JP6026951B2 - サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、サイドウォール用ゴム組成物及びそれを用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤに関する。
ゴム組成物、とりわけタイヤに用いられるタイヤ用ゴム組成物においては、耐候性(耐オゾン性)、即ち大気中のオゾンによるゴムの亀裂・劣化を防止することが求められており、そのため、これらのゴム組成物にはワックスが配合されている。特に、タイヤのサイドウォールにおいては、直接外気に接触し、また車に装着した際に人目に触れる部材であることから、サイドウォール用ゴム組成物には、他のタイヤ部材以上に耐候性及び外観性に優れていることが求められる。
従来、ゴム組成物に配合されるワックスとしては、パラフィンワックスが主に用いられてきた。しかしパラフィンワックスは化石由来資源である石油を原料として合成された石油系ワックスであるため、地球環境の点からは好ましいとはいえない。加えて、石油系ワックスは、耐候性及び耐屈曲亀裂成長性には優れるものの、ブルームによる白色化によりタイヤの外観が損なわれるという問題があった。また、石油系ワックスは、極性が小さいため、シリカ配合などの近年の低燃費配合系においては、石油系ワックスを多く配合すると低燃費性に劣るという問題もある。
そこで、近年、特許文献1、2のように、天然由来のワックス、例えばカルナバワックス、キャンデリラワックスを用いた配合例が開示されているが、外観性、低燃費性、耐屈曲亀裂成長性等の向上に改善の余地がある。
一方、耐候性を向上させる他の方法として、老化防止剤を配合する方法が挙げられるが、老化防止剤は多量に配合するとブルームによるゴム表面の茶変を招いて外観性を低下させたり、年月とともに効果が低減したりする問題があった。また化学的に合成された老化防止剤は、そのもの自体の毒性や環境への影響が問題視されたり、混練の際に臭気を発したりする等の問題もある。
これに対して、特許文献3には、シトラス系香料をベーストレッド用ゴム組成物に配合し、臭気を低減する技術が開示されているが、該シトラス系香料は、室温で液状のオイル成分であるため、耐候性やゴム物性の向上については改善の余地がある。
このように、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できる技術の開発が求められている。
特開2008−297392号公報 特開2008−303249号公報 特開2007−8225号公報
本発明は、前記課題を解決し、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できるサイドウォール用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、柑橘類由来のワックスを配合することにより、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できることを見出し、第一の本発明を完成させた。
すなわち、第一の本発明は、ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有するサイドウォール用ゴム組成物に関する。
上記ワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上であることが好ましい。
上記ワックスは、フィトステロール類の含有率が1質量%以上であることが好ましい。
上記ワックスの軟化点が、示差走査熱量測定(DSC)により測定される吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピークトップ温度として測定された際に35〜85℃であることが好ましい。
上記ワックスが、柑橘類の花及び/又は果皮より抽出されるものであることが好ましい。
ブタジエンゴムを含むことが好ましい。
イソプレン系ゴムを含むことが好ましい。
シリカを含むことが好ましい。
更に、本発明者らは、柑橘類由来のワックスに含まれる成分について精査したところ、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が重要であることを見出し、第二の本発明を完成させた。
すなわち、第二の本発明は、ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックスを含有するサイドウォール用ゴム組成物に関する。
更に、本発明者らは、柑橘類由来のワックスに含まれる成分について精査したところ、フィトステロール類の含有率が重要であることを見出し、第三の本発明を完成させた。
すなわち、第三の本発明は、ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックスを含有するサイドウォール用ゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤに関する。
第一の本発明によれば、ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物であるので、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性が改善されると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性も改善された空気入りタイヤを提供できる。
また、第二の本発明によれば、ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物であるので、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性が改善されると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性も改善された空気入りタイヤを提供できる。
また、第三の本発明によれば、ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物であるので、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性が改善されると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性も改善された空気入りタイヤを提供できる。
(第一の本発明のタイヤ用ゴム組成物)
本発明のサイドウォール用ゴム組成物は、ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有する。
柑橘類由来のワックスを配合することで、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できる。
これは、柑橘類由来のワックスに含まれるフラボノイド、カロチノイドなどの成分が、天然の老化防止剤として作用することで、特に、耐候性及び臭気を改善でき、更に、柑橘類由来のワックスに含まれるフィトステロールやフィトステロールエステルなどのフィトステロール類が、天然の界面活性剤として作用することで、特に、他の配合成分との相溶性を向上でき、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性を改善できると共に、柑橘類由来のワックス及び老化防止剤のブルームも抑制でき、白色化及び茶色化の外観性を改善できるためと推察される。また、柑橘類由来のワックスは、天然(植物)由来のワックスであるため、環境や健康への影響を低減できる。
以下、第一の本発明について説明する。
本発明のサイドウォール用ゴム組成物に使用できるゴム成分としては、特に限定されず、イソプレン系ゴム、ジエン系合成ゴム(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)など)等が使用される。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのゴム成分は、ゴムの主鎖及び/又は末端が変性剤により変性されたものでもよく、また一部が、例えば四塩化スズ、四塩化珪素のような多官能型変性剤によりカップリングされ、分岐構造を有しているものでも良い。
ゴム成分としては、良好な耐屈曲亀裂成長性及び低燃費性が得られるという点で、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、BRがより好ましく、BRとイソプレン系ゴムを併用することが特に好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150Bなどの高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617などのシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなど、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらのBRは、単独で用いても、2種以上を用いても良い。
BRのシス含量は95質量%以上であることが好ましい。95質量%以上のものを用いることで、耐摩耗性がより向上する。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法により測定できる。
BRのトルエン溶液粘度は、好ましくは200cps以下、より好ましくは150cps以下、更に好ましくは100cps以下である。200cpsを超えると、粘度が高くなりすぎ、加工性が低下したり、他のゴム成分と混ざりにくくなる傾向にある。なお、BRのトルエン溶液粘度は、キャノンフェンスケ型動粘度計(♯400)を用いて測定した5質量%トルエン溶液の動粘度計流下時間から算出することができる。5質量%トルエン溶液とは、BRの含有量が5質量%のトルエン溶液を意味する。
BRの分子量分布(Mw/Mn)は3.0〜3.4であることが好ましい。この範囲内であると、加工性の改善と耐摩耗性の改善を両立することができる。なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めたものである。
また、将来の石油資源の枯渇を想定した場合、化石燃料由来のモノマーを使用しない、又は再生可能な生物由来原料をモノマーとして使用して得られたBRを使用することが好ましい。このような生物由来原料から製造されたBRとしては、バイオエタノールに触媒を作用させてブタジエンを得て、それを重合する等の方法により得ることができる。
第一の本発明のゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。5質量%未満であると、耐候性が低下する傾向があり、70質量%を超えると、ゴム強度が低下する傾向がある。
イソプレン系ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム等が挙げられる。イソプレン系ゴムを配合することにより、ゴム強度を向上させることができる。
NRには、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)も含まれ、改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。また、NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。イソプレン系ゴムのなかでも、低燃費性、耐屈曲亀裂成長性がバランスよく得られることから、NRが好ましい。
第一の本発明のゴム組成物がイソプレン系ゴム(好ましくはNR)を含有する場合、ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴム(好ましくはNR)の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。30質量%未満であると、ゴム強度が低下したり、混練り時のゴムの纏まりが悪くなって生産性が悪化するおそれがあり、70質量%を超えると、耐候性が悪化するおそれがある。
BRとイソプレン系ゴム(好ましくはNR)を併用する場合、ゴム成分100質量%中、BRとイソプレン系ゴム(好ましくはNR)の合計含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。70質量%以上とすることにより、良好な耐屈曲亀裂成長性と耐破壊性能が達成でき、耐加硫戻り性の効果も大きくなる。
第一の本発明のゴム組成物は、柑橘類由来のワックスを含む。これにより、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できる。
柑橘類としては、オレンジ類(バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジ、ベルガモットなど);グレープフルーツ類(グレープフルーツ、オランジェロなど);香酸柑橘類(ユズ、ダイダイ、カボス、レモン、シークヮーサー、ライムなど);雑柑類(ナツミカン、ハッサク、ヒュウガナツ、スウィーティーなど);タンゴール類(イヨカン、清見、はるみ、タンカンなど);タンゼロ類(セミノール、タンジェロなど);ブンタン類(ブンタン、晩白柚など);ミカン類(マンダリンオレンジ、ウンシュウミカン、ポンカン、タチバナ、紀州ミカンなど);カラタチ類(カラタチ、ヒリュウ、ウンリュウなど);キンカン類(キンカンなど)等が挙げられる。なかでも、入手が容易で、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、オレンジ類、グレープフルーツ類、ミカン類が好ましく、オレンジ類がより好ましい。
柑橘類からのワックスの採取法は特に限定されないが、柑橘類の花、種子、果実、果実の皮(果皮)等の圧搾や溶剤抽出等により採取されたオイルのウィンタリング(脱ろう)や、果実表面の溶剤洗浄等により得ることが出来る。また、化粧品用途等に市販されているものを用いることもできる。
上記柑橘類由来のワックスとしては、柑橘類の花から上記手法等により抽出されるもの(例えば、オレンジフラワーワックス)や果実の皮(果皮)から上記手法等により抽出されるもの(例えば、オレンジピールワックス)が好ましく、なかでも、果皮から上記手法等により抽出したワックスがより好ましく、入手が容易であり、本発明の効果がより好適に得られることから、オレンジピールワックスが更に好ましい。
上記オレンジピールワックスは、オレンジの皮より得たオレンジオイルからエッセンシャルオイルとオレンジテルペンを分離した後、得られる柔らかいワックスであり、特別なエステル、遊離アルコール、遊離ステロール、遊離脂肪酸、炭化水素の複雑な混合物からなる。さらに少量のフラボノイド、カロチノイド、糖脂質やリン脂質、フィトステロールを含む。なお、遊離脂肪酸は、従来よりタイヤ用ゴム組成物に配合されているが、一般的に、単独で配合、又は通常の天然由来のワックスに多量に含まれている場合、シリカのような極性配合物との親和性向上、加工性の向上等の効果をもたらす一方で、ワックスの経年劣化やゴム組成物の耐候性低下を招く場合があるが、柑橘類由来のワックスに含まれている場合は、前記のような悪影響を与えることがないことも判明した。これは、柑橘類由来のワックスに、フラボノイド、カロチノイド、フィトステロール類等が含まれているためと推測される。
なお、上記柑橘類由来のワックスは、必要に応じて、溶剤抽出、蒸留、吸着、水添、ろ過等の精製処理を行っても良い。
また、蜜蝋やカルナバワックスのような天然ワックスをオレンジオイルにて希釈したものをオレンジワックスとして市販されている場合もあるが、本明細書では、このような柑橘類由来のオイルに柑橘類由来以外の天然ワックスを混合した混合ワックスは上記柑橘類由来のワックスには含まれない。
上述のように、上記柑橘類由来のワックスは、フラボノイド及び/又はカロチノイドを含むことが好ましい。これにより、耐候性及び臭気をより好適に改善できる。
上記柑橘類由来のワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が、柑橘類由来のワックス100質量%中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。該含有量の上限については特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。フラボノイドやカロチノイドは、天然の老化防止剤として機能するため、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が上記範囲内であると、本発明の効果(特に、耐候性及び臭気の改善効果)がより好適に得られる。
上述のように、上記柑橘類由来のワックスは、フィトステロール類を含むことが好ましい。これにより、他の配合成分との相溶性がより向上し、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性をより好適に改善できると共に、柑橘類由来のワックス及び老化防止剤のブルームもより好適に抑制され、白色化及び茶色化による外観性悪化がより好適に改善できる。
フィトステロール類としては、フィトステロール、フィトステロールエステル、フィトステロール水添化物等が挙げられ、なかでも、フィトステロール、フィトステロールエステルが好ましい。
上記柑橘類由来のワックスは、フィトステロール類の含有率(好ましくはフィトステロール及びフィトステロールエステルの合計含有率)が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。該含有量の上限については特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。フィトステロール類は、天然の界面活性剤として機能するため、フィトステロール類の含有率が上記範囲内であると、本発明の効果(特に、白色化及び茶色化による外観性悪化、低燃費性、及び耐屈曲亀裂成長性の改善効果)がより好適に得られる。
上記柑橘類由来のワックスは、遊離脂肪酸の含有率が、柑橘類由来のワックス100質量%中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。1質量%未満では、シリカとの親和性が低下し、加工性、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性が悪化するおそれがあり、30質量%を超えると、耐候性が低下する傾向がある。
本明細書において、ワックスに含まれる各種成分の含有率は、ガスクロマトグラフィーにより測定できる。
上記柑橘類由来のワックスの軟化点は、示差走査熱量測定装置(DSC)で測定される吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピークトップ温度として測定された際、好ましくは35〜85℃、より好ましくは40〜80℃、更に好ましくは45〜75℃である。35℃未満では、表面にブルームするワックスとしての効果が十分発現できず耐候性が劣る傾向があり、85℃を超えると、低温域での耐候性が低下する恐れがある。
なお、本明細書において、ワックスの軟化点分布(最大吸熱ピークのピークトップ温度)は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、−30℃から100℃まで5℃/分の昇温速度でヒートフロー(mW/g)を測定して調べられる。
上記柑橘類由来のワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、特に好ましくは2質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは12質量部以下である。0.1質量部未満では、本発明の効果が充分に得られないおそれがあり、100質量部を超えると、ゴム剛性、耐屈曲亀裂成長性が低下すると共にワックスがブルームしやすくなり、白色化による外観性の悪化を招く傾向がある。
第一の本発明のゴム組成物は、上記柑橘類由来のワックスとともに、他のワックスを配合してもよい。併用するワックスは、本発明の効果を最大限に発揮するという目的で、極性の強いエステル系ワックス、特に蜜蝋、カルナバワックス、ライスワックス等の天然由来ワックスであることが好ましい。
第一の本発明におけるゴム組成物においては、前記ゴム成分、ワックス成分のほかにタイヤ工業において一般的に使用されているオイル等の軟化剤、老化防止剤、ステアリン酸、充填剤、カップリング剤、酸化亜鉛などの添加剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
上記充填剤としては、タイヤ工業において一般的に使用されているものを使用でき、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、セルロース、ガラスバルーン、各種短繊維等が挙げられる。なかでも、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウムがタイヤ物性の面で好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物が充填剤を含有する場合、上記充填剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜250質量部、より好ましくは20〜200質量部、更に好ましくは30〜180質量部である。10質量部未満であると、ゴム組成物の強度が不十分となるおそれがあり、250質量部を超えると、充填剤がゴムに充分に分散せず、ゴム物性が低下する傾向がある。
充填剤としては、低燃費性の観点から、シリカを含むことが特に好ましい。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。湿式法シリカとしては、デグッサ社製のウルトラシル(Ultrasil)VN3、日本シリカ工業(株)製のニップシールVN3 AQなどが挙げられる。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。また、該NSAは250m/g以下が好ましく、210m/g以下がより好ましい。50m/g未満では、ゴム強度が低下する傾向がある。250m/gを超えると、加工性が悪化する傾向にある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。また、シリカの含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは50質量部以下である。シリカの含有量を上記範囲内にすることにより、良好な低燃費性が得られるとともに、補強効果も得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。
上記ゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。また、該含有量は、同じくシリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。1質量部未満では、シランカップリング剤を含有することによる効果が充分得られないおそれがあり、20質量部を超えると、コストが増大する割にカップリング効果向上が得られず、補強性が低下したり、未反応のシランカップリング剤が残存すると、加工中のゴム焼けを招くおそれがある。
充填剤として、第一の本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。これにより、良好な補強効果が得られるとともに、タイヤの白色化を防止する効果を高めることができる。使用できるカーボンブラックの例としては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに将来の石油資源の枯渇を想定した場合、再生可能な生物由来原料を使用したカーボンブラックを使用する事が好ましい。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、10〜280m/gが好ましく、20〜250m/gであることがより好ましく、80〜150m/gであることが更に好ましい。カーボンブラックのNSAが10m/g未満では十分なウェットグリップ性能が得られず、また耐屈曲亀裂成長性が低下する傾向がある。一方、280m/gを超えると、分散性に劣り、耐屈曲亀裂成長性、低燃費性が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して1〜150質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましい。上限は、50質量部が更に好ましく、30質量部が特に好ましい。カーボンブラックの含有量が上記範囲内であれば、ゴムの力学強度を確保でき、良好な耐候性と上記柑橘類由来のワックスとの良好な相溶性も得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、オイルを配合してもよい。オイルを配合することにより、加工性を改善するとともに、ゴムの強度を高めることができる。オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物を用いることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。パラフィン系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のPW−32、PW−90、PW−150、PS−32などが挙げられる。また、アロマ系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のAC−12、AC−460、AH−16、AH−24、AH−58などが挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。なかでも、上記柑橘類由来のワックスと相溶性がよく、本発明の効果を最大限に発現できるという理由から、植物油脂が好ましく、ひまわり油がより好ましい。なお、第一の本発明において、オイルは、常温(25℃)で液体であることが好ましい。
ひまわり油は、構成脂肪酸100質量%中のオレイン酸の含有量が、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。上記オレイン酸の含有量の上限は特に限定されないが、入手のしやすさやコストを考慮すると、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。オレイン酸の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。なお、脂肪酸組成(オレイン酸の含有量)は、特表2009−543561号公報に記載の方法に従い、GLC(気−液クロマトグラフィー)により測定できる。
上記ゴム組成物がオイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。また、オイルの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは30質量部以下、最も好ましくは15質量部以下である。オイルの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、老化防止剤を含有することが好ましい。老化防止剤としては特に限定されず、例えば、ナフチルアミン系、キノリン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、ヒドロキノン誘導体、フェノール系(モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系)、チオビスフェノール系、ベンゾイミダゾール系、チオウレア系、亜リン酸系、有機チオ酸系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、p−フェニレンジアミン系が好ましい。
上記ゴム組成物が老化防止剤を含有する場合、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。0.1質量部未満であると、充分な耐候性が得られないおそれがある。老化防止剤の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは4質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。10質量部を超えると、老化防止剤がブルームし、タイヤの外観が悪化したり、臭気が悪化したりするおそれがある。本発明では、上記柑橘類由来のワックスを配合することにより、老化防止剤の量を増量することなく、耐候性を向上できるため、老化防止剤量を上記量とすることができる。そして、老化防止剤量を上記量とすることにより、老化防止剤に起因する外観性の悪化や臭気の発生を抑制できるため、本発明の効果がより好適に得られる。
第一の本発明のゴム組成物は加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、TBBSが好ましい。
上記ゴム組成物が加硫促進剤を含有する場合、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。加硫促進剤の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤ表面に位置し、耐候性が求められるサイドウォールに好適に使用できる。
(第二の本発明のサイドウォール用ゴム組成物)
第二の本発明のサイドウォール用ゴム組成物は、ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックスを含有する。
上記天然由来のワックスを配合することで、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できる。上述のように、フラボノイド、カロチノイドなどの成分が、天然の老化防止剤として作用することで、特に、耐候性及び臭気を改善できるため、耐候性及び臭気をより好適に改善できる。また、上記天然由来のワックスは、天然(植物)由来のワックスであるため、環境や健康への影響を低減できる。
第二の本発明は、上記天然由来のワックスを配合する点以外は、第一の本発明と基本的に同様であるため、以下においては、上記天然由来のワックスについてのみ説明する。
上記天然由来のワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上であれば、特に限定されず、第一の本発明で使用した上記柑橘類由来のワックスと同様のものを好適に使用できる。上記天然由来のワックスと上記柑橘類由来のワックスとの違いは、上記天然由来のワックスはその由来が柑橘類に限定されない点のみである。
上記天然由来のワックスの由来は、柑橘類に限定されず、例えば、ブドウ、カカオ等の柑橘類以外の果実や種子、茶類のような樹木の葉等の由来のものも使用できる。
なお、第二の本発明において、上記天然由来のワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上、かつ、フィトステロール類の含有率が1質量%以上であることが好ましい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
(第三の本発明のサイドウォール用ゴム組成物)
第三の本発明のサイドウォール用ゴム組成物は、ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックスを含有する。
上記天然由来のワックスを配合することで、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できる。上述のように、フィトステロールやフィトステロールエステルなどのフィトステロール類が、天然の界面活性剤として作用することで、特に、他の配合成分との相溶性が向上し、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性をより改善できると共に、柑橘類由来のワックス及び老化防止剤のブルームもより好適に抑制され、白色化及び茶色化による外観性の悪化をより改善できるため、特に、白色化及び茶色化による外観性の悪化、低燃費性、及び耐屈曲亀裂成長性をより好適に改善できる。また、上記天然由来のワックスは、天然(植物)由来のワックスであるため、環境や健康への影響を低減できる。
第三の本発明は、上記天然由来のワックスを配合する点以外は、第一の本発明と基本的に同様であるため、以下においては、上記天然由来のワックスについてのみ説明する。
上記天然由来のワックスは、フィトステロール類の含有率が1質量%以上であれば、特に限定されず、第一の本発明で使用した上記柑橘類由来のワックスと同様のものを好適に使用できる。上記天然由来のワックスと上記柑橘類由来のワックスとの違いは、上記天然由来のワックスはその由来が柑橘類に限定されない点のみである。上記天然由来のワックスの由来は、例えば、第二の本発明と同様に柑橘類に限定されない。
なお、第三の本発明において、上記天然由来のワックスは、フィトステロール類の含有率が1質量%以上、かつ、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上であることが好ましい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でサイドウォールなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを製造できる。
(本発明の空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤは、地球環境に優しい「エコタイヤ」として、たとえば乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等として用いられる。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例で使用した薬品をまとめて示す。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(シス含量:97質量%、トルエン溶液粘度(BR含量が5質量%):48cps、Mw/Mn:3.3)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のシーストN220(NSA:114m/g)
シリカ:EVONIK−DEGUSSA社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
ワックス1::Koster Keunen社製のオレンジピールワックス(柑橘類由来のワックス、軟化点:50℃)
ワックス2:日本精蝋(株)製のオゾエース0355(石油系ワックス)
ワックス3:東亜化成(株)製のカルナバワックス(その他の天然由来ワックス、軟化点:約82℃)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
オイル:オリソイ社製の高オレイン酸ひまわり油(構成脂肪酸100質量%中のオレイン酸の含有量:82質量%、多価不飽和脂肪酸比率9質量%、飽和脂肪酸比率9質量%)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
上記オレンジピールワックス(ワックス1)及びカルナバワックス(ワックス3)について、下記分析を行った。結果を表1に示す。
(各成分の含有率)
ワックスに含まれる各成分の含有率をガスクロマトグラフィーにより測定した。
(軟化点)
ワックスの軟化点(最大吸熱ピークのピークトップ温度)は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、−30℃から100℃まで5℃/分の昇温速度でヒートフロー(mW/g)を測定することにより求めた。
Figure 0006026951
表1より、柑橘類由来のワックスに含まれるフラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上であり、フィトステロール類の含有率(フィトステロール及びフィトステロールエステルの合計含有率)が1質量%以上であることがわかる。
<実施例及び比較例>
表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。次に、得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をサイドウォール形状に成形して、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃で15分間加硫することにより、試験用タイヤを作製した。
得られた加硫ゴムシート及び試験用タイヤについて、以下の評価を行った。
<転がり抵抗指数>
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%および周波数10Hzの条件下で加硫ゴムシートの損失正接(tanδ)を測定し、比較例1の転がり抵抗指数を100とし、下記計算式により、転がり抵抗を指数表示した。転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が低減され、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<耐候性評価>
JIS K 6259「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方」に基づき、オゾン濃度50±5pphm、各温度(低温:0℃、中温:25℃、高温:50℃)、伸張歪20±2%の条件下で、48時間試験した後の亀裂の状態を観察することで、耐オゾン性を評価した。なお、評価方法は、JISに記載の方式に従い、亀裂の数と大きさを表した。アルファベット(A、B及びC)は、Aが亀裂の数が少なく、Cが亀裂の数が大きいことを示し、数字(1〜5)は、大きいほど、亀裂の大きさが大きいことを示し、「クラックなし」は、クラックが発生しなかったことを示す。
<屋外暴露試験(耐白色化評価)>
試験用タイヤにホィールを取り付け、2.2気圧の空気を封入して、屋外(神戸市内)に3ヶ月間放置し、その後の変色度合いを目視で評価した。〇であれば、外観性が良好であると判断した。
白色化評価: ○:変色なし △:わずかに白色化 ×:激しく白色化
<茶変色試験(耐茶色化評価>
実施例および比較例の加硫ゴムシートを屋外の日の当たる場所に6カ月間放置し、日光に暴露し、茶変色度合いを目視で5段階評価した。数値が大きい方が、茶変色が少なく、外観性が良好であることを示す。
<臭気評価>
加硫後のゴムサンプルの臭いを確認し、不快な刺激臭があるものを×、わずかに臭気があるものを△、臭気がないものを○とした。〇、△であれば、良好である(臭気を低減できている)と判断した。
<耐屈曲亀裂成長性指数>
得られた加硫ゴム組成物を用い、JIS K 6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してサンプルを屈曲させた後、発生した亀裂の長さを測定した。比較例1の測定値(長さ)を100とし、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂成長性に優れることを示す。
(耐屈曲亀裂成長性指数)=(比較例1の測定値)/(各配合の測定値)×100
Figure 0006026951
表2より、柑橘類由来のワックス(フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックス、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックス)を含有する実施例は、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、老化防止剤のブルームによる茶変色(茶色化)や、ワックスのブルームによる白色化などの外観性の低下を抑制しつつ耐候性を改善できると共に、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性などのタイヤ性能も改善できた。

Claims (11)

  1. ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有するサイドウォール用ゴム組成物。
  2. 前記ワックスのフラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である請求項1記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  3. 前記ワックスのフィトステロール類の含有率が1質量%以上である請求項1又は2記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  4. 前記ワックスの軟化点が、示差走査熱量測定(DSC)により測定される吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピークトップ温度として測定された際に35〜85℃である請求項1〜3のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  5. 前記ワックスが、柑橘類の花及び/又は果皮より抽出されるものである請求項1〜4のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  6. ブタジエンゴムを含む請求項1〜5のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  7. イソプレン系ゴムを含む請求項1〜6のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  8. シリカを含む請求項1〜7のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤ。
  10. ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックスを含有するサイドウォール用ゴム組成物。
  11. ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックスを含有するサイドウォール用ゴム組成物。
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