身頃の上辺
3 後身頃
32 後身頃の側辺
33 後身頃の上辺
4 袖部
41 袖部の下縁
5 脇接ぎ目
6 袖接ぎ目
7 クロッチ部
71 クロッチ部の下辺中央部
72 クロッチ部の側辺
8 係止部
81 留め具
82 受け止め具
9 折り返し線
10 前身頃の肩片
11 後身頃の肩片
12 首回り
13 肩山
14 胴回りの側辺
Claims (4)
- 前身頃及び後身頃からなるベビー肌着であって、
前身頃の肩片が、後身頃の内側で後身頃と重複し、
後身頃の肩片が、前身頃の外側で前身頃と重複し、
該前身頃の側辺と後身頃の側辺に前身頃の縫合部分が密であるいせが施されており、
前身頃の肩巾と後身頃の肩巾の交差点が左右の肩山よりも前に位置し、
前記ベビー肌着は袖部を有し、袖部の下縁が、胴回りの側辺に対して鈍角に形成されることを特徴とする、ベビー肌着。 - 後身頃は前身頃よりも裾方向に長く形成され、後身頃の下辺中央部が突出してクロッチ部を形成し、
前身頃の下辺中央部とクロッチ部の下辺中央部に設けられた係止部により係合自在であることを特徴とする、請求項1記載のベビー肌着。 - クロッチ部の側辺にギャザーが入っていることを特徴とする、請求項2記載のベビー肌着。
- 前身頃及び後身頃の側辺が互いに縫着された部分である脇接ぎ目と袖部の縫着された部分である袖接ぎ目が連結していないことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のベビー肌着。
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