JP6024662B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
[2] 前記光学フィルムの光弾性係数が−5.0×10−12〜5.0×10−12m2/Nの範囲である、[1]に記載の光学フィルムの製造方法。
[3] 前記光学フィルムが、下記式(I)で表される、波長590nmでの面内方向のレターデーションRoが−10nm〜10nmの範囲であり、かつ下記式(II)で表される、波長590nmでの厚み方向のレターデーションRtが−10nm〜10nmの範囲である、[1]または[2]に記載の光学フィルムの製造方法。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し;nyは、光学フィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;d(nm)は、光学フィルムの厚みを表す)
[4] 前記光学フィルムが、下記式(I)で表される、波長590nmでの面内方向のレターデーションRoが20〜150nmであり、かつ下記式(II)で表される、波長590nmでの厚み方向のレターデーションRtが70〜400nmである、[1]に記載の光学フィルムの製造方法。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し;nyは、光学フィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;d(nm)は、光学フィルムの厚みを表す)
[5] 前記固有複屈折が正の樹脂(b)が、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる一種類以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[6] 前記固有複屈折が正の樹脂(b)が、炭素数3以上のアシル基を有するセルロースエステル樹脂である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[7] 前記固有複屈折が正の樹脂(b)が、下記式(i)および(ii)を満たすセルロースエステル樹脂である、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
(i) 2.0≦DSac+DSpr<3.0
(ii) 0.5≦DSpr<2.8(式中、DSacはアセチル基の置換度、DSprは炭素数3以上のアシル基の置換度を表す)
[8] 前記セルロースエステル樹脂の重量平均分子量Mwが3.0×104〜3.0×105である、[6]または[7]に記載の光学フィルムの製造方法。
[9] 前記ビニル単量体(a)は、単官能のビニル単量体(a)である、[1]〜[8]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[10] 前記ビニル単量体(a)は、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、マレイミド化合物、N−ビニル環状アミド化合物、ビニルエステル化合物からなる群より選ばれる一種類以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[11] 前記シラップの、振動粘度計にて測定される23℃での粘度が4000Pa・s以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[12] 前記シラップをろ過するステップをさらに含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[13] 前記シラップを、空隙率76〜95%、捕集粒子径0.5〜5μmのフィルタでろ過する、[1]〜[12]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[14] 前記熱可塑性樹脂を得るステップでは、前記ビニル単量体(a)を塊状重合させる、[1]〜[13]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
[15] 前記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を溶融押出して光学フィルムを得る、[1]〜[14]のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
本発明の光学フィルムは、特定の熱可塑性樹脂と、必要に応じて他の添加剤とを含有する樹脂組成物を成形して得られるフィルムである。樹脂組成物に含まれる特定の熱可塑性樹脂は、固有複屈折が正の樹脂(b)の存在下でビニル単量体(a)を重合させたものである。
熱可塑性樹脂を構成するビニル単量体(a)は、分子内にエチレン性二重結合を有する化合物であり、好ましくは分子内にエチレン性二重結合と、ヘテロ原子含有官能基とを有する化合物である。ヘテロ原子含有官能基とは、エステル基、イミド基、アミド基などでありうる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノブチルアクリレートなどの(メタ)アクリレート;
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどのフッ素化(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのN−(メタ)アクリロイルスクシンイミドなどが含まれる。
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド(ノルマルブチルアクリルアミド、ターシャリーブチルアクリルアミド)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリルアミドなどが含まれる。
(i) 2.0≦DSac+DSpr<3.0
(ii) 0.5≦DSpr<2.8
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製)を3本接続して使用する。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1.0×106〜5.0×102までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。
セルロースエーテル樹脂は、セルロースの水酸基の一部または全部がアルコキシ基で置換されたものである。アルコキシ基の炭素数は、特に制限されないが、一定以上の位相差発現性を得るためには、4以下とすることができ、好ましくは2以下としうる。そのようなアルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが含まれ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基であり、より好ましくはエトキシ基である。セルロースエーテル樹脂に含まれるアルコキシ基は、一種類であっても、二種類以上であってもよい。
紫外線吸収剤は、波長400nm以下の紫外線を吸収する化合物であり、好ましくは波長370nmでの透過率が10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である化合物である。
溶融押出法でフィルムを製造する工程では、高温下で樹脂などのフィルム材料を溶融混練するため、樹脂などのフィルム材料が熱や酸素によって分解されやすい。そのような、樹脂などのフィルム材料の熱や酸素による分解を抑制するために、本発明の樹脂組成物は、安定化剤として酸化防止剤をさらに含むことが好ましい。
微粒子は、得られる光学フィルムの表面の滑り性を高める機能を有する。微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。無機微粒子の例には、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウムなどが含まれる。有機微粒子の例には、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどが含まれる。フィルムのヘイズの増大を少なくするためには、特に二酸化珪素が好ましい。
1≦(酢酸量)/(カルシウムおよびマグネシウムの総量)≦30 ・・・式(a)
式(I) R0=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(nx:フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、ny:フィルム面内において、遅相軸に対して直交する方向の屈折率、nz:厚み方向におけるフィルムの屈折率、d:フィルムの厚み(nm))
1)フィルムの平均屈折率を屈折計により測定する。
2)王子計測機器社製KOBRA−21ADHにより、フィルム法線方向からの波長590nmの光を入射させたときの面内方向のレターデーションR0を測定する。
3)王子計測機器社製KOBRA−21ADHにより、フィルム法線方向に対してθの角度(入射角(θ))から波長590nmの光を入射させたときのレターデーション値R(θ)を測定する。θは0°よりも大きく、好ましくは30°〜50°である。
4)測定されたR0およびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、王子計測機器社製KOBRA−21ADHにより、nx、nyおよびnzを算出し、Rtを算出する。レターデーションの測定は、23℃55%RH条件下で行うことができる。
1)レターデーション測定装置(KOBURA31PR、王子計測機器社製)を用いて、光学フィルムの最大延伸方向(延伸倍率が最大となる方向)に引張り荷重を加えながら、波長589nmにおけるフィルム面内のレターデーションR0(589)を測定する。同様に、引張り荷重を変化させたときのフィルム面内のレターデーションR0(589)を測定する。測定は、23℃、55%RH条件下で行うことができる。
2)光学フィルムに印加した引張応力を横軸とし、フィルムの面内レターデーションR0(589)をフィルムの厚みで割って得られるΔn(nx−ny)を縦軸として、各引張応力でのΔn(nx−ny)をプロットし、引張り荷重−Δn(nx−ny)の曲線を得る。得られた曲線を直線に近似したときの、直線の傾きを光弾性係数として求める。
ヘイズメーター(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)を準備する。光源は5V9Wのハロゲン球とし、受光部はシリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)とする。
洗浄したスライドガラスの上に、グリセリンを一滴(0.05ml)滴下する。このとき、液滴に気泡が入らないように注意する。
次いで、滴下したグリセリンの上に、カバーガラスを載せる。カバーガラスは押さえなくてもグリセリンは広がる。
これにより得られるブランク測定用のサンプル(カバーガラス/グリセリン/スライドガラス)を、ヘイズメーターにセットして、ヘイズ1(ブランクヘイズ)を測定する。
2)光学フィルムを含むサンプルのヘイズの測定
前記1)と同様にして、洗浄したスライドガラスの上にグリセリンを滴下する。
一方で、測定する光学フィルムを、23℃55%RH下で5時間以上調湿する。次いで、滴下したグリセリンの上に、調湿した光学フィルムを、気泡が入らないように載せる。
さらに、光学フィルム上に0.05mlのグリセリンを滴下した後、カバーガラスをさらに載せる。
これにより得られる測定用のサンプル(カバーガラス/グリセリン/試料フィルム/グリセリン/スライドガラス)を、前述のヘイズメーターにセットして、ヘイズ2を測定する。
3)前記1)で得られたヘイズ1と、前記2)で得られたヘイズ2を、下記式に当てはめて、光学フィルムのヘイズを算出する。
光学フィルムの内部ヘイズ(%)=ヘイズ2(%)−ヘイズ1(%)
本発明の光学フィルムの製造方法は、1)ビニル単量体(a)と、固有複屈折が正の樹脂(b)とを含むシラップを得るステップと、2)シラップに含まれるビニル単量体(a)を重合させて熱可塑性樹脂を得るステップと、3)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を成形して光学フィルムを得るステップと、を有する。得られる光学フィルムのヘイズを低くするためには、1)と2)の間で、4)シラップに含まれる不純物や異物を除去するステップをさらに行うことが好ましい。
シラップを得るステップでは、ビニル単量体(a)と、固有複屈折が正の樹脂(b)とを含むシラップを得る。シラップにおけるビニル単量体(a)の含有量は、ビニル単量体(a)と固有複屈折が正の樹脂(b)の合計に対して50〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。ビニル単量体(a)の含有比率が50質量%未満であると、シラップの粘度が高くなりやすい。一方、ビニル単量体(a)の含有比率が90質量%超であると、得られるフィルムの機械的強度が低下しやすい。
シラップには、原料となる固有複屈折が正の樹脂(b)(特にセルロースエステル樹脂)に含まれる、微小な異物(アシル基置換度が異なるセルロースエステルや未反応のセルロースなど)や不純物(後述するカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンなど)が含まれる。そのような微小な異物や不純物を含むシラップから得られる熱可塑性樹脂を含む光学フィルムは、ヘイズが高くなりやすい。そのため、シラップに含まれる微小な異物や不純物を除去することが好ましい。
固有複屈折が正の樹脂(b)の存在下で、ビニル単量体(a)を塊状重合させることが好ましい。ビニル単量体(a)の重合物と、固有複屈折が正の樹脂(b)とが均一に相溶した熱可塑性樹脂を得ることができ、それを含むフィルムはヘイズが低いからである。
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を、溶液流延法または溶融押出法で成形して光学フィルムを得る。なかでも、溶融押出法で光学フィルムを得ることが好ましい。
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物は、あらかじめ混練してペレット化しておくことが好ましい。ペレット化は、公知の方法で行うことができ、例えば前述の熱可塑性樹脂と、必要に応じて可塑剤などの添加剤とを含む樹脂組成物を、押出し機にて溶融混錬した後、ダイからストランド状に押し出す。ストランド状に押し出された溶融樹脂を、水冷または空冷した後、カッティングしてペレットを得ることができる。
熱可塑性樹脂からなるペレットを、他の添加剤などとともにホッパーから押出し機12に供給する。ペレットの供給は、ペレットの酸化分解を防止するためなどから、真空下、減圧下または不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。そして、押出し機12にてフィルム材料を溶融混練する。
ダイ14から押し出された樹脂を、冷却ロール16と弾性タッチロール32とでニップして、フィルム状の溶融樹脂を所定の厚みにする。そして、フィルム状の溶融樹脂を、冷却ロール18および冷却ロール20で段階的に冷却して固化させる。
冷却ロール20を、剥離ロール22にて剥離して得られるフィルム36を、延伸機24にて延伸する。延伸は、少なくともフィルムの幅方向(TD方向)に延伸することが好ましく、フィルムの幅方向(TD方向)と搬送方向(MD方向)の両方に延伸してもよい。
MD方向の延伸速度(%/min)=〔(V2−V1)/S〕×100
本発明の偏光板は、偏光子と、その一方の面に配置された本発明の光学フィルムとを含み、必要に応じて偏光子の他方の面に配置された偏光板保護フィルムをさらに含んでもよい。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板と、を有する。そして、一対の偏光板のうち少なくとも一方が前述の光学フィルムを有する偏光板であり、好ましくは一対の偏光板の両方が前述の光学フィルムを有する偏光板である。
ビニル単量体(a):
メチルメタクリレート(MMA)
メチルアクリレート(MA)
アクリロイルモルホリン重合体(ACMO)
エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)
ビニルピロリドン(VP)
フェニルマレイミド(PHMI)
シクロヘキシルマレイミド(CHMI)
ジメチルマレイミド(DMAA)
ノルマルブチルアクリルアミド(n−BAA)
ターシャリーブチルアクリルアミド(t−BAA)
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)
下記表1に示されるセルロースエステルb1〜b14
エトセル45(エチルセルロース、エトキシ基の置換度:約2.5、重量平均分子量Mw:約120000)
(合成例1)
フラスコに、80質量部のメチルメタクリレートを投入し、50℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレートを攪拌しながら、20質量部のセルロースエステルb1を少量ずつ加えて、均一に混合した。得られた混合物に、0.05質量部のn−オクチルメルカプタンと、0.5質量部のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートとをさらに加えて攪拌し、シラップを得た。得られたシラップの23℃における粘度を、振動粘度計(CBCマテリアルズ(株)社製 VM−100A)にて測定した。
固有複屈折が正の樹脂(b)の種類を表2に示されるように変更した以外は合成例1と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
ビニル単量体(a)の種類を表2に示されるように変更した以外は合成例13と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
ビニル単量体(a)と固有複屈折が正の樹脂(b)との量比を表2に示されるように変更した以外は合成例13と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
シラップのろ過の有無あるいはろ過条件を表2に示されるように変更した以外は合成例13と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
シラップの組成を表3に示されるように変更した以外は合成例2と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
ビニル単量体(a)の種類を表4に示されるように変更した以外は合成例2と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
シラップのろ過の有無あるいはろ過条件を表5に示されるように変更した以外は合成例13と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
フラスコに、150質量部の脱イオン水と、20質量部のセルロースエステルb13とを投入した。得られた溶液を25℃で攪拌しながら、80質量部のメチルメタクリレートと、0.05質量部のn−オクチルメルカプタンと、0.5質量部のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートとを30分かけて滴下した。得られた溶液をさらに30分間攪拌した後、80℃に昇温させて、4時間攪拌した。その後、得られた溶液を室温まで冷却して、固形分を取り出して乾燥させて熱可塑性樹脂を得た。
シラップの組成を表5に示されるように変更した以外は合成例13と同様にして熱可塑性樹脂板を得た。
フラスコに、150質量部の脱イオン水と、25質量部のセルロースジアセテート(アセチル化度55%)とを投入した。得られた溶液を25℃で攪拌しながら、74.5質量部のメチルメタクリレートと、0.5質量部のメチルアクリレートと、0.05質量部のn−オクチルメルカプタンと、0.5質量部のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートとを30分かけて滴下した。得られた溶液をさらに30分間攪拌した後、80℃に昇温させて、4時間攪拌した。その後、得られた溶液を室温まで冷却して、固形分を取り出して乾燥させて熱可塑性樹脂を得た。
フラスコに、74.5質量部のメチルメタクリレートと、0.5質量部のメチルアクリレートとを投入して50℃に昇温した。次いで、メチルメタクリレートとメチルアクリレートを攪拌しながら、25質量部のセルロースジアセテート(アセチル化度55%)を少量ずつ加えて、均一に混合した。得られた混合物に、0.05質量部のn−オクチルメルカプタンと、0.5質量部のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートとをさらに加えて攪拌し、シラップを得た。
フラスコに、75質量部のメチルアクリレートを投入して、50℃に昇温した。次いで、メチルアクリレートを攪拌しながら、25質量部のセルロースジアセテート(アセチル化度55%)を少量ずつ加えて均一に混合した。得られた混合物に、0.5質量部のエチレングリコールジメタクリレートと、0.5質量部のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートとをさらに加えて攪拌してシラップを得た。
(実施例1)
合成例1で得られた熱可塑性樹脂板を粉砕機で粉砕して、粉状の熱可塑性樹脂を得た。そして、100質量部の粉状の熱可塑性樹脂と、0.48質量部のIrganox1010(チバ・ジャパン(株)製)と、0.077質量部のアデカスタブPEP−36(ADEKA(株)製)と、0.48質量部のスミライザーGS(住友化学(株)製)とを混合して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、真空ナウターミキサーにて80℃、1Torrで3時間混合しながらさらに乾燥させた。
熱可塑性樹脂の種類を、表6または7に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
熱可塑性樹脂の種類を、表7に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得た。
熱可塑性樹脂の種類を、表7に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルムを得ようとしたが、溶融粘度が高すぎて溶融押出しできなかった。
得られた光学フィルムの内部ヘイズを、JIS K7136に準拠した前述の方法で測定した。ヘイズメーターは、日本電色工業(株)製NDH 2000を用いた。そして、光学フィルムの内部へイズを、以下の基準に基づいて評価した。
◎:内部ヘイズが0.1%以下
○:内部ヘイズが0.1%超0.2%以下
△:内部ヘイズが0.2%超0.5%以下
×:内部ヘイズが0.5%超
i)得られたフィルムを、23℃、55%RHの環境下で24時間放置して調湿した。得られたフィルムの平均屈折率を、アッベ屈折率計(4T)を用いて測定した。また、フィルムの厚さを、市販のマイクロメーターを用いて測定した。
ii)自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、フィルム法線方向からの波長590nmの光を入射させて、下記式(I)で表される面内方向のレターデーションRoを測定した。また、フィルム法線方向に対してθの角度(入射角(θ))から波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定した。θは30°〜50°とした。
iii)測定されたR0およびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)によりnx、nyおよびnzを算出し、下記式(II)で表されるRtを算出した。リターデーションの測定は、23℃、55%RH条件下で行った。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(nxは、フィルム面内方向で屈折率が最大となる方向xにおける屈折率を示し;
nyは、フィルム面内方向で前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を示し;
nzは、フィルム厚み方向zにおける屈折率を示し;
d(nm)は、フィルム厚みを示す)
i)得られたフィルムを23℃、55%RHの環境下で24時間放置した。その後、フィルムの最大延伸方向(延伸倍率が最大となる方向)に引張り荷重を加えながら、フィルムのレターデーション測定装置(KOBURA31PR、王子計測機器社製)を用いて、波長589nmにおけるフィルム面内のレターデーションR0を測定した。同様に、引張り荷重を変化させたときのフィルム面内のレターデーションR0(589)を測定した。測定は、23℃、55%RH条件下で行った。
ii)光学フィルムに印加した引張応力を横軸とし、フィルムの面内レターデーションR0(589)をフィルムの厚みで割って得られるΔn(nx−ny)を縦軸として、引張り荷重−Δn(nx−ny)の曲線を得た。得られた曲線を直線に近似したときの、直線の傾きを光弾性係数として求めた。
フィルムのガラス転移温度は、JIS K7121(1987)に準拠した方法で測定した。即ち、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、フィルムを50℃から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温させたときの、中間点ガラス転移温度(Tmg)として測定した。
i)光学顕微鏡を用いて、フィルムを透過した光またはフィルム表面を反射した光を観察することによって、フィルムの異物が存在する部分を特定し、マーキングした。
ii)光学顕微鏡のガラスステージを「ガラス製の偏光板」に置き換え、かつ対物レンズに偏光板フィルターを設置して、これらの2枚の偏光板をクロスニコル状態となるようにした。これらの2枚の偏光板の間に、得られたフィルムを配置した。
iii)そして、ガラスステージ側の偏光板に光を当てて、マーキング部分のフィルムを透過した光を観察し、大きさが10μm以上の輝点異物(クロスニコルで明瞭となる光学的な欠陥)の個数をカウントした。測定範囲は、10cm×10cmの面積とし、測定回数は10回とした。そして、10回の測定で得られた輝点異物の個数の平均値を、平方ミリメートルあたりの値に換算して「異物個数(個/mm2)」とした。小数点以下は、四捨五入した。
12 押出し機
14 ダイ
16、18、20 冷却ロール
22 剥離ロール
24 延伸装置
26 巻き取り装置
28 フィルタ
30 スタチックミキサ
32 弾性タッチロール
34 清掃装置
34’ 常圧プラズマ照射装置
34A 吹出しスリット
110 液晶表示装置
120 液晶セル
140 第一の偏光板
142 第一の偏光子
144 偏光板保護フィルム(F1)
146 偏光板保護フィルム(F2)
160 第二の偏光板
162 第二の偏光子
164 偏光板保護フィルム(F3)
166 偏光板保護フィルム(F4)
Claims (14)
- 50〜90質量%のビニル単量体(a)と、10〜50質量%の固有複屈折が正の樹脂(b)とを含むシラップを得るステップと、
前記シラップをろ過するステップと、
前記シラップに含まれる前記ビニル単量体(a)を重合させて熱可塑性樹脂を得るステップと、
前記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を成形して、内部ヘイズが0.2%以下である光学フィルムを得るステップと、
を含む、光学フィルムの製造方法。 - 前記光学フィルムの光弾性係数が−5.0×10−12〜5.0×10−12m2/Nの範囲である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記光学フィルムが、下記式(I)で表される、波長590nmでの面内方向のレターデーションRoが−10nm〜10nmの範囲であり、かつ下記式(II)で表される、波長590nmでの厚み方向のレターデーションRtが−10nm〜10nmの範囲である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し;
nyは、光学フィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は、光学フィルムの厚みを表す) - 前記光学フィルムが、下記式(I)で表される、波長590nmでの面内方向のレターデーションRoが20〜150nmであり、かつ下記式(II)で表される、波長590nmでの厚み方向のレターデーションRtが70〜400nmである、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表し;
nyは、光学フィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、光学フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は、光学フィルムの厚みを表す) - 前記固有複屈折が正の樹脂(b)が、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる一種類以上である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記固有複屈折が正の樹脂(b)が、炭素数3以上のアシル基を有するセルロースエステル樹脂である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記固有複屈折が正の樹脂(b)が、下記式(i)および(ii)を満たすセルロースエステル樹脂である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
(i) 2.0≦DSac+DSpr<3.0
(ii) 0.5≦DSpr<2.8
(式中、DSacはアセチル基の置換度、DSprは炭素数3以上のアシル基の置換度を表す) - 前記セルロースエステル樹脂の重量平均分子量Mwが3.0×104〜3.0×105である、請求項7に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ビニル単量体(a)は、単官能のビニル単量体(a)である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ビニル単量体(a)は、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、マレイミド化合物、N−ビニル環状アミド化合物、ビニルエステル化合物からなる群より選ばれる一種類以上である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記シラップの、振動粘度計にて測定される23℃での粘度が4000Pa・s以下である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記シラップを、空隙率76〜95%、捕集粒子径0.5〜5μmのフィルタでろ過する、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂を得るステップでは、前記ビニル単量体(a)を塊状重合させる、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を溶融押出して光学フィルムを得る、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
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