JP6025045B2 - インバータ - Google Patents
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Description
なお、Eは直流電源1の電圧、Vsは単相インバータの出力電圧、P,Nは直流回路の正極及び負極、U,Vは単相インバータの交流出力端子、M,Neは中点(それぞれ直列コンデンサ同士の接続点)である。以下では、正極P,負極N,端子U1,V1,U,Vを、単に点P,N,U1,V1,U,Vともいう。
すなわち、直流電源1を太陽電池とし、交流出力端子U,V及び中点Neを単相3線電力系統のU,V相及び中性相にそれぞれ接続し、太陽電池の直流電力をスイッチ3〜6により交流電力に変換して系統に供給する。ここで、中点Neはコンデンサ11,12にしか接続されないが、これは敢えて不平衡の電流を供給する必要がなく、中点Neにはこの装置からの電流が流れないためである。
このため、P点電位は、U点電位+リアクトル9の電圧=Vs/2+(E−Vs)/2=E/2,N点電位は、V点電位−リアクトル10の電圧=−Vs/2−(E−Vs)/2=−E/2となる。従って、直流の中点Mの電位はP,N点の中間電位すなわち0[V]であり、対地電位に等しくなる。
また、スイッチ4,5がオンの状態は上述した動作と回路的に対称であり、U1電位、V1電位がP電位であるかN電位であるかが入れ替わるのみで、その他の電位関係は変わらない。よって、スイッチ3,6がオン、またはスイッチ4,5がオンという二つの状態の間で動作している限りは、直流回路に電位変動は生じない。
上記の点を考慮して、スイッチ7,8は、回路の対称性を崩さずにU1−V1間を0[V]にするように設けたものである。スイッチ7,8がオンすると、U1,V1電位はそれぞれU,V間電圧をリアクトル9,10によって分圧した結果の中間電位となるので、0[V]となる。このとき、スイッチ3〜6をオフしておけば、直流回路は交流側と切り離されているので電位変動は生じない。実際には、スイッチ3〜6の図示しない端子間寄生キャパシタンスによる電圧がP−N間に印加されるが、回路の対称性が保たれているため、M点はやはり0[V]となる。
図4(b)は、スイッチ3〜8のゲートパルスを生成する制御回路の構成図である。図4(b)において、100は電圧指令発生手段、101は正キャリア発生手段、102は負キャリア発生手段、200,201はコンパレータ、202,203は論理反転手段、116はオンディレイ回路、117はゲート駆動回路である。
図5に示すように、電圧指令(信号波)が正キャリアを上回るときにはスイッチ3,6のオン指令を発生させ、電圧指令が負キャリアを下回るときにはスイッチ4,5のオン指令を発生させる。なお、正キャリアと負キャリアとは、極性が反転している。
図示されていないが、スイッチ3,6がオフしているときには半導体スイッチ8をオンし、スイッチ4,5がオフしているときにはスイッチ7をオンする。従って、スイッチ3〜6が全てオフのときには、スイッチ7,8は両方ともオンしていることになる。
図6は、スイッチ3〜8のオン・オフによる電流経路を示しており、例えば、図6(a)のようにスイッチ3,6がオンしている状態から両スイッチ3,6を同時にオフする。このとき、スイッチ4,5はオフ状態に保たれているので、スイッチ7は既にゲートオン状態にある。しかし、スイッチ7は逆方向の電流を阻止する能力があるため、スイッチ3,6のオンに伴って直流電源1を短絡することはなく、その一方で、スイッチ7はスイッチ3,6のオフと同時に導通して図6(b)に示す経路で電流を流す。そして、デッドタイム経過後にスイッチ8がオンし、負方向の電流も通流可能となる。
例えば、図6(a)の状態からスイッチ3,6をオフする際、スイッチ6のオフが遅れると図6(c)の状態となる。この図6(c)では、図6(b)のようにスイッチ3,6の両端電圧がE/2とならず、スイッチ3の両端電圧がE、スイッチ6の両端電圧が0[V]となり、回路の対称性が崩れて直流回路の電位が変動する。
その後にスイッチ6がオフすると、図6(d)の状態に移行するが、この時点では、既にスイッチ3の寄生キャパシタンス(点線にて示す)が電圧Eに充電され、スイッチ4の寄生キャパシタンス(点線にて示す)が0[V]に放電されている。しかし、これらの電圧をE/2に戻す能動的な回路がないため、次にスイッチ3,6がオンするまで、図6(d)の状態が保持されることになる。
そこで、本発明の解決課題は、半導体スイッチやゲート駆動回路のオン・オフタイミングのずれを補正して直流回路の対地電位変動を防止し、ノイズを抑制するようにしたインバータを提供することにある。
前記交流出力端子間の電圧を正または負にするときには前記4つの半導体スイッチのうち2つの半導体スイッチを同時にオンし、前記交流出力端子間の電圧を零にするときには前記2つの半導体スイッチを同時にオフすると共に前記双方向スイッチをオンするように制御する単相インバータにおいて、
同時にオン・オフするべき前記2つの半導体スイッチのオン動作またはオフ動作におけるタイミングのずれを検出するタイミングずれ検出手段と、
前記タイミングずれ検出手段により検出したずれに基づいて補正信号を生成し、前記補正信号を用いて前記2つの半導体スイッチを同時オンまたは同時オフさせるためのタイミング補正手段を備えたものである。
前記タイミング補正手段は、前記電圧指令に前記補正信号を加えて得た補正後電圧指令と前記キャリアとの比較結果に基づいて前記パルス幅変調制御手段における前記補正後電圧指令と前記キャリアとの切り合い点を移動させ、所定の半導体スイッチのオン・オフタイミングを補正するものである。
一方、電圧指令発生手段100から出力された電圧指令(信号波)はコンパレータ106及び符号反転手段103に入力され、符号反転手段103の出力は加算手段104,105の各一方の入力端子に加えられている。また、補正信号発生器119の出力である補正信号aは、加算手段104,105の各他方の入力端子に加えられている。なお、補正信号発生器119及び加算手段104,105等は、請求項におけるタイミング補正手段を構成している。
ここで、コンパレータ106は電圧指令と正キャリアとを比較し、コンパレータ107は加算手段104の出力(補正後電圧指令)と負キャリアとを比較し、コンパレータ108は加算手段105の出力(補正後電圧指令)と正キャリアとを比較し、コンパレータ109は電圧指令と負キャリアとを比較するものである。
図1において、各手段110〜115は論理素子の記号で表現されているが、マイコンとその内部のソフトウェア等、別の手段によって実現しても良く、これはその他の構成要素についても同様である。
いま、電圧指令発生手段100から出力される電圧指令がU相電圧指令であるとすると、符号反転手段101からはU相電圧指令に対して位相が180度ずれたV相電圧指令が出力される。
補正信号発生器119から出力される補正信号aがゼロであって、正キャリア、負キャリアの位相関係が図2に示す通りであれば、スイッチ3,6及びスイッチ4,5のオン・オフ指令は、結果として図5のオン・オフ指令と全く同じものとなる。
図3は、図2を時間軸方向に拡大したものに相当し、図1のN点に対地電位変動が発生した場合の波形図である。
逆に、ターンオンまたはターンオフのタイミングを遅くする場合には、もとのV相電圧指令に加算する補正信号aの符号を上記とは逆にすれば良い。
スイッチ5のオン・オフ信号についても同様であり、図1のコンパレータ108が、補正信号aを加算した後のV相電圧指令(補正後電圧指令)を正キャリアと比較するものである。
上記の動作により、スイッチ3,4とスイッチ6,5との動作タイミングのずれを補正し、スイッチ3,6の同時動作、及びスイッチ4,5の同時動作を保つことができる。
なお、実施形態に示したようなフィードバック的な制御方法では、回路状態が変化した場合、それに追従する際の遅れ期間中は電位変動やノイズの発生が起こり得るが、ノイズは一瞬たりとも許容値を超えてはならないものではなく、実用上は定常状態において十分に低く抑えられていれば良いので、特に問題は生じない。
2,11,12:コンデンサ
3〜8:半導体スイッチ
9,10:リアクトル
100:信号波発生手段
101:正キャリア発生手段
102:負キャリア発生手段
103:符号反転手段
104,105:加算手段
106〜109:コンパレータ
110〜113:論理反転手段
114,115:論理積生成手段
116:オンディレイ回路
117:ゲート駆動回路
118:電位変動検出器
119:補正信号発生器
DT3,DT6,DT5,DT4,DT8,DT7:遅延部
GD3,GD6,GD5,GD4,GD8,GD7:駆動部
Claims (4)
- 4つの半導体スイッチにより構成されて直流電圧を単相交流電圧に変換する単相フルブリッジと、前記単相フルブリッジの交流出力端子間に接続されて順逆両方向の電流の通流、遮断を制御可能な半導体スイッチを有する双方向スイッチと、を備え、
前記交流出力端子間の電圧を正または負にするときには前記4つの半導体スイッチのうち2つの半導体スイッチを同時にオンし、前記交流出力端子間の電圧を零にするときには前記2つの半導体スイッチを同時にオフすると共に前記双方向スイッチをオンするように制御する単相インバータにおいて、
同時にオン・オフするべき前記2つの半導体スイッチのオン動作またはオフ動作におけるタイミングのずれを検出するタイミングずれ検出手段と、
前記タイミングずれ検出手段により検出したずれに基づいて補正信号を生成し、前記補正信号を用いて前記2つの半導体スイッチを同時オンまたは同時オフさせるタイミング補正手段を備えたことを特徴とする単相インバータ。 - 請求項1に記載した単相インバータにおいて、
前記タイミングずれ検出手段は、前記単相フルブリッジの直流回路の対地電圧変動から前記タイミングのずれを検出することを特徴とする単相インバータ。 - 請求項1または2に記載した単相インバータにおいて、
電圧指令とキャリアとを比較して半導体スイッチのオン・オフ信号を生成するパルス幅変調制御手段を備え、
前記タイミング補正手段は、
前記電圧指令に前記補正信号を加えて得た補正後電圧指令と前記キャリアとの比較結果に基づいて前記パルス幅変調制御手段における前記補正後電圧指令と前記キャリアとの切り合い点を移動させ、所定の半導体スイッチのオン・オフタイミングを補正することを特徴とする単相インバータ。 - 請求項3に記載した単相インバータにおいて、
前記補正後電圧指令と前記キャリアとの比較結果を用いて、前記双方向スイッチを構成する半導体スイッチのオン・オフ信号を生成することを特徴とする単相インバータ。
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