JP6069093B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びそれを用いて作製した空気入りタイヤに関する。
ゴム組成物、とりわけタイヤに用いられるタイヤ用ゴム組成物においては、耐候性(耐オゾン性)、即ち大気中のオゾンによるゴムの亀裂・劣化を防止することが求められており、そのため、これらのゴム組成物にはワックスが配合されている。
従来、ゴム組成物に配合されるワックスとしては、パラフィンワックスが主に用いられてきた。しかし、パラフィンワックスは化石由来資源である石油を原料として合成された石油系ワックスであるため、地球環境の点からは好ましいとはいえない。加えて、石油系ワックスは、耐候性には優れるものの、ブルームによる変色で外観性(タイヤの外観)が損なわれるという問題があった。加えて、石油系ワックスは、極性が小さいため、シリカ配合などの近年の低燃費配合系においては、石油系ワックスを多く配合すると低燃費性や耐摩耗性に劣るという問題もある。
そこで、近年、特許文献1、2のように、天然由来ワックス、例えばカルナバワックス、キャンデリラワックスを用いた配合例が開示されているが、外観性や低燃費性、耐摩耗性等の向上に改善の余地がある。
一方、耐候性を向上させる他の方法として、老化防止剤を配合する方法が挙げられるが、老化防止剤は多量に配合するとゴム表面の茶変を招いて外観性を低下させたり、年月とともに効果が低減したり、低燃費性や耐摩耗性が悪化したりする問題があった。また化学的に合成された老化防止剤は、そのもの自体の毒性や環境への影響が問題視されたり、混練の際に臭気を発したりする等の問題もある。
これに対して、特許文献3には、シトラス系香料をベーストレッド用ゴム組成物に配合し、臭気を低減する技術が開示されているが、該シトラス系香料は、室温で液状のオイル成分であるため、耐候性やゴム物性の向上については改善の余地がある。
このように、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性などのタイヤ性能も改善できる技術の開発が求められている。
特開2008−297392号公報 特開2008−303249号公報 特開2007−8225号公報
本発明は、上記課題を解決し、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性などのタイヤ性能も改善できるタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いて作製した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、柑橘類由来のワックスを配合することにより、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性などのタイヤ性能も改善できることを見出し、第一の本発明を完成させた。
すなわち、第一の本発明は、ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
上記ワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上であることが好ましい。
上記ワックスは、フィトステロール類の含有率が1質量%以上であることが好ましい。
上記ワックスの軟化点が、示差走査熱量測定(DSC)により測定される吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピークトップ温度として測定された際に35〜85℃であることが好ましい。
上記ワックスが、柑橘類の花及び/又は果皮より抽出されるものであることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、スチレンブタジエンゴムを含むことが好ましい。
上記スチレンブタジエンゴムのスチレン含量が、20質量%以上であることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、シリカを含むことが好ましい。
更に、本発明者らは、柑橘類由来のワックスに含まれる成分について精査したところ、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が重要であることを見出し、第二の本発明を完成させた。
すなわち、第二の本発明は、ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
更に、本発明者らは、柑橘類由来のワックスに含まれる成分について精査したところ、フィトステロール類の含有率が重要であることを見出し、第三の本発明を完成させた。
すなわち、第三の本発明は、ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
第一の本発明によれば、ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物であるので、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善されると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善された空気入りタイヤを提供できる。
また、第二の本発明によれば、ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物であるので、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善されると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善された空気入りタイヤを提供できる。
また、第三の本発明によれば、ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックスを含有するタイヤ用ゴム組成物であるので、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善されると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善された空気入りタイヤを提供できる。
(第一の本発明のタイヤ用ゴム組成物)
第一の本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有する。
柑橘類由来のワックスを配合することで、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善できる。
これは、柑橘類由来のワックスに含まれるフラボノイド、カロチノイドなどの成分が、天然の老化防止剤として作用することで、特に、耐候性及び臭気を改善でき、更に、柑橘類由来のワックスに含まれるフィトステロールやフィトステロールエステルなどのフィトステロール類が、天然の界面活性剤として作用することで、特に、他の配合成分との相溶性を向上でき、低燃費性及び耐摩耗性を改善できると共に、柑橘類由来のワックスのブルームも抑制され、外観性を改善できるためと推察される。また、柑橘類由来のワックスは、天然(植物)由来のワックスであるため、環境や健康への影響を低減できる。
以下、第一の本発明について説明する。
第一の本発明のタイヤ用ゴム組成物に使用できるゴム成分としては、特に限定されず、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ジエン系合成ゴム(イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)など)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのゴムは、ゴムの主鎖及び/又は末端が変性剤により変性されたものでもよく、また一部が、四塩化スズ、四塩化珪素のような多官能型変性剤によりカップリングされ、分岐構造を有しているものでも良い。
また、ジエン系合成ゴムを使用する場合、将来の石油資源の枯渇を想定した場合、化石燃料由来のモノマーを使用しない、又は再生可能な生物由来原料をモノマーとして使用して得られたジエン系合成ゴムを使用することが好ましい。このような生物由来原料から製造されたジエン系合成ゴムとしては、例えばブタジエンゴムの場合、バイオエタノールに触媒を作用させてブタジエンを得て、それを重合する等の方法により得ることができる。
ゴム成分としては、適用するタイヤ部材などに応じて適宜選択すればよいが、良好な低燃費性、耐摩耗性が得られるという理由から、NR、BR、SBRが好ましく、加えて良好な加工性、グリップ性能が得られる点で、SBRがより好ましく、SBRとともにNR及び/又はBRを併用することが更に好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用でき、シリカとの親和性を高めるために極性基含有化合物により変性されていることが好ましい。
SBRは、ジエン系ゴムのなかでも比較的極性が高いため、タイヤ用ゴム組成物に一般的に使用されている石油などの化石資源由来のワックス(石油系ワックス)との相溶性が低い。そのため、SBRを含むゴム組成物に石油系ワックスを配合すると、石油系ワックスのブルームにより白色化が起こり易く、外観性が悪化する傾向がある。特に、スチレン含量の高いSBRや変性されたSBRは極性が高いため、この傾向が顕著である。
これに対し、上記柑橘類由来のワックスは、比較的極性の高いゴムに対する相溶性が高いため、SBRを含むゴム組成物に柑橘類由来のワックスを使用しても、適度に柑橘類由来のワックスのブルーミングがコントロールされ、外観性を改善できる。また、耐候性、低燃費性、耐摩耗性も改善できる。このように、SBRを含むゴム組成物に柑橘類由来のワックスを配合することにより、柑橘類由来のワックスを配合することにより得られる効果がより好適に得られる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは18質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上、最も好ましくは30質量%以上である。また、SBRのスチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。第一の本発明のゴム組成物は、上記柑橘類由来のワックスを配合しているため、スチレン含量が高く、より極性が高いSBRを使用した場合であっても、適度に柑橘類由来のワックスのブルーミングがコントロールされ、外観性を改善できる。また、耐候性、低燃費性、耐摩耗性も改善できる。
なお、スチレン含量は、H−NMR測定によって算出できる。
上記ゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。該SBRの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。SBRの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
上記ゴム組成物がNRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。該NRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。NRの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、耐摩耗性、低燃費性が良好であるという理由から、BRのシス含量は90質量%以上が好ましい。
上記ゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。該BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。BRの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、柑橘類由来のワックスを含む。これにより、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善できる。
柑橘類としては、オレンジ類(バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジ、ベルガモットなど);グレープフルーツ類(グレープフルーツ、オランジェロなど);香酸柑橘類(ユズ、ダイダイ、カボス、レモン、シークヮーサー、ライムなど);雑柑類(ナツミカン、ハッサク、ヒュウガナツ、スウィーティーなど);タンゴール類(イヨカン、清見、はるみ、タンカンなど);タンゼロ類(セミノール、タンジェロなど);ブンタン類(ブンタン、晩白柚など);ミカン類(マンダリンオレンジ、ウンシュウミカン、ポンカン、タチバナ、紀州ミカンなど);カラタチ類(カラタチ、ヒリュウ、ウンリュウなど);キンカン類(キンカンなど)等が挙げられる。なかでも、入手が容易で、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、オレンジ類、グレープフルーツ類、ミカン類が好ましく、オレンジ類がより好ましい。
柑橘類からのワックスの採取法は特に限定されないが、柑橘類の花、種子、果実、果実の皮(果皮)等の圧搾や溶剤抽出等により採取されたオイルのウィンタリング(脱ろう)や、果実表面の溶剤洗浄等により得ることが出来る。また、化粧品用途等に市販されているものを用いることもできる。
上記柑橘類由来のワックスとしては、柑橘類の花から上記手法等により抽出されるもの(例えば、オレンジフラワーワックス)や果実の皮(果皮)から上記手法等により抽出されるもの(例えば、オレンジピールワックス)が好ましく、なかでも、果皮から上記手法等により抽出したワックスがより好ましく、入手が容易であり、本発明の効果がより好適に得られることから、オレンジピールワックスが更に好ましい。
上記オレンジピールワックスは、オレンジの皮より得たオレンジオイルからエッセンシャルオイルとオレンジテルペンを分離した後、得られる柔らかいワックスであり、特別なエステル、遊離アルコール、遊離ステロール、遊離脂肪酸、炭化水素の複雑な混合物からなる。さらに少量のフラボノイド、カロチノイド、糖脂質やリン脂質、フィトステロールを含む。なお、遊離脂肪酸は、従来よりタイヤ用ゴム組成物に配合されているが、一般的に、単独で配合、又は通常の天然由来のワックスに多量に含まれている場合、シリカのような極性配合物との親和性向上、加工性の向上等の効果をもたらす一方で、ワックスの経年劣化やゴム組成物の耐候性低下を招く場合があるが、柑橘類由来のワックスに含まれている場合は、前記のような悪影響を与えることがないことも判明した。これは、柑橘類由来のワックスに、フラボノイド、カロチノイド、フィトステロール類等が含まれているためと推測される。
なお、上記柑橘類由来のワックスは、必要に応じて、溶剤抽出、蒸留、吸着、水添、ろ過等の精製処理を行っても良い。
また、蜜蝋やカルナバワックスのような天然ワックスをオレンジオイルにて希釈したものをオレンジワックスとして市販されている場合もあるが、本明細書では、このような柑橘類由来のオイルに柑橘類由来以外の天然ワックスを混合した混合ワックスは上記柑橘類由来のワックスには含まれない。
上述のように、上記柑橘類由来のワックスは、フラボノイド及び/又はカロチノイドを含むことが好ましい。これにより、耐候性及び臭気をより好適に改善できる。
上記柑橘類由来のワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が、柑橘類由来のワックス100質量%中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。該含有量の上限については特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。フラボノイドやカロチノイドは、天然の老化防止剤として機能するため、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が上記範囲内であると、本発明の効果(特に、耐候性及び臭気の改善効果)がより好適に得られる。
上述のように、上記柑橘類由来のワックスは、フィトステロール類を含むことが好ましい。これにより、他の配合成分との相溶性がより向上し、低燃費性及び耐摩耗性をより好適に改善できると共に、柑橘類由来のワックスのブルームもより好適に抑制され、外観性がより好適に改善できる。
フィトステロール類としては、フィトステロール、フィトステロールエステル、フィトステロール水添化物等が挙げられ、なかでも、フィトステロール、フィトステロールエステルが好ましい。
上記柑橘類由来のワックスは、フィトステロール類の含有率(好ましくはフィトステロール及びフィトステロールエステルの合計含有率)が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。該含有量の上限については特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。フィトステロール類は、天然の界面活性剤として機能するため、フィトステロール類の含有率が上記範囲内であると、本発明の効果(特に、外観性、低燃費性、及び耐摩耗性の改善効果)がより好適に得られる。
上記柑橘類由来のワックスは、遊離脂肪酸の含有率が、柑橘類由来のワックス100質量%中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。1質量%未満では、シリカとの親和性が低下し、加工性、低燃費性及び耐摩耗性が悪化するおそれがあり、30質量%を超えると、耐候性が低下する傾向がある。
本明細書において、ワックスに含まれる各種成分の含有率は、ガスクロマトグラフィーにより測定できる。
上記柑橘類由来のワックスの軟化点は、示差走査熱量測定装置(DSC)で測定される吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピークトップ温度として測定された際、好ましくは35〜85℃、より好ましくは40〜80℃、更に好ましくは45〜75℃である。35℃未満では、表面にブルームするワックスとしての効果が十分発現できず耐候性が劣る傾向があり、85℃を超えると、低温域での耐オゾン性が低下する恐れがある。
なお、本明細書において、ワックスの軟化点分布(最大吸熱ピークのピークトップ温度)は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、−30℃から100℃まで5℃/分の昇温速度でヒートフロー(mW/g)を測定して調べられる。
上記柑橘類由来のワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、特に好ましくは2質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは12質量部以下である。0.1質量部未満では、本発明の効果が充分に得られないおそれがあり、100質量部を超えると、ゴム剛性、耐摩耗性が低下すると共にワックスがブルームしやすくなり、外観性が悪化する傾向がある。
第一の本発明のゴム組成物は、上記柑橘類由来のワックスとともに、他のワックスを配合してもよい。併用するワックスは、本発明の効果を最大限に発揮するという目的で、極性の強いエステル系ワックス、特に蜜蝋、カルナバワックス、ライスワックス等の天然由来ワックスであることが好ましい。
第一の本発明におけるゴム組成物においては、前記ゴム成分、ワックス成分のほかにタイヤ工業において一般的に使用されているオイル等の軟化剤、老化防止剤、ステアリン酸、充填剤、カップリング剤、酸化亜鉛などの添加剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
上記充填剤としては、タイヤ工業において一般的に使用されているものを使用でき、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、セルロース、ガラスバルーン、各種短繊維等が挙げられる。なかでも、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウムがタイヤ物性の面で好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物が充填剤を含有する場合、上記充填剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜250質量部、より好ましくは20〜200質量部、更に好ましくは30〜180質量部である。10質量部未満であると、ゴム組成物の強度が不十分となるおそれがあり、250質量部を超えると、充填剤がゴムに充分に分散せず、ゴム物性が低下する傾向がある。
充填剤としては、低燃費性の観点から、シリカを含むことが特に好ましい。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。湿式法シリカとしては、デグッサ社製のウルトラシル(Ultrasil)VN3、日本シリカ工業(株)製のニップシールVN3 AQなどが挙げられる。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。また、該NSAは250m/g以下が好ましく、210m/g以下がより好ましい。50m/g未満では、ゴム強度が低下する傾向がある。250m/gを超えると、加工性が悪化する傾向にある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。また、シリカの含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。シリカの含有量を上記範囲内にすることにより、良好な低燃費性が得られるとともに、補強効果も得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。
上記ゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。また、該含有量は、同じくシリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。1質量部未満では、シランカップリング剤を含有することによる効果が充分得られないおそれがあり、20質量部を超えると、コストが増大する割にカップリング効果向上が得られず、補強性及び耐摩耗性が低下するおそれがある。
充填剤として、第一の本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。これにより、良好な補強効果が得られるとともに、タイヤの白色化を防止する効果を高めることができる。使用できるカーボンブラックの例としては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに将来の石油資源の枯渇を想定した場合、再生可能な生物由来原料を使用したカーボンブラックを使用する事が好ましい。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、10〜280m/gが好ましく、20〜250m/gであることがより好ましく、80〜150m/gであることが更に好ましい。カーボンブラックのNSAが10m/g未満では十分なウェットグリップ性能が得られず、また耐摩耗性が低下する傾向がある。一方、280m/gを超えると、分散性に劣り、耐摩耗性、低燃費性が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して1〜150質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましい。上限は、50質量部が更に好ましく、30質量部が特に好ましく、20質量部が最も好ましい。カーボンブラックの含有量が上記範囲内であれば、ゴムの力学強度を確保でき、良好な耐オゾン性と上記柑橘類由来のワックスとの良好な相溶性も得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、オイルを配合してもよい。オイルを配合することにより、加工性を改善するとともに、ゴムの強度を高めることができる。オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物を用いることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。パラフィン系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のPW−32、PW−90、PW−150、PS−32などが挙げられる。また、アロマ系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のAC−12、AC−460、AH−16、AH−24、AH−58などが挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。なかでも、上記柑橘類由来のワックスと相溶性がよく、本発明の効果を最大限に発現できるという理由から、植物油脂が好ましく、ひまわり油がより好ましい。なお、第一の本発明において、オイルは、常温(25℃)で液体であることが好ましい。
ひまわり油は、構成脂肪酸100質量%中のオレイン酸の含有量が、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。上記オレイン酸の含有量の上限は特に限定されないが、入手のしやすさやコストを考慮すると、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。オレイン酸の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。なお、脂肪酸組成(オレイン酸の含有量)は、特表2009−543561号公報に記載の方法に従い、GLC(気−液クロマトグラフィー)により測定できる。
上記ゴム組成物がオイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。また、オイルの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは50質量部以下、最も好ましくは30質量部以下である。オイルの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、老化防止剤を含有することが好ましい。老化防止剤としては特に限定されず、例えば、ナフチルアミン系、キノリン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、ヒドロキノン誘導体、フェノール系(モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系)、チオビスフェノール系、ベンゾイミダゾール系、チオウレア系、亜リン酸系、有機チオ酸系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、p−フェニレンジアミン系が好ましい。
上記ゴム組成物が老化防止剤を含有する場合、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。0.1質量部未満であると、充分な耐オゾン性が得られないおそれがある。老化防止剤の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは4質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。10質量部を超えると、老化防止剤がブルームし、タイヤの外観が悪化したり、臭気が悪化したりするおそれがある。本発明では、上記柑橘類由来のワックスを配合することにより、老化防止剤の量を増量することなく、耐候性を向上できるため、老化防止剤量を上記量とすることができる。そして、老化防止剤量を上記量とすることにより、老化防止剤に起因する外観性の悪化や臭気の発生を抑制できるため、本発明の効果がより好適に得られる。
第一の本発明のゴム組成物は加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、TBBSが好ましい。
上記ゴム組成物が加硫促進剤を含有する場合、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。該含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。加硫促進剤の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
第一の本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッドやサイドウォールなどのタイヤ表面に位置し、耐候性が求められる部材に好適に使用できる。
(第二の本発明のタイヤ用ゴム組成物)
第二の本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックスを含有する。
上記天然由来のワックスを配合することで、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善できる。上述のように、フラボノイド、カロチノイドなどの成分が、天然の老化防止剤として作用することで、特に、耐候性及び臭気を改善できるため、耐候性及び臭気をより好適に改善できる。また、上記天然由来のワックスは、天然(植物)由来のワックスであるため、環境や健康への影響を低減できる。
第二の本発明は、上記天然由来のワックスを配合する点以外は、第一の本発明と基本的に同様であるため、以下においては、上記天然由来のワックスについてのみ説明する。
上記天然由来のワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上であれば、特に限定されず、第一の本発明で使用した上記柑橘類由来のワックスと同様のものを好適に使用できる。上記天然由来のワックスと上記柑橘類由来のワックスとの違いは、上記天然由来のワックスはその由来が柑橘類に限定されない点のみである。
上記天然由来のワックスの由来は、柑橘類に限定されず、例えば、ブドウ、カカオ等の柑橘類以外の果実や種子、茶類のような樹木の葉等の由来のものも使用できる。
なお、第二の本発明において、上記天然由来のワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上、かつ、フィトステロール類の含有率が1質量%以上であることが好ましい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる
(第三の本発明のタイヤ用ゴム組成物)
第三の本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックスを含有する。
上記天然由来のワックスを配合することで、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善できる。上述のように、フィトステロールやフィトステロールエステルなどのフィトステロール類が、天然の界面活性剤として作用することで、特に、他の配合成分との相溶性が向上し、低燃費性及び耐摩耗性をより改善できると共に、柑橘類由来のワックスのブルームもより好適に抑制され、外観性をより改善できるため、特に、外観性、低燃費性、及び耐摩耗性をより好適に改善できる。また、上記天然由来のワックスは、天然(植物)由来のワックスであるため、環境や健康への影響を低減できる。
第三の本発明は、上記天然由来のワックスを配合する点以外は、第一の本発明と基本的に同様であるため、以下においては、上記天然由来のワックスについてのみ説明する。
上記天然由来のワックスは、フィトステロール類の含有率が1質量%以上であれば、特に限定されず、第一の本発明で使用した上記柑橘類由来のワックスと同様のものを好適に使用できる。上記天然由来のワックスと上記柑橘類由来のワックスとの違いは、上記天然由来のワックスはその由来が柑橘類に限定されない点のみである。上記天然由来のワックスの由来は、柑橘類に限定されず、例えば、第二の本発明と同様の由来のものも使用できる。
なお、第三の本発明において、上記天然由来のワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上、かつ、フィトステロール類の含有率が1質量%以上であることが好ましい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを製造できる。
(本発明の空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤは、地球環境に優しい「エコタイヤ」として、たとえば乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等として用いられる。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例で使用した薬品等について説明する。
NR:RSS#3
SBR:旭化成(株)製のタフデンE580(極性基で変性された溶液重合SBR、スチレン含量:35.5質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有(低PCAオイル))
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(シス含量:97質量%、ML1+4(100℃):40、Mw/Mn:3.3)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のシーストN220(NSA:114m/g)
シリカ:EVONIK−DEGUSSA社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
ワックス1::Koster Keunen社製のオレンジピールワックス(柑橘類由来のワックス、軟化点:50℃)
ワックス2:日本精蝋(株)製のオゾエース0355(石油系ワックス)
ワックス3:東亜化成(株)製のカルナバワックス(その他の天然由来ワックス、軟化点:約82℃)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
オイル:オリソイ社製の高オレイン酸ひまわり油(構成脂肪酸100質量%中のオレイン酸の含有量:82質量%、多価不飽和脂肪酸比率9質量%、飽和脂肪酸比率9質量%)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
上記オレンジピールワックス(ワックス1)及びカルナバワックス(ワックス3)について、下記分析を行った。結果を表1に示す。
(各成分の含有率)
ワックスに含まれる各成分の含有率をガスクロマトグラフィーにより測定した。
(軟化点)
ワックスの軟化点(最大吸熱ピークのピークトップ温度)は、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、−30℃から100℃まで5℃/分の昇温速度でヒートフロー(mW/g)を測定することにより求めた。
Figure 0006069093
表1より、柑橘類由来のワックスに含まれるフラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上であり、フィトステロール類の含有率(フィトステロール及びフィトステロールエステルの合計含有率)が1質量%以上であることがわかる。
<実施例及び比較例>
表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。次に、得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃で15分間加硫することにより、試験用タイヤを作製した。
得られた加硫ゴムシート及び試験用タイヤについて、以下の評価を行った。結果は表2に示す。
<転がり抵抗指数>
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%および周波数10Hzの条件下で加硫ゴムシートの損失正接(tanδ)を測定し、比較例1の転がり抵抗指数を100とし、下記計算式により、転がり抵抗を指数表示した。転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が低減され、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<耐候性評価>
JIS K 6259「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方」に基づき、オゾン濃度50±5pphm、各温度(低温:0℃、中温:25℃、高温:50℃)、伸張歪20±2%の条件下で、48時間試験した後の亀裂の状態を観察することで、耐オゾン性を評価した。なお、評価方法は、JISに記載の方式に従い、亀裂の数と大きさを表した。アルファベット(A、B及びC)は、Aが亀裂の数が少なく、Cが亀裂の数が大きいことを示し、数字(1〜5)は、大きいほど、亀裂の大きさが大きいことを示し、「クラックなし」は、クラックが発生しなかったことを示す。
<屋外暴露試験(耐白色化評価)>
試験用タイヤにホィールを取り付け、2.2気圧の空気を封入して、屋外(神戸市内)に3ヶ月間放置し、その後の変色度合いを目視で評価した。○、△であれば、外観性が良好であると判断した。
白色化評価: ○:変色なし △:わずかに白色化 ×:激しく白色化
<臭気評価>
加硫ゴムシートの臭いを確認し、不快な刺激臭があるものを×、わずかに臭気があるものを△、臭気がないものを○とした。○、△であれば、良好である(臭気を低減できている)と判断した。
<耐摩耗性指数>
試験用タイヤを2000cc級のABSが装備された乗用車に装着し、摩耗テスト用の所定コースを8000km走行した後のトレッドの溝探さを測定した。そして、溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、下記式により指数表示した。数値が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各配合の溝深さが1mm減るときの走行距離)/(比較例1の溝深さが1mm減るときの走行距離)×100
Figure 0006069093
表2より、柑橘類由来のワックス(フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が0.2質量%以上である天然由来のワックス、フィトステロール類の含有率が1質量%以上である天然由来のワックス)を含有する実施例は、環境や健康への影響に配慮しつつ、臭気を低減でき、更に、耐候性及び外観性を改善できると共に、低燃費性及び耐摩耗性も改善できた。

Claims (15)

  1. ゴム成分及び柑橘類由来のワックスを含有し、
    前記ワックスは、フィトステロール類の含有率が5質量%以上であり、
    前記ワックスの含有量が、ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部であるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記ワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が質量%以上である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ワックスの軟化点が、示差走査熱量測定(DSC)により測定される吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピークトップ温度として測定された際に35〜85℃である請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ワックスが、柑橘類の花及び/又は果皮より抽出されるものである請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. スチレンブタジエンゴムを含む請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記スチレンブタジエンゴムのスチレン含量が、20質量%以上である請求項記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. シリカを含む請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
  9. ゴム成分、並びに、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が質量%以上である天然由来のワックスを含有し、
    前記ワックスの含有量が、ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部であるタイヤ用ゴム組成物。
  10. スチレン含量が30質量%以上のスチレンブタジエンゴムを含む請求項9記載のタイヤ用ゴム組成物。
  11. 請求項9又は10に記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
  12. ゴム成分、及び、フィトステロール類の含有率が質量%以上である天然由来のワックスを含有し、
    前記ワックスの含有量が、ゴム成分100質量部に対して、1〜30質量部であるタイヤ用ゴム組成物。
  13. スチレン含量が30質量%以上のスチレンブタジエンゴムを含む請求項12記載のタイヤ用ゴム組成物。
  14. 前記ワックスは、フラボノイド及びカロチノイドの合計含有率が1質量%以上である請求項12又は13に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  15. 請求項12〜14のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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